シナリオ詳細
<ヴァーリの裁決>Vigilance the Vermilion
オープニング
●警告の色
各地のイレギュラーズに、とある極秘情報がもたらされた。王家の象徴となる物品――レガリアの1つが眠る『古廟スラン・ロウ』の結界に何者かが侵入し、レガリアが奪われたという。更に立て続けに、伝説の神鳥が眠る『神翼庭園ウィツィロ』の封印が暴かれる事態となった。それと同時に、幻想近くに多くの魔物が出現し始めた。
すでに魔物の群れによって壊滅に追いやられた町も存在し、侵攻を受けている領地の貴族達は、ローレットに数々の依頼を持ち込み始める。
突如発生した由々しき事態――背後で蠢く者の正体を感じつつも、ローレットは事態の打開に向けて動き出していた。
「予断を許さないバーミリオンの色は、まだまだ続くようね……」
『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)は浮かない表情でつぶやいた。
招集に応じたイレギュラーズに向けて、プルーは幻想の各所が魔物の襲撃を受けている現状を訴えた。
「各地でイレギュラーズの協力が必要とされているわ」と、プルーは地図を広げ、某所にあるアーベントロート派の貴族の領地を指し示した。
「こちらにも魔物の群れが向かっていると報告が入ったわ。魔物たちの中には、怪王種化した存在も確認されているそうよ」
●怪王種(アロンゲノム)とは
進行した滅びのアークによって世界に蔓延った現象のひとつ。
生物が突然変異的に高い戦闘力や知能を有し、それを周辺固体へ浸食させていく。
いわゆる動物版の反転現象といわれ、ローレット・イレギュラーズの宿敵のひとつである。
「怪王種の相手をするのは、イレギュラーズ以外では無謀に等しいわね」とプルーはイレギュラーズが必要とされている窮状を強調した。
地図と派遣先の街を照らし合わせる一同は、門を越えた通りの先に孤児院があることを確認した。そのことにどこか嫌な予感を覚え、不安にかられた者もいたようだ――。
●不安的中
「皆、急いで! これから、教会に避難しますよ」
警報を示す鐘の音が、町中に響き渡っていた。
孤児院の職員を務めるシスターたちは、10代半ばから幼児まで――20人ほどの子どもたちを引率し、教会に避難する準備を整えていた。その間にも、町の門にはおぞましい姿の魔物たちが押し寄せていた。
ハゲワシのような骸骨の姿をした魔物は、門や外壁の上の守衛たちを次々と突き落としていく。
鳥型の魔物は、黒いタールのような粘液に白骨の体を覆われていた。魔物はその鋭い鉤爪だけでなく、体表をうごめく粘液から触手を伸ばして獲物を捕えようとする。
あちこちで凄惨な光景が繰り広げられる中、更なる災厄が訪れる。その巨大な影は一瞬で門の扉を踏み抜き、弓兵の攻撃にも一切怯むことなく町中を見渡した。
5メートル近いオーク――体中のありとあらゆる場所にいくつもの目玉を持つ鬼の姿を前にして、町民たちは戦慄した。露出した上半身の肌は焼け爛れたように赤黒く、その醜悪さを際立たせていた。
「子ドモノ、ニオイ……ウマソウ……」
鋭い牙をむき出してつぶやいたオークは、他のものには脇目も振らず、孤児院へと続く通りを闊歩し始めた。
- <ヴァーリの裁決>Vigilance the Vermilion完了
- GM名夏雨
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年04月09日 21時55分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
「皆、急いで! これから、教会に避難しますよ」
町中に警鐘が鳴り響く中、3人のシスターたちは孤児院の職員として子どもたちに避難準備を促していた。
『魔法騎士』セララ(p3p000273)はイレギュラーズの1人として町の窮状に駆けつけた。
セララは破壊された正門側とは別のルートから孤児院へと回り込み、いち早くシスターや子どもたちの下へたどり着いた。
シスターたちは子どもたちを連れて教会へ避難しようとしていたが、セララは孤児院に籠城することを強く勧めた。
「子どもを狙う怖い魔物がすぐそこまで来てるから、危ないよ! 臭いをごまかせるようなものってないかな?」
そう助言したセララは慌てふためくシスターたちに対し、持っていた香水を提供し、この場を凌ぐよう言い含めた。
孤児院を後にしたセララは、好物のドーナツを一気に食べ尽くしてエネルギーを補充する。最後のひとかけを頬張ったセララは、静かに宣言した。
「セララたちが、必ず守ってみせるからね」
破壊された門の跡、その向こうに見える巨大なオークの背中、上空から次々と町へ侵入する鳥型の魔物の群れ――窮状を目の前にしたイレギュラーズは、町の防衛を果たそうと動き出す。
「門を壊したデカブツは、イレギュラーズに任せるっきゅ!」
犬獣人にぬいぐるみのように抱えられた子どものアザラシ――『希うアザラシ』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)は、迅速に門周辺の衛兵たちに指示を出した。
一見愛らしいアザラシの子どもに見えるレーゲンは、獣人のグリュックの肉体を操作することで、行動を開始する。
「兵隊さん達は鳥の魔物への対処や、まだ避難ができてない町人の警護をお願いするっきゅ!」
レーゲンは衛兵たちの協力を仰ぎ、怪我人の治療に尽力する姿勢を示した。
「怪我をしている人は、レーさんの近くへ来るっきゅ! まとめて回復するっきゅ!」
「俺のカンによるとこっちだ、行くぜ!」
『倫理コード違反』晋 飛(p3p008588)は直感的に危機に晒されている者の存在を察知し、他の仲間をその場所へと先導した。
飛が目指した先は、町の中でも比較的広い通り――商店街に当たる区域で、町民の悲鳴がその方角から響いてきた。
狭い路地や屋内に逃げ込もうとする町民を守ろうと、その場には衛兵たちも駆けつけていた。しかし、魔物の上空からの急襲におののく衛兵たちは、大よそ対処し切れていない様子だった。
大規模な魔物の襲撃に面食らう衛兵たちだったが、商店街の通りへと更に滑空してきた複数の魔物は、『純なる気配』アレフ(p3p000794)が放った激しい閃光によって焼き払われた。
「さあ、皆で協力してこの危機を乗り越えるんだ」
アレフは周囲の衛兵たちを鼓舞しつつ、町を保護するための特殊な結界を発動する。
結界の発動を確認した『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)は、敵影の数を目視しつつ心中でつぶやいた。
――子供が狙いという割には、随分な数で攻めてくるではないか……大人げないとは――思う訳がない、か。
リュグナーは商店街に向かうまでにかき集めた十数人の弓兵に、集団を生かした戦法で魔物たちに対処するよう指示した。攻撃と攻撃準備をローテーションさせ、攻撃の隙を減らすことで、集団で襲いかかる魔物たちを仕留めにかかる。
――では、物理的に大人しくさせねばなるまい。
リュグナーも戦線に加わり、放たれる矢をすり抜けてくる魔物を重点的に狙う。
リュグナーの影からにじみ出すように現れた赤黒い色は、無数の赤黒い蛇へと姿を変える。地上すれすれを滑空してきた魔物は、蛇の群れに襲われることでバランスを崩し、石畳の上を転がる。
自身の影から生じる異能を巧みに操るリュグナーは、接近してくる魔物らを隙なく打ち果たしていく。
「確実に数を減らせ! 勝機はある――手を止めずに戦うのだ!」
魔物を寄せつけず、攻撃を促すリュグナーに後押しされ、弓兵らはその采配に沿って魔物と相対する。
飛の魔法は無から物を生み出すように、それぞれの手にどこからともなくショットガンとガトリングガンを出現させた。
「オークはシラスたちに任せて、鳥を制圧しねぇとな」
そうつぶやいた飛は、上空の魔物の群れに向けて弾幕を張る。飛の乱射によって魔物は次々と撃ち落されていく。銃器の扱いを得意とする飛は、骸骨の鳥型の魔物をバラバラに砕くほどの威力を見せつけた。
門の周辺で怪我人の救護に励んでいたレーゲンとグリュックは、商店街の上空に多くの魔物が旋回し始める光景を目にした。魔物が集中し始めた商店街で奮戦する者らと合流しようと、レーゲンを抱えたグリュックは足早に動き出した。
「うおっ、気持ち悪いのが出たな!」
オークの跡を追った1人――『鳶指』シラス(p3p004421)は間近に見えたその醜悪さに目を見張った。
孤児院の方角へと進んでいたオークに対し、セララはその進路に進み出ると、
「街を襲う悪い奴らはボクがやっつけちゃうんだから! かかってこーい!」
セララはオークを挑発し、孤児院とは反対方向の噴水広場へと誘導しようとする。
オークはセララの姿を見つけて目の色を変えた。しばらくセララの誘導に従っていたオークだったが、何かを探るように頻りに周囲を見渡し始める。
オークはえぐり取られたようにつぶれた鼻を鳴らし、孤児院の方角を顧みて「甘イ匂イ……?」とつぶやいた。
セララの香水の匂いに反応するオークに一瞬緊張が走ったが、建物の間から様子を窺っていた『あいの為に』ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)は行動に出る。
通行人を装ってふらりとオークの前に現れたライは、
「い……嫌ですよぅ……怖い……来ないでください……」
小柄な体格と演技を生かして、怯えるか弱い子どもを装う。オークの背後に位置取るシラスも、幻影を生み出す能力で逃げ惑う子どもたちの姿をオークに見せつける。
目の前にエサを散りばめたことで、オークは香水の匂いから意識をそらした。子どもの幻影と共に、セララやライはオークを噴水広場まで導いた。
大きな噴水を背にしたライは、子犬のような眼差しで「こ、来ないで……」と追い詰められた様を演じていた。しかし、舌なめずりするオークが目の前まで踏み出した瞬間――。
「――来るなっつってるのが聞こえませんか?」
しおらしい態度を一変させ、即座に僧衣の下から抜き出した2丁の拳銃を構える。
一瞬全身の目を見張ったオークに対し、どこからともなく銃弾を撃ち込む者がいた。
放置された荷車を台にして銃身を支えながら、狙撃用の銃を扱う『黒の猛禽』ジェック・アーロン(p3p004755)はオークを狙う。狙撃を得意とするジェックは、噴水広場の隅でスコープを覗き込み、
(子供だけを食べる、ね……随分と品の良い食事をすることだ)
オークの顔の部分に当たる正面の目に照準を合わせた。
(喰われる側を味わわせてあげようか――)
オークがジェックの方へと振り返った直後、オークは絶叫しながら顔面を押さえた。セララは激戦の予感と共に保護結界を発動し、周囲の地形を保護の対象とする。
ジェックがオークの正面側の目に被弾させたのを切っ掛けに、セララ、シラス、ライの3人は一気に攻めかかった。
4人がオークと対峙する一方、鳥型の魔物の掃討も続いている。
魔物は旋回を続けながら、死角に回り込むことで衛兵らを攻撃しようとする。
上空から飛びかかる魔物に対し、槍を突き出して懸命にけん制する衛兵らの姿もあった。その内の1人に魔物の触手が絡みつき、上空へとさらわれそうになる。しかし、飛の放った散弾が触手をからめた魔物を粉々に吹き飛ばした。
魔物の攻撃は切れ目なく続き、引き金を引いた直後の飛が狙われる。衛兵と同様に飛の体に絡みついた触手は、飛を引っ張り上げようとその体を引きずる。
フック付きのロープを駆使する飛は、家屋の窓枠に目をつけ、瞬時にフックを食い込ませた。窓枠にかけたロープにしがみつく形で、その場を凌ごうとした飛だったが――。
「緊急排除、緊急排除……目標ヲ破壊シマス」
その気配を察知した魔物は、触手を解いて即座に飛のそばから退避しようとした。だが、被弾した魔物は凄まじい爆炎に包まれ、周囲の魔物たちも一斉に散開していく。
飛が投入した多脚戦車――量産型節足戦闘車両.九頭竜300式.戒宣が本領を発揮し始め、上空を逃げ惑う魔物たちを次々と撃ち落とす。
「弾幕張って、クソ鳥どもを撃ち落とせ!」
飛の命令だけに頼らず、高性能なAIを搭載した戒宣は、的確に飛翔する魔物を狙う。
更に集団で押し寄せる魔物に対し、リュグナーも果敢に立ち向かう。
より多くの魔物を葬ろうと、リュグナーは毒霧を操る能力を駆使する。
リュグナーの周囲に充満した毒霧は、突撃してきた魔物の体を蝕んでいく。毒の強い殺傷性により、何体もの魔物たちが地上に落ち、悶え苦しむ姿が散見された。
複数の魔物が地上すれすれを飛び交いながら、執拗にイレギュラーズを狙う。その状況下でも、鋭敏な聴覚を働かせるアレフは、魔物の執拗な攻撃をかい潜る。目の前まで引きつけた魔物らに対し、放たれる閃光――アレフの苛烈な攻撃が一挙に対象を吹き飛ばす。
レーゲンを抱えるグリュックは、レーゲンに楽器を支えてもらいながら、小さな竪琴を奏でてていた。魔法の力を秘めた竪琴は、周囲の者に傷を癒す糧を与える。
衛兵たちの協力を得ながら、多くの鳥型の魔物の掃討を進めることができた。
上空の敵影がまばらに見えるばかりになったのと同時に、アレフはオークが進行した方角を一瞥した。
セララが自らの剣の切っ先を天へと掲げた瞬間、稲妻の凄じい音が響き渡る。セララが生じさせた稲妻は、その剣に雷の力を宿した。
セララはわずかな間にオークへと迫り、強烈な一太刀を食らわせた。オークはわずかに怯んだが、セララを捕えようと、瞬時に赤黒い表皮におおわれた腕を伸ばしてきた。
「子ドモ……! 食ワセロ!」
ジェックは敵の手が届かない範囲から照準を定め、セララに執着するオークに攻撃を撃ち込んでいく。
オークは全身の目を四方に向けて頻りに動かし、4人の行動を把握し続けていた。全身の目を自在に動かすオークは、死角など存在しないかのように機敏に身をそらす。
「コノ、虫ケラガ!」
オークは攻めかかる4人をうっとうしそにかわし続ける。
攻防を繰り返す中で、オークは軽快な動さを見せつける。体を抱えながら真横に宙返りする動きを見せつけたかと思えば、シラスの頭上を飛び越えてその背後に着地する。
着地したオークは足払いをかける動きからシラスを蹴り飛ばそうとしたが、シラスは隙のない動きでその攻撃をかわす。
――さて、あの図体のくせに随分と避けるのは目玉の力だろう。
シラスはわずかな間にオークへの対処について考えを巡らせる。
「ならこれはどうだ?」
そうつぶやいたシラスは、オークを囲い込むようにして幻影を出現させる。
「目ん玉まわしやがれ!」
渦巻きの模様がオークの視界を埋め尽くすように現れ、シラスの一言と共にひとつひとつの模様が回転を始める。
シラスは幻影の効果で、全方位を見渡すオークの無数の目に負荷をかけようと目論む。
幻影から逃れようとオークは動き回るが、目の前に張り付く幻影が離れることはない。渦巻の幻影によって集中をそがれるオークだったが、かろうじて 4人の攻撃に反応し続けていた。
次第に激しさを増していく4人の攻撃によって、オークは態勢を崩す。ジェックはその暖間を狙い、
(――見えるだけじゃ避けれないってこと、証明してあげるよ)
オークの顔正面のもう1つの目を更に狙撃した。両目に当たる部分を潰されたオークは、膝をついて痛みに悶える。
オークの周囲に出現していた幻影は、時間が経過すると共に掻き消える。両目の部分を潰されてもなお、オークは他の目で正確に4人の動向を捉えることができた。オークは接近しようとしたシラスに狙いを定める。
オークの全身の目――すべての目線が集中的にシラスに注がれた。その直後に、シラスは強烈な金縛りによってその場に硬直する。全身を締め付けられるような強烈な圧迫感に襲われるシラスの前に、口元を歪ませるオークが迫った。
「人々の平和はボクが守る! ――」
セララの一言は、シラスの耳にもはっきりと届く。マントを翻すセララは超人的な飛行能力でオークへと突貫し、
「ギガセララブレイク!」
紫電をまとう刃を振り下ろしたセララに対し、オークは腕をかざして刃を受け止めた。すると同時に、刃を押し返すオークの腕力はセララを軽々と弾き飛ばす。
オークは追撃の構えを見せたが、ライやジェックの銃撃がその注意をそらす。
「避けてみせろよ、ロリコン野郎」
そうつぶやくライは、冷徹な眼差しをオークに向けると共に、弾丸を次々と打ち込む。ジェックも狙撃の腕を遺憾なく発揮し、オークのひとつひとつの目を潰していく。
3人がオークの注意を引きつけている間に、シラスも体の自由を取り戻す。
オークから受けた呪いを一気に引きはがしたかのように、シラスは即座にオークと肉薄する。
シラスの動きに反応するオークだったが、シラスは圧倒的な速さでオークを押し込む。
流れるような体さばきから放たれる衝撃がオークの巨躯を穿ち、連続で攻撃を打ち込まれたオークは耐え抜くだけの状態に追い込まれた。しかし、オークによって刻まれた呪いの障害が再度シラスを襲う。シラスの意思に反して、シラスの体は動くことを拒み、硬直が解けない無防備な状態に陥る。
寸前で覚悟を決めたシラスだったが、拳を作ったオークの動きを制止する存在がその場に現れた。
オークを間近で見たリュグナーは、
「クハハハハ! 成程――」
オークの影とリュグナーの影同士をつなぐ半透明の黒い鎖――張り詰めた影の鎖を操るリュグナーにより、オークは動きを阻まれる。
「これは……どうしても“ 眼が合ってしまう ”な」
リュグナーは両目を覆う包帯に手をかけ、その下の金色の目に宿る力を引き出そうと身構えた。
オークに対処していた4人の下に、続々と増援が駆けつける。
足元の影から何かがまとわりつくようにぎこちない動きを見せるオークに対し、
「どうだ、自らの実力を発揮出来ない感想は――」
アレフは迅速に封印術を施し、一時的にオークの目の能力を奪う。
「生憎とこれはチーム戦だからな」
そう言ったアレフの傍らで、レーゲンとグリュックは竪琴を奏で続けながら、
「レーさんたちも応援に来たっきゅ! 皆で必ず倒すっきゅ!」
レーゲンは皆を支援するために、癒しの力を込めた旋律を奏で続けた。
アレフは自身の技を過信せず、封印の効力が失せる前に、できる限りオークに攻撃を畳みかけようと動く。
アレフたちも戦線に加わり、イレギュラーズはより苛烈にオークを追い詰めていく。オークの体には赤黒く窪んだ眼窩(がんか)がいくつも目立っようになり、戦闘の熾烈さを現していた。
正面からオークに挑むセララは、飛行能カを駆使してオークの体に裂傷を刻む。ジェックやライの銃撃による援護も伴い、オークは四方から攻撃を浴びせられる。
オークは息を切らしながらも反撃を続けていた。緩慢さを増してきたオークの動きを見極めつつ、ライはその背後に回り込んでいく。
オークの背中には、ライの姿を見つめる複数の目が残されていた。その目がライを認識した瞬間、ライは体の自由を奪われる。オークは振り向き様にライを蹴り飛ばそうと、瞬時に回し蹴りを放った。しかし、ライは強靭な意思によって、半ば這いつくばるように身をそらす。
ライの至近距離に迫ったオークだったが、透かさず怒涛の攻撃に晒された。その連射はジェックのものとは異なる攻撃で――。
「こっちは片付いた!」
戒宣と共に他の魔物の一掃を担っていた飛は、ガトリングガンを掲げながら言った。
「あとはそこの幼児趣味のブタ野郎だけだぜ!」
飛はライのそばに駆け寄り、その手を強く握って起き上がらせた。飛のまとう揺るぎない闘志に影響を受けたかのように、不思議とライは体が軽くなるのを感じた。その間にも、オークに守る隙を与えないように、
「食い物にしてるガキ共に殺られる気分はどうだ!」
シラスは徹底的に攻めかかる。
「生憎と、未来ある子供達をお前達の様な怪物に食わせる気はない――」
オークを討ち果たそうとするアレフも、魔力の奔流を放ち、
「貴様らにはこれで十分だ」
冷徹に言い放ったアレフの苛烈な一撃は、オークのアタマを焼き切らんばかりの勢いを見せた。眩い魔力に焼かれたオークは、黒焦げの頭から煙をあげながらその場に倒れ、二度と動くことはなかった。
町の門は破壊されたものの、多くの人命が失われずに済んだ。イレギュラーズの働きによって、最悪の事態は免れた。何よりも、非情なオークの魔の手から子どもたちを遠ざけたことで、孤児院のシスターたちはイレギュラーズに一層の謝意を示した。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございました。
皆さんの連携によって、子どもたちを脅威から守り切ることができました。
GMコメント
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●成功条件
怪王種化したオーク、鳥型の魔物たちの討伐。
●シチュエーション
町の門が破壊された直後の現場になります。
門を破壊した怪王種は、子どもを好んで食らう嗜好のようです。まっすぐに孤児院の方角を目指します。
破壊された門も、避難先の教会も、孤児院から徒歩5分圏内です。
魔物計50体に対し、町の兵力は40です。鳥型の魔物を何割か減らせれば、互角になる程度の戦力です。
●敵の情報まとめ
鳥型の魔物(ハゲワシ並のサイズ)は、目の前の動くものにはとりあえず襲いかかります。(戦闘時は、飛行状態のルールが適用されます)
鳥型の魔物は鉤爪による攻撃(物近単)、触手攻撃(神中単)を用います。
怪王種(全長約5メートル)は、子どもを食らうことに執着しています。イレギュラーズも例外ではなく、見た目的に子ども(未成年)っぽいPCも獲物とみなすでしょう。
怪王種は全身に目玉を持つ特徴もあり、特に『回避』の能力が秀でています。攻撃手段は、肉弾戦(物近単)、緊縛の瞳(神中単【呪縛】)を用います。
●ブレイブメダリオンについて
このシナリオ成功時、参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
このメダルはPC間で譲渡可能です。
個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。
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