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シナリオ詳細

熱き砂漠のイースター

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●リュンヌ地区にて
 ピンときた人も来なかった人も聞いてほしい。
 もうすっかり春なんだってこと。
 ラサにだって春は訪れるってこと。
 そしてここにラサのためならなんでもすると息巻いているエルス・ティーネ (p3p007325)がいるってこと。

 赤褐色の大地に白い岩が並ぶだけのリュンヌ地方を、ここまで発展させたのはひとえにエルスが、がんばったからだ。
 たくさんの取引場が並び、やりとりされるのは特産品の地酒、『砂華』。大きなバザールも併設している。では商業だけが盛んな地区かと思ったら、そんなことはない。図書館の隣には歓楽街『レッド・ファング』が並ぶ。マスコットは赤羊のメェリ・カーマイン。エルスが湯水のように金を使う場所としても知られている。

 さて、そんな彼女のもとへ、今日もオーデーとリートが遊びにきている。貧民街のストリートチルドレン、ちょっと前までケチな盗みをくりかえしていたが、エルスの歌声に心を洗われて改心した。そのふたりが来た理由と言えば……。
「見て見て! 四葉のクローバー!」
「これでなにか一曲聞かせてよ!」
 おねだりをしにきているのだった。
「エルスさんをあまり困らせてはいけない……」
 Solum Fee Memoria (p3p000056)が淡々と遮る。
「ごめんなさいね、執務中なの」
 エルスが困ったように眉を寄せる。
「おしごと?」
「何やってるの?」
「それがねー、バザールの春の盛り上げイベントを考えてるんだけど、どうもしっくりこないのよね」
「そっかー」
「そっかー。お仕事大変だね」
 オーデーとリートはうなずきあう。どうやらお邪魔だったようだ。それは二人としても好ましくない。
「他の国はなにしてるのかな?」
 リートの何気ない一言で、くたっとしおれていたエルスが水を得たように生き返る。
「イースターなんかどうかしら!」
「「いーすたー?」」
 首をかしげるオーデーとリートへ向けて、Solumはこう返した。
「卵にいろとりどりの装飾をして、街のあちこちに隠したのを探すお祭り。本当はもっと色々あるけれど、語ると長くなる……」
「7色のペイントをした卵を用意して、コンプした人にはお米券とかどうかしら。ふふ、盛り上がりそうな予感」
 エルスは既にやる気満々だ。
「本当は卵の殻を使うけれど、最近の流行りは溶けにくいチョコレートを卵に見立てて使う……」
「それはいいわね。中身も食べれるし」
 一度転がりだした議題は落ち着くべきところまで一気に転がるもので、4/4はイースターの日とあいなった。


 その日のバザールはパステルカラーに包まれていた。
 いつもの飾りの代わりに店先には卵を模したガーランド。七色の卵がすっくりとそびえたつプランター。イースターの象徴である兎のトピアリー。卵がたくさんつられた街路樹。お菓子屋の店頭には兎と卵を模したクッキーやケーキがたくさん並んでいる。住民の暮らすテントには7色卵を飾ったリースが飾られ、バザールの入り口はでこぼこした卵をつらねたアーチに変わった。
「うん、準備完了ね」
「ん……」
 エルスとSolumがうなずきあっていると……。
「たいへんなのエルス!」
「助けてエルス!」
 にわかに人混みが騒がしくなり、オーデーとリートが走ってきた。
「「酔っぱらいが暴れてる!」」
 エルスはぱっと表情を切り替えた。大事な祭りを邪魔するとは笑止千万。犯罪抑止のためにも多少の大立ち回りは必要だろう。
「ねえ、いっしょに来てくれる?」
 エルスからそう請われたあなたは……。

GMコメント

イースターのときってなんて言うんでしょう。
ハッピーイースター?

みどりです。ご指名ありがとうございました。

やること
1)よっぱらいを成敗する
2)自由にイースターを盛り上げる

●エネミー
酔っぱらい×10
イースターなる祭りを楽しむことができず、飲みすぎて暴れだした地元民です
彼らに楽しみを教えてあげるのも大事かもしれませんね
飛効果を持つ近接物理攻撃と、投石による遠距離物理攻撃を行ってきます

●戦場
小さな店がずらりと宝石箱のように並んだバザール
道幅は約四メートル
投石によって周囲の店がダメージを受けます
また飛効果で吹き飛ばされるとテントの一つくらいは潰れちゃいます
かばうを重視して戦略を組んでみるといいでしょう

●その他
イースターが成功してこそのシナリオです
戦闘と盛り上げのプレは半々くらいが丁度いいでしょう

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 熱き砂漠のイースター完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月14日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

サンティール・リアン(p3p000050)
雲雀
Solum Fee Memoria(p3p000056)
吸血姫
※参加確定済み※
ラダ・ジグリ(p3p000271)
剣砕きの
サンディ・カルタ(p3p000438)
横紙破り
回言 世界(p3p007315)
貧乏籤
エルス・ティーネ(p3p007325)
竜首狩り
※参加確定済み※
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
霊魂使い
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ


「エルス様が来たわ!」
「エルス様ー! がんばってー!」
「お気をつけてエルス様ー!」
 通りを塞いでいた人々が波が引くように姿を消していく。その奥で暴れている酔っぱらい集団。強くなっていく声援がイレギュラーズの背中を押した。
「大人気だね、エルスさん」
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)がエルスへ話しかける。するとオーデーとリートが元気よく答えた。
「うん、エルスは人気者!」
「リュンヌ地区のみんなはエルスが大好き!」
『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)は、はにかみながらうなずいた。
「面と向かって言われると照れるわね。オーデー、リート、あなたたちも他の皆さんを巻き込まないように手伝ってくれる?」
「「まかせて!」」
 さっそく石畳の上を走っていくオーデーとリート。
「投石? 本当に石か? 卵とか投げてきてないよな? 皆が頑張った飾り物をぶち壊すようならお仕置きを追加するぞ?」
 詫び石配布するぞと言いながら『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は飛来した物体をはたき落とした。投げるには手頃な大きさの石だ。ずっしりとしており、これが急所にあたったらと思うとゾッとする。
「石は普通に不味いだろ、祭りの日に死者を出す気か!」
『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)が珍しく一喝し、もうひとつ飛んできた石を手を伸ばしてキャッチする。
「天気のいい日の、陽の中のお祭り。台無しにするには……すこし、勿体ない。」
 祭りの手伝いに来ていた『吸血姫』Solum Fee Memoria(p3p000056)がうそぶく。そう、これだけの人が、祭りを楽しみにしているのだ。エルス主催のイースターなるものへ期待を寄せているのだ。たかが酔っ払いごときに場を乱させてなるものか。
「火事とケンカはなんとやらと言うが、今はお帰り願いたいね。いよっし。コーユー話はお祭り男のカルタ様にお任せでぃ!」
 言ってみたものの実績はほぼないが、数々の鉄火場を根性ひとつできりぬけてきた『風の囁き』サンディ・カルタ(p3p000438)ならばやってくれる。イレギュラーズの皆はそう信じている。
 対して『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は呆れ顔。酔っぱらいたちを冷ややかな目で眺める。
「祭りを楽しめないから暴れてるとか、強制じゃないんだから参加しなければ済む話だろうに」
 どこまでも正論だった。
「……皆が楽しんでる最中に面倒事なんか起こしてくれちゃって、まったく空気の読めない奴らだ……どうにかして速やかに対処しないと」
 半眼になり、頭の中で対抗策を練る。自分はヒーラー兼バッファーだから必然的に戦闘支援に回ることになる。であれば、皆のじゃまにならない、かつ可能な限り多くの仲間へ支援を届けられる位置を見極めるべきだ。
 そう考えながら世界はメガネをぴんと弾き、ズレを直した。世界の足元から保護結界が展開されあたりを包み込む。
(無意味にはならないだろ)
 無意味どころかたいへん有意義なのだが、それはまた別の話だ。
「ナイスだよ、世界!」
『雲雀』サンティール・リアン(p3p000050)がひらりと眼前に躍り出た。ステップのように軽やかな足取りで酔っぱらい集団と対峙する。
 がんばれ、負けないで、祭りをよろしくね! そんな声がサンティールの胸を誇らしく叩いた。フェンシングのように碧霄をかまえ、大音声で呼ばわる。
「これよりご覧頂くのは領主様の大立ち回り! 何方様も御覧じろ、麗しき戦舞の幕開けだ! おっと! 危ないから離れて見ていてね!」
 わあっと歓声がイレギュラーズを包んだ。


 不愉快だ。まったく不愉快だ。なんだっていい年こいた俺たちが、こんなチャラチャラした祭りに参加しなきゃいけないんだ。酔っぱらいたちはそう考えていた。
「領主様がきたぞ。さすがにまずいんじゃ……」
「じゃあなんだよ。土下座でもするのかよ。したけりゃひとりでやってこいよ。俺はイースターなんてごめんだからな」
 とても恐ろしい集団心理である。誰も自分を悪いと思っていないのである。まあ酒の勢いとはそういうものだ。彼らは力自慢だが、横柄な態度が普段から遠巻きにヒソヒソされる、そんな若者たちの集団だ。ケンカも場慣れしている。
 若者たちは酔いの回った頭でそれぞれにファイティングポーズを取った。
「はい、威嚇術ー!」
 サンティールが飛び込んできた。背に真っ白な翼を生やし、かりそめの力で自分を強化する。まるで楽の音まで聞こえてきそうな白。夢うつつの翼は一瞬で弾け飛び、周囲に羽吹雪を舞わせる。その美しさに観客は思わず息を呑んだ。
「イースターなんてごめんだって言ってたよね。『女子どものすることだ』って思った? でも、それってどうかな、熱砂の国でだって、目覚めの春を喜ぶ瞬間があってもいいはずさ!」
 言い募ったサンティールはびしっと指をつきさした。
「きみたちときたらなんだい! 良い大人が素人もせず雁首揃えて文句ばかり! 情けないとは思わないのかい!」
「くっそ、言わせておけば……!」
 大振りなパンチをひらりとかわし、サンティールはにっと笑った。
「ははあ、小娘に説教されて腹を立てたと見える。そら! 組み伏せてご覧よ、君たちが僕を捕らえられるならね!」
 後ろ向きに宙返りを決め、サンティールは酔っぱらいから距離を取った。
「アーマデル、サンディ、やっちゃえ!」
「へいへい」
「言われずとも!」
 ふたりが一歩前に出る。酔っ払いは二歩前に出る。威嚇のつもりだろうか。不穏な雰囲気がいまにも破裂しそうだった。
「皆が楽しんで居るところに水を差すのは良くない。おまえらにも祝い事の楽しみを教えてやろう。酒抜きのやつをな」
 アーマデルは言葉で挑発しながら金の瞳を瞬かせた。エネミースキャンが走り、若者たちの特徴が手にとるようにわかる。
(ま、タフなのが取り柄、ってあたりか? 酔ってるせいで周りへの配慮が欠けている。被害が出ないようにしないとな)
「サンディ殿、やってしまっていいぞ。俺がやりすぎない範囲を見極めるから」
「そいつはありがたいな」
 サンディはソードオフショットガンを引き抜き、突きつけた。ガシャンと鋼の鳴る音がする。銃身を切り詰めたそれは黒光りしており、見るからに凶悪そうだ。
「暴れるってんなら、相応の対応をしなくちゃいけねぇなぁ! そうだろ?」
 あいにくと、とサンディは続けた。
「俺はお優しくないもんでね。多少の怪我は織り込んでくれるとありがたいね!」
 まずは牽制射撃。相手の足元を狙って。跳弾にも気をつけ、サンディは弾丸をばらまく。
「うおっ、本当に撃ってきやがった!」
「やりやがったな!」
 酒と一緒に頭に血まで登ったらしい、よっぱらい集団はサンディを狙って前進した。それであわてるサンディとアーマデルではない。
「しかたないやつらだな、予定通り撃つ!」
 サンディは銃を水平に構え、よっぱらいへ範囲射撃。不殺の効果もあり、前列が気絶した。
 アーマデルも負けてはいない。飛ぶ鳥のように跳ね、空中からの回し蹴りニ連撃。胸や顔を蹴られた男たちが尻餅をつく。
「まだ余裕そうだな。もっとお仕置きされたいか?」
 アーマデルは幼さを残した美しい顔で笑みを形作り、ひらひらと手を振ってよっぱらいへ立つように仕向けた。
「この!」
 よっぱらいのひとりがタックルする。向こう見ずなそれが露店へ炸裂しそうになったそのとき、正面からエルスの蹴戦がぶちかまされる。長いスカートの合間からのぞくおみあし、その細さのどこにそれだけの力があるのか不思議なほど。理屈を言えば簡単で、エルスはタックルしてきたよっぱらいへカウンターを加え自滅させたに過ぎない。だが聞くとやるとは雲泥の差がある。そしてやれるところに、エルスの実力があるのだ。
「……全く、すこしオイタが過ぎるわ。ほらほら他のみなさんが怖がってるわ。どうか一緒に祭りを盛り上げてくれないかしら?」
 領主直々の言葉によっぱらいどもはひるんだ。普段から何くれとなく世話になっている身だ。直接話をつけられると弱い。
 迷い出したところへ、イズマの名乗り口上が重なった。前へ伸びていたよっぱらいの陣がイズマの周囲に集まる。
「あてて、一般人でも本気で殴られるとなかなか痛いもんだね」
 のんびりとした声でイズマはよっぱらいたちの攻撃を一身に受け、ずりずりと後退していく。目指すは道幅の少し広いところだ。そこでならもっと積極的に攻勢をしかけられる。
「ほい、ミリアド」
「ありがとう」
 やる気なさげな世界の短すぎる詠唱が回復をもたらす。しかしその実力は確かなものだ。春を思わせるやわらかな桃色の光が輝き、イズマに浮いたあざが消し飛ぶ。
「しくじるなよー」
「うん、わかってるって」
 手を振って答える余裕まで見せ、イズマはさらに後退した。しかしこのあたりから怒りに我を忘れていた酔っぱらいたちが頭を冷まし始める。
「ラダさん、お願い」
「了解した」
 あと一歩というところで切れた名乗り口上をラダが上書きする。朧な月がラダの背後に浮かび、底力を引き上げる。ラダは月を背負ったまま声を上げた。
「酔った勢いか不満の現れかは知らないが、少々度が過ぎたな。そら相手をしてやろう。ラサではそれなりに名の売れた身、倒せば一躍有名人だ!」
「「うおおおお!!」」
 ラダめがけて殺到する酔っぱらい。そこへラダは冷静なままゴム弾を連射する。その一発が投石しようとした腕に当たり、よっぱらいが石を取りこぼす。
「だから、投石は、ダメだ」
 言い含めるように言葉を発し、ラダは追いついてくる味方を目にしてふっと唇の端を上げた。
「ソフィ、任せた」
「うん。……大丈夫。怖がらなくていい。少し、酔いを覚まさせるだけ。」
 すべての人が、ひとつのことを楽しめるとは思わない。楽しめないなら、それもいい。そうSolumは考える。
「……でも、それは催事のために働く誰かを邪魔していいことにはならない筈。」
 信念を込めた威嚇術が花開く。イズマとラダの引きつけで足止めを食っていた酔っぱらいなど怖くはない。彼らはあっというまに鎮圧された。


「「すみませんでしたー!」」
 平身低頭、五体投地。酔いの抜けた若者たちは、自分のしたことに真っ青になっていた。
「さーて……あなた達には罰として働いてもらうわ。イースターのお祭りの従業員として、ね!」
 エルスが満面の笑みで答える。
「ファンシーってだけじゃないんだから……。さ。一暴れしてお疲れでしょう? よく冷えてるわ、召し上がれ!」
 アイスレモンティーの香りが漂う。酒の抜けたところに染み渡るようなうまさだった。
「怖かったろ? じゃ、生まれ変わったつもりでやってみようぜ」
「へい、アニキ!」
 サンディの声に、若者たちは男泣きに泣きながら立ち上がった。エルスとサンディの声掛けで心が入れ替わったようだ。
「まずはイースターの卵隠しをやってもらうぜ。屋根の上とかの、子どもが手の届かない探すと危険なエリアは禁止な。隠した卵が誰にも見つからなかったら賞品を出すぜ」
 一気にやる気を出した若者たち。カゴいっぱいの卵を持って人並みに溶け込んでいく。
「賞品って?」
 サンティールに問われ、サンディは妙なものを取り出した。
「俺の領地の遺跡からでてきたゴーレムの眼」
「いじわるだなあ」
 きゃらきゃら笑うサンティール。そのまま彼女はくるりと回った。くるり、くるり、まわるたびに風が舞い、花吹雪がバザールを覆う。誰もが上空を眺め、その美しさを讃えた。
「きれいだろ、オーデー、リート」
「うん、すごいね」
「サンティール、すてきなものをありがとう」
「どういたしまして。もっと花びらが舞うように屋根の上からしようからな」
「ところで」
 イズマがしごく、真面目な顔で問うた。
「イースターって初めてなんだけど、どんなお祭りなの? 卵がモチーフなのかな。何か意味があるのかな?」
「……馴染みはないが、きっと春の到来を喜ぶたぐいのものだろう。ラサでは感じづらいものだけれど、商機に繋がるのならまずはやってみようじゃないか」
 なんとなーく説明するラダ。おそらくリュンヌ地区の一般人も似たような感覚であるはずだ。そのとなりでアーマデルが腕を組む。
「イースターは豊穣と生命の象徴であるうさぎと、誕生と復活の象徴である卵を用いて、春の復活を称える祭りだ」
「くわしっ!」
 イズマのツッコミに、神様絡みはちょっとなと得意げなアーマデル。
「そしてせっかくだから量産型ハイペリオン殿を連れてきてみたぞ」
「おお、これが噂の」
「おめでたい場にはふさわしいだろう? それにこのフォルム、卵に似て実にころんとしている」
「そうだな、入り口に飾っておくか」
 ラダがアーマデルからちまぺりおんを受け取ろうとした時、ちまぺりおんが1026色に輝き出した。虹色である。
「えっ、お前なんで光って……まさか、イシュミル……あいつなんかやらかしたか……?」
「いかにもなおめでたさだからいいじゃないか」
 ラダは上機嫌でぺっかぺか光るちまぺりおんを受け取り、卵風のゲートの上に座らせた。超目立っている。
「あれが……イースターの象徴……。」
「いやいや、うさぎだから。うさぎのほうだから。あれはおまけ」
 Solumのつぶやきに世界が反応した。
「……でもかわいい。……世界は何してるの?」
「ああ、ラサのダチコーの店に顔を出してな。おいしそうだろう、このクナーファ・ナブルジア」
「どんな、味……?」
 世界は弱った顔をしてクナーファを半分に分けた。
「……甘い。」
「どちゃくそ甘いよな。チーズケーキの一種らしいんだが」
 クナーファを食べながら、Solumは世界を見た。他にも色々買い込んでいて、いかにもまつりを楽しんでいる風。ついていったら何かを「楽しむ」感覚が、わかるかもしれない。そう言うと世界は首を振って返した。
「……実のところ、俺もそこまで祭りを楽しめるタイプじゃないんだ。けど、何事も楽しみってのはこうやって地道に見つけていかないとな。ほら、行ってこいよ」
「どこへ……?」
「エルスの店」
 世界が指差した先にはカラフルな装いの出張喫茶店があった。フルーツフレーバーウォーターや、アイスティーをふるまう店だ。
「ラサの暑い春にはよく冷えたお茶なんてどう? イースターモチーフのバザールはみなさんが用意してくださったから、私は休憩所がてらに出張砂都茶店よ!」
 エルスの笑顔が居並ぶ客をねぎらい、いたわるようだ。そんなエルスをSolumは羨ましく思った。
「んー、いい香り。味もコクがあるのにスマートで何杯でも飲めそう」
 試飲していたイズマが幸せそうに笑う。
「お礼をしなきゃね。もちろん祭りを盛り上げる方向で!」
「いいわね、何するの?」
「俺らしくやるなら、やっっぱり音楽かな? 楽しみ方は色々あると思うんだ」
 潮騒の羽衣をなびかせ、つまさきでエイトビートを刻めばにぎやかな音楽が辺りを包んだ。子どもたちが笑顔で寄ってくる。つられて大人たちが自分の楽器を持って参戦。あっというまに場は即興のセッション会場になった。異国の音色に自分たちの楽器で対抗しようとするのが、不撓不屈なラサの民らしい。イズマはアジアンな雰囲気ただよう音色へ変え、周りとの調和を図りつつもリズムを高らかに鳴らした。
「ふふっ、のってきた。もっと速いの行くよ!」
 そこへ藁で作った鳥の巣型の籠のなかへ7色の卵を揃えた子どもたちがやってきた。ストリートチルドレンだろうか、だがその目はキラキラ輝いている。イズマたちの合間をするりとすり抜け、ラダの店へと突き進む。
「全色集めたよ!」
「もう見つけたのか、速いな」
 などと言いつつもラダは、元気極まりない子どもたちへお菓子の包みを渡していく。彼らにとって見れば貴重な食料だ。それを盗むでもなく手に入れることができるのだから、やる気も出ようというもの。
「そのお菓子にはあのフルーツウォーターが似合うぞ。もう1セット集めてきたら、エルスの店で交換してもらうといい」
 やったね! すぐ来るから待ってろよ! なんて子どもたちは駆け出した。微笑ましそうにその背を眺めるラダには、ラサの未来を担うその背が眩しく感じられた。
「ラダは普段どんなものを売っているの?」
 ひょっこり顔を出したサンティールに対して、ラダはまぶたをとじて微笑した。
「私は普段織物を扱っていることが多いけど、最近までファルベライズにかかりきりだったからなぁ。そろそろ新しい土地までちょっと足を伸ばしたくはあるな」
「その足があれば、きっと何処までも駆けていけるんだろうね」
「はは、ありがとう。くすぐったいよ」
(来年の今頃はどうしてるだろう。絶望の青や豊穣よりも未知の土地を歩んでいるかもしれない)
「さ、視察に行きますか!」
 エルスが気勢を上げる。
「ファンシーじゃないお祭りだって考えてみせるわ。領地の皆さんの意見はちゃんと尊重したいもの。でもお酒のお祭りばかりでは子どもや女性は遠巻きになってしまうでしょ?」
「いろいろ考えてるんだね」
「そうよサンティ。次は何の催しにしましょうね……ラサが盛り上がるならどんなものにでも挑戦していきたいわ!」
 エルスはきらめくような笑みを浮かべた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

おつかれさまでしたー!

よっぱらい騒動は不殺を徹底したおかげで見事成敗。
バザールもたいへん盛り上がりました。

またのご利用をお待ちしております。

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