PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ヴァーリの裁決>ファンドアンドオペレーション

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新田寛治の華麗なる統治
 雨粒が窓と叩く木造の屋敷に、レコード盤がゆっくりと回っている。
 落ち着いたジャズミュージックが満たす部屋の中、いかにも重そうなラジカセの赤いボタンに指をかけた新田 寛治(p3p005073)はじっと目を閉じていた。
 音楽がおわり、ピッと針があがる。と同時に新田は目を開き、優しく落ち着いた、それでいて張りのある美声でマイクへと語りかける。
「リーゼロッテより新田寛治が任命された総合リゾート事業。彼女の別荘地のいくつを統合管理し――」
「新田サァン!!」
 バァンと扉が開け放たれ、スキンヘッドの男が駆け込んでくる。
 マフィアのカチコミかとおもうほどのコワモテ。スキンヘッドにちょびひげにサングラス、そのうえ2mほどの巨漢というだいぶキマってる風貌の男だが……しかし新田は狼狽えることなく静かにボタンから手を離した。
 かわりに、ため息を深くつく。
「タカジさん、収録中だと言ったはずです」
「それどころじゃないっすわぁ」
 とにかく外を見ろとジェスチャーで訴えるタカジに、新田はやれやれと机のコーヒータンブラーを手に取り席を立つ。そして建物から外に出て――。

 一つ目の巨人が海面に列を成していた。
 棍棒をかつぐ者、岩を抱える者、弓矢を肩にかけた者。格好こそまちまちだったが、共通して感じるのはこの土地への敵意と――幻想国民に対して向いた破壊の意志である。
 思わず手からタンブラーが滑り落ち、床ではじける。
 新田はポケットからスマホを取り出し、耳に当てた。
「……はい、私です。今すぐ一個大隊をよこしてください。そうです、どうも……巨人が領地を攻めてきたようで」
「新田さぁん、それ、圏外っすわぁ」

●巨人と軍隊
 まずは紹介しよう。
 アーベントロート・リゾートとは、新田 寛治の管理するリゾート施設である。
 湖畔の別荘地と海岸施設(プライベートビーチ)で構成されたそれは、風光明媚な観光施設。なんだかんだでリーゼロット御嬢様との縁が深い彼ならではの施設であり、建設された『リズランド』はおぜうの冷酷な美しさにうっとりすることしきり。
 管理を任されているといってもあくまで任命された立場。この土地が更地にでもなろうものなら……。
「皆さん! 今は手を取るときです! さもなくば、我々に待つのは死! もしくは死よりも恐ろしき地獄です!」
 とにかく今すぐ集められそうな警備員や兵隊、コネで呼びつけた近隣の戦闘員などが広場に集められ、新田は台の上で演説していた。
「只今幻想各地には古廟スラン・ロウから這い出た怪物たちによる襲撃報告が相次いでいます。いまここへ迫っているのもそのひとつ――『海渡る一つ目の巨人(ブルーサイクロプス)』の一団です!
 戦える者は今すぐ剣をとり立ち向かうのです。この風光明媚な土地が破壊されることがあれば……翌朝冷見間違いなし! 立てよ領民! 戦の時です!」
 集められた中には、新田の呼びかけによってなんとか駆けつけることのできたイレギュラーズの姿もあった。中には他の領地を収めている者もおり、自領の兵隊を連れて参陣した者もまたあった。
 そんな急造軍隊の先頭で、ヘルメットをかぶりショットガンを担いだタカジがビシッと踵を打ち合わせる。
「全軍迎撃準備! この土地に、巨人を一歩たりとも入れてはなりません!」
「――ウス!」

GMコメント

 ごきげんよう。このシナリオは集団戦シナリオ。
 PCが部下を率いて巨人の軍団と戦います。
 幻想に領地を持っているなら(もしくは何かしら理由がつくなら)自領の兵隊を率いて参戦することも可能!
 マイ部隊を編成して戦おう!

●ブレイブメダリオン
 このシナリオ成功時参加者全員にブレイブメダリオンが配られます。
 ゴールド、ミスリル、アダマンタイトとメダルごとにランクがあり、
 それぞれゴールド=1p、ミスリル=2p、アダマンタイト=5pとして扱われブレイブメダリオンランキングにて総ポイント数が掲示されます。
 このメダルはPC間で譲渡可能です。

■オーダーとシチュエーション
 突如として巨人の軍団に狙われたアーベントロート・リゾート。
 管理を任命された領主新田はコネを総動員して迎撃用軍隊を急造しました。
 今回の依頼参加者はそんななかの一人という扱いになっています。
 たまたまリゾート地に自領のひとと一緒に遊びに来ていたり、たまたま近くを通りかかっていたりと理由はぶっちゃけこじつけでOKです。幸せならOKです。

 余談ですが、アーベントロート・リゾートに元々配置されている軍事力の殆どは友軍として絶賛戦闘中です。彼らの活動はあくまで避難誘導や後方支援、援護射撃などが主となるので、皆さんは前線に出てバチバチな戦いに集中することが出来ます。

■部隊編成
 PCはそれぞれ『部隊長』となり、10人前後の部隊を率いて戦います。
 自分の領地を持っているなら、その領地から兵隊を連れてきて戦うことができます。
 自分の領地らしい兵隊設定を考えて、プレイングにぶつけましょう。

・部隊の戦力
 部隊長となるPCが戦うことで、その熱意ややる気パルスが伝わって部隊の戦力が向上します。
 味方強化系のスキルを駆使してもいいですし、演説や歌や演奏といった方法で部隊の戦力を引き上げるプレイもここではたいへん有効です。

□部隊編成の補足
・たまたまここにいた理由は特に考えなくてOKです。慰安旅行とか。
・部隊の戦力やスキル編成についてはバランスよくそれなりの編成であるものとし、プレイングで指定できないものとします。、これだけでプレイングが圧迫されちゃうためです。
 また同じ理由から、部隊への指示はプレイング外で充分に成されているものとします。
・部隊が大きなダメージを受け壊滅した場合、PCの戦闘不能ないしは重傷といった形で現れます。

■フィールドデータ
 迎撃地点はアーベントロート・プライベートビーチ。
 主な戦場は浜辺となります。
 巨人の軍団は海の上を歩く形でこちらへ進軍してくるので、先制して遠距離攻撃をしかけることが可能になるでしょう。
 船や水泳、飛行能力があるともうちょい早く攻撃できそうですが、浜辺にずらっと並んで迎撃したほうがおそらくは効率がいいはずです。

 失敗条件はとくに定めませんが、浜の部隊が壊滅して内側まで進撃されたらとても大変なことになります。特に新田氏が。

■エネミーデータ
 『海渡る一つ目の巨人(ブルーサイクロプス)』の軍団です。
 古廟スラン・ロウから現れたモンスターで、幻想国民に対して等しく敵意を持っているようです。
 こちらの軍隊を壊滅させたのち、リゾート施設の破壊を行うつもりでしょう。
 数はかなり多く、積極的に倒していかなければ押し切られてしまうでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ヴァーリの裁決>ファンドアンドオペレーション完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ

リプレイ

●リゾートガーディアンズ
「休暇の!」
 『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)牛ビキニフォームが腕組みし、きゅっと腰をひねった。
「途中に!」
 集中効果線つきで振り返り。
「巨人と戦うことになろうとは!」
 ルル家師匠が一世を風靡した無礼STYLEで登場のところ紹介失礼いたします。
 こちらは新田管理土地アーベントロート・リゾート。
 総合リゾート事業を手がける関連企業団とその集合エリアである。
「まぁこれも一つのフィットネス的なものと思わば不足はなし! いい感じの運動をしながら片付けちゃいましょう!」
「もぉ、折角ルル家ちゃんとバカンスしてたのに!
 新田さんの翌朝冷見はいつものことだけど、ここは例のスナックの慰安旅行予定地だし、ちゃんと守るわぁ」
 カメラを横にふると同STYLEの『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)がシンメトリーに振り返っていた。
 だめだめだめですってサービスシーン早すぎますって。ほらみろ新田が『その案件、私にお任せいただけませんか?』ボイス差し込もうとしてる!
「失敬な、差し込むべきはボイスではなくピンナップのはず」
 ごもっとも。
 『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)はちゃきっと眼鏡の位置を直すと、ローレットのコネで集めたルル家小隊とアーリア小隊をそれぞれ観察した。
 星辰都市ルルイエから連れてきた兵(慰安旅行と聞いてきた徴兵市民)は両目かっぴらいてルル家の寿命あとどれくらいかなって小声でつぶやいていた。殺意の高さは流石宇宙警察忍者出の女。よく調教されている。
 一方でアーリアの小隊は移動手段として用いていたミケランジェロと大小様々な鳥。この鳥がなんて種類の鳥なのか全然わかんないけど総称して『ミケランドの鳥』と呼ばれている。
 加えてアーリアの下見に護衛としてついてきた警備兵たちがミケライダーとなり、ちょっと機動力のよさそうな小隊に仕上がっている。
 つまりはアーリアおねえさんもミケランジェロにまたがり疾走するということ。なんだろうさっきから見たい絵が増えていく。
「チケット拾った、ラッキー! と思って来てみれば、何これ?
 アタシのラッキーとバカンスに味噌つけやがったな?
 ふざけんなー、おまえらぶっ飛ばすぞこらー!!」
 一方。水着の上にパーカーを羽織った『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)が海をすいすい歩いてやってくる巨人達めがけて石を投げまくっていた。
 まああたる距離じゃないんだけども。それでも投げたくなるときだってある。
 折角のバカンスが潰されたときがそうだ。
「……まったく。防衛兵器の試作品を運搬中にこんな事に巻き込まれるとはな……まぁ、いいだろう。同じイレギュラーズである以上、協力を惜しむ必要はない」
 その横へフライトユニット垂直着陸モードによって降りてくる『蒼空』ルクト・ナード(p3p007354)。
 その後ろへ同型のユニットを装着した空挺団が垂直着陸し、飛行戦闘に適応したライフルを天に向けて抱えた。
「……試験運用だ、準備しろ貴様等!」
 さすがルクトの兵。訓練された良い動きでイエスと返事をした。
 京もそうなのだが、誰もが兵を持参できるわけではない。
「せっかく自由になったのだから海に来てみたらなんだか巻き込まれたのだけど!?
 まあいいわ……この土地の兵を借りるわよ。いい?」
 スプリングの効いた義足でカッと立つ『剣靴のプリマ』ヴィリス(p3p009671)。新田へと振り返ると、新田はその脚を見てきらりと目を光らせた。
「悪くない趣味です。むしろ、好きですらある……」
「なにが?」
「兵をお貸ししましょう。リゾートの防衛部隊を一個小隊、指揮権を一時移譲します」
「アーベントロート・リゾートに侵攻して来るなんて命知らずのレンチュウは嫌いじゃないけれど、それはそれとしてメイワクだからぶっ飛ばそう!」
 同じように兵を借り受けた『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)がビッと親指を立てた。
「負けるワケにはいかない戦いがここにある! 守り切らないとカンジが砂浜に頭から突き刺さることになるからね!」
「あれは毎回やられているわけではないんですよ?」
「これは新田氏に貸しを作るチャンスだな。よし、力を貸そう!
 私の護衛で来ているS.B.警備隊と、戦闘でも有能な社員で防衛するぞ!」
 同じくビッと親指を立てる『Meteora Barista』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)。
 飲食企業Stella Bianca。移動店舗の船をビーチからやや遠い場所に停泊した状態で、モカたちの護衛部隊が上陸してくる。
 キック主体のモカと違ってアサルトライフルや携行大砲によって支援攻撃を行うのが主な役割になりそうだ。主に海上での防衛任務にあたっていたためだろう。
 できあがった八つの部隊をそれぞれ見てから、寛治は自分の部隊へと振り返る。
 皆バッチリスーツを着込み新田と同じ眼鏡をかけた男女のチーム。同じステッキ傘やアタッシュケースを手にさげていた。
 その先頭では、遊びに来ていたタカジがショットガンをガションとやってサングラスを光らせている。
「よろしくお願いしますよ皆さん。手早く片付けて、この報告書の後半をリゾートのレポートにしてやりましょう。費用は――」
 ごくりといきをのむ一同。
 新田は眼鏡を光らせ、重々しく言った。
「弊社持ちです!」

●海よりの刺客
 『海渡る一つ目の巨人(ブルーサイクロプス)』の特徴は海上を歩行すること。陸地からの砲撃しか防衛手段がなかった場合、相手はそれを見越した上で最も都合の良い突入を仕掛けることが出来る。
「戦術とは、自らの得意を押しつけること。もしくは――『相手の都合を悪くする』こと」
 ルクト率いるB.E.O Airforce空挺団は独自のフライトユニットによって高高度を高速飛行。ブルーサイクロプスたちが突入タイミングを計ろうとしたまさにそのタイミングで一気に戦闘可能距離へと接近をかけた。
 高高度では水平機動力が半減するというデメリットを、どうやら彼女たちのユニットは改善できるようである。
「……攻撃開始!」
 空戦に特化したライフルや機関銃による射撃がブルーサイクロプスへ浴びせられ、更には射撃可能範囲ギリギリのラインで制動をかけたルクトがミサイルポッドを開放。
「粘着射出弾頭『AGBB』――発射!」
 マイクロミサイルがブルーサイクロプスへ殺到。粘着物質が網のように広がってはりつき、その動きを大きく制限した。
 突入のタイミングを計っていた彼らにとって最も厄介な『絡み』である。
 ヴィリスの部隊はそこへ船舶を用いて接近。
「部隊の指揮なんて初めてだから上手くできるかわからないけど。よろしくお願いするわ!」
 デッキにて大砲を構えたリゾート警備隊が砲撃を開始。
「いくわよいくわよいくわよ! 綺麗なビーチは壊させないわ!」
 轟音鳴り響く中、ヴィリスは義足で助走をつけて跳躍。ふくらはぎ部分のブレードをひっかけるような後ろ回し蹴りで隊列の乱れたブルーサイクロプスの首を刈り取っていく。
 徹底的に足止めを喰らった個体は隊列から取り残されるかたちで孤立。
 そこへルル家とアーリアの部隊が同じ船舶を用いて射撃可能距離へと侵入。
「さぁ我が領民の皆様! ここは良いところを見せるチャンスですよ! 存分に活躍してくださいね!」
 イケイケドンドンのルル家と、ルル家をワンチャン巻き添えにできなかなって思ってる殺意民による一斉砲撃。
 と同時に羽ばたくミケライダーたちが跳躍とホバリングによってブルーサイクロプスの周囲を囲み、斬撃や砲撃を集中させていく。
 数体のブルーサイクロプスが膝を突き、海に沈むかたちで力尽きていく。
 残る個体めざしジェットスキーを走らせながら、ルル家はアーリアへ発光信号を送った。
 船舶からミケランジェロに飛び乗りたずなを握るアーリア。
 助走をつけて大ジャンプしちっちゃい羽根でホバリングするミケランジェロ。
「ルル家ちゃん!」
 アーリアはワインの瓶を振りかざすと、ブルーサイクロプスの顔面めがけて投擲。爆散した特殊なワインがブルーサイクロプスの目を潰し、訳も分からず近くの別固体へと殴りかかった。
 そうしてブルーサイクロプスが取っ組み合いをしているなかへ、ルル家がコマのように大回転しながら突撃。
「銀河忍法――銀河旋風殺!」
 画面四隅に『銀』『河』『旋』『風』と豪快なフォントで現れた末、中央にでかでかと『殺』と描かれたと同時にブルーサイクロプスの首を二つ同時に切り落とし、船のデッキへと着地するルル家。

 一方で新田のリゾート警備隊はステッキ傘に偽装したライフルで海沿いより一斉射撃。
 ブルーサイクロプスは海面を走って突入し、豪快なキックによって彼らを蹴散らした。
 対する警備隊はアタッシュケース型ライオットシールドを展開。防御をかためつつ包囲を敷く。
「本来ならこの戦闘に2パートはさいたことでしょう……。
 しかし私には使命がある。3パート目を打ち上げパートにし、三度は『挿絵お待ちしております』と言わせる使命が!」
「そうっすわぁ、新田さんは伊達に無礼な尻を生み出してないんっすわぁ!」
 ショットガンを乱射するタカジ。新田はライフルの狙いをぴったりとブルーサイクロプスの眼球にあわせると、狙い違わずど真ん中を打ち抜いた。
「古来より、目の大きな怪物は目が弱点と決まっているものです」
 目を押さえて悶絶するブルーサイクロプス。
 モカはここぞとばかりに走り、護衛部隊による一斉射撃で弾幕をはらせた。
「胡蜂――乱舞脚!」
 跳躍。からの目線カットイン。からの分裂連続高速マシンガンキックスリーカメラアングルからの止め絵からの周回軌道カメラ移動からの貫きキックからの海上停泊した出張店舗のデッキへ着地アンドブレーキである。
「――決まった」
「うおー! いいなそれアタシもやりてー!」
 京がスニーカーで砂浜をえぐりながら爆走。
 新田たちとは離れた場所から回り込んで砂浜に侵入しようとしていたブルーサイクロプスへと跳躍をかける。
「美少女オブ美少女、京ちゃんの水着だぞ、盛り上がれ盛り上がれー、あっはっはー!!
 もうバカンスからそのまま来たかんなー。いやー、なんでビキニで来ちゃったか、なー!」
 先陣切ってのミサイルキックに、ブルーサイクロプスは防御むなしく派手に転倒。
 いけいけーと叫ぶ京に応じて集中砲火を浴びせていく。
「ビキニJKの火力、とくと見よ――ってな!」
 なんとか起き上がろうとしたブルーサイクロプスの顔面に踵落としをぶつけて昏倒させると、イグナートの部隊へと合図を出した。
「臨機応変にトツゲキだ!ピンチになったら一度退いて、体制を立て直してトツゲキ!行くぞォォォオオオオオッ!」
 イグナートはいつも通りというべきか、まっすぐ行ってぶっ飛ばすを地でいった。
 援護射撃で弾幕をはらせブルーサイクロプスに防御の隙をこじあけさせ、猛烈な速度で距離を詰めたイグナートによる『スネ殴り』に繋がるコンボである。
 スネ殴りといっても大木を殴りまくって切り倒すみたいなそういう達人技である。ブルーサイクロプスとてスネをへし折られ顔から転倒。
 這いつくばって逃げようとした所を、後頭部に飛び乗ったイグナートの瓦割りパンチによって骨ごと割られるという地獄みたいなコンボに繋がるのだった。
 シッ、と呼吸を素早く整え、力尽きたブルーサイクロプスの後頭部にて立ち上がる。
 振り返ると、別部隊がそれぞれブルーサイクロプスを次々と撃破し、海に沈めているところだった。
「ヨシ、ここからはコウハンセンかな!?」
「いいえ」
 新田が、落ちた眼鏡を拾ってかけなおす。
 乱れた髪をクシで素早く整えると、キメ顔で振り返った。
「ここからは――」

●打ち上げサービスタイムだよ!!!!!!!!!!!!!!!!
「それでは我々の勝利を祝して、乾杯!」
「「乾杯!!!!!!!!!!!!!」」
 グラスをかかげる女性陣。
 モカの褐色に映えるゴールドカラーのハイレグ水着で脚線美を見せつけ、対照的に京が色白メリハリボディに極まった白ビキニで力強い脚線美を見せつける。このアシンメトリーな美しさ早く挿絵ピンでくださいお願いしますどこの省庁に嘆願したらいいですか。
 更にフライトユニットをパージしゼロフォームとなったルクトがシャープな競泳水着姿でナイトプール型の温泉から立ち上がる。あがる水しぶき。その横では隠れ巨乳と公認されて久しいルル家がプールサイドで足を組み、髪を後ろに縛っていた。尻ばっか撮ってる場合じゃn――挿絵お待ちしております!
 更にはアーリアお姉さんがお盆に浮いたトックリをつまんで、アップにした髪と首筋そしてうなじのラインをここぞとばかりに見せつ――挿絵お待ちしておりまあああああああんあああああああああああ――ァッ!?

 失礼。小一時間ほど領地経営の最適化と住民の幸福度について考えておりました。
「海が一続きに見える展望露天風呂(ナイトプール仕様)に、よく冷やしたエールや発泡ワイン、や○やの自家製ジンジャーエール等を用意。スムージーも数種類の味で……そして夕餉には?」
「トーキョーのシェフを呼んであるっすわぁ。海鮮料理はやっぱ和食っすわぁ」
「お刺身は春が旬の鯛やハマチ、ホタルイカや生シラス、桜海老などがいいですね。鳥料理のリクエストは炭火でじっくり焼いた焼き鳥。筍や蕗の薹は天ぷらで……」
 新田が今日一番の張り切りをみせていた。なんなら戦闘中より張り切っていた。
「……まさか、このゼロスーツが水着だったとはな……。通りで皆、何か言いたげにしていたわけだ……」
 トロピカルジュースを片手に思案するルクト。
 一方アーリアは温泉に入らずじっとしているヴィリスをガードしていた。
「狼な男性に触れさせるわけには! 触れさせるわけには!」
「私の脚をみて欲情する男がいるとは思えないけど……」
 スムージーをずぞぞーってしてるヴァリス。戦闘中に装着しているブレード義足は取り外し、車椅子にこしかけていた。
「ヴィリスちゃん……大事なことを教えるわ」
「?」
 ルル家がスッと後ろからスライドアウトして現れる。
「『欠けたるは美』……人から何かが欠ける時、美しさがその欠落を満たすのです。片目えぐられてから急に魅力が出た拙者のように」
「ルル家ちゃんはその前からだいぶムンムンだった気がするけど……」

「くっ……ここの夕食も見た目が美しく、そして美味いじゃないか!
 私たちも慢心できないということだな。店に帰ったら新メニュー開発だ!
 それはそれとして、今夜は酒と食を楽しむぞ。あぁ酒が美味い」
 一方こちらはモカ。並んだ海鮮料理と日本酒の組み合わせにやられていた。
 美味い刺身と日本酒とか、人を良い意味で殺す。
「海キレー! 温泉気持ちいー! ご飯もくれるし飲み放題だしサイコー!」
 京はといえばJKというだけあって酒はでないが焼き肉だ寿司だスイーツだって食べ放題ビュッフェスタイルに大満足であった。
 そんな風景を眺めつつ、お盆にのったおちょこで酒をくいっとやるイグナート。
「たまにはこんな日があってもイイ……ね」
 あがる月が水面にゆれて、かかげた杯が月を欠く。
「はい。喜びを提供してこその……リゾート経営」
 有言実行の男、新田寛治。
 彼の戦いは、続く。

成否

成功

MVP

新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

PAGETOPPAGEBOTTOM