PandoraPartyProject

シナリオ詳細

年末ファン感謝祭!ラウバウ全員集合デスマッチ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新年明けましてデスマッチ
「みんなーー! 元気にしてるかな!? 今年も来年もそのまた次も! ラド・バウとぱるすちゃんをよろしくねーーーー!」
「「「ぱっるすちゃーーーーーん!」」」
 鉄帝国の大闘技場ラド・バウには、今日も強者たちが集い、すばらしい熱気が渦巻いている。
「今日はファンのみんなに参加して貰うイベントだよ! 名付けて、『年末ファン感謝祭! ラウバウ全員集合デスマッチ!』やるよーー!」
「うおおおおお!!!!」
 そう、今日はラド・バウの年末イベント――ラウバウ全員集合デスマッチが行われる日だ。
「ルールは簡単! 8人1組のチームだよ! 体の見えるところに、代表者がリボンをつけてね! そして……相手のリボンを奪い取る! リボンをとられたら脱落。簡単だよね?
最後までステージに残れるように、頑張ってね! 一番たくさんのリボンをとるのはどのチームかな?
ボクたちラド・バウのファイターは、妨害に回るよ! もちろん、ボクも参加しちゃう! 手加減しないからね!」
「ぱっるすちゃーーーー「ォォォォオォォッ!」
 訓練されたコールを、ゴリラの咆哮がかき消した。
『野生開放』コンバルグ・コング(p3n000122)は高らかにドラミングを見せている。
 人々をなぎ倒し……なぎ倒し……てるけどリボンを奪ってはいない。
「……ルールを理解しているか?」
『鉄帝国保安部員』ゲルツ・ゲブラー(p3n000131)は照準にコンバルク・コングを捕らえていた。しかし、きらりとひかるスコープを、その野生の視力は見逃さない。向きを変え、突進の構えとなった。
「オレ ツヨイ オマエ ツヨイ タタカウ」
「やれやれ……戦う予定ではないはずだが……」
 そう言いつつも、威嚇射撃を行うゲルツは少し楽しそうだ。
「おおっとー! ここでコンバルクとゲルツの対決だー!」
「……負けてられないわね! いくわよ、エヴァブレイズ!」
 エヴァンジェリーナ・エルセヴナ・エフシュコヴァ。通称『セイバーマギエル』リーヌシュカ(p3n000124)は、華麗に自律式サーベルを操り、リボンのみを切り裂き、手に取る。
「一瞬、だと」
「お祭りですって? いいじゃない。でも、私は手加減しないわ!」
「ぱるすちゃんの見本リボンを手に入れろおおお!」
 乱戦のさなか、不意を突いてリボンを奪い取る……ウォンバット、マイケル。
(師匠、……やったね)
『ラド・バウの幽霊』ウォロク・ウォンバット(p3n000125)がふわりと人混みに消える。

●観覧席
「……」
『スーパーチャンプ』ガイウス・ガジェルド(p3n000047)は無言で闘技場を眺めている。ガイウスは参加しない……いや、参加できないのだ。
「ガイウスが参加したらこの年末に死者続出よー。しゃれにならないわ」
『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガー(p3n000095)はため息をついた。ビッツもまた、出場禁止を言い渡されて観戦に回っている。
「アタシもイイ男のリボンをぶんどりたかったわ。油断してるところをね? 最小限の動きで後ろから華麗に頂くのよね。さーて、誰が勝つかしらねぇ」
 ガイウスはじっと人の群れを眺めている。あの中に立っているモノがいるとしたら、どの闘士だろうか。
「ここでイレギュラーズチームの入場だーー!」
「アタシが注目しているのはイレギュラーズよ。イレギュラーは試合につきものじゃない?」
 イレギュラーズか。……たしかに、そうだとしてもそれほどの驚きはない。
「リボン10個でぱっするちゃーんと握手っ! 頑張ってね~! 待ってるからね~!」
「うおおお、ぱるすちゃあああん!」

GMコメント

●目標
目指せ優勝!
制限時間の間に、リボンを沢山うばいとれ!

●ルール
8人1組、リボンの取り合い競争です。
チームおよび代表者は体の見える位置にリボンを結びつけること。
形状自由。リボンがとられたら脱落です。

●リボンをとる
正面から戦うも、スリとるも良し。
絡め手はちょっと工夫する(注意をひく)などすると成功しやすいです。
名のない闘士やそのへんの腕自慢(お客さん)がいますので、どんどんとりましょう。

●場所
闘技場ラド・バウ。
人々がひしめいていてお祭り騒ぎです。屋台なんかもやっているもよう。

●登場(闘士)
※妨害役のNPCは倒す必要はありません。お祭りで顔出ししています。
そこそこ強敵ですので、ちょっと挨拶程度に遭遇ロールだけにとどめるか程度にしておいた方が無難でしょう。あるいは、気合いを入れてあたるか……難易度が上がります。

・『アイドル闘士』パルス・パッション
「ボクはみんなを応援してるからねーーっ!」
 大闘技場ラド・バウのアイドルファイター。パルスちゃん目当てのファン多数。ファンサービスとしてファンのみんなに一撃当てるため、大立ち回り中。
 適宜、実況に回ったり解説に回ったりCMを挟んだりしています。

・『ラド・バウの幽霊』ウォロク・ウォンバット(p3n000125)
 ウォンバットの師匠とともに、ヒットアンドアウェイ。いつの間にか現れ、いつのまにかいなくなっている。

・『野生開放』コンバルグ・コング(p3n000122)
「ォオオオオオオオオオオオオォオオオ」
パワーファイター。リボンをとらずに人々を突進してなぎ倒している。リボンは?

・『セイバーマギエル』リーヌシュカ(p3n000124)
自律式サーベルを操るファイター。イレギュラーズチームも参加すると聞いてちょっと嬉しいのは内緒。

・『鉄帝国保安部員』ゲルツ・ゲブラー(p3n000131)
油断している人を的確に狙い、確実に仕留める。お祭りと言うことでそんなに勝つ気はないようではあるが、戦いを楽しんでいるようだ。常に距離をとっている。

●見学者
 彼らはリボン争奪戦には参加しませんが、ヤジを飛ばしたり、見込みのありそうな闘士を見に来ています。

・『スーパーチャンプ』ガイウス・ガジェルド(p3n000047)
「……」
 「死者が出るので参加禁止」されています。まあ、そもそも、お祭りにはあまり興味がないと言うのが本音でしょう。
 強い人間がいないか見に来ています。

・『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガー(p3n000095)
「面白い試合、見せてくれるわよね?」
 大闘技場ラド・バウのS級闘士。自称『Sクラスの最も華麗で美しく残酷な番人』。気のいいオカマ姐さん。
 どっちかというと、負けていたり、ピンチの人を応援しているようです。もしくは搦め手で挑んでる人とか。あとイイ男とか。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 年末ファン感謝祭!ラウバウ全員集合デスマッチ!完了
  • GM名布川
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ンクルス・クー(p3p007660)
鋼のシスター
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ルーチェ=B=アッロガーンス(p3p008156)
異世界転移魔王
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人
海紅玉 彼方(p3p008804)
レディ・ガーネット
影縫・纏(p3p009426)
全国大会優勝

リプレイ

●OnStartup()
「ふむ、余興であるか」
 影が差した。
 黒いドラゴンの翼をまとう『異世界転移魔王』ルーチェ=B=アッロガーンス(p3p008156)が威厳を伴って着地する。数瞬遅れて、魔力の残滓が波紋のように広がった。
「あのラウバウで年末にこのようなイベントを催すとはな、しかし、戦いであることは変わりない。楽しもうではないか。して、何を欲する?」
「もちろん、目指すは優勝、そしてMVPです!」
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)はぐっと拳を握る。
 術式的水銀装甲を身にまとい、飾り気のない防具は今日はキラキラと輝いている。目立てば、そのぶん仲間の負担は減る。
「見渡す限りの猛者揃い、胸を借りる気持ちで挑むとするよ。それに自分の実力を量るいい機会でもあるしな、今の私の全力をここで発揮しよう」
『特異運命座標』影縫・纏(p3p009426)は、いつのまにかそこにいた。
(ま、この全力というのが正面からの一体一のことではないがな)
 影に潜み、影を操る力。それこそが纏の最大の武器だった。実際、ライバルたちは纏に意識を留めることすらできていない。あそこのチームは7人なのかと首をかしげているくらいだ。……こんなにも近くにいるというのに。
「背負う物無き戦いです。だからこそ全力かつ楽しんで戦いましょう」
「んー殺しちゃダメなんだねぇ? 残念」
『蔵人』玄緯・玄丁(p3p008717)は可愛らしく微笑みながらも恐ろしいことを言う。
「そうね、まあ……勢い余ってってことはあるかもしれないけど、狙わなくてもいいわよね」
『狐です』長月・イナリ(p3p008096)の尻尾は気ままに揺れる。
 ラド・バウでは死者も出る。
 イベント事とはいえ、ここに集まっているのはその覚悟を持っている猛者たちだ。
 しかし、その気配に、イレギュラーズたちは気圧されてはいない。
「あけましてデスマッチだ!
やっぱりこういう戦う場を皆に見せる物はファンは大事にしないとだね!」
『鋼のシスター』ンクルス・クー(p3p007660)はいつものとおりに創造神に祈りを捧げる。「今年も皆に創造神様の加護がありますように!」
 胸の前で組んだ手の下には、大切なコアがあるのだ。
「んー、それじゃあ。今回は対複数戦での戦い方をやってみようかな。
いつもは1:1が好きだけど、なかなか機会もないからねぇ」

「みんなーー!」
 オーディエンスに向かってウィンクするパルスちゃん。
「パ、パパパパ、パルスちゃんが! こんな近くにっ……!」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は推しを前にして、涙目で固まっている。
 近くで見るぱるすちゃんのなんと鮮やかなことか……。
「えっ、本当に? 夢とかじゃなくて? いいの? そんな風にパルスちゃんと触れ合えるなんていいの!?」
「今日はボクも本気でやっちゃうよ! なんたって、ライバルがいるからね!」
「負けませんよ。私も一端のアイドルですからね」
『姫騎士アイドル』海紅玉 彼方(p3p008804)はきゅっとリボンを結ぶ。
「カッナタちゃーーーん!」
 サイリウムはぱるすのピンクからルビーのレッドに色を変えていく。
「さーて、準備は良いかな?」
「よーし、みんなもがんばろー!」
「えっ、もう始まっちゃうの!? ちょっと待って、まだ心の準備が! 今から落ち着くから! 準備するからもうちょっと待って!
あぁ、死んじゃう! そんな急にパルスちゃんに近づいたら死んじゃうから! もうちょっとだけ待っあああああああ!!!!」

●気楽に行こう
「わぁ♪ 本当に色んな人が居るね! こういうオールスターなデスマッチはやっぱり良いよね♪」
 ンクルスは背伸びをしてぐるりと辺りを見回す。
「負けないぞー!
折角のお祭り。すぐに脱落しちゃつまらないからね!」
「何事も挑戦だね」
(あわわわ、始まっちゃったけどこのままじゃいけない!
パルスちゃんの前でカッコ悪いところを見せるわけにはいかないもんね!)
 焔はカグツチ天火を振るう。
 狙いは、固まった一団だ。
「おいおい、もう仕掛けてくるのかよ!」
 避けた、と思ったことだろう。しかしその攻撃は、まだ終わっていない。
 その切っ先は炎の斬撃を飛ばす。
「ひえっ」
 強靱な盾が溶断される。
「よしっ!」
 その技の名前を、緋燕と呼ぶ。
 その隙にオリーブが前線に斬り込み、リボンを奪取する。
「やりましたね、炎堂さん!」
「うん、次だね!」
 目標は、優勝。
 その意気込みに偽りはない。
 ほかチームからの一撃を、オリーブの無骨な長剣が防いだ。
「……! いったん、下がります!」
 オリーブが下がったのは、コンバルグの巨体が押し寄せてきたからだ。
『オオオオオオオオ!』
 ぎりぎりと粘る相手を、コンバルグが理不尽に轢いていった!
(だ、だめだ、あれは……純然たる暴力だ!)
 並みの参加者が次々と戦意を失っていく中、ンクルスは……。
(わあー! すごいパワーだね! やっぱり、コンバルグさんの一撃を受け止めてみたいなあ!)
 などと、むしろ目を輝かせている。
 system:Ellie v2。――順応解放型論理直観装置が、異常値を検知して隔離する。
(目指すは、愛読書「ドヴェーリ・ヴィ・ライ」の主人公、オレーシャ = カラチュリン!)
 フルシニッカ・ヒュオネールVN。
『天国』への到達を目標として、弱きを助けて強きを挫くための強さ。けれど、それは「同じじゃなくてもいい」と最近気が付いた。
 だから、この技はコピーではない。
「なっ……」
 我流にアレンジしたその技は、派手な予備動作を省略した。
 ンクルスの手は、卑怯にも混乱に乗じてリボンを奪おうとしていた連中の服をひっつかむ。
 もちろんそれも一つの戦略だ。けれど、背中を見せるというならそれ相応に隙が出来ることを覚悟しなくてはならない。
「せーのっ!」
 ンクルスは自分よりも遙かに大柄な相手に組み付き、ぎりぎりと締め上げる。
「ギ、ギブギブ!」
「……あれ? それだけですか?」
 玄丁は悪い顔を浮かべる。
「纏めてきてくださいよ。負けませんから」
(まさか僕みたいな子供に怯えてるような人は鉄帝にはいないだろうしねぇ?)
 言外に込めた皮肉は十分すぎるほど伝わった。
 挑発は上手くいったようだ。
「このガキゃ!」
 荒くれ者たちが一斉に押し寄せてくる。
「的がそろったな」
 ルーチェの「暗黒魔眼」が、頭上から一斉に敵を見下ろしていた。
 狙う必要はない。ただ、まき散らせばいい。
 カーストガトリング。一斉砲撃が、戦場を覆い尽くしていく。
「テメェ! いい加減にしろよ」
(……なんて、勝てはしないんですけどね、殺し合いなら)
 玄丁にとっては、ぬるい。闇に潜んだ此夜煌が閃き、H・ブランディッシュが敵を斬り裂いた。
「僕力弱いからねぇ……!」
 一歩、玄丁が踏み込んでいれば……首が落ちていただろう。だがその切っ先はリボンのみを斬り裂いていた。
(今回はリボンを集めるだけですしぃ、何より無礼講ですよねぇ?)
 だって、子供ですから。
 こんな子供に……負けたのか。名もなき戦士はがっくりと膝を落とした。まだ恐怖で膝が笑っている。

 多くの挑戦者たちはリボンを隠し、取られ辛いような位置につけている。
だが、彼方は、――魅せるように頭につけていた。
 緋色のリボン。
 前線からは距離を取り、防御は仲間に任せ。くるりと身を翻し。戦場に咲き誇る華。圧倒的なカリスマ。視線を奪われるとはこういうことなのか。
(一人一人、見えてる!)
 ロベリアの花が咲いた。
 奇襲を狙った、彼方への一撃を玄丁が通したのは、その角度であれば彼方ならば受けられると確信していたからでもある。
 エクスプロード。爆発のさなか、立っているのは彼方だけだ。リボンがはためく。
「そっちは任せるね」
 彼方に斬りかかろうとする敵の背後。影が不自然に伸びた。
「なんだ……!?」
 纏の魔砲が、全力で敵の武器を持った方の手を貫いた。
「どこから……!?」
「そうじゃなくっちゃね!」
 一撃を当てて、再び、纏は仲間の影に潜む。
「よそ見している暇はあるのかしら」
 声は不思議と至近から聞こえた。
 八坂ノ神道。イナリは異界の神、八坂刀売神の力を身体に宿し、跳躍する。
 ぱきり、ぱきり。静かに氷が割れる様な音が響き渡る。
 遠くで。かと思えば背後で。まさか、そんなはずは――。振り返ればすでにそこにいた。
 さっきまでの距離は?
 イナリの獲物は、気がつけば宙にいた。
 狙いは一人。リボンを持った相手のみ、だ。
 護衛に囲まれた本命だけをターゲットに引きずり出し、そのまま地面へ叩き落とす。
「一つ、手に入れたわ」
 イナリはリボンをくわえて、飛んだ。
 リボンを奪われたチームメイトは、事態を呑み込めていなかった。そのまま戦いを続行しようとして、審判に止められる。
 まるで、狐に化かされたようだ。

●勝負したいやつから並べ
『オオオオオオオオオオオオオオッ』
 苛烈な戦いの気配に惹かれ、コンバルグのドラミングが響き渡る。
 強い者同士は惹かれあう。
「来るぞ! 逃げろおおお!」
 逃げ惑う出場者をよそに、ンクルスはぱっと顔を輝かせる。
「わぁい! コンバルグさん、こーい!」
 すさまじい重量がスピードを上げて突っ込んできた。
 まるで台風。その突風に、ンクルスは真正面から挑みかかる。
(パワーファイターの戦いが好きでね! コンバルグさんのファンなんだよ!)
 地面はえぐり取られ、壁は一部崩壊する。
 衝撃。
 system:Ellie v2は絶え間なくエラーを吐き出している。
 だがそれは、握りつぶせるワーニングだ。エラーではない。
『皆に創造神様の加護がありますように』。
 原初の祈りがコンソールに吐き出されてエラーログを押し流す。これで、問題はない。
 視界にノイズが混じる。
(ふふ~♪)
 受けは得意だ。粘り強く立ち続けて、この勝負を続けて見せようじゃないか。
『オオオオオオ!』
 がりがりと削り取られていくような片端から修復が走る。壊れた分だけ即座に体はリカバリーされていく。
 ゆえに、問題はない。
「立ってる……!」
「あいつ、立ってるぞ!」
「んー、やっぱりすごいよ! コンバルグさんっ!」
『オマエ ツヨイ オレ ツヨイ……! ウオオオオオオオ』
 がっちりと組み合う。
 握手でもするかのように。咆哮を上げながらコンバルグはブルドーザーのように去って行った。幾多もの参加者を巻き込みながら。
「台風が過ぎましたね……!」
 オリーブのハンズオブグローリーが、至近で敵を打ちのめす。
 やっかいそうな攻撃は、ここで止めたい。彼方には通したくはない。深呼吸をし、受けた毒をリーガルブレイドで対処する。
 剣がイナリの幻影を切り裂いた。
 そして、イナリ自身は奇襲を仕掛ける。だが、相手は本命ではない。リボンを持っていないからだ。
 イナリのディアノイマンが、戦況を見定めていた。
「ずいぶん減ってきたわね」
 一時後退。
 天孫降臨・乱炎迦具土神。燃えさかるような炎がイナリを包み込む。
 それに呼応するように、焔の紅蓮桜が燃え上がった。
「させるか……! 囲め!」
「彼方ちゃんっ!」
「はいっ、いきます!」
 焔の緋燕が、周りを薙いだ。大丈夫、まだ戦える。彼方はシールドを展開し、そして笑顔を向ける。
「女の子ばっかり狙うのは男として恥ずかしく無いんですかぁ?」
「……ああ?」
 玄丁が攻撃を引き寄せるために敵を挑発したが、一瞬の間があった。
(あ、駄目だ。そういえば練達でお嬢様の格好させられたしそこまで違和感なかったんだった)「こいつ、男だったのか!」
 なんなら玄丁の方がか弱そうにも見えるに違いない。
(まぁどちらにせよやることは変わりませんけど)

「こっからはアイドルとしてのカナタちゃんの出番だね!」
 彼方は息を吸って、マイクを構える。
 瞳はオーシャン・ルビーに染まった。
 戦うならば、魅せなくては意味がない。
「みんなー! 応援してね!」
 戦いながらのコール&レスポンス。
 それは敵にも味方にも、負けて、退場し、とぼとぼと肩を落としていた人たちにも、届く。
 全員に等しく。
(状況としてはアウェーかもしれないけど、私はあきらめないからね)
「!」
 ライバルのパルスに向かって、向けられたのはウィンク。
(この機会にパルスちゃんのファンも私のファンにしちゃうよ!)
(そういうことなら、負けないよ!)
(希望ヶ浜のアイドルの実力、見せてあげるね!)
「「せーのっ!」」
「ぱっるすちゃーーーん!」
「カッナタちゃーーーん!!」
 会場は大盛り上がりだ。

(射線が通ったか……)
 ゲルツは銃を構える。
 あの舞台に水を差すことになるかもしれないが、戦場ではそうも言っていられないだろう。目立つ、ということは的であることも意味するのだ。
 なにも、攻撃の手段は近接とは限らない。
 とくに妨害だけというのであれば、リボンを奪取する必要はない。
 スコープに黒い影がよぎった。
 けれど、ゲルツが銃を構えたその気配に、纏がいち早く気がついていた。
 それを受けたルーチェは意図を組み、飛んだのだ。
 ルーチェの剣魔双撃が、頭上から降り注ぐ。
「!」
 銃を剣に持ち替えざるを得ない。
「なに、リボンがある程度溜まったものでな。せっかくだから、貴様などとは一戦交えてみたかっただけである」
(ふ……)
 つかの間の戯れ。
 ルーチェとゲルツは武器を構えて互いに対峙するが……。
「今だーーーー! やっちまえーーーー!」
 銃口と華々しい魔力の嵐は、ラッキーパンチを狙った第三者に向いた。

●みんなに笑顔を!
(まだ全力で戦えるうちにパルスちゃんに一撃当ててもらいに……)
 一瞬だけ焔の頭にそんな考えが頭をよぎったが、一生懸命にがんばるパルスと、そして彼方を見てはっとする。わざとなんて、だめだ。
(ううん! ボクも一撃当てるつもりで挑んでみるよ!)
「ごめんね皆、ちょっとだけパルスちゃんと1対1で戦わせて」
「んー、雑魚ばっかりだしねー、いいよ。もうちょっと手ごたえが欲しかったんだ」
「なんだとこのガキ!」
「ここは任せてください!」
 玄丁が挑発して敵を引き寄せ、オリーブが後退して穴を埋める。
 玄丁が”消える”。いや、暗くなったのだ。
 陰鬼がまとった影から力を得た纏が、刃を止めた。
(ボクじゃまだまだ届かないかもしれないけど、全力でいくからねパルスちゃん!)
 全身全霊のパッションを乗せて、思いを込めて一撃。
 この烈火業炎撃を。
 大好きという気持ちがきっと言葉よりも雄弁に、一瞬で伝わったと思う。
 代わりに、パルスの一撃を食らって。
 確信する。
 胸は高鳴る。
(届いた)
 今、届いた。目が合った。絶対に。『絶対』に!

「そろそろクライマックスね」
 イナリが姿勢を屈めた――だがそれは単なる避けではない。悪性変質・コードデモニアを起動し、イナリは4足歩行となっていた。
「気を付けろ、後ろだ!」「前だ!」
 敵は混乱している。
 ぱきり。
 割れる音が今度は縦横無尽に響き渡る。
 一帯を巻き込んで、リーヌシュカのエヴァブレイズが一撃を受け止めた。
「さすがね……!」
 全てを防御に振っていなければ危なかった。イナリが攻撃をやめると、一帯に立っているのはリーヌシュカだけとなっていた。
 リーヌシュカの瞳が憧れに煌めいた。それから、ぐっと踏み込んでくる。
(これって、――勝ち負けとか、理屈ではないのね。戦いたい。全力を尽くして!)
「よしよし、いっくよ!」
 ンクルスのsystem:Ellie v2は混沌肯定によって翻訳され、コンパイル(再翻訳)され、イナリに力を貸していた。
『原初の祈り』。皆にも、だ。創造神を信ずる者もそうでない者にも、ンクルスは祈る。ご加護がありますように、と。
「その程度じゃ倒れられないなあ?」
 玄丁は攻撃を受け止める。
 オリーブの輝くハンズオブグローリー……ではない。これまで打ってきた布石だった。
 その手のひらにはリボンが握られていた。
「実際安い搦め手ですが」
 オリーブは呆然としている戦士にリボンを見せて肩をすくめた。
「一度だけならば、と思っていました」
「うんうん、目的を見失ったらだめだよねー」
 玄丁はひらひらとリボンをやった。

「ふっ、ふふふふ! ねぇ、今の見た?」
 観客席。ビッツが身を乗り出して笑いをこらえている。
「あえて攻撃手段としてずっと”手を”使って、このための布石を打ってきたのね。やるじゃない、最後の最後で決めてきたわ」

●結果発表、リボンは誰の手に
「終了! 終了です!」
 試合終了の鐘が鳴り響いた。
 辺りは屍累々。
 勝敗は、客観的に見て、残った二つのチームのどちらかといったところだった。
 一つのチームは、勝利に向かって手堅く守ってきたチームだ。
 そして、もう一つは――彼方たちであることに間違いがない。果敢に挑み、魅せる戦いをして、そして最後まで残ったのだ。
「勝てるかな?」
「どう、でしょうか。全力はつくしました」
「これを足してください」
 纏がリボンをそっとリボンを渡した。
「あれ、いつの間に! やったね」
 コンバルグとンクルスの攻防。その間に奪い取っていたリボンだ。

 そして、それは告げられる。
「勝者、オーシャン・ルビーズ!!!」
 一瞬だけ水を打ったように辺りは静かになり、それから絶え間ない拍手と勝算が降り注ぐ。
「良い試合でした」
 武器を下ろして、彼方がパルスに歩み寄る。
「うん、すごく、楽しかった! みんなの思い、とっても伝わってきたよ! 応援してくれてありがとう」
「ふええ、あああ、ふええ!? ぱぱぱ、ぱるすちゃ……」
 へなへなと座り込む焔。
「またステージでセッションしようね!」
「はい、次はもっと盛り上げましょう」

成否

成功

MVP

オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者

状態異常

ンクルス・クー(p3p007660)[重傷]
鋼のシスター
ルーチェ=B=アッロガーンス(p3p008156)[重傷]
異世界転移魔王
影縫・纏(p3p009426)[重傷]
全国大会優勝

あとがき

優勝、おめでとうございます!
MVP狙ってるからってMVPにしたんじゃないんだからねっ!
その活躍に、惜しみない賞賛を。
気が向いたらまたどこかで一緒に冒険いたしましょう。

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