シナリオ詳細
再現性東京2010:スクール水着とはナイロンやポリエステルを利用した伝統的な衣装でありいいから着ろ
オープニング
●
練達、再現性東京にあるお嬢様校『華園』学園。
希望ヶ浜とは異なる地にて些か事件が起きているらしい。それは……
「わっ、が、ふっ!? げほっ、ごほご、ぼっ!?」
屋内のプールで起こる。
夜遅くまで練習をしていた水泳部員が、いきなり手の様なモノに足を掴まれ、水底に引きずり込まれるらしいのだ――無論水の中に誰か不審者が潜んでいた訳ではない。
夜妖である。
恐らく水で出来た夜妖なのだろうと推察されており、今の所は幸いにして犠牲者はまだ出ていない。もしかすると生まれたての夜妖で、人を殺害せしめる様な力が足りないのかもしれない……
が、放置していればいつか悲劇に発展するかもしれない。
故に――カフェ・ローレットに依頼が舞い込んだ訳だ。
この夜妖が引き起こす事件を解決してほしい、と。
「……ええ。確かに私はそういう事件だと聞いて此処にやってきた訳なんですよ。なのに……ええ! どういう事なんですかねこれはッ――!!」
現場の屋内プール。そこへとやってきて叫んだのはすずな (p3p005307)である。
人を溺れさせようとしてくるとは見過ごせない。
斬ってやろうと思い勇んでやってきた――そこまでは良かったのだ、が。
とんでもない事実が判明したのである。夜妖が出現するのは、その……!
「うっそでしょ、どうして全員が『学園指定のスクール水着』を着てないと出てこないのよ!! どういう訳よ! そんな事ある普通!?」
リア・クォーツ (p3p004937)の言う通り――スクール水着着用が絶対条件なのである! あ、ちなみにリアさんとすずなさんは両方とも今スクール水着を着てます。やったね。
閑話休題。そもそも水泳部員しか襲われていない理由がソレであった。依頼が出された時点では分かっていなかったのだが、彼女らが依頼を受けた後に状況が特定されたらしい。
『旧スクール水着』か『新スクール水着』かのどちらかを着用していなければ夜妖は出てこないと……! 本当か? 何か虚偽の情報を掴まされているのではないか? そう思いはしたのだが――実際、いつもの服装でプール場に入場しても夜妖の気配が一向に現れなかった。
……なので試しにと水着を借りてみれば、先程とは異なりなにやら邪なる存在がいる……様な気がする。どうして……
「ど、どどどどうしよう、ボク泳げないんだけど!? じ、十メートルぐらいならなんとかだけど……うわ、ぷっ! 小夜ちゃん助けて――!!」
「ふふ――ごめんなさい焔さん。私、全然泳げないんです。ええ」
その時。スクール水着に浮かれてうっかり足を滑らせプールに転落した炎堂 焔 (p3p004727)が白薊 小夜 (p3p006668)に助けを求めるも――この二人、なんと泳げないコンビであった!! にっこりと微笑みながら焔に手を振る小夜。たすけてー!
「ああもう、何してんのよ焔……!」
「ともあれ確かに水着を着込んでいれば出てくるみたいですね……そしてプールの中へと入れば尚に近寄って来る、と」
リアがなんとか救助し引き上げれば、すずなが見据えるは水の中。
いる。今しがた溺れかけた焔を掴まんとしていた存在が――近くに。
……しかし随分と存在が希薄だ。これはやはり中に入って探してみなければ討伐には一苦労するかもしれない。外から攻撃を重ね続けてもまぁなんとかなるかもしれないが……しかし万が一にでも逃がす様な事態になれば困る。
奴らを逃がさない為に――全員で! スクール水着(新でも旧でも)を着込んで!!
出現させて! 倒さないといけないのですこの依頼は! そういう夜妖だから仕方ない!
幸い水着は貸し出して貰えるから着用できない人物が出てしまうという事はないだろう。ただし……冒頭でも記述した様にこの学園は『お嬢様学園』――つまり『女子高』である。
とーぜん水着は女性用しかありませんよ。男性がいたら来ようね、女性用水着を!!
「……どうしてこうなったものかしら」
小夜は吐息を一つ。
覗き対策などもあって屋内である為に、この時期の水泳でも特に問題はないだろう――
スクール水着で武を振るう。その麗しい光景以外は、特に問題など!
- 再現性東京2010:スクール水着とはナイロンやポリエステルを利用した伝統的な衣装でありいいから着ろ完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年02月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●違うんです、これは焔って人が!
「くそ……! なんであたしは学習しねーんだろうな! つい最近だって豊穣でクソみてぇな事になったばかりだったのに、練達だったら安心とかそんな訳ねーのにな、焔がいるなら……!」
「ま、待って! ボクも知らなかったんだよ!! 信じてよリアちゃん!!」
その言葉前にも聞いたぞ焔ァ! 一応『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は無罪なのだが『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)は信じられんという眼差しで焔を見据える。当然その衣装は――スクール水着であった!
新旧どちらでもよい、という事だったが二人が選んだのはなんと旧型。
とても良いものです。
焔はスレンダーな体形のラインが出る様に纏まっており、リアは…………色々と『きつい』様であった。ちなみにこの二人は同い年です。あ、リアさんの水着の方から今なんか不穏な『音』が聞こえたような……
「ねえ、練達ってこんなのばっかりなんですけど? ていうかもっと具体的に条件づけると――焔さんと一緒だと大体! なんで水着なんですか! 百歩譲って水着はいいとしても、泳げない人いるんですよ!?」
「ええ、うん――ダメね。ちょっと行けるかな、って思ったけどやっぱり駄目だわこれ」
胸元。『すずな』という文字が描かれた水着を着ているのは当たり前だが『血雨斬り』すずな(p3p005307)であった。彼女は一応行けるんじゃないかと思って試しに潜ってやっぱり駄目だった『女怪』白薊 小夜(p3p006668)の手を取っている。離したらまた溺れちゃう。
すくぅる水着を着ている時にだけ現れる夜妖……それはまぁ正直いい。
けれど泳げないメンバーが――どうして――
何者かの陰謀による悲痛な叫びは小夜だけではない。泳げないのは他にも。
「練達に来る度私はなんでこの手の依頼に参加してるんでしょうねぇ。ええ、しかも泳げないのにどうして……いえ水に入るだけなら社でもやりますし問題はないのですが、え、しかし。このような衣装を着る必要性がどこに?」
これまたちょっと――リアと同じ意味での『圧迫感』を感じるのは『地上の流れ星』小金井・正純(p3p008000)であった。サイズ。サイズもうちょっと大きいの無かったんですか。焔さんにだけピッタリなのはちょっと不公平じゃないですか。え、違う意味の不公平がある? うん?
ともあれちゃーんと全員着ないと出てこないのなら……仕方……うぅ、仕方ありません……
「ええ、いいでしょう。着ればいいんでしょう?早く片付けて早く脱ぎますよこれ!」
決意する正純。ちょっと目が潤んでるのは星の輝きが目に沁みたからかも。
ところで。
『――豊穣に留まらず、世界を見て剣士としての強さを極めるであります!』
正純と同じく。豊穣の出身者である『鬼菱ノ姫』希紗良(p3p008628)がそんな決意をしたのが暫く前。やがて大陸の方へ訪れて――そして縁があったのが本件であり――
「キサ、水着というものを初めて着用するであります。成程泳ぐ際の抵抗を受けづらい。これが所謂練達文明の利器という奴なのでしょうか……ただ……布が体に貼りつくのがどうも……」
慣れぬ感覚だと、薄布を指で引っ張って覗き込む。
普段の衣類よりも締め付けがある感覚はなんとも慣れぬものだ。特に肩や尻……の辺りが。何度か内側に指を這わせて調整しつつ、むず痒い感覚になんとか順応しようとしつつ。
「はてさてなんという依頼だという事やら。まぁひとまず、どっちつかずのカノエは女性用の服を着用したとしても問題はないでしょう」
そして一足早くプールに浸かっているのは『宙狐』庚(p3p007370)だ。遠目から見ると完全にこれ犬かき……まぁ庚は人ではなくケモノというべき存在なので仕方ない。あ。全身が濡れてまるで洗った犬かの様に……!
一番悩んだのは庚にはたして合うスクール水着があるのか――? という事だったが。
なんとか辛うじて着用出来た。でもどう見てもやっぱり犬が泳いでる光景に……
「いやちょっと待ってよ!! ううう、ほんとにこんな格好で行くのぉ……!?」
『そう卑屈になる必要はない。大変お似合いであるぞ逃夜』
その時。声の主は『ビビり魂』二下廻・逃夜(p3p008431)と、彼の所有する手袋の言である。声で笑ってるのが分かるんだよ!! と叫ぶのは何故か――そう!
なんと!! 彼はこの依頼における唯一の男の子だからです!
そんな彼もスクール水着を着用中。
が、ある意味女性陣よりも厳しい故か、体を捻らせ隠す様に……う~ん成程……
……ええやん!(ガッツポーズ)
●
ガッツポーズと共に現れた変態クソ野郎夜妖はマジでスクール水着に反応するようだ。
「むむ! 現れたでありますな! 兎に角、面妖な夜妖とやらは確かにプール? とやらの中にいるわけで。袋叩きにするであります! 見ててくださいでありますよ郷の皆!!」
キサは異国の地でも上手くやっていくであります――水着姿で。
郷の皆にもあれだけ応援して送り出したキサが、まさかこんな姿で謎の夜妖と戦っているなんて想像もしてませんね! ともあれ先手必勝ッ――! プールに剣撃ぶちこんで紺色の旧式と共に仁王立ち。
「希、希紗良さん! 待ってください! わ、私本当に泳げないのでお願いしますね! 万が一溺れたら、その、お願いします!」
であればと希紗良の手を掴みながら正純が恐る恐るとプールに近付くものだ。
あ、ちなみに正純さんが着込んでるのは新スクール水着の方です。特にセパレートタイプになっている物で、非常に着やすいですね――だがその着る難易度に比してこの依頼が簡単に終わると思うなよ……!
動く夜妖は希紗良の一撃を凌ぎながら急速移動。
プールの端に立つ正純の足を掴んで――
「あ、ちょっと待ってくださいどこ掴んでるんですか! ちょ、上に這わせて来るのはナシですよナシ! 引っ張られるとただでさえサイズ怪しいのにっまっちょっ!? んひゃっ……!」
「正純殿――! 正純殿――!!」
――引きずり込まれた。
如何に泳げない人物であろうと本来なんとか浮く事ぐらいは試せるものだが、しかし夜妖に引きずり込まれれば話は別。口をふさがれ呼吸困難――
「ぷはぁ! えぇい! 邪なる夜妖が――ッ! もがががが!」
「ああ、正純さんがピンチ! 行くよリアちゃん、急いで助けなきゃ!」
「待てや焔! 二人で行く必要はないだろ、一人で行けよ!!」
であればすぐに救助に向かうのが当然、だが。リアは死にたくなかった。
物理的な意味ではない。焔に手を引かれて一緒に行ったら……何が起こるか分からない! プールに近付きたくねーんですよ! ほらここで風の精霊と一緒に頑張るから焔は一人で――!!
『逃夜、逃妖。我ちょっと何人かにちょっかいを……大丈夫だこの混乱の中でならバレない』
「ぜったいにやめろバカ手袋ぉ!? バレるバレないの問題じゃないって!!」
あっちこっちで始まる混乱の渦。どうして……
と、とにかく早く終わらせて安全確保しなければなんだか危険な気がすると逃夜は確信していた。夜妖と悪戦苦闘している正純さんの気配が段々と殺意に変わってきている様な、怖い雰囲気もあるし!
「――んぁ?」
と、その時。
プールに駆け寄った逃夜に――なぜか水の塊が巻き付いていて――
「んああああああああ!? がぼ、ん!?」
『あーっと、こんな所にスクール水着の人間が! しかも勝手に溺れていて大変狙い得であるなぁ!』
「お゛ま゛え゛がよ゛バガでぶぐろ゛ぉ゛ぉ゛!」
あーとまた一人引きずり込まれたー! 女でも男でも容赦なしだこの夜妖―!
「おぉ、なんたる有り様……数で勝るこちらがまさかこのように翻弄されようとは」
どっちかというと何故か自滅な雰囲気もある気がするが、庚は獣人姿で思考していた。
――もしも四足の獣姿だったらどうなっていたのだろうかと。
スク水の食い込みを直しながら、まさか流石に獣に合うサイズがあるとは思えない。
しかし、獣人姿のままでは犬かきがやっぱり精々で、というかこの状態もいつまで維持できるのか分かった者ではない。いや、もしかしたら? もしかしたらこのスクール水着学校だったらあっただろうか? 獣用の水着。
「――まぁとにかく夜妖を倒さねば始まりませんねぇ」
スク水の食い込みをまた直しながら見据える先。
水の中に潜む夜妖の気配をなんとか絞ろう。気配は薄いがいるのは確かだ。
――そこ! 動きを阻害する一撃を放ち、当たる事を祈ってッ――!
「一応水に入っても大丈夫なように護符も持ってきたけれど、私は本当に泳げないからお願い、放さないでね? すずな」
「勿論ですよ! 任せてください小夜さん、この手を絶対に話したりなんてしませんから!」
そんでもって小夜とすずなの二人も戦場――戦場――? に入る。
なんだかんだ頼られるのは嬉しいものである。小夜にとっては流石に不安が大きいのか、距離も近くて……が、そんな気持ちはすぐに吹き飛んでしまった。え、なんでかって?
「すずな来るわ!」
直後。夜妖の気配を感じた小夜が戦闘態勢を取る。
その時だ。いつもの動作で刀を握りしめるような動きを取ったら――そこにあったのはすずなの尻尾で――
「――ってあのどこ掴んでるんですか……そこ掴んでも安定しな、ひえええええ!? あ、待って、付け根は、付け根はまず……ひぇええええええ――!!」
すずなの力が抜けていく。そこはまずい。まずいですよ小夜さん!
「あ、あら? ごめんなさいすずな! わざとではないのよ、その――だっていつもと勝手が違ったから、私、わかんなくて……不可抗力。そう、これは不可抗力よ!!」
「わ、分かりましたから離し……ひぇえええん!!」
不可抗力というか別に意図した訳ではない。彼女は盲目故に、目以外の情報が重要――なのだが、水の中では多くが潰れてしまうのだ。まぁそれはそれとして力説する為に更に力を籠めたらすずなが沈んだ。
当然そうなれば頼りにしていた浮力が消失する訳で、同時に小夜もまたバランスを崩す形で――あ、小夜の指がすずなの水着の肩辺りに――ッ! あ、剥がれる――!
「正純殿――! 今助けるであります――!!」
「わぁぁぁん! リアちゃん助けて――!! あぅっ、つ、捕まっちゃった! あ、ああ! い、今何かに触られた感じがした! やっぱりすぐ近くにいるよ――!! うわーん! そんなところ捕まれたら力が入らなくんぅっ!」
「焔! おい、くそ、ガチで溺れてるのは流石に……ほら手を伸ばしッ
止めろ引きずり込むな、あッ――!!」
そして希紗良、リアも(焔に引きずり込まれ)結局なんだかんだプールの中へ。
うーん、これは普段着だったら大変な事になってましたね。
スクール水着を着用しててよかった――ヨシッ!
●
夜妖は歓喜していた。あっちを見てもスク水。こっちを見てもスク水。
活力が満ちる。希薄だった気配が濃密に、より夜妖の力を増して――
「む、ぐっ――!?」
正純は眼を見開いた。自らを拘束している力が、幾つもに増えている。
まるで体のあちこちに手を伸ばすかのように。柔らかき肌と肉を沿うように、すれば。
プールで爆発が生じた。
「はぁ、はぁ、げほっ、クソがよ!
調子に乗って好き放題まさぐりやがって、ぶっ〇す……!」
それは正純の殺意の象徴。水中で炸裂させた双子星が、周囲を吹き飛ばしたのだ。
ついに自由となった口元から大量の酸素を取り込み――そして殺す。
「逃すかァ! 死ねぇ!!」
明けの明星の一閃、墜落すッ!
全力、全霊をもってプールに潜む奴を打ち砕かんとする!
一、二の、三の――正純さん打ち過ぎですよ! 正純さん、正純さん!!?
「おぉ、正純殿が無事な様でなによ……むぎゃあ!?」
であればと夜妖が次に襲ったのは希紗良だ。
キサが溺れようとも――皆様はお助けするでありますよ――!
そう意気込んでいたが、これは。
「ひ、ひぃ。なんとか息は出来……!?!??! どこ触ってるでありますか! 破廉恥は、破廉恥は死すべきであります! そのような所に触れようとするなど――お嫁に行けない系はやだであります――!」
刮目し、刃を振るう。
そこに居るなら殺す! 駄目であります、物事には限度というものがあるでありま……まだ触ってこようとするのは止めるであります! ふとももッ! ふとももから更に挙がって来るのは断罪であります――!!
女性陣の猛烈な攻撃。たまらず水の中を逃げる夜妖は、それでも諦めない。
こんな――こんなスクール水着だらけの天国を諦められるか!
「ゔぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごっ゛ぢぎだぁ゛!?」
なんでえええ僕男だよおおおお!?
――それもいい。なんかそんな不穏な言葉が聞こえてきた気がして、背筋に物凄い寒さを感じた逃夜は半ば反射的に速度の一撃を叩き込んだ。逃夜にとっても魅力的な要素があるからわるいね。うん。
「あ"あ”あ”あ”あ”――!! こっち来るなよ、もぉぉおぉぉお!!!」
同時。放つのは煌めく洋墨、だ。
そう――奴が水の中に紛れているというのなら、色によって判断すればよい!
投擲した物が奴に付けば目印になるのだ――ッ!!
「リアちゃ~ん、待って、置いてかないで~!!」
「焔、やめろ! 引き留めるにしても掴む場所ってのがあるだろおおおおお!!」
同時。別の地点でなんとか態勢を立て直そうとしているリアは、焔によっていろいろと水着が危険な目に遭っていた。夜妖によって引きずり込まれた焔はリアに助けを求め――彼女の水着の端を掴むのだ。
例えば肩のところとか……或いは胸の所を掴んで思いっきり引っ張ったりとか……辛うじて重要な所は見えていないが、しかし。さっきからなんかブチッっていう変な音が聞こえてるんだよ! 離せ、焔ァ!
「あ……あああ!? まずい、アイツが来るッ!!?」
直後、リアは気付いた。夜妖が近付いてきていると……!?
まずい。このままでは、このままでは――!!
「はぁ、はぁ……! ようやく何とかなりましたよ……!
色々な鬱憤、全部この刃に籠めてぶつけます――くたばりやがって下さいクソ夜妖……!」
しかしその時。
しがみ付いてくる小夜に耐えきってスク水を着直したすずなが斬撃を放った。
舞うように。そして仕留める様に。そして殺す様に。うぉおおお滅びろおおおお!!
水中では踏み込みづらいとはいえ幾らでもやりようはあるのだから!
「いつも通り仕込杖を持ってきちゃったけれど、錆びないように後でちゃんと手入れしないとね」
耳も鼻も利かなくても、小夜は。
いつも触っているこの刀の感触だけは忘れた事がない。
切るよりも突く感覚で――奴を穿たんとすれば。
「おやおや。欲望の限りを尽くし過ぎましたね。早々に諦めて逃げれば、まだ道もあったかもしれませんのに」
まぁその場合はカノエ達が困っていたので別に良いのですが、と。
スク水の食い込みを直す(通算十三回目)庚が更に夜妖の体力を削らんと妖精を放った。
庚の牙と成りて奴を食い破る。
流石にこれだけの猛攻を受けたからか、徐々に夜妖の動きが鈍り始めて……
「あぁ、いた! そこだね……もぅ! リアちゃんに怒られちゃったじゃないか!」
さすれば焔も怒り心頭だ。君が散々拘束して、お、お尻を……いや何でもないけれど!
とにかく君のせいで大変な事に遭ったんだ――だから!
「これは全部キミの所為だよ! キミの所為でリアちゃんが、あんなあられもない姿を……もう許してはおけないよ!」
焔さん、どうかその視覚情報売ってください。
怒りの焔は炎を纏いて。水すら蒸発させるかのような一撃を――夜妖へとぶち込む。
『――!!』
さすれば消え失せる気配。これは――死んだか――
「悪は……成敗したであります……!」
希紗良は言う。ついに奴を倒したと。
しかしこ、このような姿……間違っても郷の皆には知られないようにしなければ……
ズレていた水着の食い込みを直しつつ、まさか記録が残っていないか辺りを見渡して。
「はぁーはぁー……こほん。ええ、皆さんご無事な様でなによりです。
はい。こんな事もあろうかとタオルを持ってきてたんです――どうぞ」
にっこり正純。さっきまでの鬼の様な形相はどこへ……あ、いえなんでもないです。はい。
「あぁ疲れた……焔と行くと毎回本当に疲れる……
付き合わせて悪かったわね、みずn……すずなとお小夜さん、それに皆。
おら焔、てめぇの報酬であたし達に美味しいもの奢れよ」
「リアさん? 今なんて口走りかけました?」
みずn……すずなの追及は無視しつつ、これで終わったらなと皆が水より挙がる。
泳げぬ者はやはり手を引いてもらって。泳げないお小夜さんは可愛らしいなぁ……
「ぐすん、ぐすん……もう2度とプールい゛がな゛い゛!」
『誰も彼も大変福眼な騒ぎ。我、とても有頂天』
隅っこで泣く逃夜君。トラウマになっちゃったかな……かわいいね。
それはそうとすずなさん。今回のスクール水着での戦い――どうでしたか?
「え、スクール水着がどうだったかって? そりゃ当然――」
一息。
「クソですよ!」
満面の笑顔の端には、怒りの感情が滲み出ていたとか。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
スクール水着はよいものだ……
ありがとうございました!!
GMコメント
スクール水着……なるほど……
という訳でリクエストありがとうございました! 以下詳細です!!
●依頼達成条件
夜妖の撃破(逃げられると駄目です)
●フィールド
とあるお嬢様学園の屋内プールです。
時刻は夜ですが照明はある為問題ないでしょう。あと、一般人の類もいませんので心配はいりません。覗きもいないよ。
この中で主たる戦場となるのは当然プール内部でしょう。
充実した施設だからか、中々広いプールとなっております。温度も温水なので冬でも安心。
夜妖はこの中に出現していますので、なんとか倒してみてください――スクール水着で!
●夜妖
プールの中に出現している個体。
身体が水で出来ている様で、まるで保護色の様に中々見辛いです。存在も希薄で、遠くからは中々どこにいるのか正確な位置を察知しにくいでしょう。
プールの中にいるスクール水着を着た人物を溺れさせてようとして来ます。足を掴んだり肩を掴んだり、口元を抑えたりあっちこっちに手を伸ばしたり……とにかく引きずり込もうとしてくるようです。ですがあんまり力が強くないのか、今までに犠牲者は出ていません。
奴が力を付ける前に此処で撃破してください。逃げられたらアウトです!
●スクール水着
重要な点です。
この戦場では【全員がスクール水着を着ていないと夜妖が出てきません】
この戦場では【全員がスクール水着を着ていないと夜妖が出てきません】
この戦場では【全員がスクール水着を着ていないと夜妖が出てきません】
重要な事なので三回述べました! この学園は『旧スクール水着』と『新スクール水着』からの選択制を採用していたようなので、どちらかを選べばOKです。ただし全部女性用です。え、自分は男なんだけど……? よし君も女性用水着を着るんだ。着るんだ!
一人でも着てなかったら夜妖は出てこないし途中で着替えると【逃げます】
え、なんでって……そういう夜妖なんですもの、仕方ないね!!
●備考
Q「キャラ的に泳げないんだけど!?」
A「フレーバーとしては泳げない形で描写するかもしれませんが、戦闘の判定的にはマイナス要素としては取り扱いませんので安心して溺れてください」
●情報精度
このシナリオの情報精度はスクール水着を着てさえいればAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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