PandoraPartyProject

シナリオ詳細

たくさんの犬

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●其処を掘れと犬達は吠えた
 小さな小さなとある世界、此処にはたくさんの犬が存在していた。犬達はワンワンと日々を送り、楽し気な雰囲気で骨を啜っている。ずるずると垂れ下がった膿を振り回しながら戯れ、連鎖する飢餓に溢れているのだ――ぼたり・ぼたり――腸がおちる。ああ。しまった何処かに『自分の一部』を埋めてしまった! 鼻も削いだ現状では『掘り進める』他術は無い。しかし犬達だけで探していたら日が暮れてしまう。如何しようか。如何しよう。くぅくぅと悲し気な鳴き声が響いている……。
 助けてくださいと誰かに縋った。助けてあげてと誰かが言った。わんわんばうばう、言葉も知らない犬達は可哀想にも廻るのみ。
 鋭角も円形もないだろう。これでは美味しいごはんも食べられない。腐敗臭の濁流が最中、愈々犬達の血肉は限界だ。早く『部位を戻さないと』全滅して終う。

 地面が吐き出す事は無い。無意識の欠片は自律しない。

 スコップの先が神からの糸に視えた。

●掘れども掘れども底がない
「ここほれわんわん。ここほればうばう――」
 境界案内人のこすもは両腕をぶらぶら遊ばせてみせた。またしても妙な物語に影響されたのか。かわいそうな者を見る表情、そんな渋みにも溜息で返す。
「え。だから正気だって言ってるじゃないの――今回の物語は『犬がたくさんいる世界』よ。なんでも犬達は『自分の一部を埋めてしまってご飯が食べられない』らしいの。食べられないのよ? このままじゃ餓死しちゃうわ――あら? そもそも死んでいないかって? これが不思議と生きてるのよ、わんわん」
 尻尾をふりふりごっこを決め、君達の反応を観察している。もしや遊ばれているのは『私達』ではないのか――疑心にも似た思い。
「おおっと、涎が……犬達と部位を掘ってくださいね。どんな部位が出るのかはお楽しみ。何も楽しみじゃないですって? 巨大な蛆虫とかは現れないわよ。たぶん……」
 今たぶんって言ったぞコイツ。
「と。とにかく。宝探しに行ってらっしゃいな」
 はっはと舌をたらす。

NMコメント

 にゃあらです。
 ここほれわんわん。
 一章で終わらせる予定です。

●犬がたくさんいる世界
 犬がたくさんいます。
 これらは犬の形をしているので犬です。
 内臓が漏れたり骨が突き出たり、明らかに死んでいるのもいますが『犬』は生きています。とってもかわいいね。ちなみに鋭いものが好き。

●目標
 犬達が間違えて埋めてしまった『犬達の部位』を掘り当てる。
 何が掘り出されるのかは不明。皆さんの目で確かめてください。
 つまりはプレイング次第です。

●サンプルプレイング
「これは犬なのか? 犬だな……?」
 まあいい。犬が埋めてしまった部位を掘り当てれば良いんだな。
 持ち込んだスコップで盛り上がった地面を掘っていこう。
 なんかにあたったな。
 ……眼球か。
「眼球にしてはヤケに大きいな? どの犬の部位だ」

  • たくさんの犬完了
  • NM名にゃあら
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月25日 19時30分
  • 章数1章
  • 総採用数8人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

 愛らしいばうばう! 協力しない方が腐っているのか。
 どくどくと跳ねふれた犬一匹、澄恋の白にべたべたと臓物を繰り浸け、ここほれわんわん鋭く鳴いた。泣くような赤が生臭くとろけ、ゆっくりと地面を指し示す。教えを覚える賢い動物と聞いていたが、この貌はなかなか如何してお花畑――世界は広くて狭いのだ、うっかり自分の一部を埋めてしまうような子がいてもおかしくないでしょう。感嘆符がスコップ代わりだと謂うのか、からからに渇いた咽喉を突き刺して掘り進む――出番だ、鍛えに鍛えたは鬼嫁ぱわー。未婚だとか物理だとか決して囁くな、その思いは何処までも本物と良い鼻が震えた……よいしょ。よいしょ。盛り上がった茶を発け。
 ん――ごつんとぶつかったスコップ代わりの疑問符、砂を払って形出てきたのは前脚の左右何方か。死後硬直して幾時間か。しかし『脚』にしては隆々が過ぎている。大型犬でしょうか? ぐるりと紫を回転させて肉球と『あ』った。つんつん。つんつん。かなり硬い真ん中だ。

 どういうことかと犬に尋ねる。
 誰の部位かもわからない。

 反芻しても周囲に在るのは小型犬、どれもこれもが鋭角に刺さっている。ぼろぼろと溢れた膿が謳ったとして、本物が見つかる気配はない――ぷにぷにしたかったです――針山にでも登ったのだろうか、隣の犬も襤褸雑巾。騙し絵に驚かされたかのような、旦那様へのお姫様抱っこ。
 歯と歯の間に這入り込んだ、数匹のモツ。

成否

成功


第1章 第2節

灰羽 裕里(p3p009520)
期怠の新人

 裕里は中に手を入れた。

 ポッケに這入り込んだ護謨質曰く、匂いはミントじみて仕方がない。たまらなく魅入っていた犬の輪郭、何処から如何見ても『胴』は腐れており、アンデットと言うべき類だろう。嗚呼、深く考えてはいけない。水面をすくうような気持ちで向き合わねば『正気を失いかねない』のだ。それにしても狂暴性を感じられない。映像作品その他では『理性がない』とも表現されていた筈だ……わんと蛆わき脚をあげた面は、なんとも哀れに見えてくる――暇もないかと地に盛り上がり。
 設営の為に持ち込んでいたスコップが役立つだろう。掘るのに問題は無いと言える。ぐぅるり周囲を改めればコボレた骨肉の塊――地球ではフィクションでしか在り得ない光景――そういえば先程の個体は如何して角度を舐っていたのか、膿を弄っても理解は出来ないだろう。

 啜っていた。

 単純作業に脳を託そう。たくさんの犬に囲まれつつも、こういう時間は嫌いではない。長々と深々と進めて々め――あとで埋め直せとか言うなよ――運が悪ければ棒にも当たらない。たれた汗と腸が混ざって映り……顎が嵌まらず歯が落ちない。しかし【どこかの骨】だと意味するのか……一匹の犬が近付いてきた。ヤケに高音な吠え方だ……喉仏だと認識する事が出来ない。
 足元がブレて来た。何事かと観察してみたら五本指。
 ――深く考えると、正気を失いそうだな。
 同じ言葉を繰り返す。彼等は『たくさんの犬』だ。

成否

成功


第1章 第3節

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

 犬派なのかしら――境界案内人の奇行にも『慣れていた』アーリアは疑問符をつけた。漬け込んだ果実のように『いえ』とも加え、銜えているわんわんを撫でてみせる。そうとも『ああ』は誰もなりたくない。猫派の自分自身だって砂にこすれる必要はないのだ――こすもちゃんならやりかねない。相も変わらずパンドラ以外が削れてきた、あの子の捲る指が震えている……ところで塑の内臓は愛しいのか? かわいい。かわいい。この子達はかわいい……こぼれた眼球で遊び出した。とっておいでと笑ったのは?
 そんなにも大きな目玉、誰の物だろうかと口にしない。想いはその内に混迷し、一周回って本当へと化ける。段々を踏み外して愈々可愛く見えて……あら……吃驚とひっくり返る前におどり漏れた臓物。隣の子が躓いて転んでしまった。え? どうやら縄跳びが大好きなようだ。円形の糸には触れないクセに――血も肉も苦手な筈なのに、オマエの脳髄が高笑いしている。

 不思議……レッドアイの塩分過多だ。
 目玉焼きにする術が無いなら、生で啜れよ腐敗臭。

 掘り進めた結果は『舌』だった。土と小腸の絡んだ下、埋まっていたのは如何なのだろう。衛生面の事を気にしている正気もない。あらまぁ、舌が無かったら美味しいお肉もお酒も、なんにも味わえないじゃない! ズレた思考回路を正す事出来ずにくっつけろ。ほら、早く。その糊は真っ赤で役に立たない――ね? 粘土じみて咽喉に引っ付いた。

成否

成功


第1章 第4節

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸

 貌――面――顔はどこ? ランドウェラは粉砂糖を啜るように呟いた。ああ。ご飯が食べられないという事は『口』を埋めてしまったのだろう。餌を食めない原因が残念な頭の中の所為に違いない。馬鹿だなぁと脳天を掻き撫でれば味噌の欠片、駆け出した正気は『慣れて』終えばどうってこともない。胴体にくくりつけた紐は逆じゃないのか――さてさて。口はどこにある。このあたりかそのあたりか、それともここかと灰色の回路を手繰り寄せる。酩酊した気分で首を振れば一発で当たるだろう。何故かと言えば最近のオマエ、こんなにも運が良い事はなく、白赤のうなぎ登りは嘘では……。
 これは肉。これも肉。どの部位かは知らないけれども、きっと肉だと嚥下するしか在り得ない。これは如何かとぶらりと遊ばせ、ああ、結論はなになのかわからない。蛆じみた物が勝手に離れてじゃれ憑いていた――もう、口以外は投げ棄てよう。いらないから捨てる。
 犬達は拾う神でも在った。暇を潰しているから一石二鳥だ。
 わんわんはぴぃぴぃじゃありません。ばうばうと訴えている。
 お……これじゃないかと掴んだ唇、可愛らしさと獰猛さを兼ね備えた口々。どの子の口かと見渡して、その子の顔だと理解した。よし。これで『口はある』ね――こんぺいとう――胃の隅に置いた角々、もう食べてあげてたのか。いつ僕からとったんだい……悪い子。

 ダメじゃあない……膿が僕を見つめている。
 どうやって食べた?

成否

成功


第1章 第5節

トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ

 ぬめりの取れていないトストの双眸、映り込んだ世界観は如何にも継ぎ接ぎで在った。在るべき場所に※がなく、余分な※が粘着している。つまりは犬とは思えない現実、夢幻の感を拭えない疑問符だ。しかし『そういういきもの』と思えば『犬』で、わんわんと吼える輪郭は正しいとも解せる。うーん、首傾げて『ここが陸地』で良かったと嘆息。水中で生活していたならばバラバラ臓物も目玉も埋められたものではない。嗚呼、そんな内では住みたくない。棲むべき洞窟が真面で有難い……この物語には犬以外見当たらない。想像した淡水で泳ぐ必要はなかった。
 遠慮せずとも美味しいお肉は食べ放題だ。それでも胃腸を失くしたなら食べられない。嗚呼、つらそうなばうばうが聞こえてくる。困っている生き物を放っておくワケにはいかないね。力になろうとスコップを握れ、ツルツルしても滑り落ちないだろう。

 囁いた草を頼りに泥をすくう。

 ぶつん――妙な感触と共に液が混ざった。しまった。腸と土がぐずぐずと戯れている。千切れた部位をつまみあげて数十分、これとそれを繋ぎ合わせても長さが足りない。彼方の一本はヤケに永い……大丈夫ではないだろう。縫い合わせても漏れてしまう。ごめんよ……改めて埋める他に無い。

 そういえば人間みたいな『ながさ』だった。口腔に並んだ歯が少し平らに思える。その気の所為を結んで開き、針の筵が『増量脳』に餓えている……減るよりは増えた方が好い。

成否

成功


第1章 第6節

郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール

 犬は何故かHAHAと吼えていた――京は『何かを真似た』声を聴かなかった演技して【犬】を視た。わんわんとじゃれ合うサマは確かにいとしいが、誰が如何視ても死体だろう。外骨格に欠け出した臓物、顔色蒼くしつつも凝視して『肝心』な感情を揺らしてみせる。迷っちゃうなー……総じて嘗められた地面の下、そこには何が埋まっていると謂うのか。うーん――結論はムリ。
 そもそも犬なのかと作者に絶叫したくなってきた。この子達は超人が見ても犬だった『もの』だ。もしかしたら人だった『もの』かもしれない。はぁはぁと息を荒げた子がすりすり。どうして息が出来るのか――この子に肺臓はないのだろう? あーもー……わかったよー……掘ればいいんでしょ掘れば! ここ掘れわんわんと小腸の絡まりが急かしてくる。
 とんだ依頼を受けちゃったとラッキー・ガール。スコップを握り締めれば鉄が軋み、土を穿つ速度は『あの世界』特有の者だった。くされワンコが怪人ごっこを始めている……。

 なんでヒーローがいないんだ。
 蹴り技で決める事も出来ない。

 砕かずに回収出来たのは意識した結果か。どろりと付着した肉と皮、肋骨だろうかとカタカタ嗤っている。なにかな物々言っている間に先程の子がへぇへぇしている――どの子のなんだよもう、判別できないよ!! 全匹が混ざって肉骨の団子、ほどく他に術は無い。

 どっちつかずのふらふらに腕を突っ込んで解体、時間が掛かりそうだ。

成否

成功


第1章 第7節

グドルフ・ボイデル(p3p000694)

 虚々と戯れていた犬どもがわんわんと貴様に群がった。集う貌は何処か触手に似ておぞましく、グドルフは何故か懐かしさを覚えていた。死骸みてえなのがそこら辺をチョロチョロしてんのはゾッとしねえ――円滑に這入り込んできた臓物を足で退け、肢の間に挟ませてやった。たれた眼球を元に戻しつつ犬は鋭角へととろけて往った――しっかし――掘り返した先にあるのはお宝でも絶望でもなく『犬コロの部位』とはねェ……付着した泥水と漿液の混合、拭う為の襤褸雑巾など持ち込んでいない。
 此方を掘れとばうばう聞こえた。彼方を埋めろとぐつぐつ煮込んだ。沸騰した胃酸を嫌々起こせば『なんだこりゃ』――骨と謂うには小さくハギスと謂うには強固。こいつぁ牙。切歯ってやつ――鶴嘴じみた歯茎つき、ようやく見つかったと一個体が舌を垂らす……オマエでもこんなには臭くない。
 あーあー……マジ近寄るな気色悪ィ。喜色の想いで発された腐臭、醜々とないた穴空きの腹の皮――ほらよ。取ってこい――大切なものを失くすなと放り投げる。

 軟体じみた動きがひどく苛吐かせる。

 溜息――もうじゅうぶん働いたろ。ぐるりと周囲に『犬』が居ないのを確かめる。歯の抜けた思いを抱きつつ『裏表紙』へと足を運んだ。ぐじゅり……足裏に粘ついた潮のにおい……此処等いったいは海だったのか。いや、そんな『地上』は在り得ない。
 ――視界の隅に在った、がらんどうじみた大渦巻き。
 材料は膿色。

成否

成功


第1章 第8節

冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 ここほれわんわん――擂り酔った連中が睦月を囲み、彼方へ此方へぐるぐる廻る。巡り始めた脳味噌の真似事、全てが総て『中身』を落としているとは奇怪な運命だ。昔話ならば出てくるのは金銀財宝、大きい箱も小さい箱も皆々素敵な輝きだろう。でも、君たちは違うんだね――根っこの奥から不安定。鋭利な場所から貌晒した個体がばうばうと頷いた。自分が欠けてしまうのは辛いでしょう――その濡れ方は『僕』にだって理解出来る。いいや『僕』だからこそ咀嚼出来る。出来立ての落とし犬がお座りしてくぅんくぅんとなきだした。手助けしてあげる……スコップの先が泥濘に入った。
 ぶちぶちと赤の血管。黄色い粘膜の躯塑溜まり。緑にふれたハラワタの一部。この桃色はきっと円筒の中の方が映えるだろう――掘れば掘るほどに鼻腔をつく異臭――飾り付けられた君達は何処へと向かったのか。水色のこれは何? 毛布じゃなくて毛皮なの? 鋭さから現れたたくさんの犬。
 ぐぅぐぅ。僕は食べちゃダメだよ? 思考したのかしていないのか、大嘘な理性が絡んでくる。ああ。何方にしても埋葬されるのは未だ早い。とってもうれしいことがシャイネンナハトにあったんだから――かぷ。もろい牙が崩れた。食べちゃダメったら……カフェインにどっぷり浸かりたい。
 ミルクと皺くちゃをぐるぐるしよう。シャワーを浴びたら日常的だ。

 どうにもしみついてとれない――特殊溶液の管理法。
 それと死臭……。

成否

成功


第1章 第9節

 くされ部位と鋭角を継ぎ接ぎ、その死臭は何処か思い出じみて胃た。
 小腸から追い出された象徴が泥に沈み、新たな犬を孕んでいく。
 ゆるやかに世界は崩壊へと向かっていくのだろうか。
 否――たくさんの犬は『犬』で在る限り、役目を辞めないだろう。
 役割を続けるのだろう。

 特殊な溶液を注いで終えば、濁り切った體が膿んでいった。
 ありがとう。ありがとう。ありがとう。
 ――合挽がひとの手を振ってみせる。

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