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シナリオ詳細

稲作ちゃれんじ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●呪われた田んぼ
 高天京での争いによって神逐がなされ、豊穣では束の間の平和が訪れた。
 だが、この地から呪詛や肉腫のたぐいといった災いが消えたわけではない。
 争いの傷跡が癒えぬうちにも、まだまだ問題は多くあった。

「村の田畑も呪われてしまっておるのです……」

 高天京に陳情に訪れたのは、今和村(いまわむら)の村長であった。高天京からも近く、京の人々に米を供給する地域としても知られていた。
 その米どころの田んぼが、呪詛の影響によって稲が育たなくなっているという。
 一大事である。
 このままでは、今和村の人々が困窮するだけではなく京の食糧事情にも影響が出でてしまう。

「田の土に呪いが染み付いてしまって、村の衆だけではどうにも。土を起こして、祓い、浄めるところからやらねばならないと存じます」

 呪わた土では、苗もまともには育たない。
 しかし、高天京にはこの呪いに対処できる籾がある。

「そこで、米倉にあるキヨユタカの種籾をお分けしていただければ、と」

 キヨユタカというのは、稲作文化が豊富な豊穣でも、特に貴重なコメの品種である。施餓鬼法要や新嘗の祭りなど、神聖な儀式に用いるために選り分けられたもので、魔を祓う特別な力を持つと信じられている。
 田に込められた呪詛を吸い上げ、浄化してくれるのではないか?
 今和村の村長はそう考えて訴えに上がったのである。
 この状況を重く見た中務省では、宮中の米倉で語り継がれてきたキヨユタカを下賜することを決定した。
 しかし、問題はここからである。

●お米を育てよう!
「お米を育てろ! なのです」

 ギルド・ローレットの『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、冒険者たちに呼びかけた。
 今回の依頼は、土から呪われてしまった田んぼを浄化するというものである。
 呪いによって作物が育たなくなる深刻な被害に立ち向かうべく、宮廷から邪気や呪いを祓う力を持つという種籾キヨユタカが与えられた。
 しかし、このキヨユタカは稲の中でも殊更育成が難しいという難点があった。
 呪いには強いが、病気には弱い。茎が細く大風が吹くと稲が寝てしまう。雑草に負けるが薬などで除草しようとすればこの影響も受ける。肥料もしっかり作らないと過栄養で枯れることもあるという。種籾の中から発育しそうなものを選定し、冷たい水に浸しておかないと発芽も難しい。

「お米を育てるのは、村人の皆さんだけではとても手が足りないそうなのです」

 米を育てるのには、俗に八十八の手間がかかるという。
 そのうえ、呪われた田んぼの浄化を任せるのだから、村人たちだけでは大変なこともわかるだろう。

「……それに、田んぼの呪いから泥の怪物も出現するなんて情報もあるのです」

 ユリーカは顔を曇らせながら言った。
 田んぼの呪いがどのような術法のものなのかは、わかっていない。
 しかし、肉腫の影響などであれば、そこから魔物が出現する可能性もあるだろう。

「田んぼの呪いを稲作で解きつつ、怪物とも戦わななきゃいけないのが、イレギュラーズの大変なところなのです」

 まずは田起こし、その次に種籾から発芽、田植えまでの面倒を見てやらねばならない。農業の知識と技術、そしてなにより根気、さらには怪物と戦う腕っぷしも必要とされているのだ。

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 カムイグラの神逐に勝利し、平和の訪れが予感されるところですが、まだまだいろんなことがあるわけです。
 その復興として、重要なお米作りを含んだ依頼となります。
 お米は手間がかかりますが、手間をかけた分の実りが期待できる作物でもあります(これも天候次第という点もありますが)。
 そんなわけで、稲作をしていきましょう。

▼今和村の田んぼ
 まずは、呪いを解く効果があるというキヨユタカを育て、種籾を増やさねばなりません。
 イレギュラーズが担当する田んぼは、一反分(991.736平方メートル)となります。
 現在、呪いを恐れて村人もめったに近寄らず、放置していますので田起こしからせねばならない状態です。

▼キヨユカタ
 神聖な儀式のために育てられたという伝説があり、大地を浄化して魔を祓う効果があると伝わっています。
 しかし、生育が非常に難しいため、その力にもかかわらず宮廷の米倉に種籾として仕舞われていました。
 今回は、田植えができる苗を育てるところまで描写する予定です。

▼泥の怪物
 田植えの準備をしようとすると、人間ほどの泥の怪物が現われて邪魔してきます。
 農作業のつらさ、収穫を奪われた者たちの怨念が泥に染み付いており、呪いによって怪物化したとも推測されます。
 10体前後出現し、泥の中に引き込もうとします。
 泥を飛ばす遠隔攻撃も行なってきます。

▼農作業
 キヨユタカは種籾の状況ですので、まずは種籾の選別や発芽させて苗を作るところから始めましょう。長らく米倉の中に閉まってあったので、いろいろ手をかけてやらねばなりません。
 また、水張りや田んぼの手入れなどさまざまな作業が必要となります。
 季節は、冬から田植えの春までをダイジェスト的に演出します。
 この依頼を受けている最中でも、時系列を気にせず他の依頼に参加しても問題ないものとします。

▼その他
 アフターアクションなど希望がありましたら、続編もやっていこうかと思います。

 そんなわけで、稲作にチャレンジしてくれるイレギュラーズは、どんどん集まってください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 稲作ちゃれんじ!完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年12月09日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
浜地・庸介(p3p008438)
凡骨にして凡庸
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
目的第一
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
キャナル・リルガール(p3p008601)
EAMD職員
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星

リプレイ

●聖なる種籾
 代々受け継がれてきた幻のコメ、キヨアカリ――。
 神聖な力を宿し、育った地を浄化して邪を祓うと伝えられている。
 しかし、そのように珍しい品種ゆえに育成が難しく、いつしか育てる者がいなくなり、現在までわずかな種籾だけが保存されていた。

「ぶはははっ、俺の知らないレアな米の品種か! しっかりと育てて良い米に仕上げねぇとな! こいつぁ腕が鳴るねぇ!」

 稲作――。
 カムイグラの農業の中心であり、文化の発展までに影響する。
 これに挑もうというのは、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)であった。

「キヨアカリかぁ。確かにボクも聞いたこともないね」

 ゴリョウが呼んだ知識豊富な助っ人ヤマダも、聞いたことがないという品種だ。
 しかし、これからの分析と稲作農業一般の知識は役に立つだろう。

「お米、すなわちライス。食べ物と言えばプリンでありプリンこそ至高。しかし――」

 今回、稲作の依頼であるがプリン至上主義の『たんぱく質の塊』マッチョ☆プリン(p3p008503)も加わっていた。
 お米至上主義とプリン至上主義、どう見てもバッテングするとしか思えない流れである。
 しかし、プリンは違った。

「ウオオオオッ! 征クゾヤルゾ! スベテハ、至高のプリン定食ノ為ニッ!!」

 マッチョ☆プリンは、プリンをおかずに米を食べられる。
 いや、プリンこそ最高のライスのお供だ。
 これが導き出される答えである。
 豊穣の人々が食べる料理の中に、卵かけご飯というのがある。溶いた卵と醤油をかけてかっこむというシンプルな料理だ。
 ご存知のように、プリンには多くの溶き卵が使われている。
 このプリンにかかっているのは、醤油そっくりなカラメルソースである。
 だから、ご飯に合う。疑う余地はなかった。
 溶いた卵の相性とカラメルの甘く焦げた香り、これと渾然一体となった炊きたての御飯の取り合わせは最高だ――マッチョ☆プリンはそう思っている。
 味もちょっとだけ、ウニ丼っぽい。

「おお! お久しぶりだっぺよぷりん殿~!」

 そして頼れる助っ人のらいす♨ばるく。
 お米の問題であれば活躍するであろうグリムアザーズだ。

「こりゃあまた荒れてるだなぁ……村の人たちのためお米のため、やりがいがあるっぺ!」

 らいすが言うように、村の田んぼは荒れていた。呪詛がかけられ、泥の化け物が出るということで放置され、手入れもなされていない。
 しかし、荒れ地ほど農魂は熱く燃え上がるものだ。

「稲作ですか。わかりました、力になりましょう」

 『群鱗』只野・黒子(p3p008597)も名乗りを上げたひとりだ。
 彼は元いた世界では、しがない地方公務員であった。
 公務員は、基本的に副業は禁じられているものの、農業は代々の家業として申請すれば副業として認められている。
 地方行政の立場から農業に関わることもできるであろう。
 
「大きな戦いが終わっても、それだけですべてが解決する訳ではありませんしね……」

 『ジョーンシトロンの一閃』橋場・ステラ(p3p008617)の言うように、呪詛が残した傷跡はいまだに残っている。
 米を神聖視し、文化の基本としているのは彼女の出身世界も同じだ。

「拙も日本人、お米が主食の国の生まれですから何かお役に立てるかも、なんて思いましたが……」

 ちらりと目をやると、農業と米に自信ありといった気風のゴリョウとプリンが並んですでに種籾の分析と稲作の方針について話し合っている。
 経験豊富なものに任せて、雑用から力仕事まで引き受けるつもりである。

「『稲作』かぁ。水稲だっけ? 初めてみるタイプの作物かも」

 『遺跡調査員』キャナル・リルガール(p3p008601)は、稲作初参加勢である。
 彼女の出身地では、育てる者がいない作物である。
 豊穣のように比較的温暖で湿潤な地域で育つものだ。

(んーむ、折角だし種籾を持ち帰りたいな……。でも、持ち帰ったところで鉄帝の土地じゃおそらく育たないかも)

 どうも、米という作物は蒔いた粒に対して収穫量が非常に多いという。鉄帝でも育てられれば、稔りをもたらせるかもしれない。
 そんな思惑もあって参加したのである。

「稲作……経験のないことゆえ、勉強の限りだな。俺には分からんことが多すぎる」

 稲作については、『凡骨にして凡庸』浜地・庸介(p3p008438)もまたくわしくは知らない。
 勉強せねばとも思っているが、農業は学べば学ぶほど深いジャンルのものだ。
 ガチに詳しい者が入ると、庸介も引いてしまう。

「まあ、これがお米になる苗なのですね!」
「ブハハ、これはまだ苗になる前の種籾ってやつだ」
「そうだったのですか。故郷ではなかなか目にできないものですから。でも、こうして見ることができてとても嬉しいです!」

 『武の幻想種』ハンナ・シャロン(p3p007137)は、稲作のことについては、豊富な知識を持つゴリョウやらいすと違って、それほど詳しくはない。
 しかし、植物に関することであれば得意だ。
 雑草取りや力作業にも、怯まずチャレンジしていく所存である。

「稲作に関する依頼なら稲荷神の眷属の1匹として手を抜けないわね。頑張るわよ!」

 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は、張り切っていた。
 お稲荷様と言えば、稲を象徴する神である。
 まず、稲作というのは環境が大事だ。
 農具を収納する倉庫の設置や農道の整備など、農業インフラを計画的に設計し、田んぼを中心とした農村における里山経済圏を築いていく。
 インフラの構築は、持続性という農業において常に問題となる事情を解消してくれるのだ。
 こうして準備が整い、いよいよ本格的な稲作が始まる。

●種籾の選別と雑草取り
「まず、やる作業は塩水選だ」

 ゴリョウが塩水を用意する。
 これは、身の詰まりがよく充実した種籾を選別し、発芽を揃え、病害を避けることができる。
 塩による清めの力も得られるだろう。

「皆さん、ゴリョウさんのやり方をよく覚えてください」
「はー、塩水に漬けるだか」
「いや、あれはかき回して浮いてきた身を除くっぺよ」
「塩水につけたりしたら、塩害はないんだか?」

 黒子に引率された村人たちが、興味津々でゴリョウの塩水選に見入っている。
 実は、塩水選はかなり近代的な方法である。
 経験則のみでの農法には限界があり、こうして新しい知識を吸収すれば、この村を覆う凶作の気配も去っていくだろう。

「田んぼはあれだが、ほったらかしたから草ぼうぼうよ」

 塩水選の一方で、手の空いた者は雑草取りに取り掛かる。
 畦道には、びっしりと雑草が生えまくっていた。
 水田は、稲の育成に最適な環境だが、イネ科の一年草というのは多い。
 そして聖域たる水田に侵入し、養分を奪って減収を招く。
 ノビエなんかは最悪だ。稲にもよく似ており、とってもとってもすぐ生えてくる。
 そのうえ、狩っていると葉や穂の破片が服に入り込んで痛痒くかぶれてしまう。
 実は、畦を作地として利用する場合がある。
 大豆、小豆を植えて副収入とするのだ。

「はい。が、頑張ります」
「雑草取りっすか? 任せてくださいっス。なにせアイアンハンドっすからねウチ」
「頭を使うことが苦手なんで、まず体を動かすとしよう」
「畦の雑草刈りなら私も参加します!」

 ステラ、キャナル、庸介、ハンナが雑草取りに参加する。
 ざっくざっくと鎌で刈っているだけでは、雑草はまた取り残した根っこから生えてくる。そして、雑草ほど固く根を張る。

「見んろ、ワルナスビだべ」
「これは……」

 ワルナスビはナス科の強害雑草として知られる。
 侵略的な外来種で、毒はあるわ棘はあるわ、繁殖力は凄まじいわ、除草剤に耐性があるわと、農民を苦しめるために存在するかのような雑草である。
 粉砕したわずかな根っこからでも生えるので、草刈り基や耕運機で狩ろうものなら余計に悪化してしまう。
 腰を曲げて、根気よく刈るしかない。

●泥にまみれて
 農民というのは、土くれをいじり、泥にまみれて稔りを得る。その生涯を大地との格闘に捧げるのである。

「オオオオオオオ……」

 田んぼから、怨嗟の声が響いてくる。
 農業には収穫の喜びもあれば、搾取と労苦の怨みもあるものだ。
 その怨念が染みつき、呪詛として結実するのはある意味当然と言えた。
 泥の中から、人間めいた形の何かが這い出してくる。

「来たわね」

 イナリは、水田での戦闘に備え、かんじきを装備している。

「田ヲ、田ヲ、壊セ……! 苦シミノ元ダ……」

 怨念であった。
 田んぼがあるから労働を課せられ、田んぼがあるから常に縛られる。
 田んぼさえなくなれば、自由となって救われる。
 そんな悲しい呪詛であった。

「フッハハァ! 任セロ! コノプリンガ守護ルカラニハ、万事安全ダ!」

 マッチョ☆プリンが立ちはだかる。
 農作業そのものを憎む呪詛を振りまく泥の怪物を、ここで組み伏せなければ田起こしもできないのだ。

「田ヲ! 田ヲ! 田ヲォォォォォッ!」

 泥の塊を投げて、農作業をするイレギュラーを攻撃する。
 打撃力はないが、当たればバッドステータスを受けてしまう。

「ぶはははっ、テメェらの攻撃なんざ後でやる田植えと比べりゃ軽いもんだ!」

 それらの攻撃をものともせず、ゴリョウはクローズドサンクチュアリで田んぼを守る。
 そう、田んぼは聖域なのである。呪詛と怨みの場であってはならない。
 べちゃべちゃと泥を食らうが、その恨み言引き受けようというのだ。

「何人タリトモ、手出シハサセヌ! イヤ、出来ヌゥ!」

 プリンもまた、泥をかぶる。
 苗という明日への希望を守らねばならない。
 農作業を邪魔し、田を荒らすなどあってはならないのだ。

「今のうちです!」

 ゴリョウとプリンが引き受けている間に、ハンナら雑草刈り取り組が反撃に転じる。
 今、荒らされてはせっかく草取りできた田んぼがまた元に戻ってしまう。
 何より、ワルナスビを始めとする雑草の根や種が飛散してしまいかねない。

「ええい泥沼どもが、切って捨てる!」

 庸介が落首山茶花にて斬り込んでいく。
 変幻なる邪剣は、泥の怪物すら惑わし、その首を落とした。

「――っし!」

 キャナルが鋭いローキックをアクセルビートで叩き込む。
 べちゃっとした感触とともに、怪物は崩れた。
 反撃されようとも、蹴って蹴って活路を見出すのだ。

「タ、田を……」

 なんということか。
 怪物どもは、田を踏み荒らすだけでなく苗や道具までも狙ってくる。

「させませんよ」

 しかし、黒子は事前に対処の区割りをすませていた。
 地方公務員と農民の組わせは、いろいろある。
 国の偉い人はやれ国の根幹は農業だとか言いながら、結局外圧に負けてきた。生産調整だ減反だとか、そういう矢面に立って板挟みになったりもする。
 だが、黒子は違った。
 率先して話し合いに応じ、今も泥人形を乾かして田を守っている。
 この後、水源の割当という難題などもあるが、まずは怪物どもを追い払わねばならない。農村にとって人死すら出る重要事項なのだ。
 それに比べたら――。

「俺は凡庸であるが、御味方様を助けること程度はできる。凡骨凡庸の意地、見せてやろうぞ」

 農作業とは、根気である。
 耐え忍び、それが終わったら耐え忍ぶ。
 庸介の意地は、向いているのかもしれない。

●田起こし
「お疲れさまでした」

 ステラが、戦闘と同時に田起こしに励んだ皆に呈茶を振る舞った。

「美味しいわ……」

 イナリは、防風林の植林と柵をこしらえ、風雨と獣害にも対処している。
 こうした農作業の後のお茶は格別である。
 しかし、キヨアカリはどうであろうか?

「そして65度程度のお湯に10分間つける温湯消毒だ」
「消毒とかなせばならんかったかや」
「そうだ。これでカビや細菌などの微生物、そして種子発芽の抑制物質『アブシジン酸』を不活性化できる」

 ゴリョウが、キヨアカリを大切に育てるために指導している。
 アブシジン酸は、玄米にも含まれており、これを発芽活性しないと味も良くならない。
 発芽を抑制するのは、長期の乾燥や保存のための要素なのだが、悪さをすることもある。

「田起こしについては単純に力仕事ですね!」
「凸凹をならしていくんだぜ」
「はい、元気に頑張ります!」

 ハンナは元気よく鍬を振るった。
 田起こしは重労働である。場合によっては牛馬の出番だ。
 時には、丸太を引いて土を均一にしなければならない。
 これも収穫のためだ。

「……田んぼは、稲を育むでしょうか?」

 そんな重労働の中、ハンナは植物たちのご機嫌をうかがう。

『まだ呪いは完全になくなってはないけど……ちゃんと苗を育てれば元通りになるよ!』

 カメムシが、そんなふうに答えた気がした。
 彼らも、稲の成長を待っている自然の一員だ。若い新芽なんか、特に好物なのである。

「頭を使うことが苦手な自分は、まず体を動かすとしよう」

 現在行われている稲作会議は、かなり高度である。
 庸介が引いてしまうのも無理はない。
 一心不乱に鍬を振り、田植えに供えるのだ。

「不眠! 不食! 再生パゥワー! ノビノビ育テ新芽たちヨ!」

 マッチョ☆プリンが怒涛の勢いで耕作する。
 足腰にくるが、キヨアカリ収穫のためだ。
 塩水選にかけたところ、結構な種籾が浮かび上がったのである。
 少数精鋭の苗作りとなる。

「みなさーん! バウムクーヘンとかどうですか?」

 ステラのお茶には、茶菓子としてバウムクーヘンもつくという。
 もさもさ食べれば、疲れた身体にも嬉しいカロリー摂取だ。
 もうすぐ、春が来る。
 選別したキヨアカリを冷水に浸してゆっくりと発芽を促し、青苗に育てていく。
 水路の整備や利用の割当は、黒子とヤマダがじっくり相談している。ここを間違うわけにはいかない。
 キャナルはと言えば、稲作を鉄帝で分析するために、忙しい中でも土を持ち帰ろうとしている。
 田植えの日は、もうすぐそこに迫っている――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ゴリョウ・クートン(p3p002081)[重傷]
黒豚系オーク
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)[重傷]
目的第一

あとがき

というわけで、もうすぐ田植えが始まりそうというところで今回の依頼は達成です。
稲作ガチ勢が多かった印象です。
そのため、戦闘よりも農業パートを中心としました。
評判が良ければ、続編で田植え編をやるかもしれません。
それでは、お疲れさまでした!

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