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シナリオ詳細

砂塵に煌めく一粒の命

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●砂塵に煌めく一粒の命
 辺り一面に裁くが広がる地域、ラサ。
 乾いた大地がひび割れ、飢えに加え渇きにより死する人々の話が良く聞こえてくる、そんな厳しい環境に覆われた地。
 しかし、そんな厳しい地であるからこそ、人々は結束し、命を求め生活する。
 この砂漠のオアシスたる、首都ネフェルスト……その郊外に所在するオアシスの畔には、『竜首狩り』エルス・ティーネが治める地、『ティーネ領』がある。
 この様な厳しい土地であるからこそ、棲まう人々の結束は強い。
 ……事実、その様な土地だからこそ、他所から来た者に対しては、かなり冷たく当たる風潮が支配的であった。
 しかしエルスは『ラサの為に何でもする』、という強い意志と共に、真摯にこの地へと向き合う。
 そのお陰か、少しずつ領民の信頼を得ていく事で、今では領地も大きくなっていった。

 ……そんなティーネ領の近くには、小さな遺跡が存在する。
 過去、その遺跡の中には、古代人の秘宝が隠されていたと言うのだが……今、そこを訪れる人は居ない。
 いや、正しく言うならば……その洞窟はもう、侵入する事が出来なくなっていた、というのが正しいのだろう。
 少し前に、その遺跡で崩落事故が起こってしまったという。
 入口から先に崩落した結果、中に侵入していた者達は一人として生きて還らず生き埋めにされたとの事で……最近はその遺跡から、救いを求める亡者の呻き声が聞こえてくるという……。
 ただ、そんな遺跡に最近、別の入口が見つかったという……噂が漏れ伝わる。
「……ええ、分かったわ」
 とエルスは、情報を持ってきた者に礼を言うと共に……集めておいたイレギュラーズの仲間達へ。
「……今日は私の我が儘につきあってくれてありがとう」
 彼女の口から細かい説明は出てこない。
 ただ、その視線はまっすぐで……。
「いきましょう。あそこには、私の知人の忘れ物がある筈なの」
 と、覚悟を決めたような表情で、皆に頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回依頼を元に、ラサでの遺跡探索シナリオを出させていただきました。

 ●成功条件
   遺跡内部にある、とある【形見の品】を探し出すことです。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はBです。
   依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回の舞台となる、ラサの『ティーネ領』近くにある、古びれた遺跡です。
   この遺跡は過去崩落事故が起こった結果、遺跡の大部分が崩落した状態になっています。
   また、崩落事故に巻き込まれたゴーストが9人、遺跡を崩落させた要因……かもしれない、凶暴化した土の精霊ノームが4体居ます。
   ノームについては、追い詰められるとまた遺跡崩落をさせる行為を行いかねませんので、彼らはひと思いに仕留める方が良いと思います。
   なお、形見の品は、この『ゴースト』達の誰かが持っています。
 
 ●討伐目標
   先に上げたとおり、ゴースト9体と精霊ノーム4体です。
   ゴーストについては常に生を求めており……命あるものを執拗につけ回します。
   攻撃武器はショート・ソードのみですが……ゴースト故に、EXFが高くてしぶとく生き残ってきます。
   トドメを上手く刺さないと、戦闘が長引く可能性が高いです。
   また、生者でないのでBS無効、かつ不吉効果を一体でも存在している限り戦場に居る全員に及ぼします。
   
   ノームについては体力は少ないものの、精霊的存在なので物無を持ちます。
   攻撃手段は全て神秘攻撃(石つぶてを飛ばして攻撃したり、砂を巻き起こらせて視界を奪う事でBSとしては暗闇効果)をしてきます。
   体力は少なめですが、上にある通り、追い詰められると戦場を天井崩落させてくる可能性がありますので、これだけはさせない様に、特にご注意下さい。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 砂塵に煌めく一粒の命完了
  • GM名緋月燕
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月18日 22時10分
  • 参加人数7/7人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)
天嬢武弓
ティエル(p3p004975)
なぁごなぁご
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
鹿ノ子(p3p007279)
琥珀のとなり
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
※参加確定済み※

リプレイ

●砂塵の楼閣
 周囲に広く砂漠が広がりし地域、ラサ。
 乾いた大地にひび割れた土、飢えに加えて渇きに死する人々も多く、かなり厳しい環境。
 ……そんな環境に点在するのは、一時の安らぎの地である、オアシス。
 そのオアシスの一つ、『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)の治める領地『ティーネ領』。
 そこから少し歩いた所にあるのは、遺跡。
「……ここ、ッスか?」
 と『琥珀の約束』鹿ノ子(p3p007279)が小首を傾げると、それに頷くエルス。
「ええ……ここね」
 と頷く。
 ただ、遺跡と言えど……本来の入口は完全に崩落してしまっている。
 過去、大規模な崩落事故が起きてしまったという遺跡……外も、中も、完全に押し潰されている事は間違いない。
 だが、つい先日舞い込んだ情報が、エルスを突き動かすこととなる。
 それは……この遺跡の別なる入口が発見された、という情報。
 その情報は領主であるエルスに伝えられ、その情報を知る者は、殆ど居ない。
 いや……誰かが足を踏み入れるよりも先に、エルスは来なければならなかった。
「なぁご……この遺跡で命を落とした者たちに、安らぎのあらんことを……」
 目を閉じ手を合わせる『なぁごなぁご』ティエル(p3p004975)に、仲間達もそっと手を合わせ……崩落事故に巻き込まれた者達の冥福を祈る。
 暫しの鎮魂の祈りが捧げられて……エルスが。
「でも……本当に隠された入口があったのね……あの人も、ここから命からがら逃げ果せた……のかしらね」
 ぽつりと呟くエルスに、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)が。
「……あの人?」
 首を傾げると、エルスは。
「ええ。表ではこの遺跡が崩落した結果、中に居た人達は全滅した……との情報が出てるけれど、一人だけね……生き延びた方がいたの。ま……今は私の領地の区長を任せてる一人なのだけれど……ね。だから、それを絶対に回収してこないと……」
 と仲間に零しつつ。
(「……私にだけ話してくれた過去……それを聞いて力になれたら、と思ったのよ……」)
 心の中に灯るは、決意の灯。
 ……そんなエルスに世界は。
「そうか。つまりそれが知人の忘れ物……って事か。せめて形状とかそこら辺は分かっているのか? 探すときに形や大きさが分かりませんじゃ、話にならないからな」
 と問いかけると、それにエルスは。
「ええ……勿論あるかどうかは分からないけれど、指輪……って言ってたわ。赤いルビーの指輪」
「赤いルビー、ね……了解。その形見の品だけは、絶対に見逃さないようにしないとな」
 世界が頷くと、『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)と『蝶刃』アイラ・ディアグレイス(p3p006523)も、エルスの肩を叩き元気付けるように。
「形見の品、ね。こういう仕事をしてりゃあ珍しくもねぇが、何も思わねえってのは流石に無理だわな」
「ええ……形見……ちゃんと見つけないといけませんね。だって、きっと、とっても大切なものでしょうから。ボク達に任せてください。ちゃあんと、見つけてきますよ。ね、エルスさん!」
「という訳だ。区切りをつける為にも持って帰ってやらねえとな!」
 と笑いかけ、そしてティエルと『天嬢武弓』フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)が。
「そうにゃ。エルスにゃーのお手伝いにゃ。なごもラサに生き、生と死の境界線を渡る者として、遺品だけでも持ち帰りたい気持ちはわかるにゃ」
「ええ。エルスさんのお知り合いの忘れ形見……必ず回収して帰りましょう」
 と頷く。
 ……そんな仲間達の言葉に、エルスは。
「……本当、皆、ありがとう……」
 深く頭を下げる……そんな彼女に鹿ノ子が。
「ふふ。エルスさんとも長い付き合いになって来たッスねぇ……だから、捜し物、僕にできることなら全力で協力するッスよ! だから、どうか頭を上げて下さいッス!」
 と元気いっぱいに笑いかけ……そしてエルスは頭を上げて。
「……ありがとう。それじゃ、皆……よろしくね!」
 と、仲間達の先陣を切って、隠されていた入口へと急ぐのであった。

●亡者の声を
 そして、イレギュラーズ達は遺跡の中へと突入。
 とは言え遺跡の大部分は過去の遺跡崩落事件の結果か、潰れてしまっており、歩ける場所はそこまで多く無い。
「中々狭いな……」
 と世界がぽつり零すと、それにアイラも。
「そうですね……前に行ったラサの遺跡では、ボク落とし穴に落ちちゃいましたから……でももう、引っ掛かりませんよ! 道もちゃんとメモしているのです!」
 胸を張って自信満々なアイラ、そしてルカも。
「そっか、じゃ帰り道は安心しておくとするか。こっちはしっかりと亡霊達を退治しないからな」
「了解ですよ! 帰って届けるまでが、依頼ですもの。よぉく探して、手早く帰ってこられるのが一番ですからね!」
「そうだな」
 と、二人頷く。
 それにエルスが。
「それにしても崩落事故……きっと彼ら……レオライト傭兵団がここに入った時にも、ノームは居たのかしら?」
 と首を傾げると、ティエルが。
「なぁご。確かにノームは土の精霊と言われるにゃ。だから天井崩落くらい、やってやれない事は無さそうなのにゃ」
「そうよね……」
 とエルスは頷きながらも。
(「……そういえば、召喚当初に行き着けていた喫茶店で逢った彼女も、崩落事故に遭っていたわよね……どの遺跡、だったかしら……」)
 と、思い浮かべる。
 ただ、そんな事を考えていると……。
『……うぅぅぅ……』
 地の底から響き渡るような、呻き声が、遺跡の中に響き渡る。
 その声は、まるで救いを求めるような……かといえば、拒絶するような、呻き声。
 ……そんな呻き声が響いてきた方角を。
「こちらの様ですね……声も結構近かった様な気がします。決して油断しない様して行きましょうか」
 とフォルテシアが指差し、イレギュラーズ達は更にその方角へ。
 ……すると、イレギュラーズ達の進行方向に対向する様に……呻き声を上げる朧気な姿のゴースト達と、小さい身体のノーム達。
「早速お出ましか。片やBS無効、片や物理無効、と……面倒臭いの極み。それに不吉もばらまいてくるというおまけ付きか」
 と肩を竦める世界。
 とは言え世界とルカの二人は不吉無効の力を発揮しているので、二人についてはそこは問題無いだろう。
 しかし、恨み辛みをつぶやき続けるゴースト達を正対するとなると、精神的にはくるものがある。
 ただ、そんな恨み辛みに決して心惑わされること無く、素早く対向する為の陣をくむイレギュラーズ。
「ノーム、お前たちはもしかしたらもしかしたらここの守護者の意思を引き継いだ精霊かもしれない。あるいは死した挑戦者の所有物を供物としてその身を維持する精霊かもしれない。だけどもこの場は、彼らを私達が連れ帰る邪魔をするなぁ!」
 と強い口調で宣戦布告を行うティエル。
 しかし、それにゴースト達は。
『……ウグゥゥ……』
 と、怒りの恨み声と共に、敵意をむき出しにし、動き始める。
 それに応じるかの如く、周りのノーム達も甲高い声を上げて、イレギュラーズ達を威嚇。
 ……そんな敵の動きに、早速フォルテシアとルカが。
「さて、狂った地精も彷徨える死人も打ち払って、地に還して差し上げましょう」
「そうだな。俺は物理専門だからそっちは任せる。頼りにしてるぜ」
「ええ、分かりました」
 と、ゴースト達の方にルカが先陣を切って対峙、一方フォルテシアはノームの方へと対峙。
 そして精霊的な存在である、凶暴化したノーム達はイレギュラーズ達に向けて地面の砂を巻き上げて、視界を奪う。
 しかし、そんなノーム達に対し、早速エルスが醒月の一撃を食らわせる。
 神秘による一撃を放ち、四体居るノームの一体へ確実にダメージを与える。
 彼女に続き、世界がイオニアスデイブレイクで仲間達の強化、フォルテシアは一歩後ろからブラッドウィップで締め上げの一撃、そしてティエルは。
「精霊、何を守って何をしてるの……?」
 と問いかけながら、マリオネットダンスで、ノームへの呪縛効果を付与しようと動く。
 ……そして、最後にアイラがリリカルスターを発動する事で、ノームに怒りを重ね掛け。
 と、そんなイレギュラーズ達の連携攻撃を前煮、ノームは苦悶の声を上げる。
 そして、対向する様に更に地面を多々炊き、砕ける意思つぶてを放っていく。
 その一方で、ゴーストに対してはルカが。
「ノーム相手にゃ力になれねえ分、こっちでしっかり働かせて貰うぜ」
 とH・ブランディッシュを放ち、できるだけ多くの敵を巻き込む攻撃。
 加えて鹿ノ子も、ゴーストの群れに突っ込んで。
「君達の相手は、こっちがするッスよ!」
 と威勢良く、名乗り口上で怒りを引き付ける。
 それに対するゴーストの動きは、ショート・ソードを振りかざして攻撃するばかり。
 亡者の呻き声も、継続して上げ続けて、戦場への呪い効果を付与し続け……又、体力もさして減っていない状態。
 幸いなのは、動きがそこまで早く無い、という事……防御に軸をおいていれば、大きな被害を受けるような事も無かった。
 とは言え敵の体力もかなりあるので、攻撃にも傾注しなければ時間が掛かるばかりなのは間違いない。
「とにかくこっちは体力を削る。鹿ノ子は必殺のトドメを任せたぜ!」
「了解ッスよ!」
 ルカと鹿ノ子はそう声を掛け合い、ゴースト達がノームを相手にする仲間達へと行かないように対峙。
 次の刻、ルカと鹿ノ子二人の動きは変わらず、H・ブランディッシュで体力を削り、月の型「狂禍酔月」で大量を削りつつ、敵を抑える。
 対しエルスとアイラはノームに向けて黒顎魔王や祝福蝶で敵を一匹でも早く倒せるように前線で攻撃。
 一方世界は一端行動を遅らせ、フォルテシアとティエルの二人はブラッドウィップと、レジストパージにより、麻痺やしびれの効果でノーム達の動きを制限。
 そして一端ノームの攻撃を受けた後、仲間達の体力状況を見た上で、傷が深い仲間へ世界がミリアドハーモニクスで傷を癒す。
 ノーム側については、攻防のバランスを取り、1匹ずつを確実に仕留めるよう動く。
 ただ、ノーム達はいつ、天井を崩落させてくるとも限らないので……常に警戒は忘れぬ様に動く。
 ゴーストとノームそれぞれ確りと対峙する事で、不測の事態にならない様に注意しつつ、ノーム4体を最優先に倒す様に動く。
 そして、物理無効なノーム達を神秘攻撃で一匹、一匹……確実に仕留める事で、4匹が異常な動きを起こす前にどうにか倒していく。
 ……残るは9人のゴースト達……その戦列に加わると共にエルスが。
「……彼に生きがいを与え端野。初めて彼を見かけた時……ここに召喚された当初の私に……少し似ていたから。だからもう……彷徨わなくていいのよ……?」
 と呼びかけるが、ゴースト達は何か特別な反応を返すような事も無い。
 ……いや、寧ろ。
『グゥゥ……ウウウアアア……!!』
 と、苦しみを訴えかけるような叫声を上げて、イレギュラーズ達を萎縮させんとする。
 ……そんなゴースト達の声を聞いたティエルとルカが。
「無念はわかる。だから迎えに来た。安らかに眠って」
「ま、そうだよな、無理だよな。納得いかねえだろうな……だけど、それでもお前達はもう終わったんだ」
 と、彼らへの死を改めて宣告。
 ……突然の崩落事故に巻き込まれ、彼らは死してしまっている事は理解していないのかもしれない。
 そして、この遺跡の中を訪れた人を……仲間と認識し、救いを求めているのかもしれない。
 ……そんな悲しきゴースト達を、もうこれ以上苦しませない為に。
「すまないが、もうここで終わりだ」
 ルカが黒顎魔王を発動し、一匹を瀕死の重傷を追わせた後に、ティエルが必殺の刃で、その命を奪う。
 倒れたゴーストの手元には、指輪ははめられていないのを確認すると、すぐに次の相手へとターゲットを移す。
「次はあなたッスよ!」
 と鹿ノ子が攻撃する相手をターゲットとし、集中攻撃。
 一人倒れれば、苦悶の絶叫がその場に響き渡るが。
「しっかりと成仏していってくださいね」
 とフォルテシアは言いながらのソウルストライク。
 それにアイラも頷き、蒼閃光で攻撃。
 決して敵の叫声に惑わされるような事も無く、一体ずつを確実に倒す。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃に、EXF効果で倒れずに再び立ち上がるような者も居るが……そんな敵には必殺効果で、確実に止めを刺していく。
 戦闘開始から数十分……ノーム4匹に続き、ゴースト8体を倒し、残りは後一体。
「後一人。さぁ……一気に行きますよ!」
 とアイラが仲間達に呼びかけ、蒼閃光で貫く。
 その一撃に耐性を崩した所へ、更に鹿ノ子の必殺の一撃が命中。
 最後の一匹が倒れると、次第に他のゴースト達の影も……まるでもやのように揺らめく。
「……なぁ。こいつはティルケドに届けてやるからよ。だからもう、安心して眠りな」
 その揺らめく影に、ルカはそう声を掛けた。

●過去の惜別
 ……そして、ゴースト達を倒したイレギュラーズ。
 影も、形も消失し……まるでゴースト達は夢だったのか、とも思う位。
 ただ、地面の上に散らばる砂利の中に……鈍く、赤く輝く石と……小さな白い花が刺繍された、黄色いスカーフ、さらには幾つかの装飾品。。
「無事お知り合いの方の形見の品が見つかって良かったですね」
「なぁご……これが、その遺品にゃね。でも、これは……?」
 フォルテシアとティエルが二つをそっと、両手ですくい上げて仲間達に見せる。
「ルビーの指輪はティルケドので間違いなさそう……って、これ……!」
 目を見開くエルス……黄色いスカーフが、彼女の過去の記憶に色濃く刻まれていた、見覚えのある物。
「? ……ほら、どうぞにゃ」
 ティエルがエルスの腕に、そっと置く。
 それを……ぎゅっと握りしめるエルス。
「これ……これは……あなた……だったのね……」
 唇を噛みしめ、その場に崩れ墜ちてしまう。
 それを慌てて支える鹿ノ子。
「ととと……だ、大丈夫ッスか!?」
「だ、大丈夫……大丈夫……う……ぅぅ……」
 自然と涙が零れるエルス。
(「ティルケドさんが、話していた時点で何で気付かなかったの……私の、馬鹿……!」)
 嗚咽と共に、自分を責めるエルス。
 そんな彼女を落ち着かせるように、鹿ノ子は背中をさすり、ティエルも大丈夫、と声を掛ける。
 ……そんな二人に、少しではあるが落ち着いてきたエルスが。
「ありがとう……ごめんね、二人とも」
「気にしないでほしいッス!」
「なぁご……言いたくないなら、言わないで良いにゃ。エルス、困ったとき、辛いとき……私達がいるにゃよ」
 鹿ノ子とティエルの言葉が、心にしみる。
 ……そしてアイラは、もう影も形も無くなってしまったゴースト達に向けて。
「ここで亡くなってしまった皆さんに弔いを。どうか、ゆっくり休めますように。もう大丈夫ですよ。怖くなんて、ありませんからね」
 と祈りを捧げる。
 そして、ゴースト達の死した場所に、残された装飾品を埋めて、簡易的ではあるが弔いの碑を立てる鹿ノ子。
「きっと彼らは、ここから動けないッスよ……だから救いを求めてた。だから、ここで弔うッス」
 更なるイレギュラーズ達の弔いの前に……今迄ざわついていた空気が、ほんの僅かではあるが……落ち着いた様な気がする。
 そして、形見の品と共に、遺跡を後にするイレギュラーズ。
「それにしても、崩落した遺跡に新たな出入り口って、奇妙な話にゃね。もしかしたら、これは帰りたい意思を尊重したノームが作ったのかにゃー?」
 とティエルが小首を傾げる。
 その真実は分からないけれど……少なくともその出入り口のお陰で、一人の命が助かったのも確かな訳で。
「……分からないわね。そのノームは……凶暴化してなかったノームなのかも。仲間達が殺してしまい……正気を失ってしまったの、かも……しれないわね」
 と……瞑目するのであった。

成否

成功

MVP

エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)

状態異常

なし

あとがき

今回はリクエスト頂き、ありがとうございました!
エルスさんにとっての大切な人を救うシナリオでしたが、皆様の優しい心遣いに、本当感動しました。
皆様の大切な人がいつも居る……とは限りません。
その一時、一時を大事にして下さいね。

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