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シナリオ詳細

初夏に咲く大輪の火花

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●初夏にこそ恐れるべきもの
 初夏、気温は日々高まり、降り注ぐ陽射しも明るさを強めつつあった。
 野に生える草はいよいよその緑を鮮やかとし、咲き乱れる花々は今の暖かさを称えるようですらある。
 あらゆる命が活発さを増すこの時期、だからこそ恐れられている生き物がいた。
「ハチだー!」
 村人が叫ぶ。彼は顔に決死の表情を浮かべていた。
「女子供、ジジイとババアは家の中に入れ! 男は武器を持って備えろー!」
 カンカンと別の若者が鐘を鳴らして村人に危険を知らせようとする。
 村の入り口付近に、男たちが集まっていた。
 全員が鋤や鍬を手にして、できる限り武装している。
 なかには腹にまな板を括り付け、頭に鍋をかぶっている者すらいた。
 皆揃って、顔を青くしている。
 彼らはいったい、何を恐れているのか。

 ブゥ~~~……ン……。

 遥か草原の果てから音がする。
 それが何の音なのか、子供でも分かるだろう。羽音だ。
 蜂の羽音だ。
「来たぞ!」
 村人たちの前に立つ若者が叫んだ。
 街道へと続く平原の果てから、何か黒い靄のようなものが見えてくる。
 そう、蜂だった。
「オオジバクハナビバチが来たぞー!」
「村を守れー!」
 村人たちは奮起する。だがそれからおよそ一時間後、この村は全滅するのだった。

●害虫駆除のお仕事なのです
「蜂さんがドカーンと爆発するのを止めるお仕事なのです!」
「つまりどういうことだよ」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)の切り出しに、イレギュラーズのツッコミが冴え渡る。
「大きな蜂さんが出てきて村が大変なことになったのです! 蜂をどうにかしてほしいのです!」
 蜂、ねぇ。
 イレギュラーズは顔を見合わせる。
 確かに春~夏となれば蜂も活発になるだろう。
 蜂に刺されて死ぬという事故も時には起きることもあるだろうが、自分たちが出るほどのコトなのか?
「現れたのはオオジバクハナビバチという大人の手のひらくらいの大きさがある蜂さんなのです。しかも目標に体当たりしてドカーンと爆発するのです! 蜜じゃなくて動物のお肉を食べる蜂さんなのです!」
 オオゴトじゃねぇか。
「巣があるのは平原にある大きい木の根元なのです。平原の動物を食い荒らして、ついに人里に被害が出てしまったのです」
 聞けば聞くほど危険生物だ。
 話によると、十数年に一度だけ現れて、そのたびに大きな被害を出している蜂らしい。
「夜になると比較的動きが鈍くなるらしいので、夜に行くのがいいと思うのです」
 と、いうわけでイレギュラーズは害虫駆除に駆り出されることになった。

GMコメント

どうもー、天道でございます。
暑いですねー、ではしっかりシナリオやっていきましょー。

◆討伐対象
・オオジバクハナビバチの巣
 平原の木の根元にあるかなり大きな巣です。
 高さ6~7mくらいあるかもしれません。
 接近するとオオジバクハナビバチ×20が飛んできて攻撃してきます。
 ハナビバチは体当たりして自爆します。
 また、肉食性であるため肉を食いちぎるあごもそこそこ威力が高いです。

◆戦場
 平原です。
 それ以上書くことはありません。

◆時間帯
 夜がおすすめですが実際のところは自由に決めていただいて大丈夫です。

  • 初夏に咲く大輪の火花完了
  • GM名天道(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年06月19日 20時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
アトリ・メンダシウム・ケラスス(p3p001096)
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
西園寺 姫乃(p3p005034)
想拳
猟兵(p3p005103)
砂駆く巨星

リプレイ

●夜の野に蠢くもの
 今はもう、夜になっても風はぬるい。
 遮るもののない、風通しの良い平原であってもそれは変わらなかった。
「えー、では今回は、『いれぎゅらーずは混沌を開拓できるか!?』、なノリでお送りいたします」
 サクサクと、茂る草を踏みしめながら進む『希望を片手に』桜咲 珠緒(p3p004426)がそんなことを言いだした。
 今回の仕事はありていに言えば害虫駆除。
 専門の業者なりがやるものなのではないのだろうか。
「やだなぁ……、大きい蜂とかやだなぁ……」
 同道する『真っ赤な想い』西園寺 姫乃(p3p005034)などは、すでにいやそうな顔を見せている。
 手にしたカンテラで広い野原をかすかに照らしながら、彼女は珠緒の言葉にも軽く同調して、
「ホント、蜂退治って、イレギュラーズの仕事なのかなぁ……」
「蜂だからと馬鹿にできるもんじゃないだろう」
 そう言って姫乃の疑問に返したのは、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)であった。
「俺は蜂が嫌いだ。ガキの頃にひどい目にあってな。分かるか? ただの蜂ですら、場合によってはトラウマモノだぞ」
 訥々と語るジェイクの真剣さに、聞いている他のイレギュラーズが顔色を青くする。
 彼の言葉通り、ただの蜂と侮ることはできない。
 何せ、今回イレギュラーずが駆除を任されたのは超巨大であり、かつ自爆するとかいうシロモノなのだ。
「うぇぇ……、肉食の爆発する蜂とか危険なにおいしかしないよぉ……」
 姫乃なぞはすっかりげっそりしてしまっていた。
「だが仕事だ」
 少し重くなりかけた空気を、『同胞殺し』猟兵(p3p005103)がその一言でピシャリと打ち消した。
「割に合わねェってのは確かにあるが、報酬分のお仕事はしないとな」
 彼女の言葉はまさしくその通りで、何も子供のお使いでイレギュラーズはここまで来たワケではない。
 手にしたカンテラを前に突き出せば、そこには平原にポツンと生える大きな木があって、
「見つけた。これがオオジバクハナビバチの巣、かぁ……」
 アトリ・メンダシウム・ケラスス(p3p001096)がそこにある異物を見上げた。
 高さは何メートルあるのか。少なくとも自分の2倍や3倍ではきかないだろう大きさの、マーブル模様の蜂の巣。
「調べた情報通りだけど、実物見ると大きいなぁ……」
 しんと静まり返った夜の野原に、ありえざるべきその異物。
 カンテラの明かりでは色までは分からない。しかしスズメバチの巣を思わせるマーブル模様がいかにも禍々しい。
「これは、酷いなぁ……」
 辺りで何かを探していた『魔剣殺しの』ヨルムンガンド(p3p002370)が顔をしかめてかぶりを振る。
 彼女が探していたのは動物だ。
 ハナビバチについて、彼女の持つ技能で動物からも情報を得ようと思っていたのだが、そもそもその動物が全滅していた。
 そこかしこに、砕け散った動物の死体が転がっている。
 この平原がやけに静かな理由もそれに違いない。ハナビバチにやられたのだろう。
「あ~ぁ、全く期待外れだよ。こんなものまで見せられて、気分が悪いったらない」
 『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)が嘆息した。
 蜂と聞いて、食欲旺盛な彼女のこと、まずは蜂蜜などを想像したが、どうにも食欲が削がれる相手でしかなかった。
「これはさっさと片づけて、帰って優雅なディナーといきたいものだね」
 肩をすくめるいマルベートへ、『ペリドット・グリーンの決意』藤野 蛍(p3p003861)も同様にうなずいた。
「爆発する蜂なんて、ゲームみたい。針にも気を付けるべきかしら? ……気を引き締めて、始めようか」
 蛍が意識を集中し、魔導を解放する。
 大きな巣を包むように独特の色を持ったガスが発生した。強烈な毒性を有するそれが巣へとしみ込んでいく。
 すると大した時間も経たず、奇怪な羽音が聞こえてきた。
「そら!」
 ヨルムンガンドがカンテラを投げて、地面に落ちた明かりが巣のすぐ近くを淡く照らし出す。
 浮かび上がったのは、おぞましいまでの大きさを誇るグロテスクな蜂だった。
「人の手のひらくらいありそうだな……」
 それを見たジェイクも苦い顔をしながら両手にリボルバーを構えた。
 現れ出たのはおよそ二十匹。空中を揺れるように飛びながら、一斉に襲い掛かってきた。

●自爆蜂の恐怖
 近づかれてはならない。
 それがイレギュラーズが共通して抱いている認識だった。
「来るから、気をつけろぉ……!」
 ランタンを投げたヨルムンガンドが、まずは拳銃で迫り来るハナビバチを撃ってみた。
 ヂヂと、耳障りな音を鳴らしながら大きな蜂が空中で震える。そして――
「おぅわ!?」
 撃ったヨルムンガンド本人が、その音の大きさに思わず声をあげていた。
 そこそこの距離を隔てているのに爆風が全身を打ってくる。ハナビバチが自爆したのだ。
 爆発したそこは地面が軽くえぐれていた。えげつない威力だった。
「嘘ォ……」
 イレギュラーズ数人が、頬を引きつらせる。
 まともにくらえばそれこそただ事では済まないのは目に見えていた。
「あれが蜂だなんて、もう思わねェ!」
 相手の危険性を認識しながら、猟兵が果敢に切り込んでいく。
 それに気づいたハナビバチ数匹が彼女へと向かってきた。
「オウ、来いやクソ蟲共! 相手になってやらァ!」
 叫びながらも、もちろん猟兵はそんなものをまともに相手どるつもりはない。
「くらいやがれッ!」
 最も近いハナビバチへ、愛用の剣を叩きつけての一刀両断。
 刃に蜂の肉が引っかかる感触がしたら、そのまま後ろに飛び退いて至近の間合いから離脱。直後に斬られた蜂が爆発した。
「ひゅう……、あっぶな」
 自ら肉薄するという、それ自体相当危ない行動に出ながらも、見事に自爆を切り抜けた猟兵が額の汗を拭った。
 だが倒したのは一匹だけで、まだまだ敵はその数を減らしていない。
 それでも動きが鈍いのは、今が夜であることと蛍が放ったガスの影響もあってのことだろう。
 叩くならば、今しかないのは間違いなかった。
「動きが鈍っているヤツから叩いていこうか!」
 マスケット銃二丁を両手で構えるという特異なスタイルで、マルベートが弾丸を撃ち放つ。
 うち一発がハナビバチに命中。その身を大きく爆ぜさせた。
 一撃離脱か、遠距離からの射撃での撃破か、とれる対策はその二通りが主となるだろう。
 だがそれでイレギュラーズが全て滞りなく対処できたのかといえば、そうではない。
「こっちだよ、バケモノバチ!」
 アトリが自ら前に出て仲間の方に蜂を向かわせまいと注意を引く。
 しかしその死角に、別の蜂が迫りつつあった。
「危ないです!」
「え?」
 気づいた珠緒が声をあげるも、間に合わず――爆音が彼女たちの間に大きく轟いた。
「アトリさん……!」
 珠緒が慌てて吹き飛ばされたアトリの方に駆け寄り、治癒の符で傷を癒そうとする。
 その耳に聞こえる、ヂヂヂといううるさい羽音。数匹のハナビバチが珠緒の腕や足に食らいついてきた。
「ぐ、ぅぅ……!」
 獣の肉を引きちぎる大型のあごは、彼女の肌を容赦なく突き破った。
 激しい痛みに珠緒は叫びたくなってしまう。が、間一髪、その傷は蛍の魔法が癒した。
「よく頑張ったわね!」
「は、はい!」
 何とか、アトリを連れて蛍の方に逃げようとする珠緒であったが、ハナビバチは彼女たちを追いすがってきた。
 だが強烈な魔力弾が、ハナビバチを迎撃する。
「やらせるワケないでしょ! これでもくらえ――――!」
 姫乃であった。
 ハナビバチへと立て続けに魔力弾を撃って、仲間の後退を支援していく。
 全弾命中とはいかなかったが、十分な牽制にはなっていた。そしてそれは仲間へのチャンスに繋がった。
「そらそらそらそら! 砕け散れェ!」
 残弾を気に留めずにジェイクが二丁拳銃を次々にぶっ放していった。
 一発がハナビバチの急所に命中して自爆を誘えば、爆発の範囲内にいた他のハナビバチもその威力で誘爆する。
 四匹が連鎖的に爆発を起こし、巻き起こった爆風に土煙が舞い上がった。
「これが害虫駆除じゃなきゃ、ビシっとキマってたんだろうけどな」
 銃口からたなびく硝煙をフッと一息で消して、ジェイクが小さく苦笑した。

●それもまたここにはいない誰かのために
 オオジバクハナビバチは災害に等しい。
 そろそろ、イレギュラーズはその認識をはっきりと共有しつつあった。
 村一つを滅ぼしたというこの化け物蜂を相手にしながら、その危険性を認識し直しつつも、だが同時に対処法も見えてくる。
「体当たりしてきそうになったら、こっちから攻撃するチャンスだよ!」
「了解、つまり今だね!」
 アトリのアドバイスを受けて、姫乃が魔力弾を放つ。
 タイミングまさにドンピシャ。
 二匹のハナビバチが連鎖自爆で消滅した。
「そこだッ、クソ蟲!」
 猟兵の刃がハナビバチを強引に切り裂く。そしてまた彼女は飛び退いた。
 直後に、爆裂。
「何となくだが爆発するタイミングが見えてきたぜ……!」
 幾度か繰り返したからだろう。
 あれこれと考えずに直感に従って体を動かす。
 そんな猟兵だからこそ、ハナビバチの自爆のタイミングを体で覚えることができたのだ。
「イケるな、こりゃ」
 猟兵は刃を握り締めて粗野な笑みを浮かべた。
 無論、だからといって彼女一人で戦況を決することなどはできない。
 まだハナビバチの数は多い。それを制するのは個人の力ではなく、この場に集まった八人のイレギュラーズの総力だ。
 ヂヂヂと羽音を鳴らしながらヨルムンガンドへとハナビバチが迫った。
 もはや拳銃で狙えるほどの間合いもない。
 ヨルムンガンドは拳銃をしまうと、拳を強く強く握りしめた。
「自爆する前に――」
 叩きつけたその拳が、蜂の外骨格を思い切り砕き割る。
「ブチ落とせばいいんじゃないかよぉ……!」
 己の肉体にもダメージを与えるほどの、力任せの一撃。空中のハナビバチが勢いに負けて吹き飛び、そのまま爆発した。
 そして見届けることもせず、ヨルムンガンドは再び拳銃を構える。
 戦いは、終わっていないのだ。
 ハナビバチの群れを前に、ジェイクが身を躍らせた。
 弾を詰め直した二丁拳銃。
 それを握る手が空に像を残す速さで振るわれる。
「そろそろ終わりも見えてきてるよなぁ!」
 彼の言葉通りだ。
 巨大な巣から出てくる蜂の数が明らかに減りつつあった。
 ドカンとまた一匹が空中で爆ぜれば、それに巻き込まれて連鎖的に二匹が誘爆した。
 だが爆発の隙間を縫って二匹、ジェイクへと迫ろうとする。
「すまん、頼む!」
 彼は自分ではなく、傍らに出てきていた相手にそう告げた。珠緒であった。
「分かりました。いきます!」
 放たれた魔力の弾丸が、一匹を粉砕した。ドカンと爆音。
「きゃあ!」
「お、っと! 大丈夫かよぉ……?」
 爆発の勢いに吹き飛ばされそうになった珠緒を、ヨルムンガンドが受け止めた。
 そしてもう一匹。相対するのはマルベートだ。
「そろそろこっちは飽きててね。いい加減、目の前から消えてくれないかな!」
 マスケット銃から立て続けに放たれた弾丸がハナビバチの身を抉った。
 直後にマルベートは後ろに跳躍。爆発の影響圏から己を逃がす。
「ちょっと、ひやっとするね」
 それでもマルベートがそうつぶやくのは、やはり敵の自爆を警戒してのことだった。
 喰らわないように逃げるタイミングは掴めてきたが、一歩たがえれば自爆に巻き込まれる。それが怖かった。
 しかし――
「見て、巣から出てこなくなった!」
 長い時間を戦って、蜂の巣から出てくるハナビバチがついにいなくなったのだ。
「みんな、離れて!」
 そして蛍が、残り少ない己の魔力を振り絞って再び有毒ガスを発生させる。
 平原の木に作られた巨大な蜂の巣が強烈な毒の霧に包まれて、イレギュラーズが見守る中で――
「うぉ……!?」
 ジェイクが思わず身構えた。
 突然、蜂の巣の一部が弾けて壊れたからだ。
 そして続けてさらに何度も爆発が起きて、オオジバクハナビバチの巣は内部から一気に爆発四散した。
「死んだら自然と爆発するんだ……」
 ガスを発生させた蛍自身が、信じられないといった面持ちでその光景を眺めた。
 猛毒によって死んだハナビバチが自爆した。
 起きたのはたったそれだけのことだった。
 そして、それは結果としてハナビバチを全滅へと追いやる破滅的連鎖爆破へと繋がった。ということだ。
「……えっと、汚ねぇ花火だ?」
 何となく記憶に残っていたそのセリフを口にして、彼女はオオジバクハナビバチの最期を見届けた。
 しばらく、イレギュラーズはハナビバチの生き残りがいないかを警戒した。
 しかし、数秒、数十秒、一分ちょっとも待っても特に反応らしいものはなく、彼らはようやく実感した。
 害虫駆除は、ここに終わったのだ。
「怖い蜂もいたもんだな……」
 しみじみ呟く猟兵の言葉に、他の皆もそろってうなずいたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした。
作戦がよかったこともあって、ほぼ完勝でしたね!
害虫駆除、成功となります!

それではまた次回のシナリオでお会いしましょう!

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