シナリオ詳細
PPPダービー 第一回皐月杯(犬・猫・豚)
オープニング
●
新緑の風吹き渡るさわやかなある日、1人の貴族が国王フォルデルマン三世に対して反乱を起こしたが捕らえられ、領地と爵位を没収されて死んだ。これはのちに、『幻想蜂起』と呼ばれる幻想国全土で起こった暴動のうちの一話だ。
この事件には後日談がある。
国王フォルデルマン三世はこの貴族が所有していた各レース場を、『幻想蜂起』鎮圧の細やかな礼として、ローレット――イレギュラーズたちに奇妙な体型の管理人とともに賜下されたのである。
無事、幻想楽団『シルク・ド・マントゥール』の一派を殲滅した祝いに、ここでイレギュラーズたちと幻想国国民の友好を深めるイベントを開催してはどうだろうか。
若き国王のお言葉に対してレオンは、「それでは一度やってみましょう」と頭を垂れ、その場を辞した。
かくして――。
●
「パンパカ、パ~ン♪」
突如、ローレットに鳴り響くファイファーレ。
イレギュラーズたちが何事かと振り返ると、ギルドの片隅で卵のような奇妙な体型をした男が声をあげていた。
「――というわけで、第一回ローレット皐月杯を行うことになりました! 馬、犬、猫、その他もろもろ、飼い主さんのエントリーをお待ちしております!」
詳細は張り紙を見てください、と男は勝手に壁にポスターを張り、その前に机を立てた。卓上に羽ペンと、『受付』と書かれた紙製の三角錐を置いて机を離れ、満足げにうんうんと頷いている。
そして、突然、くるりと後ろをふりかえり――。
「そこの貴方。そう、そこの貴方です。もし馬を飼っているならどうです、レースに出てみませんか?」
卵男は近くにいたイレギュラーズにかたっぱしから声をかけ始めた。
「ささやかではありますが、参加者全員に賞金が出ますよ! もちろん、優勝と準優勝には別途、入賞賞金が用意されています」
賞金は、当日に購入された『賭け券』の儲けから運営費を差し引いて、分配するのだという。
そういうことならやってみるか、とエントリー用紙に記入するイレギュラーズが現れた。
「そうそう、ご挨拶がまだでしたね。わたくし、ローレット競技場の管理運営責任者のダンプPと申します。お気軽にPちゃんとお呼びください」
この催しが好評であれば、他の種目での開催も検討することになっている。海や空のレースや、バイクなどの乗り物を使ってのレースなどなど。あくまで計画でしかないのだが……。
「そーなんですよ。評判が悪ければ残念無念、今回限り……なので、みなさんこぞってご参加くださいませませ!」
- PPPダービー 第一回皐月杯(犬・猫・豚)完了
- GM名そうすけ
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年07月21日 22時00分
- 参加人数10/10人
- 相談10日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●
<「おはようございます。第一回PPP皐月杯、リトルフレンズ部門……リトルフレンズ部門という名称は、いまわたくしハンプPが勝手に作りました」>
卵のような体をした男の横で、探求都市国家アデプトから呼んだ競馬番組のスタッフがあわただしく動いていた。
『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)は賑やかに鳴く猫たちに囲まれて、レースに出る茶トラの猫、ティタンジェに優しくブラシを当てていた。
「あ、どこに行くの?」
ティタンジェはクラリーチェの膝から降りると、黒猫を腕に抱いく『トワイライト・ウォーカー』リア・ライム(p3p000289)に駆け寄った。
「駄目みたい」
「そうですか。見られるのは、やはり練達だけなんですね」
「ええ。残念ねえ、アストール」
アストールを芝の上に降ろしてやると、足元でティタンジェとじゃれあいだした。
そこへもう一匹、ねこじゃらしをくわえた黒猫がきて、追いかけっこが始まった。
「リュグニャー、レース前にバテてしまうぞ――って、聞いておらんな」
しょうのないヤツだ、と愛情のこもった溜息をついたのは『正直な嘘つき者』リュグナー(p3p000614)だ。
「ま、準備運動と思えば……。それにしてもいい走りだ。優勝間違いなしだな」
「気の早い人。勝負は水物、やってみんとわかりまへんえ」
白地に6と書かれたゼッケンを手にして、『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)が黒猫の稟花としゃなりしゃなりとやってきた。
後ろに『森アザラシと魂無き犬獣人』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)を抱きかかえた犬獣人のグリュックの姿も見える。
「さっきのお話しですけど、ディスクを買うて後で見たらええんちゃいますか。たぶん、作って売りはりますやろ」
「『でぃすく』ってなにキュ?」
レーゲンは首を曲げた。同じくグリュックも首を曲げる。ふたりはまさしく一心同体なのだ。
それはそうと、森アザラシの幼体であるレーゲンの首は胴との境目が判りにくい。首にバンダナが巻かれていなければ、グリュックの腕の中で体ごと傾けて見えただろう。
「なに、と聞かれましてもなぁ、うち……うまいこと説明できしまへん。かんにんして」
リュグナーが横から助け船を出す。
「ディスクとは円盤型の記憶媒体のことだ。プレーヤーがあれば、動画などディスクに記憶させたデータを再生して見ることができる」
「円盤……投げるキュ?」
「投げない」
『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)が空から降りて来た。タッタッタッ、と芝を飛び跳ねながら小さな柴犬が主人目指して駆けてくる。
「仕組みとか、実際に見ながら説明を聞かないと分らないと思うよ。あ、でも、円盤投げいいよね。ヴィンターか喜びそう!」
尻尾を千切れんばかりに振ってニーニアの足に飛び掛かった豆柴が、自分の名に反応してワンと吼えた。
「よし! ヴィンター楽しんでおいで! ほらほら、ご褒美のソーセージもちゃんと用意してるよ~」
『もりのくまさん』カナメ・ベアバレー(p3p005191)がやってきて、挨拶代りに両手を上げた。
「がおー」
横で犬の熊が立ち上がり、前足をあげる。
「(「・(ェ)・)「がおー」
熊はポメラニアンとプードルのミックス犬だ。口の端に鮭の切り身がぶら下がっているのはご愛敬。
「カナメたちも円盤投げするー。みんな喜ぶぜ」
「さあ、それはどうかな」
冷めた声を放ったのは『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)だ。長い耳を不機嫌そうに横に寝かせ、しきりに額に浮いた汗を白いハンカチでぬぐっている。
「最初に言っておくと、《こま》は僕のペットじゃないからね。彼は僕の友人で、人に気安くまつろわぬ気高くニヒルなハードボイルド野良猫なんだ」
ルフナの数少ない友人こまは、野良のハチワレ猫だ。いま、こまの姿はどこにも見当たらないが、常日頃から神出鬼没な猫ゆえにルフナはまったく気にしていない。始まる直前に、ふらっと現れるだろう。
……にしても暑い。
ルフナは雲一つない夏空を見上げた。
「ボクは遠慮しておこうかな。夢中で追いかけているうちに、この角でグサァッてみんなを傷つけちゃうかもしれないからね! あ、大丈夫だよー。レース中は先っぽにカバーつけておくからねー」
『兎に角』オカカ(p3p004593)がニンジンをぽりぽり食べながら言う。
「それより誰か、ボクとクロエがゼッケンつけるのを手伝ってよー。ボクが8番でクロエが9番ね」
「カナメがつけてあげよーか?」
「お願いー。角にカバーもつけてくれる?」
クロエ(p3p005161)は順番を待ちながら、ふわりとあくびを漏らした。コースに運ばれてきたゲートと、その向こうを走る猫たちの集団をぼんやりと見る。
(「犬ならわかるが猫のレースとは変わった事を考える者がいるものだ。真面目に走りきるのがいるか疑わしいが……まあ、スキルで意思疎通できるのならば問題ないのか」)
かく思うクロエの見た目は黒猫だ。混沌にやって来たときには、とっくに化生して化け猫になっていたのだが、黙っていれば見分けがつかない。
(「ま、なんにせよ真面目にレースするとしよう」)
スタッフが笛を鳴らして、レースの準備が整ったことを告げた。
●
<「各選手ゲートに収まっていきます。急いでご紹介してまいりましょう。
1枠はティタンジェ。キラキラはじけるシャンパンゴールドの瞳がチャームポイントの茶トラです。
2枠、アストール。ダンサー顔負けの情熱的なステップを踏むとか。黒猫。
3枠、リュグニャー。黒猫のかぎ尻尾は果たして幸運を呼ぶ鍵なのか。……ん?
なんでしょう、スタッフとリュグナーが揉めているようですね。え、乙女のパンツ?! おやつに……最高のご褒美って……。あ、特別に今回は認められたようです。しかし、危険ですね。情報屋であれば例の話を知らないわけではないでしょうに……。
さて、気を取り直して紹介を続けます。
4枠、レーゲン。森アザラシという神獣……ウォーカーです。砂と草の波をどのように泳いでみせるのか。
5枠はヴィンターくん、元気な豆柴の男の子。ニーニアとおそろいの帽子、首元には赤いスカーフを巻いて走ります。
6枠、稟花ちゃん。おっとりとした雰囲気のお嬢黒猫。瑠璃色の瞳が知的ですね。
7枠は野良のハチワレ猫のこまくんです。神出鬼没、いつのまにかゲートの中に納まっていました。
8枠、ウォーカーのオカカ。角の生えた兎型モンスター「ホーンラビット」です。本日は「勇者殺し」の立派な角を封じての出走です。
9枠、またまた黒猫。ウォーカーのクロエ。自慢は何といっても夜空を写し取ったかのようなしっとりと輝く毛並です。思わずナデナデしたくなりますね。
10枠は熊……カナメと絆を深めていくうちに、自分の事を熊だと思い込んだのだとか。
いや~、みんな可愛いですね。あ、いま旗が上がりました。ゲートオープンです!」>
●
「おたがいケガとかないように楽しもうぜーぃ」
カナメの前を、はちが颯爽と駆けていった。リュグニャーがすぐ後を追いかける。並んで2番手はおっとりお嬢さんの稟花。猫が3匹続いて、犬の熊が続く。
「怪我しないように、楽しく頑張ってきてくださいね」
クラリーチェがティタンジェに声をかける。現在4番手。一緒に連れてきてもらった猫たちも、ニャアニャアと走る仲間に声援を送った。
(「私の言う事は大体理解してくれている賢い子ですが、こういうレースだとちゃんと走ってくれるでしょうか……。興味あるものに惹かれてコースアウトしないかちょっと心配です……」)
ティタンジェは飼っている5匹のうちで一番すばしっこい子だ。ただ、スピードを出しすぎて、コーナーを曲れないかも――。
カバンの中身に気付いた猫たちが、手や顔を突っ込んで中を漁りだした。
「あ、ちょ? これは貴方たちのぶんもありますが、まだあげられないですよ? あわわ……蜻蛉さん、お先に移動します」
クラリーチェは慌てて鞄を抱えると、第4コーナーに向かった。
ヴィンターはティタンジェに付き添うように走っていた。
アストールは、ストレート後半で5番から3番にあがった。
(「どうしてギフトを使っちゃダメなのかなー? ……つかわないよー、つかわないけど……」)
オカカは考え事をしていて、ゲートを出るのが遅れてしまった。
「みんな、待ってー!」
このレースに勝ったら、賞金で農家直送販売の新鮮なにんじん買い占めるんだ……なんてフラグを立てるから。
「いっくぞー、ネコやイヌなんかに負けないからねー!」
いざとなれば、角にかぶせたカバーが事故で取れてしまっても仕方がない。
「じまんの逃げ足を使うためにも、だね! アクシデントは仕方ないねー」
可愛いなりして、あな、おそろしや。さすが勇者殺し……。
はずむオカカのおしりを見ながら、クロエは思った。
(「真面目に……か。うーん」)
暑い。横から飛んでくる草をかわすことすら面倒だな。
レーゲンはバッタバッタと前足で草を叩きながら進む。バタフライ走法だ。前足で掻くたびに5本の鋭い爪が草を刈りとって、水しぶきのごとく左右に飛ばす。
(「……レーさんはいつもグリュックに抱いてもらって移動してるけど、自分一人だけでも移動できることを、もう傍にはいないグリュックの魂に、このレースで証明するっキュ!」)
レーゲンの第一目標は完走。なにせ同じサイズの子達とのかけっこも初めてのことなら、自力で走ることも初めて故。
(「全力っキュ! 頑張って最後まで走れたら、グリュックにまめだいふくをアーンしてもらうっキュ!」)
ご褒美のおやつはさぞ美味しい事だろう。 第1ストレートの後半、急な下り坂に差し掛かるとレーゲンは体を横にして転がり始めた。
「グリュックが生前くれたバンダナが汚れても、今日だけは気にしないっキュ!」
届けその思い。がんばれ、レーゲン!
●
<「先頭はリュグニャー! 後続集団がほぼ固まって仲良くコーナーを曲がっていきます」>
熊が小さな足をちょこまか動かして器用に第二コーナーを曲がり、アストールを抜いて3番手にあがった。
翠色の綺麗なリボンを風にたなびかせ、稟花が坂を駆けのぼる。
「りんちゃん、頑張りやー」
蜻蛉はレースにのめり込むあまり、つい化け猫の姿に戻りそうになった。
(「あぶない、あぶない。きぃつけんと……」)
それにしても稟花はなんと美しいフォルムで走るのだろう。膝の上で丸くなっている姿からは想像できないほど、ダイナミックに体を動かしている。
(「入賞したら嬉しいわ。せやけど……一緒にお外へ出て、違う一面を見られただけでも……うちはそれだけで十分」)
蜻蛉はリアと肩を並べて、稟花たちに声援を送った。
一時は3位まで上がりながら、ヴィンターは第二コーナーで大きく順位を落とした。
ニーニアはあまりヴィンターの順位を気にしてない。「一緒に何かして仲を深める」のがレース参加の動機だ。しかし――。
(「上から応援っていいアイデアだと思ったんだけど……」)
びょん、ぴょん、びょん。
ヴィンターが三角の目を細めてつつ跳ねる。ニーニアに構ってほしいのだ。当然、顔が上を向いているのでまっすぐ進めない。ニーニアが先導しなければ、移動もまならなかった。
「気をつけて。オカカたちを踏んづけないでね」
ぷすー、ぷすーと鼻から息を吹きだしながら、オカカはヴィンターの後ろに甘んじていた。
さっき角で刺すといったな。あれは嘘だ。だけど、勇者みたいに勝手に角の上に落ちてきた場合は不可抗力だよー。
危なっかしくて前に出られない、のはクロエも同様。いや、それよりも集団から遅れ出したレーゲンか気になってしょうがなかった。
●
<「ここからの直線は陽炎に揺らぐ砂の海! リュグニャーが勝利への足跡を印していきます。残された印をたどりはちが行く!」>
カナメの前を二匹の猫が走りすぎる。
「すごいなー。その調子でがんばれよー」
ほんの少し遅れて、熊が集団の先頭を引っ張って来た。もふもふの毛が早くも砂だらけだ。
「頑張ったらもっと沢山、鮭食べさせてあげるから頑張れなー?」
鮭と聞いて熊は俄然張り切りだした。自分のことを熊だと信じて疑わない熊は、犬だが鮭が大好きなのだ。
山で鍛えているだけに、上り下りは得意。がんばるぞー、と熊は口を開けたが、出てきたのは吠え声ではなく大量の涎だった。
「みんなにもご馳走を用意しているぞー。塩分を押さえた料理とかケーキなー。おすすめはさつまいものプリンだぞー」
カナメの応援に元気をもらったのは、走る選手よりも応援していた方かも。
クラリーチェはティタンジェが4位で直線を抜けると、さっそくカナメにメニューを聞いた。
青空に「ブエノスアイレスの夏」が響き渡る。
「アストール、頑張って!」
タンゴの名曲を聴いてテンションが上がったアストールは、ほかの選手の間を巧みに抜けながら、踊るように坂を駆け上がっていく。
「いけー、アストール!!」
リアもアストールの走り、いや踊りに応えて激しくバンドを引き、情熱的にボタンを押す。扇動的にバンドを押し振るわせて音にビブラートをかければ、アストールの体が坂の頂上で大きく伸びあった。
リアの目にはアストールが獲物を狙う黒豹のように見えた。
(「いや~、ここのコーナー、登り気味で砂でりんちゃん登り辛そうやわ……」)
こっちこっち、と蜻蛉が自分の膝をポンポン叩く。好物「ツナクッキー」で、足を止めかけている稟花を励ました。
「頑張れ! ここ越えたら楽になるから! ソーセージも待ってるよ!」
ニーニアもソーセージをカバンから取り出して、上空からヴィンターを元気づける。
オカカ、クロエ、レーゲンがほぼ固まって走っていった。
ほかの者たちが奇声を上げて応援するなか、ルフナはいたって冷静にレースを観戦していた。これまでは。
(「いや、いくら《こま》でも衆人環視がある中で催しても粗相なんかしないだろうけどさ」)
砂の坂道を登っていく友だちのはちを、内心ではハラハラしながら見守る。手に握りしめた死刑レースのハンカチがクシャクシャだ。繊細なレースから、一滴、汗が渇いた砂の上に落ちた。
大丈夫。レース前にちゃんとした。はちも、ついでに自分も。いまのところ、ほかの選手たちも大丈夫。だが、猫や犬を走らせるレースで砂場を用意するなんて開催者は何を考えているのか。
(「でも、よしんば何かが出ちゃったとしても、それはお花とか宝石とか、そういうキラキラした何かだからね、勘違いしないでよねっ?!」)
ルフナはさらに強く腕を組んだ。ちょっとはちの足がフラフラしているように見える。あれ、はちが……黒白ハチワレ猫なのに、黒猫と白猫に分裂しちゃった?
気がつくとカナメのふあふあした腕の中に倒れていた。ばしゃばしゃと上から水をかけられる。
「大丈夫かしっかりしろー」
「だ、大丈夫。最後まで友だちの走りを見届けるよ」
大きなカナメの影に入れてもらいながら、ルフナは観戦を続けた。
蜻蛉とおしゃべりしながら、クラリーチェがささみジャーキーを振る。その横ではリアがバンドネオンを演奏し続けている。
ヴィンターとニンジンをかじるオカカがピョンピョン跳びながら通過、クロエ、レーゲンと続いた。
●
(「そもそも柔らかな肉球のある生き物は長距離走に向かぬ」)
最終ストレート後半。クロエはすっかりレースをあきらめていた。出走選手というより、落伍者や怪我人を出さないように気を配るスタッフの一人になって走る気分だ。
(「人もスプリンターとマラソンランナーでは走り方もつく筋肉も違うというしな。とにかく何が言いたいかと言うと短距離ならばネコ科は強い、という事だ」)
つぎのレースが企画されたら小動物、とくにネコ科は短距離で、と提言しよう。レース後、みんなと歓談しながら話してもいいな。動物たちもきっと賛成してくれるはずだ。
「さて、ゴールで『あじのひらき』が私をまっている。レーゲン、ムリはするな。魂がないとはいえ、グリュックが悲しむ顔は見たくないぞ」
では、とクロエはゴールで待つご褒美めがけて猫まっしぐらした。
夏空に白い軌跡を描いて乙女のパンツが飛び回る。
ゴール付近でリュグナーは全力で乙女のパンツを振り回した。
闇市で取り扱っていた最高級のスイーツと称し、無理やり認めさせた乙女のパンツをブンブン音をたてて振り回す。
背後では、次のレースに出場する選手が美味しい草を量産し、カナメがルフナに手伝ってもらいながら立食パーティーの準備。リアが演奏する曲に乗せて蜻蛉とクラリーチェがお帰りなさいのダンスを踊っていた。
カオスな光景を横目に、リュグニャーがゴール目指して走っていく。
<「ゴール! 1位優勝はリュグニャーだ! 乙女のパンツ、おそるべしーー!」>
最後に、次の馬レース観戦客の中に、かの大貴族・暗殺令嬢に使える者が多数来ていたことをお知らせしておこう。
「……なに、食わぬのか? 最高級スイーツ、乙女のパンツだぞ。どうした、腹が空いておらぬのか?」
ふむ……何処かで拾い食いでもしたか。
リュグニャーの前で首をひねるリュグナーの上に、濃い影が落ちた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
レース結果は以下の通り。
優勝 リュグニャー
オーナー:『正直な嘘つき者』リュグナー(p3p000614)
【順位経過】2→1→1→1→1→1→1→1→1→1
準優勝 はち
オーナー:『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)
【順位経過】1→2→1→2→2→2→2→2→2→2
3位 熊
オーナー:『もりのくまさん』カナメ・ベアバレー(p3p005191)
【順位経過】3→3→2→4→3→3→3→3→3→3
4位 ティタンジェ
オーナー:『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
【順位経過】4→3→2→3→4→4→5→5→4→4
5位 アストール
オーナー:『トワイライト・ウォーカー』リア・ライム(p3p000289)
【順位経過】5→3→2→4→4→5→4→6→5→5
6位 稟花
オーナー:『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)
【順位経過】2→4→2→5→5→4→5→4→5→6
7位 ヴィンター
オーナー:『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)
【順位経過】4→3→3→6→6→6→6→6→6→7
8位 『兎に角』オカカ(p3p004593)
【順位経過】5→5→4→7→7→7→7→7→7→8
9位 クロエ(p3p005161)
【順位経過】6→6→5→8→8→8→8→8→8→9
10位 『森アザラシと魂無き犬獣人』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)
付き添い:犬獣人のグリュック
【順位経過】6→7→6→9→9→9→9→9→9→10
和気あいあいとしたとても楽しいレースでした。
参加してくださった方々に感謝を!
GMコメント
【!依頼内容】
・レースに出場し、楽しむ。
※『犬』『猫』または、元『犬』『猫』専用レースです。
※優勝号(とブリーダー)、準優勝号(とブリーダー)にはそれぞれ入賞の記念品が送られます。
【!エントリー条件 必読、要注意!】
・アイテム『犬』、『猫』、あるいはそれらが元となった生き物を所有していること。
・きちんと装備していること。または本人。
※アイテムに装備していない人は、出走前に失格となりレースに出られません。
失格理由はGMが勝手にでっち上げます。
ただし、本人が動物形態で出場の場合は装備なしでもOK。
※人が乗れない小動物で、ウサギ以上の大きさ(鳥不可)ならOK。
※式神使役、練達上位式、ウィズマスコットなどで作りだした小動物は不可とします。
※本人が走る場合は、必ず動物形態で!
※馬やロバ(と同体格の動物)は別のレースにご出場ください。
【!書式 必読、要注意!】
※書式が守られていない場合、ペットが勝手にコース外へ出て失格になります!!
・1行目:ひらがなまたはカタカナで、五文字以上、七文字以内のおやつ1つ
※リプレイではお菓子名は描写されません。
※ドリンク類は除外
例1)ホットケーキ
例2)いしやきいも
・2行目:奇数が好き/偶数が好き ……どちらかを選んでご記入ください。
・3行目:励ましポイント選択。1~10の数の中から1つだけ選んでください。
※ブリーダーに『動物疎通』スキルがあれば+2、なければ+1されます。
・4行目:どのシーンを描写して欲しいか。下記から選んでください。
1>ゲートオープンから第1ストレート前半 ……ゆるい上り坂、芝
2>第1ストレート後半 ……前1/3が急な下り坂、芝
3>第1コーナー ……フラット、芝
4>第2コーナー ……少し登り気味、芝
5>第2ストレート前半 ……フラット、砂
6>第2ストレート後半 ……後1/3が急な登り坂、砂
7>第4コーナー ……少し登り気味、砂
8>第5コーナー ……フラット、砂
9>最終ストレート前半 ……ゆるい上り坂、芝
※10、最終ストレート後半からゴールまでは描写指定できません。
※コースは『芝・砂混合』です。
・5行目:以下、自由記入。
ペット(友?)にかける声とか、ペットの容姿やチャームポイントとか、
なんでも自由にご記入ください。
同位・同着の場合、プレイングの文字数で判定します。
※他の選手たちにギフトや攻撃スキルを仕掛けてレースを妨害することはでません。
てか、やめましょう。やっちゃダメ。
やればもちろん失格です。
【プレイング記入例】
・ひまわのりたね
・奇数が好き
・5
・第2ストレート前半
しましまっちのチャームポイントは何といってもふっさふさのしっぽなのデス。思わずもふもふしたくなるのデス!
第2ストレート前半、しましまっちがゆるい登り坂のコーナーを登りきったら「ひまわりのタネ」が入った袋をちらつかせつつ。思いっきり褒めてあげるのデス!
「さすがなのです。しましまっちはリス界のサラブレッドなのデス!」
他のワンちゃんやネコちゃんなんかに絶対負けないのデス!
【!その他】
『犬』または『猫』のままだった場合は、単に番号で呼ばれます(悲)。
以上、よろしければ一緒にご参加くださいませ。
Tweet