シナリオ詳細
殲滅の檻
オープニング
●緊急事態
その日、ローレットに集まったイレギュラーズの顔は一様に硬かった。
息を切らせて駆けつけてきた面々の顔は蒼白であり、取るものも取らず、といった具合の表情は言いようのない不安と畏れ――まさに深刻さに満ちていた。
「……集まってくれたですか」
日頃の活発さが嘘のように――彫像のように無表情のまま、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が重い口を開いた。
「その様子だと皆さん、もう話は聞いているみたいなのです。大変な事が――」
「――少しだけ」
前置きをするかのようなユリーカを少し急かすようにイレギュラーズが遮った。
「兎に角、詳細を教えて欲しい」
「どうしても――行くのですね」
「行かないなんて選択肢、ある訳ないだろう!?」
ユリーカを急かす誰もの顔が平静からは程遠い。
一刻も早く情報を――細かい話を聞かずにはいられない、といった顔だ。
(――まさか)
(あのお嬢様が)
(ピンチだなんて、公!)
(待ってて下さいね、伯爵!)
(遮那くん!)
(長胤様! あれ、既にお亡くなり……いえ、長胤様!)
(パルスちゃん!)
(ひよの!)
(なじみ!)
(廻!)
(つづり、そそぎ!)
(センセー!)(死牡丹梅泉……)
(ディルク様!!!)
(レオン君――)
(――ヴァリューシャ!!!)
嗚呼、一つも噛み合っていないとか言ってはいけない。
取るべき人質は山とあり、その手段は限られていないという事だ。
面々の想像する顔は千差万別であり、唯一つ。共通点を挙げるならば、青天の霹靂の如く――彼等は今日、知ってしまったのだ。大切や『誰か』や『何か』の大変な危機を。『そして重要なのは彼等が自分達がこの忌避すべき運命を捻じ曲げなければ、大変な結果が待っていると確信しているという事だ』。
「――皆さんの覚悟は分かったです。
今回の依頼は、命がけの危険なものになるです。
でも、皆さんがいなかったらきっと大変な事が起きてしまうのです。
皆さんの力でこの悲劇的運命を回避してほしいのです;;」
ユリーカの言葉にマリア・レイシス(p3p006685)はごくりと息を呑んだ。
何時もふざけてばかりの情報屋が泣きそうな顔で自分を見ていた。
自ずとその事実が彼女の小さな胸、小さな胸(二回言った)を締め付ける。
(でも、きっと大丈夫。マグロ漁船だって、留置所だって――私が助けるから!)
決意は揺るがぬ。
押し潰しされそうになる不安感さえねじ伏せて虎は凛とユリーカを見た。
「……マリアさん」
「ユリーカ君」
思えば二人には奇妙な友情があった。
ユリーカは意地悪だったけれど、マリアはそれが心地よかった。
そしてユリーカはマリアの事を姉のように慕っている(多分)。
少しの合間の後、決意したかのように――ユリーカがコクリと頷いた。
「目的地を伝えるです。悍ましい『殲滅の檻』を無事に消し去ってきて下さいです。
情報は申し訳ないけどとても少なくて――でも皆さんならきっと何とかしてくれると信じているです!」
まぁ、そういう訳だから仕方ない。
情報精度Zに踊らされ、この先にどんな罠が待っていたとしても仕方のない事なのだ。
皆は『大切な人の大事を聞きつけ、訂正されなかったコントに付き合うだけ』なのだ。
だから君達は自分を責める事はない。ただKUSODEITEIがそうしろと言ったから予約したと――浅ましく我が子に許しを請いながら、自分に言い訳しながら殲滅の檻に飛び込めばいいのだ。Are You Leady?
- 殲滅の檻完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年02月02日 18時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●二回目の人
警戒はしていた心算だった。
魂の奥底に刻まれた傷痕。
忘れようとしても忘れられない程に焼き付いた罪と咎――
幾度も巡る夜にうなされて目を覚ました事は一度や二度の話ではない。
『砂食む想い』エルス・ティーネ(p3p007325)はあの日の出来事の全てを克明に思い出せるのだ。
他の誰がそうでなかったとしたって――私はそれを『知って』いた。
いえ、正確に言うならば――その日、彼女は思い出したのだ。ヤツらに出会ってしまった恐怖の味を……
「……デジャブはね、感じていたのよ、ええ!
薄着だと有利って点でもっと疑問を持つべきだったわ!
どうして疑問を持てなかったの!? ほんと……なんで!! また!!!!」
どっとはらい。
●地獄!
「助けて! ヴァリューシャ!!!」
冒頭のっけから悲惨かつ悲痛な声が響いていた。
目の前に広がる光景は虎のような軍人――『白虎護』マリア・レイシス(p3p006685)が目をぐるぐるにして逃げ惑う地獄である。
「ヴァリューシャ……! 待っててね! 絶対に助けるからね!!!」。ほんの二、三時間前の勇ましい姿は今は彼方。ガイアズ・ユニオンの誇る守護神はまさに人生最大の危機とも言える『天敵』の前に愛らしい子猫のようであった。
「猫じゃない!」
嗚呼、虎は叫んで逃げている。
「えりちゃんの一大事だって聞いて、ここまで来たけれど……!」
依頼書に何故か季節外れの薄着を要求され、きっちりそれを叶えてくれた律儀な『優愛の吸血種』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が今更過ぎる事実に頭を抱えていた。時既に遅しとはまさにこの事を言う他ない。
「これは、所謂、そのえっ――というやつなのでは……」
いつかの報告書に見た悪夢。
殲滅の檻。情報精度Z。約束された煉獄。GMとPLの悪意。待っていた現実は――
「灰人――ッ!?」
――『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)の叫びが虚しく示していた。
――くっ! あのお嬢が、リーゼロッテがピンチだってのか!?
アイツがって事は――とんでもねぇヤツが相手なのは間違いねぇな……
だからって黙ってられるか、男が止まっていられるかよ!
Are You Leady? はっ、覚悟なんざとっくの昔に出来てるよ!
そんな感じで格好良く啖呵を切った紫月・灰人(p3p001126)は冒頭開幕の一撃で天井に突き刺さったまま落ちてこない。
暗殺令嬢を心配する暇も無く、酷く愉快で残虐なてるてる坊主(ショー)と化していた。
「……」
ぷらーん。
「……………」
ぷらーん、ぷらーん。
ピクリとも動かない灰人の有様は最早惨劇のそれであった。
(後は――頼むぜ、2021。せめてぶら下がる役得を残してくれよ)
空にサムズアップする在りし日の影の雄姿は最早この世界の何処にも無い!
「あああああ」と頭を抱えた紫電が遅ればせに慟哭した。
「某戦神Aちゃんがピンチだって聞いたけど、聞いたけど!
ちくしょう、なんたる体たらくだ、オレとしたことが恋人のピンチに早めに気づけないなんて! そう思ったけど!
薄着で来ると有利に戦えるとも聞いたし、わざわざジャンパーは外してきたけど!
これはあれか? オレは自分に塩をもみ込んだだけなのか? A奈絶対ここにいねぇだろ!!!
これは俗に言う『騙して悪いが』案件ってヤツだろ、絶対!」
まぁ不幸な『事故』だけどな!
……マリアにせよユーリエにせよ、この紫電にせよ、だ。
この戦いに赴く際、聞いていた話は一様に『大切な人』の一大事であった。
要するに我が身を賭けてでも救わねばならない誰かの危機を聞きつけて。
そう、彼女等は愛するが故に。取る者も取らず、この洞窟に急行したのだ。
――殲滅の檻――
その恐るべき響き、目前に現れた巨大スライムは多くに『最悪』の事態を予感させた。
その最悪を回避せんが為ならば我が身等惜しくはない――きっとそう思わせた。
だが、実際に彼女等を待ち受けていたのは『彼女等自身を殲滅する、まさしく恐怖の檻だったのだ!』
いやあ、初めて知った!
「父さん、母さん、無事でいてね――!
私がイレギュラーズになった所為で――何かあったりしたら私……!
それにしても道理でアホ毛が――ギフトが反応しまくってた訳だわ!
『楽しい事が待ってます』じゃあないのだわよ!
ええ、ええ! きっとコレは『そういう』ヤツなんでしょうけど。
そんな余裕、見せてられなくしてあげるから!」
「薄着はしない主義だが制服は着る、それが私だ。
ただのブレザー、ただのスカートと侮ってくれるなよ。
世界中の影を『消失』等されては困るのでな。この場、まかり通らせて貰おうか――」
エルスを含めた前半四人が「ああああああああ!」になっている一方で『アンラッキーハッピーガール』リズ・リィリー(p3p009216)や『特異運命座標』影縫・纏(p3p009426)の反応がまだ『気付いていない』のは恐らくイレギュラーズとしての経験の差と言えるだろう。
彼等が特異運命座標になったのは忌まわしい事件のずっと後で、ある意味でだから幸せだった。
二度漬けされたマリアや、過去にそれと出会った事があるエルスが「あああああああ!」なのは心の疵で。
二人の勇ましさはこれより始まる惨劇に深い味わいを添えるちょっとしたスパイスであると言えるだろう。
「くっ……! しかし、座してやられる訳にはいきません!
えりちゃんの為にも、この場は何としても切り抜けて――」
申し訳程度の導入も終わった所でユーリエが構えを取って気を吐いた。
「マリアさん、しっかり! この場を切り抜けねば!」
「――は!? そ、そうだ。ありがとう、ユーリエ君!
に、逃げている場合じゃなかった><;
ここにヴァリューシャは居ない! それは良かった! 危機に瀕したヴァリューシャはいなかったんだ!!!
後はそう、そうだよ。このえっちっちだよ!!!
もう見飽きちゃったコイツをやっつけて、あのポンコツ情報屋をスライムに叩きこんでやるだけなんだよ!」
我に返ったマリアが懐の依頼書を地面に叩きつけ、獰猛に天敵を睨み付けた。何時も穏やかで優しいマリアの荒ぶる様は彼女の余裕の無さを告げているようであったが、彼女には守られねばならぬものがあるのだから必然だった。ヴァレーリヤがここに居ないのならば、これ以上漬けられるのを防がねば。
――ソースまみれですね、にゃんこ!
――マリアさん、また負けてしまったのです???
「……ぐぎぎぎぎぎ!」
その脳裏に宿命のライバル共の嘲笑が過ぎればマリアの闘志は一層強くなった。
「でもね! 今回の私は今までの私とは一味も二味も違うからね!
ユリーカ君からの度重なるクソ依頼が私を強くした……
ヴァリューシャと特訓して編み出した、対えっちっち最終奥義を見せてあげようじゃないか!」
はいはい奥義(笑)。
そして、既に恐怖に涙目になりながらも必死で頭をふり、恐れる自分を追い払おうとするのはエルスもまた同じであった。
(逃げたい、逃げたい、逃げたい……でも、きっと逃げられない。でも、でも……
私はっ、私に触れていいのはディルク様だけで、でも――ばか、ヤミーさんのばかっ、私ってホントばか……!)
まさか受からないと思ったのに慢心した結果ここにいるならば、結末を好んだのは神か悪魔か人の業か。
まさに小動物が必死に虚勢を張るようなエルスを後目に、
「うおーッ! このままでは罪なき人々に被害が及びそうです!
これ程の魔物、とても放っておく訳にはいかない。まさに許し難き悪なのです!
この邪悪な奸計は――この手で必ず阻止するのです!」
神託者の杖を勇壮に構えた『善行の囚人』イロン=マ=イデン(p3p008964)が、
「いくわよ、でっかいスライム! その手の敵に慣れてる(※不幸)私を甘く見ない事ね! いくよっ♪
らぶりー ちぇんじー らずべりー
すちーるはーと あんぶれいくっ
不運に負けずにキラメキシャイニー!
魔法少女(強調)ラブリー☆ラズベリー
ピカッと参上! ヨロシクねっ♪」
「全力で行くぞ――!」
意気軒高(笑)なるリズが、纏が敢然と立ち向かう――!
●行くぞ、女子共! 覚悟の貯蔵は十分か!
「ひゃん――!」
古より稼働し、善悪の善に並々ならぬこだわりを持つ――
レガシーゼロの『少女』。イロンの上げた声はまったくイロンらしからぬとんでもない声であった。
如何なる構造によるものが男女の性差を持たないイロンにさえ、浸透したスライムは訳の分からない効能を及ぼしていた。
「――この程度ッ!」
凛と声を張り、果敢に仕掛けた纏が触手に捕まって宙づりになっていた。
「……え? えええええ!?」
鉄壁のスカートは取り敢えずぱんつだけは見せていないが、それ以外は最早筆舌尽くしがたい地獄そのものの有様だ。
「絶対ああなる。絶対こうなる!!!」
「やっぱり助けてヴァリューシャ!」
まるで「見た目が女の子ならなんでもいいんだよ」と言わんばかりの邪悪にエルスがふるふると震え、マリアはガタガタと震えていた。
そんなこんなで絶好調。一通りあれやこれやとやっとこう!
・ユーリエの場合
「ん、んんぅ……あれ……っ、わたし……?」
ユーリエはイレギュラーズとして相応に実力を重ねてきた心算だった。
初めから敗北する気は毛頭無く、可能な限り抗って――好機を待つ心算であった。
しかし、いざ相対したスライムの暴虐は圧倒的であり、一瞬刈り取られた意識が戻った時、彼女は全身を粘液の触手で絡め取られていた。
(ま、まさか――これ程簡単にやられてしまうなんて……っ!)
慌てて必死で身をよじるも簡単に脱出する事は叶わない。
「……っ、く……!」
体を締め付ける触手から滴った粘液が『薄着』の布を浸食する。
「ひゃんっ、このスライムっ、まとわりついてくるし……っ、ふ、ふく!」
ぬるぬるべたべたと全年齢向け超健全PBWたるPPPには若干相応しくなく(PPP倫)が(削除)で(検閲)な度にユーリエの頬は赤くなる。
「そ、そこを、あっ、ぁっ、えりちゃんだけなの……っぅん……」
ぬるぬる。
「ひっぁ……おみみはっ……おみみはだめっ、だめ、たすけっ……~~……!! っ……!」
べたべた。
「はぁー……はぁ、もうおわってぇ……っ……
……! い、いや、あきらめません……っ! ぜったいに……っっ……!」
多分トップバッターから本作で一番エロかったと思うのだが、ユーリエは諦めない。
どれ程思考が曇ってもえりちゃんが脳裏で微笑んでいたから(いい話風)
・紫電の場合
――ちくしょう、こんなところにいられるか! オレは逃走させてもらう!
全くユリーカのやつ、絶対大丈夫だと思っていたのに……!
ほんと後で覚えておk……あれ、退路が塞がってる……!? 嘘だろ!?
無駄に足掻いて。
――クソ、これでもくらえ!
五月雨!隼刃《星落》! 紫電一閃【禍】! 魔哭剣【血蛭】!
この猛攻を耐えきれるものなら耐えて……いや、いやいやいやいや待てなんだか嫌な予感がする!
無駄に抗って。
当然のように、
――ひっ、来るな、こっちに来るなッ! やめてくれ! オレには愛する人が……っ!
オレの、オレのそばに近寄るなァァァ!!!!
「なに、これ……身体が、どきどきして……っ……
いきも、あらくなって……ぅん……
ひ、ぁっ……んぅ……やめ……そこは……ぁっ……
あひっ……こんなのに、ぃ、すきにされて……ん、くっ、やら、やらぁ……
あっ、そのぱんつは……っ、かえせ……っ、かえしてぇ……」
結局こんな風な有様で。
紫電は桃色に染まる思考の中、ちらりと視界に入った影を見る。
「あっ……いやぁぁぁ!!!
やめてぇ……わたしは……しでんだけの、ものなのにぃ……
ひぅ……ぐすっ、穢された……魔物に穢された……もうやだぁ……」←巻き込まれた関係者(ストーカー)ガレトブルッフ=アグリアさん
「つ、つっこむけど、おまえいったいなにしに……きたぁ……っ!」
・リズの場合
(慣れてる、確かに慣れてるの。慣れてるとは言ったけどぉ……!)
生来のギフトで『こういう目』にはよく合う方だ。
魔法少女として悪と戦うリズは『こういう目』にはよく合う方だ。
だから大丈夫、そうたかをくくってはみたものの。
創造神が望む世界法則――神威ことえっちっちはその他有象無象とは格が違う。
世界の意志が必ずやり切ると決めたなら、耐性のあるリズでもなんでもとろっとろなのは当然としか言いようが無いのであった。
「……っ、んくっ……」
小さく唾を飲み込み、必死で声を押し殺したリズの頬は既に真っ赤に染まっていた。
変なガスとさわさわとあっちこっちから浸食する与太にびっくんびっくん、耐えねば耐えねと深呼吸をする度に症状は悪化し……
(こ、これはかんどさんぜんばいっていうやつなの……かしら……!)
碌でもないクソシナリオに叩き落されてしまったが故、まさにリズは今のっぴきならぬ状況に陥ろうとしていた。
「こ、このっ……やめ、や、やぁ――」
遂に涙目でふるふると首を振ったリズの首筋に粘液が痕を残す。
目の前のスライムがぐんにゃりと歪み、リズの全身を飲み込もうと大きな口を開けていた。
「あ、ぁ、ぁ……」
それは恐怖か恍惚か。
綯い交ぜになった絶望を吐息と共に飲み込んで――この先を読むにはもっと課金が必要だな!
・エルスの場合
(ああ、もう皆さんやられてきてる……私も何れ……っ……!)
絶望的な未来はすぐそこまで迫っていた。
「ちょ、やめ、きゃああああ――――ッ!?」
何をどうした所でこれ以外の結末等、きっと無かったのだ。
クリスマスSSまだサボってる癖に。ディルク様と何かあったかも知れない夜はまだ描写もされていないのに。
こんな時ばかり嬉々として、こんな時ばかり確定のように。
どうして大体二十五倍に受かってしまったのよ!?
エルスの脳裏を走馬灯のように恨み節が駆け抜けて。
「ど、どうせ捕まると思ってたけど! 知ってるのよこんなの! ひゃあっ!?」
かくてエルスは面白い声を次から次へと上げる羽目になる玩具と化していた。
「も、もう逃げないから……っ、せ、せめて乱暴にしないでっ……そ、そう、いい子……だか、ら……ね?」
いじめてちゃんの必死の上目遣い等ドS(確定)の魂にガソリンを注ぐようなものであった。
「うくっ……あ、ぜ、ぜんぜんきいてない……ぁ……んん……わ、私は……今回は……泣いたり、なんて……っ……!」
泣かないと決めていたって泣くモンは泣く。
「お願い……っ、早く……んッ……はや、く……終わ……っ、んん……
……うっ、んん……ぬるぬる、気持ち、悪……っ……
もう…なんで二度も……、こんな目に遭わ…なきゃっ、っ!
うっ……た、助けて……ディ、ルク……様……っ……!」
本当に何で君は二回も当選してしまったんだい?
「エルスになんか負けてらんない!
……と思って来てみたんだけど……なにこれ……」
何故か都合よく現れた恋敵(レッド)の姿にエルスは心底同情した。
レッドの方はエルスを平気で見捨てて盾にしたかも知れないが――
「ちょっと!? 話が違うじゃない!
その女で満足してなさいよ! あたしに来るな! ちょっマジでキモイから!!!」
――エルスはやはり遠い目で『不慣れ』な彼女に同情した……
●殲滅の檻
「……ああああああああ! どうして……」
マリアは頭を抱えていた。
えっちっちの猛威は凄まじく頼りになる仲間は既に壊滅状態だった。
あっちこっちに漂う桃色吐息にスライム地獄はこういうのが得意ではないマリアの顔を><;一色に染めていた。
どうしようもない最悪の状況に心は幾度も折れそうになっていた。
しかしそんな彼女を確かに支えるのは。
――マリィ、ついに習得しましたわね!
特訓に付き合って(酒かっくらって寝ていた)愛しい人の輝かんばかりの笑顔であった。
口元には居眠りから起きた直後の涎が張り付いていたがマリアはそんなもの見えていない。ヴァリューシャは実質寝ていない。
「でも、それもここまでだ! この一撃を受けても平然としていられるかな!
対えっちっち最終奥義! 『絶滅雷』! スライムは死ぬ!」
マリアの繰り出した対えっちっち最終奥義『絶滅雷』――虹色の雷撃を纏った渾身の飛び蹴りがえっちっちを貫いた!
「えいっ! えいっ!」
……
「えい! えい! えい!」
……………
「あれ!? 効かない!? どうして……?
虹色だよ? ヴァリューシャは実質吐かないんだよ?
効かないとおかしいじゃないか! こんなのは絶対に許されないよ!」
怒りながら無駄な足掻きを繰り返したマリアにえっちっちの視線がねとりと向いた。
即ちそれは最後の晩餐を始める合図であった。
「……うん。知ってた。いつものだよね? またこれだよ……本当にどうして……
ヴァリューシャ;; 助けておくれ……;;
どうせ私なんて串カツ以下の三度漬けだよ。いや、どうせ三度じゃ済まないんだ。ユリーカ君は絶対に許さない……」
滂沱の涙を流して遺言を述べるマリアを、
「とらぁ( ╹⋏╹)」
用心棒のとらぁ君がただ静かに見つめていた。(助けはしない)
世は全て事も無し。
大体好き放題やったから何れ事件は解決する、多分したのだろう。
イレギュラーズ(女子)の勇気が世界を救うと信じて!
YAMIDEITEI先生の次回作にご期待下さい!
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
YAMIDEITEIっす。
いやあ本当に素晴らしい話でしたね。
イレギュラーズの勇気が世界を救う所は涙なしには見られませんでした。
PPP、サイコー!(映画CM風)
一個だけ。
プレイングは字数一杯書いた方が良いです。
書かなくても私は困らないのですが、描写量や把握度がそれだけ減るので勿体ないかもです。
描写量は全体に対してプレイングの按分となりますのでそこはお勧めしておきます。
え? MVP? 一番エロかったからに決まってんだろ!
シナリオ、お疲れ様でした。
GMコメント
YAMIDEITEIっす。
大変な事件が起きました。(二回目)
このままではあなたの大切な○○が大ピンチです。
以下詳細。
●依頼達成条件
・えっちっちの消滅(何処かへ居なくなればOK)
●えっちっち2021
概念であり現象であり災害であり神意であるとされる陸スライム。
今回も巨大なスライムの姿で現れますが、本当の姿がそれであるとは限りません。
いちおー、これとたたかうのがいらいのもくてきです。
たいせつなだれかのためにがんばってください。
尚、どんな敵なのだかは遭遇戦が起きるまで誰も知りません。
起きて一番手が餌になったら気付くでしょう。
えっちっち2021の特徴は以下。
・男に対しての攻撃力が百倍になり、最初の章で雑に処理します。
・(外見が)若く綺麗なおねーちゃんが大好きです。
・十二歳以下の少女には倫理的、紳士的に行動します。
・女子のみ直接触れると心拍数が上がり、気分がどきどきして、身体が熱くなります。せりふ……が、んっ……ひらがなっぽくなり……きれ、ぎれだったりっ……といきまじりだったり……ちいさな『っ』とかさんてんりーだがたよ、うされたりするようになります……っ、ぁ……
・女子は出来たら薄着で来て下さい。有利になると聞きました。
・尚、不幸な事に参加者の過半数が男性PCだった場合、久々にキレちまったから屋上へ来い。
・気が済んだらどっかに行きます。済まないと行ってくれないので重要な依頼です。
以下攻撃方法等詳細。
・ももいろがす
・べっとり
・にゅるにゅる
・ほしょく
・EX 串揚げが食べたくて2021~winter~
●ロケーション
何か気密性の高めな洞窟の奥深く。
動き回ったりは出来ますが、遭遇後退路は絶たれます(確定)
●情報精度
このシナリオの情報精度はZです。
そもそもあなたは状況を勘違いしています。
あなたは大切な○○(人やモノを入れてね)の一大危機と勘違いしています。
絶妙にコントですれ違った結果、ユリーカはそれを訂正していません。
つまり勇んで行ってから現場で絶望に出会って下さい。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らず社会的に死亡判定が有り得たり、そこそこ愉快なトラウマを負ったり(女子)、そこそこ理不尽な暴力を受けたり(男子)する場合があります。
全年齢ですし、粗雑極まりない(多分)男子の扱いも含め、面白おかしく草生やせるリプレイを書く所存ですが、今回はその辺仕様と言わざるを得ないので、予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
たかし、おかあさんがんばったよ。
以上、宜しければご参加下さいませませ。
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