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シナリオ詳細

パンプキン・リベンジャーズ!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「コノ前ハ酷イ目ニアッタゾ!」
「アイツラ、今度コソ思イ知ラセテヤル!」
 そう息巻いているのは、オレンジ色のカボチャをくりぬいた飾り物のカボチャ。先だって暴れ回っていたところをイレギュラーズ達活躍によって退治された、その残党である。
「今回ハ憎タラシイ『ツリー』ノ奴ラモ一緒ニ暴レテヤルゾ!」
 こそこそと飾り付けられたもみの木――クリスマスツリーの影で話し合うジャック・オー・ランタン達。
 突如その一本の木が巨体を揺さぶると、積もっていた雪がばさばさと足元に落ちた。
「む……村に残ってた奴から~星が光って~何か言ってるみたいだ~」
 枝を撓らせて、天辺の星をちかちかと瞬かせると、彼らは会話を終えて「ふ~む、なるほどね~」と頷くように曲がった。
「デ、ソイツハ何ト言ッテイル?」
「それがね~、新しい仲間が見つかったから~一緒に行くって~。
 えっとね~……」
 クリスマスツリーが発した名前に、ジャック達はほほう、と不敵に笑うのだった。
「ドウセナラ数ハ多イ方ガイイ! 食ベレナイカラト、食卓カラ遠ザケタ奴ラヲ赦スナー!」
 おー! とカンテラを掲げ、枝を寄せて士気を高め合う。
 こうして、お騒がせカボチャ達の復讐が幕を開けたのだった。


 ジャック・オー・ランタンの群れを退治したのが秋のこと。
 冬が訪れ、シャイネンナハトと年の瀬に向けて慌ただしく時間が過ぎ去っていく。そんな中のことだった。
 クルル・クラッセン(p3p009235)はふと思った。「ジャック・オー・ランタンが怪物化したのなら、クリスマスツリーが怪物化したりもするのかなー?」と。
 グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)は思い出した。「そういえば、冬至でもカボチャの出番があったな」と。
「というお二人の嫌な予感……虫の知らせが的中したようなのです」
 ユリーカ・ユリカは眉間に皺を寄せて、手元のメモ帳とにらめっこしていた。
「単に『そんなこともあったっけか』位のモンだったんだが」
 グリジオは依頼の後パンプキンパイとシチューを嫌というほど見た所為で、暫くは拝みたくないものの一つとなっていたのに。
「また片付けし忘れてたのかな?」
「ツリーに関してはそうみたいです。シャイネンナハトが終わったら、一週間後には年が明けるということもあって、ずるずるとほったらかしに……なんて事も」
「しかしそこにカボチャは飾らねェだろ」
「食べられるカボチャには役割があるんですってムキィー! って事みたいです。カボチャ軍団はその様なことを叫びながら現在村に向かってまっしぐら、です。
 ツリー達は一旦倉庫にしまわれたものの、そこで蜂起集会真っ最中。そして、そこでもう一つの勢力と出合ってしまったのです」
「まだ何かあったの」
 冬至の南瓜に嫉妬するカボチャ、片付けられないクリスマスツリー。それに加えて新たな勢力、
「KADOMATSU、です」
 カドマツ、門松。新年に飾る緑色の例のアレ。何でそんなものが、と思ったのだがその村には『あった』らしい。
「今年は村の辺りは大雪が降って、飾ってる場合じゃなくなったんだそうです。
 そうしたら倉庫にしまわれてた門松にカボチャ一派で交渉役を担うツリーが説得に成功して加わってしまったようです」
 その証拠に倉庫からは門松が、村から片付けても居ないクリスマスツリーが消えた。
 そして今現在、彼らは潜伏場所の森から村を目指して行進中なのだという。
「皆さんにはこの怪物達を止めて、平穏な新年を迎えられるようにお願いしたいのです」
 今から向かえば、村と森との中間地点で鉢合わせることが可能になる。
 開けた雪原で、固くなった雪の上なら行動に問題は無いだろう。
「視察に行ってくれたバシルさんによると、それぞれ10体ずつ居るみたいです。
 カボチャは前と同じく火の玉で攻撃してきます。ツリーはオーナメントを投げつけたり、ぐるぐる回転して周囲を攻撃できるみたいです。
 KADOMATSU……門松は針みたいな葉っぱを飛ばしてきます。とっても痛いです!
 皆さん、気をつけてくださいね!」
 と、ユリーカはイレギュラーズ達を送り出した。

GMコメント

 アフターアクション有り難うございます。こんにちは、水平彼方(みずひら・かなた)です。
 再び訪れたピンチから村を救出してください。
 
●成功条件
 全ての敵の撃破

●フィールド
 時刻は昼間、村から離れた雪原での戦闘になります。
 雪が積もっていますが、固くなっていて上を歩けるくらいです。
 移動しやすいですが偶に滑ります。
 村から出発すると丁度ユリーカが指定した辺りで戦闘になります。

●敵
・カボチャ(ジャック・オー・ランタン)×10
 ジャック・オー・ランタンの怪物です。
 手に持ったランタンから火の玉を近~遠距離飛ばします。
 ものに触れても燃え移る事が無い不思議な魔法の炎ですが、敵に触れると【火炎】状態になります。
 もともと怒っている所為か、怒りに耐性があります。
 
・クリスマスツリー×10
 植木鉢でぴょんぴょん跳ねて移動する、クリスマスツリーの怪物です。
 近~遠距離にはオーナメントを投げつけ、至近の敵には回転したりして自身の周囲の敵を攻撃します。
 動きは遅いですが攻撃の威力は高めで、いずれも【崩れ】を付与します。

・KADOMATSU(以下門松)
 新年に飾られなかった門松が怪物化しました。
 松の葉を飛ばして攻撃してきます。葉は針のように鋭い【出血】と【毒】が伴います。
 
●これまでのおはなし
『パンプキン・ハザード!』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4621
 こちらで大暴れしていました。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • パンプキン・リベンジャーズ!!完了
  • GM名水平彼方
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月18日 22時02分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

鳶島 津々流(p3p000141)
行く雲に、流るる水に
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
斉賀・京司(p3p004491)
雪花蝶
オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)
石柱の魔女
ユリウス=フォン=モルゲンレーテ(p3p009228)
貴族の儀礼
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)
灰色の残火
アセナ・グリ(p3p009351)
灰色狼

リプレイ

●エンカウンター
 太陽に照らされて、凍った雪がきらきらと光を反射している。
 鋭い反射光に目を眇めながら『雪中花蝶』斉賀・京司(p3p004491)は指ぬきの手袋に覆われた手を庇代わりにして周囲を見回した。
「寒いのは苦手なのだよなあ……狙撃手だし」
 サングラスによって軽減されるものの、白い雪は狙撃手である京司の目には強すぎる。持ってきてよかったな、と考えながら指折り運動や体全体をストレッチして寒さで体が強ばらないように対策をする。
「かぼちゃに、くりすますつりーに、門松……何でかよく分からないけど、飾り物が襲いかかってくるなんて、そんな事あるんだねえ……」
 摩訶不思議な敵の襲撃に『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)は、枝角を寒風にさらしながら、未だ春の遠い雪原を見た。
「ジャック・オー・ランタンの群れ、生き物……いや悪霊なのかな? それに加えてクリスマスツリーも門松も凶暴化するなんて」
「ふむ……付喪神みたいなものなのかな……?」
 『優愛の吸血種』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)の問いに津々流が答える。
 付喪神、と効いてユーリエの脳裏に浮かんだのは豊穣の精霊種達だった。ああ成る程と納得したものの、ローレットで聞いた情報を鑑みるに、素直に頷きたくないような気もした。
「この時期はあれこれ忙しいよねー、飾りっぱなしにしちゃうのも仕方ないカモ。
 雪が降ったら雪かきもしないとだし。そんな事もあるよね
 まあ、村人さん達が片付け忘れちゃった分くらいはね! ぱぱーっと片付けちゃお!」
 元気よく宣言した『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)は、足元が悪いならばと用意した鋲付きの靴底を具合を確かめた。
「本っ当、この時期は参っちゃうよねー……地面が凍ってたり、足が雪に埋まっちゃったり!」
「そうですよね。私って意外かもしれませんが運動神経があまり良くないので絶対尻もちついちゃいますね。ぐぬぬ」
 『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)は不満を漏らしながら、借り受けた装備を身に纏い慣れない雪の上をおそるおそる歩いて行く。
「それにしても、今回は楽しそうな見た目の子達が相手なのね。
 ねえ、と満面の笑顔を向けた『灰色狼』アセナ・グリ(p3p009351)に『灰色の残火』グリジオ・V・ヴェール(p3p009240)は「そうですね」と返事を返した。
 思い出されるのは騒がしいカボチャ達のこと。
「カボチャの再来が本当にあるとはな。
 この依頼が終わったら絶対暫くカボチャは食わんからな」
 さり気なくアセナさんエスコートしていると、きゃらきゃらと騒ぎ立てる女の声が耳元で響く。
『お優しいこと、なのよ』
『お可愛らしいこと、なのだわ』
「うるさい黙れ」
 思わず苛立ちを口に出してしまった事に気がついて慌てて周囲の反応を見るも、師匠たる女性は弟子の様子を見て、
「腰を痛めたらどうしようかしら? グリジオにおぶってもらいましょうか? ……なんてね」
 と期待の眼差しで見ているのだった。
「ね?」
「反応が無いからと言って強調しなくても聞こえています、師匠」
 グリジオがため息交じりにそういった所で、進行方向から賑やかに行進する影が見えた。
「わあ。情報で聞いた通りなんとも季節感が皆無な集団ですねえ。視界がお祭り騒ぎですよ」
 オーガストののんびりと微笑んだ視界の先で、シーズンを彩るはずのシンボル達はイレギュラーズを見かけると興奮した様子で勢いよく飛び跳ねた。

●オレンジ色の悪い奴
「アツアツスープニナリヤガッテ!!」
「ヒャッハー! パイ! コンガリ!」
 威勢よく飛び出してきた荒くれたヒャッハーカボチャ――もといジャック・オー・ランタンの集団が先頭を走る。
「通常では考えられないことが立て続けに起きていますが……、なんとしてもこの怪物たちを倒して素敵な年を迎えましょう!」
 ユーリエは鮮烈なイメージを元に魔術を素早く組み上げていく。
 あり得るはずだったもう一人の自分、その可能性と力を周囲に展開、投影させ結界として身に纏い瞬間的に能力を上昇させる。
「カムイグラの星獣たる『麒麟』の加護を今ここに」
 加えて光の加護を重ねて纏い、戦闘態勢を整えた。
「なんというか、ふざけてる割りに強いし、何より数が多いな? かなり面倒な敵なのでは?」
 ミスティックガンを構えスコープを覗き込んだ先、わらわらと押し寄せる軍勢がアップになって映る。
 見た目だけ見れば愉快な仲間達(シーズンシンボル)なのだが、数も多い上面倒この上極まりない。
「だがまあ、仕事だからな。やることは、やるとしよう。面倒そうだが」
 全身の魔力を込めた一撃がツリーの群れ目がけて真っ直ぐに飛ぶ。
 直線上の敵を貫いて、枝や幹を抉られたツリー達がわさわさと巨躯を揺らして「わ~ん」「やられた~」と困惑? の声を上げて倒れた。
「片付けをしなかった怠慢はあるのだろうが、それでこうまで暴れられてはな……加えて門松は何というか、文句は天気に言えとしか。
 いずれにせよ、来ると言うのならば武力で片付けるしかあるまい」
「しかも結構いっぱいいるみたい。新年早々大変なお仕事だけれど、みんなで力を合わせて頑張らなくてはね」
 『貴族の儀礼』ユリウス=フォン=モルゲンレーテ(p3p009228)は耀く白銀の甲冑を身に纏い、先頭を切るカボチャ頭の前に立ちはだかった。
「邪魔ダ!」
「通さぬ!」
 キイキイ叫ぶカボチャが癇癪を起こしてユリウスに火の玉を投げつける。
 その背後から津々流は悠久のアナセマを、ユリウスを越えて飛び出そうとしたカボチャに放った。
「なら、そいつを狙って!」
 鮮やかな花一輪を矢へと変え、番えて放つ。
 とすっ。
 軽い音を立てて頭に突き刺さった矢がポップでキュートな感じに見える。
「ギャーアツゥイ!」
 燃える果肉、溢れるスープ。
「あ、燃えるんだ」
「当タリ前ダ! ホクホク舐ナメルナ!」
 目元口元からぽんぽんと丸い煙を吐きながら何を当然な、と怒る。
「また騒がしい奴らだ」
 そんなカボチャを横目にため息を吐いたグリジオは、これまた季節外れなクリスマスツリーの方へと走る。
「村へ行く前に、このグリジオの相手をしてくれねェか」
 聖躰降臨で身を固め名乗りを上げたグリジオに、返答代わりとその場でスピンを見舞った。
『あらあら、時期ハズレなのだわ』
『あらあら、必要ない子もいるのだわ』
「挑発なら聞こえるように言ってやれ」
 悪態を吐きながら飛んできたオーナメントや松葉を叩き落とす。
「あらあら、カボチャにツリーに門松? ハロウィンとシャイネンナハトとお正月が一緒に来ちゃったのね。グリジオ、今年は一緒にハロウィンも遊びましょうね?」
「考えておきます」
 玉虫色の返事を承諾と受け取り、アセナはカボチャ頭へと拳骨を飛ばす。
「でも駄目よ。門松は良いけど、他の子達は季節外れでしょう? 一緒に遊びたいのはわかるけど……ね?
 って話は聞いてくれないのよねぇ。可哀想だけど倒してしまう方が手っ取り早いかしらね。まぁ悪いことをするなら殴って黙らせるしかないわね」
 うんうんと頷きながら得心顔のアセナ。
「ともかく村に被害が出る前に彼等を退治しちゃいましょう。季節外れの大掃除です」
 オーガストの創造した大蛇の泥人形から、呪詛を込めた魔砲が放たれる。
 ツリー目がけて放たれたそれは、木々に触れたところから装飾ごと石化させていく。
「うわ~」
「石像になってしまえば季節も関係なく一生飾ってもらえるでしょう。ふふーふ。我ながら名案です」
 『モミの木の緑色が~』と不満声が聞こえてくるも、ご満悦の表情のオーガストはさらりと聞き流すことにした。
「グリジオさん、これを」
 腕に刺さった松葉の所為で出血するグリジオの体をユーリエのブラッドバリアが包み込む。
「これである程度は戦いやすくなるはずです」
「ありがてぇ」
 具合を確かめる様に腕を回して、これはいいなとしたり顔で笑う。
「押し通る!」
 KADOMATSU――門松が松の枝から鋭い刃を射出すると、グリジオはアセナの立ち位置を確認しつつ軽く横に飛んだ。
「気休め程度になってしまうと思うけど」
 津々流はそう言ってついと空中に指先を滑らせると、グリジオの傷と出血を癒やす。
「あまり長引かせるとこちらが辛くなるらね」
 続いて手負いのカボチャに視線を移すと、影を伸ばして死角から切り裂いた。
「ムネン……」
 最期に言い残して、がくりと項垂れるジャック・オー・ランタン。そのままの勢いでぽろりとカボチャ頭が雪の上に落ち、糸が切れた人形の様にその場でばらばらになって雪の上で重なり合った。
「……あいつか」
 スコープを覗く京司の視線の先、よろよろと空中を漂うカボチャを見て狙いを定める。こいつが一番ダメージが大きそうだ。
「行け」
 鋭く疑似生命へと命じると足場をものともせず目標まで進み、頭の一部を囓り取った。
「カ、顔ニ、第三ノ目ガ……」
「クッ、羨ヤマシイ姿ニナリヤガッテ!」
 悔しがるカボチャの横隣に居たカボチャは、倒れゆく仲間に敬礼で送りながら空中で地団駄を踏んで悔しさを表現した。
「まあまあ、皆石像になるんですから」
 ねえ、とオーガスト。再びメドゥーサの邪眼でツリー達を石化させ、せっせと石像作りに勤しんでいる。
 イモータリティで体力を回復しつつ、ユリウスは残り少なくなった個体を見やり冷静に分析する。
「もうそろそろジャック・オー・ランタンも片付きそうか」
「ユリウスちゃん、そのままでね。それっ!」
 固まっていたカボチャをクルルのチェインライトニングで一掃する。
「ギャー!」
 閃光のあとに続いて悲鳴の合唱が響き渡り、ぷすぷすと焼けたカボチャがぽてりと落ちた。
「うーん、このカボチャは……食べられないわよね。こういうのは食用のカボチャじゃないって聞くし。砕いて肥料とかにはなるかしら」
「確か前回は肥料にしようって、埋めたりしてたかな」
「それなら今回もそうした方がいいかしら……はい、これで最後ね」
 アセナはにこりと微笑んで、剣魔双撃による一撃を叩き込む。
「プキー……ハロウィンハ、永遠ナリ……」
 一拍遅れて倒れると、ころころとカボチャが脇へと転がっていった。

●年末年始は忙しい!
 石化したり穴が空いたり、歪な形になりながらもツリーは襲いかかってくる。
「全く、仕方ない奴らだな。今度こそ完璧に叩き潰してやるとするか」
 もう二度とカボチャ漬け……もとい悪夢を繰り返さないために。
 これで倒れろと念を込めて渾身のレジストクラッシュを叩き込む。幹を鋭く抉った一撃は、ツリーを切り倒した。
「片付け~お早めに~」
 そうだな、と言いかけて出来ればそうして欲しいとも願いつつ。面倒事は寄越してくれるなよ、という気持ちも添えた。
「さて、ここからは私も攻撃に転じましょう」 
 ユーリエは雪月花を弓に見立てて左手で構え、溢れる霊力を矢に変えて引く。
 狙いを定めて矢を放つと、続けて霊刀を振るう。
 狙い違わず命中した矢はツリーに桜の花を添えた後、霊刀から放たれた衝撃波によってツリー共々儚く散った。
「へえ、とても美しくて風流な一撃だね。盾役のお二人が頑張ってくれているからね、僕ら攻撃陣も頑張らなくちゃ。もっと桜が見たくは無いかい」
 ざあ、と梢の囁きが聞こえたかと思えば、視界一面が薄紅色で埋め尽くされる。猛烈な勢いで降りかかる花弁は動きを封じるほど激しく、呼吸すら叶わないほど。
「見えないだろうけど、感じてくれたかな」
 微笑む様は悠然と、佇まいは泰然とすら思えるほど。「お迎えの神様かな~……」という声が聞こえたとか聞こえなかったとか。
「グリジオ・V・ヴェール、無事か?」
「まぁぼちぼち、だな」
 聖躰降臨で身を固めつつ、顔目がけて飛来したオーナメントを避けるグリジオ。周囲の状況を見るにカボチャは片付いたはず。
 ならアセナがこちらに戻ってくるはずだが。
「こう、何となくハロウィン、シャイネンナハト、お正月って順にやっつけていきたいじゃない?」
「師匠、あまり無茶をしないでくださいよ!」
 グリジオの心配を他所に、アセナは清々しい音と共にツリーに拳骨を一発食らわせTKOをもぎ取った。何だかんだで一番楽しそうである。
「グリジオさん大丈夫ですか? 今までずっと引き付けてくれてましたしね、回復します」
 傷を見たオーガストが大天使の祝福で癒やしていく。
「大変そうだな」
「ありがとうよ」
 反応しきれなかった一撃をユリウスがかばう。騎士は「当然のことだ、気にすることはない」と毅然とした面持ちのまま敵を睨め付けた。
 視界の端で黒犬の足が力強く雪を蹴った。京司と契約を交した妖精の姿だ。
「そいつだ」
 京司の指示を受けてぴんと耳を立てると、萎びた枝をしたツリー目がけて勇敢に食らいついた。
 枝を折り砕くと「今年は~ちゃんと飾って~片付けてね~」と言い残して倒れるツリー。
「ユリウスちゃん、お花借りるね」
 クルルは一言声をかけると、ユリウスの背後に咲く花を一輪摘み取った。
「このお花で飾ってあげるよ」
 ギフトで矢に変えると、千紫万紅を放つ。
「うわ~やられた~」
「ム、ジャック殿に続いてツリー殿も倒れたか」
「ならば我々が力を尽くさねばなりませぬ」
 講談師が張り扇で机をパンパン! と叩いた様な、小気味良い音が聞こえた――気がした。
「ていうか、言って良いか? ……なんで異世界にも門松あるんだ。ここ、再現性東京じゃないぞ?」
 京司はずっと抱いていた疑問をとうとう口にした。ファンタジーの中にある門松、異種格闘技戦どころかスイーツの中に麻婆豆腐が混ざった様な強烈な違和感がある。
「我々はここに在る。それが答え」
「いや答えになってない」
 答えは出そうになかったので、京司は門松にアンガーコールを撃つ事にした。諦めることも時には肝心で在る。
「潔く散りなさい」
 ユーリエは桜舞い散る一矢一斬で撃ち、斬ると残像の様に儚く花が散る。
「桜は見たことがあるかい? 『息を詰めるほど』美しいんだ」
 津々流は花嵐の伏籠を呼び、視界一面を埋め尽くす花弁で雪原の上に淡い紅で小山を作った。
「花でしたらわたしも負けていませんよ!」
 クルルも負けじと千紫万紅を放つ。色鮮やかな妖花・魔花が咲き、雪原は束の間冬と春がない交ぜになった不思議な光景に彩られた。
「乙なものであるな、だが!」
 気合の一声と共にびしびしと松葉を射出する。花を見たいのは山々だが、自然と視線はグリジオの方を向く。
「くっ……」
「……不満があるなら言え」
 視界は華やかな方がいいと思う、花だけに。
「あと一押しだな」
 ここは押し時だと判断したユリウスも、仲間の勢いに乗りギガクラッシュを叩きつける。
 アセナの鋼花闘装アサルトブーケが閃くと、双子姫の紅と蒼が螺旋を描いて戯れる様に絡みつく。
「年は越しました。もう貴方はお役目終了ですよ」
 顕現した邪悪な怨霊が狙った獲物目がけて食らいつく。
 泥人形の目が妖しく光ると、音を立てて門松が石に変わっていった。
「これはこれでいい感じですね」
 見事な石像へと変わった門松を見て、オーガストは満足げに頷いた。

●後片付けまでがイベントです
「さて、いくつか修繕できそうなものがあるでしょうか」
 ユーリエは転がったツリーや門松の損傷具合を見て、直せば使える様なものはないか見て回る。
 津々流の花嵐に飲まれたものは、もとの形をよく留めていたのでこれを直すことにした。
「カボチャは……食べられるのかな? でもさっきアセナさんが食べられないって言っていましたね」
 修復を終えると、門松の前で手を合わせ「来年は良い年になるように」とお祈りをした。
 門松の残りはオーガストが焼却処分していた。ツリーは流石に大きいので、村総出で日暮れまでに片付けるとのことだ。
「あ、このカボチャは持って帰りましょう」
 オーガストがカボチャを拾い上げると、その隣ではアセナも吟味していた。
「終わったらこの子達を持って帰って飾りたいわ?」
「師匠、それは随分と季節外れでは」
「いいじゃない、私が飾りたいと思ったものを飾るのだから」
 村に報告に行ったクルルは、「片付けさぼってばかりいると、片付けて貰えなかった物達がオバケになって出るからね!」とビシッと物申すと、小さな子どもにお説教する時の脅し文句みたいと隠れて吹き出した。
「みんなー! お礼に美味しいカボチャを持って帰っていいって!」
「ふふーふ。今日の晩御飯はパンプキンシチューに決定ですね」
「あ、私も頂いて帰りましょう」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

グリジオ・V・ヴェール(p3p009240) [重傷]
灰色の残火

あとがき

愉快な仲間達、リターンズ! お楽しみ頂けたでしょうか。
ボケノリツッコミは楽しいですね、血が騒ぎます。
たぶんこれからはちゃんと片付けてくれると思います。
ご参加有り難うございました。

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