PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<希譚>混じり、爆ぜて、転がり朽ちる<呪仔>

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『真正怪異』の生みしモノ
 ――最終電車も終わった後の深夜1時23分に去夢鉄道中央駅に来るはずのない電車が停車する。其れに乗ったら異世界へと連れて行かれるんだって…….。
 『希望ヶ浜 怪異譚』。希望ヶ浜に古くから伝わるたぐいの都市伝説、そのひとつである『石神地区の真正怪異』がある。その地区についてまことしやかに囁かれる噂が、それだ。
 希望ヶ浜学園が編成し派遣した調査隊の面々は多数の情報と、異界へ呼び込まれるという異常を経てダムに沈んだはずの――来名戸村(くなとむら)と呼ばれる場所に辿り着いた。
 村について、そしてそこに奉ぜられる神の存在を調べた調査隊は、『阿僧祇霊園石神支社』による『神の創造』へと触れることとなった。
 ……そして。様々な情報のやりとりやその中で協力を申し出た澄原病院院長、澄原 晴陽からカフェ・ローレットへと出された依頼。
 それが、今回特待生や教師(ローレット・イレギュラーズの希望ヶ浜での身分である)が対処することとなるものだ。
 そのものズバリ、『ゾンビ退治』。元・人間がゾンビの姿となったそれは多数の、本当に多数の形質を持ち……今回の個体はなかなかどうして、不気味というか。まあ、そういうものなのだ。

●混じり合う魂、混じりけなき悪意
 アスファルトが劣化する、もっと直截的に言うと「ぼこぼこになる」理由というのは得てしてその下、路盤と呼ばれる砕石と砂の形質変化に拠るものだ。
 湿潤と乾燥、小規模な膨張と収縮を繰り返す路盤の変化がアスファルトに与えるストレスが傷を生み、割れ目に入った雑草の種が芽吹き、根を広げ路盤の膨張を促進させる。如何に頑丈に作られたものであっても、汎ゆる自然が生み出す「変化」に耐えるには限度がある。コンクリートは100年というが、せいぜい40年も使えば鉄筋の腐食から中性化が起こり凝固状態に変化を及ぼす――。
 さて。
 僧祇霊園の石神支社周辺、言ってしまえば今回の大体の元凶ともいえるその地の周囲には多数のゾンビが蔓延っていた。それらも邪魔であることこの上ないが、輪をかけて厄介なのが周囲を飛び回る霊魂だ。よく見ればわかるが、それらはただのヒトダマの形を取るもの、2つの魂が混ざりあったようなもの、それ異常の複合体など様々だ。
 恐ろしいのは、それではない。
 それら霊魂はゾンビの体に入り込み、一時的にその体積を大きく増すのである。或いはひとつの肉体に魂を複数抱えることの拒絶反応だろうが、数十秒の後にそのゾンビは爆散し、あとには更に数を増やした霊魂が増えていくのだ。
 それどころか、パンプアップしたまま爆散せず暴れまわるゾンビ、複数の霊を受け入れて変質を続けるゾンビ、異常を異常と認識できぬほど次々と生まれているのだ。霊魂同士も混じり合い、増幅し、或いは収縮し爆散し……同じ状況は10秒と続かない。
 あなた達はこの狂乱の宴の中、現れる霊魂とゾンビ達を一時的にであれ一掃せねばならない。

GMコメント

 ゾンビ! 霊魂! そして暴走! そんなしっちゃかめっちゃかな戦闘シナリオです。

●達成条件
 『ゾンビ』『霊魂』の一掃(どちらもかなりの数がいます)

●ゾンビ
 『阿僧祇霊園石神支社』が来名戸神へと嫁ぐ『花嫁人形』につぎ込んだ狂気、その産物です。
 体内には『霊魂』を宿しておりますが、この状態で撃破した際は『霊魂』は増えません。
 『霊魂』が体内に入ってきた場合、2ターン後開始時に爆発。『霊魂』が拡散します。
 また、爆発までの間は尋常無いパンプアップにより攻撃力が増大し、ダメージを一定以上受けると繰り上げで爆散します。
 なかには爆散せず強力な力を振るう者もいます。

●霊魂
 周囲を漂う人間霊。『阿僧祇霊園石神支社』の側で埋葬に不備があったなど諸々の理由から成仏できぬ魂がこうして滞留しています。『ゾンビ』に入り込むと霊魂同士の拒絶反応を起こします。
 『ゾンビ』への入り込み確率はそれなり。
 同じ『ゾンビ』に複数入り込むこともあり、その場合強化能力が特異なものとなります。
 霊魂同士が融合している場合もあります。この場合、『ゾンビ』に入り込む確率は下がりますが、通常の霊魂よりも強力です。
 この状態で撃破すると完全消滅します。

●戦場
 道路上での戦いとなります。足元ボッコボコですので気をつけて下さい。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

[注:繙読後、突然に誰かに呼ばれたとしても決して応えないでください。]
[注:繙読後、何かの気配を感じたとしても決して振り向かないで下さい。]

  • <希譚>混じり、爆ぜて、転がり朽ちる<呪仔>完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年03月08日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
糸色 月夜(p3p009451)
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール

リプレイ


「わー派手派手ー。しっちゃかめっちゃかってこういうのを言うんだろうね」
「ひええ! ゾンビに人魂の嬉しくないバリューセット! おお怖い怖い……」
 『若木』秋宮・史之(p3p002233)と『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)の二人は、目の前に密集するゾンビとそこら中を漂う霊魂の群れに向かって呆れ半分、からかい半分といった調子でぼやいた。ゾンビに霊魂が入り込めば爆発するとは、悪趣味極まりない。それを撃破した際についた汚れを落とすのは誰だと思っているのか。史之はため息をつくが、むとんちゃくなジョーイは首をひねった。
「まさに霊魂とゾンビのちゃんぽんだな」
「最近いっつもゾンビゾンビゾンビゾンビ! もーねぇ、いい加減ヤなんだけどキミたち!?」
「霊園ー……要はお墓だよね? 練達じゃアンデッドモンスターって珍しいイメージだけど、そう言う場所なら出てきちゃうよねえ」
 『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は目の前の状況に達観しているが、『新たな可能性』郷田 京(p3p009529)はここ暫くの希望ヶ浜におけるゾンビ事案のせいですっかり嫌気が差してしまっている様子だ。そりゃあまあ、多種多様な敵と命懸けで戦うことを夢見てたらゾンビの満漢全席とくれば、そろそろ怒っても仕様がないと思う。『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)の言う通り、練達ではかなり珍しい敵なのだが、そこは『真正怪異』の危険度が際立つというもの。ファルカウの小枝を削って作った短弓の弦が、不気味な風を受け唸りを上げる。
「チッふざけンな、ゾンビだのめんどくさいもの作りやがって。本来関わるべきものじゃねェものに手を出しやがってよ……」
 糸色 月夜(p3p009451)にとって、目の前のゾンビ達はまさしく非日常の象徴だ。退屈な日常なんかよりよほどやりやすい……はずである。それでも怒りを隠せないのは、偏に目の前のものがただただ許せないからだろう。彼の怒りを示すかのように、手にしたEvil Joeのエンジン音がけたたましい叫びをあげた。
「フッフッフッ、メイは以前にVRでゾンビ役をやったのですよ。そんなメイが、本物のゾンビに遅れをとるわけにはいかないのですよ!」
 『シティガール』メイ=ルゥ(p3p007582)の根拠がよくわからないけどすごい自信あふれる態度は、しかしその場にいる仲間達に一種の清涼感にも似た空気を齎した。やる気さえあればなんとかなる。自身を持って相手に挑めば、光明も見えてくる……そんな思いが伝わってくる。
 ヘルメットとぬいぐるみバッグを身に着けた彼女はすっかりこの戦闘におけるリーダー格だ。
「見てて気持ちの良いものではない。さっさと片付けるぞ!」
「その通りですぞ! さっさと倒して帰りましょうですぞー!」
 汰磨羈とジョーイは異口同音に速攻駆除を口にする。長居する気など、この2人でなくとも更々なく。
「うがー、また身体くっさくなっちゃうじゃない、シャワー近くにあるんだろーなこんにゃろー!! 無かったら暴れるからな、このやろー!!」
「着物が汚れるじゃないか……」
 京と史之は身だしなみを思い憂鬱な気分になる。
 一同のうんざりしたような雰囲気に、ゾンビたちはいよいよもって動き出す。 『<不正義>を知る者』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)の緊張した面持ちにつられてか、その速度は弥増していく……数十秒と絶たず、戦端は開かれた。


「さぞかし苦しいだろうね。死んでからもむりやり動かされるなんて。安心していいよ。手早く仕留めるから」
「これだけいると、足を止めるだけでも一苦労だよね……! アタシは足を出す側だけどさ!」
 史之は『忠節』を振るい、今にもゾンビへと入り込もうとした霊魂たちを切り刻んでいく。京はバランスを崩したゾンビ目掛け、下段から上段へと流れるように蹴りを叩き込んでいく。立て続けに強烈な技を受けたゾンビは、そのまま倒れ込んで動かなくなる。煙のような白いものが肉体から漏れ出るが、しかし霊魂として形成されることなく消えていく。
「きちんと整った場所で眠らせてあげる。だから今は、近づかないで……!」
 クルルは矢筒から矢を番えると、素早く一射、叩き込む。再び番えて第2射。一息で2体のゾンビを射抜いたその矢は、何の変哲もないものに見えたが……ゾンビたちの動きが露骨に悪化する。汎ゆる毒を内包した一射は呪いにも似た悪意を炸裂させ、それぞれの戦力を大幅に削ぎ落とした。
「おい霊魂ども、聞け。食うか食われるか消えるか去るか、制限時間つきだが選ばせてやる」
 月夜は群がってくる霊魂達に対し、『Evil Joe』を突きつけ獰猛に笑う。霊魂は彼の宣告をあえて無視したのか、はたまた反応できぬのか。ゆらゆらと蠢きながらゾンビ目掛けて突き進む。唸りを上げた獲物を振りかぶった月夜の一撃は、なるほど霊魂を刈り取るには有効だったようだ。
「足りねえな、ちっとも足りねえ。その程度で」
 猛り狂う月夜は、しかし霊魂の群れとそれ以上に多数のゾンビが波を打って迫ってくる状況に蹈鞴を踏んだ。霊魂同士が練り混じり一つの形を形成するやいなや、それは四方に鋭いかえしのついた針を飛ばす。
 更には数に撹乱される格好で、ゾンビたちの肉体に複数の霊魂が入り込んだ事実を彼は察知している。……察知できていても、避けられるかは別問題。
 パンプアップした拳が、月夜の顔面目掛け突き出される。
「メイの目が黒いうちは、平のゾンビに好き勝手させないのですよ!」
 そして、突き出された拳ごと、強化ゴーレムはメイの突進にその身を弾かれた。
「霊魂が混ざったら質量が一気に増えるとかずっこいでありますな! 月夜殿は大丈夫でありますか?」
「チッ、悪ぃな。問題ねえ」
「面倒くささという点では中々だな。2種合わさって苦労は3倍か? それ以上か?」
 ジョーイは冗談めかした口調をはさみつつ、光翼乱破で月夜を治療しつつ近付いた個体を次々と攻め立てる。それに重ねるように、汰磨羈は連続攻撃で頌義颰渦爪を振り下ろす。速度と衝撃力にあかせた打撃は強化ゾンビの体力をまたたく間に削り取り、その動きを停止させる。己の命にあとがないと悟ったか、強化ゾンビは目一杯に体を広げ、汰磨羈に組み付かんと迫る。が、次の瞬間。それはあらぬ方向に弾き飛ばされ、その先で霊魂やゾンビを巻き込みながら爆散した。
「間に合ったみたいだね。さあ、もっとあいつらを根の国に放り込もう」
「御主もなかなか大胆なことをするのだな……」
 そこにいたのは、史之だ。月夜を襲った敵の一連の動きを察知した彼は、汰磨羈を庇う形で前に出、豪鬼喝で横一線に滞留していた敵を一気に弾き飛ばしたのだ。
「遅くなったゾンビの代わりに無事なゾンビが近付いてくる……! 頼むからこっち来ないでーっ!」
 クルルは動きの鈍った個体目掛けて魔花の矢を放つと同時に、近づきつつある個体は矢筒から引き抜いた一射で的確に射抜いていく。背後からジョーイの神気閃光が飛び、京が近づく霊魂を戦鬼暴風陣で蹴散らす。
 イレギュラーズの有機的な連携は、確実にゾンビや霊魂を減らしつつあった。
 だが、やはり数の暴力は癒し手の概念を欠く一同にとってかなり厄介な相手でもある。
 じわじわと肉体を蝕む悪意、精神を冒す毒。それらを放置すれば、間違いなく彼等はジリ貧となったことだろう。
 「だろう」、というのは。
 「そうはならなかった」、という事実の裏返しである。


「やや、皆々様、すこし顔色が悪いでありますな? 吾輩もなかなか厳しい状況なのでおあいこなのですぞ!」
「俺は大丈夫だよ、他の皆が心配なくらいで」
「ゾンビ、まあつまりくさった死体だからな。毒の1つや2つ持っているのだろう。私には通用しないが」
 ジョーイが『(=△=;)』という感じの顔文字をモニタに浮かべ問いかけると、史之と汰磨羈は問題なしとばかりに応じる。史之は攻撃がそのまま治療に繋がり、汰磨羈はそもそも毒や精神汚染に極めて強い。他の面々も個々に耐性を持ってはいるが、多種多様な攻撃を防げる程ではないようだ。
「メイはまだまだ……なんとかなるのですよ! どんどん前に出て倒してくるのですよ!」
 メイはそう言うとハーフ・アムリタを嚥下し、危険ですらある速度でもってゾンビ達を蹴散らしに行く。長期戦になることで息切れし始めているが、さりとてやる気は微塵も落ちては居ない。
「このゾンビ……っ、爆発しないくせにどんどん霊魂吸い上げてて怖いんだけど?!」
「こっちに来やがれ、霊魂だろうがゾンビだろうが、そんな悪食野郎は俺が叩き潰してやる」
 京は、真っ直ぐ突っ込んでくるゾンビにプラウドキック回式を叩き込み、その肉体の強化具合に呻く。初見のそれをゾンビが見切るすべはない。完全に入った……だが、霊魂を多数取り込み、なおも爆散しないそれは彼女の苛烈な一撃をうけてなお倒れない。月夜はその膨張を危険とみて己へと引き寄せるが、ただの拳の一撃すらも、ただただ重い。
 残り少なくなってきた霊魂達は身の危険を覚えてか、ひとところに集まり融合し、或いはゾンビへと飛び込んでいく。妨害するよりも、なお早く。
 仲間達の損耗、敵の強化となりふり構わぬ攻勢……ジョーイは、ならばと前に出た。
「吾輩はレアモノですゆえ、ここでのがしたら損しますぞー?」
 仲間達に『近くへ』と視線で示すと、彼は敵へ向けてアピールする。レアモノ。成程、秘宝種というものは存在自体が『希少』であり、霊魂にとって見れば都合の良い器とも採れる。
 仲間達は彼の意図を理解し、周囲に固まる。もとより密集陣形だったが、それを更に縮めた形……一毛打尽にされかねぬリスクを孕み、しかし個々の戦力を最大限似発揮する突撃陣形。鏃にも似たそれは、ジョーイを戦闘にして巨大ゾンビや複合霊魂の群れと衝突する。
 光の翼が戦場に舞う。仲間達の内側に偏在した不調、そのことごとくを取り除きつつ、ジョーイは向かってくる猛攻を受け止める。激しい負傷に運命を燃やし、立ち上がった彼を庇うように史之が立ち、強烈な一撃を霊魂に叩き込む。
 クルルは残りの魔力、そのすべてを治癒術に回し一秒でも長く仲間達が立っていられるよう支援する。
 メイと汰磨羈は速度を頼りに、当たるを幸いに繰り返し体ごと突っ込んでいく。その破壊力は、巨大ゾンビですらひとたまりもない。そのうえ京の渾身の回し蹴りが入れば、如何に巨体とて立ってはいられまい。
「きっちり成仏しな」
 月夜のチェーンソーが唸りを上げ、霊魂を縦一線に両断する。数多の悲鳴が尾を引いて、夜気に飲まれて消えていく。


「うーん? VRのゾンビと全然違ったのですよ!」
「そりゃあ……彼等は生きた人間だったわけだし。VR(えいぞう)とは何もかも違うよ」
 メイは辺り一面に散らばったゾンビたちの残骸を見て、不思議そうに首を傾げた。気持ち悪い、とか不快だ、とかではなく不思議だ、という感情が先にくる辺り、彼女もなかなかに肝が据わっている。そんな彼女を横目に、史之は御神酒を取り出すと足元へとゆっくりと流していく。その地を多少なりとも清められれば御の字、ということだろうか。
「……呼び声か。何の対策も無い時は無視が一番だ。見るな、応えるな。霊障を避ける基礎だな」
 汰磨羈は『真正怪異』絡みの案件に携わってきた手前、不用意な行動が身を滅ぼす事をよく知っていた。否、『よく見てきた』というべきだろうか? 兎角、無闇に距離を詰めればとんでもないことになる、と。
「振り向くなと言われてますゆえ、『振り向きは』しませんぞ」
 ジョーイは振り向かなかった。しかし、背後目掛けてマジックロープを放った。当たるも八卦というやつだろう。……帰ってきたのはなにもない空虚な感触。何に触れるでもなく、ただ行き過ぎただけ。
「うしろの正面だァれ、ってかァ」
 なあ? とおもむろに『振り返った』月夜は、しかし何も――残骸と崩れたアスファルトしか――ない空間と対面し、拍子抜けとばかりに盛大に溜息をついた。つまらない。人の理を抜けて現れた『真正怪異』とはこうも気の抜けたものだったのだろうか。彼は呆れたように肩を竦めた。
「……帰ろう。お花を添えて、おやすみなさい、って。それでいいと思う」
 クルルは矢としてつがえていた花を元の形状に戻すと、史之が御神酒で清めた場所に並べていく。気休めでしか無いが、ないよりはマシ。鎮魂の意志があると、相手に確かに示すために。
「うがー、また身体くっさくなっちゃってるじゃない、シャワー近くにあるんだろーなこんにゃろー!!」
 京は己が身にこびり付いた激しい汚れに悪態をつきつつ、ずんずんと帰路へ突き進んでいく。後ろなんて見ない。振り返りもしない。ただ前を向いて歩いていく。
 あとに続く仲間達は、否。
 ジョーイと月夜は、もしかしたら……とても不愉快な感触を覚えたかもしれないけれど。

成否

成功

MVP

ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ

状態異常

アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)[重傷]
<不正義>を知る者
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)[重傷]
無銘クズ
糸色 月夜(p3p009451)[重傷]

あとがき

 ……そちらを向いては(そちらに向けては)、駄目だったのに。

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