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シナリオ詳細

<Raven Battlecry>アンガー! ガールズ! カーニバルっすよ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カーーーーニバルっすよ!
 右を見れば女がいて、左を見れば女がいて、振り返れば女が群れを成していた。
 その誰もが大胆に肌を露出し、金銀宝石をちりばめた煌びやかなアクセサリーで身体を飾っている。
 そんな中でもひときわ激しい露出とひときわ煌びやかな装飾で一目をひく金髪の美女が、膝に手を当てて身をかがめ、ぜーぜーと肩で息をしていた。
 やがて顔を上げあなたの姿をみとめると、親指をビッと立てて女達をさししめす。
「ヘータイ、ちょっぱやで集めてきたっす! この子達の力を借りて、街で動き回る悪者どもをとっつかまえましょう!! 捕り物カーニバルっすよ!」

 時は現代ラサ傭商連合首都フェルネスト。
 この町は偽サンドマン事件以来の大騒ぎとなっていた。
「ハッ……! 見えます……街に蔓延る害虫が本棚をなぎ倒し老婆を脅しつけ色宝はどこだと怒鳴り散らす姿が……」
 水晶玉に両手をかざし、ガタガタ震える占い師風の美女。もはや全裸よりエロいみたいな格好をした彼女の後ろで、髭ずらの男がちっちゃいフルーツナイフを振りかざして『色宝はどこだ!』て叫んでいた。
「真後ろじゃん」
「マーレさんの占いっていつもそうですよね」
 扇子で自分の顔をぱたぱたやる娼婦のカサンドとスチームバイクにまたがりヘルメットを脱ぐ運び屋のジェニサが、とりあえずバイクで轢くことで髭ずら男を鎮圧して戻ってきた。
「うるさいわね。占いでなんでも分かったら私今頃億万長者よ」
「身も蓋もないことをいうな」
 そこへ煙草をくわえた老年の美女エリザが長いスカートをなびかせてつかつかと歩いてくる。
「にしても、今日一日で急に増えたねえ。商店街のほうもブラックマーケットのほうも、それりゃあもうこの手のヤツだらけさ。その男はブッチといって一昨年石膏屋をクビになったロクデナシさ。色宝のデマに踊らされたんだろうねえ」
「エリザさんが言うんならそうなんだろうな……」
「まあ、実際そうだと思うよ」
 カサンドは扇子をとじて男の額をぺちぺちやった。
「『俺は色宝を手に入れてビッグになるんだ』ってあたしの右乳鷲掴みにしながら言ってたもん」
「わかりやすく堕落してるなあ」
 じゃあこの人は馬小屋にでも放り込んでおきますねといってパン屋のヨヨがパワフルに男を担いで荷車へ放り込んでいく。
 エリザは煙草をトントンとやって、美しい顔の皺を深くした。
「男どもは街の防衛にかり出されてるし、おかげで店も強制休業だっていうじゃないか。
 だっていうのにクズどもがデマに踊らされて暴れ回っちまってる。
 ここは……女の出番だね」

●金が街の血であるならば、女は街の血管である。
 始まりはラサの砂漠地帯で発見されたファルベライズ遺跡群。それらを攻略することで獲得した色宝(ファグルメント)をめぐり、大鴉盗賊団とローレットの間で争奪戦が勃発していた。些細な願いしか叶えられない色宝をなぜそこまでかき集めようとするのかは不明だが、盗賊団の動きは日に日に激化し、やがてはパサジール・ルメスの民と精霊のおとぎ話を結びつけ、色宝をなんでも願いの叶うスーパーアイテムと偽ったデマを流し色宝の移送や保管を邪魔する工作まで仕掛ける始末。そしてついに盗賊団はフェルネストへ襲撃をかけ集中保管している色宝をかっぱらう計画を立てたのだった。
 その計画はフィオナが有する情報網によって事前に察知され、三大傭兵団であるディルク、ハウザー、イルナスたちが動いたことで『フェルネストに入られる前に叩く』という迎撃作戦が展開されるに至った……が、その一方。

 以前ラサ中に流布されたデマに未だ踊らされている者たちがいる。
「色宝が『何でも願いを叶える凄いアイテム』だと信じちゃった人達に、フェルネスト内のどこかに色宝保管庫があるっていう噂が流れちゃったみたいっす。
 それが具体的にどこにあるかは彼らもわかってないっすけど、街のあっちこっちであら探ししてるんっす。
 お店に押し入って棚を倒したり、ひとの家に入り込んで武器で脅したり。そんなもんだからあちこちのお店が休業状態になっちゃって……特にこの人達がバチバチにキレてるっす」
 このひと、といってフィオナが紹介したのが、先ほどから周りに居る露出バリバリの煌びやかガールたち。先ほど男を見つけては鎮圧していたエリザたちである。
 彼女たちの構成はフェルネストで働くダンサーやコールガール、たまたま立ち寄っていたジプシー、中にはカフェの店員に至るまで。いわゆる『働く女達』だ。
 強いて彼女たちを総称するなら……。
「フィオナちゃんのお友達、っす」

 というわけで。今回ローレット・イレギュラーズに科せられた依頼内容は町中で悪さを働きはじめた小物たちの一斉検挙である。
 傭兵たちや腕っ節のいい男達は街の防衛に出てしまったために、使える人員は非戦闘員ばかり。
 しかし彼らは彼らなりの特技を有しているので、目立って暴れているような連中を探し出すには向いているだろう。
 あなたは10~20人程度のガールズを指揮し、街へ散らばり悪者達を見つけ出しとっつかまえるのだ。
「ラサの女は、貯水槽を倒した時と商売の邪魔をされた時には怒り狂うっす。ラサ女の怒り、思い知らせてやるっすよ!」

GMコメント

 非戦スキルやギフト能力をぐいんぐいんに活かせるシティーシナリオへようこそ

■オーダー
 フェルネスト防衛――の裏でおこるドタバタ騒ぎ。
 色宝のデマに踊らされた悪者たちを見つけ出し、片っ端から成敗していきましょう。

■悪者の見つけ方
 皆さんには10~20人程度のラサガールズが即席チームの部下としてつきます。
 彼らはラサでいろんなお仕事についている女たちで、その特技を使って人捜しの力になってくれます。
 黒いネットワークに通じている娼婦、よく当たる占い師、表のネットワークに詳しいカフェ店員、お弁当作りに定評のあるパン屋、街の中の高速移動ならお手の物な運び屋などなど……。
 あなたはお好みのチームを組んで担当地区へ出撃し、悪人を見つけ出しておしおきするのです。

・チームのつくりかた
 先述したようにラサガールズがあなたの部下になります。
 お好みの職業ガールが欲しければそれをプレイングに書いてください。
 なにかしらふわっとしたリクエストでもOKです。おっぱいのおおきさでもOKです。
 とくに書いていない部分についてはガールズやフィオナが空気を読んで上手に配置してくれます。

・悪人の探し方
 ガールズの技能を借りたり、あなた個人の技能を用いることで悪人を探し出します。
 悪人達はフェルネスト内のどっかに色宝保管庫があるとおもってあら探しをしており、盗賊団が到着したらかっ攫われてしまうのでその前に見つけ出そうと躍起になっています。
 なので特徴は主に『色宝保管庫を探している』『店や民家に押し入って乱暴にあら探しをする』といったものになります。
 また彼らは武力や組織力をもてなかった個人たちなので、規模も1~2人程度の小さなものでしょう。

・悪人の捕まえ方
 ラサガールズはみな非戦闘員ですので、悪人をみつけたらあなたが直行して直接殴りかかることになります。
 大体の場合1対1の戦闘になり、相手を戦闘不能にすればお仕事完了となります。
 別に生死は問いませんので、自由なスタイルで戦ってください。

■余談
 本当の倉庫はフィオナの家のそばにありますが、これはこれで全く別の防衛がなされているのでご安心ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <Raven Battlecry>アンガー! ガールズ! カーニバルっすよ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月20日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
沁入 礼拝(p3p005251)
足女
グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
導きの戦乙女
眞田(p3p008414)
スカーレットの闇纏い
チヨ・ケンコーランド(p3p009158)
元気なBBA

リプレイ


「もぉ、あっちに竜こっちに盗賊で大変! その隙に……なんて舐めないで欲しいわよねぇ」
 缶ビールのプルタブをカシュっとやると、健康的なタンクトップ姿の『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が石のベンチで足を組んだ。
 冬というには妙に熱い。それがラサの気候なのか、それともなにかしらの工夫なのか。ともかく、アーリアはその陽気にまかせて冷えた缶ビールを半分まで飲み干すと、それをグッと天にかざして見せた。
「グラス(貯水槽)を倒された時と依頼(商売)の邪魔をされた時の怖さ、思い知らせてやりましょ!」
「「おーっ!」」
 その後ろ手は健康的な服装に身を包んだ美女たちが同じ缶ビールを天にかざしている。
 アーリアの結成したチーム『飲み屋ガールズ』である。
「まっさかアーリアちゃんと一緒に悪党退治とはねぇ」
「アタシこういうの夢だったの。やったるわー! シュッシュ」
 ブロンド髪を豊満な谷間に垂らした褐色の美女が、細くしなやかな腕でパンチのまねごとをしている。
 衣装はほとんどレースクイーンのそれだが、アーリアがよく転がり込む酒場のウェイトレスである。
「小悪党なんかチャッチャと倒して飲み直すわよアーリアぁ!」
「おっけーオリオンちゃん! 終わったら報酬で打ち上げ! いくわよぉー!」
「「おー!」」

 飲み屋ガールズとはどこか対照的に、『足女』沁入 礼拝(p3p005251)を中心とした美女達は妖艶な雰囲気とどこか高貴な装いにつつまれている。
 ラサの中心ネフェルストへ通うのは血気盛んな傭兵達ばかりではない。日夜大金を右から左へ動かし続ける商人達たちのテリトリーでもあるのだ。
 そんな彼らが好んで通うのは高級サロンや高級クラブ。
 特に一流の接客と教養をもつ、一見さんお断りの高級娼婦たちが礼拝の仲間として集まっていた。
「流石、夢の都のお店は洗練されていますこと。幻想とは趣が違いますが、美しいモノとはそれを超えて訴えてくるものですね……」
 礼拝もまた同じ世界に身を置く者。振る舞いや言葉遣いで彼女たちのセンスや日頃積んでいるであろう努力の一端が見えていた。
 ぺこりと頭を下げる礼拝。
「今日はよろしくお願いします。ヨーキ様」
「いやですわ、礼拝さん。私に様付けだなんて」
 クスクスと笑う高級娼婦ヨーキ。幻想貴族を相手取る幻想娼婦とはまた異なる、ラサの活気と健やかさをエッセンスにした女性であった。品格という点においては、国を超えて並ぶものがあったが……。
「……さて、弁償代と慰謝料の計算は終わりました? 足りなければ何でも引っぺがして売ってしまいましょう? サンドバザールはすぐそこですもの」
「あら、こわいこわい」
 ふふふと笑い合って、しかし本気の目をして礼拝とヨーキは首をかしげた。

「やれやれ、女は強いな……」
 『我が身を盾に』グレン・ロジャース(p3p005709)は仲間たちの様子を見ながら苦笑していた。
「女ばかりと見て火事場泥棒とは大した野郎だと思ったが、こんなしたたかな連中相手に懐をあさろうってのは流石に無謀だよな」
「そりゃあそうですよ、ラサの女は強いんです!」
 パン屋のヨヨがぽんと腕を叩いて見せた。
 アーリアや礼拝の仲間達とは異なり、グレンの組んだチームは幻想の街でもよく見かけるような女性達だった。
 『星砂商店街ガールズ』だそうだが、グレン的には初対面である。そういう商店街がネフェルストにはあるのだろうか。都市とはいえ広い場所だ。知らないところも沢山あるのだろう。
「捕り物カーニバルだって? 面白い遊びやってんじゃん!」
 俺も混ぜてよ、といってサングラスをあげる『レッド・ドラマー』眞田(p3p008414)。
 わざとらしく首をかしげ、よく見開いて目で口元だけで笑う。
「俺もクラブで知り合った子たち集めてみたんだ。いいっしょ」
 そういって眞田が紹介したのは、クラブでDJをつとめる女性やバーのピアニスト、シンガーやストリートミュージシャンなど音楽がらみの女性が殆どだった。
 共通して全員胸元が豊満だが、それは多分眞田の趣味だろう。
「ったく、ねみぃ。俺らは夜型なんだぞー? 日が暮れてから目ぇさます生き物なの」
 スリーピースサインが描かれたベースボールキャップを被った黒髪の女性があくびをしながらティアドロップタイプのサングラスを外した。
「マーダー、煙草」
 くいくいと指で手招く女性。
 そのキャラの強さにグレンは半歩下がり、改めて紹介を求めた。
「えっと、この人は?」
「さあ? 名前はしらね。昨日会ったばっかだし」
「ソーダ。DJやってんの、ヨロシク」
「……グゥ? ……?」
 『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)も自分なりに女性達を集めたらしく、ラサでパカダクラ乗りをしている人々が沢山のパカダクラを連れて集まっていた。
(これでいいのかな。でも、みんなやるき、すごい。
 ぼくは大きな翼を広げて、ラサの空をとぶ。
 みんな、何かあったら、あいず、してね)
「……グゥ」
 女性の一人にそう呼びかけると、なるほどなるほどと言って頷いた。
「なんて?」
「自分は空を飛んで探すから私たちには地上を頼むんだって」
「よくわかったね今ので」
 動物すきだしー、といって照れたように笑う眼鏡の女性。ゆうてリーディングもちであるらしい。
「なるほど。日頃戦場で見かけないだけで彼女たちもプロフェッショナル。私たちとは異なる長所を持っているということか……」
 『艶武神楽』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)は借りたパカダクラの上から個性豊かなラサガールズたちを眺めていた。
 ローレットもたいがい個性豊かだが、ギルド仕事にすら従事しない人々の個性はそれを上回ってはみ出るということだろう。
 そんなブレンダが頼ったのは飲食店で働く女性達。
 普段から多くの人に触れているぶん、情報伝達も早いだろうと考えたのだった。
「今日はよろしく頼むぞ!」
 振り返ると、両手を合わせたサリー姿の褐色の美女が笑顔で頷く。
 頷いて、こう言った。
「ナマステ」
「今の状況はよくわかっていると思う」
「ナマステ」
「そうだ、暴れている者を見かけたら私に伝えてくれ」
「ナマステ」
「そういうときは速攻でぶん殴って止めてみせよう」
「ナマステ」
「それなら心配はいらない。任せてくれ」
 後ろからスッと顔を覗かせる『Stella cadente』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)。
「なんで通じてるんだ、それで」
「私にもわからん。とにかくよろしく、ナマステさん!」
「ナマステ」
 世の中は広いな……とラサの魅力をへんなところで知るモカ。
 彼女が集めたメンバーはこれまでに登場した様々な女性達からちょっとずつ集めたような混成チーム。
 いうなればミックスモカチームである。
「裏を取れていない情報に惑わされたバカどもに、地元で好き勝手に暴れ回られて黙っていられる民衆はいないさ。
 だが今は戦闘経験の無い人々しかいない。だから私たちがやるんだ、お仕置きをな」
「そーそー、ぶっとばしてやろーね、もっきー!」
「もっきー!?」
 不意打ちみたいなニックネームに二度見するもっきー。もといモカ。
 彼女はミルキーといって名前に似合ってあちこち白い牛乳配達員である。足の速さと牛乳の早飲みが強みだという。
 そんなラサガールズの中で、ひときわ異彩を放っていたのが。
「わ し じ ゃ よ !!!!!!!!!!!!!!!」
 ドラム缶担いで集中線つきで振り返った『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)。
「チヨばーさん!」
「チヨさんじゃねーか!」
「ババアまだ生きてたのか!」
「みろ、それだけじゃねえ……!」
 チヨの周りにはデデンデンデンという謎のBGMと共にやたらオーラのあるババアたちが一人また一人と集まり、ババア軍団を形成していく。
 見かけたラサガールが流れる汗を拭った。
「サヨナキドリのラサ支部を束ねる名物ババアがついに動き出したってワケね。あの人のもつババアネットワークと迫力は謎の説得力がるって有名よ。ちなみに実年齢も謎。謎のババアよ!」
「今日イチ濃いラサガールじゃん」
「ヒュー、負ける気しねえっす!」
 フィオナはグッと拳を握り、そして天にパーをかざした。
「街の外は男達が守ってくれるっす。中のちっちゃいワルたちはフィオナちゃんたちが退治する……いざ、ラサガールズ出動っす!」
「「おー!」」


 コルボたち大鴉盗賊団による襲撃はフィオナの情報網によっていち早くネフェルストじゅうに広まり、あちこちの店は臨時休業となった。そのせいか歓楽街や商店街もシャッターを下ろし、どこか寒々しい風景が広がっている。
 にも関わらず、盗賊団なにするものぞとばかりに堂々と店を開くところもいくつかあった。そして、蟲は蜜にこそ吸い寄せられるもの。
「なあオリオン。実はヤベえネタを掴んでんだ。明日には俺、億万長者になるぜ。だからよぉ、俺と一緒に街を出ようぜ。そんときゃ手に入れた色宝で金を――」
「あら、あら」
 隣のテーブルから身を乗り出したアーリアが、男の首筋に中指の爪を立てた。
「いたずらっ子ねぇ。おしおき、しなくちゃね?」
 ハッと見上げる男。オリオンたちが酒瓶をせーので振り上げ、男の頭めがけて――。

 同じくこんな時でも開いているクラブがあった。
 ここの金庫に色宝が隠されているというウワサを真に受けた男が、陽気なライブを素通りしてスタッフルームへと入っていく。
 いくら騒がしく人を見つけづらい場所とはいえ、スタッフが部外者の侵入を見逃すほどではない。
 眞田はポケットに手を入れたまま……。
「じゃ、お仕事してくっかね。部屋の外で見張りヨロシク」
 ビッと二本指を立てて了承のサインをするソーダ。
 眞田はローブの男のあとから続いてスタッフルームに入ると、屈んで金庫をこじ開けようとしていた男(YKだったかな)が拳銃を抜いた。
 構えて引き金を引くまでの僅かな時間。眞田は彼の拳銃をハンドポケットのまま蹴り上げ更に靴底でYKの顔面を蹴りつける所までをこなしてから、やっと両手をポケットから出した。
「ステージじゃねーのが残念だよなあ。クールなBGMがついたろうに」
 ヒッと鳴く男めがけ、眞田は猛烈なパンチラッシュを浴びせていく。

 店で待ち伏せる作戦は案外上手くいくらしい。
 と、モカはキャバクラに押し入って嬢にナイフをつきつけた男を見て頷いた。
「色宝を出せ! そしたら命は助けてやる。ほら、早くし――」
 つかつかと歩み寄るボーイ。
 なんだてめぇとナイフを突きつけようとした男の襟首を掴むと、強引に振り回して壁へと叩きつけた。更に鋭いニードルキック。
 崩壊した壁から野外へと転がり出る男に、モカはネクタイをゆるめながらため息をついた。。
「あんた、ラサの女たちを怒らせたようだね。彼女たちに代わってお仕置きしに来たのさ。
 今回は、命を取るのは勘弁してやるよ。私もこっちでは品行方正で優しいお姉さんで通ってるんだ」

 一方でグレンは貸倉庫の中でミネラルウォーターのボトルをあけ、中身を飲み干していた。
 やがて扉ががらりと開き、男が入ってくる。
 ペンライトをかざして暗い倉庫内を探ると、奥でこれみよがしに鎮座する宝石に『へへへ』と笑みを漏らした。
「これで俺も億万長者だ。札束風呂だぜ」
 いかにも頭のわるいことをいいながら宝石に伸ばした手が、空ぶる。
「幻だ。その宝石も、ウワサも、アンタの抱いた札束風呂の夢とやらもな」
 聞こえた声に身構える……が、グレンが掴みかかり膝蹴りを入れるほうが圧倒的に早かった。
 男はくの字に折れまがり、倉庫に積まれた木箱へと激突していく。
 気絶した男を縄で縛ると、倉庫の外へと出て行った。
「お疲れ様です、グレンさん」
 にっこり笑うパン屋のヨヨ。
 彼女たちに頼んで倉庫内に色宝があるというウワサを流させたのだ。
 ヨヨはグレンにナプキンを一枚渡すと、それじゃあ頑張ってくださいねと手を振って走り去っていた。
 なぜナプキン?
 グレンは改めてナプキンを見ると……。
「アドレスが……書いてある……」
 意味するところは、いわずもがなだ。

 悪人退治は順調だった。
 というのも、この期に及んでまだ色宝のデマに踊らされているほどチョロく、コルボがかき集めたという捨て駒舞台にすら入れないほど見込みがなく、かつ色宝で一発逆転を狙おうなんていう浅はかな人間を誘い出すのは非常に簡単だったのだ。
 『元々そんなことしそうな奴』だけでも充分にラサガールズの情報網にひっかかり、かつそいつが動き出したという情報は人から人へ素早く伝わり実行に移したときには……。
「人様に迷惑をかけてこんなことをするんじゃない」
 運び屋のバイクに二人乗りしたブレンダが、カレー専門店メガインドの前へとまった。
 銃を突きつけてナマステさんを脅していた男が『ンダテッメスッゾラァ!』と奇声を発するや否や、ブレンダは彼の襟首を掴んで担ぎ上げ頭から地面へと突き刺した。
 地面から逆さに生えた男がぐったりしたのを確認すると、ブレンダは運び屋のバイクへと戻っていく。
「この男も無力化した。縛ってそこら辺にでも転がしておいてくれ」
「ナマステ」

 こうなってくると、見つけるよりも誘い出す、誘い出すよりも動きを制限することが有効になってくる。
「……グウゥ」
 アルペストゥスは連絡のあった場所へと飛行。急降下すると民家へ押し入ろうとしていた男を強引に自重でプレスした。
 ぎゃあといって転倒し、手からナイフが離れる男。
 眼鏡のパカダクラ乗りが、アルペストゥスへ手を振った。
「そうそう、その人だよ。しっかり気絶させてね」
「グウゥ」
 流した電撃で男を気絶させるアルペストゥス。
 道の前後をパカダクラの集団で埋めていた女性は、それを解除し――たところで別の男が必死の形相で駆け抜けていった。
「まーーーつーーーのーーーーじゃーーーーー!」
 そのまた後ろを猛烈な勢いで追いかけるババア。肩にはドラム缶。
 その左右を固めるように走るダブル包丁のクレオパトラと丸めた新聞紙を振りかざすガラシャ。
 こんな妖怪みたいなババアたちに追いかけられて正気で居られる者はすくない。
「ちぇりゃあああああ!!! ラサの女を怒らせたのが運の尽きじゃ〜〜〜〜!!!!」
 チヨは担いでいたドラム缶をシュートすると、逃げる男へと直撃させた。
 ぐええといって転倒した男に無数のババアが飛びかかり、押さえ込んで縛り上げる。
「全部片づいたかの?」
「そうですね。この人で最後です」
 そう言ってあやしい店から出てくる礼拝。
 彼女が『いらっしゃいな』といって鎖を引くと、全裸の男がハァハァいいながら四つん這いで出てきた。もちろん鎖は彼の首輪への直結である。
 ここまで色宝を狙うごろつきたちの情報を引き出していたのは他ならぬ礼拝である
「よくできました。ご褒美をあげなくてはいけませんね」
 そう礼拝がつぶやくと、男はフゴォといってヘッドスライディングしてきた。
 その頭をぐにぐにと踏み始める礼拝。
 チヨたちはそれを一通り観察してから……。
「業が深いのう」
 と、端的につぶやくのだった。


 と、いうわけで。
「アルコール! ボーイズアンドガールズ! カーニバルよぉー!」
「イエーーーーイ!」
 フィオナも混じって、アーリアたちはクラブハウスで乾杯した。
 眞田はガールズたちと共に陽気にドラムを叩きまくり、ギター演奏とダンサーたちのド派手なライブが始まる。
「飲むぞい!食うぞい!ぱーちーじゃ!!
 おミヨちゃんが作ってくれたご飯をモリモリ食うのじゃ若い衆!
 今日はゆっくり休んで明日も元気に働くのじゃ! ほっほっほ」
 チヨはノリノリでダンスするババアたちに混じって骨付きフライドチキンをムシャつき、そんな料理を運んできたモカが苦笑しながら肩をすくめる。
「日常を支える女達……か。こうなっては、かなわないな」
「今日は助かった。費用は私が持とう。思う存分飲み食いしてくれ」
「ふふふ、その必要はございません。ね?」
 ブレンダがビールジョッキを掲げると、丸椅子に腰掛けていた礼拝がフットレストを踵でコンと叩いた。
 フゴォと叫ぶフットレスト(55歳妻子持ちの豪商人)。
 『ご遠慮なく』と眉をあげてみせ、スパークリングウォーターのはいったグラスを手に取る。
 アルペストゥスも『平和な時間、好き』と目を瞑り、部屋の出入り口あたりで彼女たちの様子を眺めていたグレンも『俺に気にせず楽しんでくれ』と手をかざした。
 ガールズカーニバルは、夜明けまで続くだろう。

成否

成功

MVP

チヨ・ケンコーランド(p3p009158)
元気なBBA

状態異常

なし

あとがき

 ――首都の平和は守られました

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