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シナリオ詳細

おもちゃの機兵マーチング・マーチ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 秋宮・史之(p3p002233)は、飛行しながらロボットの突進を避けた。
「うん。今のは良いね」
 褒められて喜んだのか、浮かれたように動きが雑になるロボットに、ぽかりと一撃。
「喜ぶのは、あとで。隙だらけだよ」
 注意され、項垂れるロボット。
 史之が苦笑していると、声を掛けられる。
「一端、休憩してくれ。データの調整をする」
 情報端末を操作しながら、練達の科学者であるニコラは研究室の奥に向かう。
 そちらに連いて行った方が良いか史之が考えていると、メイド服姿の女性――リリスに呼ばれた。
「少し休みましょう。おやつ用意したから、こっちに来なさいな」
 テーブルにお菓子やジュースが置かれ、さっきまで戦っていたロボット達が、ふよふよ浮かびながら一目散に飛んでいく。
 それを見ていた史之は、くすりと小さく笑いながら自分もテーブルに向かった。

 いま史之が居るのは錬達だ。
 少し前、ロボットと戦う依頼を受けたのだが、その時の依頼人に呼ばれ訪れている。
 史之は、以前の戦闘で飛行しながら戦ったのだが、それをロボット達が興味を持ったらしく、飛行した状態での戦い方を教えに来ていた。
 
「ロボットなのに、飲んだり食べたり出来るんだ」
 テーブルの上でふよふよ浮かびながら甘酒を飲んでいるロボットを見詰めている史之に、リリスが応える。
「飲食でエネルギーの補給が出来るようにしたみたい。ご飯でも大丈夫だけど、甘酒の方が効率が良いみたいだから、こっちの方が好物ね」
「前に比べて、色々と改造したんだね。大きさも、小さくなってるし」
 ふよふよと漂うように近付いて来た手の平サイズのロボットを、ちょんっと指先で突きながら史之は言った。
 以前は人間サイズだったが、そのあと改造して今の大きさになったらしい。
 近づいてくるロボット達をあしらいながら、史之はリリスに呼びかける。
「そう言えば、ロボットから技術回収して義肢を作る話はどうなったの?」
「今の所、大量生産は無理だけど、実用化の目処は立ったわ。今度ラサに持って行って、色々と試すつもり」
「ラサに?」
「ええ。あそこは傭兵国家だから、荒事で義肢の類が必要な人は多そうだもの。着込むタイプの、運動を補助するタイプも作ったから、持ち込んでみるわ。ついでに、長期契約で宿場街の警護をして貰える人を探すつもり」
「宿場街って、この前の場所?」
「ええ。何かあればローレットを頼る手もあるけど、普段は自分達で守らないとどうにもならないし。そっちの準備には、まだ少し時間が掛かりそうだから、その前に海洋に行くつもりだけど」
「海洋に? 何しに行くの?」
「商売ね。リゾート地を開拓したいんだけど、何かアイデアあるかしら?」
「ん~……海洋だと、暑い日が多いから、逆に涼しかったり、いっそ冷たいのが受けるかも」
「冷たい……洞窟、だと涼しい程度でしょうし……いっそ氷の洞窟とかあったら良いんだけど」

 などと、時間を潰すように話をしていると、研究室に引きこもっていたニコラが、共同研究者のヴァンと一緒に近付いて来て言った。

「実験したいことが増えたから、またローレットに依頼を出してくれ」
「何するの?」
 史之の質問にヴァンが応える。
「複数の機体を同時に外部運用するテストです。義肢の方は目処が立ったので、その先も見据えて試してみようかと」
「どういうこと?」
 史之が聞き返すと、さらに詳しくヴァンは説明する。
「何らかの理由で身体を動かせない人のために、本人が操作できるロボットを作ってみようかと。今回の実験では、この子達を操縦者にして、似たように機体を複数同時に動かせるようにしたいんです――と、口で言うよりも、実際に見て貰った方が分かり易いですね」
 ということで、試しに動かせて見せる。
「何だか、おもちゃの兵隊みたいだね」
 20体以上の小型ロボットが、整列を組んでるのを見て史之は小さく笑みを浮かべる。
「今度は、これと戦うってこと?」
「はい。8機のロボットが、それぞれ3体ずつ遠隔操縦するので、合計24体と戦って貰います。前の戦いで得たデータもありますから、以前よりは歯応えがあると思いますよ」
「そうなんだ。それは楽しみだね」
 おもちゃの兵隊を見ながら、どう戦うか考える史之だった。


「練達で戦闘ロボと戦って欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「おもちゃみたいなロボットが一杯いるので、そいつらと戦って欲しいのです」
 ロボットは小さい上に、動きも素早いので攻撃を当てるのは難しいらしい。
 防御や耐久度もそこそこあるらしいが、反面攻撃力は低めとのこと。
 ただしそれを補うように、感電や麻痺を付与するような攻撃をしてくるらしい。
 詳しい話を聞いたイレギュラーズ達は、現場である練達の研究所に向かうことにした。

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
16本目のシナリオは、アフターアクションでいただいた内容を元に作った物になります。

そして、以下詳細になります。

●成功条件

おもちゃの機兵(マーチング・マーチ)を破壊する。

●おもちゃの機兵

ロボット達が遠隔操作する外部ユニット。
本体ではないので、破壊しても問題なし。
大きい物で30cmぐらい。
飛行しながら戦います。

すばしっこく、回避力が高いです。
防御とHPは、そこそこ。
攻撃力は低めです。

近距離の体当たり 単
中距離のビーム 貫

上記の2種類を使ってきます。
どちらの攻撃でも、一定確率で感電や麻痺の効果を付与して来ようとします。

ビームで感電させて、そのあと体当たりで麻痺させようとする、みたいな戦い方をしてきます。
動けなくなった所を囲んで吶喊、みたいなことを狙ってきます。

その他の戦い方は、皆さんの動きに合わせ動きます。
以前に戦った経験があるので、心持ち頭は良くなってます。

基本的に、倒し辛いけれど与えて来るダメージは低い相手です。

●戦闘場所

50m×50mの正方形の平地。
戦闘に支障が出るような物はありません。

初期配置は、10m離れて向き合った状態で始まります。

戦闘開始のホイッスルと同時に戦闘開始です。

●依頼人

リリス&ヴァン&ニコラ

戦闘場の外から戦いを撮影してます。
話しても良いですし、話さなくても良いです。

●流れ

今回の流れは、

1 現地到着
2 戦闘場でロボと対峙する。
3 ロボと戦い破壊すれば依頼達成。

という流れになります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • おもちゃの機兵マーチング・マーチ完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月11日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
アーウィン・ドースティン(p3p008577)
闇の雪幻蝶
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

「ふむふむ、戦闘データを取ってそれを反映していく……様な感じなのだわね?」
 現場で詳しい話を聞いた『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は自分なりに考えを纏める。
「繰り返すうちに、とっても強い軍隊が出来そうだわね。それが進んでいけば、いつかは魔物や獣との戦いで人が傷付く事も無くなっていくのかしら……」
 これに依頼人のニコラが返す。
「強い軍隊は恐らく無理じゃな。ある程度の強さで『不在証明』の影響を受ける。じゃが、戦う力が無い者を逃がすための時間を稼いだり、お前さんらイレギュラーズの助けのひとつぐらいになら成れる筈だ」
「それは、子供達を守ったりすることも出来るようになるのかしら……?」
 世話好きで母性的な彼女は気になって訊いてみる。すると――
「可能性はあるな」
 ニコラの応えにやる気が増す。
「その一歩だと思うと、戦闘が得意なタイプではないのだけど……気合いが入るのだわ!」

 彼女のように、話を聞いてやる気を見せるのは他にも。

「聞いた限りでは、体の不自由な人の役にも立つようなとっても有意義な取組の一環のようだし、ぜひお役に立ちたいわね」
 気合を入れるように『二人でひとつ』藤野 蛍(p3p003861)が言うと、賛同する様に『二人でひとつ』桜咲 珠緒(p3p004426)も続ける。
「様々な技術に応用がされていく開発への協力ですか。これはなかなかに有意義なお仕事をいただけましたね。全力で、お役にたちますよ」
 2人がやる気を見せていると、ふよふよと手乗りロボット達が近付き両手をあげる。
「挨拶をしてくれてるんでしょうか?」
 珠緒が小首を傾げて見つめていると、ロボット達はこくこくと頷く。
 それを見ていた蛍は、くすりと笑い。
「どうぞよろしくね」
 蛍の挨拶に、ロボット達は浮かれたように両手を上げたり下げたり。
 そんなロボット達に応えるように、蛍は力強く言った。
「少しでも有用な戦闘実験になるよう、ボクなりに考えて動こうと思うわ!」

 蛍の言葉に、喜ぶようにふよふよ動くロボット達を見て、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は興味深げに言った。

「さすが練達……ってところかな? また進歩したようだね。今回は……前回の戦闘ロボとは違ったタイプなんだ。ちょっと愛らしくなった?」
 イズマの言葉に、依頼人のリリスが応える。
「場合によっては介護とかも出来るようにしたいから、それも考えての姿ね」
「色々な用途を考えてるんだね。良いデータが取れるように、協力するよ。他にも、何か協力できることがあったら言って」
「助かるわね。なら、今回とは違うけど、鉄帝の食糧増産計画のために調査に出ようかと思っているから、力を貸してくれると助かるわ」
「そうなんだ。調査が必要なら、ぜひ協力するよ」

 イズマとリリスが話をしている頃、手乗りロボット達は自分達が操るおもちゃの機兵を動かして見せる。
 それを興味深げに見ているのは『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)。

「ほう、数を重視したドローン戦術か」
 汰磨羈は、宙に浮く20機以上の機兵を見て分析する。
「防御力よりも機動力を重視したのは、装甲とそれを支える出力に掛かる費用を抑え、より多く量産する為かな? 中々、理に適っている。面白そうな相手じゃないか」
 燃えてきた、とでも言うように笑みを浮かべる。

 彼女と同じように、分析しながら見ているのは『魔導機巧人形』ラムダ・アイリス(p3p008609)。

(おもちゃの機兵って言い方は言い得て妙って感じだね……でも――)
 見た目は小さく愛嬌があるようにも見える機兵を見詰めながら油断は無い。
(学習して最適化されていくようなAIは油断しちゃいけないってのは理解しているんだよ……いや、ボク自身もそんな感じだしね?)
 レガシーゼロであるアイリスとしては、実感として理解していることだ。
(隙は作らないよう立ち回らないと)
 静かに胸中で戦術を組み立てていく。

 アイリスと同様に、『闇の雪幻蝶』アーウィン・ドースティン(p3p008577)も戦術を組み立てていく。

(今後の参考になるように、今持てる力の最大をもって臨む必要があるな)
 どうせ戦うなら出し惜しみなく。
 戦う際には出来る限り多彩な動きが出来るよう戦術を組み上げていった。

 皆が戦いの意欲を盛り上げる中、手乗りロボット達は『若木』秋宮・史之(p3p002233)に近付く。
 ギフトで甘酒を作って出してあげたことがあり、小さな子供のように懐いていた。

「ふふっ、かわいいね。でも甘く見たりなんかしないよ。全力でお相手させてもらうからね」
 史之が、ちょんっと指で押しながら言うと、手乗りロボット達は「がんばる!」とでも言うようにポージング。
 操る機兵達もスムーズに動くのを見て、制作者であるニコラに言った。
「開発完了おめでとう。腕は一流だね」
 これにニコラは返す。
「それもこれも、皆が協力してくれたからじゃな。今日も、よろしく頼む」
「うん、わかった。俺も俺にできることをしよう。ロボットたちの調整は任せて。より多くの人の幸福を目指してがんばるよ」
 史之も気合を入れ、皆と共に試験場に。
 距離を取って向き合って、開始の号令と共に戦いは始まった。

●戦闘開始!
 開戦の号令と共に、真っ先に跳び出したのは汰磨羈。
(まずは戦端から崩す)
 距離を詰め、しかし踏み込み過ぎず。
 群れを成し突進してくる機兵の一団の動きを読みながら立ち回る。
 初撃に斬り放つは霙颯剣。
 霙を纏う極低温の刃が、疾風と化して機兵の1体を斬った。
 斬りつけられた機兵は、態勢を崩し墜落しそうになるが即座に復帰。
 斬りつけられた箇所を凍りつかせながら、ビームを放って来る。
(思った以上に頑丈だな)
 汰磨羈は分析しながら回避。
 一対一であれば脅威にならないと判断。
 しかし数が多い。
 囲まれないよう意識して動き回りつつ、仲間との連携が取れる位置を保つ。
 同時に、交戦で得た情報を仲間と共有。
「機動力はあるが踏み込み過ぎなければ対処できる」
 多数を捌き証明してみせる。
「数的優位に立つ相手に対して上手く動くには、普段以上の情報共有が必要だ。声を掛け合っていこう」

 汰磨羈に応えるように、瑞稀も仲間を意識して動く。

「いつでも回復するから、安心して欲しいのだわ」
 瑞稀は、汰磨羈の動きに合わせるようにして前に出る。
 防御が得意なので、前に出て機兵の攻撃を引き受け、味方の被弾を減らすことが目的だ。
 それと同時にダメージコントロールを意識して回復にも動いている。
 瑞稀に攻撃が集中し過ぎないよう、汰磨羈が適度な数を引き受けてくれているので、連携できるように動いていく。
 複数方向から襲い掛かってくる機兵を、避け切れない相手だけ受けた。
(痛っ……というほどではなのだわね)
 機兵を操る手乗りロボット達も気を使っているのか、顔とかは狙ってこないので痛みや傷跡が残る感じは無い。
「うーん……? 私程度を相手にこのダメージとなると、やっぱり魔物とかと戦うには火力の課題が……?」
 平気かな? と思っていると、代わる代わる連続して攻撃してくる。
「あ、そこは数でカバーするのだわね、ふむふむ……って、余裕を見せてる場合じゃないのだわ」
 四方八方から途切れず攻撃して来るので、慌てて立ち回った。

 前線で引き付けてくれている間に、蛍と珠緒は2人でひとつな息の合った連係を見せていく。

(データを得るための戦闘なら、相手の動き方の幅がある方が戦訓も増すはずよね)
 目的を意識して蛍は動く。
(このデータがいずれ福祉にも活用されるなら、計算だけじゃ割り切れない意思を持つ人間の、いわば想定外の事態にも対応できるような柔軟性を持ってもらいたいと思うから……ボクのような引付け役がやって当然の行動をあえて外して、かつ有用な動きをすればいいのかしら)
 考えながら前に出ようとすると、珠緒と視線が合う。
「よし、珠緒さんいきましょう!」
「はい、行きましょう」
 珠緒は、蛍に頷くように小さく笑みを浮かべてくれる。
 蛍も小さく笑みを返し、珠緒を護るためにも前に出た。
 珠緒は、無傷であれば能力が上昇するスキルで固めている。
 だから1体たりとも向かわせないことが肝要。
 それ以上に、珠緒を守るという意欲が満ちている。
 同じように、蛍の力になれるよう、珠緒も積極的に動く。
 ハイテレパスと桜花水月を使い、蛍と情報共有。
 ファミリアーを上空へ飛ばし、敵味方の配置を俯瞰で把握。同時に――
(プログラムで制御された行動であれば、理詰めで読み解けるかも)
 機兵達の動きを予測し、蛍に伝えていく。
『右手から1機。こちらの動きに合わせてきそうだから気をつけて』
『分かった。ありがとう。注意するね』
 2人は比翼の鳥の如く、息の合った連係を見せる。
 前に出た蛍が、珠緒に向かう機兵を引きつけ庇いながら、茨の鎧で対抗。
 囲んで数で押そうとした所に、珠緒が神気閃光を放ち援護しつつ、大天使の祝福でダメージを癒していった。

 巧く機兵を捌いていく。
 とはいえ数が多く油断は出来ないが、それを理解した上で史之は多くを引き付けていた。

「ほらおいで、こっちだよ! それともロボにも臆病者が居るのかな?」
 機兵がバラバラに動かれると厄介なので、あえてタンク役として引き付ける。それを実行するため、BSに強い装備で固めていた。
 名乗り口上で引き付けられた機兵が数多く襲い掛かって来るが、それを避け捌き、あるいは打ち落とす。
 史之の動きに何か感じる所があったのか、機兵の幾らかが別行動をしようとするが、そこに再び名乗り口上で引き付ける。
「逃げちゃダメだよ! それじゃ本当に臆病者だ!」
 妖刀不知火を縦横無尽に振り抜いて、斬り裂きながら引き付ける。
 さすがにそれだけされて無視は出来ぬと、一斉に突進してくる機兵達。
 捌き切れずに幾らか食らう。
「あててて……。本気で殴られるとさすがに痛いね。でも――」
 史之は狙い通り機兵達の動きを誘導。
 誘導された機兵が固まっている所に、珠緒が神気閃光を放つ。
 纏めてダメージを食らう機兵達。
 史之は仲間との連携で効果的に立ち回る。

 それはもちろん、史之以外の仲間も同じだ。

 アイリスが史之の支援に動く。
 距離を詰めるとディスペアー・ブルー。
 絶望の海を思わせる冷たい旋律が奏でる呪歌が機兵の操作系統に干渉。
 動きが鈍った所で、魔砲を放ちまとめて薙ぎ払う。
「今の内に回復を」
「ありがとう、助かるよ」
 アイリスのお蔭で退路が出来た史之は回復のため一端離脱。
 そこへ追撃に動こうとする機兵にアイリスは踏み込んだ。
「ここは通さないよ」
 魔哭剣『虚』で斬りつける。
 虚無の刃で斬り裂きながら、常に留まることなく動き続ける。
(こちらの動きに付いて来てる――いや、読んで来てるっていう方が正しいかな)
 最初は簡単に、けれど少しずつ予測する様に先回りしてくる。
(こちらの搦め手にも順応してきてる……あーこれはあれだね……学習されてどんどん面倒になっていって気がついたらやばくなってるやつだ。でもね?)
 機兵を翻弄するよう動き回りながら油断なく、けれど焦ることなく捌いていく。
(奥の手の手札の一枚や二枚隠し持っておくものだよ)
 それを使うタイミングを計りながら戦っていった。

 巧妙に立ち回るイレギュラーズ達に機兵は数の有利で押し潰そうとするが、数の暴力を潰すような一撃をイズマが放つ。

(まずは纏めて薙ぎ払おう)
 イズマは、アイリスを数で押し潰そうとする機兵の群れに跳び込む。
 索敵をしていた機兵達の1体が気付くも、味方と連携させる暇など与えずフォロウ・ザ・ホロウ。
 先の先を奪う刺突が、鋭く突き刺さる。
 動力系を貫かれた機兵は機能停止。
 それに他の機兵が反応し攻撃して来ようとするが、イズマの追撃の方が速い。
 H・ブランディッシュ。
 あえて機兵の群れの中に跳び込み鋭い乱撃を放つ。
 斬り裂かれた機兵は動きが鈍る。
(前回は範囲攻撃はしなかったから対応が鈍い、かな?)
 機兵の動きを分析しながら立ち回る。
(少しずつだけど反応が速くなってる。単調な攻撃だと、すぐに順応しちゃうな)
 機兵の反応に合せ、イズマも攻撃と移動の複雑さを増していく。
 徐々にだが、確実に目まぐるしい戦いになっていった。

 そこに援護をするように、アーウィンが踏み込む。

「さて、いくか……」
 初手ヘヴィーランカーで反応を上げたアーウィンは近接戦を挑む。
 一気に刃の間合いにまで踏み込むとソニックエッジ。
 全速を威力に変換した一撃は機兵に傷を刻む。
(反応が早いな)
 斬り裂いた機兵が間を空けず態勢を整え突進して来るのに合わせ、アーウィンはサイドステップで回避。
 そこに挟撃する様に複数の機兵が襲い掛かって来るが、アーウィンは攻撃スタイルを一時的に変更し対応。
 多段牽制による、一撃の重さよりも手数と動きの変則さで翻弄するような攻撃に変えていく。
(3機までなら対応できる……このまま、この距離で引きつけるのが最善か?)
 仲間の動きを意識しながらアーウィンは戦っていった。

 イレギュラーズ達は個別に戦いながら、同時に連携を強く意識して動く。
 それが強さに繋がり、機兵の数は徐々に減少。
 ある程度減った所で、一気に制圧に出る。

(そろそろ仕掛けるか)
 機兵を多く引き付けているアイリスは離脱のタイミングを計る。
 それを機兵は感づいているかのように攻勢の鋭さが増すが、それを崩すようにアーウィンが踏み込む。
 ソニックエッジで機兵の1体を斬りつけ、包囲に僅かとはいえ穴をあける。
(今なら行ける)
 アーウィンは機兵に斬りつけると同時に、アイリスにアイコンタクトで離脱のタイミングを示唆。
 それを受け、アイリスは温存していた魔導鋼翼による簡易飛行を使い包囲を離脱。
「奥の手の手札の一枚や二枚隠し持っておくものだよ」
 アイリスのアドバイスを機兵達が活かす余裕など与えず、イレギュラーズ達は連続攻撃に動く。
「そろそろ終わりにするのだわ」
 回復役に動いていた瑞稀も、戦闘を終わらせるために攻撃に加わる。
 Code Redで連続攻撃。
 必中の魔弾が次々命中し、病原の如く機兵の操作系統を侵食。
 動きが鈍った所に、仲間の追撃が入る。
「右翼側は、こちらで引き受けるよ」
「なら、左翼側はこちらで引き受けるね」
 イズマと史之が挟撃するように動く。
 イズマは黒顎魔王を放ち貪るように機兵を崩した所で、接近しての剣魔双撃。
 史之は踏み込みと同時にギガクラッシュ。反撃をアイアースで受け止め叩き潰す。
 機兵は総崩れ。
 そこを1箇所に押し込むように汰磨羈と蛍が動く。
「中央に集めたい。行けるか?」
「はい。前後で挟んでいきましょう」
 汰磨羈が後方から追い立てるように彼岸赫葬を連打。
 そこに合わせて、蛍が茨の鎧を発動させながら機兵を押し込む。
 機兵は一塊にされ、そこに珠緒がハイテレパスで連絡。
『まとめて薙ぎ払うから避けて』
 蛍が即座に退避し、それを見た仲間も動く。
 一手反応が遅れ固まったままの機兵に、珠緒は神気閃光を連打。
 機兵がボロボロになった所を皆で一斉攻撃。
 瞬く間に、全ての機兵を打ち倒した。

 戦い終わり――

「今回はちょっと本気になっちゃった」
 史之は手乗りロボット達に感想を言うとギフトで甘酒を作ってやる。
「よくがんばったね。これはごほうびだよ」
 文字通り飛んでくる手乗りロボット達。
 それを見ていたイズマがニコラに尋ねる。
「ご飯食べるんだ。生き物みたいで面白い。あのロボット達って、機兵をどの程度の距離まで操縦できるの? 遠隔操作できれば人の入れない所でも調査できて便利だよね」
「今の所は100mだな。それ以上だと不在証明の影響が出るかもしれん」
 性能を耳にして、汰磨羈が戦後の感想を含め言った。
「この機体群には、まずガンナーが欲しい所か。追い立てた所を狙う狩人だな。そうすれば戦術に幅が出来てもっと手強くなる筈」
 同じように瑞稀も感想を口にする。
「数で攻めても防御されると厳しいのだわぁ……やはりここは防御を貫通する何かを……外見をもっと可愛くしたら、市民にも威圧感を与えずに済んでいいのだわ」
 改善の為に思ったことをどんどん伝える。
「ふむ。なら継続して体力や魔力を奪うような機能でもつけるか……外見は、仔猫に翼が生えたのを作るか……」
 研究者モードになるニコラ。
 その間に手乗りロボット達が、新しい機兵で皆に飲み物などを持って行く。
「ありがとう」
 蛍は受け取り礼を言うと、アドバイスを言うように続ける。
「一度に複数を操作できるなら、役割分担を意識すればきっとより有意義な集団行動ができるはずよ。頑張ってね」
 2人みたいに?
 というように、蛍と珠緒を見詰めながら小首を傾げる手乗りロボット達。
 くすりと珠緒は笑みを浮かべ。
「珠緒達は、相互に支えあう、二人でひとつのスタイルなのです。貴方達は数が多くて大変かもしれないけど、今回の経験を活かして反映させると良いと思うのです」
 分かった! と言うように頷く手乗りロボット達だった。

成否

成功

MVP

桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした!

皆様のお蔭で手乗りロボット達は、より性能が上がったようです。
皆様からの助言を受け、より連携を意識しつつ、新たな機能を得ていく事でしょう。
おもちゃの機兵については、仔猫に翼が生えたような外見や、あるいはケットシーのような、猫妖精タイプ。あるいはクーシーのような犬妖精タイプなどを作ろうかとニコラは考えているようです。
ちなみに手乗りロボット達の外見については、スチームパンク風の人型ロボットのような見た目で、丸っこくてコロコロした外見です。
手乗りロボット達は機械生命体のような感じですが、おもちゃの機兵の方は自我のない外部ユニットです。
AIを組み込んで、簡単な命令ならこなせるようなのも作るようです。
そんな感じの進展が、今回の結果で発生することになります。

ではでは、今回はこれにて。
最後に重ねて、皆さまお疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!

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