PandoraPartyProject

シナリオ詳細

それゆけ! びやくのもり

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●最も男性的な行為(独自研究)
 近頃「幻想」は……というか、貴族界隈はとみに騒がしい。
 それもこれも、「大奴隷市」に端を発する一連の災禍によるものであるが、世の悪事というのは何も、それだけで回ってるわけではない。
「行方不明事案の調査……が、これでもう5件目ですか。ちょっとこれは多すぎますね」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)は目の前に積み上がった資料をめくりながら、ここ数日で相次いで届けられた依頼内容に顔をしかめた。
 全て、行方不明ないしは誘拐疑いの事例。こういうものは少女や女性が相場なのだが、どうにも今回は事情が異なるらしい。上がっている報告が、どれも「幼年からティーンエイジの少年」なのである。
「随分と偏ってますね。この時期にここまでおおっぴらに動くのは些か冗談が過ぎますが……」
 木を隠すなら森の中、とはよく言われる。だが、わざわざ疑われるようなタイミングに、それも対象を絞ってわかり易いフラグを建てる必要性はどこにもない。どうにも稚拙、否、恐れ知らずとでもいうのか。
「アリス……調べて、きた……」
「ボクも一緒に調べてきました! 多分、その事件と関係ある工場だと思うんですけど……」
 そんな時、別件から戻ってきたアリス・アド・アイトエム (p3p009742)とノルン・アレスト (p3p008817)の2人が地図と、とある企業の資料を持ち込んできた。
 その工場は、この頃幻想王国内でもちょくちょく話題に上るところだ。老若男女を問わずして使用される新しい香水を作っている、多分、噂に敏い貴族なんかは使っていると思われるもの。
「香水……偽装……媚薬工場……」
「ああ、そういう流れなんですか?」
 三弦はだいたい理解した。
 いや、まあそういうこともあるよね。そんな顔で。

●さらば、清純な日々よ
「ここがその工場のある森になります」
「……うわあ」
 数日後、幻想某所。アリスとノルンにつれてこられた一同は、森の放つ異様な雰囲気に気圧されていた。だって、本当に「異様」なのだ。内部から溢れてくる雰囲気というか空気というか、そういったものが内部のヤバさを助長している。遠くたなびく排気や周辺の植生を見ても、あきらかに工場から溢れ出る「それ」が影響していることは明らかだ。
「っていうかこの排煙も排水も混じってるんじゃないか、媚薬……なんかこころなしか体が熱いんだけど……」
「いや、なんだよあの草。っていうか蔦。明らかにこっち狙ってんじゃん。触手じゃんもうアレ」
 当たり前だが、イレギュラーズもバカではない。媚薬工場周辺での肉体異常やアレな植生とくれば、間違いなく自分たちも影響を受けていると分かる。しかも、厄介極まりないことに男性陣のが余計に影響を受けているように見られた。
 
 ところで。
「工場が動いてるのもガンガン媚薬作ってんのも別にいいんだけど、なんであそこまで蔦が成長してんの?」
「っていうか工場に囚われた少年とかあの中? 結構手遅れじゃない?」
「工場、なんか職員の気配ないんだけど自滅してないよね?」
 凄く……雲行きが怪しいです……。

GMコメント

●とても重要な備考
 このシナリオの参加者、特に「男性」、更に「18歳未満」である場合、極めて重篤な男性性の喪失、リバ倫的にアウトな表現で呼ばれる状態に陥ることがあります。一過性のもので後遺症を伴わず、依頼達成後に解消されるものではありますが「このシナリオ内で起きたことは消せません」。十分検討の上のご参加を推奨いたします。

●成功条件
 媚薬工場の破壊

●媚薬工場
 香水メーカーとして幻想で名を挙げている工場。……なのだが、実は老若男女を対象にする、様々な形態をとる媚薬の総合工場であったらしい。貴族絡み案件だったのでおいそれと手出し出来なかった模様。
 ……なんだけど、廃液処理その他諸々クソ雑だったために周辺の植生に影響を与えてしまい、蔦植物が媚薬に順応(なんて?)。工場を乗っ取り、森に近付く青少年を拉致っている。

●共通
 リプレイ中、特に男性、更にいうと未成年男性諸氏は【混乱系列】のBSをうけることがあります。低確率で「恍惚」も入ります。
 超絶抵抗値や精神無効が軽率に貫通されることがあります。貫通されなくても描写上「媚薬にアレされる」描写が入ります。
 諦めて下さい。俺は悪くねえ。

●フェーズ1:工場への接近
 媚薬植物が相手となります。
 辺り一面の蔦植物、媚薬的な花粉を撒き散らす花、その他沢山。
 攻撃力はさほど高くはありませんが数が多いので全く油断ができません。
 このフェーズで戦闘不能になるケースは少ないでしょうが、覚悟のほど次第ではそうも言ってられません。
 なお、【火炎系列】は事態を悪化させる恐れがあります。

●フェーズ2:工場破壊
 工場を覆う蔦植物と、さらわれた青少年(×10)が相手になります。
 青少年は不殺フィニッシュ必須です。
 蔦植物はデフォルトで「レンジ4・万能」特性をもつ攻撃を仕掛けてきます。攻撃範囲が広くEXAも高い。
 どっちかっていうと【崩れ系列】【凍結系列】に弱いですが、【混乱系列】はかなりかかりが弱いです。常時ラリってるようなもんなので。
 青少年たちは攻撃能力こそ低いですが「魅惑の歌声(神中単・魅了、恍惚)」をカマしてきます。一切油断できません。
 これらを全滅させたら工場(高防技・反撃なし)をひたすらぶん殴って壊すことになります。

●もうちょっと重要な備考
 このシナリオは与太に分類される、所謂「頭空っぽでも楽しめる依頼」です。
 が、作戦とか戦闘とかまで頭空っぽでやるとマジで失敗する恐れを内包しています(色々あって不利になったから失敗! はありませんが戦闘で不利こいて失敗はマジであります)。
 あとひどいことになった連中を瞬間記憶したり記録に残しちゃダメだぞ。絶対に駄目だぞ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • それゆけ! びやくのもり完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月01日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)
シュレーディンガーの男の娘
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
ノルン・アレスト(p3p008817)
願い護る小さな盾
※参加確定済み※
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ビアンカ=ヴェレーノ(p3p009388)
悪食暴食の狂学者
アリス・アド・アイトエム(p3p009742)
泡沫の胸
※参加確定済み※
一ノ瀬 和真(p3p009859)
白き魔法少女・ブラン

リプレイ


「あやしい工場を見つけただけなのに……」
「媚薬……欲しい、もって帰れる……かな……じゃなくて、危ない……ね……」
 『願い護る小さな盾』ノルン・アレスト(p3p008817)と『蕾蜘蛛』アリス・アド・アイトエム(p3p009742)は、調査の末にローレットに持ち込んだ依頼が割ととんでもないブツであることに、各々異なる感情を抱いていた。ノルンは多分もう帰りたくなっている。アリスは恐らく、一刻も早く奥まで特攻(ぶっこ)みたくて堪らないはずだ。君たち仲いいのにそういうとこ真逆なの? そう……。
「えっ割と本気で魔界……ねえ、大丈夫? これローレットに出せる報告書作れる?」
「正直若い子がこれの駆逐に行くのもどうかと思うのですが……」
 『幻耀双撃』ティスル ティル(p3p006151)はせわしなく青薔薇の香水瓶を手で弄びながら、流れてくるあやしい香りに頬をひくつかせる。秘毒はそれ以外から受ける精神への侵食を許さない。されど、このエリアにはびこる媚薬の流れはそんな条理をブチ抜こうとしていた。
 『決死防盾』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)は妙齢の男性だ。彼がもしうら若く日丈夫であったなら危なかった。否、大分若々しいので既に『危ない』のであるが。多分彼は我知らず、何らかの影響を受けているのは間違いないだろう。
「ええと。工場をなんとかするお仕事、ですよね? びやく、ってなんですか?」
「ボクもよくわからないんですが……」
「媚薬だかなんだか知らんが、毒や薬だというのであればワタシの専門分野だ。……媚薬が何かは知らなくてもいい」
 『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)は割とマジで媚薬が何かを知らなかった。実は依頼をとってきたノルンもである。そして、周囲の仲間は2人に伝えるべきか躊躇ってもいた。『悪食暴食の狂学者』ビアンカ=ヴェレーノ(p3p009388)は特にそのテのものに詳しくはあるが、知らない人間に不用意に伝えて楽しむ類の人間でもなかったので口にすることはしなかった。湧き上がる好奇心を前に、ついうっかりで口を滑らせる可能性がないとは言い切れないのが悲しいところだが。
(わー……まさかこの世界に来て初めての仕事がこんなんとは……)
 『白き魔法少女・ブラン』一ノ瀬 和真(p3p009859)は『変身後の姿で』森の入口にたどり着いていた。そう、変身後は魔法少女だ。彼が青少年に強く作用する媚薬なんぞに負けるわけがない。負ける道理がないのである(フラグ)。
(自分でも忘れがちだけど私は性別不明。量子学的にスカートの中身は付いている私と付いていない私が同時に存在している、つまり『シュレーディンガー男の娘』。つまり……男性判定イケるんじゃね?)
「触手プレイだいやーーほーい♡」
 『宿主になってね』Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)(以下イリス)はこの依頼に対する役得を最も強く受ける立場にあった。女性的なナリしておいて性別不明だ。『男だ』って言い張ればきっと森の蔦植物にアプローチできるかもしれない。天国じゃん?
 なお、このリアクションを見ている周囲の反応が地獄なのは今更な話なのであるが。
「はい、てゆーわけで! 魔法少女ブランちゃん行っきまーす!」
「……ところで、なんだか妙に熱くないですか?」
「そんなことな……え、ちょっと変な気分……?」
 和真は自分を奮い立たせるべく『魔法少女』を演出したが、直後、ノルンが襟元を緩めながら問いかけてくると、間をおいて生唾を飲む音が響いてしまった。ばかな俺は男だぞ、そんなバカな。
「なにもおかしなことじゃないじゃない、さあ正直になりなさい☆」
「おかしなことだよ。絶対ヤだよ」
「この空間の全年齢はボクが守りましょう。安心してください」
 エスパーみたいな察しの良さで大丈夫と言いきったイリスに必死の言い訳を重ねる和真。そこにすかさず迫った蔦を受け止め、ヴィクトールは自身満面に告げる。
「ええ、おじさんのアレなシーンになど需要は無いでしょうし精神汚染は効きません、なにしろ状態異常には強いのです。だからこそ身を張るならボクです。ええ、守りますよ。何があっても」
「ニルはあんまりよく分からないのですが、先回りすると大体逆効果だと学びました」
 そうだぞ、教科書みたいなフラグを立てないで大人しく諦め、じゃなかった早急に敵を倒さないと。
「なんかもうあっついんだけどおかしくない!?」
「女の子もキクんだ……楽しみ……じゃなくて、女の子守らなきゃ……」
「そうだな、ちゃんと守りつつ症状はしっかり観察して依頼達成に寄与しなければな、うんうん」
 手で顔を仰ぎながら混乱の極みにあるティスル。そんな彼女を生ぬるい目線で見守るアリスとビアンカ。頼れるはずの仲間は皆目が淀んでいる! なんだこのメンバーは!
「えっ、男も女も体が熱いですって? じゃあ私はどっちでもあるから2倍熱くなるはずね! ハァー(熱っぽい溜息)ここはもうちょっとこう、来るはずでしょう? 来なさい!」
 来なさいじゃあないんだよ。「どっちでもなくてどれでもない」ニルが偉い困惑した状況で見てるじゃないかイリス。そうじゃない、視線で興奮しろとは一言も告げちゃいねえぞ!
「あの、なんだか……視界が花粉で霞んでませんか?」
「気の所為です。いきますよ、皆さん私の後ろに!」
 気の所為っていうか木の精の仕業な気もしないでもない。不安げに周囲を見るノルンをよそに、ヴィクトールはずんずんと前へと歩き出した。多分頼もしいはずなのに、絶対なにかやりそうなのは何故だろう。
「数多の毒や病に蝕まれたこの蟲毒の躰、ちょっとやそっとの毒には負けんのでな」
 ビアンカさん、それ他の皆に負けず劣らずフラグですし『体質』って一番ネタにされるって知ってましたか……?


(媚薬植物……ギフトで籠絡して『宿主』にできねえかな?)
 イリスは辺り一面に咲き誇るアレげな色の華(視覚効果で精神に作用する)とか蔦植物を前に、あらぬ妄想を掻き立てられた。当然ながら、そんな状況だと不意打ちを食らうのだが。
「……ホントに蔦? えっ花もある? うそぉ」
 ティスルはそんな状況はなんのその、晶槍を生成すると蔦の根本へと叩き込む。何十本とあるうちの一本ではあれど、動きを止めたのは上出来だ。
「吹っ飛べぇぇぇ!!!」
「ニルも、まとめてめっ、ってします」
 和真は魔法少女の力を己の乙女心とミックスしてなんかすごい光に変え、巨大な花をぶち抜きにかかる。花粉をぶるんぶるん振りまくあれはヤバい。ここで吹き飛ばさねばまずい。本能がそうだと告げている。
「媚薬植物……響きえっち……」
「そんなことを言っている場合では……いえ、しかしこれは却って好機でしょうか……」
 アリスはそこら中の植物が媚薬的ナニカだと言われると興奮を禁じえない。雑にビアンカが媚薬の影響を受けたのを脇目に呼吸が熱を帯びているがまあそんなもんはよくある話だ問題ないとばかり。ヴィクトール、彼女の様子にちょっとヒき気味ではあれど、このやり取りに巧妙を掴んだ。相手は媚薬をアレした植物である。つまりは、人間の情欲の道理が通用する……つまりこちらから誘惑できるのではないか、と!

 何いってんだお前(素)。

「毒には毒で制するのが礼儀だ! この程度の毒、なにほどにもあら……っふう……」
 いやビアンカさんめっちゃ効いてるじゃないですか。なんか自分の血を抜き取って薬と混ぜてるけどこれ大丈夫なんですか。大丈夫? そう……。
「なんか……頭がぼうってする……皆さん大丈夫ですかぁ……?」
 ノルンは癒し手として、己が雑に媚薬に負けてはならぬという自覚があって、意地があった。それゆえに彼は、治療術式を魔力ある限り仲間に届けようと理性を全回転させていた。それでも湧き上がる熱と周囲の狂乱に、少しずつ正気を削られていく。
「まだ本番じゃないもの。さっさと抜けちゃいましょ?」
「こんなに楽しい相手とアレコレするのが前座だなんて、勿体ないったら無いわ! でもこの先には子供達が……♪」
「アリスは……子供達は、興味ない……けど、依頼だからね……」
 ティスルは次から次へと植物を潰しつつ前進し、湧き上がる熱勘に戸惑いながらも耐え抜いた。なんかヴィクトールの艶めいた声が聞こえたが気のせいだろう。きっと彼は立派に植物を倒すはずだ。
 イリスは先の少年たちとのくんずほぐれつを、そしてアリスは少年はともかくとしてより濃くなる媚薬、そしてそれに戸惑いを覚える女性陣にちょっとした期待をするのだった。ちょっとしたってレベルじゃないね? はい。
「……? ……なんか、からだ、へん……」
 和真はここで気づくべきだった。変身しようがなんだろうが、自分の本質が『少年』であることに。


「うっわぁ……」
「大丈夫ですか? ニルたちが助けにきまし……え?」
「「~~♪♪」」
 ティスルは目の前で繰り広げられる惨事――具体的には少年同士の顔が近い状況で情熱的な歌声を交わすセッションめいた様子に流石にドン引きするほかなかった。ニルはわけもわからず助けに入ろうとしたが、流れてくる歌声は拒絶の響きを伴っている。
「ニルたちに攻撃してくるのですか? これも、びやく? のせい……?」
「面白い面白い、あっちもこっちも媚薬にやられた連中が満載だな!」
 媚薬のヤバさに戸惑うニルをよそに、ビアンカは媚薬の効果を受けて高笑い。まっさきに媚薬を食らってなんとか対抗策が生み出せないか凄い頑張ったのだが、作り出した『中和剤』は明らかに状況を悪化させている。そりゃ、媚薬で茹だった頭でそんなモン作ろうとしてどうなるかって割とホラ……。
「蔦植物……ならこの攻撃……が、効くはず……」
 アリスは合間を縫って一同の服をなんやかんやしようとした触手を切り落とすと、そのまま蔦植物を切り刻んでいく。少年たちの声が自らに届くが、『チッ』みたいな顔で一蹴するこの娘は本当に趣味に生きている。
「ごめんなさい……!」
「蔦が蔓延るなら、すべてが病毒に晒されればその繁殖力も意味がないでしょう……はぁっ、さあ!」
 荒い息を吐きながら術式を構築し、殺さぬように必死に立ち回る和真。そんな彼に襲いかかった触手を受け止めたヴィクトールは、そのまま蔦植物を握り込むとゼロ距離で病毒を叩き込む。致死性のそれは蔦を先端から枯らし、連鎖的に全てを蹴散らそうとする……だが相手の生命力は、その状態でイレギュラーズを襲い、もってその生命力を延命させることを選んだ。『選ぼうとした』。
「ひっ……なにこれぇ……こんなの、しらない……やだぁ……っ」
「ひゃん!? や、ちょ……なにこれ……!?」
「くっ、……っは、あ……! けっして、こっちをみてはいけませんからね。だめですよ……」
 男性陣、あられもない声を上げ始める。だが待って欲しい。全年齢だ。見ろ、彼等の衣類は傷一つついていないではないか。服の上から色々強調されるがんじがらめにされ、なおかつ内側に入ってるような入ってないようなアングルで蔦が巻き付いているのだ。声が上気しているのは媚薬のせいで感度がン倍とかになっているからである。衣擦れでもこう、興奮するンだ。仕方ないだろう(逆ギレ)!
「♪ ~~~~♪」
「くっ、う……? いや、ダメダメダメ、かなりビリっとするけど。我慢してね!」
 ティスルは子供達の歌声にエラく特攻がかかっていた。本来存在しない類の状態異常を上乗せされている感じだし、それどころか歌声の魔力にひどく体力を削られている。ノルンがいなかったら危なかった。いや、ノルンの危ない目も視界の隅にチラチラ映って記書きではないのだけれどもあー! あの格好がもっと際どかったら本当に危なかったなー! そうそうノルンもうちょっと足を上げて! そーうそうそうそう! やればできるじゃないか! なおそんなことしてる間にティスルは3人くらい少年をけちらしていた。
「ハハハ、まさかまさかこのような非常時に注射が嫌いとか言う奴はいないよなぁ? そう、君たちの白い柔肌に注射を突き立てるんだ、最高じゃないか!」
 ビアンカは少年を追いかけ回して中和剤(とは名ばかりの強化媚薬)を少年達に打ち込んで回っていた。殺さない殺さない。死なない程度に快楽にのたうち回るだけであって殺す気なんて無いんだ。本当だよ。少年たちのあられもない嬌声とそれによる反撃を至近距離から集中砲火されて無事でいろっていうのはいくらなんでも無理があるけど。
「おんなのこ達が……いい顔してる……ふへへ……☆」
 アリスは女性陣(と和真)がアレな目に遭っているのを横目に見つつ、縦横無尽に戦っていた。媚薬による心拍数やらなんやらの変動は当然ながらあるが、女性陣のツヤ姿をその目に刻むために必死だ。
「フフ……アリス、抵抗力に自信がある……乱れる…? あり得ない……!」
「でも、アリスさん、自分で自分を、しばって……?」
 自信に満ちた声で自らを鼓舞するアリス。だが、ニルの指摘で気付いてしまった。いつのまにか、自分のギフトで自分を縛ってしまっていることに。そして、そこに畳み掛けるように少年の歌声が飛び込んでくるのである。無事で済むはずがなかろう。
「いいわ、いいわよ、もっとちょうだい♡ ……あら、もう終わり?」
 なお、仲間たちがえらい目に遭っているその頃、イリスはえらい目に遭っていたり遭わされていたりしていた。合わされるなんて被害者意識がこの人物にあったかは甚だ疑問だが、まあ真正面から食らったりしていたのである。何で触手が補助的に暴れまわってんだろう。怖い。
「皆様、落ち着いて、正気に戻ってくださいっ、びやくに負けちゃだめなのです……」
 そんな中、ニルは媚薬に寄る影響が比較的薄かった。薄かったのだが、それでも全身にしっとりと汗をかいている。中性的な姿見はしかし、だからこそ艶かしくもある。とはいえ、仲間たちがなんやかんやで少年たちを捕縛し、徐々に蔦を枯らしている状況はさすがだと感嘆するのだが。
「今までの鬱憤、晴らさでおくべきかぁ!!」
「良くもこんな恥ずかしいことにしてくれたわね、野郎ブッぶつしてやる!」
「うっ……ぐす……みないでぇ……」
「それは存分に見て存分に襲えということだな?! いいだろう――」
「ダメ……ビアンカは、こっち……アリスと楽しいこと、しよ……?」
「あら楽しそうね、私もまぜてもらえるかしら♪」
 ……依頼のために工場をぶち抜く者、錯乱して仲間を襲うもの、それを止めようとして勢い余って遅い返すもの、ご相伴に与ろうとする者。
 その日、日が傾くまで。森の中からは、それはそれはアレな声が響き渡ったという。
 めでたし、めでたくもなし。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

Alice・iris・2ndcolor(p3p004337)[重傷]
シュレーディンガーの男の娘
一ノ瀬 和真(p3p009859)[重傷]
白き魔法少女・ブラン

あとがき

 いやあ、男性陣の方が色々と素晴らしかったですね……。

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