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シナリオ詳細

きのたけ共生計画~バンブーハーモニア・リベンジ~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●翡翠の固有性というバグった末の出来事
 『ネクスト』に於ける国家は、それぞれ独自の発展や歴史の元にある。『翡翠(アメジスト)』もまた、混沌で『深緑』と呼ばれる国の異なる歴史の産物……と、いうことになる。
 で、『翡翠』の幻想種達はなんでか知らないが炎が好きでよくそういう魔術を覚えていた。だもんで、問題があれば燃やしていた。森林国家とは焼畑農業の産物だったのだろうか?
「畜生、とうとうこんなところに筍が!」
「燃やせ! 跡形もなく、根も残さずだ!」
 それはそれとして、今『翡翠』の辺境には筍の季節が訪れていた。
 筍、それは侵略的植物・『竹』の幼体であり、食用になるんだけどアク抜きが面倒くさいわ食いすぎると結石として主に男性幻想種を塗炭の苦しみに追い込むわで『翡翠』では大いに嫌われていた。
 というか、そいつら蔓延ると他の植物育たないので自然の恵み! とか言ってられんのだ。燃えろオラッ!
「村長! この辺り燃やしても大丈夫なのでしょうか!?」
「なに……?」
 調子よくボーボー燃やしていた村人たちだったが、若い幻想種がヤバげな可能性に気づく。
「確かこの辺りには『地面の近くで火を使ってはならぬ』という伝承が……あッ?」
「何事だ!」
「これは、この、影は……」
 若者はすべて話すより早く、地面から生えてきた黒い影に飲み込まれた。それはぐんぐんと増えて溢れてその地を覆い尽くそうとしている……その影に覚えのある者も、当然ながらおり。
「こいつは、木を枯らす黒い……キノコ……! ツチクラゲ……!」
 そう、発生してしまったのだ。
 地面が燃えたときに発芽する凶悪な寄生キノコ、『ツチクラゲ』、その近縁種が!
「バカな、筍が……また……うわああああああッ!?」
 そう。
 この地に於いて筍が生えた理由はただひとつ。
 筍を排除しようとする幻想種の狂奔を利用して、ツチクラゲの繁茂を促したのである――!

 数日後。
 R.O.Oにログインしたばかりの初心者パーティーは、翡翠の神秘的な雰囲気を味わうためクエストを受注していた。内容は単なる調査、最悪状況確認を遠巻きに行えば帰ってもいいというヌルいものだ。
「確かこの辺の村の調査、がクエスト内容だったよね? サクラメントが近くにあるからすぐに来られたけど……」
「大丈夫、万が一あれが壊れても村長さんが修理アイテム持ってるらしいし! それにこの辺のモンスターはそんなに強くないって――」
 色々と救済措置も多く、決して難易度は高くない。これは勝ったな、と一同は思っていた。
 そう、そのはずだった。
「キノコ……タケノコ……ノコノコノコノコ……」
 物陰から、黒一色に染まった村人らしき人物が出てきた。目が濁っていた。危機感はここで一気に上がる。
「えっ、あの大丈夫でs」
「ノッコノコー!!」
「ひええええええええ!?」
 果たして、彼等は調査先の村人同様、サクっと洗脳されてしまうのであった。

●きみたちのせいだよ!(B級映画監督感)
「……ってワケだにゃ。なにか言い分あるかにゃ?」
「えーっと……つまり……」
「ボク達が集められた理由って……」
「俺達何の関係もないよね? 違うよね?」
 ミーナ・シルバー(p3x005003)、ブラワー(p3x007270)、アルヴェール(p3x009235)の3人はなぜか調査先近傍のサクラメント付近で『イモ食え』ぱぱにゃんこ (p3y000172)によって正座させられていた。理不尽!
「キノコと筍が手を取り合って『翡翠』のいち区画を侵略してるにゃ。ソッコーで洗脳されてる連中全員ブン殴って気絶させたうえで辺り一帯に石灰ブン撒いた上で根こそぎにするにゃ。それもこれも『キノコと筍は相争うもの』みたいなデータが何 故 か 『ネクスト』に間違った形でインストールされてたせいにゃ。ここまでの話でなんか質問あるかにゃ? ん゛ん゛?」
 3名は暫し考えてから、以前『混沌』の方で出した調査依頼を思い出した。アレか。
「「「ありません」」」
「大変結構。希望ヶ浜のガキ共がクエストに来た折、掴まって洗脳を受けてるにゃ。こいつらも気絶させて縛って連れ帰るにゃ」
『大丈夫なの?」
「殺さないように善処するにゃ」

GMコメント

 特定シナリオとかに対するアフターアクション以上に菌類と竹の戦争を臨む戦時商人が多すぎるせいでこうなりました。責任をとって全員優先にしました。

●達成条件
・(必須)筍とツチクラゲの全滅
・『バンブーハーモニア・ケプゥーザ』全員の撃破or気絶
・(必須)上記内の希望ヶ浜パーティーの気絶(不殺フィニッシュ)

●筍とツチクラゲ
 松林でバーベキューとか焚き火をするとツチクラゲが発芽してマツタケが食えなくなるし松を枯らす、林業の天敵。土壌がアルカリ性を呈すと生育できない。石灰をブチ撒け。
 筍は取り敢えず根気強く根っこを引っこ抜いてしまえ。

●バンブーハーモニア・ケプゥーザ×20~
 『ケプゥーザ』はアルバニア語でキノコの意(耳コピ)。
 竹で武装し、装備の関節部の防御や緩衝材にツチクラゲで身を包んだ強敵共である。
 総じて能力が高く、火炎系魔術スキルを多用する。なかにはフィジカル重点の竹武器スペシャリストとかもいる。
 幸い、こいつらは竹のカタパルトを使ってこない。重装兵も竹聖兵も、いない。早期発見が奏効した。
 こればっかりは『翡翠』の内向的性質による成果である。
 でもナメてかかるとバッチバチに死人が出る。
 回復もしてくる。めんどくさい。
 なお、希望ヶ浜パーティーはうち5名。なんか毛色が違うのですぐ分かる。そもそもハーモニアではない。

●重要な備考・「不殺」について
 このシナリオに限り、以下の手順を踏んだ行動を【不殺】スキルと同等として扱います。
1.対象のHPを10%未満まで削る(HP残量はある程度肌感覚で分かるものとします)
2.「通常攻撃で」「気絶させる」ことをプレイングに明記
 これだけです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • きのたけ共生計画~バンブーハーモニア・リベンジ~完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

すあま(p3x000271)
きうりキラー
ジャック翁(p3x001649)
ポシェット(p3x002755)
このゆびとまれ
アレキサンドライト(p3x004247)
リア充ボマー
ミーナ・シルバー(p3x005003)
死神の過去
ブラワー(p3x007270)
青空へ響く声
イルシア(p3x008209)
再現性母
アルヴェール(p3x009235)
夜桜

リプレイ


「……なんでここにバンブーハーモニアまでいるんですか?」
「そういうことを望んだ連中がいたにゃ」
 『よう(´・ω・`)こそ』アレキサンドライト(p3x004247)はバンブーハーモニアの猛威を知っているらしい。『イモ食え』ぱぱにゃんこ (p3y000172)はげんなりしたあいての顔をみて、観念したように首を振った。
「いや本当。なんでこれが仮想世界にまで出張ってきてるんだよ。私は現実の方で懸念してたんだぞ……これの責任取れとか理不尽すぎね?」
「なんでこうなったんだろう。多分ボクの中身が悪いんだね。折角だし、ボクは楽しむよ!」
「理不尽かどうかはシステムが決めることだにゃ。少なくともミーは遅かれ早かれの話だったと思うんにゃ」
 『死神の過去』ミーナ・シルバー(p3x005003)の諦観と絶望に満ちた表情と、『青空へ響く声』ブラワー(p3x007270)の「悪いのは混沌の自分」的な割り切り具合を見て深く追求する気はないようだった。多分、言葉の通り遅かれ早かれバンブーハーモニアは再現されたし調査依頼は採用されたであろう。首を、じゃなかった腹を括って欲しい。
「きっのこーたけのこ、のこのこのこのこ、のっこのこー♪  おもしろい歌だねー、のっこのこー」
 『このゆびとまれ』ポシェット(p3x002755)はノリノリだった。多少の想定外など思考の外とばかりに口ずさむメロディはどこか気の抜けたそれで、なんとも言えない雰囲気を醸し出している。聡明なイレギュラーズ諸氏なら、この歌詞の裏に潜む超宇宙的な真理に気づき恐れおののくはずだ。そうに違いない。
「……ふむ。ゾンビ、か」
「森に暮らす者でありながら何という体たらく。筍にもキノコにも負けてしまうとはなさけない」
 『陰』ジャック翁(p3x001649)のどこか別ベクトルの、しかしバンブーハーモニアの本質をついた発言に一同の空気は張り詰める。掴まったら自分もああなるのか。それはまずい、と。
 『CATLUTONNY』すあま(p3x000271)は食欲に素直なので、森に現れた食料に人が負ける、という事実が理解できない。食べてしまえばよい、という考えだ。だから回収したら食べようと意気込んでいた。
「……きのこはなんか、あんまおいしそうじゃないよ」
「このキノコ食用に向かない? そんなー」
「え!? このきのこはダメなの?」
 ポシェットが釘を刺すと、すあまが落胆したように肩を落とす。ブラワーもまた、期待に膨らませて保存容器を手にして絶望の表情を見せた。まあ待て、たけのこはイケる。ツチクラゲは……食用にするに値しない。
「俺達、やっぱり関係が無いような」
「関係しかないにゃ。諦めるにゃ」
 『クルルのアバター』アルヴェール(p3x009235)は巧みに責任逃れに入ろうとしたが、ぱぱにゃんこはそれを見逃さない。即座に逃げ場を奪っていく……彼は彼で、人質となっている希望ヶ浜の面々は救う気でいるので責任逃れなんて表面上の話であった。
「そういえば私のアクセスファンタズム、『囲めます』じゃなくて『囲みます』だったから、宜しくない気がするわ!」
「なんでそんなとんでもねえモンを設定したんにゃ。なんでシステムが承認してるんにゃ。もうなにからツッコんでいいのかユーの場合情報が渋滞しすぎにゃ」
 『再現性母』イルシア(p3x008209)は足元にすがりつく『エルシア』にちらと視線を向けつつ、一瞬で興味を失ったように周囲を――翡翠の森を――睥睨した。凄まじき炎使いとして構築されたデータは、しかしこの依頼だとややもすればツチクラゲのさらなる繁茂を促しかねない。
 ぱぱにゃんこの知る中で1、2を争うアレ系幻想種が電脳世界でさらなる飛躍を遂げるなど、誰が予想しただろうか?
「……そう、これは敵燃やしごっこ……戦闘じゃなくてただの火遊びだからセーフだわ!」
「どこの頭お花畑ブルーブラッドみたいな発想にゃ。そこまで脳天気な解釈初めて聞いたにゃ。でもそれでいいなら勝手にするにゃ……」
 イルシアの独自すぎる解釈は、戦闘行為と定義しないことにより能力の発動をセーブすることを結論づけた。……多分、本人の気持ち次第だと思う。
「ところでスコップとかある?」
「持ってきてるにゃ。石灰もそこに25kg袋で10ほど」
「……どうやって持ってきたんですか?」
「乙女の秘密にゃ」
 すあまの要請に応じるように、ぱぱにゃんこは前足ですぐそばを示す。万全の準備に涙が出そうだが、アレキサンドライトの疑問も当然か。追求は無粋だ。
「さあ、救出作戦、頑張ろうか!」
「あたしも楽しむよー、みんなも楽しもー!」
「……ここで片付けないと後が面倒だしな」
 アルヴェールが思考を切り替え、ポシェットがお気楽に声を張る様子に、ミーナは観念したように肩を落とす。いくらなんでも理不尽だが、依頼は遂行せねばならない。……彼女はこういうところで真面目なので与太ごとの割を食うのである。南無三。

●バンブーハーモニア侵攻計画~ヤツ不在~
「筍と茸の完全駆除、竹ハーモニアの撃破、希望ヶ浜の学生達の救助……やる事が、やる事が多い!」
「まずノコノコしてる人何とかして、それから筍掘りとキノコ撲滅かなー……足止めとかできる人いる?」
「それじゃー、あたしがあの人達と遊んでくるねー!」
 アルヴェールが改めて状況を整理し、その混沌ぶりに頭を抱える。すあまは指折り手順を整理し、仲間に問いかける……と、ポシェットが何を思ったか、敵陣へと突っ込んでおもむろに木の幹に体を押し付けた。アノ構えは……!
「だーるーまーさんが、ころんだっ!」
「ノコッ」
「タケノッコー!?」
 そう、『だるまさんがころんだ』である!
 ただの遊戯にみせかけ、それに乗った者達の動きを強烈に鈍らせたのだ! これにはバンブーハーモニアもひとたまりもなし!
「皆ちょっと離れてな! 近寄ると危ないぜ!」
 続けざまに、ポシェットの『遊戯』に参加しなかった者達めがけてミーナは大戦斧を振るう。外見に違わぬ派手な戦いぶりは、初手一発で複数のバンブーハーモニアの動きを大きく乱れさせた。
「すごいすごい、それじゃあわたしも殴っていこう!」
「成程、豪快な戦いぶり……当方の退屈なそれで倒れるのが申し訳なく思えてくるのである」
 すあまは2人の豪快な初撃に便乗するように身一つで飛び出すと、爪をむき出しにして飛びかかる。あちらこちらに跳び回るその姿は、『ラダ』の手を煩わせずとも十二分に戦えることを示している。
 他方、ジャック翁は気配を殺し、じゃいあんとつまようじを手に弱った敵へと突き刺していく。『ネクスト』ゆえに敵の情報はある程度詳らかにされ、赤く光ったHPゲージが狙い目なのがよくわかる。……先ず1人。洗脳個体を気絶させると、力の限り遠くにぶん投げる。
「お前ら全員俺の爆弾の餌食にしてやんのですよ!! 安心しろ爆弾だけどみねうちだ、意味わからんけど」
「ゲームだとよくある光景にゃ。破片が頚椎ぶっ叩いて気絶させてるヤツにゃ多分」
 アレキサンドライトが爆弾をブン投げ、敵陣中央をふっとばす。HPゲージが一斉にガッツリ減るが、ごく一部減りがすごく鈍い個体がいる。……重装兵には及ばずとも、『壁役』がいるのか。
「ノコ……ノコ……」
「こっちだよ、デカブツ!」
 巨大な武器を構えて重厚に前進するそれに対峙するはアルヴェール。初手の猛攻を凌いだ相手が仲間を襲うより早く、彼は一陣の風を伴って斧を振るい、正面から得物をかち合わせる。その一合に何を感じ取ったか、壁役はアルヴェールに向け、理性と狂気が相半ばする視線を投げかけた。
(どうせ敵も炎を使って来るなら、私も火を遠慮するより、戦t…火遊び時間を短縮する方がツチクラゲの発芽を抑えられるでしょうね)
「エルシア(私)、遠慮は不要よ! まだ余裕そうな相手に火炎魔法を叩き込みましょう!」
 イルシアは足元の子供(自分)にそう告げると、アルヴェールと対峙する壁役と、それ以外の村人達に次々と炎を叩き込む。
 足元にすがりつくのは在りし日の自分の写し身で、母(じぶん)に倣って精霊に祈る姿は『自分とわかっていても』保護欲を唆られる。この幸せがもう少し続けばいい。相手の攻撃を受けないように、慎重に。
「ボクの歌で癒してあげる♪ みんなに届け-!」
 イルシアがどこか倒錯した感情を抱く傍らで、ブラワーは男ながらにフリフリのアイドル仕草で歌い踊り、仲間たちへと癒しの歌を届けていく。その一挙一動すなわち治療であり、希望であり、賦活。側にいる者も、離れている者も、その癒やしの範疇だ。
 なお、手が空けば石灰を柄杓(アルヴェール用意)でブン撒いていくあたり抜かりがない。可愛いだけじゃアイドルは務まらんのである。
 ……とはいえ、ぱぱにゃんことブラワーの2人がかりでもバンブーハーモニアの精鋭たち相手は骨が折れる。
 体力がぐんぐん減っていくのは前衛の定めというやつだが、すあまは対抗策を持っていた。……捕食である。
「ノコォーッ!?」
「んー、特に味しないしぼそぼそしてるしいまいちだなー。本当に食用向きじゃないー……」
 関節部の緩衝材になっていたツチクラゲを噛みちぎられ、バンブーハーモニアは悲鳴を上げる。こいつら徹頭徹尾怪人みたいな声してんな。
 すあまは何度か咀嚼するとすごく嫌そうな顔で嚥下し、そのまま動揺する相手を殴り倒した。まずくてもぺってしない辺りマナーがなっている。
「しかし、違和感は拭えぬ。竹林に住む幻想種とはな……チッ」
「何年かに一回こういう連中は出てくるにゃ、『混沌』でも。そりゃ反映されるよにゃって話にゃ」
 動揺の色を隠せないジャック翁の一瞬の動揺は、それに鋭く感づいた個体群の襲来を招く。治癒を行いつつ退路を誘導するぱぱにゃんこの声に滲んだ濃い諦めの色に、アレキサンドライトは「ねこかわいい」以上に、闇の深さを感じ取ったりとらなかったり。
「たーっち、あなたが鬼だよー」
「え、私が鬼? ……ああ、なるほど」
 ポシェットの「タッチ」に、ミーナは一瞬わけがわからぬという表情を見せる。だが、裡から湧き出す力にすぐに得心がいったのだろう、即座に次の敵へと飛びかかっていく。
 イレギュラーズの猛攻は、徐々にバンブーハーモニア陣営を押し込んでいく。その中で巻き込まれた希望ヶ浜生徒を何人か救出できたが、どうやらまだ全員ではないらしい。……そして。
「おのれ部外者、我等の繁栄を阻むのなら容赦せんぞ……!」
「「あいつ混沌で見たわ」」
 知らず、何名かの声がハモる。そこに立っていた武装バンブーハーモニアの顔を、彼等は知っている。
 先端に筍を備え付けたその槍だか杖だかわかんねー装備は、見間違えようもない。
「貴様等の狼藉は他の連中が容認してもこのセッツベル、容赦はせん! 行くぞ狼藉者ども! ウオォオオーーッッ!」
 セッツベルの声に合わせ波を打って襲いかかるバンブーハーモニア! 迎え撃つイレギュラーズ! 果たしてこの戦いの趨勢はどちらに傾くのか――!!

●はい。
「それじゃあ『遊び場』の周りに石灰を撒いていきましょう!」
 イルシアの声に、足元のエルシア含め複数のメンバーが元気よく『はーい!』と応じる。幼稚園かな?
 セッツベルを含むバンブーハーモニア達と救出対象は荒縄でふん縛られ、目を回している……奇跡的に死者はおらず、その全員が筍と竹とツチクラゲをひっぺがされてほぼ素っ裸だ。是非もなし。
「それにしても、こちらの深緑……じゃなかった、翡翠は随分と雰囲気が違うね?」
「竹林に棲み、火を扱う……幻想的ではあるな……」
 アルヴェールは鍬を筍の根本に突き立てながら、周囲を見て神妙な面持ちになる。直後、唐突に聞こえたジャック翁の声にびくりと体をすくませるが、その拍子に筍が地下茎含めて引っこ抜けた。
「ふむふむ……かぜですね、バンソウコウ出しときます、おだいじに」
「な、なんでワシ等を助ける……?」
 ポシェットは「おいしゃさんごっこ」でバンブーハーモニアと希望ヶ浜の学生たちを治療する。正気に戻った彼等は、心底不思議そうに彼女に問いかけた。「だって、みんなで片付けたほうがはやいよ?」ときょとんとした顔で返されれば、流石に反駁する言葉を持たぬのだろうが……。
「がんばれークエストクリアしたら筍ご飯だぞー! 石灰撒くのたのしー!」
 すあまはスコップや柄杓を駆使して辺り構わず石灰を振りまいていく。黒いツチクラゲの上に降りかかる石灰の白は、周囲の緑とあわせて見事なコントラストを演出する。インテリアなら悪くないけど自然だからなあ。
「めんどくせぇけど……とりあえず筍は全部引っこ抜けばいいんだよな」
「ボクも調理するから筍料理でパーティーがしたい!」
 ミーナは地道な作業よりも派手な殲滅のほうが性に合っている。が、それだと筍の排除が成立しない。クワを持ってザクザク掘り返す姿は、その姿の派手さに反して地味だった。傍らにいるブラワーがものすごく楽しそうにやっているのも、非常にアレだが。
「ああ……筍なら茹でるのもいいかもしれないわね。全員でやっても長丁場になるから、先にご飯にしましょうか?」
 イルシアは特に汚染のひどい村の中心に石灰を撒くと、一気に炎であぶり出す。石灰を加熱させて強アルカリの生石灰に変え、以てその加熱性でツチクラゲを変性させ繁殖力をこう……アレしているのである。その傍らで筍をより分けて皮を剥がす徹底ぶり。まあ地下茎植物の排除はやたら時間かかるから、先に食事は正しい選択だ。
「誰かご飯作って!」
「ボクもご飯つくるよ!」
「……儂等も助太刀致そう。恩義があるゆえに」
(助太刀もなにも手伝ってもらわないと終わらないんですけどね……?)
 すあまの言葉に元気に応じたブラワー、そしてそれに便乗する(元)バンブーハーモニア一同を見て、アレキサンドライトはおもった。こいつら、事態を悪化させた割に態度がでかい……!

成否

成功

MVP

ポシェット(p3x002755)
このゆびとまれ

状態異常

ジャック翁(p3x001649)[死亡]
ミーナ・シルバー(p3x005003)[死亡]
死神の過去

あとがき

 どの世界線でもろくな目に合わないセッツベルとかいう幻想種。

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