PandoraPartyProject

シナリオ詳細

その天燈に想いを込めて

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●天燈飛ばしのお祭り
 夕暮れの空にふわり、ふわりと天燈が高く舞い上がる。
 天燈飛ばし。スカイランタンとも呼ばれるそれは紙袋で作られた簡易熱気球であり、底部に固定された油を浸した紙を燃焼させ、紙袋の中の空気が熱せられることで空高くに舞い上がる仕組みになっている。
 天燈を飛ばす理由は様々な世界、地域によって異なるが、この世界ではこう言われていた。
「飛ばした天燈に妖精が宿り、その想いを天へ届けてくれる」
 天燈をひとつ飛ばした少女はそう呟きながら、手を結び天への祈りを捧げる。空を見上げれば沢山の天燈が舞い上がっており、どの天燈が自分のものだったかわからない。
 けれどきっと、想いは天へ届くだろう。
 天燈に宿った妖精がどこまでも、どこまでも高くその想いを届けてくれるのだから。

●あなたはどんな想いを?
「シャイネンナハトも無事に終わり、今年もあと少しになりました。
 あなたは年末年始、どう過ごされる予定でしょうか?」
 境界案内人は年末年始もイレギュラーズを新しい世界へ導くのに忙しいのか、年末の片付けも後回しに幾多の本が山積みのままになっている。
 そんな山積みの本の中から興味深い世界を見つけたイヴ=マリアンヌは、その本を開きながらひとつの祭りの話を始めた。
「天燈飛ばしというお祭りを知っていますか?」
 彼女の話によれば、その世界では新年が明ける前に沢山の天燈が空高く舞い上がり、飛ばした人は天燈に様々な想いを込めるらしい。
 それは新年の抱負、願い事、恋愛、はたまた亡くなった者へ届ける想いかもしれないが、綺麗な明かりが灯った無数の天燈が夜に空高く舞い上がる光景はとにかく幻想的なものだという。
「この一年間を振り返るのも良いですし、新年の目標を掲げるのも……あるいは好きな人へ想いを伝えるのも。今年の『思い出』をひとつ増やしてみるのは如何でしょうか」
 イヴはそんなことを言いながら笑顔であなたを送り出すのだった。

NMコメント

 今年もあとわずかになりました。牡丹雪です
 今年の振り返り、来年の抱負、願い事、想い人への告白、あるいは亡き人への想いを載せて天燈を飛ばすのは如何でしょう。

●天燈飛ばしって?
 天燈(ランタン)のお祭りです!
 この世界では毎年新年近くになると会場へ集まった人達が紙袋でできた天燈に様々な想いを載せて一斉に飛ばすそうです。
 気球と同じ仕組みで飛び交う天燈が彩る夜空はとても幻想的だそうです!

●できること【想いを載せて天燈を飛ばす】
 想いを載せて天燈(ランタン)を飛ばします。
 また、願いを書いても上空で燃え付ける為、他人に見られることはありません。
 そして想いは言葉にしなくても構いません。宿った妖精がきっと天へ届けてくれるはずです。

●ざっくりとした世界観
 混沌とあまり変わらない世界をしており、近くに大きな湖が存在します。
 基本的に天燈は街で飛ばされますが、あまり人のいない湖でも飛ばせます。
 (2人用の小舟の貸し出しも行われているようです!!)

●プレイングについて
 同行者がいる場合は以下の定型をお守りいただけると幸いです。

 1行目…同行者(いない場合は空白)
 2行目以降…プレイング

●アドリブについて
 本シナリオでは、アドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄か目標タグの横に一言記載ください。

 それでは皆さん、良いお年を!

  • その天燈に想いを込めて完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年01月09日 14時45分
  • 章数1章
  • 総採用数4人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

古木・文(p3p001262)
文具屋

●妖精の舞う夜空
「綺麗な夜空だなぁ、妖精が本当にいるみたいだ」
 天燈で照らされた街や、綺麗な湖が一望できる少し高い丘の上で、『文具屋』古木・文(p3p001262)は天燈の舞い上がる夜空を眺めながら呟いた。
 先ほど文が街で飛ばした天燈は、数々の天燈で埋め尽くされ、どれが自分のものかわからない。でも、ゆらゆら不規則に昇る天燈は全てに妖精が宿っているように見えた。
「家内安全? はちょっと違うし。
 商売繁盛? も別に願うほどのことでもないし……うーん」
 せっかく天燈を飛ばしたのだからと、文はふと自分の願いを口にしようとして首を傾げる。
 思い返してみれば混沌世界では様々なことがあった。楽しかったことは勿論、辛くて大変だったこと、哀しかったこともイレギュラーズの文なら体験しているかもしれない。
 でも、彼は『混沌のイレギュラーズ全て』を想って再び空を見上げた。
「来年も皆が無事でありますように」
 見晴らしの良い丘に肌寒い風が吹き抜け、沢山の天燈が丘の上空にも流されてくる。
 それは彼の願いを、まるで妖精が聞いて天に届けるように。
 願いはきっと叶う。そう信じ続ける限り、妖精は願いを運び続けるのだから。

成否

成功


第1章 第2節

耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

●来年はきっと
 街外れにある大きな湖の上にいくつかの小舟が進んでいる。
 小舟に乗っているのは天燈飛ばしをふたりで楽しもうとする友達か、はたまたカップルか。きっとこの世界の人々もそれぞれこの祭りを楽しんでいるのだろうが、『およめさん』澄恋(p3p009412)は小舟の上に立って、ひとりで天燈が舞い上がる夜空を眺めていた。
 人は誰しも儚き願いや夢をもつ生き物であるが、澄恋もそのひとりである。
 彼女は永遠の愛に憧れる乙女だが、なかなか上手くいっていない様だった。挙句の果てに結婚詐欺に遭うなどすれば、『散々な一年だった』と誰もが言うかもしれない。
 それでも澄恋は浮力をもった温かい天燈から手を離し、安らかな表情で想いを天へ飛ばすのである。
 そして想いを言葉に、まるで天燈に宿る妖精へ願うように呟いた。
「運命の人に出会えますように……!」
 強く両手を組んで瞳を閉じた澄恋の、天に向けての本気(マジ)で真剣(ガチ)のお願いだ。
 来年はきっと、自分の隣に運命の旦那様が一緒にいることを信じて。

成否

成功


第1章 第3節

わんこ(p3p008288)
雷と焔の猛犬

●亡き者を想う者
「ははぁ、想いを載せて天燈とやらを飛ばすと……。
 それなら、わんこもお一つ頂戴致しマスネ」
 天燈を飛ばす人は全員が何かを願って飛ばしているわけではない。
 『シャウト&クラッシュ』わんこ(p3p008288)が天燈を飛ばす時、彼女はイレギュラーズになってからの出来事を想い返していた。
「……イレギュラーズになってから、本当に色々あったもんデス」
 それは普段の依頼でもあれば、豊穣や傭兵の国で起きた大きな戦いでもあるだろう。
 そういう時に助けられた人もいれば、助けられなかった人もいる。無論、果敢に戦場へ赴き散っていってしまった人も。
「それが例え、名前も知らない誰かであっても、その事がちょいちょい引っかかったりするんデス。キャヒヒヒ、機械の悲しき性というかなんというか……」
 わんこは基本自らを“ふざけていてあほだ”と称しているが、例え機械であっても亡き者を想う感情は普通の人間と変わりない。そんな彼女の姿が、誰に滑稽に見えるものだろうか。
 わんこは散っていった人達への想いを込めて、天燈を空へ手放した。

「……ご冥福を、お祈り致しマスネ」
 妖精が宿った天燈は、空高くへ舞い上がる。
 彼女の想いはきっとあの世にも届くだろう。妖精が届けてくれるのだから。

成否

成功


第1章 第4節

天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に

●過去への戒めと決意
「今年……まあ年明けたから去年か。色々あったからな……」
 既に年も明けてしばらく経ち、天燈を上げる者も少なくなってきた頃。
 『蒼穹の戦神』天之空・ミーナ(p3p005003)はそんな誰もいない湖のほとりで独り黄昏ていた。温かく光る天燈を手に、色んな事を考えてしまう。
「……意地になって戦い続けた海洋決戦。
 助けたかった人。助けられた人。——助けられなかった人」
 それは決してミーナに力がなかった訳ではない。
 魔種だから仕方ないとは理性で分かっていても、もう少し別のやりようがあったのではないかと、彼女の性格が考えさせてしまうのだ。
「私は、あの子との約束を果たせるのかな……。
 そのために生き続けなければいけないというのだけれど……」
 ミーナはそう呟きながら、天燈から手を離す。
 妖精が宿った天燈はゆらゆらと揺れながら空高く舞い上がると、既に遥か彼方へ飛んでいってしまった。
「こんなところに居られましたか」
 同時に、境界案内人のイヴが姿を現した。どうやら祭りはこれで終わりらしい。
 ミーナは先に戻っていると歩いていってしまったイヴを見て、もう一度天燈の飛んでいった空を見上げて、そして帰路に着くのだった。

「……ああ、今度こそは。うまくやらなきゃな」
 そう、自分への戒めと決意を乗せて。

成否

成功

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