PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ロボシャークvsサメちゃんズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――サメ。
 もはやわざわざ語る程の事ではないが、サメとは空中戦を得意とする生物で、嵐に乗ってやってくる獰猛な生物として皆さん幼い頃からご存知だろう。そのサメの脅威はここ練達にも年に十回ぐらいお祭りの感覚でやってくるとか来ないとか。
「くそー! だが今年こそサメの連中のいい気にはさせねぇ……!
 ついに完成したんだからな――奴らへの対抗兵器『ロボシャーク』が!!」
 だが暇な……失礼。時間に余裕を持つ練達の科学者はサメに屈してなどいなかった。
 サメがやって来る事を避けられないのならサメを倒せる兵器を作り出せばよい。

 その結果で生み出されたのが何を隠そう、ロボシャークであるッ――!!

 倉庫の中にライトの光が灯される――照らされたそこにあったのは、無数に立ち並ぶサメ型機動兵器『すちシャーク』……大きさは通常のサメより少し大きいぐらいだろうか。外見が実にロボロボしい事以外は正にサメである。
 これらは対サメ用の戦闘能力を携えている。
 時が来れば一斉に起動し、空より迫りくるサメたちと熾烈なラグナロクを繰り広げる事であろう……ふははははそれまでは三重に備えられている安全装置が彼らの眠りを保たせて……んっ?
「……な、なんだ? どうして起動準備が始まっている!?」
 しかしその時科学者は気付いた。
 すちシャーク達がいきなり目を紅く輝かせている事に。これは起動の合図だ――ッ!!
 馬鹿な! 周囲にサメもいないのにどうして、どうして――!!?


「うわああああああまたサメがああああ――ッ!!?」
「な、夏子さんどうして――!?」
 コラバポス 夏子 (p3p000808)達はとある依頼で練達に来ていた――が、その途上にてサメに襲われる事態になっていた。夏子を頭から被り付く様に振り落ちてきたサメをどかそうとタイム (p3p007854)が四苦八苦している。
 だがこのサメ、妙だ。
 夏子の頭に被り付いているサメ……これはとても生き物とは思えず……!
「ふふ――いわゆるメカって奴ね。
 ついにスティアさんは非生物のサメすら魅了する様になったのかしら」
「ど、どうして私を見るのかな!? 違うよ、こんなの全く知らないよ!!?」
 そう。エンヴィ=グレノール (p3p000051)の言うように――機械で出来たサメだったのだから! 思わず視線はサメの伝道師にしてサメ召喚士の権威でありますスティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)さんに。しらばっくれても無駄ですよスティアさん!
「おい見ろよ――どうにもあっちの建物から次々に飛んできてるぞ」
「いやそもそもどうしてサメが空を飛んでるんですかね? サメって海にいる生物じゃ……」
「わ、わわわ――!! 見てみて、逆の方! あっちからは普通のサメが飛んできてるよ!」
 ようやく夏子の頭からサメをどかす事が出来た矢先。伊達 千尋 (p3p007569)が視線を向けた先からは――次なるロボシャークがこっちに向かって来ていた。しかしクラリーチェ・カヴァッツァ (p3p000236)にすれば元々サメが空を飛んでいる事自体が信じがたいのだが……
 しかし悠長に思考を巡らせている場合ではなかった。
 フラン・ヴィラネル (p3p006816)が指を差す、千尋が見ている方向とは逆からは――なんとロボではない生身のサメが真っすぐ此方へと飛来してきているではないか。これは一体どういう事なんですかスティアさん!!
「知らないよ――!? 私、今回は本当になんの心当たりもないもん――!!」
「――という訳で説明いたしましょう! ようこそイレギュラーズの皆様!」
 瞬間。スティアの嘆きと同時に物陰から現れたは一人の男だ。
「あ。これはどうも、今回皆様に依頼をしました研究所の職員でして……まずあちら。我らの研究所を壊滅状態に追い込んで暴走を続けているのが、開発研究を重ねておりましたロボシャークの『すちシャーク号』です」
「なにその名前?」
「あれは元々サメに対抗するための兵器として生み出されたのですが……ご覧の有り様です!」
 原因不明の事故により暴走してしまったらしい。どうして……
 そして逆方向から訪れているサメの大群は、本来ロボシャーク達が相手をするはずだったサメ達。練達に年に何度か襲い掛かって来る、空中戦特化の連中である……! 見る限りどっちも十とか二十とかいう数ではない。うわぁコレどうすればいいの、帰っていい?
「ええ、もうちょっと。本来皆様にはすちシャーク号の起動実験に立ち会って頂いて万が一暴走があった際にはその相手をお願いするつもりだったのですが……もう研究所も壊滅してますしそれ所じゃないので逃げて頂いて構いません。私も逃げますし!」
「ねぇ、その名前なに???」
「あっ、ご安心ください! こんな事もあろうかとロボシャークには自爆装置を積んでおりました。暴走してもやがて自爆装置が作動し、この周辺が木っ端微塵になるぐらいで特に問題ありません!」
「問題ありまくりだッ――!?」
「いや本当に問題ないんですよ! その爆発はあれやそれやの科学的理由でサメ以外には安全な爆発で……その為一定時間を耐えきれば全て吹き飛ばして何もかも解決に――う、うわああああサメが――!!」
 その時。色んな説明をしてくれた研究職員が空から降ってきたサメに丸のみにされた。あぁ~!! とんでもない光景だがまぁどうせ空を飛ぶサメの事なのでなんだかんだ死傷者とかは出ずに、皆後で無事に救助される事だろう多分。
 ともあれまずい、まずいぞ。サメはどんどん降って来るし、さっきの人の言う事が正しければやがてこの周辺一帯で大爆発が発生する可能性が……それに巻き込まれれば一体どうなる事か……!
「……今すぐここを離れないといけないね。でもスティアちゃんはちょっとそろそろ責任の取り方を覚えておいた方がいいんじゃないかな……?」
「サクラちゃん!? どうしてそんな事をいうの、信じてよ――!!」
 親友、サクラ (p3p005004)ちゃんの瞳ははたして本気か冗談か。『どうせこの暴走とかサメの襲来とかは、またスティアちゃんの所為でしょ?』ていう感じの色を携えていたとか。

GMコメント

 サメだああああああああああああああ!!
 リクエストありがとうございます、よろしくお願いします!

●依頼達成条件
 とりあえず皆無事になんとか生き残る!

●フィールド
 練達郊外ペルージ地区。
 ここはとある暇人共……もとい科学グループの私有地です。練達に時々襲来するサメへの対抗策が研究されていたんだとか。しかし何故か凄いタイミングで暴走したロボシャーク達によって研究所は壊滅。
 研究所に向かっていた皆さんにはロボシャークと普通のシャーク達が襲い掛かってきています! このままでは皆さんの身が危険です(多分)。
 なんとか逃げ延びましょう!

●ロボシャーク『すちシャーク号』
 シャークライトに対抗するために密かに作り出されていたロボシャーク。
 空を飛べるは当然ですが、なんとこいつらサメの癖に海も泳げますし淡水も平気です。
 ですが現在はスティアさんの魂の接近にあてらr……いや何故か不明ですが暴走状態にあり、人もサメちゃんも等しく襲う状態となっています。

 一定時間が経過すると自爆します。(どうして……)
 どういう原理かサメ以外の生物には特に効果がない様です。その為周辺一帯で爆発が生じても皆さんは無事な事でしょう――マジでどういう原理してるんですかね、スティアさん?

●サメちゃんズ
 沢山のサメちゃん。海から飛んできてるようです、春の風物詩ですね。
 何に惹かれて集まってきてるのか不明ですが、とにかく人を噛んだり丸のみにしたりしようとして来ている様です。あ、空ではロボシャークと戦っている様も見受けられます。本来なら夏の風物詩なんですが……今年は早いなぁ。
 先述の通り噛んできたりしますが、あんまり痛くはありません。
 でも彼らに噛まれたりすると動きは鈍くなる事でしょう……そうしていると段々群がられて……

●情報精度
 このシナリオの情報精度はSAMEです。
 サメは皆さんの事がだいすきです。よかったですね、グッドラック!!

  • ロボシャークvsサメちゃんズ完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エンヴィ=グレノール(p3p000051)
サメちゃんの好物
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
サクラ(p3p005004)
聖奠聖騎士
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
タイム(p3p007854)
女の子は強いから

リプレイ


「もう一通りサメに遭遇するイベントはこなしたと思うんですが、終わりはないんですかね」
 虚ろ気な表情で天を眺めるのは『罪のアントニウム』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)である――まさかロボの時代が来るとは。
「ええ……ふふ、まさかロボットまで出てくるだなんて……時代は進化するものなのね。もうどんなサメが出てきても驚かないと思ってたのだけど……次は時間を超えてくるサメでもいるかしら」
「とりあえず私は無実だよ――!」
 同時『ふわふわな嫉妬心』エンヴィ=グレノール(p3p000051)が元凶であろう『サメ召喚士』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)へと視線を向け――おーとどうやら被告人は無実を主張している様です。
「うぅ……いつも通りと言えばいつも通りだけど、回数を重ねる度に規模と混迷度合いが上がってる気がするよ……もう私じゃあ……スティアちゃんを止められない……」
「サクラちゃんだから私じゃないよ!? ねぇ聞いてる!?」
 ほら親友の『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)さんもこう言ってますよ。
 が、今はそれ所ではない。サメ達がこっちに更に来る前に……
「ぐぁあなん! 何故! 何故僕が狙われるような羽目に!! 全く心当たりがないぞ!? 僕はただ女の子たちのお尻やお胸を恭しく拝見させて頂いてるだけでなんの罪も……ウソ……私の半身! 飲まれてる~ッ!? サメが身近~!」
「バポセ――ン!
 気を確かに持て! 飲まれたらそのまま胃袋直行だぞ――!」
 現在進行形で捕食され中の『八百屋の息子』コラバポス 夏子(p3p000808)を助けねば! なんか別件有罪な発言が零れた気もするが、見捨てる訳にもいかないと『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)が往く!
「チキショウ! お前らバポセンを離しやがれ!!
 バポセンはなぁ……バポセンはなぁ……!
 俺のなぁ……! ええと……! あの、その、あれだ……」
 あれ? よく考えたら身を呈してまで助ける必要ってあるのか……?
「――助けて! サメくらい面白半分に引き千切れるでしょ!」
 バポセンは一体千尋を何だと思っているんだろうか。
 二秒ぐらい熟考したが、ここは自分の身の安全を優先していい気がしたので。
「あばよバポセン! 達者で暮らせよ!」
「ちょ待っ! ヘェルプミ――! 魔種はデコピンで砕き竜種を手を翳しただけで光の粒子に変えたと言う海開きの男伊達千尋神――! 今こそお慈悲を――!」
 物凄くいい笑顔で離れる千尋! ていうかなんだそのめっちゃ凄い逸話!?
 しかし捨てる神あれば拾う神ありか。入れ替わりに駆け寄ってきたのは『青と翠の謡い手』フラン・ヴィラネル(p3p006816)……だが。

「コラボパス夏子 此処に眠る。うん、これでいいかな――夏子チェックヨシッ!」

 夏子の一歩手前に適当に文字を書いて二礼二拍手一礼。たすける? 何の話?
 あれ正確にはコラボパ? コラパボ? んーま適当でいい……あっまだ生きてた! しっかり飲ませておこうと押し込もうとしたその時。
「わああああ! 夏子さん、食べられちゃやだ――!」
 降り注ぐサメを振り払いながら辿り着いたのは『優光紡ぐ』タイム(p3p007854)だ!
 またサメ召喚のチャンスかなーっと思ってついてきたタイムだったのだが、どうしてこんな事になっているのかサッパリ分からない。サメの極意を掴むイベントはどこに? これだけ大量の天然サメと人工サメがいれば侃々諤々サメざんまい~♡ って思ってたのに!
「やだやだ! 夏子さんを食べないでー!
 食べるなら……あ、サメちゃんが来、きゃあああ! たすけてすちー! 責任をー!」
「責任ってなにー!?」
 製造物責任法ぉぉぉ! 新たに襲来したサメちゃんに飲まれるタイム。
 なんという地獄絵図か。空には大量のサメ。地には呑まれる人々……
 混迷するこの状況をはたして制する事が出来るか――イレギュラーズ達の意図せぬ挑戦は始まろうとしていた! どーしてぇー!?


「とりあえずサメちゃんとすちシャークが空中大決戦をしてる中、私達は逃げれば良いのね?」
「ええ。今回も夏子さんとエンヴィさんという絶好の餌がいますので二人の尊い犠牲に祈りを捧げつつ逃げるとしましょうか」
「やっぱりそうよねとりあえず逃げ……クラリーチェさん、今なんて?」
 聞き間違いだったかしらとエンヴィはクラリーチェの方を向くのだが、当の彼女は知らぬ存ぜぬ……あ、涙目になった! 冗談ですって冗談!!
「とりあえずロボスティアさん達……え、スティアさんではない? まぁ細かい事は気にしないで行きましょう。とにかく――ええ。夏子さんを見捨てるのもアレですし、治癒しながらやっていけばいいですかね」
 よしよしと『私は……私は餌なんかじゃないわ……』と嘆くエンヴィの頭を撫でながら、視線を向ける先にいるのは――

「駄目だよーサメちゃん。夏子さんもタイムさんも人間だからねー。
 噛んだら痛いし千切れるから離してあげてねー。
 ほら、ちゅーる、じゃないシャーるあげるから~」

 えーん全然言う事聞いてくれないよ~
 夏子達を呑み込んだサメ達をなんとか説得しようと頑張るサクラだが、そもそも言語が通じてるかも怪しい……ていうか。
「そりゃそうだよ! 冷静に考えてサメに言葉は通じないよ! 私何やってるの! 真面目にサメになんか話しかけて……脳がスティアちゃんに侵食されつつあるよ! やだー!」
「サクラちゃん!? なんかどさくさに紛れて凄い事言ってない!?」
 後ろから親友の抗議の声が聞こえてくる気がするんだけど、今はそれ所じゃないから流しておこう。
「あ、でもこうやって撫でて挙げるとちょっと可愛いかも……ほら犬とかもさ、この辺りを撫でられるといい表情するしね! ほーらこちょこちょー……あれ? なんか周りに一杯来て……」
 とても優しい撫で方にサメ達が魅力を見出したのだろうか。
 いつのまにやらサクラの周りは『撫でて撫でて』と大行列が……あれ、もしかしてこれ逃げられない? 墓穴を掘っちゃった? やだー!
「あああサクラちゃーん!! くそ! なんてこった、美少女がサメに呑まれるなんて! 僕を見捨てた伊達千尋とかいう男はどうなってもいいけれど、サクラちゃんは許せんぞ――! あ、サメが食い込んでくるイテテテ!」
 夏子は言う。美少女の危機に動かないなどという選択肢はないと! 女の子たちと生きて帰って楽しく歓談して過ごすんだ――! でもどうしていつもサメ、夏子を狙うん?
「うう、夏子さんだけは絶対助ける……!
 安心して! こんな事もあろうかと――持ってきてたの!」
 サメの口からなんとか脱出するタイム。そして夏子を呑み込んでいるサメをぽこぽこ叩きながら、んっ? その手に抱いているのはまさか――!

「じゃーん! サメクターズカット~! これがあればサメちゃん達を大人しくさせああああっ!? 何!? なんでいきなりサメ達が雨あられの様に……どーして! 誰の所為なのよ一体ー!」

 誰かの所為にしたいが自分の顔しか思い浮かばない。ぐすっ。サメクターズカットを出した瞬間からなんか降り注ぐ勢いが凄くなった。そればかりかロボはレーザーまで撃ってきて……うわあああ!
「駄目だ! このままじゃきっと全滅しちまうぜ……ハッ、そうだ!
 ロボシャークはメカであって生物じゃねえ。って事はバイクと変わんねえな! ヨシ!
 スティアちゃん、ちょっと協力してくれ! 立ってるでいいから!」
 え、何々? どうした千尋さん――と、スティアが呼ばれてトコトコと。
 頭の上に疑問符を浮かべながらも千尋の指示に従い、そして。

「おっしゃ来やがれロボシャーク! お前らのオリジンはここにいるぜぇええ――!!」

 天に向かって雄叫びを放つ千尋の声に気付き集まって来るすちシャーク号達! うーんやっぱりオリジンには惹かれるものなんですね。ともあれ引き付けて……トゥア!
「行くぜ! サメクターズカット、インストーーーーーーール!!」
「わわわ待って千尋さん! すちシャーク号に、そんなものを入れたら――!!」
 強引に頭の所を引っぺがしたらやっぱり案の定なんかモノを入れる空間があったので、突っ込んだ千尋。フランが止める声も聞かず……さすれば虹色1680万色に光り輝く――これぞ正しく。

 ゲ ー ミ ン グ す ち シ ャ ー ク 号 !

「いいか? お前は俺に見初められた栄誉あるロボシャークだ!
 お前はこのままサメと戦って自爆するだけのロボ生でいいのか?」
 その時。心臓が無い筈のロボに確かな脈動が……!
「いいわけねえだろ! 運命に反逆するんだよ! 俺とならそれができる!
 俺と、俺と燃え上がれ! ロボシャーク!
 いや今からお前は伊達シャークだ! 行くぞ伊達シャークGO!」
 天空に光り輝く軌跡を散らす伊達シャークGO……あ、これはですね。号とGOをかけたギャグでして。ええ、はい。GOっていうのは行くって言う意味がありまして、それと号を……
 ともあれやばい。地上には三倍速でサメが降り注いでくるし、空中は伊達シャークGOが光り輝きながら他のサメ共を打ち落としている。サメってなんだ!?
「そんな……よかれと思って渡したサメクターズカットあんなことに……」
 あっちこっちでパワーアップする姿に思わず慄くスティアだが、それより時間がない。ロボ達はやがて自爆するのだから――!
「静まりたまえー! 静まりたまえー! さぞや名のあるサメちゃん達よ!
 このままここで争っても益はないよ! 解散解散――!」
 必死に叫ぶスティアの号令。
 だがおかしい。彼女が叫べば叫ぶ程に……何故かサメの動きが活発に。
「ど、どーして!? 駄目だよ皆! 落ち着いて! し、静まり給え――!」
 何度言っても結果は同じ。それはサメクターズカットによる制御不能効果――か! やっぱすげぇやサメクターズカット。
「サ、サメちゃーん!」
「スティアちゃん……どうしてより状況を燃やすの……あ、ちがったこれすちシャーク号だった。わー! のしかかってこないでー!」
 スティアに抗議の横目を向けるサクラ。そう、もう彼らは止まらない。
 彼らが止まる要素があるとすれば――それは――!


「あ――! 待って待ってんぎゃ――!!
 千尋さん止まっ、ぎゃあああたすけてええええ!!」
 眼下で『鎮まりたまえー!』とスティアが叫ぶ度に高速化する伊達シャーク号――の背びれに投擲した蔦――に引きずられているのはフランだ! 彼女の脳裏に浮かぶのはおかーさんの教え……

 ――女は度胸。

「ていうけれどこれはちょっとおおお!!」
 いつのまにかロボ達はレーザーも出してきてるし! 度胸でレーザーは超えられな、うひゃあああ!! 千尋さん待って! 空中でドリフト決めないで――!
「ぉ、ぉおっと!? フランちゃんいつの間にそこに!? ここはあぶねぇぞ退避するんだ!」
 今更無理だよ――! と叫ぶフランの声。まずい。パボセンやサメ慣れしている他の連中はどうでもいいけど妹分のフランちゃんだけは守護らねば――ッ!
 そう思った時に千尋が伊達シャーク号の動きを制そうとした瞬間、レーザー集中砲火。
 爆散、伊達男は宙に舞いフランも『うわあああ――!』と爆風に巻き込まれて。
「……幻覚かしら。千尋さんが風になってると思ったらお星さまになっているような……うっ! 爆発と爆発のシンフォニーが……! まぁ……上空で爆発したら……そうなるわね……」
「ええきっと気のせいですよ――それよりエンヴィさん、そろそろ隠れておきましょうか。多分、件の爆発までの時間がそうはないと思いますし」
 うう、前にも大変なサメ事件があったような……と頭痛を訴えるエンヴィに寄り添いながらクラリーチェはサメが降ってこない安全地帯を探し求める。過去の忘れ去られし記憶が彼女に痛みを齎しているのか……
 流石に可哀そうになってきたクラリーチェであったので背中にこっそりずっと張り付けていた『おさかな』の紙は剥がしておいた。おさかな~
「すちシャークまで夏子さんばかり狙うのはどぉして? 教えてすちー!」
「そんなの知らないよー!」
 もしやサメちゃん達はそんなに夏子さんが好きなのだろうか?
 文字通り食べちゃいたい位なのか?
 む、むむむ。むー!
「だめよ! だってそれなら、わたしだって負けないくらい夏子さんの事す」
「す?」
「ん、んんっ!」
 咳払い一つ。危ない危ない……今ここで言う台詞じゃなかった……!
「え、タイム先輩なんて? 貴方の事『す』? するめ??
 ちょっと皆静かにしてー! タイム先輩が何か言ってる――!」
「フ、フランさんしーっ! しっ――!!」
 途端に大声出してくるフラン。それより爆発で大変な事になってる髪を早く整えて!

 ――と、その時。研究所があったであろう方向からいきなり地響きが。

 何の音だ――!? その正体に素早く勘付いたのは『わあああんこれ以上はだめー!』とタイムが涙ながらに救出した夏子であった!
「所長……流石だよ。アンタは、ロボシャークがまさかの謀反を企てた場合の備えも残してたんだな……! アレこそまさに――」
 彼の瞳に映ったのはすちシャーク号を遥かに超える超巨大ロボシャーク。

 そう、その名も――対鮫粉砕機構搭載大サメカロボである!!

 夏子は知っていたのだろうコイツを!
 そもそも今まで幾度もサメとの因縁を繰り広げていた夏子であったが美鮫女ならまだしも普通のサメに好かれるなど望む所ではない。今まで無事に済んだ試しも無かった……サメってヤツはつまりそういう事なんだ。
 だから調べた。サメへの策を。
 そして――練達にとっておきの『切り札』があると知った……!
「使い方は知っている――無事この戦いが終わったら……女の子達」
 くるりと、一度皆に振り返って。
「――プールで一緒にはしゃごうネ」
「夏子さん、絶対だよ! 絶対だからね!! しんじゃヤダからね――!!」
 夏子、サムズアップ。
 タイム、涙と共に夏子の意志を見守って。
 ――善なる意識を保つロボ達よ集え!
 今こそ合体の時! このサメの戦いに終止符を打つ時――コレで決まりだ!
「今! 必殺のサメデストロ……なっ!? せ、制御が効かない!? 馬鹿な、どうして!」
 そして必殺技のボタンを押そうとしたら意志に反して動き始めた。早いよフラグ回収!
 うわあぁぁ――ッ!
 響く絶叫。夏子搭乗機体と共に爆散が始まっていく――ッ!
「あっ! な、夏子さーん!!」
 同時。爆風に飲み込まれる寸前のタイムの綺麗な瞳に映ったのは、すちシャーク号達の閃光であった――
「わああああスティアちゃんの所為でまたこんな事に……スティアちゃん頑丈だから大丈夫でしょ! 前に行こうよ前に!! 大丈夫、アルバニアスマッシュよりは痛くないよ!」
「冠位と比べて大丈夫とかいうのはダメだよサクラちゃーん!! 私はか弱いヒーラーだよー!」
 前に押し出すサクラ。
 だが爆発の勢いは凄まじく全周囲から発生している。これではとても――!
 だがその瞬間。
「あ、あなたは! さっきのサメちゃん! ダメだよ、そんな所危ないよ! 逃げて!」
 サクラの目の前に現れたのは。
 先程彼女に顎を撫でられて気持ちよさそうにしていた空飛ぶサメちゃんであった――
 彼らが集っていく。まるで彼女達を守る様に、壁の様に……
「サメちゃ――ん!! ダメ――!!」
 寸前。サクラの瞳に映ったのは。
 愛らしい瞳でこちらを見つめる――サメちゃん達であったとか。


「う、うぅ……?」
 やがて――スティアは己が気を失っていたことに気付いた。故にゆっくりと瞼を開け、ば。
「あ、あれ……サメちゃん!?」
 何故か。かつて己に懐いたサメちゃんの背中に乗っていた!
 周囲を眺めればなんと湖の様な場所の真ん中にいつの間にか。
 ……もしかして先の一斉爆発によってこの辺りに湖が生じてしまったのだろうか? いやまさか……或いは爆風に乗って水辺の所にまで飛んでしまったか分からない、が。
「助けてくれたんだね、ありがとう!」
 きゅーきゅーと鳴きながらサメ召喚士たるスティアにすり寄るサメちゃん。
 見れば周囲にはサクラや千尋、エンヴィやクラリーチェも浮いている。いけない、早く助けないと――そんな事を思っていれば。
「う、うぅ……皆さん無事……無事ですか? 無事ですよね……?」
「ほらほら千尋さん起きてー帰るよー!」
 クラリーチェが辺りを見渡しフランは気絶している千尋へ治癒の術を掛けて。
「み、みんな大丈夫……? はっ、夏子さん!? 夏子さんは無事!?」
 さすれば真っ先に夏子の心配をするタイム。
 周囲には見当たらないが一体どこに――! ままままさかモザイク処理される様な事態になってたりなんて……そんなのイヤよ……?
「でも、もしどんな姿になっててもわたしあなたのこと好」
「ふっー、いやどうなる事かと思ったけどなんだかんだ大した事はないみたいだね! あら、タイムちゃんこんな所で頬に手を当てて何を」
 わああああ今のなし――ッ!
 轟く声。色々あったがどうやら皆無事な様で。

 今日のサメちゃん騒ぎも平和的に終わって何よりでしたとさ! ……平和?

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お待たせしました、リクエストありがとうございました!!

 ずっと『サメってなんだ?』って自問しながら書いてました……まぁ最近のサメなら空中飛ぶぐらい余裕ですよね!

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