PandoraPartyProject

シナリオ詳細

聖街クラリネット

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


ㅤ照りつける太陽が、白塗りの教会を反射する。

ㅤ街の中央に存在する大きな畑では、老若男女問わず皆が鍬を持ち、水を撒き、麦や野菜を収穫していた。

ㅤ近くの漁港では船に乗って漁をする者達が見られ、潮の香りがほのかに満ちる。

ㅤ大通りでは様々な商店が立ち並び、声を張り上げて自らの店の宣伝を行っていた。

ㅤそんな、どこもかしこも活気に溢れた、宗教色のない宗教都市。

ㅤ聖街クラリネット。それがこの街の名前だ。


ㅤこの世界では、100年に1度、勇者と呼ばれる存在が召喚される。

ㅤ勇者はこことは異なる世界からやってくるとされ、国の象徴として扱われる。

ㅤそんな勇者が召喚される地こそ、ここクラリネットである。

ㅤ人々は次代の勇者の召喚を待ち望み、その時が来るのを心待ちにしている。

ㅤ──勇者召喚まで、あと5年。


「やぁ、また会ったね。きっとまた会ったんだよ。グラスだ」

ㅤ本を片手に、気のない挨拶で出迎えるグラスは、いつもどおりひらひらと手を振った。

「今回は街だ。これまでは村だったから、文明レベルも少し上がっているはずだね」

ㅤまぁ、上がってるといってもたかが知れてるけどね、と続けるグラス。
ㅤその視線ははいつもどおり、自らが持つ本へと向けられており、ペラペラとページをめくる手が止まることもない。

「君たちには、この聖街クラリネットで暮らしてもらいたい。そう、ただ暮らすだけでいいんだ」

ㅤ聞けば、イレギュラーズという存在はまだ世界に浸透していない。今後の依頼のためにも、世界へイレギュラーズの存在を認識させて欲しい、とのこと。

「別に住人と仲良くやれっていう話じゃない。もちろん仲良くやってもいいけどね」

ㅤこの場合の世界とは、文字通りの“世界”。

ㅤ物語には主人公が存在するように、倒すべき悪が存在するように、この世界の登場人物として、世界にイレギュラーズを記憶して貰いたいという。

「まぁ、分からなくてもいいよ。とにかく、君たちは何をやっても構わない」

ㅤだから、適当に頑張ってね、と呟き、グラスは本を閉じた。

NMコメント

七草です。
普段あんまり使う機会がないような非戦とか見たいなぁって思った次第です。


●目的
この世界の住人と触れ合い、イレギュラーズという存在を世界に浸透させる。

この依頼では、ここ聖街クラリネットで日常生活を行ってもらいます。

農業をするも良し、漁業をするも良し、医者芸術家大道芸人など、好きな職業を通じてこの世界の人々と触れ合ってみましょう。
この世界にはモンスターは居ませんが、野盗を討伐したりなどの戦闘を主とする職もありますので、こまったらそちらを活用してもいいと思います。

もちろん、悪いことをするのも自由です。が、上手くやらないとそれ相応のリスクが伴うことは承知の上でお願いします。

適切な非戦を使用するとより活躍することができますが、無くても特に描写が減ったりはしないので安心していただければ。


上記のような職業的な触れ合いの他に、住人との交流を行うのもいいでしょう。


●主な住人
・ガーベラ
夢に夢見る女の子。
・ネメシア
嘘が嫌いな女の子。

次代の勇者を世話するための聖女、その候補となる二人です。前回の依頼によって近くの村からイレギュラーズと共にこの街までやってきました。
年齢は10歳ほど。初めての街にわくわくしっぱなしです。基本的には教会に居ます。

ちなみに、聖女候補はこの二人だけではありません。


●構成
特に何も無ければ1章構成の予定ですが、劇的に変化を伴うリプレイになった場合章が変更される可能性もあります。

なお、何度入ってもおっけーなのでどんどん入ってください!ㅤこの街の有名人になれますよ!


以上、よろしくおねがいします。

  • 聖街クラリネット完了
  • NM名七草大葉
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月20日 20時24分
  • 章数1章
  • 総採用数7人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束

「この世界の聖女様はどっかの誰かさんと違って素直そうでいいじゃねぇか」

ㅤ『聖女の小鳥』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)は、天義の異端審問官、束縛の聖女であるアネモネ・バードケージを想いながらそう呟いた。

ㅤさて、何をしてもいいと示されたベルナルドが人生の休息として提示したのは、音楽だった。

ㅤ時刻は昼。

ㅤ聖街の片隅にあるジャズバーには心地のいいアルトサックスの音色が響き渡っていた。

ㅤまだ繁忙時間では無いため、疎らに人が居るのみであり、酒というよりは食事を楽しむ者が多数派であるそのジャズバー。

ㅤアルトサックスの吹き手は言わずもがなベルナルド。
ㅤ澱みなく動く五指に身を任せ、自らの赴くままに吹き続ける一時。

ㅤふと、サックスの音色に他の音色が重なる。

ㅤそれは力強いトランペットの音色。
ㅤそれは寄り添うようなピアノの音色。
ㅤそれは重く支えるベースの音色。

ㅤ突如始まった即興のセッションにベルナルドがおもむろに顔を上げると、同じような年頃の男達が、俺たちも混ぜろとばかりに目で語りかける。

ㅤそんな男達にそっと同意の目線を送ると、そこは既に癒しの空間だ。

ㅤみれば、事前に招待してあった聖女候補、ガーベラとネメシアはジャズという初めての音楽に耳を傾け、うっとりと顔を綻ばせていた。

ㅤひと時の癒しと幸せを、気の合う仲間と共に提供する。

ㅤ──嗚呼、こういう人生も悪くない。

成否

成功


第1章 第2節

アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手

「うーん腕がなるね!」

ㅤ『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)はこの街の名前から着想を得た演奏をすることにした。

ㅤまずは腹ごしらえ。街の探索と交流も同時に行い、後の演奏への準備を進めていく。

「おばちゃん、この辺におすすめの食事処ってあるかな!」
「そうだねぇ、この辺ならアルト亭”なんておすすめだよ。あそこの野菜スープはここらで一番美味しいからね!」

ㅤ示された場所に向かえば、そこは小さな食事処。

ㅤ言われた通りに野菜スープとパンを注文する。

ㅤ混沌に比べて食生活が進化していないのか味はそこそこだったが、シェフの真心が感じられる優しい味がした。

ㅤそしてお腹も膨れたところで、いよいよオンステージだ。

ㅤ選択した楽器は、街の名前にあやかってクラリネット。

「それでは皆様、拙いながらもつかの間の演奏をお楽しみあれ!」

ㅤ街の住民が微笑ましそうに見守る中繰り出される第一音。
ㅤ空が震えた。

ㅤアップテンポなその音色は、どこか澄んだような色を見せ、癒しを与える。

ㅤそんなアリアの奏でる暖かい音色に住民達は立ち止まり、その演奏に耳を傾ける。

ㅤそして、クライマックス。

ㅤより一層激しく動く指。
ㅤ紡がれる音も、物語も、どこまでも青く、惹き込まれていく。忙しい気持ちなどどこかへと霧散してしまう。

ㅤ最後まで吹ききった。辺りはしん、と静まり返る。

ㅤアリアがお辞儀をすると、街は弾ける音で埋め尽くされたという。



成否

成功


第1章 第3節

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク

ㅤ何をしてもいいとなれば、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は料理を作ることにした。

ㅤそれも、ただの料理では無い。
ㅤゴリョウはワショクを広めようとしたのである。

「ぶはははっ、出張・ゴリョウ亭!ㅤ安い・早い・旨い!くん三点揃った米料理を堪能してくんな!」

ㅤ快活に笑うゴリョウ。

ㅤ物珍しさからか、それともいい香りに釣られてか、屋台には沢山の行列ができ、みなが笑顔で丼と汁物を手にする。

ㅤこの世界に亜人やモンスターという存在は居ないが、ゴリョウの見た目に疑問を抱く者は居なかった。

「う、美味い!」
「なんだこれ、この白くてつぶつぶしたやつ、噛めば噛むほどに甘みが出てくる……それに上に乗ってるやつもうめぇ!」

ㅤ辺りから聞こえる感嘆の声に、自然とゴリョウの顔も綻ぶ。

ㅤと、そこに聖女候補の二人がやってくる。

「あ、あの、ここで珍しい物が食べられるって聞いて来たんですけど!」
「おっと、そうかいそうかい!ㅤ子供にはこっちの方がいいかもな!」

ㅤゴリョウが差し出したのはオムライス。
ㅤトロっとした卵にケチャップをかければ、ガーベラが綺麗、と声を漏らす。
ㅤ二人が一口、口に運ぶ。

「美味しい……!」

ㅤあまり感情を見せないネメシアも、このオムライスには驚愕の表情で答える。

「ぶははっ、美味いだろう!ㅤそれが米ってやつだよ!」

ㅤゴリョウの提供した稲作という技術、文化はこの世界に根付いていくことだろう。

成否

成功


第1章 第4節

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

ㅤ『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は町中を駆けずり回っていた。

ㅤ騎士であるリゲルは、人助けこそが自分の生きる道、そう思い、買い出しの手伝い、農業の補佐、建築の指揮など、何でも挑戦していった。

「ありがとう、助かるわぁ」
「いえ、騎士として当然のことをしたまでです!」
「あら、それじゃあ騎士様ね」

ㅤ次第にリゲルは街の住民に騎士様と呼ばれるようになっていく。

ㅤそして、嗅ぎつけたぼや騒ぎに即向かい、鎮火を行う。

ㅤまさに街のヒーローだった。

ㅤそんなリゲルが教会に足を運ぶ。

ㅤそこに住まう聖女候補達は色めき立ち、リゲルはすぐに十数人の少女達に囲まれてしまった。

「ちょ、もう少し落ち着いて」

ㅤ矢継ぎ早に質問を飛ばす聖女候補達にリゲルは困ったように沈静をはかる。

「こーら、騎士様が困ってるでしょ!」

ㅤすると、奥から現れた年配の女性の声が響く。聖女候補達がわっと散った。

ㅤこちらに近づく女性。

「あたしはクレスチマだよ、騎士様」
「リゲルです。よろしくお願いします」

ㅤ出された手を取り握手を行う。

「で、何の用かな?ㅤお祈りならもう少し後だけど……」
「いえ、何か手伝えればと思いまして」

ㅤ掃除でも料理でも何でもやりますよ!ㅤとリゲルが続ける。

「それは助かるね!ㅤそれじゃ、あの子達と一緒に掃除をしてもらおうかな」

ㅤその後、聖女候補達にもみくちゃにされながら、リゲルは掃除を行うことになった。

成否

成功


第1章 第5節

ミケ・オモロー・アルルカン(p3p009140)
道化猫

ㅤ『道化猫』ミケ・オモロー・アルルカン(p3p009140)は、初めての仕事を異世界の街、ここクラリネットで自由に過ごす事とした。

「ん? 混沌世界も異世界で仕事として更に異世界の街で過ごす……ま、難しいことはいいにゃ」

ㅤミケは細かいことは気にしないことにした。

ㅤさて、ここは噴水のある広場。

ㅤミケがこれから行うのは、ピエロとしての芸の披露だ。

ㅤミケは、すっと懐からボールを2つ取り出し、1つずつ放る。

ㅤ唐突に始まったジャグリングに、何事かと街の人々が噴水前に集まる。

ㅤそして、今度はちょいちょい、と観客である少女を1人を呼び寄せると、片手で2つのボールを回しながら声をかける。

「このボールをみゃーのほうに放り投げて欲しいにゃ」
「え、だ、大丈夫なの?」
「いいからいいから、ほら!」

ㅤミケに押され、おずおずとボールを放る少女。

ㅤそれを、ジャグリングを継続しながらキャッチするミケ、これでボールは3つだ。

「まだまだだにゃ!」

ㅤ更にボールを要求するミケ。

ㅤ4つ、5つとボールは増えてゆき、天高く描くボールの軌道に、観客が沸いた。

ㅤ最後に全てのボールを空中でアクロバットを行いながらキャッチしたミケは、スタッと地上に降りたち、静かに一礼した。

ㅤ噴水広場は拍手で満たされた。

ㅤ満足して帰路に着くミケ。ふと思い至る。

ㅤそういえば、さっきの子、話にあった聖女候補だったような……。

「きっと気のせいにゃ」

成否

成功


第1章 第6節

江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット

「つまり、住民の皆様と触れ合えばいいのですね?ㅤ任せてください、そういうのは得意です」

ㅤふんす、と鼻を膨らませた『本人は至って真面目』江野 樹里(p3p000692)は、己が身を輝かせながら街中を練り歩いていた。

ㅤ道端に倒れているものがあれば施しを行い、昼食をと屋台に向かってはついでに施しを行い、街ですれ違ったものに施しを行い、とにかく出会う人全てに施しを行っていった。

ㅤ施しを受けたものは、樹里の光り輝く御姿と、溢れ出るカリスマに目を細めた。
ㅤそして、なんだろうこう、受理されたような……よくわかんないけど何かを受理されたような気持ちになった。
ㅤ彼らは満足感と高揚感が相まった不思議な感覚の示すままに、樹里へと問いかける。

「おお、これは……光が……」
「この気持ち……これは一体なんなのでしょうか……」

ㅤそんな彼らの問いに、樹里は微笑みと共に答える。

「ええ、ええ。それが受理です」
「……これは、受理?」

ㅤ戸惑いながらも、受理という感覚に浸る住民たち。

「──とにかく、喜ぶこと」

ㅤそんな住民達に、樹里が諭すように言葉を紡ぐ。

「素直に喜ぶことこそが、何よりも尊ばれる行為なのです」

ㅤ溢れ出るカリスマオーラ。あと後光。

「おお、おお……!」
「受理だ……!ㅤ受理したぞ……!」

ㅤすっかりその気になった住民達に、樹里は満足気に頷くのだった。

「そう、これはイレギュラーズの思し召しなのです……」

ㅤ丸投げしないで。

成否

成功


第1章 第7節

鬼裂崎 佐木鷺 希咲(p3p007472)
銀鍵の人獣

「おで、ぢがらもぢ!ㅤだがら、ごうじでづだう!」

ㅤ『銀鍵の人獣』鬼裂崎 佐木鷺 希咲(p3p007472)が豪快に言い放つ。

「おう!ㅤたのんだぜ!」

ㅤ工事現場の監督が希咲の背を叩く。

ㅤその工事監督の期待に応えるように四本の腕と二本の足を器用に使い、地面を均していく希咲。

ㅤその巨体と質量に、地面はみるみるうちにたいらになっていく。

「ぐげげげげ!ㅤぜいぢだのじい!」
「すっげえなぁ!ㅤ道具要らずかよ!」

ㅤそんな希咲の活躍ぶりに、作業員達が諸手を挙げて喜ぶ。

ㅤそれに気をよくした希咲が、さらに張り切る。
ㅤ数人がかりで運ぶような資材を複数個、軽々と持ち上げる希咲。

ㅤ結果、工事は直ぐに終わってしまった。

「よでいより ばやぐ おわっだの?ㅤならもっどでづだえるごどない?」

ㅤそこに現れるは一人の老婦人。
ㅤなんでも急ぎで荷を運びたいが、馬車に繋ぐべき馬が居ないらしい。

「ならおでが、びぐよ!」

ㅤ希咲は宣言とともに馬車に手をかける。
ㅤかなりの大荷物であるはずのそれは、希咲の手によって直ぐに目的地へと運ばれた。

ㅤそこは教会。届け物は教会に関するものであったらしい。

ㅤ老婦人と教会の神父が話し込む間、希咲は聖女候補達と遊んでいた。

「ぐげげげ!ㅤだのじい?ㅤぞれならよがっだ!」

ㅤ聖女候補の二人を背中へ載せてあげる希咲。きゃっきゃっと喜ぶ二人に希咲も嬉しくなり一緒に笑った。

ㅤ聖街クラリネットは、今日も平和である。

成否

成功

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