PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<瘴気世界>アイルベーン温泉旅行

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●聖水の国『アイルベーン王国』
「やっぱ温泉はたまんねぇなぁ?」
 瘴気に侵された危険な地上から帰還したばかりであろう一人の冒険者が呟いた。
 この瘴気世界の地底に造られた五つの巨大な国は。それぞれ『火、水、風、土、光』の五属性で分かれており、住んでいる人々が持っている特性や特産物が異なる。その中でも聖水の国とよばれているアイルベーン王国は、呼び名の通り水にまつわる特産物が多い国だ。
 魔獣の核は本来加工され、市民の生活用品になったり冒険者の武器になったりするのだが、魔獣を倒した際にドロップする核の属性は地域により異なり、水属性の核をよく落とすこの地域が特産物にしているのは水に関係することなのである。
「そーいや、イグニスヴールで大渦の予兆か……俺も出向くことになるのかねぇ」
 冒険者ギルドは世界各国で情報が共有されており、例えばアイルベーンの冒険者であってもイグニスヴール王国の依頼を受けることも可能だ。更に核は冒険者によって各国で輸出入されている。こっちのほうが儲かるという理由で、上級冒険者になると少し危険でも自分の国の地域で魔獣狩りを行い、その狩りで得た核を遠出して他の国に売りに行く者もいるのだ。
 荒廃した世界で生きるために、冒険者たちは根強く生きているのだ。
「最近突然俺らと同じA級に上がった冒険者とか、リュミエール王国付近で発生した禁忌の冒険者……。ネタが尽きないねぇ」
 冒険者の男はそんなことを呟きながらその場をあとにした。

●たまには休暇でも?
「実はよい温泉街があるらしいんですよ」
 【境界案内人】イヴ=マリアンヌの声はいつもより楽しそうなものだった。
 彼女の話によると、瘴気世界に存在する五国のひとつである『聖水の国 アイルベーン王国』に水属性と火属性を加工し埋め込んだ温泉が存在するらしく、それがまた冒険者の中で評判とか。
「最近いろいろ大変でしたし、たまには観光で温泉旅行でもどうでしょう?」
 それにはきっと情報収集も兼ねてと思われるが、日頃の疲れを癒すには最適だろう。
 ……もしかしたらイヴ本人が行きたいだけかもしれないが。
「アイルベーン王国は日中でも気温が低く、まるで冬のような気候をしています。薄着ですと風邪を引くと思うので、少し着込んでいった方がいいかもしれません」

NMコメント

 瘴気世界の物語はまだまだ続きますが、たまには温泉旅行でも如何でしょうか? 牡丹雪と申します。
 この物語は<瘴気世界>の続編となりますが、物語は個々で完結する&前回のあらすじを書くため、前作の確認はあまり必要ありません。見るともっと楽しくなる程度に思っていただければと思います。
 また、世界観詳細は自己紹介欄にも記載されています。


●目的【アイルベーン王国を楽しく観光する】
 オープニング記載の通り、アイルベーン王国は聖水の国と呼ばれており、水属性の核が多く入荷されているそうです。核は単体でも加工すれば魔法のような効力を発揮しますが、今回のように他の核と組み合わせることにより様々な生活に役立てています。
 今回は火と水の核を組み合わせて温泉が造られている街を観光します。
 冒険者特権で宿も無料で借りることができるとか何とか……。
 以下はプレイングの参考にしてください。

①温泉を楽しむ
 最近冷え込んできたので温泉でも如何でしょうか。
 もちろん男性女性分かれております。混浴ではないのです!
 癒し効果があり、冒険者からとても好評です!

②町の観光をする
 温泉街と呼ばれる地区なだけあり、常時賑わっております。
 温泉饅頭は存在しませんが、魔獣の核の加工職人もいるので訪ねて色々聞いてみるのも良いかもしれません。

●同行NPCについて
・【境界案内人】イヴ=マリアンヌ
 本当は彼女が一番温泉に入りたかったとかそんなことありませんよ…多分。
 まるで背景に溶け込むように温泉に居ますが、同行指名されない限りは登場はしません。


●世界観のおさらい
 かつて世界の均衡を保っていた6人の精霊たちはあまりの退屈さに人類を生み出し、それを繁栄させた。だが、人類を生み出す過程の中で邪悪な力を持つ魔獣も生み出してしまい、やがて史に残る大戦争が起きてしまう。瘴気により荒廃してしまった跡地から逃れるべく人類は地底へと生活圏を移動した。
 そう願った精霊が導いてくれた際に偉人が受け取ったとされる高純度の精霊石を用いた5つの疑似太陽により、まるで地上にいるような生活を送っている。のちにその疑似太陽に惹かれるように人々は巨大なコロニーを築き、5つの国が出来上がった。
 人類は精霊に最初に生み出された種族であるため、精霊石の魔力を浴びつつ魔獣の灰を食べながら生きている。

~イヴの本より『世界について分かっていること』
・この世界の人間は息絶えると灰になる
・魔獣には核が存在し、様々な生活に役立っている
・魔獣を狩る冒険者という存在がいる
・六人の精霊のうち、闇の精霊は信仰されなかった
・灰を加工した食品は見た目通りマズい
・人間にも魔獣と同じ核が存在する
・この世界には五つの国が存在する
・冒険者はEからSSの七階級が存在する

●前回までのあらすじ
・大型魔獣を討伐したことで、イレギュラーズはこの世界でAランクの冒険者として扱われることになりました。
・リュミエール王国の見習い冒険者へ指導を行いました。
・イグニスヴール王国の冒険者ギルドへ諜報を行った結果、近日魔獣の大群が王国へ押し寄せてくることが判明しました。


●プレイングについて
 今回の依頼の主な目的は『アイルベーン王国の観光』です。
 目的に記載されている行動はあくまで例ですので、その他のアクションを取ること(他冒険者と話をしたり等)も可能です。その人に合った楽しいことでもしましょう。
 また、同行プレイヤーがいる際はプレイングの一番上にご記載ください。

●アドリブについて
 本シナリオではアドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄かプレイングに一言ご記載いただければ幸いです。

  • <瘴気世界>アイルベーン温泉旅行完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年11月07日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守

リプレイ

●特異運命座標の休日
「わあ、すっごく広いよ!」
 まるで待ちきれないように脱衣所からとびだした『雷虎』ソア(p3p007025)は、誰もいない貸し切り状態の温泉を見て後ろを振り返る。視線の先には、一緒に温泉旅行へ来た『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)が映っている。
「ふふ、はしゃいで転ばないようにね?」
 楽しそうにはしゃぐソアを見て、マルベートは微笑ましそうに言う。
 混沌世界の前線を戦うイレギュラーズの貴重な余暇の時間。そんな時間を過ごしたい人と一緒に過ごすことができるのはありがたいものだ。そんなことを思っていると、ソアが待ちきれなさそうに温泉へ浸かろうとする。
 アイルベーン王国の気候は年中混沌世界の冬。コロニーの中とはいえ、外だから寒いのである。
「気持ちはわかるけど、ちゃんと身体を洗ってから入らなきゃダメだよ?」
「むぅ、はーい……」
 何故かここの温泉は屋外しか存在せず、体を洗い流すための装置も外にしか設置されていない。ソアはマルベートに言われてピタリと足を止めると、そちらへ足を運んだ。
「よしよし、ソアは本当にいい毛並みをしてるからね。こういう機会にちゃんとお手入れしてあげないと」
 ちょこんと座るソアをしっかり掴まえると、マルベートは蛇口のようなものを捻った。
 シャワーとよく似た装置から勢いよく出たお湯が、ソアの頭から全身を満遍なく濡らす。
「シャンプーは……って、これがシャンプー?」
 マルベートが首を傾げながら手に取ったのは、蛇口の傍に置いてあった粉の入ったボトル。無臭で得体のしれない粉を使ってみるかどうかソアに尋ねると、ちょっと迷った表情と一緒に返事が返ってくる。
「うーん、使って死ぬなんてないだろうし、試しに使ってみよ?」
「う、うん。じゃあかけるよ?」
 マルベートは若干不安そうにしつつもソアの髪や体に粉を振りかけてみるが、それは驚くほどに水に馴染んだのである。次第に泡も立ってきたから、きっと現地の人が使う全身用シャンプーなのだろう。体に優しい感じだから不思議である。
「ん~~っ♪」
「こらこら、あんまり動いちゃダメだよ? 尻尾も根元から先っぽまでしっかり洗ってあげるからね」
 手や足の毛並み、肉球の間、尻尾の根元から先までしっかりと洗われ、泡まみれになったソアはマルベートの後ろにてってこ回り込む。
「ふっふー、次はボクがねーねを洗う番ね!」
「おや、それじゃあ遠慮なく……」
 シャンプーのような粉を片手に、今度はソアが沢山泡立てながらマルベートの立派な翼をごしごしする。とても立派な悪魔の翼だ、尻尾と合わせてきっと自分で洗うのは大変だろう。
「ふふ、わかっていてもくすぐったいものだね。けどとても気持ちいいよ。ありがとう、ソア」
 二人は洗いっこを終え、泡を全てお湯で流すとお待ちかねの湯船へ向かうのだった。

「あったかーい、生き返る!」
 ソアは広い温泉でのびのびと体を温める。遥か上を見上げれば、遠くの天井に埋め込まれた疑似太陽が一時的な効力を失い、月明かりのような光を発している。その明かりに共鳴するように壁や天井に散らばった精霊石が光っているから、まるで夜景のようだ。
「本当ね。……しっかり温まってから上がろっか?」
「うん! 今夜はふたりで宴だね!」

●性別不詳?①
「たまにはゆっくり温泉にでも浸かって疲れを取るか……なんて考えていたんだがな」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、男湯と女湯に分かれた入り口を見ながら悩ましそうに呟く。イレギュラーズには年齢や性別が不詳な者が多く、悩む彼もまた『性別不明』なのである。
「い、いやまあ、論ずる必要も無く俺が入るのは男湯であるべきだ、べきなのだが……」
 そこに入るなら一度混沌世界で風呂に入って出直してこいという、天啓のような何かが聞こえる気がする。いったい何のことかはわからないが。
「はあ……仕方ねえ。なあおい、核職人ってのはどこにいるんだ?」
 しばらく考えた後、世界は温泉に入ることを諦めてこの温泉街にいるという核職人を訪ねることにした。

「邪魔するぜえ?」
 温泉宿の女将に核職人の居場所を聞き案内されたこじんまりとした小屋。特に躊躇うこともなく世界は中に入ると、鍛冶師をしてそうな強面おやじが彼を出迎えた。
「こんな辺鄙な場所に客なんて珍しいな、依頼か?」
「んや、観光だが訳あって温泉に入れなくてだな、見学的なものをさせてくれると嬉しいんだが」
 強面だが意外と真面目そうなおやじが世界の言葉に首を傾げながら、そういうことならと見学スペースを空けてくれた。まだ作業中だったらしく、青い核と赤い核が机の上に積まれている。
「これ、どうやって加工するんだ?」
「まあ見てろって。……偉大なる精霊よ」
 おやじが似合わない顔でそんなことを呟くと、彼の胸に埋め込まれた核が光りだし、それに共鳴するように手に持った火の核と水の核が光り出す。流れるような動作で核を握りつぶすと、それらは融合されて綺麗な薄紫色の核が誕生した。
「これで完成なのか?」
 あんまりあっさり完成したものだから、世界はポカンとした表情を浮かべた。
「ああ、これを専用の装置に嵌め込めば湯船を満たせる程度のお湯は出る」
「案外あっさりしてんだな。ってか、これ誰にでもできるのか?」
「いや、生まれつき精霊の加護を受けてる奴じゃねぇとこういうことはできねぇし、そんなに融通の利くもんでもねぇな」
 精霊の加護を受けてる人。初めて聞く単語だが、詳しく聞いてみればこの世界で生まれた時に加護をもって生まれてくる者がいるらしい。『属性特化型』はひとつの属性に特化した能力を持っており、魔法のような強い力を使える。『多属性型』は複数の属性の能力を駆使することができ、胸の核が複数の色をしているとのこと。このおやじは後者だ。
「まぁ、こういう能力持ちの中で俺みたいに核を加工できる奴が時々いるのさ」
「なるほどな。それで、おやじはこれしか作れないのか」
 組み合わせがアバウトだから光と火で花火を造ったり、火と土で焼き物を作ったりとかいろいろできそうだと思ったが、それを作るには作ることができる職人を探さなければいけない。
 そんなことを考えながら世界はひとつ思い出す。
「あ、そういや闇の核を落とす魔獣はいねぇのか?」
「闇の核? 聞いた事ねえな……」
 どうやらオプスキュティオは魔獣を地上に生み出していないらしい。
「ねえのか。ま、いろいろ勉強になった。ありがとさん」
 あいつに魔獣を生み出させてそれを高値で売れば……そんなことを呟きながら、世界は作業小屋をあとにした。

●性別不詳?②
「いやぁ、やっぱここに来たら温泉だな……ってなんだこれ」
 冒険者がまた地上の冒険を終えて帰ってきた。アイルベーン王国に属する冒険者は帰還すると温泉に入る者が多いらしい。
 この男もそのひとりなのだが、湯船の中央に置かれた苔むした岩を見て首を傾げる。
「宿主が置物でも置いたのか……?」
 男が湯船に入りながら寄りかかったそれは、温泉に入りに来た『青樹護』フリークライ(p3p008595)である。性別不詳であるが宿の女将がどちらに入れるか悩み果てた結果、男湯に案内されたらしい。
 フリークライは何も知らない冒険者を驚かせないようにどう話しかけようか迷っていると、驚くことに冒険者から話しかけてきた。
「なんだ、水臭いじゃねーか。話しかけてくれりゃいいのに」
「ン。フリック、気付イタ? ビックリ、シナイ?」
 寄りかかってわりぃなと呟きながら別の場所に寄りかかり直した男はフリークライの言葉を聞いてはっはっはと笑う。
「異世界の冒険者って冒険者界隈だと案外有名になってるんだぜ? まぁそれも当然、異世界ってだけで有名なのにA等級以上ってなると、誰でも耳に入ってくるってものさ」
 彼がいうには思っている異常にイレギュラーズがこの世界に与えている影響は大きいらしく、アイルベーン王国だけでなく全世界に名前や顔は知れ渡っているという。
「ン。フリック、フリークライイウ。ハジメマシテ」
「おーフリークライ、俺もフリックって呼んでいいか?」
 ちなみにこの男は聞いたところだとS級以上の冒険者らしい。雰囲気からして、気まぐれにひとりで遊撃するタイプの冒険者だろう。一緒に冒険をする分には苦労しそうだが、こうやって話す分には話しやすい。
 フリークライはそんな気安そうな男に頷いた。
「フリック、大丈夫。ソウイエバ、フリック、背ヲ向イテタ。何故気付イタ?」
 フリークライの身長は高い。温泉に浸かるために縮こまって湯に浸かっていたのだが、この男が寄りかかってきたのはその背中なのである。顔は見えなかった筈だ。
「ああ、そんなことか。ま、それは俺がS等級な所以でもあるな」
 男は自分の胸元の核を指差した。そこに嵌め込まれている核は以前戦ったラナードの核よりも大きく、薄暗い青色をしている。話によると『多属性特化型』だという。
「ま、そんなわけで俺は精霊の加護を受けてんのさ。話だけだと良い事ばっかだが、他のやつより核が大きいから弱点も大きいし、魔獣に喰われれば致命的に強力な魔獣も生まれちまうから、案外不便なことも多いのさ」
 レガシーゼロとどこか似ていると思いつつ、フリークライは男の話を黙って聞いていた。
 そして、男は最後にフリークライへ言う。
「あと、リュミエール王国のほうで暴走した馬鹿(ラナード)を介錯してくれたの、おまえらだろ? 俺に似た馬鹿弟子だったけどよ。ありがとうな」
 世界は狭い。フリークライは効力を失った疑似太陽。いや、今は疑似満月ともいうべき精霊石を見上げてそんなことを考えるのだった。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM