PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<八界巡り>蛍の世界

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ワールドオーダー
 介入手続きを行ないます。
 存在固定値を検出。
 ――桜咲 珠緒 (p3p004426) 、検出完了。
 ――上谷・零 (p3p000277) 、検出完了。
 ――リュグナー (p3p000614) 、検出完了。
 ――ランドウェラ=ロード=ロウス (p3p000788) 、検出完了。
 ――清水 洸汰 (p3p000845) 、検出完了。
 ――マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス (p3p002007) 、検出完了。
 ――藤野 蛍 (p3p003861) 、検出完了。
 ――ジェック (p3p004755) 、検出完了。
 世界値を入力してください。
 ――当該世界です。
 介入可能域を測定。
 ――介入可能です。
 発生確率を固定。
 宿命率を固定。
 存在情報の流入を開始。
 ――介入完了。
 ようこそ。今よりここはあなたの世界です。

 ――イデア (p3pXXXXXX) が強制介入しました。
 ――姉ヶ崎エイス (p3pXXXXXX) が強制介入しました。

●平和な日常に乾杯
 令和元年。入学式の代名詞ともいわれがちな桜はとっくに葉桜となりかけて、花びらの散った道路の上を歩いて行く。
 蛍のゆらす鞄。小走りに後ろから追いついてきた珠緒が肩を叩いて、ほんのり笑って振り返る蛍。
 おはよう。

 女子高生はきっと何者にだってなれない。そう完成されてしまったから。
 何かになるのは、きっと女子高生をやめたときだろう。
 世界のひとつ上のなにかが、そうあれかしとしたのだから。

●ある女性は言った。「私が存在すると思っていたのはただの幻想なのね。あるタイプの見本にすぎないんだわ」
 A0011地球世界をシミュレートしたその空間は、不器用なくらい日常だった。
 零は机に座ってあくびをしているし、リュグナーは学ランのボタンをいい加減にあけて窓の外を眺めている。
 持ち込んだ金平糖を指の間でゆっくりと転がしながらぼうっとしているランドウェラや、朝から早くも教科書を開いているマカライト。
 洸汰とイデアは朝練を終えて教室へ入り、開いた窓から身体を乗り出して語らっていたジェックとエイスが振り返る。
 高校のいち教室に、蛍と珠緒がやってきた。
 おはよう。

 高校生はきっとそうなるべくしてなったのだ。
 日常は日常のまま回っていく。何かを大きく変えることもなく。
 ようこそ、ここが最後の実験場。
 A0011地球世界シミュレート。
 あなたの立場は、高校生。
 目的は、そうあること。

GMコメント

 ご用命ありがとうございます。黒筆墨汁でございます。
 当シナリオは、旅人8名の出身世界を個別にめぐる非連続シリーズ<八界巡り>企画の第八弾にして七回目の実験でございます。
 そうなることはそうそうないとは思いますが、全ての世界(8世界)を巡ることが必ずしも出来るとは限らない――そうはじめに述べたのは19年9月。およそ二年と半年前の出来事でありました。よもや本当に巡りきるとは、感慨深いものですね。
 このシリーズはこれが最後。次はないつもりで、どうかやり残しのないようにお過ごしくださいませ。

■ミッション
 この空間でのミッションは『高校生として過ごすこと』です。
 その間、どのような行動や会話をしていても構いません。
 別に規範や校則に従えというわけでなく、あなたの想像する高校生像に沿ったならそれで成功となります。

 どんな部活にはいってどんなふうに高校生活をしているのか考えながら、プレイングを書いてみましょう。

■イデアとエイス
 もしかしたら、こうして触れるのは初めてかもしれませんね。
 彼らはこの空間においてしっかりと実体ある存在としてあなたと高校生活をしています。
 同じ研究室内からではなく、不明な外部よりこの空間に接続を行っているようです。つまりは、どこかに彼らの実体があるということですね。

 その上で彼らはこの空間内であなたと同じ高校生として過ごしています。
 よって、あなたは彼らについてを彼らに尋ねることが出来ます。
 はじめに補足しておくと、彼らは特に隠したり偽ったりするつもりはないとは思いますが、おおむね彼らの主観からでしか答えることができません。
 たとえばあなたは自分が出産された瞬間の記憶を語れないように、生まれる前の出来事や地球の裏側のことを伝聞でしか語ることが出来ないようにです。
 だから『あなたは何故生まれたの?』と聞かれても、答えられるひとはいないでしょう。それはイデアたちも同じです。

 もう一つ補足しますと、彼らへの質問や交流を行うならその分の描写量がそちらにさかれますので、高校生活パートを大きく削ることになるかもしれません。描写量はトレードオフなんだなーとなんとなく思っていればオーケーです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <八界巡り>蛍の世界完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者

リプレイ

●ゆめのあとさき、ふしぎのくにの、あなのそこ
 生徒たちのいきかう廊下を、教科書を抱えて歩く。
 廊下に座り込んでだらだらと昨日のテレビ番組について話す男子や、窓からの風にあたって化粧品の是非について話す女子。漫画の貸し借りや家族の愚痴。
 『二人でひとつ』藤野 蛍(p3p003861)にとって、あまりにも当たり前の風景に。
「蛍さん、どうかした?」
 『二人でひとつ』桜咲 珠緒(p3p004426)の姿が、ちゃんとあった。
 同じ学生服を着て、並んで歩く。
 なんだか変な気持ちだねと蛍が言って、夢がちょっとだけ叶いましたと珠緒は言った。
 深く息を吸って、肩にながれる桜色の髪を横から吹き付けた春風に小さく踊らせる。
 立ち止まった珠緒に振り返ると、蛍はぴくりと指を動かして……魔術もなにも発動しないことに驚いたり、眼鏡越しにコンディションが見えないことに不便を感じたり、それが普通だということにどこか安堵したり。
 けれどそれでも、一番そばにあってほしいものがあることに、より深く安堵したりして。
「行こう、珠緒さん。委員会に遅れちゃう」
「まだ時間はあるのでは?」
「十五分前行動ですよ」

 がくんと頭が落ちて、机に額をぶつけた。
「いってぇ!」
 額を押さえて顔を上げると、目の前に『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)の顔があった。
「おはよう。よく眠れたか?」
「え、俺いつから寝てた?」
 よだれがでてないか口元をぬぐったりして慌てて身体を起こすと、教室はごちゃごちゃとしていた。休み時間の喧噪と静けさの入り交じった雰囲気が、思い思いにずらされた机の島々によって形作られている。
 昼休み特有のこの空気を目覚めて直で浴びると、なぜだか一人だけ置いて行かれたような気分になるものだ。
「ま、いいか。にしても腹減ったな」
 『恋揺れる天華』上谷・零(p3p000277)はふああとあくびをして、ポケットに手を入れる。
 取り出した財布を拓くと百円玉二個と五円玉一個。一円玉が三個……とみせかけて五個。
「購買?」
「そ、購買。ギリだな……時間的にも資金的にも」
「ふうん。不便なんだな。いつもみたいにパン出せばいいんじゃないか?」
 ほらあれ、と零がフランスパンをどこからともなく取り出すときのジェスチャーをしてみせるランドウェラ。が、零は首を振って苦笑した。
「あれは混沌にきてからみについたギフトだよ。フツーの高校生ってのは、パン一個買えるか買えないかのトコでギリギリ生きてるもんさ」
「ふうん……」
 ランドウェラにはその『普通』が分からない。
 彼にとっては異常こそが日常だったから、零のこの、無防備にうたた寝していても死なないような世界はかなり異常に見えた。
「そういやランドウェラは? 購買?」
「だな。見ろよこれ、『乳白色と真紅のこんぺいとう』。新発売」
 光にかざしてみせると紋様が浮かび上がるという、お菓子にしては随分凝ったつくりだ。
「僕はこんぺいとうがあれば満足だ。零はパン?」
「いや……おにぎりだな。たぶん売れ残ってる昆布」

 屋上のフェンス越し、校庭でドッジボールをして遊ぶ生徒達を見下ろす『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)。
「平和な世界、か」
 こめかみにスッと人差し指をあてると、混濁した記憶の中から似たような景色が浮かんでくる。
「夢中夢を見すぎると現実を疑うというが……あまり頻繁に経験すべきことではなさそうだな。あれは」
 確かに、覚えている。
 八つの世界……否、八つの『世界をシミュレートしたもの』の中でした経験。
 その中で確かに存在した違和感たち。
 自分たち八人と異なる、登場するはずのない登場人物たち。
「イデアと、エイス……。何者であるか(フーザイット)は、この際どうでもよい。
 この世界に何者かを偽る者も、何物でも無い者も、はるか大勢存在する。
 重要なのは――何故そうしたか(ホワイザイット)」

 見下ろす校庭を元気に走る『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)とイデア。
 投げたボールをキャッチして、洸汰は他の仲間へとパスした。
「しっかし、これで、皆の世界を見終わる事になるのかー。
 すげーハードなとこもあったし、すげー不思議なとこもあったし、すげー燃えたとこもあったよな。楽しかったし、今度も楽しむつもりだぜ!」
 投げたボールをキャッチしたイデアは、それを手のひらの上でくるりと回す。
「今度も宜しくな、イデア!」
「こんど? なにワケわからないこと言ってんだよコータ。ほらパス!」
 ボールが山なりに飛んでいく。

 飛んだボールを、渡り廊下脇でぼんやり眺める『黒の猛禽』ジェック・アーロン(p3p004755)とエイス。スポーツドリンクの空き缶を空っぽにすると、すぐ近くのくずかごへと放り投げた。
 かつんと壁にぶつかってくずかごへ入るかと思いきや、縁にあたって地面へと転がる。
「あーあ」
 ため息をつきながら空き缶を拾うエイスを、ジェックは横目で見ていた。
「ねえ、今日の授業いみわかんなくない? 『アキレス腱の亀』だっけ?」
「『アキレスと亀』、ね」
 今までも、当たり前のように接してきた。
 けれど、ちゃんと『認識』したのは今が初めてだったかもしれない。
 エイスは白い髪をした……それ以外は日本によくいるような少女だった。
 そういう意味ではジェックやその家族と似ているし、似ていないとも言える。一方でイデアは髪も肌も真っ白で、どこか浮世離れして見える。こちらのほうがジェックの家族によく似ていた。
「イデアってさ、なんか、アタシの……異父弟に似てる」
「ふうん。ああいう見た目なんだ?」
 問いかけられてからもう一度みると、もうジェイドにしか見えなかった。目を瞑って首を振る。そして再び見つめると、印象がまた遠のいていく。
「お兄ちゃんは見る人によって違って見えること、あるからね。ジェックにとってはその弟くんが『心残り』だったのかな?」
「…………わかんない」
 問い詰めるべきだろうか。そう考えて、やめた。
 これが最後になるかもしれないなら。
 もっとちゃんと味わっておくべきだろう。
 『誰かの日常』『誰かの普通』『誰かの故郷』ってやつを。

●人間は愛というものを、正しく発音できない
(今回で実験も終わりか……長い依頼だったが、得られる物が多かったと思う。
 擬似空間とはいえ故郷の空気を吸えたし、他の旅人の……大分歪んでたらしいが世界も見れた。
 まぁ今回が最後かは分からんし、何より歪んだ元凶っぽい奴らも同席する訳だが……
何はともあれ何十年ぶりの高校生活、楽しむか)
 『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)は屋上への扉を開け、既に集まって円を作っている仲間達を見た。
 彼を含め屋上に10人。
 この世界ではろくに接点のない彼らは、まるで示し合わせたように……いや、実際示し合わせて集まっていた。
 昼休みの屋上には、彼らしかいない。というのもリュグナーが合鍵をこっそり持っていたからなのだが。
「よかろう、つるやのカツサンドだ。少し余分に買ってきているが……等価交換だ、貴様の弁当の具を寄越せ」
「お、いいぞー! ミニハンバーグ入ってんだ、これやるよ」
 野球のバットとグローブを横に置いて、弁当の包みを開く洸汰。
 どこからか『何でお前が』という囁きが聞こえた気がして、その声がひどく懐かしい気がして空を見上げたが、そこになにがあるでもなし。
「どうした」
「いや、別に。それより放課後ラーメン屋いこーぜ」
 赤い暖簾のラーメン屋! ニコニコ笑顔のおっちゃんが作ってるハムカツ! 近所によく来るアイスクリームカーで売ってるソフトクリーム!
 この鉄板コースを巡るつもりの提案である。
 イデアは『いいな!』と言いながら購買のこんびおにぎりをもふもふやっていた。
 同じく昆布おにぎりとコンポタの缶で昼の飢えをしのぐ零は、『そろそろかな』とつぶやいてから真面目な顔でイデアとエイスを見た。
「なあ、どこまで覚えてるんだ?」
「は、なにが」
「前の……他の世界のことだよ。介入装置を使って仮想世界にいくつもログインしてきたけど、そのいくつかでイデア、お前の姿があった。死なせちまった記憶ばっかりだけど、今みたいに友達だったこともある。
 イデア、お前は覚えてるんじゃないのか?」
 そう問いかけると、イデアはこんぶおにぎりをほおばったまま『はあ?』と疑問符つきで返してきた。
「いやお前とは友達のつもりだけど、仮想世界って何の話だ? ゲームか? 俺、ネトゲとかあんまりやらないから詳しくないんだよ」
「覚えていなくても良い。我の出身仮想世界において、我は貴様を殺めた」
 手をとめ、語り始めるリュグナー。
「それが世界の役割ではあったが、許せとは言わぬ。ただ、己の心の整理の為、述べたまでだ。
 代わりに、と言ってはなんだが、もしいつか、貴様が何かに困ったら、助けがいる事があれば」
「え、なんだよ急に、何の話?」
 苦笑するイデアに、リュグナーは力のある言葉でこう加えた。
「その時は、今度は我が必ず貴様を助けてやろう。
 ――約束だ。我は、嘘はつかぬ」
「…………」
 リュグナーの言い方に、マカライトはちらりと視線をやる。
 そして、自分から言うべきことはあるだろうかと考えた。
「今、お前らは楽しいか?」
「ん? ああ、もちろん」
 ごく普通に、なんのてらいもなく言うイデア。
 それでいいのだろうか。
 肉じゃが大根の煮物卵焼き、というふつうの弁当に視線をおとしてから、今度はエイスのほうを見た。
 エイスは。
「私にそれを聞くのは、ちょっと野暮なんじゃない?」
 と、肩をすくめて言った。

「イデアお兄ちゃんに他の世界(ワールド)のことを聞いても無駄だよ。記憶の持ち越しはしてないから。私が持ち込んでないだけだけど」
「――」
 珠緒の視線が動いた。
「『持ち込んでない』」
「そ、持ち込んでない」
 女の子らしいというべきか、こじんまりとした可愛らしい弁当箱をぱたんと閉じて、箸をケースにしまうエイス。
「私がどうしてもおにいちゃんと一緒にいたかったから、作っただけなんだ。丁度良い計画があったから、乗っただけ。けど、ここまでみたいだね。あの人にバレちゃった」
 そのとき、ガラスの割れる音がした。
 ガラスのように空が割れて、海のように空がうねって、世界に大きな亀裂が入った。
「■■になるなら、■すしかないよね」

●ワールドオーダー
 介入手続きを行ないます。
 存在固定値を検出。
 ――桜咲 珠緒 (p3p004426) 、検出完了。
 ――上谷・零 (p3p000277) 、検出完了。
 ――リュグナー (p3p000614) 、検出完了。
 ――ランドウェラ=ロード=ロウス (p3p000788) 、検出完了。
 ――清水 洸汰 (p3p000845) 、検出完了。
 ――マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス (p3p002007) 、検出完了。
 ――藤野 蛍 (p3p003861) 、検出完了。
 ――ジェック (p3p004755) 、検出完了。
 世界値を入力してください。
 ――当該世界です。
 介入可能域を測定。
 ――介入可能です。
 発生確率を固定。
 宿命率を固定。
 存在情報の流入を開始。
 ――介入完了。
 Rapid Origin Online betaようこそ。今よりここはあなたの世界です。

「……ボクの将来の夢、学校の先生なんだ。
 どの学科も一通り修めておかなきゃだから、こうして苦手分野を克服できて、とても感謝してるの。
 だから今日も言わせてね、珠緒さん。
 ここにいてくれて、どうもありがとう」
 図書室でふたり、蛍と珠緒は並んで教科書を並べていた。
 からっぽになった手作りのお弁当箱はおそろいのものが二つ。珠緒の鞄へとしまわれる。
「もし蛍さんが先生になるなら、珠緒は最初の生徒ですね」
 とても誇らしいです、と微笑む珠緒。
「珠緒が……もし混沌世界を離れ、蛍さんと同じ世界へと旅立てるなら、きっと、その」
 科学の勉強をしたい。世界から救えない病気を減らしたい。そんな平和な夢と並んで。
「よき伴侶で、ありたいです」
 そっと、蛍の手に珠緒の手が重なった。

「これがオレの鉄板買い食いコースだぜ!」
 ソフトクリームをぺろぺろやりながらビッと親指を立てる洸汰。
 マカライトは『なるほどな』とつぶやいてソフトクリームを見つめている。
 ランドウェラはといえば、どこまでもマイペースに金平糖を買い込んでぽりぽりとやっていた。
「そういえば、今回のこれって実験なんだよな。旅人から出身世界の情報を抽出するっていう」
「正しく抽出できるとまでは思わないが、我から見てもかなりよい再現がなされていた」
「だよな。俺も実家みたいな安心感があったぜ。つっても、俺の時のシミュレートは途中で中止になっちまったけどな」
 リュグナーと零も、ガードレールによりかかって並んでいる。
 男五人。
 けれどなぜだろう、一人分の隙間が空いていた。

「ゲームセンター、実は1回だけ行ったことあるんだ。
 アタシ、シューティングゲーム意外と得意なんだよ」
 ジェックは一人で自動ドアをくぐると、陽気な音楽が流れるクレーンキャッチ筐体の間をゆっくりと歩く。
 ひとつの筐体にめととめると、ポケットからコインを取り出した。
 コインを投入すると点灯する『タスケテ』という数字。
 『カエシテ』と書かれたボタンを押してゆっくりとクレーンを操作すると、ぬいぐるみの上で上手に止めた。
「取れるかな? お小遣い全部使っちゃわないよう気を付けないと」
 ゆっくりと下りるクレーンアームが、兄と妹二人がよりそったぬいぐるみを掴み上げ、そして兄だけを転げ落とした。
 あーあといって一歩さがり、ふとプリントシール筐体に目をとめる。
「これも撮りたいな。可愛くデコったっりしてさ。混沌世界に持ち帰れないのは残念だけど」
 ジェックは一人で筐体の撮影室へ入り、コインを入れる。
 『コワレチャウ』という案内画面が表示され、陽気な案内音声が流れ出した。
 『繧ェ繝阪ぎ繧、』
 『繝上Ζ繧ッ』
 『繝ッ繧ソ繧キ繝イ繝溘ヤ繧ア繝』
 やがて筐体を出ると、ストンとプリントシールが取り出し口へと落ちた。

 手に取ると、笑顔のジェックと笑顔のエイス、そしてかすんで消えかけたイデアが写っていた。
 ハッと顔をあげるジェック。
 誰も居ない場所に手を振って。
「そっか。じゃあ来週、21時にR.O.Oの噴水前に集合ね!」

●実験終了
 目を覚ます。チャンバーのカバーが開き、八人は身体を起こした。
 真っ暗な、そして殺風景な部屋だった。
「おい、誰かいるのか? 部屋の使用許可は出てないぞ」
 そこへ一人の、眼鏡をかけた白衣の青年が現れた。
 手探りで照明をつけると、殺風景な部屋が更に殺風景に見える。
 チャンバーだけが八つならんだその部屋の、入り口にたつ研究員らしき男性。
 洸汰によく似た彼は、洸汰を見て。
「お前……清水洸汰、どうしてここに」
 彼の胸には、『清水湧汰』というネームプレートが下がっていた。
 ふるふると首を振る珠緒。
「すみません。姉ヶ崎博士の実験に協力していたんですが、話は聞いていませんか?」
 そんな問いに、清水湧汰は眉間に皺を寄せたまま答えた。
「はあ? あねがさき? そんな奴はここにはいないぞ!」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――アバターを作成してください。
 ――アバターを作成してください。
 ――アバターを作成してください。
 ――アバターを作成してください。
 ――アバターを作成してください。
 ――アバターを作成してください。
 ――アバターを作成してください。

PAGETOPPAGEBOTTOM