PandoraPartyProject

シナリオ詳細

これはただのコタツではない。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●調査依頼
「コタツの調査依頼なのです」
 今なんて?
「コタツなのです」
 それはわかる。
「調査依頼なのです」
 それもわかる。
「コタツを調査するのです」
 ごめんわからない。

 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は至極真面目にイレギュラーズへ依頼内容を伝えていたらしい。これなのです! と突きつけられた依頼書には確かに『調査対象:コタツ』と記載されている。最もそれだけでは何をしたらいいのやら、ではあったが。
「調査対象のコタツは魔物なのです。でも、危害は加えられないことが分かっています」
 曰く。調査対象は自らへ誘引する魔力を放ち、入ってきた者の精気を吸って発熱するらしい。それ以上でもなく、それ以下でもない。吸収した力は全て発熱に使用されており、特段ここから魔物が成長するような可能性も見いだせないというのが練達科学者の見解だ。精気を吸われた人間は眠たくなり、熟睡してしまうが――やっぱりそれだけなのである。コタツも人間を殺す気はないようで眠ってしまえば精気の吸収を止める。そうなると動力源がないので、ゆっくりと発熱しなくなっていくのだと言う。
「練達の皆さんは、この魔物と共存できないか? ということに注目しているのです。人の精気……魔力のようなものが代替できればいつまでも暖かいままですし」
 そういうわけで、彼らは大気中の魔力を吸収する装置を発明したらしい。かなり微量しか吸収できず、本当にこれくらいしか使えないらしいが、それでもコタツを温め続けられるとなれば立派な発明品である。
「そういうわけなので、皆さんにはこれが本当に危害を加えないか、あと使い心地も知りたいって言われてるのです」
 早い話がテスターである。もしコタツ(魔物)が危害を加えようとしたならば叩きのめして良いとのこと。そうならない限りはゆっくりまったり暖まることになるだろう。
「コタツはとある空き家に運び込まれているのです。皆さん、そこでくつろぐ間のグッズとか用意しておいてくださいね。そのまま眠っちゃっても良いのです」
 そこで眠って風邪を引かないかどうか……は、自己責任である。
「あ、あと猫アレルギーの方は気を付けてください。コタツの発する魔力、どうやら猫たちには良く効くみたいなのです」
 どこから漏れ出しているのか定かでないが、練達の実験室にある間も外の猫がコタツへ向かって何匹もやってきたのだと言う。実験中、扉をカリカリと引っ掻く猫の鳴き声がうるさかったとかなんとか。
「ある程度の時間が経ったらシャルルさんがテスター終了を知らせに行ってくれる予定なのです。それまではボードゲームをして遊んだりとか、おしゃべりしたりとか……そうそう、お鍋とかも良いと思いますよ!」
 いいなあと言いたげに瞳を輝かせたユリーカは、次の瞬間「くしゅん!」とくしゃみをひとつ。

 年の終わりも見えてきて、外はすっかり冬の景色となっている。
 テスターという『仕事』ではあるが――ここでひとつ、のんびり今年を振り返ってみてはどうだろう?

GMコメント

●すること
 コタツ(魔物)に対してテスターになる

●コタツ(魔物)
・近くに行くと何だかコタツへ入りたくなります。効果は個人差があります。(猫にはとてもよく効きます)
・コタツに入るとその面積分だけコタツがAP吸収します。その分コタツは温かくなります。
・APが尽きると眠くなります。

総評:とっても魅力的で眠くなってくるコタツです。

 皆さんはこのコタツでのんびり過ごしてください。とはいっても誰が一緒になるかわかりませんから、以下のようなことをプレイングに書くとそれなりに時間を潰して楽しめるでしょう。

1. 今年を振り返って仲間たちに話す。
2. 来年の目標を仲間たちに話す。
3. 鍋を皆でつつく!

 勿論相談によっては『ゲームをする』『寄ってきた猫ちゃんを愛でる』なども問題ありません。あまりすることが分散してしまわないように3~4つに重点を置いて書くと良いでしょう。

●NPC
『Blue Rose』シャルル(p3n000032)
 旅人の少女。何故か猫に好かれるおかげで苦手です。猫たちは彼女に纏わりつく蔓薔薇と匂いが好みのようです……。
 シャルルが知らせに来てもそれ以降コタツに入ってはいけないということではありませんので、自由時間としてお誘い頂いても大丈夫です。その際はまとわりつく猫と格闘しながらも皆さんに付き合ってくれるでしょう。

●ご挨拶
 コタツがほしいです。駄目になりそうです。愁です。
 この前トマト鍋の素を買いました。なんだトマト鍋って。とても気になるので今度食べてみようと思っています。
 それでは、ご縁がございましたらよろしくお願い致します。

  • これはただのコタツではない。完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年12月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
すずな(p3p005307)
信ず刄
ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)
鏡花の癒し
黄野(p3p009183)
ダメキリン
ニコル・スネグロッカ(p3p009311)
しあわせ紡ぎて

リプレイ

●こたつ暖かいですね。

 ――はあぁぁぁーー。

 部屋の中にため息が漏れる。外が寒い故に尚更、『これ』の暖かさが身に染みていた。
「これは抗えない……」
 躊躇なく入った『血雨斬り』すずな(p3p005307)ははふぅと息を漏らす。常の剣士としての佇まいはどこへやら、すっかりだめだめグダグダであった。
「とてもいい魔物さんですね~」
「コタツが……魔物……?」
 『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)は首を傾げながらもやはりこたつに収まっている。最初はピピ――メイメイのカピブタだ――を抱っこして恐る恐る近づいていたのだが、ピピが警戒も何もなく嬉々として潜り込みに行ったのでメイメイもこたつにホイホイされた次第である。若干魔力を吸い取られている感じはするが、不快感はない。メイメイのお腹の上でピピはくったりとくつろいでいた。
(いざという時に、動けなくされてしまうのは、少しこわい、ですけれど……)
 だがしかし、そんなことも次の瞬間には流されていってしまいそうなほどに暖かく気持ちよい。『正直な旅人』黄野(p3p009183)は毛布をめくってそこに火元がない事を確認する。本当に自身らの魔力だけで動いているらしい。
「火事にならないのは大発明ではなかろうか」
「この炬燵、魔物よ?」
「人の精神力やら魔力やらを吸って加熱するのは恐ろしいと思うがね」
 『しあわせ紡ぎて』ニコル・スネグロッカ(p3p009311)が首を傾げ、『仁義桜紋』亘理 義弘(p3p000398)が肩を竦める。まあそんな彼らとてしっかりこたつへ入っているのだけれど。何にせよ、暖かくなり過ぎず、良い頃合いで温度を下げてくれるのなら魔物だろうとアリなのではないだろうかと早々に思わなくもない。
「あとはどこまで精神力を吸っていくものかしらね?」
 『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)はテスターらしく、まずこたつの外観から考察し始める。こうしてみれば台枠に布をかぶせただけの代物だ。特段動きらしい動きも見えず、気になるとすれば軽く魔力が座れている程度か。しかし彼女もまた不快に思う程の吸収ではない。
「複数人が入ってりゃ多少は軽減されるのかね……」
「誰か出てみる?」
「「「……」」」
 義弘の言葉にルチアが返せば、そこには無言が満ちる。そのテストはいずれの機会に別の誰かがやってくれるだろう。きっと。

 にゃーん。

「猫!!!!!」
 その気配を真っ先に感知したのは『光の翼でばさぁっと』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)である。振り返ればこたつに寄せられてきたか、猫が入り口からやってきている。1匹ではない。2匹。3匹。彼らはイレギュラーズたちに警戒心を抱くでもなく、いそいそとこたつへ。ぬくぬくになった猫の背中をひと撫でしてヨゾラは蕩けんばかりに笑顔を見せた。
「うわぁぁ楽園だぁぁぁ……!」
「ふふ、こたつは幸せの形よねぇ」
 そんな彼にニコルはくすりと笑みを漏らす。つい先日はこたつの夜妖――再現性東京で現れる怪異である――とも戦ったが、どうしてこの混沌には微妙に危害のあるこたつが多いのだろう?
(暴れることなくゆるりと楽しめたらいいのだけれど)
 はてさて、そこを確かめるのも仕事の内である。
「猫も虜にする……まあ、こう、なかなか癖になる暖かさがあるわよね」
 ルチアは手をこたつの中につっこむ。暖かいが、この発熱機構がなくとも十分虜になる性質を持っているのではないだろうか。こたつが入った人間を食べる、なんてことがなくて良かった。自宅に欲しい。
「いやぁ本当に欲しいですね……元々こたつを日常的に使用しておりましたので……」
 くたんとしたすずながそう呟く。快適さを身に教え込まれているのだ、抗えようハズもない。そんな彼女と同様に、義弘もまた前世界ではこたつを使ったことのある1人だ。
「まあ、この世界でコタツに入る事があるとは思わなかったな。しかしどこから伝わったんだろうな? いや、魔物だから昔からいたのか?」
 情報を齎したユリーカからも、この魔物がどこで発見されたなどの内容は聞いていない。依頼に必要がないから伏せられただけなのか、それともユリーカも掴んでいなかったのか。ともあれ、相変わらず混沌はよくわからない。
「しかし……これは、いいな」
 これまでずっと静かだった『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)が呟く。その視線は一方向へ。
 彼はこたつについて聞き及んでこそいるものの入ったことはなかった。実体験できることを楽しみにしていたのも事実。けれどもその真の目的は――こたつで気持ちよさそうにするふわもこアニマルたちを楽しむことであった。
 彼の視線先ではギフトにて召喚されたふわふわ羊、ジークが気持ちよさそうにこたつから顔を出している。出たり入ったりして遊んでいるのはにゃんたまたちだ。
(至福だ……)
「ピピさんも、いってらっしゃい、です」
 メイメイもお腹に乗っていたカピブタをそちらへ下ろしてやれば、好奇心旺盛な彼女――彼女である――はにゃんたまたちの姿に気付いてそちらへ向かっていった。それを微笑ましく眺めたメイメイは次いでイレギュラーズの一同へ視線を移し、ひそかに胸中で気合を入れる。
(たくさん、しゃべるのは……あまり、得意ではないです、が。……頑張りましょう!)
 というわけで魔物『こたつ』に対してのテスター、開始である。


●鍋美味しいですね。
 ちなみにこたつの上では既に用意された鍋がくつくつと煮えている。練達による文明の利器。もちろん人によっては元世界と全く同じものは作れないのだろうけれど、それでもありがとう練達。おかげでこたつに入りながらあつあつな鍋を食べられるよ。
「材料追加要りそう? 買い出ししてくる?」
「いや、大丈夫だろう。……そもそも出られるのか?」
 首を振った義弘にヨゾラは良い笑顔で「無理だね」と返す。いや、出られる気ではいたのだ。けれど猫のぬくもりがヨゾラをこたつから出してくれない。猫とは罪深く温かで可愛らしい存在である。
「食べられないものはないか?」
「ええ! どんなものでもいけるわよ」
 そういってお椀を受け取ったニコルの後にすずなは湯豆腐をリクエスト。ルチアもほくほくしながら鍋をつつく。暖かいこたつと温かい鍋料理がマッチしないわけもないのだ。メイメイはそのマッチングにほこほこ、ねむねむ。まだ寝る訳にはいかないので我慢である。
「案外ハズれぬのよ、コレ」
 黄野が置いた変わり種はチーズ。和風鍋ならポン酢や唐辛子なども良いが、今回はトマト鍋故に。シメはもちろん義弘がご飯を用意している。
「優勝だな」
 ご飯とチーズでできたシメにそう零す義弘。ここに酒があればのんべえ妖精もまた「優勝なの!」と叫んでいたかもしれない。概ね食べ終わったならお茶でほっこりと食後のくつろぎタイムだ。
「こたつといえばおみかん。おみかんといえばこたつ。おみかんが誠の鍋のシメと心得よといっても過言ではないぞ?」
 みかん籠をこたつの上へ乗せる黄野。皆が思い思いにそこからみかんを取っていく。義弘は人数分のお茶を注いだ。
「一応調査のはずなんだが……」
 視線を上げればみかんを食べる黄野、眠気覚ましにぽりぽりとおせんべいを口にするメイメイ。ヨゾラは猫にみかん拒否されてしょんぼりしながら食べている。
(……まあ、戦わなくていいんなら、それに越した事はないか)
 義弘がふっと小さく口の端を上げる間にも、イレギュラーズたちは自由に入って来てくつろぎ始める猫たちを可愛がりしはじめる。どうせそのうち眠くなってしまうのだ、今のうちに戯れておかなければ損である。
 というか、ヨゾラなんて、猫と聞いて参加したくらいである。猫との戯れは必須事項だ。
「可愛いねーぬくぬくだねー」
 持ってきたねこじゃらしをフリフリすれば、何匹かはこたつよりそちらが気になったのか寄ってくる。クッションを手にそれを振っていたヨゾラは、1匹の猫が自分とクッションの隙間に潜り込んでいく様子に笑みを深めた。どうやらそこの温もりが良かったらしい。
(この辺りの子なのかなぁ)
 野良にしてはどの子も身綺麗だし、人懐っこいように見える。もしかしたら近所で沢山猫を飼っているのかもしれない。
「ほらほら、みかんとか用意して……やっぱりだめですか?」
 すずながみかんを猫の方へと出すと、猫はちらりと一瞥しただけでこたつへ潜り込んでしまう。恐るべきこたつの吸引力。それでも可愛らしい猫たちと過ごせる空間なのだから、ここは天国である。猫さんかわいい。
「いたいっ」
 と思っていたらの猫パンチ。構いたがりなすずなに反抗しての一撃である。けれどやっぱりかわいいから許してしまう。仕方がない。
「お、」
 小さく声を上げたゲオルグに視線が集まるが、彼はその視線を受けていることに気付くと『それ』から目を逸らさぬまましぃと人差し指を立てた。視線で示した先にはジークとにゃんたまたちと、カピブタのピピと――そして猫たちが温もりにうとうとする姿がある。なんとも気持ちよさそうに眠る姿を一瞬たりとも見逃せず、ゲオルグはガン見しているというわけだ。
 しかして声は勿論視線でだって起こしてはいけない。触れ方もまた然り。起こさぬよう、ふわふわの手触りである毛並みをそっと優しく撫でてやる。彼らの睡眠がより深くなった頃――ようやく、イレギュラーズたちは今年の振り返りを始めたのだった。


●色々ありましたね。
「今年も色々あったよね……海洋の大冒険に、妖精郷のあれこれ。カムイグラのかんにゃらい、もとい神逐に……」
 あとは色んな猫、と嬉しそうに告げるヨゾラ。猫は全世界共通で可愛い。ただし魔種を除く。
「あとは鉄帝の事件もあったか。皆無事、とは言い難いし、よく世界が壊れずにいるもんだ」
「そうね。……来年が平穏無事である証拠も、どこにもないのよね」
 義弘の言葉にルチアも頷く。1年が波乱万丈なのはイレギュラーズ故か。海洋では冠位と呼ばれる魔種を1人倒したが、まだ他の魔種は存在し続けている。気を抜くことはできないだろう。
「オレは召喚されたのが秋も終わりのころであるしの」
 今年と言われても、と黄野は首を傾げながら今年を振り返る。彼が混沌に降り立ってから数か月だが、訪れて早々にカムイグラの争乱へ立ちあったものだからイレギュラーズという存在に対しての認識は『傭兵』のようなものに近いかもしれない。荒事が常であり、誰もが戦いに身を投じる。けれども海ひとつ渡ってしまえばこのような平和空間もあったりして。
「わたしも、イレギュラーズなりたてですからね。昔のことも全然記憶にないし……」
「昔の、ことを……?」
 きょとん、とするメイメイにニコルは記憶喪失なのだと告げる。けれど自身は気にしていないし、きっと記憶と一緒に様々な因縁もその世界に置いてきているはずだ。なんということもないとニコルは微笑んだ。
「まそんなわけだから、他の人の思い出がどんなものなのかとか、結構気になるのよね! これからの参考として聞かせてくれない?」
「参考になるかは……わかりませんが。いろんな、場所に行きました、ね」
 メイメイは浮かび上がる記憶をぽつぽつと話す。友人と、或いはその場で初めて会ったイレギュラーズと。イレギュラーズではない一般の人と。特別な事ができたとか、そういう観点では自身がつかないけれども、自分のした何かが誰かの役に立っていたなら嬉しいとメイメイは笑みを零した。
「なので……来年は、今までやった事がない事に、挑戦してみたいです。いつもと、変わらない……かもしれませんが」
 何せ、イレギュラーズになってからは初めての連続なのだから。ヨゾラはメイメイの発した『来年』に想いを馳せ、そして猫を見下ろす。
「猫をもっと愛でる、僕なりの人生を送る、僕を僕として確立する……かな?」
 さらに――興味への道しるべがそちらを向いてくれるのなら、だけれど。イレギュラーズの戦闘スタイル(クラス)にウィッシュマスターなるものがあると聞いている。叶えられる範囲なら、叶えてみたい。
「来年の豊富ですかー」
 猫にてしてしされながらごろんとだらけた格好になっていたすずなは天井を見上げる。きっと、自分の望みはこれからも変わらずひとつで。
「もっともっと剣を磨く、ですね」
「目標とする人がいるの?」
 ニコルの言葉に浮かび上がるのは2人。まだまだ足元にも及ばぬと自覚するとともに、まだ自分の至らぬ到達点があることに笑みが浮かぶ。
「ええ。目標は高く持たないと、ですからね……!」
 皆、世界の終わりなんて大それたところまで意識はいかない。自分か、その周りの小さな世界の願いに想いを馳せている。そんな姿にルチアはふっと笑った。きっとイレギュラーズには厳しい戦いが舞っているのだろうけれど。
「そうね……来年のこの時期にも、こうして笑っていられたらそれが一番よ」
「うむ。また1年楽しんで世界の滅亡を遠ざけようぞ!」
 黄野の宣言に、皆が一斉にしー! と人差し指を立てる。幸いにして、起きだしたものはいなかったようだ。
「……まあ、戦い続けてなんとかなるなら、カラダ張るとしますかね」
 義弘はそう呟いて、小さく欠伸を噛み殺す。ああ、何だか眠くなってきた。ニコルも同様に目を瞬かせる。
「まぶたが重くなってくるわね……寝てしまっても大丈夫なのよね?」
「はい……そう、聞いています」
「風邪を引くかもしれないがな」
 ニコルはメイメイと義弘の言葉を聞いて――でもやっぱり、抗えない。


●まだ続きますね?

「はい、お疲れ様。テスター終了だよ」

 猫のためにほんの少しだけ開いていた入口がばばんと大きく開けられ、冷気と共に着込んだ『Blue Rose』シャルル(p3n000032)がイレギュラーズたちを迎えに来る。その瞳が室内の様子を映し出し、彼女は小さく息を吐きだした。
 まずニコルが眠り。次に黄野が、そしてすずながこたつの温もりにすやぁと寝息を立て始め。義弘も風邪を引くからと頑張って起きていたのだが、つい先ほど力尽きたところであった。他の面々も中々眠そうである。
「テスター終わりかぁ」
 ヨゾラはうーんと伸びをするものの、まだ睡魔は逃げていかない。おまけに猫たちが行っちゃうの? とでも言うように見上げるものだから出ていけない。いやぁ困った困った。
(うちの領地にも欲しいなこのコタツ……猫沢山……)
 その光景を思い浮かべてほわほわしているヨゾラの傍ら、メイメイは若干呆れた表情のシャルルを見上げる。
「シャルルさま、こちらへ」
「こちらへ……?」
 どうぞどうぞと言われるがままに招かれたシャルル、何だかいつのまにやらあれあれあれ。
「こたつに入ってるんだけれど」
「はい」
「ボク、テスターじゃないんだけれど」
「はい」
 延長戦、しましょう。
 ね? と微笑むメイメイ。シャルルという猫ホイホイに寄ってくる猫たち。助けを求めるシャルルはゲオルグを見たが、
「任せてくれ。長く楽しみたければ対処する」
 と謎に自信ありげな顔で頷かれてしまった。

 結局――目覚めた義弘が片付けと撤退を促すまで、皆でごろごろぐだぐだしたそうな。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 テスターお疲れさまでした!

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