シナリオ詳細
高速クリアしないと全世界に放送開始DEATH!
オープニング
●煉獄!
ここではない場所、今ではない時。
空間は正気から断絶し、狭間の中に揺蕩っている。
(――成る程、これは興味深い。
さながら暗黒の母胎の中のような。狂気の再誕とでも言いましょうか……
或る意味でワタクシには似合いの場所なのかも知れませんね)
ヴァイオレット・ホロウウォーカー (p3p007470)は静かに我が身に起きた『現実』を反駁する。
始まりはベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)が親しい仲間を集めた事だった。
――知り合いの邪神に注文していたゲームが届いたんだ。皆でやる事にしよう!
このゲーム七人用だから、と言われる事も無く。
その首を八人ギロチンに備えたメンバーはベルフラウの言葉に特にツッコミを入れる事無く卓を囲む事にした。
ベルフラウは大抵の場合そんな風であったし、凛然たる女騎士に普通邪神の知り合いはいない。
面々が与太の類であろうとたかを括るのも当然であり、コルネリア=フライフォーゲル (p3p009315)等は「邪神? ハ! 大概悪いアタシには似合いの相手だ。ラブレターでも送ってやりたいわ」等と己を良く理解しない妄言さえもキメていた位である。
「こんなはずじゃなかったのに!」
まさに『ギフト通り』の結末を迎えたタイム (p3p007854)が悲痛な声を上げる。
「どうして! 私ばかり! こんな目に! 遭うんですか!!!」
ついこの間スクール水着を着る羽目になった小金井・正純 (p3p008000)が続けて叫んだ。
「これ本当に一体、どうすればいいんですか……?」
「なるようにしかならない、のよねぇ。ついでにいえば『したいようにもさせてくれない』。
……何て言うかこれは女の勘なんだけど」
昏い目でリディア・T・レオンハート (p3p008325)が呟けば、アーリア・スピリッツ (p3p004400)が応える。
「この展開、すごく『嫌な』予感がするのよ。まるで『世界』全部が敵になってしまったかのような」
「ところでヴァイオレットさん、さっきから何一人だけシリアス顔をしているんです?」
「……に決まっています」
「え、何?」
正純が問いかけ、ぼそぼそと応えたヴァイオレットにタイムが聞き返した。
「現実逃避に決まっているでしょう!!!」
誰が悪いか――学級裁判は佳境を迎えていた。
結論から言えばイレギュラーズ八人は裸にエプロンをつけただけの格好で謎の空間に置き去りにされている。
いいか、もう一回言うぞ?
全員、裸エプロンで謎の空間に放り出されている。
はだか、えぷろんで!
……切っ掛けはベルフラウの持ち込んだ謎のゲームだが、その素性が本当に邪神の制作物だったかは兎も角、そのゲームの持つ『何か』の力で彼女達がこのような状態になってしまったのは事実であろう。
脱出する手段も光明も見えない現状は彼女達を焦らせるには充分であった。
目の前に怪物が現れなかったからといって、まな板の上で胡椒を振られて元気たっぷりな肉はいない。
「誰が肉だ!!!」
別に固有名詞をあげてもいないが、そういうものなのでリア・クォーツ (p3p004937)が猛る。
白いレースのエプロンは彼女の豊かな肢体に良く似合い、特にヴィオちゃん辺りと対比すると白黒豊満でめっちゃナイスなのだが、吟味するように頷くべ嬢、分かってくれるか。べ嬢、マイフレンド。
「まとめて燃えろや!!!」
閑話休題。
「――卿等には結果として迷惑をかけてしまった事を心苦しく思うが……
切っ掛けがゲームのスタートだった以上、この先の展開は予測出来る。
ただ我々を閉じ込めるだけが結果であり、それ以上動かぬならそれは『ゲーム』として成立していないのだから」
ベルフラウの冷静な言葉に「流石です!」とリディアが瞳を輝かせた。
これがゲームである以上、クリアすれば光明は見える。その予測は説得力を伴うものであり、一先ず縋るには十分だった。
(女子に裸エプロン強要してやらせるゲームが碌な内容な訳ないと思うんですけど……)
(それを言ったらおしまいよ、正純ちゃん……)
(あ、はい。黙ってます)
駄目男センサーが霊感のように働く正純とアーリアはギンギンにそれを感知していたが儚い希望に水をさす事はしない。
「ならば、この世界には『ゲームマスター』が存在する、と」
「成る程ね、完全に理解した!!!」
ヴァイオレットの言葉にコルネリア(31)が頷いた。
(31)だから一番キツいのは改めて説明するまでも無い。
「ひどくない!?」
ひどくない。
「――ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフが『ゲーム』の所有者として呼びかけん!
暗黒の海に揺蕩う『ゲームマスター』よ、我が言葉に応じよ。この回答は十分か――!」
「おお、カッコいい!」
凛と叫んだベルフラウにタイムがパチパチと拍手をした。
虚無からそれを類推する事が『第一のゲイム』であるとするならば、果たして。
――HEY! ベルフラウちゃん! ナイスなリーディングだ、俺様chang感動しちゃった!
『ゲームマスター』は暗黒の上に幾何学体の如き『顔』を浮かび上がらせた。
――今、彼女ちゃん達は裸エプロンで俺様changの横にいまーす!
そんでもって彼女ちゃん達はこの世界を脱出しなきゃいけませーん。
アツアツウフフなゲイムをクリアしてもらいまーす!
ここまでオーケー? オーケーね、後このゲイムクリア遅いと全国中継コースだから!
あと、リアちゃん久し振り! 愛してるYO! 愛されてるNE!
「――Hadesじゃねえか! クソが!!!」
吐き捨てるように叫んだリアの声は今日一番の怨嗟に満ちていた。
- 高速クリアしないと全世界に放送開始DEATH!完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年02月17日 10時50分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●STAGEI
「ベルフラウさん何これ! ねえ!
わたしは可憐で心優しくてお茶目な耳長として無難に生きていくつもりだったのに!」
「知らなかったのだ! 故に、どうしようもない!」
自身をゆさゆさと揺する『死にたくない』タイム(p3p007854)に『はじめてを教える』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)が弁明にならない弁明をした。
人には戦わねばならぬ時がある。
それは例えば大切な誰かを守らんとする時だったり。
それは例えば己が魂にも似た尊厳を譲れぬ時であったり。
人間は食べて息をすれば十全に生きているという事にはならず。譲れぬ『一線』を死守する事は乙女の命綱にも等しき絶対であった。
「……」
「……………」
謎の空間に荒涼とした風が吹き抜けている。
――じゃあ、RTA、頑張ってNE!
それを作った『何者か』に等しい位に捻じ曲がった世界は響いたゲイムマスター――Hades-EXの声と共に姿を変えていた。
「……」
「……………」
『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が、『背中が弱点』小金井・正純(p3p008000)が、『裸エプロン』リディア・T・レオンハート(p3p008325)が、『大人のみりき』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が。心なしか何時もより名が体をアレな感じに語る女子共の視線が目の前に広がる長大なアスレチックコースに深く、昏く沈んでいた。
「……明らかに長ぇんだよ! 満足するまでやらせる気だろ、KUSODEITEI!」
「うわあああん! おうち帰して!!!」
その大きな胸に去来する強烈な虚無を打ち払い、最初に声を上げ(キレ)たのはやはり『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)だった。それとほぼ同時にタイムが目元を><。にしてやられ切った声を上げている。
「なんでこんなことになってるんでしょうか……
いや、はい、嫌な予感はしてたんですよ、このゲームに入ってから星の声がなんか不思議な方言で聞こえますし。
とにかく、全世界放送だけは意地でも阻止しなければなりません。皆さん、協力して頑張りましょうね!
……なんでしょう、嫌な予感しかしないんですけど」
ささくれだった世界に正純の言葉が虚しく響いた。
――結論から言おう。
『邪神のゲイム』なる正体不明のクソゲーに取り込まれた八人は何故か裸エプロン一枚でそこに居た。
芳醇にして甘美なる乙女の肢体を惜しげもなくヒラヒラとした布一枚に押し込んで。
防御効果なんて姫騎士の――リディアの尊厳程にも無いエプロンに押し込んで。
「ひどくないですか!?」
抗議は当然無視して押し込んで。
彼女達は今まさに要求されているのだった。脅迫されているのだった。
今まさに高速でこのゲイムをクリア出来なければ、この有様を全世界に向けて発信すると。
「……ていうか、短い! 短いわよ!
あたしのエプロンなんか丈短めじゃねぇか!?
焔ァ!!! てめぇマジ覚悟しとけよ!!!」
どんな時も素敵に無敵に敢然と――真っ向から今ここにいない死の招待状、この世全ての理不尽と悪にリアがキレた。
「『赤月の瞳』……近い未来を見通しつつ回避していくしか」
冷静な言葉とは裏腹に褐色の頬を上気させた『放送だけは避けたい』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)の表情は泣きそうなものに変わっていた。
「ううぅ……ワタクシはシリアスな占い師のはず。それが何故こんな所に……どうして……!」
「う、ううむ。確かに目の前のものを一歩一歩攻略していくしかなさそうだ……」
可愛いボクらのヴィオちゃんがこういう時大体prprなのは何時もと大して変わらないが、それに受け応えるベルフラウの方の変化は顕著だった。
(う、うむ……おかしい、先程、アーリアに何か貰ってからどうにもおかしいような……)
常威風堂々たる彼女には『似合わぬ』とも言っていいような困ったような表情を浮かべ、頬を真っ赤に染めている。
視線は泳ぎ、
「な、なあ。私、何処か変ではないか? いやこの状況が既に変と言う事は分かっているのだが!」
そういう声色も早口でぎこちない。それはまるでSznやリディアの屍を積み上げたベルフラウが初めて感じる――のような。
「今日ね、私。お友達と女子会してくるって言って出てきたのよねぇ。
いってらっしゃい、それなら今日はTVでも見てますわ、なんてみでぃーくん言っててね……」
ベルフラウの疑問に応えるでもなくアーリアが静かに呟いた。
「ええ、ええ。それがこれよ。みでぃーくんに、あの顔のいい四十路手前の金髪に見られたらどうしろって!
それをね、『誰かひとりだけ平気の平左でいさせてたまるか』ってもんじゃない!」
BS型の名にかけて。
アーリアがばら撒いた羞恥心なる呪いはベルフラウにさえ突き刺さる心の楔であった。同時にベルフラウがばら撒いた謎の光なる都合のいい奇跡は『幾らでもやれ、年齢制限は守ってやる』とサムズアップしているかのようで全員の心をより一層黒くしている――
「馬鹿みたいにスタイル抜群の女性ばかり並んでいるじゃない。うっうっ……」
「……でも、確かにリディアさんがいてくれて良かった」
自分の身体を見下ろして、やたらにスタイルのいい面々に敗北感さえ感じてしまったリディアがぼそぼそと抗議した。
「どういう意味ですか、お尻だけは大きい癖に……」
「は? なにそれ! 聞こえてるわよ!!!」
「とにかく、最悪はリア(にくへき)を使ってでも生き延びるわぁ!」
「ああ!? 聞き捨てならねぇぞ、それ!!!」
アーリア、リアも又然り。
互いに互いの足引っ張り合う、人間の醜さの本質は最早友情で覆い隠せる領域を超えていた。
「おお、もう……」
「……ワタクシ、本来こういうシーンに愉悦する筈なのに……」
正純は顔を覆い、ヴァイオレットはただただ悲しそうに首を振った。
「――アドリブなんざ怖くねぇ、かかってこい! 野郎、ぶっ殺してやる!!!」
やいのやいのと楽しそうな年少達を眺め、目前の悪夢を眺め。コルネリアが何処からどう見てもフラグにしか見えない気を吐いた。
こっそりと。水さえ弾きそうな若い子達のキラキラお肌に暗鬱な気持ちを更に増しながら。
「ああ、もう! そうだ! さっさとこんなゲーム、クリアして終わらせるぞ!」
視線を逸らすベルフラウはやはり少し恥ずかしそうだった。
●STGAEII
「さぁて、アタシの脚力を見せてやるのだわ!」
コルネリア=フライフォーゲル(31)が最速の名乗り口上を上げたのは、或いは若い子達への羨望が為せる技だったかも知れない。
確かにこんな所来たくて来た訳ではない。願いが叶うならこんな所今すぐに辞したい。帰りたい。
それは間違いない話だったがこういう話で(31)はやはり嫉妬の感情を禁じ得ない。
こんなクソみてぇな空間を作った邪神にすら完全なコメディ役で笑いものにされた日には裸エプロン以上に傷付くだろ、常識的に考えて!
「だからと言って――」
そんなコルネリアが秒で死ぬのは当然の結論だった。
「――だからと言って誰がここまでしろと言った!?」
アスレチックを攻略開始するなり後ろから迫ってきたマジックアームがコルネリアの十分に魅力的な足を捕まえていた。
『裸エプロン姿の彼女はアームに逆さにぶら下げられてなぞのひかりの労働基準法を無視している。
「ちょ、地肌に触るな! 脇はだめっ! く、くすぐるなぁ……! っぁ……っ!」
コルネリアが秒殺される事は想定済みだったが明日は我が身であり決して他人事ではない。
「……っ!? 待っ、こんなの、知らな、んっ……視た未来になかっ……あっ……」
『自分でそういう格好をしていれば別』だが、『させられている』とどうしても敏感になってしまうヴァイオレットがやはり秒で捕まった。
「あ、こ、これは――こういうコースにありがちな『妙に幅の狭い綱渡りめいた道』!?
ああっ!? そして『何故か吹いている猛烈な風さん』!?
そして眼下には『なんかベタベタしてる液体(?)のプール』まであるじゃないですか!
こんな事を思いつくなんて、卑劣な……!」
リディアの言う通り、長大なアスレチックコースはアップダウンに富んでいる。連続足場、ネット(リアはハム)、
「ハムじゃねえんだよ!!!
って、あわわわちょっとでも動けばすぐ捲れる!
……ガブリエル様、お願いですから見ないでください……」
鉄骨渡りにジップライン、
「くっ、ここに来て鉄骨渡り!
しかも下にはあの某ちょろ吸血鬼や某にゃんこが何度も浸かったというあのスライムが!?
あいつらに目はないんだよね!? 大丈夫だよね!!
これ本当に大丈夫!? 見られてない!? うぅ、もうやだぁ……もうお嫁に行けない……」
「がぼ、ごぼ、ぐえぇ……!」
リアが危惧し、今まさにタイムが絶賛溺死中のスライム池。
オーディエンスから串揚げよりこっちのが余程えっちっちじゃねえのかというツッコミを受けそうな予想通りの展開にコースを行く面々が曇る。
イレギュラーズの進行は決して遅くはなかったが、裸エプロンの呪いは少なからず彼女等から精彩を奪う。
ご丁寧にえっちな目に遭いやすくなったり、性的魅力を向上させるクソ装備クソクラスで揃えて来ればこんな展開もさもありなんとしか言えまい。
「ところでタイムさんが溺れてるアレ、水位上がってませんか?」
「くっ、ですがこんな私でも騎士の端くれ!
こんな卑劣な展開に、決して屈する事はありません!」
ツッコミ疲れた正純の言葉の直後、勇ましく足場を飛び移ろうとしたリディアが落下してタイムの友達になった。
「……………」
口を開けば何かが起きてしまいそうで一先ず押し黙ったアーリアと俺の目が合った。
「ちょっ、ヤミー君。話し合いましょう! だって今日は誕生日よ? ね、おねえさんと……やだぁ…動かないで、待って、っ!」
次々と吹き荒ぶ惨劇の嵐にリアが吠えた。
「ああ、もう! 好き放題にやらせてる場合じゃねえ! 兎に角皆、助けないと……!」
どれだけ口が悪くても、どれだけ周りにツンツンしても。
リア・クォーツは何時だって高潔で友人想いで、同時に自らの行動を迷わない女だった。
(あ、ありがとう……!)
「いいってことよ」と彼女は白い粘性の池で溺れるタイムを助けんと手を伸ばし、
――ビリビリビリビリ!
「あああああああああああああああああああああああ」
助かりたい一身で手を伸ばしたタイムに不幸な事にそのエプロンを破られた。
「うう、何故だ。何故涙が止まらん……!
普段の私なら、こんな眼福、桃源郷に違いあるまいに!」
ベルフラウは涙した。
「素早い動きとか、しがみつくのなんて無理よぉ、もぉ限界……!
こんなの、あの、揺れて、もぉ、むり……!」
「ピッ!? いや、これパチッとするの結構痛ッ!? まってひんっ!」
「こ、こんな電流なんかに……ッ、負ける、わけには……ッ!
ぅぁ……っ、おねえ、さまぁ……おね……さ……」
「うわあああああん!」
挙句要求された電流ビリビリ大縄跳びは酷い惨状になった。
『どんくさい』アーリアが足を引っかけ全員全滅!
絡まってビリビリの正純、リディア、復活しても泣かされているコルネリアが愉快な位にいい声で鳴いている。
ベルフラウは涙した。鬼の目にも涙した。
「何と言うか……何故だ。何だ!? 結局、ボルタリングもあるではないか!!!!!」
「てめえ、本当に余計なサービス載せるのやめろよな!?」←白くてべたべたでエプロンがビリビリなリア
一行の行く手を最後に阻む大いなる絶壁にみんなの心が逆立った。
●STAGEIII
第三ステージ『愛のエプロン』はゲイムマスターが喜ぶ感じに愛情手料理を作らねばならないというトンチキな内容であった。
「くっ、料理ですって? 屈辱ですが、食材に罪はありませんか――」
「こ、こっちの方がまだ……うん、まだこっちの方が……」
意外と頑丈なリディアが復活した一方でアーリアのメンタルはかなりキているようだった。
ヤケクソ気味に「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と唱えながら材料をこねるアーリアの作っているのはハンバーグ。
冷静な時の「あらあらうふふ」なら決して取り乱す事はないだろうが、如何せん。
「あああああああああ!」
シナリオ時、えっちな目に遭いやすいアーリアはボウルを見事にひっくり返し、ぺたんと床に座り込む事となる。
「やだぁ、こんなのみでぃーくんに見られたらぁ……
やだぁ、おしおきは……もうあの地下室も、あのおくすりも……
ねぇ、はですくんも見ないでよぉ……!」
――いや、流石の俺様ちゃんもドナムには引くわ!
「それでもみでぃーくんはすてきなの。ふぇええええ!」
閑話休題。
パーティはチームで料理を作っている。
メインディッシュは先に述べたリディア、アーリアのハンバーグ。
「……これを持ってテーブルに……わぁぁっ! 足が縺れてケーキがリアさん目がけてあああっ!
数多の青少年を狂わせた我儘そうなお胸が! リアさんの白魚のようなお肌がクリームまみれに……!
わ、わざとじゃないんです! これは事故で! 台詞も余計な風に追加編集されていて!」
「って、タイム何しやがる! うええ……身体中白くてべとべとして気持ち悪い……きゃ!」
白くてべたべた☆なまくりーむ女子ツイスター、即ちチーム【スイーツ☆タイム】――リアとタイムのケーキ作り。
「料理滅多にしないし、せめて足は引っ張らないように……」
「ああ、済まない。正純手を貸して貰えるか? チョコを湯煎で溶かして欲しいのだが」
ぜえぜえと荒い呼吸でパンケーキ作りに挑むコルネリアとベルフラウ。
「……何だか邪なものしか感じないのですが」
「いや、大丈夫だ。私は先日納品されたピンナップを挿絵にしたいだけだし、当然無許可だ!」
「何が大丈夫なんですか!? ちょっと!? 羞恥心薄れてませんか!?」
「ふふ! 大分慣れてきた。これはこれでいいものだな! ドキドキするぞ!」
ツッコミを入れる正純と泣きそうな顔で黙々と作業を続けるヴァイオレットはコンソメスープを作っていた。
どうにも家庭的能力と平静を欠く連中の中で辛うじて二人だけが救いだった。
脳内で関西弁を垂れ流す星君のお世話で鍛えた正純のママさは言うまでもないし、ヴァイオレットは一生懸命であった。
(……頑張らないと、頑張らないと!)
その優れた容姿を武器にする事はある。
悪党の運命を嘲り笑う彼女は決して人のいいばかりの少女ではない。
しかし歳相応の瑞々しさと、ある種の――本人さえ認めない人の良さは彼女に大切な人を作り過ぎた。
だからこのゲイムに負ける訳にはいかない。
正純とヴァイオレットは他の惨状をもうカバーするしかなかったのだ。
「……ふうふう」
「ふうふう……」
『どうぞ、召し上がれ!』
熱いスープに二人で息を吹きかけて銀のスプーンを虚空に向けて差し出せば。
多分Hadesは一通り大笑いしたのだろう。最終ステージへの扉が開いた。
●STAGEIV
――皆、弱いなあ!
そこには唯、絶望があった。
最終ステージ、Hadesとの直接対決。
伸縮自在のポリゴンはパーティをめたくそにやっつけていた。
いや、復讐に燃える彼女達が弱かった訳ではない。彼女達はむしろ強かった。
しかし事これに到るまでに蓄積されたありとあらゆるダメージはその動きから精彩を奪い切っていたのだった。
口を開くのもめんどくさい、言葉にすれば自ずとそれを認めてしまう気がして恐ろしい――正純の弱点は背中。
「関係! ないでしょうが!!!」
ナレーションにすらささくれ立つ正純の頭の中に「ワイは知っとるで」とやたらに馴れ馴れしい関西弁が響いていた。
星の巫女たる彼女はその導きを聞く事が出来るが、どうも今日は何時もより濁っていた。まるで昼間からワンカップでもかっくらっているかのように。
「耳と……背中です……!」
「騙されちゃダメです! リプレイにかこつけてアイツ、明らかに言わせたいだけですよ!」
釣られて自白したタイムに正純が必死の声を上げるも、
「え? 弱点? アタシにそんなものは無いのだ――みぎゃあああああああッ!?」
目の前でつまんねぇ主張をしたコルネリアがボッコボコにされてるのを見た日には他の皆さんも素直になった。
「強いて言うなら、脇腹とか耳かしらぁ……」
「弱いとかねぇけど? ねぇから! ……ないから、たぶん」←小声
目がぐるぐるのアーリアが乗っかり、リアさえも疲れ果てていた。
「うむ、私は抱く方だから余り分からないが!」
「おねえさま、すっかり克服なされて――やっぱり素敵です!」
胸を張るベルフラウとリディアについてはpipiからOKが出たから助かったらしい(捏造)
――弱すぎてねむねむだZE! これはもう全国ホーソー待ったなし!?
「くっ……」
何が弱いかは置いといて最終決戦はのっぴきならぬ状況だった。
クソシナリオに最初から勝ち筋は無い。放送したいと思えばされ、全ての努力さえ踏みにじられる。
だが――それでもヴァイオレットは諦めなかった。
「嗚呼、なんと悪意に満ちた、欲望と因果の坩堝。
ヒッヒッ……此れは―――他者の不幸を愉しんできたワタクシへの相応の報いなのやもしれません。
此処が地獄だとするならば、ワタクシは受け入れましょう。受け入れる他はないのですよ。
それこそ、ワタクシの悪たる覚悟です。ですので……」
蠱惑色の瞳は輝き、悪辣たるゲイムマスターと視線の刃を戦わせた。
ふ、と薄い唇を三日月に歪め、艶然とした吐息が幽かに漏れた。
「どうか全国放送だけは勘弁して下さい!
友達が、大事な友達が見るかもしれないのです!!!
その為なら私何でもしますから。裸エプロンも受け入れますから!!!!
もっと踊れっていうなら幾らでも踊りますから、ね!
いいでしょう? 悪くない取引ではありませんか。そうしましょう! お願いしますぅぅ!!!!!」
――wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
泣いて縋りつくヴィオちゃんのあまりにあんまりな様にHadesに今日一番の草が炸裂した。
放送は確かに不可避の運命だった。さりとてその運命を穿つ一撃があるとするならば、それは。
『即ちそれよりも面白い展開ばかりに他ならない』!
――おっけ。放送、やめ!
「本当ですか!?」←歓喜
――放送やめ! えーと。そうだなあ、そんでもって!
みでぃーくん、ガブちゃん、ルル家くん、夏子くん、遮那くん、フェルディンくん、わんこくんにディレクターズカット送るわ!
あー、べ嬢には世話になったしべ嬢はいいや、キミにあげるNE!
「ああああああああああああああああああああああああああああ!?」←絶望
「久々にキレちまったよ」
慟哭するヴァイオレットの一方でリアが低く呟いた。
「思い出したぜ。
てめぇをこの手で引き裂くためにあたしはここに来たんだった……
その身に刻めクソポンコツ! 覚えて忘れるんじゃねえ!
PandoraPartyProjectは、これでも全年齢対象なんじゃボケェ!!!
クォーツ式シャイニングウィザード! はですは死んだ!!!!!」
――後はもうぐちゃぐちゃだった(笑)
成否
大成功
MVP
状態異常
あとがき
YAMIDEITEIっす
RTAってもんが何だかを見せてやるZE!
ディレクターズカットは記念お土産なのでドキュメンタリーではないです。
その内然るべき所に届くんでお楽しみに。
MVPは一番弄べたから、べ嬢は羞恥心をレジストしました。
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
EXリクシナあったので挙手しちゃった(はじめて★)
以下、シナリオ詳細。
●依頼達成条件
・邪神のゲイムからの脱出
●呪卍
ゲイム。
幾つかのステージがあります。
協力して乗り越えましょう。
・第一ステージ
『スタート・ボタン』
OP文中で生じた『何をすればいいか探すステージ』です。
既にクリアされていますが、ゲイムの結論に到れなかった場合死ぬまで放置されるデストラップです。
・第二ステージ
『わくわく☆あすれちっく』
並の冒険者では命の危険さえあるアスレチックコースを進みます。
身のこなしや体力が重要でお互いに協力しなければ乗り越えられないシーンもあるでしょう。
皆さんのプレイングから勝手にコースを組み立てるので『アスレチックがある』前提で好き勝手書いて下さい。
重要なのは『皆さんは裸エプロンでアスレチックをする』という事です。
・第三ステージ
『愛のエプロン』
何故か出現したキッチンで愛情手料理を作らなければいけません。
勝手に材料とかは揃ってます。
萌えキュン指数が低い間抜けがいたら失格となりタイムをロスし続けます、永遠に。
いいか。俺が君達のプレイングに喜ばなかったらタイムロスだ。わかってるな?
・最終ステージ
『Hades-EX』
『Hades-EX』とはそもそも果ての迷宮十層(ボスフロア)でも現れた謎のAI的存在です。
最終ステージではポリゴン風Hadesと戦闘を行いますが気にしなくていいです。
第三ステージまでに俺が満足してなかったらひどい目に遭わされるだけですから。調整弁です。
以上、四ステージを高速クリアしなかった場合、RECされたブツが不思議な力で練達netに中継されます。
拒否権はない。
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
シナリオ概要は以上となります。
宜しければ御参加下さ……あ、もう決まってましたね。
たのしんでいってくださいねm9(^Д^)
※本OP中には取り分け不適切な説明文言が多いですが演出です。予めご了承下さい※
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