PandoraPartyProject

シナリオ詳細

夢色エスコート・ナイト

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 男と女が夜ごと駆け引きをし、札束が飛び交う夜の街。
 年季の入った雑居ビルの、これまた年季の入って停止が粗いエレベーターを降りた先に『Club NaiNai』は在った。
 廊下には『卒業祝』『玲音』と書かれ、金髪の男が不敵に微笑んだ写真付きのボードが飾られ、『LEON』の文字型バルーンが付いたスタンド花がひしめき合っていて。
 扉の向こうでは、数多の女を喜ばせ、泣かせ、金の雨を降らせた一人の男がこの街から羽ばたこうとしていた。
 
「玲音サァン! 俺ら玲音さんが居なくなったらどうすりゃいいんですか!」
「あ? その時はお前がナンバーワンになって店引っ張ればいいだろ」
 後輩だろうか、若いスーツの男が酒も入って泣き上戸に玲音に絡むのを軽くいなす。
 広くはない店内の中央には、天井に届かん高さのグラスが積み上げられ、それをシャンパンが満たし――今宵を以ってこの店を離れる不動のトップの為、客、同僚、そして他店の男達までもが集っていた。
「一人で寂しくしてた?」
「別に。私はいいから他に挨拶して来れば?」
 店の奥、定位置である角席に座っていたのは馴染みの客。何度か喧嘩もし、時には商売道具の顔も叩かれた。そもそも金が介在した仲ではあったが――確かに彼女は、戦友だった。
「今日くらい言えよ『此処に居て』って」
「そんなかわいい女じゃないの、知ってるくせに」
 最後まで意地っ張りな『お姫様』の頭を手荒く撫でれば――ほら、すぐに頬を染め、かわいい顔をした。


 新たな年を迎えた、境界図書館。
 文字通り、混沌世界の内と外との境界の一角に在るこの場所は、夏の茹だる様な暑さも、冬の痺れる寒さも無関係で。
 その一角では、案内人であるシーニィ・ズィーニィがティーカップ片手に優雅に本を捲っていた。相も変わらず服と呼べるかすら判らない物で辛うじて見えてはいけない部分だけを隠した彼女は、マフラーにコートに手袋にと防寒した得意運命座標達へと目をやる。
 外では欠かせなかったそれらを脱ぐと、適温に保たれたこの室内ではしっとりと汗を掻いていたことに気付く。
「……紅茶はアイスティーの方がいいかしら?」
 その言葉に、汗を拭った得意運命座標達は頷くほかなかった。

「で、これ。今回の行先」
 からん、と空になったグラスの中で氷が音を立てる。シーニィが開いた本を覗けば、そこに並んでいたのは、髪型をばっちりキメたスーツ姿の男、男、男。
 No.1と書かれていた金髪の男は、他の男より年齢は上だろうか。自信ありげに微笑むその顔は、何処かで――特にローレットでよく見る男に似ている気がするのはさておき。
 そして最後の頁には『キャスト募集』と書かれた求人広告が掲載されていた。
「体験入店できるみたい。行ってらっしゃい」
 シーニィ曰く、女性だろうが子供だろうが四つ足だろうがアリ、らしい。あれよあれよと準備が整って――

「〇番テーブル、ご指名入りまぁす!」

 後はもう、一夜の夢を見せるしかない。

NMコメント

●目標
 お姫様(客)達を楽しませる

●舞台・設定
 再現性東京によく似た都会。
 その雑居ビルにあるホストクラブ『Club NaiNai』です。
 規模は大きくなく、卓数は10卓未満。
 端に小さなお立ち台があり、その日一番の売上を叩き出したホストが閉店時に一曲歌うのが通例です。
 皆さんはお客様が手にした顔写真のアルバムで「何となく」と選ばれ席に着きます。

●お客様
・手練れちゃん(財力:S)
 OPの彼女です。玲音が辞めたことでお金を持て余しています。
 口は悪いですが、実は玲音が居なくなり寂しい思いをしているかも?
 玲音は人気者で口が軽い男ですが、女心を弄ぶのが上手かったようです。まるでどこかのギルドマスターのようだなあ!

・初回ちゃん(財力:C)
 友達(財力:A)に連れられて来店しました。
 友達は自分の指名したホストといちゃついていて手持無沙汰です。
 緊張しているので、いかにもなお姫様扱いをしているとよいかもしれません。

・担当被りちゃん(財力:A)
 初回ちゃんの友達と指名が被っており、ライバル意識満開です。
 今夜は憂さ晴らしに飲んで騒いでぱーっと賑やかにやりたいようです。
 ゲームや馬鹿話など、友達感覚で接するとよいでしょう。

・お疲れOLちゃん(財力:B)
 気が付けばネオンに吸い寄せられていたようです。
 それはもう死んだ顔をしており、ため息ばかり。
 優しく接したり、特技で癒してあげるのがおすすめ。

・毛皮マダム(財力:SS)
 とにかくお金持ちな謎のマダムです。
 ヨイショしたり自分の悲しい身の上話(捏造でも)をしたり甘えたり、とにかくマダムの母性をくすぐりましょう。

 その他、いそうだなと思うお客様はきっといます。
 こんな子を接客したい! という希望があれば、自由にどうぞ。

●メニュー
・ドリンク
 基本料金込み:焼酎(水・お茶・ソフトドリンク割)
 お手頃:ビール、カクテル
 そこそこ:ウィスキー、日本酒
 値が張る:シャンパン、ブランデー
・フード
 スナック盛り、フルーツ盛りetc

●その他
 女子も男子ももれなくホストです。女子も男装です。人外も普通に受け入れられるのでご安心を。
 本名でもいいですが、それっぽい源氏名を名乗るのも楽しいかもしれませんね。

 また、ちょっとした困りごとはボーイに頼めばなんとかなります。
 お客様の財布の事は気にせずに。彼女達は一夜の夢を見たいのですから!
 その他ありそうなもの、イベント等はご自由に。ただし戦闘と年齢制限がかかる展開はご法度です。

●サンプルプレイング
 よっしゃ、オレは初回ちゃんの接客!
「ご指名ありがとうございます、お姫様……今宵は俺、宇宙銀河・翼が楽しませるよ」
 うーわ、サムっ。首元痒くなる! けど王子様?っぽく手を取るぞ。
 緊張ほぐすように好きなものは? とか話してみるかな。
 初回だし無茶しないでなんて言うけど、途中で折角だしシャンパンコールやってみないか誘ってみる!

 また、ライブノベルは成功が確約されております。
 こんなことしてみたい、このスキルでこんなことできないかな、と自由にプレイングをかけてみてくださいね。
 それでは、ご参加お待ちしております。

  • 夢色エスコート・ナイト完了
  • NM名飯酒盃おさけ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年02月02日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (4人)

咲々宮 幻介(p3p001387)
傷跡を分かつ
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
金獅子
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
黒狼の勇者

リプレイ


「手筈は作戦通りに。頼むぞ、皆」
「わーってるよべーやん……じゃなくて」
「リーデルだ。忘れるなよ、CHIHIRO」
『黒狼領主』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の声に、ティアドロップのサングラスをずらし舌を出す『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)。
「ヴァンは随分やる気だな。まぁ、俺もやるだけやってみるさ」
「む? 何だ幻。卿も立派な夜の男だ、胸を張るがよい」
 息巻く『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)が『血道は決意とありて』咲々宮 幻介(p3p001387)の襟元を正した。


(フッ、ここが俺が輝く店……初めて来たけどいいトコじゃねえの)
「CHIHIROさん! 俺らOLさんもてなしとくっす!」
「派手にかましてきてください!」
 一瞬で打ち解けた舎弟二人に場を繋ぐよう託し、手持ち無沙汰となった女性の元へ。
「ヘイヘイお嬢ちゃん!」
「うわ、何そのサングラス……ダサっ」
「ウッ」
 すごすごとサングラスを外す千尋だが、頭の片隅に聞こえる誰かの叱咤に気を取り直す。
「お目当ての奴はいなかったかも知れねえけど、俺達全員でおもてなしさせて貰うからよ! 折角だからド派手に飲んでド派手に楽しんでくれ!」
 それで次は、俺を指名してくれよな――ベタなウィンクをひとつ。
「何それ、古すぎるでしょ」
 そう言いながらも、彼女の眉間の皺は消えていた。

「ご指名ありがとうございます、CHIHIROでフゥワッ!」
「「フゥワッ!」」
 舎弟の合いの手に乗り疲れた顔のOLの元へやって来た千尋だが、彼女は力なく微笑むのみ。
 千尋は手で舎弟を軽く払うと、「なあ」と彼女に小さく声を掛ける。
「ここは現実じゃねえ楽園……なんでも俺に話してスッキリしちまいな。 そろそろバレンタインってやつだ、甘く蕩ける一時を提供しちゃうぜ?」
「なら、愚痴も聞いてくれる?」
 おずおずと向き直る彼女に、千尋は彼女の話に耳を傾け始める。


「やぁ、何だか手持ち無沙汰な感じだけど……大丈夫?」
 幻介は、初めてらしい彼女の元へ。
「じゃあ、目一杯楽しんでいって貰わなきゃな」
 隣に失礼してもいいか――その問いに、小さな肯定が返された。

「大丈夫か? 落ち着かない?」
 普段の浪人口調を封じ話す幻介は、友人が見れば「悪い酒でも飲んだのか」と言われかねないが――姉という最強の女人を相手した経験ゆえか、女心の扱いは長けたもの。
「安心しなよ、取って食う訳じゃないからさ。ほら、リラックス、リラックス」
 そっと背中に触れれば、びくりと彼女の肩が震える。
「……そういう所も可愛らしいな」
 思わず顔を赤くする彼女の前に、片膝を付き幻介は微笑みその手を取る。
「今宵は俺『幻』が、夢の一時をプレゼントさせて貰うぜ。楽しんでってくれよな、お嬢さん」
 今度返ってきた「はい」は、先程よりずっと軽やかな声だった。

「と、ちょっとごめんな」
 ヘルプに入ってくるのだと告げ、また少し不安気に揺れる瞳。
「すぐ戻って来るけど、寂しくなったら呼んでくれよな」
 懐から出した名刺を滑らせ、幻介は千尋と交代で担当被りの卓に付く。
「お姉さん、どうしたの?」
 聞けば担当が幻介の居た卓につきっきりなのだと、棘交じりに返されて。
「ごめんな、寂しくさせちまってよ」
 その代わりに、俺達のサービスと気持ちを込めて――甘いチョコレートを渡す。
「たまには、こういう立場の逆転っていうのもいいんじゃねえかなってよ?」
「……ありがと」
 そうしてしばらく盛り上げた幻介は、そっと元の卓へと戻る。
「ごめんな、待たせちまって」
「い、いえ! すごいなあって見てました」
「呼んでくれてよかったのに。お詫びって訳じゃねえけど……」
 これ、貰ってくれねえかな――片目で見た彼女は、それはもう赤くなっていた。


「ご指名感謝します。初めまして、姫君」
 フロアの最奥、VIPルームのカーテンを開け恭しく頭を垂れるベネディクト。毛皮のコートを羽織る女性は、その所作に「あら」と満足気な声を零す。
「本日、貴女の側に控えさせて頂きます、『リーベル』です──お隣、失礼させて頂きます」
 頭を上げ、真っ直ぐに瞳を見据えながら微笑む彼は、一瞬で心の懐へと滑り込む。
「素敵なお召し物でいらっしゃいますね。とてもお似合いです」
 一つの領地を治め、貴族として生きるベネディクトであるからこそ、彼女が着けた装飾品の価値も、所作から滲み出る階級の高さも解る。それ故に、彼女を称賛する言葉に一つの嘘も交じらない。
「姫君はご自身の魅力を十二分にご理解されている様子。貴女自身の研鑽の賜物なのでしょうか──姫君ほど磨かれた宝石はそうと無いでしょう。とても美しく在られる」
 持ち上げ、金蔓にしようとする男に辟易していた彼女。おべっかでもお世辞でもない言葉と、蒼き瞳は難攻不落の牙城を崩し――
「貴方、気に入ったわ。今日は何でも好きなものを頼みなさい。一番高い物でも」
「ありがたき幸せです、姫君。では……姫君と同じ物を一つ、宜しいでしょうか」
 貴女が飲んでいるからでしょうか、とても美味しそうで。そう付け足せば、マダムは満足そうに微笑んだ。

「本日は感謝致します、姫君。今日という日の出会いの印にこれを」
 仕事がある、と名残惜しそうに切り上げるマダムを見送る間際。ベネディクトは小さな包みをひとつ手渡す。
「今一度、貴女の笑顔を見る機会を与えて頂ければ幸いと存じます」
「ええ、リーデル。呼んだらいつでも駆けつけて頂戴ね」
 去っていくマダムが見えなくなるまで、ベネディクトは彼女の姿を見送っていた。


「あ、来た」
 慣れた手つきでここ、と指す女性の隣へ、軽やかに腰掛けるベルフラウ。
「今宵、君の手を取らせて貰う……ヴァン、と呼んでくれ」
 流れるように彼女の手を取り、もう片手は自身の胸元へ。薔薇の香りを漂わせ、ベルフラウはふ、と目線を逸らす。
「今日はやけに冷えると思ったら、雪が降っているようだ」
「雪? ここは降ってないはずだけど」
 怪訝そうな彼女に「天気の話じゃあないさ」と返し、ここさ、と彼女の胸元を指す。
「女だからって――っ!」
 続けかけた言葉は、握られた手に力を籠めたことで遮られる。
「吐き出すお相手が女では不服かな?」
 それでも、とベルフラウは目を見て告げる。
「君の中に振る雪を止めて良いのが男の特権だなどとは、したくない」
 だから、全てを話し、君の心を晴らしたいのだと――薔薇の香りで彼女の心を解きはじめる。

「そうか……玲音は此処で出会った事を後悔しているだろうな」
 彼女が語ったのは、元の担当だった男との喧嘩や、失敗のこと。それでもその顔は、思い出を慈しんでいて。
「後悔してる、かもね」
「ああ――そしてそれは、私も同じだ」
 ぱちくりと睫毛を瞬かせ、こちらを見つめる瞳に、ベルフラウはくすりと微笑みその意を説く。
 月のある内にしか飛べない渡り鳥の私達では、美しい花の蜜の味を知る事は叶わない――それが残念で仕方ないのだと。
「お分かり頂けるかな? 我が花よ」
 繋いだままの手を、薔薇の香りを纏う胸元へと引き寄せる。
「こんなに胸が苦しいのは君の所為だ。だからせめて、今宵は――私の事を独り占め、して貰えるね?」
「何それ、古い口説き文句……でも、嫌いじゃない」
「それならよかった……と、少し席を外させて貰おう」
 この願いを叶えてくれるなら、呼んでほしい。すべてを置いて駆けつけるから――そう告げて、手の甲に唇を落とす。
 握られたままだった手には、薔薇の残り香。

「嗚呼、成程。指名が被ってしまったのか……」
 ヘルプに入った先のベルフラウも、見事なまでに彼女をもてなしていて。
「安心して、今からこの店で君を誰よりも楽しませてあげるから」
 そう耳元で呟き、ゲームをしようと持ち掛ければ――指名だと、声がかけられた。

「約束通り、駆けつけただろう?」
「いいの? あの卓は」
「ああ、あちらは大丈夫。私の信頼する騎士が向かったさ」
 だから、と差し伸べたのは二輪のチョコレート色の薔薇。
「改めて自己紹介を……ヴァン、君を酔わすVin(ワイン)。それが私の名前だ」
 ワインに、薔薇に、チョコに――蕩ける夜は、これから。


「はいシャンパン入りまーーーす!」
 店内に響き渡るアナウンス。
 担当被りの彼女に付いたベネディクトがその声の主に目をやれば――すっかり愚痴を通じて意気投合した千尋とOLが、肩を組みボトルを掲げていた。
 指を鳴らすと同時に、賑やかな音楽が響く。
「姫君、シャンパンコールがある様なので、良かったら参加してみませんか?」
「なんかあのダササングラスに任せるのヤバそう。いいよ、リーデルも付き合って」
「勿論」
 本来ならば、この瞬間すら姫達にとっては欲望と、戦いの瞬間なのかもしれない。それでも不思議とこの夜、この瞬間は店が一つになっていた。
「行くぞテメーーーーらァ!」
 千尋の掛け声に、ホストも姫も拳を上げて――

~『Club NaiNai』シャンパンコール(ご唱和ください)~
 千:Welcome姫様!
 全:Thank you姫様!

 千:ここはNaiNai
 全:(寂しさ無い無い!)

 千:我らはホスト
 幻:飲むのが仕事
 ベル:決して吐かない
 ベネ:弱音は吐かない

 千:ここはNaiNai
 全:(吐かない吐かない!)

 ベル:姫に希望を
 ベネ:明日の希望を
 幻:与えてニッコリ
 千:元気モリモリ

 千:ここはNaiNai
 全:(悲しさ無い無い!)

 全:ぐーっとぐっとぐっと!(3回)ハイハイハイハイ!!!

(ここで姫の一言)

 全:ごちそうさまでしたー!!


 その後しばらくの間、彼らが境界図書館に足を運ぶ度。
『Club NaiNai』のアルバムが、輝き出したという話がある。
 きっとそれは、今宵も彼等を指名する姫の声。

成否

成功

状態異常

なし

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