PandoraPartyProject

シナリオ詳細

アフター! ガールズ! カーニバルっすよ!

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●砂漠の真ん中でもハッピーな生き様を
「オリオンちゃーん! ひっさしぶりぃー!」
 アーリア・スピリッツ(p3p004400)が豊かな胸を弾ませながら手を振り、駆けてゆく。
 同じく手を振るミニスカートにサンバイザーの女性オリオン。
 二人はかかげた両手でハイタッチすると、そのままがしっと抱き合った。
「小悪党を縛り上げた時以来ねぇ、アーリア! 元気してた?」
 ハグから身体をはなし、かくんと首をかしげる。
 ブロンド髪を豊満な谷間に垂らした褐色の美女。格好はレースクイーンのごときスポーティーでフェティッシュなものだが、ラサの活気ある風土とさんさんと輝く太陽と彼女の陽気な人柄がそのスタイルをマッチさせていた。
 そんな風景を、プシュっとあけた缶飲料片手に眺める黒髪女性。
 スリーピースサインの描かれたベースボール式キャップの下で、ふああとけだるそうにあくびをする。ティアドロップ型サングラスをしているせいで表情は読めないが、ラフなシャツとダメージジーンズという組み合わせもあって、全身からどこかアンニュイな空気が醸されている。
「マーダー、アタシらもあれやる?」
「やりてえの?」
「べつに」
 缶飲料をごくごくと飲み下し、途中で眞田(p3p008414)に『ン』と言って渡す。ソーダと名乗り、ラサ・ネフェルストでDJをしている女性である。
 缶を一口のむと、レモンとライムの炭酸飲料だった。
 フウ、と息をつく眞田。
「で? 俺らに頼みたい仕事ってなに?」

 石油王、というやつはラサにもやっぱりいるらしくそんな中の一人『札束の雨』ことドゥアブ氏は使い切れないほどの金をまき散らしながら日々楽しく、しかしどこか寂しく暮らしているという。
「私達ね、ドィアブさんのパーティーにお呼ばれしたの。まあなにせ? 接客の? プロ? ですからぁ!?」
 ラサにあるクラブの一室。金髪をふわっと払ってポーズをとってみせるオリオンと、その脇でソファに腰掛けて自分の爪をいじっているソーダ。
「この前ラサで色宝目当てにヤンチャしてた連中を撃退した噂、あったでしょ。あれ、伝わったんだって。別にアタシはどこでも、箱コンさえあればヤれるけど……」
 そう言って指さしたのは分厚いノートパソコンめいたDJコントローラー。どうやらミキサー一体型かつ電源不要の品らしい。かなり魔法チックである。
「逆に、アタシとコレがなきゃなんにも始まらないでしょ」
 煙草に火をつけ、口にくわえるソーダ。
 『で?』とばかりに首をかしげた眞田に、あえてもったいつけるように黙ると、煙を細く吐いてから囁くように言った。
「会場までアタシをまもって。オウジサマ?」

●護衛と旅と愉快な道中
 こうして、ネフェルストの女性たちを護衛しドゥアブ氏の土地……というかドゥアブ氏が所有する街へと向かうことになった一行。
 道中現れるモンスターから彼女たちを護って戦ったり、道中退屈しないよう愉快に過ごしたり、到着した先でドゥアブ氏の開くクラブパーティーで騒いだり。
 そんなお仕事が、あなたへとまいこんだ。

GMコメント

 このシナリオは『戦闘パート』『道中パート』『パーティーパート』の三つに分かれます

●戦闘パート
 道中モンスターの発生エリアを通るため、安全な馬車に女性たちを乗せて現場を突っ切ります。
 オオサソリやスナアルキ、ミラージュといった複数種のモンスターが現れますが、これらを倒したり追い払ったりしながら馬車を護衛してください。
・オオサソリ:巨大な蠍。尻尾の針に毒性がある。この辺では一般的。
・スナアルキ:砂漠の砂が突如人型に凝固するモンスター。砂漠で息絶えた者たちの怨霊とも言われる。しかし腕や頭はなく、砂粒を剣や拳にかえて襲いかかってくる
・ミラージュ:砂漠に忘れられた精霊たちの恋心が具現化したと言われるモンスター。幻が踊るように現れ、抱きつくように心へ直接攻撃を仕掛けてくる。

●道中パート
 旅は一泊二日。夜は砂漠にテントをたてて野営することになります。
 すぐに寝てしまうには砂漠の夜は冷たすぎるので、たき火を囲んで歌ったり踊ったりお酒を飲んだりして愉しみましょう。
 心が温まればきっとよく眠れるはずです。

●パーティーパート
 ドゥアブ氏の街についたら早速パーティーに参加します。
 『札束の雨』ことドゥアブ氏は大金持ちで、ときおり人を沢山招いてはパーティーを催します。飛び入り参加も歓迎しており、招待したホストであるオリオンやソーダたちの護衛である皆さんも快くパーティーにむかえてくれます。お金は取りません。もういらないから。
 今日限りのクラブが設営され、DJの音楽にのせて踊ったりお酒飲んだり騒いだりします。
 道中パートと違うのは、めちゃめちゃド派手だってことです。

■■■おまけ■■■
『<Raven Battlecry>アンガー! ガールズ! カーニバルっすよ!』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4741

 このシナリオは、上記シナリオのアフターとなっています。
 そのためこのシナリオ内で知り合ったラサガールズがいれば、『彼女も招待されていた』として一緒に連れて行くことができます。場合によっちゃPC自身も招待されているかもしれません。
 どうぞご検討くださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • アフター! ガールズ! カーニバルっすよ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月12日 22時02分
  • 参加人数6/6人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
眞田(p3p008414)
輝く赤き星
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ


「ラサに来るのも数回目だが、暑いな。まぁ乾いた暑さだからいいが」
 馬車の進む砂漠には、カッと照りつけるような太陽がさしている。
 半袖のバーテン服で挑んだ『Meteora Barista』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)だが、もう既に汗が渇いて仕方ない。汗がしたたる海洋のうだる暑さとはまた違う気候だ。
「もっきー帽子かぶりな帽子。太陽の神様が頭から魂抜くんだって」
 そう言ってウェスタンハットのようなものをかぶせてくる牛乳配達員のミルキー。
 世界で彼女しか使っていないような愛称を、今でもどうやら使っているらしい。
 振り返り、隣の馬車へと手を振る。
「今日はみんな宜しくね!」
「おう、任せときな。オヒメサマのエスコートは得意なんだよ!」
 まっさきに答えたのが『最期に映した男』キドー(p3p000244)だった。
 ナイフをしょーりしょーりって研ぎながら歯ぁみせてわらう緑色のゴブリンだった。
 肌色緑ってだけでもう結構なインパクトである。
「いやほんと! ほんとだってば! 誘拐の隠語とかじゃなく!」
「女子をエスコート? 混沌中を探しても私程の適任はいないでしょう。
 お任せ下さい、レディ達。素敵な旅に致しましょう?」
 肩でキドーをぐいって押しながら前髪ふぁさぁってしてみせる『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)。
「くっ、こいつ! 対象が美女だらけだからって気合いはいってやがる!」
「はいらでか!」
 ビッて人差し指と小指を立てるウィズィニャラァム。
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は腕組みをして頷いた。
「オリオンさんたちを会場までしっかりエスコートしないとだな。
 今回はノリよくやるよ。俺も楽しみなんだ!」

 一方こちらはもういちだいの馬車。
「やべー、開始前からもうだいぶ飲んでる」
「相談の時点で飲み明かしちゃったものねぇ」
 『Re'drum'er』眞田(p3p008414)と『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が太陽まぶしすぎるっていいながら馬車のなかでぐったりしていた。
 カーテンを開いて護衛対象の馬車へとよびかける。
「ま、ソーダさんとか元気そうでなによりだよね。
 護衛ってかこれ実質旅行じゃん? 気楽に楽しくいこう!」
「そうそう! ぎらつく灼熱の太陽!
 旅支度はラサ風の洋服!
 そして賑やかなメンバー!
 最っ高のお仕事よぉー!」
 きゅぽんと新しい酒瓶を開くと、アーリアは『迎え酒よぉ!』といってラッパ飲みし始めた。
「……ところで相談中のお酒代は会議費で落ちるかしら?」
 呼びかけに、馬車のなかのソーダとオリオンが同じようにビッて指をたてた。
「「落ちる!」」
「やったー!」


 旅というものは平和が一番。
 しかし平和を脅かすものが、この世界にはいくつもあった。
 それが、ラサの砂漠地帯に現れるモンスターたちである。
「で、そいつらがいるから俺たちにも仕事が回ってくる、と。良くも悪くもブッソーな世界だな」
 オオサソリの現れる地帯へとやってきた一行。眞田は馬車から飛び出すと、ソーダたちの乗る馬車を守るように展開した。
「戦闘中でも賑やかな音楽頼むよDJさん達。ロックは心を強く持てるから!」
「ロックがいいの? 別にいーけど」
 ソーダは首にかけていたヘッドホンを装着すると、コンパクトテーブルをいじってリズムを刻み始めた。
 そうこなくっちゃと笑い、砂から飛び出すオオサソリを重低音のリズムに合わせてぶん殴る。
 ゴブッという音を立てて砕ける殻。
「さあ、Step on it!! 格好良いとこ見せますよ!」
 ウィズィニャラァムが飛び出し、馬車後方をふさぐように実体化したスナアルキへと挑みかかる。
「お姫様に手を触れさせるわけにはいかないな?」
 同じく砂へと着地したイズマがバシンと手のひらに鋼鉄の拳を打ち当てると、音が変質してギャイーンというエレキギターをかき鳴らす音を響かせた。
「折角パーティー用にドラムの練習をしてきたんだ。こんなところで足止めされてもたまらない」
 掴みかかろうとするスナアルキの攻撃を鋼鉄の腕で打ち払い、突き飛ばす動きで隙をこじあけると同じく鋼鉄の足によるハイキックを浴びせた。
 砂の集合体だけあって派手に砕け散るスナアルキ。
 ウィズィニャラァムはここぞとばかりに『come on!』と手招きすると、集まってきたスナアルキの攻撃をジャンプやスライディングで掻い潜って振り向きざまの『ハーロヴィット・トゥユー』をキメた。要するに『当たったら終わり』系の通常攻撃である。
 打撃によって大きく崩れたスナアルキに連続コンボで打撃をぶちこみ一方的な勝利を――。
「はぁーい、怪我した人はいらっしゃぁい。いーこいーこしてあげるわねぇ」
 馬車に腰掛け、ハンカチをしいた膝をぽんぽんと叩いて手を振るアーリア。
 ウィズィニャラァムは自分の得物に自分の額をゴッてした。
「アーリアおねえさん私頭が!」
 ヒュゥンって膝に滑り込むウィズィニャラァム。アーリアはその額から頭頂部までをやさしく三度なでると、膝枕の姿勢のまま耳元へ唇を近づけた。
「あらあらぁ……しょうがないわ、ね」
 頬にかかるパールホワイトの髪。さっきまで呑んでいた乳酒のほんのりと甘い香りと、アーリアが胸元につけている香水が体温でポッと花開いた香りが混じり合って一瞬だけ世界が花畑のように安らいだ。
 ハ、と息を吸う密やかな声。
「いたいのいたいの、とーんでけ」
「ボイスでください!!!(HPが回復しましたありがとうございます!)」
「ウィズィ、本音」
 ウィズィニャラァムの体力は全回復したが出血量は増えた。

 一方こちらは砂の上を楽しそうに舞い踊りながら馬車へと近づいていくミラージュ。
「ミラージュ……か。あなたたちは存在を忘れられて寂しいのか?」
 現れた幻影たちを前に、モカは出した片足の膝に肘を乗せ、ややかがみ込むような戦闘姿勢をとった。
「暇であれば構ってやりたいが先を急ぐのだ。手早く――いや」
 モカはヒュッと手首をふると、口の端だけで笑った。
 深く呼吸を整え、抱きつこうと迫るミラージュたちへ顔を上げる。
「60秒だけ付き合ってやる」
 次の瞬間、ミラージュたちの前からモカの姿がかき消えた。
 目のよい者ならとらえることができたかもしれない。
 モカがミラージュたちの間を駆け抜け、きわめてスローな世界の中で飛び膝蹴りを、ターンしてハイキックを、更にターンしてムーンサルトキックを、更に馬車を蹴った三角跳びから流星キックを最後に繰り出し、三体ほどのミラージュをまとめて蹴り飛ばした。
「おー、すげーすげー」
 キドーは馬車の幌のうえであぐらをかいていたが、そろそろ出番かと砂地におりたった。
「ぶっちゃけ面倒な戦闘なんてなるべく避けられりゃあいいんだがなー。まあそうもいかねえ。――ってことで仕事だ『フーア』!」
 キドーが約束のボトルをほうりなげると、現れた邪妖精たちがミラージュへと群がり力を奪い取っていく。
 がくんと体勢がかたむいた所へ、キドーはビッと指をさした。
 アズライトのネックレスに手を触れ、精霊魔法を発動。
 突如として巻き起こった熱砂の竜巻がミラージュを包み込み、その力をかき乱して消し去っていく。
 ミラージュの力がすべて散って消えたのを確認すると、キドーは『もうでてこねーだろうな』と地面をぺふぺふ踏みながら確認した。
「忘れられた精霊たちの恋心……ねえ。恋心の向かう先はとっくにこの世には居ないんだろうよ。
 かーっ! 羨ましいねェそこまで思ってもらえるなんてよ。生憎そんな縁はとんと無くてよぉー!」
 悪態をついて、馬車にもどろうと背を向けるキドー。
 そんな彼の肩にポンと誰かが手を置き、不意打ちにように頬へキスした……気がした。
 ハッとして振り返るが、そこには誰も居ない。アズライトのネックレスだけが、きらりと光った。


 広い広い砂漠に、小さな泉があった。
 永らく旅人達に使われていたからか、かたわらにはテント設営に適した平たい砂地と風よけに適した柱が立てられている。
 あたりをパカダクラで一回りしてきたらしいウィズィニャラァムは、テントと風よけをはりおえたオリオンやミルキーたちにそっと薄手の毛布をかけてやった。
「レディに仇成す者が居ないか、見て回ってきましたよ」
「あら、アリガト」
 ウィンクするオリオンにふっと笑い反し、きびすをかえす。
(今は敢えて、影に徹するのです。この後の印象を強烈にする為に)
 そうこうしていると、泉から離れたたき火の上でタジン鍋に火をかけていたモカが鍋の蓋をコンコンと叩いて皆を呼んだ。
 これもまた永らく多くの旅人に使われたからか、たき火用にピラミッド型の鍋吊るしがセットされている。
 これは手間がかからなくてよいと、モカは予め焼いておいた串肉を暖め、煮沸した泉の水とコンソメキューブを加えた野菜のスープを作ってくれた。
 鞄から日持ちするタイプのパンを取り出し、いそいそと絨毯を敷いてくれたオリオンたちのそばへと持っていく。
「お店を出してる子の料理をただで頂けちゃうなんて贅沢よねぇ。
 アルコールが入れば夜も暖かいし……」
 当たり前のように酒を持ち込んでいたアーリアが周りにお酌しつつ、パンとスープを食べ始める。
「ところで皆、ROOはどう? やってる?」
「なあにそれ。最近イレギュラーズのひとからちょこちょこ聞くけど」
「練達のなんかでしょ」
「いつも変なことしてるわよねあの人達」
「機材は大体あそこから買うかし、あたしはキライじゃないけど」
 ミルキーやソーダたちの会話に、新しく焼いた肉を持ってくるモカ。
「登録はしてみたが……友人からは、外見はともかく中身は普段の私とそんなに変わらないと言われたな。
 素顔と身体は仮面と強化スーツで隠した、木刀が武器のヒーローだ。まぁ向こうで会った時はよろしく」
 話をふられた格好になった眞田が、ラム肉を噛みちぎりながらあぐらをかいた。
「あ、やっぱ皆もR.O.Oやってんだ。皆のアバター気になるな。俺は見た目コロコロ変わるから何とも言えないけど。キドーは?」
「ほぁあん? あーるおーおー? しらないコだなあ」
 やり過ぎなくらい馬鹿っぽい顔をして虚空を見上げるキドー。なまじゴブリンなせいでうつろな目ぇして舌だすと大体ごまかせるような気がする。
「さて料理も美味しかったし、お返ししないとな」
 そんな会話をしていると、イズマが手のひらの乗るか乗らないかくらいの木の板を取り出してきた。
 へんな溝のほられた細いしゃもじみたいな板で、溝の深さを操作するための糸がついている。ちなみにこれムックリていう名前なんだけど音どころか名前すら聞いたことないひとが大半だと思われる。そういう民族楽器だ。
 イズマはミョーンという独特の音色を奏で始めると、持ち前のスキルで音を涼やかな弦楽器のそれに変えていく。
 しばらく顎肘をついて聞いていた眞田が小首をかしげる。
「なんだ。なんか、どっかで聞いたような……なんか懐かしい音楽だな」
「ラサを中心に旅をしているジプシーから教わった音楽だ。曲名はないが、これを奏でるとき彼女たちは『カーム』と呼んでいたな……」
 カーム。それはラサの古いことばで『心の故里』『魂のありか』『死して帰る場所』といった意味をもつ。民族ごと土地をなくし旅芸人として生きることになった人々が、音楽の中に故郷を残したのだとイズマは考える。音楽は時として、時空を越えて人々の故郷を作ってくれるとも。
 オリオンたちはどこかで聞いたらしい歌を重ね、夜は和やかに、そしてまったりと心に染みて更けてゆく。


 クラブハウスにスポットライト。
 赤いエレキギターにピックを添え、力強くかき鳴らす。
 と同時に下りた三つのスポットライトがドラムセットにスティックをかざすイズマを、ベースギターをオーバーなうつむき姿勢(エレキの呼吸)で構えたウィズィニャラァムを、そしてDJテーブルの前で煙草をくわえるソーダを映し出した。キンッとはじいたキャップ。上がる強すぎる炎で紙煙草の先端を炙ると、閉じたジッポライターの音と同時にイズマのドラムソロが始まった。
 激しいドラムの動きをあとに眞田とウィズィニャラァムがギター演奏をはじめ、ソーダがリズムとエフェクトを挟み込んでいく。
「1人の時は割と経験あるけど、バンドでっていうのは初だな。意外と俺ギターもいけてるくない?」
「惚れるなよ? 私には最高に愛してる恋人がいるんだから!」
 絶妙なリズム感覚でドラムを叩くイズマ。こういうときに限って『響音変転』の能力を行使せずテクで魅了しにいくのがイズマの実直さと魅力である。
 背中のばっくりあいたセクシーな衣装でクールに演奏してみせるウィズィニャラァム。
 演奏が最高潮をむかえた所で、同じ衣装をきたアーリアとオリオンが既に空っぽになったジョッキを天にかざした。
「アルコール! ボーイズ&ガールズ! パーティーよぉー!」
 その横ではバニースーツのモカがタンバリンをしゃらしゃらしながら『私も、楽器の練習してみるかな』と小さくつぶやいている。
 会場は盛り上がり、タンバリンふっていたモカにミルキーががしっと抱きついて『ミルクのめよ~』てからみはじめた。
 全国津々浦々から集まったらしい人々が演奏にノッて楽しみ、石油王のドゥアブも満足げにジョッキをかざしている。
「イェーイ、ドゥアブのおっさん……じゃねェや、ドゥアブさんも楽しんでるゥ〜? サイコーだろ? 俺の仲間のライブ。
 いや美人のオネーサンじゃなくって悪いね。俺これからラサで名を売っていきたいって思っててね。アンタみたいな有力者とは縁を結びたいなーって」
 その横にドカッと座りジョッキをかざすキドー。
 ドゥアブは酒に口をつけるとテーブルに置いた。
「噂には聞いていたが、ハッピーな連中だローレット。気に入った」
「だろぉー?」
 ぺろりと舌を出し、キドーは笑った。
「なんかあったら気軽に依頼出してくれよ。どんなに深刻でも下らなくてもローレットは動くぜぇ? そういうとこだからよ!」
 パーティーは続いていく。退屈な夜がハッピーに明けるまで。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete
 ――Party time!!

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