シナリオ詳細
<ヴァーリの裁決>暗殺者は若き芽を狙い来たれり
オープニング
●男達の企み
漆黒の闇が支配する部屋の中で、男達がひそひそと話し合っている。ただ机の上に蝋燭が一本灯っているだけであり、その弱々しい灯りが男達の被っている仮面を照らし出していた。
「今、領地を潰しておくべきイレギュラーズは誰だろうのう?」
「難しいですな……どやつもこやつも鬱陶しい」
肥満体の男が、腕を組みながら後ろに体重をかける。ギシッ、と男の座る椅子が悲鳴を上げた。それを受けて、痩せぎすの男が顎に手を当てながらううむと考え込む。
『放蕩王』フォルデルマンの発案によって、イレギュラーズ達は各国に領土を得ることになった。それは、当然この幻想においても同様である。
男達は、それが忌々しくて仕方ない。領地と言うのは、本来自分達のような高貴なる身分の者が持つべきものだ。それがならず者同然のイレギュラーズなどと言う下賎の者に与えられていることが、男達にとっては腹立たしくて仕方ない。さらに男達にとって業腹なことに、男達の悪事はしばしばイレギュラーズ達によって潰されていた。最近でも、傭兵から流入してきた奴隷商人達による『大奴隷市』がらみの件で、奴隷の購入を邪魔されたり、買った奴隷を奪われてしまったり、関与して利を貪ろうとしたのを台無しにさせられたりなどしている。
だが、そのイレギュラーズ達の領地を、何処からともなく――実際には、『神翼庭園ウィツィロ』や『古廟スラン・ロウ』からであるが――現れた魔物が立て続けに襲撃している。ならばと、男達はそれに乗じてイレギュラーズ達の領地を襲撃する刺客を送ることにした。
しかし、実際に誰の領地に刺客を送るかとなると悩ましい。
「あのう……よろしいでしょうか? 私としては、メリルナート商会の訓練兵学校を潰しておきたいのですが」
「訓練兵学校? そんなところを潰して、何になるというのだ?」
そんな中、また別の男がおずおずと申し出る。肥満体の男はその意見をつまらないとばかりに切り捨てようとした。だが。
「……いえ、それはありやもしれませんぞ。商会の最高責任者ユゥリアリアは名の知れたイレギュラーズ。
つまり、訓練兵学校の生徒達は長じればイレギュラーズ寄りの傭兵や冒険者となると言うこと。
なれば、それを放っておくことは将来の禍根になりかねません」
痩せぎすの男の意見に、肥満体の男は少しだけ思案する。けっきょく、男達はメリルナート商会の訓練兵学校に刺客を送り込むことにした。
●ラッパは鳴り響いた
月明かりもない夜の闇を、黒一色の装束に身を包んだ暗殺者が駆ける。暗殺者は訓練兵学校の校門を抜けると、分散して校舎に侵入するべく散開しようとした。だが。
パパーッ! パパパーッ!
突然、学校中にラッパの音が響き渡る。
「!?」
その音に驚いた暗殺者達の足が止まる。さらに。
「ひとまず、初動は合格ですわねー」
「ゆ、ユゥリアリアだと!? くっ、何故だ!?」
暗殺者達の退路を断つように、ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)とイレギュラーズ達が校門に姿を現した。
「何故も何もありませんわー。あれだけイレギュラーズの領地を狙ったように事件が起きていましたら、自分の所でも事件が起きないか警戒するのは当然ですわー」
驚愕し狼狽える暗殺者達に、ユゥリアリアはこの場に姿を見せることが出来た理由を告げた。
実際、ユゥリアリアの指摘のとおり、暗殺者を送り込んだ男達はその時期を見誤っていた。自分達の領地を巡る立て続けの事件にローレットやイレギュラーズが対応に追われていたのは事実だが、それだけ事件が頻発すればイレギュラーズ側の警戒の水準は当然上がっていくのだ。
そしてユゥリアリアはしたたかなことに、今回の襲撃を訓練兵学校の生徒達の練度を見るテストとしていた。暗殺者達が侵入してからすぐにラッパが鳴ったあたり、結果は良好と言えた。
「貴方達のお相手は、わたくし達が致しますわー。どうぞ、かかっていらっしゃいませー」
「ええい、怯むな! 数ではこっちが勝っているのだ! まずこいつらを倒してから、ガキどもを皆殺しにするぞ!」
生徒達の練度を見るとは言え、さすがに力量が不明である暗殺者を生徒達と戦わせるわけにはいかない。ここからは、大人として生徒達を守る時間だ。その意を込めて、ユゥリアリアが告げる。
生徒を暗殺するにせよ、ここから逃げるにせよ、まずはイレギュラーズ達をどうにかせねばならなくなった暗殺者達は、ダガーを構えて臨戦態勢を取った。
- <ヴァーリの裁決>暗殺者は若き芽を狙い来たれり完了
- GM名緑城雄山
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年04月06日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●Before the Battle
『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)が最高責任者を務める、メリルナート商会の拠点にある訓練兵学校。ここの生徒を狙い、反イレギュラーズと言うべき何者かが暗殺者を送り込んでいた。
だが、その企みはユゥリアリア達に露見する。暗殺者の雇い主は幻想のイレギュラーズの領地に魔物が出現する事件に乗じたつもりだったが、その事件がある故にイレギュラーズ達の警戒水準は上がっていた。言うなれば、雇い主は時期を見誤ったのだ。
そして、校内への侵入者を発見した見張りの生徒は、すぐさま敵襲を知らせるラッパを校内中に鳴り響かせた。動揺する暗殺者達の退路を塞ぐように、すかさずイレギュラーズ達が姿を現す。
「ねぇ、Spiegel。ここにも訓練生がいるようですよ。シュピの同期はもう殆どが『壊れて』しまっていましたが……。
壊れるために生まれたシュピ達ですが、その意義が果たされる前に壊されるのはシュピでも御免です。
守りますよ、Spiegel」
「『Jawohl(了解)』」
全高三メートルの人型兵器『Spiegel』のコクピットで、『シュピーゲル』DexM001型 7810番機 SpiegelⅡ(p3p001649)は過去を共に過ごした同期のことを思い出していた。今はもう、そのほとんどがいなくなってしまっている。壊れるために生まれたとなれば、仕方ない運命だったのだろう。
SpiegelⅡと兵学校の生徒達の訓練の意義は違ってこそいるものの、訓練を終えない間に生徒達が殺されるというのはSpiegelⅡには捨て置けなかった。故に生徒達を守ると決意してそれを口に出すと、愛機『Spiegel』は人工音声で返事を返した。
(暗殺者かあ……中々物騒だね。とはいえ、この世界じゃ当たり前の様にあるのが当然なのかな?
暗殺も立派な一つの外交手段ではあるしね、やられたくはないけれど)
珍しいものを見たという風に、黒い布を被り気配を消している『行く先知らず』酒々井 千歳(p3p006382)は内心でつぶやいた。千歳の元の世界では、妖怪の襲撃こそあれども暗殺者が当たり前にいると言うことはなかった。一方で千歳は自分がされては嫌だとは思いつつも、暗殺を手段の一つとは認めている。
もっとも、ユゥリアリア達と共にここにいる以上、暗殺者に好きにさせるわけにはいかない。千歳は腰の二刀、『武御雷』と『阿修羅』の柄に手をかけた。
「ユゥリアリアさん、凄いね。だいたいは読めていたとは言え、上手く暗殺者の来るタイミングで、わたし達がここに居るように依頼をかけたなんて」
むしろ相手が単純だったのかな、と思いつつも、『赤い頭巾の悪食狼』Я・E・D(p3p009532)は感服するようにユゥリアリアを褒めた。
「何もなければ無いで越したことはなかったのですがー……ちょっと悪ガキが多いですが、あれで可愛いところもございますのよー」
そのユゥリアリアとしては情報こそ仕入れていたものの、暗殺者が来ないのならその方がよかった。だが、こうして襲撃してきた以上は、生徒達の安全のためにも排除せねばならない。生徒に悪ガキが多いのは出自からすれば仕方の無いところではあろうが、それでもユゥリアリアにとってはせっかく保護して育てている、大切な生徒達なのだ。
「ユゥリアリアさんの、ご策略、お見事ですの……わたしも、お力になりながら、学ばせていただきますの!」
すわ、ユゥリアリアの領地の危機か! と思い、海種友達として駆けつけた『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)だったが、予想したよりは深刻な状況でなかったことに今では安心していた。なお、ノリアは暗殺者を油断させるために兵学校の制服を着て、生徒を装っている。幼く華奢なノリアが制服を着ている姿は、確かにイレギュラーズよりも生徒と言った方がしっくりと来た。
「ボク、知ってるよ! 未来ある学生をころそうとするのは、わるいことなんだって。爺が言ってたもん。
だから、めっ、だよ!」
『小さな王子様』リオーレ(p3p007577)が、暗殺者達を叱るように叫ぶ。だが、十二歳とは言え幼い少年の姿はその口調と相まって、威厳や威圧と言ったものよりもかわいらしさや愛らしさと言ったものを感じさせた。それさえも、リオーネが狙ってやっているものではあるが。
「ボクらへの恨みを学生さんにぶつけてくるなんて、卑怯ものだね!」
『虎風迅雷』ソア(p3p007025)は怒りのままにグルルと喉を鳴らす。今にも、昂ぶった怒りをぶつけるべく暗殺者達に襲い掛かっていきそうな雰囲気だ。これにはさすがに、暗殺者達も息を飲んだ。
「一つ、誘導係を用意しなかった。二つ、敵の周辺警戒の調査を怠った。三つ、私達に出会った。――他に、何かある?」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は、煙草の煙を吐きながら暗殺者達が失敗した理由を分析してみせ、さらに他の理由の有無を尋ねた。だが、暗殺者達からの返答はない。
「――そう。じゃあ、QED。始めましょう」
もう問答は必要ないとばかりに、イーリンが告げた。
●Turn 1
「装甲、展開(スクリプト、オーバーライド)、戦闘機動構築開始(システムセットアップ)。
動作正常(ステータスグリーン)――いくよ、Spiegel」
「『Jawohl(了解)』」
始めましょう、とイーリンが告げたと同時に、SpiegelⅡは愛機Spiegelに戦闘態勢を取らせ、ブースターを噴かす。そして、物理的な力を遮断する魔力の障壁を展開しつつ、圧倒的な高速を以て暗殺者達に向かって突入した。高速で向かってくるSpiegel――金属の塊とも言える機体の姿に、暗殺者達は動揺し浮き足立つ。
「吹いて暴れろ、奈落の風!」
あり得たもう一人の自分の可能性を纏って自分自身を強化したソアは、遠くの空を薙ぐように手を伸ばして爪を振った。ソアの爪の先では空中に次元の裂け目が生まれ、そこから異界の瘴気が噴き出して、暗殺者達を蝕んでいく。
「もう一回!」
ソアはさらに重ねて、瘴気を暗殺者に浴びせた。瘴気に蝕まれたうちの何人かが、ソアに敵意を向けた。
「この一撃で――消し飛びなさい」
時間の流れに干渉して微かながら予知を可能にしたイーリンは、掌に膨大な魔力を集めていく。さらに掌で塊となった魔力を剣の姿に整えながら、大上段に振りかぶった。そして、自身を高火力のアタッカーと思わせるべく暗殺者達に告げると、勢いよく振り下ろす。剣先から放たれた魔力の奔流は、次々と暗殺者達を貫いていった。
「わたしも、行くよ」
Я・E・Dは、前へと突き出した掌に魔力を集積させる。十分に魔力が集まったと見ると、Я・E・Dはそれを魔力の砲弾として放った。砲弾はイーリンが放った光の奔流とは別の角度から、暗殺者達を次々と貫いていく。
「やあ、この世界に来てからは人相手の訓練には事欠かないね。
あまり望ましい事では無いのだろうけど──剣を振るう場所があるのは嬉しい限り。じゃ、やろうか」
自身を隠す布をバッと払い退け、千歳は一気に暗殺者達の側面を衝いた。『武御雷』と『阿修羅』を鞘から引き抜き、嵐の如く次々と斬りかかる。突如出現した敵に暗殺者達の対応は遅れ、避けるもままならない。暗殺者達は、次々と千歳に斬られていった。
「これで、倒れてくれればよいのですけれどー」
思考の一部を自動演算として自身を強化したユゥリアリアは、自らの血を用いて氷の槍を創り出し、イーリンとЯ・E・Dの攻撃を共に受けた暗殺者目掛けて投げつけた。氷の槍はユゥリアリアの狙いどおり暗殺者にグサリと突き刺さると、その暗殺者を昏倒させた。
さらにユゥリアリアは自身に無数の紋章を顕現させて、再度血から氷の槍を精製し、イーリンの攻撃を受けた暗殺者の一人に投げつける。今度は倒すまではいかないものの、深手を負わせた。
誰を倒すべきか――暗殺者達の判断は、分かれた。ソアに敵意を抱かされた暗殺者は無論ソアに向かっていったが、暗殺者達の位置や被害状況によって、優先して排除すべきと見なされたイレギュラーズは異なった。
結果、ソアに向かった者以外はイーリン、Я・E・D、ユゥリアリア、千歳へとばらけていった。前進していたSpiegelⅡには誰一人向かわなかったが、これは暗殺者達の武器がダガーであり、それでSpiegelの装甲を貫くのは難しいと見られて敬遠された故だった。
ソアとイーリンは群がってきた暗殺者の攻撃を巧みに躱して軽い傷を負う程度で済んだ。だが、Я・E・D、ユゥリアリア、千歳はそうはいかず、じわじわと傷を負わされ、千歳以外は毒にも蝕まれた。
「お姉ちゃん、回ふくするね!」
天使が支えるかのように、リオーレはЯ・E・Dを霊的な因子で包んだ。Я・E・Dを蝕んでいる毒は完全に消え、刻まれた傷口から流れ出ている血は止まった。
「ありがとう、リオーネさん」
毒と出血に生命力を削られていたЯ・E・Dは、その苦しさが綺麗になくなったのを感じると、リオーネに微笑みながら礼を述べた。
「ユゥリアリアさんを……これ以上、傷付けさせはしませんの」
後方からサポートに徹して学生らしく振る舞うつもりだったノリアは、ユゥリアリアの状況に方針を変えた。ユゥリアリアの側に寄ると、身を挺して暗殺者の刃からユゥリアリアを守る盾となる。
その姿は暗殺者の目には「馬鹿な学生が、狙われているユゥリアリアの前に不用意に出てきた」ようにしか映らなかった。
●Turn 2
(シュピを無視しようものなら、後ろから全身を砕かれる覚悟を決めて貰うつもりでしたが……)
SpiegelⅡは、自身をすり抜けるように後方の味方に迫った暗殺者に音速の一撃を叩き込むつもりでいた。だが、このままでは千歳が耐えきれないと判断。千歳を守ることにして側に寄り、その身を守る盾と化した。
「来たね。ひとりずつやっつけてあげる!」
再度、あり得たもう一人の自分の可能性を纏ってソアは自分自身を強化。そして光の如く繰り出される不可視のパンチを何度も眼前の暗殺者の一人に振るう。最後のストレートを受けた暗殺者は力尽き、後ろに倒れてそのまま起き上がらなくなった。
「貴方達の運命も、ここまでよ。闇の月の光に、照らされなさい」
自身とユゥリアリアに迫った暗殺者達を共に巻き込める位置に移動したイーリンは、掌に漆黒の月を浮かべた。漆黒の月は昏く輝き、暗殺者達を運命を狂わせる黒い光で――闇夜に紛れてわかりにくくはなっているが――照らし出す。暗殺者達が自分達の運命を狂わされたと知るのは、しばらく後のことになる。
「うん、危ないからね。暗殺者みたいな人達と、まともに正々堂々戦うつもりは無いよ」
先程暗殺者達に傷を負わされたЯ・E・Dは、SpiegelⅡが展開したのと同じ魔力障壁と、さらに不敗の英霊の鎧で自らの身を守った。これで、暗殺者の刃も毒もЯ・E・Dに通じることはなくなる。あとは、目の前の、そして仲間に群がる暗殺者達を倒していくまでだ。
「ノリアさん、ありがたく頼らせてもらいますわー」
身を守る盾となってくれたノリアを頼もしく思いつつ、ユゥリアリアは背中から光の翼を生やし、バサリ、バサリと何度か大きく羽ばたいた。光の羽が辺りを舞ったかと思えば、それは暗殺者達を斬り刻む光の刃となる。幾重にも光の刃を受けたユゥリアリアの周囲の暗殺者達は、瞬く間に身体中に傷を刻まれた。
「そちらもその心算で来たんだ。なら、当然覚悟もあるんだろう──遠慮はしないよ」
浅くはない傷を負いながらも、千歳はニヤリと唇の端を吊り上げて笑う──ああ、やっぱり楽しいね、と。剣士の性は物騒極まりなくて度し難いと自らも思いながらも、千歳は『武御雷』と『阿修羅』の二刀を手に嵐と化した。再度の嵐に巻き込まれた暗殺者達は、いずれも深手を負った。
暗殺者達も再度イレギュラーズに仕掛けるが、今度は先程のようにはいかなかった。
ソアやイーリンをまともに傷つけられなかったのは同じだが、千歳を狙った刃はSpiegelⅡに受け止められて傷一つ付けることが出来なかった。ユゥリアリアを狙った刃は、ことごとくノリアに受け止められる。ノリアは傷つくには傷つき、わざと悲鳴をあげたものの、潤沢なノリアの生命力からすれば大したことの無い傷でしかなかった。
「ボクがいっぱい回ふくするから、安心してやっちゃえ、お姉ちゃん!」
「ええ、任せておいて。頼りにしてるわ」
リオーレは励ます様に叫びながら、今度はイーリンを霊的な因子で包んでフォローする。瞬く間に、イーリンの傷から流れている血が止まった。イーリンはリオーネの叫びに応えて、こくりと深く頷いた。
「ううっ……それ、でも、ユゥリアリアさんは、やらせませんの……!」
酷くダメージを受けた風を装いながら、ノリアはなおユゥリアリアの盾たりつづける。ノリアを狙い傷つけた分、ノリアもダメージを受けるが、応分のダメージを暗殺者に返せるからだ。果たして、暗殺者達は生徒程度ならもう一息で仕留められると、引き続きノリアを攻撃し続けることになる。ノリアの、狙いどおりであった。
●Turn 3 ~ End of Battle
暗殺者達の攻撃がまともに通じなくなった時点で、勝負は決まったと言っていい。暗殺者達は、あとはイレギュラーズ達の攻撃によってその数を減らすのみとなっていった。さすがに暗殺者の側も馬鹿ではなく、不利を悟り逃走を図る者が出始めたが、都度ソアのもたらした異界の瘴気によってソアへの敵意を抱かされるか、そうでなければイーリンに追いつかれて足を止めされて倒された。
それから暗殺者達が全滅するまで、さほど時間は要しなかった。
程なくして、校舎から訓練兵学校の生徒達が出てきた。戦闘が終わるまでに間に合わなかったことを生徒達はユゥリアリアに詫びたが、そもそも戦闘の決着自体が早かったのであり、十分早く出てきたとユゥリアリアは生徒達を褒めた。生徒達はホッとした様子を見せながら、ユゥリアリアに褒められたことを喜んだ。
その後、ユゥリアリアは暗殺者達の襲撃を大々的に報じて、訓練兵学校への箔付けに成功する。一方、生徒達にはいい機会だと、自ら教鞭を執り今回の事件を元にした授業を行ったと言う。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
シナリオへのご参加、ありがとうございました。皆さんの活躍によって、メリルナート商会の訓練兵学校の生徒達は無事に守られました。
それでは、お疲れ様でした!
GMコメント
こんにちは、緑城雄山です。今回も<ヴァーリの裁決>のうちの一本をお送りします。ユゥリアリアさんが最高責任者を務めるメリルナート商会の拠点にある、訓練兵学校を襲撃しようとしている暗殺者達を討伐し、兵学校の生徒達を守って下さい。
●成功条件
暗殺者の全滅(生死不問)
●ロケーション
メリルナート商会拠点、訓練兵学校のグラウンドです。地形は平坦。時間は夜間、天候は曇天。
暗視、もしくはそれに類するスキルやアイテムが無い場合、命中と回避にペナルティーが入ります。
●初期配置
暗殺者達は訓練兵学校グラウンドの校門から少し入ったところでひとかたまりになっています。
イレギュラーズ達は暗殺者達から校門側に30メートル以上離れていれば、配置は自由です。
●暗殺者 ✕約20
訓練兵学校の生徒達を殺しに来た暗殺者達です。それなりに高い実力を有しています。
いわゆるスピードタイプで、高命中高回避、他に反応、機動力、EXAも高くなっています。
一方で攻撃力と生命力、特殊抵抗はそれほど高くなく、防御技術は低めです。
一応プロであるため、挑発などの類いに対してはある程度の耐性があります。
また、戦況が不利になれば逃亡を図る可能性があります。
ダガー 物至単 【変幻】【多重影】【猛毒】【致死毒】
急所狙い 物至単 【変幻】【流血】【失血】【猛毒】【致死毒】
大振りの横薙ぎ 物至範 【猛毒】【致死毒】
【怒り】耐性(中)
●ブレイブメダリオン
このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
このメダルはPC間で譲渡可能です。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。
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