PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<濃々淡々>菜花爛漫

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●菜の花や
 今宵目を向けるのは、絢を始めとする妖たちとはまた別の世界。陰と陽で表すならば、陽の世界に生きるものの話。
 この世界にはならず者が少なからず存在している。あの飴屋のように温厚で、人間に友好的なものだけではなく、人間を欺き、食らい、悲しませ、傷つけるような妖も。
 故に、この世界での警察の役割を果たす、軍が存在しているのだ。

 その軍に苧環(おだまき)という女がいた。

 歳幼く未だ16。
 両親は妖によって殺されている。だから妖が、嫌いだった。
 善良な妖がいることも理解していた。其れでも、彼女にとって妖は悪だった。
 大好きな両親を、殺したというのだから。


 閑話休題。
 昼下がり、山奥、菜の花咲き乱れる紅鳥居の麓で男が倒れているというのだ。
 苧環は、その様子を見に行き必要があれば応戦、応急処置等の細々とした任務を与えられていた。
 倒れている人がいるならば運び出せばいいだけの事。其れくらいならば一般市民にもできる。
 問題は。
(こんなところに神社なんてあったかしらね)
 あったかもわからぬ神社だ、ということなのだ。
 一見したところ、過疎化によりさびれていった神社のような雰囲気だ。まだ数年といったところか、蜘蛛の巣は大けれど社の屋根が抜けたり、ということはない様子。
 見ても、見ても、おかしいところはないように思えたのだが。
 美しく咲いた菜の花が揺れたのだ。風もないのに、ゆらゆらと。

 ――まるで、何かをいざなうように。

「……あまり、戦闘は好きじゃないけど。帯刀はしておいて間違いなさそうね」
 ため息をついて。背に背負った真剣を、腰に構えた。

●月は×に日は×に
「今日はおれからではなくて、軍のひとからの仕事みたいだよ」
 温厚に笑みを浮かべた絢。手に持った用紙からは、人手不足の文字が大きく見えた。
「人材不足なら、そっちで補ってくれればいいとも思うけど。でも、あったかもわからない神社の散策、なんて面白いよねえ」
 ふわふわと笑い、尻尾を揺らし。
 どうやら景色も悪くないようで、絢の様子は呑気なままだ。
 どうせいんすぴれえしょんが沸いたら飴の題材にするつもりでいるのだろう。彼は飴にとことん馬鹿なのだ。
「気を付けてほしいのは、何がいるかわからないってところ。妖の罠かもしれないから、おれもついてくからね」
 着物をたすき掛けして、男にしては細い腕を晒して得意げに微笑んで見せた絢。

 さあ、行こう。
 世界の平和を、護るために。

NMコメント

 穏やかな昼下がり。いたって普通の日常が始まれば、良いですね。
 染と申します。桜が咲いているのが嬉しいです。
 それでは、今回のシナリオの説明に入ります。

●目的
 仮称:菜の花神社の調査

 いくつかのスポットがあるようです。手分けして調査していきましょう。
 場合によっては、または調査の仕方によっては戦闘に巻き込まれる場合があります。ご注意を。

●仮称:菜の花神社
 突如現れた神社。
 男が倒れていた、という通報があったがその男はいないし通報者も不明。
 謎の神社である。
 苧環が散策したところ、
・拝殿
・幣殿
・手水舎
・社務所
・裏山へと続く道
・行灯のある道
・地蔵
 などがあったようです。
 それ以外の『あるだろうな』と思った建物を調査していただいても構いませんし、この中から選んでいただいても構いません。
 ひとつの建物をじっくり調べて今後に生かすもよし、複数調べてある程度の実態を知っておくもよし、です。

●世界観
 和風世界『濃々淡々』。

 色彩やかで、四季折々の自然や街並みの美しい世界。
 また、ヒトと妖の住まう和の世界でもあります。
 軍隊がこの世界の統制を行っており、悪しきものは退治したり、困りごとを解決するのもその軍隊のようです。
 中心にそびえる大きな桜の木がシンボルであり神様的存在です。
(大まかには、明治時代の日本を想定した世界となっています)

●NPC
 今回のシナリオに同行するNPCです。

・苧環(おだまき) (今回の依頼人)
 黒髪ポニーテールの16歳。正義感の強い普通の女の子。
 軍に所属しているようです。多くは語りませんが、人嫌いというわけではないようですよ。
 戦闘時は刀を使いアタッカーとして振る舞います。

・絢(けん)
 華奢な男。飴屋の主人であり、濃々淡々生まれの境界案内人です。
 飴屋を営む妖で、化け猫。温厚で聞き上手です。
 依頼人が妖嫌いということを知っているので、今回は人に化けています。
 戦闘時はヒーラーとして振る舞います。多少のBS付与も行えるようです。

 同行願いがあれば二人ともついてきてくれるようですよ。

●その他
 天気は快晴です。

●サンプルプレイング(絢)
 おれは、そうだなあ。
 手水舎にいってみようかな。
 神社、少し体がだるくなってしまうから苦手なんだけど……皆が行くなら、頑張ろう。

 以上となります。
 皆様のご参加をお待ちしております。

  • <濃々淡々>菜花爛漫完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月03日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルアナ・テルフォード(p3p000291)
魔王と生きる勇者
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
篝火 陽炎(p3p008803)
まつろわぬ民
アリス・アド・アイトエム(p3p009742)
泡沫の胸

リプレイ


 『百合蜘蛛』アリス・アド・アイトエム(p3p009742)が目を向けていたのは、消えたという男――を、探す苧環であった。
(おとこ…の安否……どうでもいい……だけど…女の子と…苧環に…いい所みせたい…!
 だから…アリス…がんばる……)
 ぐっと握った拳は固く。アリスの決意を示すかのようだった。
「アリス…『行灯のある道』と『地蔵』…調べる……時間があったら…他のところも…」
「わかったわ。其れなら私は向こうにしようかしら」
 分担したほうが早いだろうか、他の仲間にも声をかけた苧環だったが。
「それと…可能なら苧環も…一緒に……2人っきりだと…照れちゃう…かもだけど……」
 苧環の軍服の、其の裾をくいと引いたアリスは、もじもじと既に恥じらいながら苧環に声をかける。苧環の目をちらりと見やり、不安げに首を傾けて。
「照れることがあるのかしら……。あ、怖いのかしら。ふふ、わかったわ」
 頷き、アリスの隣に並んで苧環は歩き出す。
「まずは地蔵から行って、行灯のある道を通って帰りましょうか」
「うん……!」
 ぱぁっと顔を輝かせたアリスに、苧環は頷き砂利道を歩く。程なくして七つの地蔵が並んで見えた。
 其れは、ひとつずつ部位を欠損していた。
「何、これ……」
「苧環、怖い?」
「怖いっていうか……不気味だと思わない? どうして、ばらばらの部位で、こんな……」
「そう、だね……」
 頭。
 右腕。
 左腕。
 右足。
 左足。
 腹。
 胸。
 其々の部位が『何が重いものでもぶつけたように』砕かれ。そして、赤い。
「血とみて間違いないと思う?」
「うん……アリスは、そう思う」
 苧環が観察しアリスに伝え、其れをアリスがメモするという連携を行い、二人は地蔵の元を後にした。

「ひと…いない……? …すごく…静か……」
「そうみたい。其れに……」
 行灯の数は、左右共に均等に、七個。どれも灯りを灯すことはなく、無残に壊されている。
 壊されているとわかったのは、其の壊れ方があまりにも『人為的』だったからだ。
 草履で蹴られたような足跡を隠しもせずに、木材を散らしてどこかへと消えている。
「……最低ね」
「どう、して……?」
「だって、神様の住まうところを壊すなんて。酷いとは、思わない?」
 苧環は悔しそうに拳を握る。アリスは其れに声はかけず、仲間の元へ戻るように促した。
 苧環はアリスを見て頷き、二人は仲間と約束した集合地点に戻ることに決めた。


(倒れた人はおらず、通報者も不明…ね。通報自体がおびき寄せるためのもの、という線も考えられるけれど)
 『血華可憐』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)は至って冷静だ。神社の様子を眺めながら、状況を的確に整理していく。
「まぁ。その目的次第でもあるから、気負いすぎずにいきましょうか」
 ぱん、と手を叩き。黒いロリィタで砂利道を歩むことに決めた。のだら。
「私はあまり神社の構造にも詳しくはないし、善い妖の区別もつかないし、絢さんに来てもらえれば助かるのだけれど」
「おれかい? わかった」
 頷き、絢はアンナの横に並ぶ。10歳より成長をやめた小柄なアンナはほぼ見上げる形になりながら、絢に問うた。
「そういえば若干調子が悪そうだけど、妖は神社が苦手なの? それとも気質的なもの?」
「うーん、妖は、かなぁ。おれ、一応ひとに化けているけれど、こんなに体調が悪いのってひさびさだとおもうし」
 冷や汗みたいな悪い汗もかいてる、と告げた絢の顔色はあまり思わしくない。どうやら本当のようだ。
「いっそ悪い妖は皆神社が苦手とかなら分かりやすいのだけど、絢さんを見るにそういうものでもないのよね……」
「ほんと、困っちゃうよね」
 はぁ、と二人してため息をついて。つきながらも、足は止めることなく拝殿へと向かった。

「さて、折角神社に来たのだからお参りでもしましょうか」
「ああ、そうだね」
 神威神楽で習ってきたのだという作法。和風な世界でもある此の世界においても其れは通用するようで、絢は上手だねと驚いた様子で瞬いていた。
「お賽銭が欲しい妖の仕業かもしれないし、やれることは試すべきでしょう」
「……あ、そうか。小銭だね」
 はい、と掌に小銭をのせられて。
 此れだけの為に連れてきたと言えば聞こえは悪いものの、慣れぬ世界では致し方ないということで勘弁してもらいたい。
 小銭を入れて、鈴を鳴らして。特になんら変化はない。空振りこそしたものの、神社であることには変わりないから健康を祈ったのだというアンナ。絢は商売繁盛を祈ったのだと告げれば、アンナは苦笑して絢に笑みを見せた。

 拝殿の中も幣殿の中も蜘蛛の巣が張っていて汚い。
 只、埃を踏んだような人型の足跡を発見したのはお手柄だったと言えるだろう。帰ろうとした絢を引き留めたアンナの観察眼は素晴らしい。二人もまた情報を得たので、約束の場所で仲間を待つことにした。


(俺以外の味方が全員年下…か……?
 …誰も傷付つかないように、頑張らないといけないな…)
 『まつろわぬ民』篝火 陽炎(p3p008803)は過去のトラウマとも呼べる出来事がきっかけで、仲間の中でも率先した動きを見せていた。
 他の仲間が回ると宣言したところ以外のほとんどを見て回ることにした彼。
 砂利道を思考しながら歩き続ける。
(神社内で男性が倒れていた。
 人気の無い場所で男性が倒れていたのと、その男性が存在しないというだけでも怪しい話だよな)
 その通りである。
 その男はおろか、通報者まで行方をくらませているとあれば、最早怪しさ以外の何物もない。
(自分より年下の子が傷つくのは見てられないから…頑張らないとな…)
 苧環を始めとする、今回同行した絢以外のメンバーは皆自分より年下だと考えている陽炎は、深くうなずいて。やはり頑張らなくては、と決意を新たに境内を進んでいった。

(探すのはそこまで得意ではないけど、まずは1つずつ、見ていこうか)
 情報が出ない可能性があるし、もしかしたら特殊な条件が重なっている場合もあるかもしれない。
 人数の制限もあるかもしれないから、一人で回ってみることでなにか異変が見つけられるかもしれない。
 しかし、陽炎ひとりで見つけられたのは、アリスたちが見つけた地蔵や行灯、アンナ達が見つけた埃の異変だけだった。
(うーん、人数制限だけ、なのか?)
 それじゃあ最後に手水舎に行ってみることにしよう、と足を進めた陽炎。
 其処に、異変はあった。
「なんだ、これは?!」
 手水舎というのは、神社に入ってから手を洗う場所。汚れを落とし清め、神さまに挨拶するまえに身だしなみを整えるような場所のことである。
 しかし。
 しかし、そこの水は赤く濁っていた。
(赤……血か? でも、この神社の手水舎の水は絶えず流れているようだし、)
 陽炎が思考を巡らせて出した結果は。

「血、なのか」

 鉄くさい、とか、そんなことを考えている余裕はなかった。
 もしかしたら倒れていたという男はもう犠牲になってしまったのかもしれない。何か事件に巻き込まれてしまったのかもしれない。
 せめてもの無事を祈りながら、陽炎は仲間たちとの合流を急いで、走って戻っていった。


「神社の調査、かぁ。桜って綺麗だからお花見気分であちこち歩けたらいいなぁ」
 『絶望を砕く者』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は上機嫌だ。桜に菜の花。色鮮やかな春の花が咲いているのだから、浮かれるなと言う方が酷である。
 何事もなく進めばいいな、と願う胸中にもなんとなく共感してしまいそうなほどに、神社や周辺の景色は良かった。まだ寂れ始めたということもあって、少し趣が残っているのも原因の一つだろう。
「えっと、わたしは山桜とかあればその写真を撮りながら裏山に向かう道を歩いてみるね」
 カメラを片手に、ルアナは獣道すらない山を歩いていく。時折奇妙なほど美しく咲く山桜があるものだから、其れを目印にすることではぐれてしまわぬように気を付けて進んでいった。
(こんなきれいな所なのに、人が倒れていたとか物騒な…。
 何か原因があるならば突き止めたいところだけど、厄介なものが出てこなければいいなぁ)
 其れがフラグにならないように祈りながら、ルアナは進む。
 気を張っていても、やはり『子供』だからだろうか、次第に気持ちは麗らかな春に毒されてしまう。
「おでかけのときって、大体おじさまが一緒だったから一人で歩くのって久しぶりかも」
 足音も一人分。何かあっても話しかける相手はいない。時折上の方を眺めてしまうのは、最早癖の域だ。
「むー…」
 膨らませた頬。寄った眉根。ああ、寂しい!
(思った以上に寂しいなこれ。帰ったら沢山お土産話して寂しさを吹き飛ばさなきゃ!)
 おじさまが帰りを待ってくれているはずだ。そう考えたら、少し不気味な依頼だけれど、またやる気がわいてくる。
 そこからのルアナの働きは素晴らしいものだった。
 何か潜んでいるんじゃないか。罠が張られてるんじゃないか。慎重に歩き警戒は緩めずに。咲き乱れた山桜の写真を撮り、空気管をメモして進んでいく。
 しかし、此れと言った成果は、ない。
(困ってる人が助かるような手掛かりになるもの、何か手に入れられたらいいんだけどなぁ…。
 じゃないと、只のお花見になっちゃう)
 そう思った矢先のことだった。
「あれは、何……?」
 ルアナが見つけたのは、季節外れの藤が咲き乱れる鳥居。
 丁度目下には菜の花神社がよぉく、見える。
 其の先からは、『何か良くない気配』を感じ取った。
(……皆に伝えなきゃ)
 ルアナは写真を撮って走り出す。仲間の元へ、真っ直ぐに。

 しかし。
 其の写真は何も写っておらず、仲間と共に向かった頃には、その神社は姿を消していた。

「なんで!? さっきまで、此処にちゃんとあったんだよ!??」


 調査終了。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM