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シナリオ詳細

再現性東京2010:春の嵐に散る命

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京2010:春の嵐に散る命
 練達は一区画、『再現性東京』。
 更にその一区画に広がる『希望ヶ浜』には、高層ビルや碧広がる公園、更には……様々な人達が通う学校等がある。
 棲まう人からすれば、極々普通の日常を過ごす為の建物が建ち並び、それを不思議に思う様な事も無く生活している訳で。
 ……そんな『希望ヶ浜』に存在する、『希望ヶ浜浜無高校』。
 男女共学、頭の程も中位……という、極々普通の高校なのだが、この学校の通学路には、3月から4月のこの時期に、華麗に咲き誇る桜並木がある。
 卒業生を送り出し、新入生を迎える、桃色の花を付けた桜並木……それは一つの名物となり、4月頭ともなれば、そんな桜並木を潜りながら通う学生達の姿が目立つ。
 しかし、そんな桜並木は夜ともなると灯りも落ちて、何処か不気味な雰囲気を醸し出す。
 ……そして、そんな深夜な桜並木でまことしやかに流れる噂話。
『深夜の桜並木の下には、首を刎ねる妖怪が現れる』
 勿論、その話は真偽不明な噂話。
 しかしながら、そんな噂話を聞いた高校の新入学生達は。
『……って訳。ね、面白そうじゃない?』
『うんうん、面白そう! 折角この学校に進学出来たんだしさ……折角だから行ってみようよ!』
『話しが早いじゃん。よーし、いこいこー!』
 と……その噂話を真に受けて、深夜の刻に待ち合わせるのであった。


「みんなみんなー、こっちこっちー! ほらほら、なじみさんの話し、聞いてってよ!」
 と、まるで屋台の物売りが如く、綾敷・なじみは、『希望ヶ浜学園』に潜入しているイレギュラーズ達が集まる『カフェ・ローレット』にて、声を掛けてくる。
 そんな話しに興味を持ってくれた君達に、ニカッと笑い、知らない人に話を聞かれないよう、カウンター裏に呼び出すと。
「今日もみんな、話を聞いてくれてありがとーなんだよ。それじゃあ早速だけど、説明するね?」
 となじみは言いながら、一枚の写真を皆に見せる。
 その写真に写るのは、とても綺麗な桜並木と、その下を歩く学生達の姿が映っていて。
「綺麗な桜だよねー。これ、希望ヶ浜の『浜無高校』って所の近くにある通学路に咲く桜並木なんだよ!」
 桜並木に何が……と訝しがる君達になじみはふふーん、と。
「そうだよねー、綺麗な事以外不思議な所は無さそうだよねー? でも、この桜並木の下に『悪性怪異:夜妖<ヨル>』が顕れるって本当の事が噂話で伝わっているみたいなんだよ」
「この夜妖、灯が消えた深夜1時過ぎ位に姿を現し、周りに居る人達を次々と襲う……という性質を持っている様なんだ。そんな噂話を面白可笑しく聞いてしまったこの高校の新入生達が、そこに向かおうとしているってのを聞いちゃったんだ」
「という訳で……みんなには、この新入生達を守りつつ、出没する夜妖を倒してきて欲しい、って訳なんだ。新入生達は中学校から進級してきた仲良しのグループみたいで、怖い目に遭うだなんて思ってないみたいだから事前に説得とかしても無駄。だからちょーっと怖い目に遭わせて言う事を聞かせるのがいいと思うよ!」
 そして、最後になじみはもう一度皆を見渡して。
「桜吹雪が血飛沫に変わってしまうかもしれない事件だからね、みんなの力が無いと悲劇がまた生まれてしまう事になっちゃう。だからみんな、宜しく頼むね!」
 と笑うのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 春の桜と言えば卒業、そして入学……でも、そんな新入生を祝うのは、血の桜……の様です。

 ●成功条件
   新入生達を守り、夜妖怪を倒す事です。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   灯りが落ちた桜並木の下です。
   深夜なので街灯は全て消え、人気もありません。
   当日は少し風が強く、正しく桜吹雪の如く桜が舞踊ります。
   
   噂話を聞きつけて来てしまったのは、近くの中学校からそのまま進級してきた新高校生が6人がその場に居合わせてしまいます。
   また、彼女達は恐慌状態に陥ってますので、能動的な行動は行えない状態です。
   声を掛けて、何処かに逃す……と言う事は出来ませんので、ご注意下さい。

 ●討伐目標
   敵となる夜妖ですが、桜の木の下で刀を持ち、首を刈る事を目的としている『落ち武者』の夜妖です。
   暗闇の中で、ぼんやりと残る人型……灯りを付ければその姿を視認出来るとは思いますが、灯が無い状況下では、かなり姿が見づらく、単体攻撃は回避される可能性があります。
   又、周囲には春の嵐が吹き荒れるようで、その結果桜の花びらが舞い散る為、更に視界は悪化しますので、ご注意下さい。
   
   敵の数は4体、攻撃手段はその手の刀を一刀両断に振り落とす至近単体攻撃と、刀を横薙ぎに放つ近接範囲攻撃の二つです。
   その刀の攻撃は、HP/AP共に吸収するHA吸収の効果を持っていますので、彼らにとっては攻撃は最大の防御……と言った具合で攻撃一辺倒で仕掛けてきます。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京2010:春の嵐に散る命完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年04月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
すずな(p3p005307)
信ず刄
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
糸色 月夜(p3p009451)

リプレイ

●桜の雨
 練達の一区画、再現性東京・希望ヶ浜地域。
 その一角には、何の変哲も無い共学校『希望ヶ浜浜無高校』がある。
 更に四月は新たなる出会いの季節でもあり、その高校にも多くの新入学生が気持ち新たに通学を始める日。
 ……そんな新入学生達を祝福するかの如く、学校の近くの通学路には、絢爛豪華に咲き誇る桜並木があった。
 しかし今の時刻は深夜1時前……通勤通学の生徒達の影はある筈も無く、桜のライトアップも終了している。
 懐中電灯の明りを照らして見上げる桜は……。
「綺麗な桜ッスねぇ……」
 ……と、『蒼騎雷電』イルミナ・ガードルーン(p3p001475)がぽつり呟く位に、美しい光景。
 とは言えそんな桜の下で、殺戮が起きるという話がなじみから寄せられた。
 その被害者は、先の高校の新入学生達という。
「いやはや、新年早々に事件とは……今年も忙しくなりそうだね」
 と肩を竦めた『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)。
 それに『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)と『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)、イルミナも。
「うん。若い子はヤンチャさんだねー、まぁそれが若さって事カナ?」
「そうだね! ちょっとした肝試しのついでに夜のお花見……くらいのつもりだったのかな?」
「そうッスね。軽い気持ちでお出かけした先で首を刈られてしまってはたまりませんね……!」
 三人の言う様に、首刈りの夜妖がこの夜桜の下に現れ、そいつらに新入学生達が襲い掛かるというのが……今回なじみから聞いた話。
「ほうほう、落ち武者の夜妖と興味を持った学生……って、なんか前にもあったような……?」
 と『竜断ち(偽)』すずな(p3p005307)が小首を傾げるが、それに『盲御前』白薊 小夜(p3p006668)も。
「ええ……花は桜木、人は武士。仮にも武者と言うのならば、桜のように潔く散ればいいものを、まあ夜妖にこんなことを思っても仕方のないことかもしれないけれどね」
 それにこくり、と頷く『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)が。
「落チ武者、夜妖、噂、由来、可能性大。幽霊、違ウ、多分。ソレデモ、フリック、墓守、敗者、死者トシテ、生ジタ者達、眠リヲ。ソレニ、桜ヘノ被害、可能性、危惧。噂、広ガル、ヒト、面白ガル。桜、悪戯シタリ、枝折ッタリ、起コル、可能性、有。解決=桜、守ル、繋ガル」
 カタコトのフリークライの言葉に、糸色 月夜(p3p009451)が。
「ま、噂を聞きつけた奴が来たか、触らぬ神に祟はねぇ。学生は俺にとっちゃどーでもイイが、武者か……そりゃぁイイ。武者ってアレだろ? 刀を使うスペシャリストだろ?」
 と言うと、すずなは。
「そうですね。相手の得物が刀、というのもありますし、とても惹かれます! そうですよね、小夜さん?」
 目を輝かせるすずな、そして小夜も。
「そうね……私の力がどれだけ通用するか、楽しみでもあるわね」
 とすずなに同意。
 そして月夜が。
「ま、この際落ち武者だろうが、ヨルだろうが関係ねぇ。強けりゃなんでもイイ。しっかりこの俺の首を狙って貰おう。俺様もテメェの首を狙ってやるからな! 今日は楽しい食事になりそうォだ」
 獰猛な笑みを浮かべる月夜に、焔が。
「ともかく、このまま放っておくわけにはいかないよね、助けてあげないと! その後で、こんな時間に出歩いていた事はしっかりお説教だからね!」
 と拳を振り上げると、すずな、ゼフィラ、イルミナ、クルルもそれぞれ。
「そういった好奇心旺盛な子達はどこにでもいますからね。きっちり守り抜いて見せましょう!」
「そうッスよ! しっかり守ってあげないと、ッスよ!」
「この再現性東京とは言え、教師としては子ども達を護る仕事に否は無いよ。さぁ、全力を尽くそうか」
「うんうん。守ってあげないと、だよねっ。がんばろー!」
 と気合いを入れるのであった。

●血に染まりし桜吹雪
 そしてイレギュラーズ達が、桜並木を歩いて暫し。
 すると突然、吹き込む風が強くなる。
 その風が吹きすさむ中、イレギュラーズとは別の影……。
『うわー、風強いねー。桜の花びらも散ってるし、今日来て良かったかも?』
『そうだねー。深夜の桜並木……首をはねる妖怪かぁ、面白そうだなぁ!』
 まだちょっと子どもっぽい雰囲気が残る声。
 勿論その声の主は、なじみの言う新入学生達。
 彼ら彼女らは、当然恐怖の事件が起こるだなんて思って居ないから……笑ったり、ふざけたりしている様な状態。
 そんな彼らの言動が、夜妖達にとっては侮辱だ、と感じたのだろうか……更に風が強くなり、視界一面桜吹雪が舞い踊る。
「……っ」
 そんな桜吹雪の中に、ぼんやりと姿を現わす武士の影。
「現れましたね。では……華の如く、散らして差し上げましょう」
 その気配を感じ取った小夜が、すっ、と白杖から刀を抜く。
 ……ただ、他の仲間達からすれば、桜吹雪の中に現れた影は、まだ判然としない。
 だが小夜は。
「元より目でモノを見ていない私にとって春の夜の闇も、風に舞う花も、武者達の姿を隠す帳になりはしないわ」
 と仲間達の先陣を切って、武者の元へ駆けると共に、夜妖へ桜吹雪の一閃。
 桜が舞い踊り……薄倉闇の中に夜妖の姿が露わになる。
 更にクルルが。
「新入生さん達に夜妖を近づけさせないようにしよう!」
 と、腰に下げたカンテラの灯を灯し、周囲を灯に灯すと共に、桜に。
「まだ散らないで。あと少しの間だけでいいから、咲いたままでいてね……」
 と干渉しようとする……が、桜の散るペースは余り変わらない。
 ……そして灯が灯されると共に、敵の姿影が見えた学生達。
 見知らぬ……武者の様な姿に。
『え……何あれ!?』
『わ、分からないわよっ……!』
 突然の事に慌て、立ちすくんでしまう。
 そんな学生達と夜妖の間に立ち塞がるフリークライと焔。
「……」
 流石にフリークライの大きな身体には、更にびっくりしてしまうが、焔が振り返り。
「大丈夫? 助けに来たよ!」
 と、元気よく声を掛ける。
『え、ええっ!?』
 きょとんとしている学生達だが、そんな彼らの前で保護結界を展開する焔。
「突然の事で驚いちゃったよね? でも私達が居るから大丈夫! ちょっとここで大人しくしていて……絶対に動かないでね!」
『……!』
 ただこく、こく、と頷く事しかできない学生達。
 そう学生達の対処をしている一方で、イルミナ、ゼフィラ、月夜の三人もまた、夜妖の下へと接近。
 早速月夜が。
「オウオウ、武者っつーのはよ! 名乗りあげてから戦う事もあったンだろ。返事は期待しねェがテメェの土俵にあわせてやるよ。糸色月夜、イレギュラーズってよりは一個人としてテメェと剣を交えたくて逢いに来た!」
 と月夜の宣戦布告に対し、夜妖達は……目立った反応は返さない。
 ただイレギュラーズ達を敵、という認識はした様で、その手に握りし刀を構える。
 ……纏う気配は、死を求めるが如く。
「中々……強敵そうだな。だが、絶対にこいつらには攻撃させないぜ。仕掛けたいんなら、私達を倒してからだ!」
「そうッスよ! さぁ、いざ尋常に勝負ッス!」
 ゼフィラとイルミナが宣戦布告し、各々夜妖をマークし、小夜含め1対1でマーク出来る体制を整える事で、決して後方へと行かせない壁となる。
 そして、皆の準備が整ったところでゼフィラが。
「さて、落ち武者クン。キミの相手は私だ、子ども達に手出しはさせないよ!」
 とマークした上で、バーストストリームの強烈な一撃を夜妖に叩き込む。
 続いてクルルは、マークする仲間達よりからは少し後ろに下がった所に位置し、スナイパーアイで自己強化を施した上でドライアッドの抱擁を撃ち抜き、敵を氷付けにする一撃。
 それに連鎖したイルミナが。
「Ready、テネムラス・トライキェン!」
 と『テネムラス・トライキェンⅡ』を攻撃集中で発動し、一撃を食らわせる。
 続けて小夜が
「私は剣士、となればやる事は敵を斬る事……むしろ私には『これ』しかないもの。さあ、出し惜しみは無しよ。舞をひとさし、ご堪能あれ」
 対峙する夜妖に、再度桜吹雪の一閃を放つ。
 舞い散る桜に、生み出された桜吹雪が敵にまとわりつき……渾身の一撃により、夜妖はかなりのダメージとなる。
 続く焔は、高校生達をフリークライに任せ、月夜と入れ替わるように名乗り口上を上げながら前線に接近。
 名乗り口上により夜妖達のターゲットは焔に向くが……でも、マークするイレギュラー達が居るので、攻撃のターゲットは己が前の相手へと向く。
 そしてすずなは。
「刃斬り結ぶ至福のひととき、じっくりと堪能したいですが……そうもいってられない状況。残念ではありますが--早々に沈んで頂きましょう。首を頂くのは此方です……!」
 彼女も刀を抜き、小夜と同じ夜妖に一撃を放つ。
 二人の刀使いの攻撃で、夜妖の体力はかなり削られてしまう。
 そして、最後に月夜は。
「チッ、桜吹雪が邪魔だな……ここの木を全部伐採してやりてェ、クソが」
 と悪態をつきつつ、血蛭で攻撃する。
 そんな前、中衛陣の猛襲の後に、夜妖の反撃開始。
 夜妖達の攻撃は、影に纏う刀の一撃。
 桜吹雪の中、縦に横にと振るう刀の一閃は、血しぶきを伴う。
 闇の中に、深紅の血しぶきは映え、後方の高校生達から悲鳴が上がる。
 ……そんな高校生達に対して、ソレを見せない様に、とフリークライが動く。
 腕、足を四つん這いにし、その視線を覆い隠すように……少しでも視界を覆うことで、恐怖を緩和するように務める。
 ……そんなフリークライの動きもあり、僅かではあるが平静を保つ高校生達。
 とは言えこのような恐怖の光景を何度も目の当たりにしてしまえば、また恐怖に暴れかねない。
「とにかく、一刻も早く一体でも倒してかないとな」
 とゼフィラが仲間達に呼びかける。
 そして次の刻。
 マークする相手の中の一体……特に体力が減っている小夜の夜妖を、マークしていない者達で集中攻撃。
 クルルのドライアッドの抱擁に、焔の緋燕、そして。
「さぁ……私の舞は、ここからが本領の見せ所よ」
「私達二人の剣閃--容易く凌げるものではありませんよ……! 舞う様に、苛烈に! 桜と共に刃鳴散らしましょう!」
 小夜とすずなの二人が流れるような連携攻撃を取り……最早瀕死の状態へ。
 次の刻。
「散らず、風と舞う菊花の如く……!」
 と小夜の放った舞菊の一撃が、夜妖の首元に命中。
 その一撃に、影の首が桜吹雪の中に舞い落ち、息絶える。
 そして一匹を倒したらば、次なるターゲットをイルミナの方に定める。
 ゼフィラ、月夜は対峙し続け、大ダメージを喰らわない様に立ち回り、そんな二人へフリークライが後方からミリアドハーモニクスで回復実施。
 戦線を維持しつつ、高校生を守りつつ……夜妖を一人ずつ、確実に倒して行く作戦。
 また、敵のターゲットが後方に向かおうとした時にはすぐに、焔と月夜の二人が名乗り口上を重ね掛けし、決して後ろへ向かわないように行動していく。
 そして更に十数刻経過……二体目、三体目、と確実に夜妖を倒していき、残る夜妖は月夜の一体。
 とは言え今迄の攻防の結果、夜妖もかなり疲弊していて……太刀筋もかなりぶれはじめる。
「かなり苦しんでいる様だね……そろそろ、トドメかな?」
 とクルルの言葉に、月夜は。
「オイ、武者。テメェの噂はこれっきりだ。此方はどこの地獄の一丁目だか、今日でテメェの戦は終わる。しっかり成仏しやがれ、あばよ。楽しかったぜ!」
 と獰猛に笑い、その影の首元に噛みつく。
 突然首元に噛みつかれた夜妖は必死に振りほどこうとするが……決して離れない月夜。
 そして夜妖は、その一撃に影の身体を震わせ……崩壊していくのであった。

●桜の散り際
 そして……夜妖を全て仕留めたイレギュラーズ達。
「さて、と……夜妖は皆倒せたみたいだね。痕は良い子は夜に出歩いちゃ駄目だゾ、って言ってあげなきゃネ」
 とクルルが言うなり、振り返る。
 そこには、完全に恐怖に凍り付き、座り込んでしまっている学生達。
「さて、と……取りあえず怪我は大丈夫か? ちょっと見せてみろ」
 と、ゼフィラが学生達の怪我の具合を確認。
 大きな傷とかはないが、転んだ擦り傷、打撲の痕等など、ちょっとした怪我はしてしまっている。
 そんな怪我を、ゼフィラのサンクチュアリでひとまず回復し……彼らを落ち着かせる。
 そして、ちょっと落ち着いた所で視線を合わせてゼフィラが開口一番。
「まずは無事で何より……だがまあ、こんな遅くに出歩くのは感心しないね。ま、こんな事態を予測しろだなんて無茶は言わないけど。何事にでも興味を持つ事は良い事だしね?」
「そうッス。でも、こういう危険な場所だと、こんな恐怖に出会ってしまう事があるのを、ちゃんと知っておいてほしいッス! これに懲りたら、いくらお友達と一緒だからって、危ない所に出かけたりするのはやめるッスよ。せっかく楽しい遊び場所はたくさんあるんですからね!」
「そうそう。そしてもし、今後もこういった事態に遭遇したら、遠慮無く頼ってほしい。ああ、それ以外の学校生活の事も、教師として力になるよ」
 そんな二人の提案に対し、分かったよぉ……と言うのが殆ど。
 だが、2人ほどは。
『で、でもぉ……だってぇ……』
 うじうじ不満を口にする。
 そんな子ども二人へ、あえて月夜が。
「そう言うならよ、自分で自分の命位守りやがれ。次遊び半分で頭突っ込ンだら生き血を貪ってやるからよ、憶えておけよ」
 と、かなり強い口調で言い捨てる。
 ……そしてトドメとばかりに。
「取りあえず、この夜妖は俺のもんだ。喰らってやるからさっさと帰れ、コラ」
 と言いながら、倒れた夜妖に接近し、喰らうようなモーションを取る。
 それを目の当たりにした高校生達は……さすがに耐えきれず、悲鳴を上げてその場から逃亡していってしまう。
 そんな、ちょっと可哀想な高校生達の後ろ姿を見送りながら。
「それにしても……良かったです」
 と、焔に微笑むすずな。
「ん、良かったって……どうして?」
 と焔が小首を傾げると、すずなは。
「いえ……焔さんが居るから少し身構えてたのです。でも……普通のお仕事でホッとしました」
「えー、何なのそれー!」
 ちょっと頬を膨らませる焔。
「すいません、でも……焔さんとも一緒に戦えて、良かったです」
 と……そんな二人の会話を聞きつつ、フリークライは……風に花弁と共に地面へ散った桜の折枝をずぶっ、と挿し木。
「ん……どうしたの?」
 と焔がその仕草に気付くと、フリークライは。
「ン。ソウイウギフト。理想、土壌、コレデ、大丈夫。生、全ウ、願ウ」
 折れた枝には、もう桜が咲き誇ることは無い……だが、挿し木したその枝には、再び桜の花が咲き誇る筈。
 そして……イレギュラーズ達は、他に残っている学生達が居ない事を確認し……殆ど散ってしまった桜を眺めながら、帰路についた。

成否

成功

MVP

白薊 小夜(p3p006668)
永夜

状態異常

なし

あとがき

再現性東京、春の桜シナリオに参加頂きまして、ありがとうございました!
新入学シーズンという事で、春の桜の下の夜妖退治……もう桜は大体散ってしまいましたが、また来年に美しい桜を咲かせてくれることを願います……!

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