PandoraPartyProject

シナリオ詳細

魔を手繰る者

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔を手繰る者
 鉄帝国北部、ヴィーザル地方内陸部。
 海沿いの厳しい環境とは違い、小高い山の広がる山岳地帯は風光明媚な光景が広がっている。
 ただ、そんな山岳地帯も今となっては……。
『ふふふ。さぁ、今日も楽しみましょうか♪』
『ああ! 今日も思いっきり楽しもうぜぇ!』
 と大声を張り上げながら、剣を振り合い、火花を散らす者達。
 ただの剣戟にあらず、その武器を繰り出しながら手に火球を生み出し、それを放つ。
 その火球が例え、周りの山肌を荒らそうとも……彼らはやめる事は無い。
 彼らにとっては周りに存在する者は、壊しても良い物位の存在でしかない。
 そんな特訓の一時を過ごした後。
『ふぅ、今日も良い汗を掻いたな! この強さがあれば、我ら『リンドルム』一族は安泰だ!』
『ああ! さぁ、今日も酒を飲もうか! がははは!1』
 訓練して、酒を飲んで、寝る。
 そんな豪快な生活を続ける彼ら『リンドルム』一族は、ここハイエスタの地で静かに牙を研いでいるのであった。


「イレギュラーズの皆さん、ちょっとお話聞いてほしいのですー!!」
 と、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、皆の前でぶんぶんと手を振って注意を惹く。
 そして注意を惹かれたイレギュラーズ達が集まった所で、早速。
「集まってくれてありがとうなのです! 今回イレギュラーズの皆さんに集まって貰ったのは他でも無く、お仕事なのです! 鉄帝北部のヴィーザル地方で、今や今やと牙を研いでる『ノーザン・キングス』達を倒してきてほしい、って事なのです!」
 ヴィーザル地方に生息するノーザンキングス……鉄帝に徹底的に抵抗している彼らの噂は、イレギュラーズ達の耳にも入ってきている。
 だが、今回は『牙を研いでる』という所が……。
「そう、牙を研いでるのです! 簡単に言えば、部族の中で特訓をしていて、力を付けてきている様なのです! 彼らがこのまま力を付けてしまえば、強力な敵になる事は間違いないですし……周りの村や町に降りてきて皆殺し、という可能性も十分にありうる話なのです。だから、今のうちに倒してきてほしい、って訳なのですよ!」
「今回の敵である『リンドルム』一族なのですが……屈強な身体に、巨大な武器、更に魔法が使えるというフルコースな能力を手にしている一族の様なのです。まだその実力は荒削りなので、攻撃や防御に粗が目立つのですけれど……チームワークだけは十分ですから、強敵なのは間違いないのです。決して油断せずに、向かってきてほしいのです! という訳で、よろしく頼むのですよ!!」
 と、ユリーカは全力でぺこり、と頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 ノーザン・キングス……ですが今回の部族は力を付け始めの魔法戦士達の様です。

 ●成功条件
   『ハイエスタ』の魔法戦士一族である『リンドルム』達を倒す事です。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   リンドルム一族は、ハイエスタに存在する城を根城にしており、そこで日夜特訓に励んでいる様です。
   特訓して、盛大にお酒を飲んで、寝る……とある意味うらやましい生活をしています。
   ただ特訓しているので、日に日に実力は伸び盛り……といった具合です。
   襲撃するタイミングによっては、多少酒が入った状態で戦闘する……という事もあり得ますが、多少注意力が散漫になる程度なので、戦闘能力にはそこまで影響有りません。
   特訓したり、酒飲んだりしてるので、城の中から大きな声はしているので、場所を見つける事はそこまで難しくはありません。

 ●討伐目標
   敵となる『リンドルム』一族の人数は10人。
   戦闘能力自体は皆様よりも一回り弱い程度ですが……大きな武器と、様々な魔法を繰り出してくる彼らは厄介な敵である事は間違いありません。
   魔法攻撃は神・遠・単体の射程を持ち、更に業炎、氷結、感電と使用する魔法の種別によりそれらBSを付与してくる攻撃となります。
   尚、特訓で築かれたチームワーク力を持っているので、声を掛け合う連携などが可能ですので、ご注意ください。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 魔を手繰る者完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月13日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
久住・舞花(p3p005056)
氷月玲瓏
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
アリス・アド・アイトエム(p3p009742)
泡沫の胸

リプレイ

●北の風と
 鉄帝国北部、ヴィーザル地方の内陸部。
 海沿いの厳しい環境とはちょっと違う、小高い山が広がる山岳地帯には、城や平原等という、風光明媚な環境が広がっている。
 しかし今日も今日とて、そんな地域に姿を現したのが、鉄帝国に抗う部族である『ノーザン・キングス』。
「今度はここ、ハイエスタ……本当に色々と居るのね。魔法戦士というのは、なるほどハイエスタらしい……と」
 静かに『月花銀閃』久住・舞花(p3p005056)が息を吐くと、それに頷くのは『雷はただ前へ』マリア・レイシス(p3p006685)。
「そうだね。またハイエスタかい……その真面目に訓練する労力を別の方面に活かすか、その戦力を真っ当な事に使ってくれればいいのに……」
「ええ……まぁこの一族もノーザンキングスに与する中の一族。細かい集落単位……いや、部族単位か。大枠の中で独自色を持つ部族が沢山いる、という感じなのかしらね?」
「うん。同じここ、ハイエスタであっても魔法を使うのもいれば、槍を得意としているのも居る。そんな中の共通点が、鉄帝国に徹底的に抵抗している、という事だね」
 二人の言う通り、ノーザン・キングスに与するは様々な部族、一族が存在している。
 彼らの武器も様々、戦い方も様々……そして、生き方も様々。
 更に鉄帝の上層部はさしてこのノーザンキングス達を脅威と感じていないのか……国が動こうという気配も今の所はないというのが悩み所。
「しかし、ノーザン・キングスと言っても色々いるんだな。でも、今回の場合、彼らからしたらただ暮らしているだけなのに襲われる事になるよな……」
 ふと『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が小首を傾げる。
 勿論、ただ住んでいるだけ……というが、周りに大声で迷惑を掛けている、ともいえなくもない。
 それに『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が。
「そうだね。まあ被害が出ている訳じゃないのを叩くのは、少し気が引けるけれど……犠牲が出てからじゃ遅いもんね」
 と言うと、『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)と『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)も。
「育つ前に芽を摘む……って言う事か。まだ実行に移していない相手を先に討ち倒すのに思う所がないわけではないけれど……放置すれば色んな人が犠牲になる以上、放っては置けないよね。個人の感情を優先して、無辜の民に犠牲を出す……なんて事になるのは騎士の名折れ。そんな事になれば、私自身も私を許せない。だから、やるからにはきっちりとやってみせるよ!」
「そうですね。強くなろうとする、良い事です。ノーザン・キングスでさえ無ければ、純粋に応援出来たのですが、厄介の芽は摘まなければなりません。全員始末しましょう」
 と言うと、それにこくこくと頷く『蕾蜘蛛』アリス・アド・アイトエム(p3p009742)。
「ん……特訓……アリスも……もっと強く……なりたい……強くなって……女の子……もっと守りたい……」
 そんなアリスの言葉に、『月下美人』雪村 沙月(p3p007273)が。
「ええ、今の所は小さな力かもしれないわ。でも巨大な武器に魔法も使えるとは、器用な一族なのですね? 成長した時の強さも気になる所ですが……その場合、近隣の住民が被害を被るという事になるのならば仕方ありません。ここで潰させて頂きましょう」
 と決意。
 それにイズマ、アレクシアも。
「そうだな。被害が出てからじゃ遅いわけだし、撃退するとしようか」
「うん。それでもやりすぎないようにはしたいね。血で血を洗う、なんて冗談じゃ無いもの、ね」
 ……と、決意するアレクシアを見て、アリスが。
「あ、今回……アレクシアも……一緒……! 友達から……聞いた……アレクシアの戦い方……アリスの目標……ピッタリ……! 戦いながら観察して……いっぱい……参考にさせて貰う……よろしく……ね……」
「え? あ、うん。宜しくね!」
 アリスににっこりと笑みを浮かべたアレクシア。
 そしてイレギュラーズ達は、ユリーカより聞いた『リンドルム』一族の根城である、小城へと急ぐのであった。

●時を研ぎ
 そしてイレギュラーズ達が辿り着いたのは、平原に建つ『リンドルム』一族の住まう小城。
 既に周りは暗闇に包まれており、静寂が広がる……筈だったのだが。
『へへへ、さぁ飲め飲めぇ!! 今日も一杯汗掻いたしよぉ、酒で打上げだぜぇ!!』
 と、荒々しい口調の叫び声が、イレギュラーズ達の居る所にも響き渡ってくる。
「特訓後の打上げ、って所かな?」
 そうサクラが小首をかしげると、イズマと舞花が。
「うん、その様だな……まぁそうしたい気持ち、解らなくもないが……」
「そうね……とは家このタイミングこそが、一番仕掛けるには都合の良いタイミングでしょう。疲労と酔いと眠気と……手早く確実に叩くには。一番確実なのは寝込みを襲う事だけど……流石にそこまで狙うのは、ね」
 正々堂々と対応しようとする、舞花の言葉にアレクシアが。
「うん、そうだね!流石に寝込みを襲えば大した抵抗も出来ないとは思うけど……彼らはまだ、そんなに酷い事をしている訳でも無いしね」
 そんな仲間達の作戦に、アリスはこくこく、と頷いて。
「うん……アリス……粘り強いから……盾役……頑張る……だから……攻撃……任せる……」
「ええ、解りました。では皆さん、彼らが盛り上がっている内に、城の中へと忍び込みましょう」
 とオリーブが皆を促し、そして沙月がランタンを用意。
 とは言え灯は付けないまま、暗視を持つ仲間達が先導し、敵の声がする方向へと足音を忍ばせ接近。
 段々と『リンドルム』一族の声が大きくなってきて、近づいてきているのが解る。
 そして……。
「……ん、ここだね」
 立ち止るマリア。
 灯が漏れている部屋……その部屋の中で酒を酌み交わしている彼ら。
 すでにもう、かなりの酒が入っている様だが……でもまだまだ終わる気配も無い。
 とは言え足元は少しばかりふらついており、かなり酔っているのは間違い無い。
「取りあえず、灯は不要そうですね」
「うん、そうだね……まぁ灯を消される、って可能性もあるから、突撃したタイミングで一応付けて貰えればいいかな?」
「そうね……解ったわ」
 と、沙月にサクラが依頼。
 そして、彼らが大笑いしている所へ、いざ……突撃。
「リンドルムの戦士達! 勇ある者は我に挑め!」
 と威風堂々、サクラが『光あれ』を早々に発動し、敵の注目を惹きつける。
『あぁ? 何だてめぇ!?』
『俺達の城に乗り込んできたって奴かよぉ!? うぜぇ、ぶっ殺してやろうぜぇ!』
 と、次々と立ち上がり、少しふらつく足元でサクラに向けて攻撃を仕掛けて来る。
 そこに、更にマリアが続き。
「猛省したまえ!! 受けろ! 天槌裁華!!」
 と、部屋の中に居る10人のリンドルム達に蒼雷式・天槌裁華を放つ。
 識別がないからこそ、敵だけしか居ないこの一瞬のタイミングに放つ事で、初っ端からの大ダメージを喰らわせる。
 加えてアレクシアも、敵の中心にディスペアー・ブルーを発動し、一人でも多くの敵へ魅了を付与する事で、敵の相互連携を邪魔する。
 更にアリスが、マリアの攻撃によりターゲットがぶれない様に。
「みんな……護る……そんな女の子に……アリスは……なりたい……」
 と、更に名乗り口上を追加発動。
 怒り効果がコロコロと変わり、武器の太刀筋が変わり、大きな武器故に身体も持っていかれてしまい、敵数人転倒。
『あー、くそっ! 邪魔だっての!!』
 仲間を乗り越えながら前進してくる敵陣、そこにオリーブ、舞花、イズマが前進。
「では、始めましょう」
 とオリーブが一番前の敵の懐に回り込む。
「貴方達の得物はその巨大武器……ならば、懐に潜り込めば、その勢いを相殺出来るでしょう」
 と、長剣を短く持ち、敵に至近戦の一撃を食らわせる。
 続くイズマは、識別持ちのH・ブランディッシュで、敵を的確に攻撃。
 更に舞花は、先の攻撃で傷ついた敵の集団へ。
「誇り高くハイエスタの戦士、お相手願いましょう」
 と舞風の一撃を放つ。
 そんなイレギュラーズ達の先制攻撃に……かなり酒を飲んでいるというのもあるが、10人居たリンドルム一族は転んでいたり、傷ついていたり……と燦々たる状況。
 とは言え体力はほどほどにあるので、そう簡単に倒れるような輩達ではない。
 次の刻、転んでいた者達は立ち上がり、体勢を整える一方で、残るリンドルム一族は、各々の剣に様々な属性を付与すると共に、攻撃を仕掛けてくる。
 そんな敵の攻撃に対し、アレクシアが仲間の位置を見定めながら。
「魔法が得意なのは、あなたたちだけじゃないんだからね!」
 と転身の魔花を発動。
 更にオリーブは懐から逃れようとする敵を追尾し、敵の得意な間合いを取らせないようにし続けながら、周りにも他の者達が居るのを見て、H・ブランディッシュにて、纏めて攻撃。
 同時にイズマも、別の範囲を含めてH・ブランディッシュの巻き込み攻撃。
 二つの範囲で、10人の内7人位を纏めて攻撃していく。
 更にサクラは『光あれ』を発動し、それに前後しアリスも名乗り口上で敵の引きつけを忘れずに行う。
 そしてマリアは電磁加速拳・裂華で、敵単体を狙い澄ましての攻撃。
 ……その一撃を食らった一体が、かなり瀕死の状態へと陥るので、そこに沙月が残影百手の一手を放つ。
『ぐ……ぐぁああ!!』
 その一撃に、崩れ墜ちる一人。
『何、だとっ……!?』
『こいつら……中々やるやつらか!?』
 と流石に廻っていた酔いも、少し醒めかける。
 ただ、足元がおぼつかないのは変わらない。
 そんな敵に対し、容赦無く舞花が鏡花で射抜き、確実にダメージを付与していく。
 ……そんな仲間達の動きと共に、敵の動きをしっかり見定めながらアレクシアは。
「魔法が得意なのは、あなたたちだけじゃないんだからね!」
 と敵に威勢良く言いながら、葬送の霊花や転身の魔花を状況に応じて与えていく。
 そんなアレクシアの動きに、アリスが。
「アレクシア……かっこいい……聞いてたより……ずっと……」
 きらきらとした視線を送るアリス。
 ともあれ、彼女も彼女の仕事として、怒り効果の付与と共に、仲間のダメージの具合を見て。
「女の子に傷……あってはならない……絶対に……!」
 と、決死の盾で仲間を守りつつ、SPDで回復、支援。
 そんな彼女の動きにサクラが。
「ありがとう、でも大丈夫?」
「ん……大丈夫……!」
 眼をキラキラさせるアリス。
 そんなイレギュラーズ達の連携の前に、酒を酌み交わした『リンドルム』達の連携は……中々に叶わない。
 様々な魔法をフルに活用しているものの、酒に呑まれた頭は靄に包まれている様で……機敏さにかける。
 そんな敵の動きに、あえてサクラやマリアが。
「貴方達は確かに強かった。もう少し修行を積めば、本当に手強い相手になっていただろうね……でも! 今なら連携も個人の強さも、私達が上だったね!」
「そうだ! 君達はどうしてこんな生き方をする? 事情はあるんだろうさ! でも、せめて一般人に迷惑を掛けないとか出来ないのか!」
 と言い放つが……リンドルム達には最早、冷静な判断力は無く。
『煩えんだよ!!』
 と、魔法を帯びた剣を全力で振り回す。
「仕方ないね。なら、私を止められるかな? 電撃も火炎も私には効かないよ!!」
 とマリアが反撃、更に沙月も。
「そうですね……ではここで、強烈な一撃をお見舞して差し上げましょう」
 と全力攻撃。
 そんなイレギュラーズ達の猛襲の前に、ひたすら武器を振る彼らは、上手に立ち回る事も出来ず……一人、また一人……と倒していいった。

●冥福を閉じる
 そして……全ての『リンドルム』一族を倒したイレギュラーズ。
「ふぅ……終わったかな」
 息を吐き、周りを見渡すイズマ。
 転がる骸と、彼らの武器。
 ……そしてほんの数人ではあるが、気絶した状態。
 そんな彼らに向けてイズマはぽつり。
「君達は単に楽しく暮らしていただけかもしれないが、これも仕事なんでね……俺個人としては、チームワークとか、特訓とか……そういう所は認めてあげたいけどな。鉄帝に抵抗するんじゃなければ、別の道もあったかもしれないが……」
 と零すと、それに頷くオリーブ。
「ええ。まぁ……きっと彼らとは永遠に分かり合えない事でしょう。護るべきものが、それぞれ敵対している訳ですからね」
「そうだね……ま、取りあえず倒れた人達については、弔いを捧げておくとしよう」
 眼を閉じ、軽くて手を合わせるイズマ、そしてイレギュラーズ。
 ……そうしていると、命からがら生き延びさせられた数人の『リンドルム』達が、朧気に目を覚ます。
『……ん……? あ、あれ……??』
 目を覚ますと同時に……後ろ手に縛られているのに気付く。
 そして目の前には、先ほど迄熾烈な戦いを繰り広げていたイレギュラーズ達の姿。
『くそっ……てめぇ、外せ、外しやがれ!!』
 威勢良く言い放つリンドルムの男、女。
 そんな彼らに対し、マリアが。
「そんなに体力が有り余ってるのなら、私の領地で兵士として働きたまえ! 君らほどの実力ならば、給料もそれなりに用意出来るよ! 一度検討してみてはくれないかい?」
『はぁ? てめぇ、何言ってやがる。ふざけてんじゃねえ!!』
 マリアの言葉に全否定で叫ぶ彼ら。
 ワーワーと叫びまくる彼らは、もはやイレギュラーズの言葉に耳を貸そうともしていない様な状態。
「……そうですか。実力はあるのだし、他者に迷惑を掛けないのであれば生きていく事は出来る国の筈ですが……」
「そうですね……君達が、周りの村とかに危害を加えない、って約束するなら、解放してあげてもいいんだけどね?」
『はぁ?』
「君達が最近、力を付けつつある、というのは聞いているんだ。私たちは、その力が変な方向……村や町を奪う為に使われるって危惧してる。それをしない、って言うなら……今の所は被害もないし、解放してもいいかな、って」
 怪訝な表情をする彼ら。
 無論、彼らからすれば、ただ特訓して、酒を飲んで寝る、という生活をしていた所であり、他者を傷付けようとする意思は……。
『べ、別に俺達は……そんな考えねえよ』
「そうですか……なら……」
 一旦アレクシアは周りを見渡す……それを見ない様に、明後日の方向を向くオリーブ。
 その他の仲間達は……暫し考えた後に、頷く。
「……分かりました」
 アレクシアは静かに、彼らの拘束を外し。
「……もし誰かに危害を加えようとしたら、また私たちが相手になるからね? そうならない様に、願ってるからね」
 と彼らを解放。
 残り数人となってしまった彼ら。
 彼らが今後どういう行く末を辿るかはまだ分からないけれど……命を助けられた事は事実。
 ささやかではあるが、それを信じる事にして……イレギュラーズは風が強くなりつつある、ハイエスタを後にするのであった。

成否

成功

MVP

アリス・アド・アイトエム(p3p009742)
泡沫の胸

状態異常

なし

あとがき

ノーザンキングス戦に参加頂き、ありがとうございました!
今回は酒飲みなノーザンキングスという事でしたので、酒を飲んだ後の寝込みを襲うかな……と思っていたのですが、皆様の正々堂々と戦う手段に感動しました……!

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