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シナリオ詳細

<リーグルの唄>生に求むる救いを

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<リーグルの唄>
 ローレットの本拠地である、幻想王国。
 過去『伝説的勇者』が打ち立て、大国とはなったものの……もうその時から長い時から経過しており、今となっては建国当時の伝統と誇り、さらには理念といった物はもう……ほぼ失われてしまった。
 そして、昨今においては門閥貴族が台頭してきている。
 彼らは己が私欲を満たさんが如く、領民の人権、生活等を考慮する事など、万が一にもあり得ない事である、と。
 現国王『フォルデルマン三世』は、父王がギリギリの所で抑えつけていた大貴族連合を制御する事が出来ずに今は、貴族達のするが儘に政治は進んでしまっていた。
 ただ最近は、サーカス事件の一件以降、貴族の筆頭たる三大貴族の当主らも含め、国内の主要勢力とローレットの距離が縮まる事で、国難とも言える程の腐敗は収まっていた。
 しかし、それを良く思わぬ者も居る訳で……今迄甘い蜜を啜り続けていた貴族等は、享楽的で身勝手な彼らの目が及ばぬ所で悪事を働く者も居る。
 幻想王国にかねてより存在していた『裏市場』に、ここ最近出品され続けているのは『奴隷』……。
 恐らくファルベライズ動乱のブラックマーケットでは、奴隷を中心とした商いを行う事が難しい、と判断された結果、奴隷商人達はここ、幻想王国へと集結し、『大奴隷市』として人身売買を繰り広げていた。
 そして最近幻想で活動をしていたローレットのイレギュラーズ、アルテナ・フォルテ(p3n000007)が、最近ラサのブラックマーケットが静かである事、逆に幻想王国の裏市場が賑わいを見せていると情報屋と協力し、調査を行う。
 その結果、奴隷が何時売り出されるかを判断する事が叶う。
 人身売買という不当な行いを見逃す事は出来ない。
 その為に、イレギュラーズに奴隷達の救出と証人達の捕縛、燻る火種を消してきてほしい……という話が舞い込むのであった。

●生に求むる救いを
「イレギュラーズの皆さん! ちょっと助けてほしいのです! こっち、来てくださいなのです!」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、ギルド・ローレットを偶然訪れた君達へ、小さな体を精一杯大きく動かしてアピールする。
 そして、皆が集まった所でふぅ、と息を吐きながら。
「来てくれてありがとうなのです。ちょっと今回は、人命救助の依頼なのです!」
 と言いながら、バルツァーレク領の東南部に広がる森のエリアを指さす。
 森……という事で、何かモンスターが出たのか、とかと聞いてくるのだが、ユリーカは首を横に振って。
「違うのです。皆さんも最近良く話を聞いてると思うのですが……『大奴隷市』は知ってるですよね?」
「バルツァーレク領でも『大奴隷市』が開かれていた様なのですが……この大奴隷市から逃げた奴隷の皆さんが、この森に逃げ込んだみたいなのです」
「奴隷さん達は逃げるので精一杯で、森のどこかで息を潜めているみたいなのですが……当然、奴隷商人達は、商材が逃げたと森を捜索しているのです」
「奴隷なんて悲しい運命から逃げた奴隷さん達を、このまま奴隷商人に渡すわけには行かないのです……捕まれば、今まで以上に酷い目に逢わされるのは間違いないのです。だから、イレギュラーズの皆さんに、奴隷さん達を助けに行ってほしいって訳なのです!」
「奴隷さん達なのですが、年端もいかない、10歳前後の少年少女達なのです。彼ら彼女らの将来を守る為にも、イレギュラーズの皆さん、よろしくお願いします、なのです!!」
 と、イレギュラーズの皆の背中を押して、送り出すのである。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。

 今回の依頼は奴隷救出依頼。
 ですが、奴隷商人の下に居るのを奪還に行くのでは無く、奴隷商人の下から逃げ出した奴隷達を守り抜く、という依頼になります。

 ●成功条件
   奴隷達を全て守り抜き、奴隷商人およびその配下達を撃退する事です。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はBです。
   依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   奴隷達が隠れているのは、バルツァーレク領南東部にある森の中です。
   空の灯が遮られ、かなり薄暗いです。暗視があれば普通に見えますが、灯が無いと『暗闇』効果が出るくらいです。
   彼らは片足に錘を付けられたまま逃げているので、地面に錘を引き摺った後があるので、それを辿れば奴隷達の下にたどり着くことは出来ます。
   奴隷の少年少女の人数は10人で、皆十歳近辺です。
   ただ……彼らは心を閉ざしている為、普通にイレギュラーズの皆さんが助けに来た、と言っても警戒を解かない事でしょう。
   彼ら彼女らの警戒を解くために、皆さんの声かけは重要になります。
   (上手く行かないと、戦闘中に逃げようとしたりして、守るのが難しくなるかもしれません)
   なお、奴隷商人達は皆様が接触してから3、4分位すると到着してしまいます。
   なので、説得に時間を掛けるという事は出来ませんので、ご注意ください。
 
   奴隷商人達はイレギュラーズの皆さんより、奴隷達をボコボコにして、抵抗できなくさせて持ち帰ることを主軸に行動しますので、戦闘中は奴隷達を守る行動は忘れない様にしてください。

 ●討伐目標
   敵として、追いかけてくる奴隷商人達の人数は6人となります。
   首謀者である奴隷商人が一人、その護衛、かつ回収の為に招集されたならず者上がりの傭兵が五人です。
   奴隷商人は戦闘能力は高くありませんが、一応自己防衛の為の武器(毒を塗ったナイフ)、防具(皮鎧)を装備しています。
   そして彼を守るように傭兵五人が立ち塞がります。
   傭兵達については、3人がロング・ソードと鉄鎧という前衛の装備、2人が奴隷商人から離れずに、後ろから弓矢、および魔法の様な者を使ってくる様です。
   前衛3人については体力高め、攻撃力並。
   弓使いについては体力普通、攻撃力高め。
   魔法使いについては体力低、攻撃力は(神)属性の攻撃力がかなり高い様です。
   
   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <リーグルの唄>生に求むる救いを完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月13日 22時03分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

武器商人(p3p001107)
闇之雲
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
ロロン・ラプス(p3p007992)
見守る
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
メルランヌ・ヴィーライ(p3p009063)
翼より殺意を込めて
矢矧 鎮綱 景護(p3p009538)
忠義はかくあるべし
八剱 真優(p3p009539)
忠義はかくあるべし
ダイア・コルドー(p3p009611)
期待の新人

リプレイ

●夢の仇
 ローレットが拠点としている地、幻想王国。
 伝説的勇者の過去の栄光と誇りは、今となっては影形も失われ、門閥貴族が台頭し、民のためではなく、各々の私欲を肥やすために施政を行っている。
 そして……そんな腐敗を象徴するかの如く、昨今においてはこの幻想王国において『大奴隷市』が度々開かれてしまっている、という有様。
「うーん、サヨナキドリの本店のある領で、不当な人身売買が横行してしまうのはちょっとねえ……」
 と『闇之雲』武器商人(p3p001107)は苦笑し、肩をすくめる。
 大奴隷市……商人だからこそ話を聞いた事はある。
 しかしながら、その商売は人の自由を奪う不法行為であり、表だっては認められるべきではない商売。
 ……そんな不法行為より逃れようと、奴隷商人の支配下から逃げ出した奴隷の少年少女達を救ってきてほしいというのが、今回の依頼。
「そうだったね、逃げ出した奴隷の救出だったよね?」
 と『無垢なるプリエール』ロロン・ラプス(p3p007992)がコミュニケーションボディ形態でぽつりと零すと、それに『翼より殺意を込めて』メルランヌ・ヴィーライ(p3p009063)と『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)が。
「幼い身で飢え、恐怖に怯えて生活するのは辛いこと。ええ、状況は違いましたが覚えのある記憶です。ですから、子供達は護らないとね。そして不埒な商人のお金は彼らの未来へと有効利用させてもらわないと……ふふ」
「うん。慮外者の魔の手から逃れたのに若い命を散らせる訳にはいかないよ。少なくとも今を生きる求めには応えてあげたいね」
 と頷き合い、そして『期待の新人』ダイア・コルドー(p3p009611)も。
「そうですね。暗い森で、悪い人たちから逃げて……きっとみんな怖がってますよ。早く助けてあげましょう」
 救いを求めし子供達を絶対に助けたい。
 そんな強い気持ちを心に抱き、宣言する。
 そして仲間達の言葉に矢矧 鎮綱 景護(p3p009538)が。
「しかし奴隷売買絡みが、随分と続くことだ……相手を殴るのに躊躇わずに澄む程度でしか、マシと思える点が無い。道を外れた者どもの、何と多き国か……嘆かわしい」
 奴隷達が逃げたと言われる、バルツァーレク領南東部に広がる森
 そんな景護に『曇り知らずの高気圧龍姫』八剱 真優(p3p009539)も。
「ええ。悲しき運命に抗おうとしている子供達がいるならば、手を差し伸べその未来に光を灯すことこそが、私たち神使≪イレギュラーズ≫の、大人の責務です! 景護、皆様、疾く参りましょう!」
「そうですな。急ぎやるべきことは、嘆く事では無かった。奴隷達を護りきり、奴隷商人達を倒す……その仕事を、確実に果たす事としましょう」
 イレギュラーズ達各々の決意の言葉。
 そして……。
「それじゃ始めようか。森の中ならボクのお庭だしね……という訳で」
 『虎風迅雷』ソア(p3p007025)は、仲間達よりも数歩先に進み出る。
 そして……軽く目を閉じ、無防備な体勢で。
「ねえ……みんな。ボクたちの他に、ここに人間が来ていると思うんだ……どちらか解るかな?」
 と、問いかける。
 ……その問いかけに森はざわつき、木の上の小鳥たちがソアの肩に停まって、チュンチュンと鳴く。
「……うん、ありがとう。みんな、あっちの方に小さな子供達が通ったんだって。それじゃ、行こうか」
 と、小鳥たちの情報を足がかりに、森の中を進み始めるのであった。

●追い縋る手
 そして、うっそうと生い茂る木々が不気味な森の中。
 かなり薄暗いけれども、そんな視界は携行品として持ち込んできたバジリスク・サイト暗視効果を得る一方、必要に応じて景護が隼人明星を利用し、発光効果で灯も確保。
 だが、あっちの方に向かったという情報だけで、まだその姿はおろか、影形をも見つける事が出来ていない。
 ……更に、薄暗い森の中に響く叫び声。
『おい、何処に行きやがった!』
『逃げようと無駄だぞ! 絶対に探し出して、連れ帰ってやるからよぉ!!』
『今のうちに出てくれば、骨一本位おるので赦してやらぁ、ほら、出てこい!!』
 恐らくそれは、逃げた奴隷達を捕まえに来た奴隷商人達のものだろう。
 商売道具に逃げられたとあっては、キレるのも仕方ない。
 奴隷として育てた、今迄の必要経費も意味は無く……売れたときに手にする金額もパー。
 ……ただその声に奴隷の少年少女達は、更に怯えて、動けなくなっているかもしれない。
「仕方ありません……」
 と真優は『怯え』の感情を感情探知で探る。
 すると、先ほどの奴隷商人達の声に、強い怯えの感情の方向を感知する。
 勿論奴隷商人達と出会わない様、彼らの声にも注意を払いながら進んでいく。
 ……すると、地面に特徴的な痕跡が。
「ん……これは……?」
 ロロンがその痕跡に気付く。
 地面に何かを押しつけて、擦ったような跡がある方向に向けて、ズズズズ、と続いている。
「そうですねぇ……これは間違いなく、錘を引き摺った跡でしょう。となれば、この跡が続く方向に居るのは間違いないだろうねぇ」
 と武器商人の言葉に頷き、ダイアが。
「取りあえずこの痕跡を奴隷商人達が追いかけてくると、それはそれで面倒ですね……という訳でデブネコさん、よろしくお願いしますね」
 と、彼女の言葉と共に召喚されたのは、ぷっくりと太ったデブネコさん。
 そしてデブネコさんは、奴隷さん達が引き摺った錘の跡をゴロゴロと転がって、形跡を解らなくさせていく。
 ……流石に注意深くしらべれば、痕跡は多少見えてしまうだろうが……応急的な対応としては、充分な効果をもたらしてくれるはず。
 そして、イレギュラーズ達の通り過ぎた跡をデブネコさんがゴロゴロし続けて痕跡をけしつつ進んでいく。
「きっと直ぐに追いつける。でも怖がっているんだろうね……どうすれば気を許してくれるかしら。人間が怖いなら、その他ならどうだろう?」
 と小首を傾げるソアにメルランヌが。
「そうですね……確かに奴隷商人という『人』に酷い目に遭わされているから、下手に粗野に対応すれば、その思いを呼び起こさせてしまうかもしれないわね。だけど……説得するには優しい声かけも必要でしょう」
「まぁ、できるだけ優しい言葉で話しかけて、恐怖心を刺激しないようにすればきっと大丈夫かな? 取りあえず、その怯えた心を下手に刺激しないようにしようか」
 そう言いつつ……イレギュラーズ達は進む。
 ……すると、木の陰に、身を寄せ合う子供達の姿を発見。
『……こ、こないで……』
 心底まで怯え、震える子供達。
 そんな子供達に、虎の姿で近づくソア。
 普通なら、森の中に虎が現れたとあれば、襲われると驚いてしまいそうではあるが、彼女の異形朋友を活用し、子供達が受け入れられるように細工。
 そして自分の周りに兎や小鳥たちをまとわせ、近づいていく。
『え……なに、これ……』
 ちょっと驚くも、小さな森の仲間達の姿に、少しだけ安心した様な表情。
「こんばんわ、森へようこそ。困っているみたいだね?」
 と、ソアの言葉に続いてダイアが近づいていき。
 ……同じ位の年代なので、えっ……とちょっときょとんとしている。
「えっとね、この人たちはとっても良い人たちだから、安心して」
 と声を掛けるが……子供達は未だ、警戒を解かない。
「イレギュラーズって知ってるでしょ? 私は新人だけど、先輩たちはすごい人だから、すぐに悪い人やっつけてくれるからね」
 そう言いながら、子供の足元の錘に手を触れ。
「こんな錘をつけて、ボロボロにして、ひどい……そんなことする人たちは、お仕置きしなくちゃですね」
 心配する様に語りかける。
 ……そんなダイアの言葉を少し信じた様で、すっ、と救いを求める視線で見上げる子供達。
 そんな子供達に向けて、景護と真優の二人も。
「救助要請を受けた、神使……では通じぬか。ローレット・イレギュラーズだ。自由の奪還に力を振り絞った、貴殿らに敬意を。追ってくる下衆めらを潰す事で、信を示せればと思う」
「そうです。私たちが必ず守ります! 奴隷商人からも、悲しい運命からも! ですから……光ある明日をつかむ為、私たちを信じてください! 貴方達の未来、必ず良くするわ!」
 と真摯に呼びかける。
 そして、カインが。
「言葉だけだと信じられないかもしれないから……此処は行動で示させて貰いたいな。君達の枷を、外させて貰えないかな?」
 と提案する。
『はずして……くれるの……?』
 絞り出すような声。
「ああ。怖いのによく頑張ったね。もう大丈夫だ」
 その声に頷き、手早くカインと武器商人の二人が錘に手をかけ、ワイズキーや鍵穴をガチャガチャして解錠を試みる。
 流石に罪人に使うようなものではない為、足枷の作りはとても簡素。
 程なく解錠し、足首の錘がごろん、と地面へと落ちる。
 ……ただ、そうしていると、探している奴隷商人達もその気配に気付いたようで。
『ここに居たか……何だてめぇら!?』
『そこのは俺のだぞ、勝手に触れるんじゃねえ!』
 と怒号を上げ……奴隷達はひぃい、と萎縮する。
 ……そんな子供達にメルランヌが。
「これから荒事が始まります。自分の命が大事ならば、どうかわたくし達の傍から逃げないで。わたくしは、奴隷商人の敵対者です。あなた方を傷付ける必要性なんて、これっぽっちもないのよ」
 と語りかけ、一方武器を構える武器商人と、前で元の姿に戻るソア。
「今からあいつらと戦うのだど、ここでキミたちとはぐれてしまうと我(アタシ)たちが把握していないあいつらの仲間がキミ達を捕まえてしまうかもしれない。キミ達を守る為にもここにいておくれね?」
「そう。ボクたちが助けてあげるから、ここでよい子にしていられるかな?」
 そんな言葉に、景護は持ち込んだバケットを子供達の前へ置いて。
「待つ間に、食ってくれ……オレも、気に入ってる品だ」
 と差し出す。
 ……奴隷の子供達は、それに。
『……わ、かった……』
 イレギュラーズ達の背に守られるよう、身を屈ませる。
 そして……。
「さて、貴殿らには、相応の裁きと報いを受けさせる……易く死ねると思うなよ」
 と辛辣な言葉で宣戦布告。
 その言葉に対し奴隷商人は。
『はぁ、何を言ってやがるんだ! ふざけやがって! 殺す……てめぇら、跡形も無く殺してやらぁ!! ほら、お前等行けぇ!』
 周りの傭兵達に指示を与え、3人の傭兵達が前進。
 ソアとロロンのが数歩前へ出て、傭兵に一対一で対峙。
「さあ、行くよ!」
 最先手を取ったソアと、その横の景護がまずはAKAで自己強化。
 そして先手を取ったソアが、バーストストリームの一撃を打ち込む。
 続き、一歩後ろに居るカインが、商人の間近に居る二人の傭兵……弓と魔法使いの傭兵達の射線から、超分析で背中の子供達が通らない様に位置を調整を行い、続いて神気閃光で、敵だけを識別して攻撃する。
 そんなイレギュラーズの攻撃に。
『な、何っ!? こいつら、イレギュラーズ、だとっ!』
 目を見開く奴隷商人、ただ傭兵達はそれにひるむこと無く対抗し、前線の傭兵三人は、剣を振り落とす。
 重さを活かしたその一撃は、かなり攻撃力が高いのだが……太刀筋を見極めれば、直撃は避けることが出来る。
 そんな敵前線三人の攻撃を受け流しつつ、武器商人は……傭兵と商人のド真ん中へと突撃。
 流石に単騎特攻してくるとは思って居なかった様で、商人は驚愕の表情。
 そんな敵陣ドマン赤で武器商人が、破滅の呼び声を発動。
 周囲の敵に怒りを付与し、全てのターゲットを自分に集中させる。
 更にメルランヌも『威風堂々たる大鴉の構え』を発動し、怒り、かつ暗闇の効果を、後方に居る魔法使いに放ち、更に景護は真っ正面からではなく、あえて横に逸れて移動。
 そして、彼がターゲットに収めるのは弓使い。
「こっちだ!」
 と『掌握:鬼手』で怒りの引き寄せ。
 更にロロンも、破式魔砲の一撃を前衛傭兵を軸に、そのまま貫通直線上の敵を纏めて攻撃。
 そして、景護の後に真優がミリアドハーモニクスで回復を行い、ダイアが魔砲で攻撃。
 貫通の攻撃は、仲間に被害が行く可能性もあるだろう。
 だが、次の刻……ソアがバーストストリームを放ち、ロロンも餓えるメルクリウスで、敵の防御を無視した攻撃を穿つ。
 更に一人フリーになっている的には、カインも前線の戦列に加わり、ブロッキングでそれ以上先に行かない様にする。
 つまりは武器商人が戦列のどまんなか、前線傭兵三人の前にソア、ロロン、カインが立ち塞がり、弓と魔法使いには景護とメルランヌが対峙する事で、誰一人としてフリーにさせない。
 そして仲間達が引き付けている間に、武器商人はマギ・ペンタグラムとルーンシールドのコンボを発動。
 物無、神無の効果を得て。
「大丈夫ですよ、私も纏めてやっちゃってください!」
 と仲間達に叫ぶ。
 ダメージを受けることの無い状態で、敵陣真ん中で暴れ回れば、場をかき乱すのに充分。
 その動きに奴隷商人は。
『くそ……ふざけやがって!』
 と憤る。
 しかし武器商人は。
「他者から搾取する事しかできない可哀想な虫けらが、我(アタシ)に傷を付けられるとお思いかい? ヒヒヒヒ……!」
 と、嘲笑う。
 そしてダイアが。
「巻き込んじゃっても大丈夫なんて、さすが先輩です。私の攻撃なんて、ものともしないんですね!」
 と武器商人を巻き込みながら、魔砲の貫通攻撃で、傭兵、奴隷商人を貫いていく。
 そんなイレギュラーズの猛襲に、流石に耐えきれずに。
『ぐぅッ……!』
 と、崩れ墜ちる傭兵。
 ……一人崩れ墜ちても、その穴を埋められる追手は居ない。
『くそ……くるなくるなぁ!!』
 半ばヤケになった弓使いが、近距離の景護に弓を乱射。
 しかし景護は、その矢をつかみ投げ返す。
 魔法使いは、メルランヌが赤裳緋靴の構えで蹴りつける事で、魔法なんてモノともしない。
 そして前衛傭兵については、カインの神気閃光で、不殺効果で命を奪わずとも、倒していく。
 そして前衛傭兵全て崩れ墜ち、弓、魔法使いも瀕死の状態。
 残る奴隷商人は、イレギュラーズ達に囲まれる。
『くっ……』
 舌打ちし、にらみつける奴隷商人。
 ……しかし、もう大勢は決まっており、覆すのはもう不可能。
「……そろそろ、終わりにしましょう?」
 とダイアが奴隷商人を軸に魔砲撃。
 そしてカインが。
「纏めて倒れて貰うよ」
 神気閃光を全てを範囲に収めて放ち……その一撃に、全て、昏倒して倒れていくのであった。

●救いを求むる
 そして……。
「……終わった様だね」
 息を吐く、ロロン。
 勿論背後の子供達には、傷一つ無い……イレギュラーズ達が全力で、子供達を護ったお陰。
「一、二、三……うん、みんないるようだね?」
『……』
 武器商人が子供達の人数を確認、全員居る事を確認し、子供達もこく、こく……と頷く。
 ……そんな子供達の、解除しきれなかった足枷をメルランヌが。
「ちょっと力尽くで壊すから……大きな音がなるかもだけど、大丈夫だからね?」
 と優しく声を掛けつつ、メルランヌがその足枷を破壊し、解除していく。
 全ての足枷が解除された所で。
「そんなボロボロの服じゃ寒いでしょう? 取りあえず、これにくるまって」
「お腹すいてませんか? ……口に合うかは解りませんけれど、こちらでも食べてください」
 メルランヌと真優が献身的に子供達に声を掛け、癒すべく動く。
 そう、子供達が救助される一方で、倒した奴隷商人と傭兵達の手足を逆に長縄で縛り上げていくカインと景護。
 全てをふん縛った後、更に口を塞ぎ、荒々しい口調も封じる。
 そして一足先に奴隷商人と傭兵達を子供達の目の届かない所まで運び、縄の端を樹へと巻き付け。
「これで良し、と……街に戻ったら、ここに罪人がいると通報しておけば良いだろう」
 と景護の言葉にロロンも。
「そうだね……まぁ、それより先に飢え死にするかもしれないけど、その時はその時という事だね」
 さらっと恐ろしい事を口にしているが……それはさておき。
 そして、子供達がお腹も少し満たし、落ち着いた所で。
「それじゃ、みんな大丈夫かな? ここは怖いし、みんなで歌でも歌いながら、街まで帰りましょうか!」
 とダイアが提案し。
「そうだな。ほら……手でも繋ぐか?」
『……うん』
 こくりと頷き、カインや真優が子供達の手を握る。
 そして……子供達の歩幅に合わせて歩きながら、イレギュラーズ達は薄暗い森から子供達を連れだし、子供達が安らげる筈の街へと向かうのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

奴隷救出シナリオに参加いただき、ありがとうございました!
少しの勇気で、何とか逃げた彼らの命の種を咲かせてくれたのは、紛れもなく皆様です。
彼ら彼女らが幸せに生きれるかは未だ不透明ではありますが……でも、きっと成長した姿を見せてくれるでしょう……!

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