シナリオ詳細
ホシを守る者たち
オープニング
●ネクストと影
平和を謳歌するジャスティス聖教国。通称『正義』。
かつては思想弾圧など様々な問題に晒されていたこの国も、シェアキムやアストリア、エルベルトやシリウスといった有能な政治家たちによって暮らしやすい国へと変わっていた。
「しかしながら、すべての問題が解決したとは言えません。
邪教徒たちとの戦いも、我々には残されているのです。
特に昨今……『ロード』と呼ばれる要注意団体によって生成された異常な人型実態および改変能力者たちによる被害報告が跡を絶ちません」
演説する神父の様子を眺めながら、ロード(p3x000788)とアイ(p3x000277)はキャンディを口の中で転がしていた。
レモンキャンディの甘みとすこしざらっとした舌触り。
神父の声は広い講堂のなかをよく響き、見上げてみれば美しい星と天使を描いた天井画があった。
「おやおや、偶然だネ? ロードと『ロード』、同じ名前だ」
「さて、本当に偶然かな……」
二人はベンチを立つと、まだ話を続ける神父に背を向け講堂を出た。
さしこむ日差しの中でスマホを取り出すと、画面にテキストが流れていく。
――QUEST:異常実体『1体』以上の撃破。発生ポイントは――
●裏ディメンション
正義国に存在する赤翼教団アジト跡地。かつては邪教が魔を崇拝していた拠点であったがシリウス率いる騎士団の見事な襲撃によって壊滅に成功。
そのなかで異空間に繋がる扉があることが判明し、調査が行われている。
異空間では要注意団体『ロード』によって生成された異常実体が多数存在しており立ち入りは固く禁じられている。
「……というのが、ここ『ネクスト』での話だ」
ロードはスマホをかざして肩をすくめた。
ネクスト。練達はセフィロトにて作られた電脳仮想世界。もうひとつの混沌。
混沌法則研究のために作られたこの仮想世界には多数の研究員がアバターを使いログインしていたが、不明なバグによって彼らはROO内のモンスターや被害者NPCに姿を変え、意識ごと囚われてしまったという。
彼らの救出およびROO内調査のため、同じくアバターを作り介入(ログイン)したランドウェラや零たちは、この度発見された研究員の救出にかり出されていたのだった。
「救出といってもネ、研究員は異空間内の異常実態に姿を変えてるらしいから……結局はこいつらのうち一人でも倒さないと救出フラグが回収できないらしいんダ」
このあたりがROOのROOたるゆえん。もしくはMMOらしさというべきだろうか。
特定の異常存在を撃破することは、囚われた研究員を助け出すこととイコールである、という。
「まあ、この空間内にどんな存在がいるか全然分かってないからネ。僕らがメンバーに選ばれたってわけ」
「まあ、能力は調査向き……だな」
見たものの情報を読みとれるアイ、見たものがNPCがアバターかを判別できるロード。異常な存在を見分けるには丁度良いアクセスファンタズムだ。
彼らは赤翼教団アジト跡地の前に立つと、『準備はいいかな?』と言って振り返った。
「この先、命の保証はないヨ?」
- ホシを守る者たち完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年05月19日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●この先に命の保証はなし
複雑に入り組んだ、街とも荒野とも、海とも空ともとれる摩訶不思議な空間があった。
『R.O.O tester?』アイ(p3x000277)が取り出したスマホには道順がメモされているが、それはせいぜい異常存在が観測できるポイントまでのおおまかな道標にすぎない。目的地付近で案内をやめるカーナビのような頼りなさだ。
「あるとは思ってたけド……まさかこんなに早く八界の痕跡を見れるとはネ。いや良いサ、その為に準備してたんだかラネ!」
「それってつまり、旅人の世界がネクストにも反映されてるってことだよね」
アイの肩の上に座った『妖精勇者』セララ(p3x000273)が、足をぶらつかせながら通常サイズのドーナツを小刻みにかじっている。
セララの言うように、ここネクストには旅人世界の風景や人物が、あたかもこの世界にあって然るべきであるかのように存在していることがある。
当然混沌世界にそんな侵食がありえるはずはなく、ROO内のバグが主要因なのだが……。
「厳密には、僕らの肉体とインタビューから作成された異世界の再現データがネクストに混入したとみるべきなんダ」
「それって『私を見つけて』ってメッセージとも関係ある?」
「さあ……ネ」
腰に下げた刀を指先でトンとたたき、アイは足を止めた。
二階から先が霞んで消えたビルの奥に、開いたままのエレベーターがある。
セララは移動及び操作補助用に『嵐の聖騎士』を召喚すると、エレベーターの『開』にあたるボタンを押すように命令した。
「それじゃ、いこっか!」
それはなんの変哲もないテナントビルに見えた。
21世紀の標準的地球世界でいえば、昭和末期にたくさん建てられたビルに似ている。
「いやさぁ、これ本当に『バグ』としか言いようがない場所だよな……。
ちょっとβテストの報告書とか読ませてもらったけど、テスト段階でこんなこと起きるモンなのか?」
『結界師のひとりしばい』カイト(p3x007128)は肩をすくめ、ビルの正面階段を登り始めた。
狭苦しい階段だが、およそ三階分ほど登ると階段が塞がれ、かわりにドアが半開きになっている。
後ろに続く『Dirty Angel』ニアサー(p3x000323)へ振り返ると、ニアサーはこくんと頷いて刀に手をかけた。
カイトと入れ替わり、扉を開く。
と、外観とは明らかに異なる広さのフロアが広がっていた。
テナントビルというより、企業ビルに近い。
カイトが『結界術・壁』を用いて見えない壁を生成。ドアの前に設置しバックアタック対策とする一方、ニアサーは刀にてをかけたままフロアへ入っていく。
「このニアサーにそんな便利なアクセスファンタズムはないよ。だからといって後れを取る気はないから」
二人は頷きあい、進んでいく。テナントビルらしさはどこへやら、平成中期頃によく建てられたような企業ビルの様相へと変わっている。会議室だかなんだか部屋が個別に分かれ、ドアもあちこちにある。
「これを一つ一つ開けて確かめればいいんだよね……」
一方その頃、『ホシガリ』ロード(p3x000788)は水たまりばかりの草原に立っていた。
「僕専用のスペシャルステージってわけじゃないよなぁ。
おおっと僕じゃなかった今は俺だ。
新しく誰かになるというのはなかなか難しい……戦闘も難しそうだ」
ロードは、もといそのアバター主は自分と異なる容姿のアバターを作り、それにみあった演技をすることにしていた。トントンと喉のあたりを叩いて気持ちを整え、『俺はロード』と三回ほど繰り返す。
「できれば安全に行きたいな……」
ロードが水たまりをあるき出した頃、『光と影』Licht(p3x000837)は住宅街にさしかかっていた。
古くも新しくもない住宅街……という前情報は正しかったようで、Lichtに(もといそのアバター主に)とって馴染みのある町並みだった。
おかしなことといえば、あちこちに巨大なタンポポやゼンマイといった植物が生えていることだろうか。
町にひとけはなく、かといって廃墟外という雰囲気もない。ごく普通の昼間の街から、人だけ急にいなくなったように、それは見えた。
「なんだかふわふわする感じだね。まだ考えに身体が追いついていないというか。
こんなリアルなゲームプレイするなんて珍しい機会中々味わえないだろう。
今回は小手調べも兼ねて……"攻略"させて貰う」
『闇のしらべ』ルルリ(p3x001317)が気づいたときには電車に揺られていた。
車両の両サイドで向かい合うように座席が並んだタイプの列車で、車両間をつなぐ扉は奇妙に曇って向こう側は見えない。
外の風景も、なぜだか深い霧がかかったように埋もれていた。
だが最も不思議なのは、自分がいつから電車にのっていたのか全くわからないということだ。つい一秒前までアスファルトで舗装され曲がりくねった道を歩いていたはずなのに。目をつぶったわけでも眠ったわけでもなく、唐突にこの状態になっていたのだ。
(異常存在……ね。気味のわるいものが出てくるようで楽しみなのだわ。こんな雰囲気の中仕事ができるなんてなかなかないのよ。
研究員を助けるのが目的だけど……少しくらい楽しんでもバチはあたらないのだわ……)
「なんだか行先が不思議な場所ばかりだね?
ちょっと希譚めいてるというか……やっぱりここも練達の影響がある世界なんだなって思うよ。さて、何が出てくるのか。楽しみだね」
ルルリと考え方は同じだったようで、『可能性の分岐点』スイッチ(p3x008566)も深く息を吸って座席から立ち上がった。
がたんごとんという定期的な揺れがやがてやみ、つり革の揺れが弱まっていく。
ちょっと独特なブレーキの感覚に体をすこしよろけさせながらも、スイッチたちを迎えるように……ないしは追い出そうとでもするように、列車の扉が自動で開いた。
●無限廃墟ビル
「ま、実際にいるし殺せるならさほど怖くもねーか」
ニアサーにOKのハンドサインを出し、ニアサーは頷いて扉に手をかける。ドアノブをひねるタイプの部屋側内開きドア。けるように扉を開き、同時に抜刀した。
部屋のなかでは座ってこちらに背を向けているおじさんがいたが、構わず斬りつける。
と同時に悲鳴があがり、振り向くと草刈り鎌をもった女性が立ち上がっていた。
「カイトさん!」
「もうやってる」
ニアサーの反転と同時にカイトはスクロール式の空母デッキからヒトガタ変換したミニチュア攻撃機を3機発艦。敵を包囲するように飛び回りながら射撃を打ち込み、穴だらけにして撃破した。
「対して強くはねーな。……そのぶんかなり虱潰しって感じになりそーだけど、しかたねーよな」
「? もう帰るんじゃないの?」
刀をおさめたニアサーが振り返り、『一体以上撃破すれば依頼は達成されるんでしょ?』と付け加えた。
「まあ、そうっちゃそうだが……囚われた研究員をもっと救えるかもだろ」
そこから二人は順調にフロアを進み、そしてクリアリングしていった。
見つけ次第即殺すというニアサーの手際と、何か合ったときのためにと壁を設置して回るカイト。
「そういえばその壁って何枚までいけるの?」
「制限は定まってねーけど、無限ってこともないだろ。そういうチートを許容する世界にも見えねー」
ニアサーはフロアのクリアリングを一定の段階から効率化し、走ってドアを開けまた走ってを繰り返すようになっていた。
だいぶしんどい運動である。アバターなのに。いや、もともとそういうモンなのかもしれない。
フロアのクリアリングを済ませ、次のフロアへと移動する。
と。
――がちゃり、と扉が開いた。部屋の中から見知らぬ男性が4~5人現れ、こちらをちらりと見た途端走って別のドアを次々に開け始める。
「やべ……ッ!」
ドアを相手も開くことができるということを、カイトはうっかり忘れていた……というか忘れて然るべきである。こんな状況なら。
そして最悪なことに、下のフロアから大量に『壁』が破壊される音が連続して聞こえてきた。
「敵が再生成されてる、ニアサー――!」
「さっさと死ね! 今ここで死ぬんだよあなたは!」
ニアサーは即断即決で敵へと突進。風を伴って鮮やかな連撃を浴びせると、敵をたちまち分割。更に何人か斬り殺した上で窓めがけて走る。
「それだ!」
カイトもまた走り出し、ミニチュア攻撃機で窓へ攻撃。ニアサーを抱えて窓をタックルで突き破った。
●植物住宅街
サッカーボールがはずんで、石畳の十字路を横切っていく。
剣に手をかけて塀に背をつけ、そっと十字路の先を覗き込むLicht。
あったのは、奇妙にねじ曲がった植物だけだった。
「驚かせてくれるな……」
ため息をついて、Lichtは再び探索を続けた。
といってもこの住宅街にはひとっこ一人見当たらない。生活感はあるし、なんならついさっきまで誰かが普通に暮らしていたような形跡だってあった。
「急にさらわれたとか殺されたとか……いや、だとしたらもっと荒れてて然るべきか」
ひとりごとを言いながら、適当な民家にあたりをつけて玄関の探索を始めた。
まずはドアノブにてをかけ、まわす。
鍵は……どうやらかかっていないようだ。
待ち伏せを警戒しつつゆっくりと開いていく。開いたその先には。
森があった。
黒い森だ。
なんの気配もしない静かな夜に沈んだ森。
しかし、ずっと誰かが自分を見ている気がした。
風にさわぐ葉の音が何かを錯覚させ、背筋にぞわりと冷たいものがはしる。
まさか。
Lichtは振り返り。
そこには大量の植物があった。
大小様々な植物がLichtの背後1mの距離へ迫り、囲み、全員がこちらを『見ていた』。
「――!」
Lichtはやっと気づいた。最初からそこにあったのだ。最初から追いかけてきていたのだ。異常存在は――。
「こいつらが、『そう』か!」
Lichtは激しい跳躍と二段ジャンプ。更に壁を蹴って飛び回ると、植物たちを次々に切り裂いていく。更に屋根へとよじのぼると、屋根伝いにとびながら住宅街からの脱出をはかった。
「長居は無用、だな」
●不可思議無人駅
列車からおりるとそこは夜更けた駅のホームだった。
ルルリとスイッチに『駅のホーム』の普遍的イメージがあったわけではないが、コンクリートで舗装された乗り降り場と、鉄柱によって支えられたトタン屋根と、前後を含めた駅名が書かれるべき看板がそこにはあった。
「この駅の名前……なのかな。なんて書いてあるのか読めない」
混沌肯定のあるこの世界、こういうことは非常にまれだがスイッチには看板に書いてある文字が読めなかった。
よく見回してみれば、あちこちの柱に張り付いている看板の文字もまた読むことができなかった。
そしてやがて、夜闇の中にぼんやりと浮かぶように、明滅するライトに照らし出されるように、何人かの人影が見えた。
足音を殺したまま、サッと物陰に隠れるスイッチ。
同じく身を隠したルルリは『暗キモノ』を召喚し、不明な人間(?)たちに話しかけるように命令した。
「とりあえず様子見よ。怪しい行動をしたやつを倒せばいい」
「正直、相手の戦力がわからないからそういう意味でも様子見だけどね……」
『暗キモノ』はそれを測るモノサシにはならないだろうが……。
はじめに『暗キモノ』が『顔が真っ黒に陰った男子小学生』に話しかけるも、聞き取れない不明な音声を発するのみで要領を得ない。
『胸部と頭部に大きな穴が開いたサラリーマン』や『解読不能な言語でよく喋る青年』も同じだった。
『大きなゴミ袋に入った肥満体の成人男性』に至っては、話しかける前からぶつぶつとなにか不明な音声を口から垂れ流している。
不思議なのは、彼らはこちらからの接触に応じているようであまり応じていないということ。駅のホームのなんでもないような場所に立って、なんでもないような場所に頭を向け、話しかけても微動だにしない。
アクセスの仕方がわるいのか? と、物陰から出ようとした……その瞬間。
「あなたはだれ」
背後で声がした。
ルルリとスイッチが同時に振り返ると誰もいない。
暗闇とホームがあるだけだ。
一体なんだと思いながらもう一度前をむき直すと。
さっきまで見ていた全員が至近距離に立ってこちらの顔を覗き込んでいた。
「このっ!」
素早くハイキックを浴びせ、飛び退くルルリ。
「電車の中へ! 早く!」
「唐突だね、本当に」
スイッチは背面スラスターを起動。
手を伸ばしすがりついてくるサラリーマンめいた異常存在の腕を切り裂くと、ルルリを抱えたまま強引に飛行。列車の中へと飛び込み二人して座席へと激突した。直後閉まる扉。窓をばんばんと叩く異常存在たち。
列車はゆっくりと動き出し――。
●雨上がりの草原
背の高い草の間を、目をつぶったまま一直線に飛んでいく。
ロードは収束槍バル・ベラスを顕現させて握り込むと、急速なターンと同時に『敵』の背後より突き立てた。
『命彩』能力によって見えた『白』の存在がぐらりと傾き、水たまりへと倒れ伏す。
動かなくなったのを確認すると、ロードは息をついて着地した。
「案外、なんとかなったな……」
異常存在の出現ポイントとして報告されていた『雨上がりの草原』。
それなりに探索を続けたが、遭遇したのはこの一体きりだった。
水たまりの中心でうつむき、意味不明な言葉を続ける存在。とはいえ、もう倒してしまったが。
「水たまりの下になにかあるのか? 特になにもないように見えるけど……」
試しに槍でぐりぐりとやってみたが、不思議なことにほってもほってももとに戻ってしまう。
この空間そのものが、この形を維持しようとしているようにすら思える。
「そんな所、ほってもなにも出ないぞ」
「わかってるけど……」
答えかけて、振り向いた。
『真っ赤』に染まった存在が、自分に手を伸ばしている。
とっさに槍で攻撃を仕掛け――。
るよりも早く、ロードの顔面を赤い手が覆った。視界も、意識も、なにもかもが塗りつぶされていく。
「ッ……!」
●虚数階エレベーター
一回目に訪れたフロアはなぜかワンルームマンションの部屋に直接つながっており、壁には『服を脱ぎ、体を洗い流して、この蜜を塗ってお待ち下さい』と書いてあった。
どう見ても罠なので引き返し二回目にトライ。
すると……。
「なんだろ、ここ? 希望ヶ浜っぽいね」
「…………」
学校の廊下に、見えた。
アイは沈黙しながら歩き、教室の扉前に立って札を見上げる。
「どうしたの?」
「いや……」
扉の窓から覗き込むと黒板が見えた。端には『日直 上谷』とチョークで書いてある。
「知ってる場所だ。俺……ンっ、僕はここにいた」
扉を開くと、顔にモザイクのかかった生徒たちが一斉にこちらを振り向いた。
「■■!」
誰かが叫ぶと、一斉に立ち上がってシャーペンやハサミを握りしめる。
戦闘の気配を察したアイは飛び退き、セララと共にエレベーターへと走る。
それを追って教室から溢れ出た生徒たちが迫るが。二人は急いでエレベーターに飛び込み『閉』ボタンを連打。
しまりゆく扉に両手を突っ込んでこじあけようとした生徒が現れたが――
「ギガセララブレイク!」
セララはすかさずリョコクッキーの剣で撃退した。
がこんと閉まる扉。
安堵が広がり、そして、ブザー音と共に再び扉が開いた。
吹き込む生ぬるい風。
くらいくらい通路の先に見える、女性。
黒いセーラー服をきた茶髪の女性に見えた。
虹色の髪にも見えた。
彼女は手を降って、早足で笑いながらこちらへやってくるが。
顔には乱れたモザイクがかかっていた。
「開くボタンおしておいて、騎士!」
セララはぴょんと飛び出すと飛行状態へシフト。女性めがけて必殺のセララブレイクを繰り出――。
「■■■■■■?」
がしり、とセララが鷲掴みにされた。
途端にセララの体がぱきぱきとモザイクに侵食されはじめ、周囲の風景にもぴきぴきとヒビが入り始めた。
「セララ!」
アイの判断はある意味早かった。
タックルでセララを解放させると、女性に組み付いて近くの窓を刀で叩き割る。
「死ぬときは一緒だゼ……ッ!」
そして、女性を抱えたまま野外へと飛び出した。
ひび割れた空へと自分もろとも『転落』していく。
そのさなか。
「縺セ縺滉シ壹∴縺溘?」
と、聞こえた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
クエスト完了
メンバー8名のうち6名の帰還を確認。2名はディスカウントを増やしサクラメントにて発見されました。
GMコメント
※重要な備考
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
●『異常存在の撃破』
皆さんは裏空間にて異常存在を発見、撃破しなければなりません。
といっても、五感をブーストしたり高い空から見渡したり草花に尋ねたりしてもほぼほぼ無意味なので、そういう存在がいそうなスポットへ手分けして行ってみるのが良いでしょう。
スポットは下記の通りです。何が出てくるかわかりませんが、大抵は自力で手に負えないヤバいもんと戦うことになるでしょう。
分散パターンは2チームでも4チームでも構いません。最低でも一体だけでも撃破できればいいので、好きなようにチーム分けを行ってください。
ここで全員一塊になって進まず『チーム分けを』と述べたのは、探索には実質的な時間制限があるためです。
以上空間内には『ロード』という正体不明の人型実態が巡回しており、これに発見されるととんでもない強制力で抹殺されてしまいます。これに誰かがやられてしまっても大丈夫なように、チームをわけて広く探索、見つけ次第即戦闘! といったプランが安全となるのです。
●スポット
・雨上がりの草原
爽やかな風と草のかおりが吹き抜ける美しい草原です。
身体に風を感じるのになぜだか背の高い雑草は微動だにしていません。
すねまで浸るほどの水たまりがあちこちにあります。あるんだけど、水たまりとそうでない場所の境目がなぜか不明です。
精神干渉系の異常存在の発生が報告されています。
割と一撃で窮地に陥るタイプの存在が現れやすいので、覚悟して乗り込みましょう。
・植物住宅街
巨大なタンポポやゼンマイが道ばたにはえている住宅街です。
見たところ古くも新しくもない普通の住宅街ですが、全くの無人であるにも関わらずつい一秒前まで人々が普通に生活していたような痕跡があります。
見るたびに植物の位置が変わっていたり、植物に対して奇妙な親近感や感情移入を起こすことがあるそうです。
ここでは畏怖を用いてこちらに接触をはかる異常存在が報告されています。
自分にとって尊敬(畏怖)の対象や、絶対的に怖い(畏怖)の対象を思い浮かべておくとプレイングがスムーズです。
・無限廃墟ビル
どこまで登っても廃墟がひろがっている雑居ビルです。
ずーっと昔に何かしらの用途で使われていたようなフロアがあり、階段でのみ移動が可能です。
雑にクリアリングしながらどんどん階を上っていくのがお勧めの探索方法です。
ためしに廃墟の雑居ビルを散策している自分を想像してみてください。
ドアをあちこち開いて、開いたドアのすぐそこで、貴方を見ている知らない人がいたらそれが異常存在です。
・虚数階エレベーター
ボタン配置が常に入れ替わり続けるエレベーターです。
階層をしめす数字も解読不能なので、適当に押して行くしかありません。
到着した階層を散策し、異常存在がいないかどうかを確かめましょう。
何がおこるか、どんな存在が現れるかは不明です。
そもそも報告されている情報が少なすぎるようです。唯一それらしいものとしては……三回目に到着したフロアでは遠くから女性が早足でエレベーターへ迫ってくるが絶対に乗せてはならないとだけ言われています。
・不可思議無人駅
この駅へ向かっていると、その方法や過程にかかわらず必ず電車に乗った状態で駅に到着します。どの時点でどう列車搭乗状態に切り替わるのかは不明です。そしてどうやってそこへ来たのかも分からないため、帰る方法もわかりません。
電車を降りると以下の存在と遭遇する可能性があります。
☆顔が真っ黒に陰った男子小学生
☆首からさきが無い犬を抱い身なりのいいた成人女性
☆胸部と頭部に大きな穴が開いたサラリーマン
☆大きなゴミ袋に入った肥満体の成人男性
☆解読不能な言語でよく喋る青年
遘√r隕九▽縺代※
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