PandoraPartyProject

シナリオ詳細

【夢世界】レッド・ジェイル

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 多数の部屋がある。いや、部屋というよりソレは牢屋だ。その場所に入っている者達は【夢世界】にて罪を犯した者達や強力な夢魔である。そう、この場所は夢世界の牢獄、通称《夢幻牢獄》と呼ばれる場所だ。《ドリーミング・キングダム》にて国家転覆を狙った元【勇者】などの罪人が服役しているこの牢獄は、現在二人の夢世界の主が門番をしていた。
「それにしても、ここには夢魔が来ないなぁ。あたし、暴れ足りないよ…」
 そう呟いたのはスタープレイヤー・スバルだ。彼女は夢魔や脱獄を狙う罪人が門の近くに来ないことで暇を持て余しているようだ。
「けど、夢魔が来ないことに越したことはないですよ。こうやって門番が暇しているくらいが良いですからね」
 スバルの呟きに反応したのはライブラリアン・ユリだ。彼女は自身の夢世界から持ってきた沢山の本を傍に置いて、それを読み耽っていた。
「というか、ユリ。そんなに悠長にしていていいのか?最近夢魔の発生が拡大しているからこうやって主が二人も門番になっているのに、その一人がこう仕事をサボっていても……」
「大丈夫ですよ、スバルさん。それに私たちなら夢魔の群れでも大丈夫ですし、上位夢魔が出ても対処は可能です。それこそ、最上位夢魔が出てきたら相性にもよりますが……」
 スバルが本を読んでいるユリを咎めるも、ユリはどこ吹く風で本を読み続けている。むあ、この二人は数いる夢世界の主の中でも強い部類のため、ユリの言っているように上位夢魔程度なら二人でなんとかできるだろう。

 だが、もし本当に最上位夢魔やそれに値する戦力が現れたら。ユリとスバルに足りなかったのはそこへの想像力であった。


 こうやって二人で門を見張っていた頃、とある人物が夢幻牢獄に訪れた。
「あら、ミッチさんじゃないですか」
「おっ、ミッチか。悪いんだけど、これでも仕事中だから話は後で……」
 ミッチと呼ばれる少女、サイエンティスト・ミッチは近づくスバルに向かって手を向けて……
「邪魔です」
 その手から毒々しいガスを噴き出した。間近でガスを受けたスバルは、吸い込んだ量がかなり多かったためその場に倒れてしまう。
「スバルさん! ……って、何ですか、これは! 動けないです!」
 スバルに駆け寄ろうとしたユリは、まるで糸に引っ張られたような体勢でその場を動けなくなってしまった。友人にして同じ夢世界の主である存在の裏切り、動けない体に疑問符が絶えないユリの前にミッチとは別の人物が現れる。
「ふむ、やはり夢世界の主という大層な力を持っていようとであろうと所詮は非力な少女ですね。まあ、私の糸は簡単に引きちぎれるものではないですが」
「貴女は……どうしてこんな真似を」
 ユリはミッチとは別の女性に問いかける。
「そうですね。これは仲間を増やし、食材を増やすための行動ですよ。その障害になるため、貴女たちを動けなくさせていただきました。それと、自己紹介が遅れましたね。ご主人様に仕えし人形使い、ミシュティムです。では、ごきげんよう」


 ふむ、これはかなり、というか最悪とも言えるような酷い状況だ……まさか夢世界での戦いに夢魔以外の別勢力も関わってくるなんて、彼女たちだけでなく僕も想像できなかったね……
 とにかく、君たちにやることの説明だ。まず優先すべきは夢世界の主である三人を救出すること。そしてミシュティムとやらを倒すことだ。ただ、ミシュティムもきっと夢世界の主の一人であるミッチを倒しているだろうからかなりの強敵のはずだ。もしかしたら君たちだけだと勝てる可能性も薄い……だが、この無辜なる混沌にあるアイテムやスキルならミシュティムを倒さずとも主人の三人を助け出せる可能性があるかもしれない。そこも考慮してみて、頑張ってくれ。

NMコメント

 お待たせしました。桃山シェヴァリエです。ついに、夢世界と赤い世界の二つの物語が交差しました。ここから物語はクライマックスへと向かっていきます。

今回の目的
 今回の目的ですが、まずはミシュティムによって拘束・弱体化された夢世界の主たちを救出すること、そしてミシュティムの撃破です。それぞれの救出方法ですが、スバルは毒による拘束のためBS回復スキルや状態異常を回復できそうなアイテムで救出ができます。ユリとミッチですが、ミシュティムが扱っている糸を切ることで救出ができます。ただし、糸はかなり細く見えづらいうえ、かなりの強度を持つため簡単に切断するのは難しいでしょう。なお、ミッチは操られている際、不殺で倒せばスキルを封じることができます。

エネミーデータ
 ミシュティム
  『ご主人様』とよばれる人物に仕える人形使いでヒトならざる者。夢世界の主一人を単独で倒せるレベルには強い。戦闘はミッチに頼る部分が多いが、単独でも糸を使った攻撃でイレギュラーズを翻弄する。彼女を倒すことは目標の一つであり、彼女を倒すことでミッチやユリを縛る糸を消せる模様。また、夢幻牢獄にて何かを企んでいるようでもある。
 ミッチ
  ミシュティムに操られている夢世界の主。OPにもあるように毒や薬品を使った攻撃で戦う。BS対策をしてあると楽に戦えるだろう。また、スバルの毒に対する特効薬は彼女が持っている。

登場NPCについて
 スタープレイヤー・スバル
  夢世界の主の一人。戦闘開始時はミッチの毒で動けなくなっているが、毒をなくせば強力な物理アタッカーになる。
 ライブラリアン・ユリ
  夢世界の主の一人。戦闘開始時はミシュティムによって縛られているが、糸による拘束を解けば強力な神秘サポーターになる。
 サイエンティスト・ミッチ
  夢世界の主の一人。戦闘開始時はミシュティムによって操られている。うまく糸を切って自由にすれば毒や薬品を使う特殊アタッカーになる。

  • 【夢世界】レッド・ジェイル完了
  • NM名桃山シュヴァリエ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年12月25日 22時00分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
星影 昼顔(p3p009259)
陽の宝物

リプレイ


 夢世界における牢獄《夢幻牢獄》にやってきたイレギュラーズたち。彼らが境界図書館からこの場所に来た時、ミシュティムは夢幻牢獄に入る直前だった。『騎士の忠節』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)は彼女を見つけるとすぐにリリカルスターを放って気をひかせて自身に注目させた。
「世界の主人公三人を救出しながら悪の親玉を討伐とは、なかなか無理を言ってくれるね」
「だが、やることはいつもと変わらないはずだ。まずはお三方の救出から行くぞ」
 アルヴァのつぶやきにアーマデル・アル・アマル(p3p008599)が応える。アーマデルは糸で拘束されているユリのところへと向かう。
「救出と討伐が一緒だと少し面倒だね」
『境界とは言え依頼だ、油断はせんようにな』
「うん、境界の中でも強くて厄介みたいだし全力で依頼に臨むとするよ」
 『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)はミシュティムをかなりの強敵ととらえ、全力で挑むようだ。愛用の武器を携え、彼女は相対する。
「ねぇ炎鳥、君は僕に空を飛ぶ楽しさを最期に教えてくれた。今も飛べないままだけど、君には感謝しているんだ。そんな君もご主人様には感謝していたかもしれない」
 『陽の宝物』星影 昼顔(p3p009259)は以前戦って、自身に強い影響を与えた存在である炎鳥のことを思い出した。ミシュティムも炎鳥と同じく『ご主人様』に仕え、力を与えられた存在。だからこそ昼顔には思うところがあったのだろう。
「でも、彼らの行いはきっとろくでもないことに繋がっている……止めなきゃ」
 だが、今は迷っている時ではない。刀を抜き、自身と味方の士気を高めて戦闘へと向かう。
 かくして四人のイレギュラーズはヒトならざる者の中でも強力な存在、ミシュティムとの戦いを開始した。


 「やれやれ。耐久力には少しだけ自信があってね。とりあえず三人の救出の邪魔立てはさせるつもりはない」
 アルヴァは高い機動力を活かして、夢世界の主の救出を妨害させないためにミシュティムに近づく。
「一人で私に立ち向かいますか……いいでしょう、主の一人を操るために片手は使えませんからいいハンデでしょうしね。では、いきますよ」
 ミシュティムは近づいてくるアルヴァを前にして余裕の構えを崩さない。片手でミッチを操りながら、もう片方の手で糸を射出してアルヴァを翻弄していく。アルヴァのほうもヴァルハラ・スタディオンを活かしながら糸による攻撃を回避・防御し時間を稼いでいく。
 アルヴァとミシュティムとの戦いが繰り広げられている中、アーマデルは糸で拘束されたユリのもとへ向かった。
「ユリ殿、今助けるぞ」
「わかりました。お願いします」
 アーマデルはウヌクエルハイアを振るい、ユリを縛っていた糸を斬っていく。糸による拘束から解放されたユリは服を軽くたたいて埃を払った後、どこからか本を取り出してから言った。
「ふう、拘束は解けたようですね……私も助太刀しましょう。付与は任せてください」
「わかった。ユリ殿、頼んだぞ……よし、昼顔殿のほうも終わったみたいだな」
 アーマデルが視線を変えると、昼顔がスバルと共にこっちへ向かっていった。どうやらスバルの解毒もうまくいったようだ。
「スバル氏の毒は何とかなったよ。それじゃあそろそろ……」
「あぁ、ティア殿のほうに援軍に行くか」
「あたしもいくよ。操られているとはいえミッチはかなり強いからね。今度は遠距離から攻めていくから毒も大丈夫なはず」
 こうしてアーマデルと昼顔の活躍でユリとスバルも戦線に加わり、残す夢世界の主はミッチのみとなった。四人はミッチと戦っているティアのもとへと向かうが……「ティア氏!」
 ティアは先ほどのスバルのように倒れてその場を動けなくなっていた。


「この匂い……気をつけろ! ここら一体は毒が蔓延している!」
「なんだって!」
 アーマデルはティアの周辺の空気の匂いをかぎ取って周囲の危険を感知し、昼顔たちを近づけないようにした。
「ところで、貴方は毒が蔓延している場所にいても大丈夫なのですか?」
「まあな、俺は何ともないがユリ殿らはそうはいかないだろう。だから、ここは俺に任せてアルヴァ殿の援護に回ってくれ」
 アーマデルは三人をその場から離れさせて、一人でミッチのほうへ向かう。
「アーマデル氏、ミッチ氏と戦うならついでにこれも持ってくれ」
 去り際、昼顔は持ってきたカラーボールをアーマデルに渡した。そして使い方を簡単に教えると、ユリやスバルと共にミシュティムのところへ向かっていった。
「さて、話し合いは終わりましたか?」
「そうだな。覚悟しろよ、ミッチ殿。俺にはお得意の毒は効かないぞ!」
 アーマデルは両手の得物を構えてミッチに接近する。ミッチもまた薬品の入ったフラスコを構え、投擲を仕掛けた。だが、投げてきたフラスコをアーマデルは避けて、アルファルド……ではなく昼顔から託されたカラーボールをミッチの背後に投げる。カラーボールは糸の束に触れて空中で破裂し、ミッチを操る糸を見やすくした。
「そこか!」
 糸を見つけ出したアーマデルはウヌクエルハイアで糸を切り裂き、ミッチはその場で倒れた。こうやってその場にいる三人の夢世界の主を無事救出に成功したイレギュラーズたち。ティアも昼顔による治療を受けて解毒が完了し、四人のイレギュラーズと三人の夢世界の主はヒトならざる者、ミシュティムと本格的に戦い始める。


「……どうやら夢世界の主は全員解放されたみたいですね。よろしい、私も本気を出すとしましょう」
 アルヴァと戦っている間に夢世界の主を救出されたことに気づいたミシュティムは、突然糸を使ってアルヴァを拘束してから距離をとった。
「アルヴァ氏、今助けるよ!」
「待ってください! その前にミシュティムを倒すんです! きっと何か仕掛けてきます!」
 アルヴァの勘は急に距離をとったミシュティムの行動を警戒していた。そしてアルヴァの警告を聞いてアーマデルとティア、スバルはミシュティムに近づいて攻撃を仕掛ける。しかし、それよりも早く、ミシュティムは全身を糸で覆って攻撃をすべて防御した。ミシュティムはそのままアーマデルに接近して殴りかかっていく。少し束ねた程度でもなかなか切れないその糸が、全身を覆うほど使ったことでその硬さは何倍にもまして強くなり、攻撃力も格段に上がっている。またそれだけでなく……
「言っておきますが、これによって状況や行動に応じて最適な体の使い方で自動で戦います。つまり、さっきまでの片手を封じての戦闘とは訳が違ってきますよ」
 アーマデルを攻撃して吹き飛ばしたミシュティムはスバルに狙いを変えて攻撃を仕掛ける。しかし、
「させません!」
「これでも喰らうのです!」
「撃ちぬきなさい!」
 ユリ、ミッチ、ティアの三人による遠距離からの攻撃で注意をそらされ、その間にスバルは距離をとる。一進一退の攻防が、最前線で繰り広げられていた。
 その一方で、昼顔はアルヴァの拘束を斬って動けるようにしていた。だが、切れ味が特段いいとは言えない黎明恵風ではミシュティムの糸を断ち切るには難しく、拘束を解くのに時間がかかってしまった。
「それで、大丈夫なのですか? 俺にかまって戦いに参加しなくても」
 アルヴァは昼顔に問いかける。
「そうだね……ミシュティムは止めなきゃいけない。それはわかっているんだけど……僕じゃまだ、色々と躊躇ってしまうだろうから」
「そうですか……僕も他人に傷をつけるのは怖いです。だからせめて、仲間を守る騎士になろうと……」
「甘いね。それでいて、弱いよ」
 背後から、よく知らない人物の声。アルヴァと昼顔はとっさに振り向いた。そこにいたのは少年だった。だが、彼から感じるオーラは圧倒的な強者が纏う、それこそ現在戦っている人形使いや昼顔とアーマデルが以前戦った最上位夢魔以上のものであった。
「ふふっ、僕が誰かわかっていないようだね。では自己紹介するよ。僕の名はブラック・ドレアム。夢幻牢獄の奥深くに封印されていて、ついさっき目覚めた最上位夢魔だよ」
 ブラック・ドレアムは二人を前に淡々と説明を行う。
「さて、自己紹介も終わったところだし……壊れないでね」


 四人のイレギュラーズと三人の夢世界の主、対するは他の世界から来たヒトならざる者。その勝負の結果だが、一人の乱入者の出現によって勝敗はすぐに決まった。そもそも、ヒトならざる者の目的は乱入者、ブラック・ドレアムを目覚めさせることにあり、夢幻牢獄での戦いは封印に揺らぎを起こすための火種であったのだ。ブラック・ドレアムは一人でイレギュラーズと主たちを気絶させ、ミシュティムと共にその場を去った。幸いにも夢世界の主は三人とも死んではいなかったため無事ではあったが、ブラック・ドレアムの存在はのちの決戦で大きな影響を与えるだろう。
 最上位夢魔のなかでも最強の戦闘力を持つとされるブラック・ドレアム。彼を倒すにはこちらも強い存在を呼び出す必要があるだろう。だが、それもしばらく後のことだ。今はこの窮地をしのげたことをかみしめていこう。

成否

成功

状態異常

なし

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