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シナリオ詳細

《狐の嫁入り 外伝録2》ドラゴンハント!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

■肉を用意せよ
 獣人達の住まう世界。その中で荒れ果てた大地に居を構えるのは屈強な獅子人達。一時は黒の影の影響で獅子戦争と呼ばれる戦を引き起こすも、狐人とその友人たちの介入により解決。今では元通りの生活を送っている。
 彼らは傭兵家業、魔物を狩ってはその肉や革、骨などを採り他種族と交易する事で生計を立てている。
 そして此度も。
「お呼びですか、王よ」
「うむ、よく来たなアシュトン」
 王の前に恭しく頭を垂れるのは、獅子戦争で手柄を立てて近衛兵に抜擢された若き獅子人アシュトン。普段は礼儀を知らぬような彼でも、王の前では礼節を弁えている。
「そろそろドラゴンの素材がなくなりそうでな。一つ狩りにでも、と思うたのだが……我は王。気軽に動ける身ではない」
 どこかそわそわしながら獅子王は語る。彼も一人の獅子人、戦いこそが人生というもの。しかし王として最低の執政はしなければならないという自覚もあるのだ。
「故にお前に代理を務めて貰いたくてな。共は誰を選んでも構わん。一つ頼まれてくれるか?」
「ははっ、お任せください!」

「さて、誰と行ったものか……」
 王の命を受けた後、アシュトンは城下町を歩いていた。同じ獅子人を集めて、とも考えたのだが、何かこう刺激がほしい。
 そう考えていたところ、視界の端に見知った顔が映る。
「よう、クロード」
「あ、アシュトン」
 兎人のクロードだ。彼は獅子戦争において狐人に協力した者、いわば戦争を終結に導いた功労者である。それ故か今はこうして、獅子人との交易の仲介者を務めている。
「仕事か、お疲れさんだ」
「いえいえ、これが俺の仕事ですし。もう終わったので後はちょっと観光しようかな、と」
 にや、とアシュトンが笑う。これ、だと勘が告げた。
「じゃあちょっと俺に付き合えよ」
「え? いいですけど……何に?」
「ドラゴン狩りだ」
「いーやーぁーっ!!」
 哀れこうして、か弱い兎人はドラゴン狩りにつきあわされる事になりましたとさ。

■肉、食べたくない?
「……雉も鳴かずば撃たれまいとは言ったものよねぇ」
 兎だけど、クロードさん。そう付け加えるのは境界案内人のポルックス。見慣れた装丁の本を片手に合掌と言いたそうだ。
 イレギュラーズの一人が勝手に殺してやるなよとつっこみ、ごめんと笑う。
「ま、そんな訳で。皆はこの二人に協力してドラゴンを狩ってきてね。一匹でいいみたいだからさ」

NMコメント

 また外伝です。思いついたんだもの、以下略です。
 今回のオーダーは一つ。ドラゴンを一匹狩猟してください。味方NPCは二人同行します。
・アシュトン
 獅子人。屈強な肉体を持つファイター。割と自信家。今回は斧装備で一撃の威力重視。
・クロード
 巻き込まれた兎人。臆病者ゆえか敵意ある者の気配に敏感。味方の支援、回復が得意で彼が倒れない限りは全員のHPAPが毎ターン少しずつ回復する

 敵のドラゴンは6種います。この中から一種、どれにするか統一してください。ようはどれ食べたいですかって事です
・ファイアドラゴン
 火属性。武具を劣化させるブレスを吐く。肉は非常にジューシー。熱い。
・ブルードラゴン
 水属性。睡眠に誘うブレスを吐く。肉は冷たく硬い。血が独特の味わい。
・サンダードラゴン
 雷属性。動きを麻痺させるブレスを吐く。肉は痺れる旨さ。本当に痺れる。
・アースドラゴン
 土属性。毒を含んだブレスを吐く。毒を含む為に食べれる箇所は少ないが、非常に美味。
・ホワイトドラゴン
 希少種。ブレスは吐かないが強靭な肉体を持つ。味の程は不明。
・ブラックドラゴン
 希少種。ブレスは吐かないが纏う気は近づくだけで気弱な者の心をへし折る。味の程は不明。

 以上です。狩る対象を絞らないとランダムでどれかが出てきます。
 狩場まではアシュトンが誘導してくれます。他の敵の所在はクロードが探ってくれるので乱入等はありません。
 混沌世界のドラゴン程は強くないので、しっかりとかっこよく決めて、そして美味しく頂いてあげてください。
 それではよろしくお願いいたします。

  • 《狐の嫁入り 外伝録2》ドラゴンハント!完了
  • NM名以下略
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年12月19日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
時任 零時(p3p007579)
老兵は死せず
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師

リプレイ

■大地に眠る竜
「ドラゴンと踊らごん」
 ただでさえ冬を迎えて寒くなった日に、『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)の寒いギャグが炸裂。体感温度が更に下がった気がするのは……気の所為だとしておこう。
「竜殺し……男なら一度は成し遂げたいものだよね」
 いい機会に恵まれたものだ、と少年のように目を輝かせ、一方で油断なく気配を探るのは『特異運命座標』時任 零時(p3p007579)だ。百戦錬磨の古強者といった風貌に似合わぬ口の軽さ。されど油断ならない使い手であると獅子人の戦士たるアシュトンは見抜く。
「ドラゴンハント、戦士の誉れの一つだな。まあ俺は戦士じゃなくて鍛冶屋だがな」
 零時とは別の意味でワクワクしているのは『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)その人だ。鍛冶師を名乗る彼だからこそ、ドラゴンの素材を作って一品作ってみたいと血が騒ぐのだ。
 そんな血が滾る二人とは裏腹に落ち着いているのは『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)。混沌世界における竜種にまつわる話を思い浮かべながら戦力差を冷静に分析する。
「ここの連中は竜まで狩るのか……勇ましい事だな。こっちは6人しかいないが……」
 混沌世界ほど強くないのなら、なんとかなるかと思い直し。前方を見据える。気配に敏感な兎人のクロードが及び腰ながらも前を歩く姿が見える。
「あ、唸り声がしました。そろそろかと」
 彼と同じく聴力に優れた零時も、先程までのにこやかな笑顔とは打って変わって戦士の顔つきになる。他の者にはまだ感じ取れなかったが二人の様子から気を引き締め直す。
「いたぜ、あれはアースドラゴンだな」
 かさり、となるべく音を立てないように草をかき分けたアシュトンが小声で喋る。草むらの向こう、大地に横たわって眠る緑の鱗の竜。それが狩猟対象。
「あれがそうなのね。……みた感じ食べれる気はしないけど……」
 毒もあるという話をセリアは思い出す。しかし、河豚という毒魚を食べられるようにしたのは人類だ。ならば、あれも食べれないはずはない。
 未知なるものを求めるのは冒険者の性なのか。
「ちょうど眠っているようだし、先手必勝でいきましょ」
「ああ、任せろ。クロードさんは援護頼むぜ」
 錬と世界、セリアが攻撃術式を起動し始める。世界の言葉にクロードは最後尾に移動しながら頷き、全員のサポートをするべく身構え。
「アシュトンくん、前は任せたよ」
「なかなかハードだが、燃えるシチュエーションだな!」
 零時の声に、アシュトンは武者震いをしながらも、笑って応じる。
「後で俺も前に出る、無理はするなよ?」

■毒の息を乗り越えて
「そぉれっ!」
 ずん、と大地を踏みしめると同時に掌を真正面に突き出す零時。まるで空間が歪んだかのように、離れた位置で眠る大地の竜の横っ腹を叩きつける。
 その一撃に目が覚める竜であったが、離れたところからの不意打ちの一撃だったが為に6人の居場所がすぐには掴めない。その隙を見逃す狩猟者達ではない。
「いけ、白蛇よ」
 世界の喚び出した白蛇が地面を這いずり、竜の死角から鱗に守られた身体に噛み付く。頑丈な肉体といえど、そして毒を持つ身体といえど。外部から侵入する毒に強いかというと必ずそうであるとは言えないのだ。
 グォォォ……!
 竜が苦悶する。白蛇の毒が身体に入った事で苦しんでいるのだ。
「大丈夫かな? 毒とか使うと後で食べる時困らない?」
「……浄化すれば大丈夫だろ、きっと」
 零時の懸念の声に一瞬考えてしまう世界だったが、後のことは後で考える事にした。
「次はわたしの番ね!」
 この世界、狐人や獅子人の間では名の通った術士であるセリアが十八番の魔弾をドラゴンへ放つ。その後を追いかけるように、アシュトンが斧を手に駆け抜けていく。
「タイミング、ぴったりだ!」
 セリアの魔弾がドラゴンを強襲するのに一拍遅く、アシュトンの斧が翼を叩き斬る。一刀両断とまではいかずとも、鱗の何枚かは剥げ落ちたようだ。
 グガァッ!!
 その痛みに怒りの声をあげるドラゴンが、近くにいたアシュトンを突き飛ばそうと身体を揺らす。が、錬がすんでのところで間に割り込む。
「っつ……この程度なら、問題ない。鍛冶師舐めんなよ!」
 自らの身体に強化魔術を施しながら、錬が吼える。日々、金槌を振るう鍛冶師は身体が鍛えられているものなのだ、彼とて例外ではない。
 しかもそのすぐ後ろでは、クロードの援護がある。一気に全快とまではいかずとも、着実に回復が行き渡るのが感じ取れる。
「ほら、次行くよっ!」
 離れた位置で零時が右足を振り上げる。ドラゴンの顎が衝撃波に蹴り上げられる。これもまた武術の一種。極まった武術は魔術と大差がない、という説もあるのだ。
「毒は効くんだ、じわじわと弱らせよう」
「狩猟の基本ね、追い詰めるのは」
 もっとも、わたしは苦手だけど。そう一人零したセリアは全力全開で再び魔弾を放つ。まあそうだろうな、と小声で突っ込んだ世界の事は一度意識の外へ追いやった。
 アシュトンがドラゴンの真正面から再び斧を振り下ろす。ドラゴンの視線がアシュトンに向いた隙に、錬は符に魔力を宿し、不可視の槍兵達を一斉にドラゴンの翼へむけてけしかける。
 先の一撃で鱗が禿げた翼は、根本のみを残してドラゴンの身よりこぼれ落ちる。
「なるほど、思ったよりは強くないな」
 これでは強い武具を作る素材にはならないか、二級品か、と品定めも忘れない。
「おい、油断するなよ!」
 硬い顔面に斧を受け止められたアシュトンが檄を飛ばす。竜の口が開き、嫌な匂いが立ち込め、吐息と共に吐き出される。毒の息だ。
 間近にいたアシュトンと、錬の身体が一瞬毒霧に隠され見えなくなる。すぐに霧は晴れるが、二人の身体が変色しているのは明らかに毒を吸い込んだ後遺症だ。
「まずいな、結構威力はあるようだよ」
「クロードさんはアシュトンを! 俺は錬を回復する!」
「は、はい!」
 すぐさまクロードと世界の回復支援が二人に行き届き、毒は浄化される。大きく呼吸を取り直して、錬は頭を振って気持ちを切り替える。
「悪い、油断した。腐っても竜は竜だな」
「また息を吸い込んでるわよ!」
 セリアの言葉どおり、もう一度ブレスを吐き出さんとドラゴンが身体を持ち上げて大きく息を吸う。
「させないよっ!」
 とっさに走り出し大地を蹴り跳躍。落下する体重ごと拳を振り下ろす零時。拳の行く先は、ドラゴンの上口。
 ゴン、と鈍い音がした。まさに息を吐かんと口を開きかけたドラゴンであったが、上から与えられた衝撃で思いっきり自分で毒の息を飲み込んでしまう。
「ナイスだぜ!」
「今のうちに!」
 怯んだドラゴンに怒涛の連続攻撃が降り注ぎ……かの者の抵抗むなしく、やがて四肢は動きを止めた。

■実食
「ところでこれ、どこが食べれる部位なの?」
 アシュトンが手慣れた様子で息絶えたドラゴンを解体していくのを眺めていたセリアが、血の匂いに咽ながらも質問する。
「基本的に内蔵に近いところは食えないんだ。足の先とかにちょっとだけ食えるとこがある程度だな」
「苦労したのにそれだけかい? 割にあわないねぇ」
 アシュトンの説明に、零時がどこか残念そうに声をあげる。しかし、すぐに何か思いついたように世界を呼び寄せる。
「そういえば世界くん、君も毒を浄化できるんだよね」
「ええ、まあ」
「河豚みたいにさ、毒をなんとかしたら食べれる気がしない?」
 一体誰が毒味をするのだろう。そうつっこむべきか考えた世界だが、別の逃げ道を考えついた。
「じゃあ俺はさっき菓子食ったからいいや。皆で食べなよ」
「え、いいの?」
「浄化はしておくからさ、ほら」
 癒やしの力をドラゴンの肉に施す世界と零時。決して毒のドラゴンだから美味しそうに思えなかったとかではない、らしい。本当にお腹が減ってなかったから、らしい。
「よし、簡単にだけど武具に使えなさそうな鱗で皿を作ったぞ」
 一方、鱗を手にあーでもないこーでもないと格闘していた錬が、6枚の鱗を手にやってくる。鱗の内側が綺麗に磨かれ、外側は本来の緑が鮮やかに輝く更に加工されていた。
「お、いいじゃんこれ。後でもっと作ってくれよ、王にも献上したい」
「いいぜ、任せとけ」
 アシュトンの要望に、威勢よく応じる錬。異世界とはいえ、王の位の者にまで見せるとなれば鍛冶師の誉といえるだろう。
「できたわよー」
 クロードと一緒に肉を焼いていたセリアが、皿へ乗せていく。きっちり世界の分まで用意されていたのは、善意100%である。
 さすがの世界もこうなれば逃げ場などない。きっと毒なんてない、と信じて恐る恐る一切れ口にする。
「……お、鳥の手羽先っぽいな」
「それは足先の方ね。鳥の祖先は恐竜とかいう話もあるし、似てるのかも?」
「こっちもイケるよー」
 零時が口にしているのは、浄化魔術を施した内蔵の部分だ。幸運にも毒は消え去っていたようで、彼は笑顔のまま次々と口に運んでいる。
「これはいいな。そういえば自然界では毒を持つものほど、実は美味しいっていうし……」
「へぇ、そうなのか。クロード、今度も一緒に一仕事頼むぜ。幅が広がりそうだ」
「……えぇ……」
 錬の呟きを聞き逃さなかったアシュトンが、クロードの肩を掴んで笑う。当のクロードは完全に困惑していたが。
 こうして見事に大地の竜を狩猟した一行は、王都へその成果を持ち帰る。
 獅子王はその成果に満足し、イレギュラーズ達を戦士団に迎え入れたいなどと言い出したが……四人はそれぞれの言い訳を残してその場を後にした。

成否

成功

状態異常

なし

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