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シナリオ詳細

<神逐>宮に汲みし闇の影

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<神逐>宮に汲みし闇の影
「な、何じゃ……来るな、来るなぁああ!!」
 カムイグラの高天御苑の一つ、神宿門にて、そんな絶叫が飛び交う。
 高天京と高天御所を結ぶ外郭の一つの門に過ぎない場所。
 しかし、今此処に姿を現わしていたのは、多くの『大呪』の獣の妖。
 傘のような姿に一つ目、一つ足……『一本だたら』に似た姿の妖と、その周囲には青白い炎の『鬼火』達。
 彼等が何故、今ここに現れたのかは、神宿門を守る門番達には知る由も無い。
 ただ一つ確定で言えるのは、彼等は自分達の命を狙いに来ている事……つまり、倒さなければ、自分達が死、あるのみ。
「くっ……何だこれ……!!」
 と唇を噛みしめる横で、仲間達が妖に喰われ、火に燃やされ、絶命の叫び声を上げる。
 しかし、仲間を助ける程の力は無い。己が身を守るだけでも精一杯。
 ……いや。
『ガァッハハハッ!!』
 と、一本だたらは死を楽しむが如く笑い声をどこからともなく響かせると、鬼火と共に襲い掛かる。
 そして。
「う……ウァアアア!!」
 門番全て、地へと臥すのであった。


 絶望の青を声、存在する島、黄泉津。
 先日の戦いにより、イレギュラーズ、敵双方に多数の捕虜が発生し、数人を除き自凝島へ流刑となったのは、既に皆に知られている所。
 ……そんな中、『捕虜に夢中』であった巫女姫によって、呪縛緩みし霞帝を救出した『中務卿』建葉・晴明。
 彼は霞帝と共に『自凝島』からの転移魔方陣を発動させることを決定し、同様に、『大呪』を封じ込むための四神の守護をイレギュラーズに得てきて欲しいと告げる。
 イレギュラーズがそれぞれ四神の守護を手にし、歪んだ形で発動した『大呪とけがれ』を高天御所に封じ込むのが目的である。
 しかし、『黄泉津瑞神』と呼ばれし神威神楽の『守護神』は、『けがれ』と『大呪の影響を受け、今暴走しかかっている。
 このまま放置すれば京は法楽、さして無辜の民が犠牲となるだろう、と大精霊『黄龍』はイレギュラーズに告げていた。

「皆さんへの依頼なのですが……」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がイレギュラーズ達を見渡しつつ。
「先程お話しした『黄泉津瑞神』なのですが、これは神威神楽の守り神の名なのです。犬の姿で顕現し、時ノ権力者に預言と加護を与えると伝えられている者なのです」
「でも、この『黄泉津瑞神』は、獄人差別や獄人による八百万暴行事件による二種族の怨み嫉みから発生した『けがれ』と、それを媒介にして行われた『大呪』が黄泉津瑞神の在り方を歪めてしまったのです」
「このままだと、黄泉津瑞神の叫びは高天京全体に響きわたり、悍ましき魔性の月の加護を得て、この地をけがれの焦土へと変えてしまうのです。そうなると、京に住まう無辜の民が犠牲になるです。急いで対処が必要なのです」
 と、ぐっと拳を握りしめながら、見上げるユリーカ。
 そして。
「今回イレギュラーズの皆さんには、高天御苑の一つの門、『神宿門』の周囲に現れた『大呪』の獣の妖をその場から逃さず、全て倒してきて欲しいのです!」
 『大呪』の獣、それが果たしてどのような者なのか……と誰かが問うと。
「そうですね、今回の妖は主に二種類の妖の様なのです。一つは一本足、一本目、そして口がある『一本ただら』と言われる妖なのです。特にこっちの妖の方が獰猛かつ残虐な性格をしている様で、門を守る門番の人達を喰らったのもこいつの様なのです!」
「もう一つの妖は、青白い炎の姿をした『鬼火』の群れなのです。こいつはどうやら『一本ただら』によって召喚出来る存在の様で、倒しても倒しても尽きない数が居る様なのです」
「つまり、『一本ただら』を先に倒した上で、残る『鬼火』を殲滅してきて欲しい、というのが今回の皆さんへの依頼、という訳なのです」
 そしてユリーカは。
「イレギュラーズの皆さんは、カムイカグラでは『神の使い』であるとされているのです。その力で、荒魂たる『黄泉津瑞神』を沈めてきて欲しい訳なのです……宜しく頼みます、なのです!!」
 と、皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の依頼はカムイグラの全体シナリオ、となります。

 ●成功条件
  『大呪』の獣の妖を全て倒しきる事です。
  周りには混乱に陥っている、門番の一般人達がいますが、彼等の生死は成功条件に含みません。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はAです。
  想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
  空には秋の名月が輝いており、灯りの不安はありません。
  高天御苑という外郭になりますので、足場にも問題はありません。
  ただ、門番(さほど戦闘能力の無い一般人)の死体がゴロゴロと転がっており、その死体の傍らに、まだ死んでいない門番が2名ほど居る状態です。

●討伐目標
  敵は大きく二種類、攻撃手段を含めて以下の通りです。
   一種類目:『一本ただら』 10体
     ・けたけた笑う:副行動利用可、神・中距離・域。ダメージ無、怒りBS。
     ・鬼火召喚:副行動利用可、鬼火を召喚する。
     ・足蹴:物・中距離・単。移、連効果あり。
     ・噛:物・中距離・単。移あり。HA吸収。
   二種類目:『鬼火』    無数
     ・炎:神・中距離・単体。火炎BS。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <神逐>宮に汲みし闇の影完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
白秘夜叉
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
雪村 沙月(p3p007273)
月下美人
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
ユスラ(p3p008637)
呪に通ず

リプレイ

●守護者の涙
 カムイグラの高天御苑が一つ、神宿門。
 高天京と高天御所を結ぶ一つの要である箇所。
 しかし、そこに突如襲撃を仕掛けてきたのは、多数の『大呪』の妖達。
「我等が神は顕現早々ご乱心か、厄介な事になったわね」
 と、肩を竦めて息を吐くは、『呪に通ず』ユスラ(p3p008637)。
 妖達によって、門を守護せし人々が次々と死を迎えているという状況に、神宿こと、イレギュラーズ達は急ぎ門へと向かっていた。
 そして、次々と端末魔の悲鳴を揚げる門の中。
「見るも無惨な光景ですね……」
「そうだな。カムイグラもとんだ状況になってきたものだ……だが、ここで踏ん張らなければ、国の存亡が掛かっているとはな」
 『月下美人』雪村 沙月(p3p007273)と『トルバドール』ライハ・ネーゼス(p3p004933)二人が、唇を噛みしめ、そしてユスラも。
「そうね……敬虔なる信者ならば静まるように祈ることしか出来ないわね。しかし、我等は神使い、また別の神にも認められしヤオヨロズなれば、鍛えた力を以て神を鎮めるのが役目でしょう」
 と、自分へと言い聞かせる様に頷く。
 更には周りの、門の守護者達へ襲い掛かる妖達の姿を一瞥し。
「まさに、百鬼夜行の様相ですね。犠牲となった方々はもう間に合いませんか……」
「そうですね。『大呪』の獣……けがれ、澱み、そのような類いでしょうかね。何をすれば、こうも淀むものなのでしょうか……」
「分かりません……ですが、せめて生きている方は助けられるようにしましょう。むざむざ見捨てるのも、少々居心地が悪いものですし」
「そうですね。純粋に殺戮の看過は論外ですが、多くの方が亡くなれば、この手の歪みは増幅するものです」
「うん。大勢の命をボク達で救えるかもしれないなら……全力を尽くすのみよね! 妖達を倒して絶対に守ってみせるわ。京も、ここに棲まう人達も!」
「ええ。守りきってみせっましょう!」
 『玲瓏の壁』鬼桜 雪之丞(p3p002312)と『二人でひとつ』桜咲 珠緒(p3p004426)、『二人でひとつ』藤野 蛍(p3p003861)の三人が頷き合い、そして沙月とライハも。
「そうですね。まだ生きておられる方がいる。せめて、この人達だけでも救えるように死力を尽くすと致しましょう。これ以上、彼らの好きにさせる訳にはいきません」
「ああ……! かような状況でこそ素晴らしき物語が、英雄譚が生まれるのだ。さぁ、前座の妖怪共などさっさと片付けるとしようか!」
 そしてイレギュラーズ達は、叫び声を上げる神宿門へと駆け付けて行った。

●妖うつろい
 目の前で、悲鳴を上げる門番達。
 周りには、多数の死した骸が並ぶ……そして、それをケタケタと笑う一本足の、傘の様な妖怪『一本ただら』と、鬼火達。
「一本ただら……一説には鍛冶屋が妖と化した姿とされている妖怪だな。まぁ俺はこうはなりたくないものだ。いや、あんな破壊しか出来ない姿にはそれこそ死んでもならないがな……さあ、万事完璧にこなしてみせようじゃないか。堕ちたお前たちが羨む程にな!」」
 と『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)の言葉に、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は、己にクローズドサンクチュアリを掛けながら、一本ただら達に対する。
「おぅ、そこまでにしときな一本足共! 人を笑うんだったら笑われる覚悟もあるんだろうなぁ? 『片落ち』共!」
 そして招惹誘導にて、敵の怒りを惹きつける。
 更にゴリョウに続き沙月が、敵との間に立ち塞がる。
『ひ、ひぃ……や、やめてくれ……来るな……来るなぁ……!』
 しかし突然の事に恐怖し、叫び声を上げる生き残りの門番達。
 そんな門番達との間に錬と沙月がまずは割り込んでいく。
「良く持たせた! 後は俺たち神使いに任せて退くんだ!」
「私たちが駆けつけたからにはもう大丈夫です。後はお任せ下さい!」
 クェーサーアナライズで安心させる様に、更にはこの場から下がるように指示を与える。
『え? ……だ、だが……俺達が、此処を去れば……!!』
 逃げ出したい心と、ここを守らなければならない……という責任感。
 そんな責任感を理解した上で、ユスラは一際尊大な口調で。
「此処は国の一大事ゆえ、混乱無様の責は問わぬ。誇りある者は武器を持ち守れ。恐れる者は逃げ延びよ」
 巫女の様な雰囲気と共に、言葉を挟ませない雰囲気。
 更にはネーゼスも。
「落ち着きたまえ。ここは我等が引き受ける。諸君らは後方へ、我等の後ろへと往けば危険はない」
 と告げて、門番達へ逃げぬのなら後ろに下がり、自分の身を守る様に指示を与える。
 そして、その間にファミリアーで、白い鳥を自分達の頭上へと召喚し、自分達が神使である……という事をイメージさせる。
 そんなイレギュラーズの動きに、次第に信じ始める門番達。
『ほ、本当に……大丈夫、なのか……?』
 と、救いを求める表情での言葉に、蛍とネーゼスが僅かに笑みを浮かべ。
「うん。ボク達が間に合ったからには、必ずこいつらを倒して、この場所を守って見せるわ! だから安心して、ここは任せてちょうだい!」
「そうだな。このような妖共なお、すぐに終わらせてみせるとも!」
 と、二人の力強い言葉に。
『……分かった……頼む……!!』
 悔しさに唇を噛みしめつつ、イレギュラーズの一歩後ろへと下がる。
 ……そして、門番達が下がった一方、一本だたらは周りに鬼火を次々と召喚。
 イレギュラーズ達を、まるで嘲笑うかの様な雰囲気で、その一本足でピョンピョン周りを飛び跳ねる。
 しかしその動きに惑わされる事も無く、ゴリョウが。
「さぁ、この喰いでのありそうな豚さんを無視できるかなっ!?」
 と、ヘイトを稼ぐ。
 そんなゴリョウに対し、ピョンピョンと跳ねて近づいてくる一本だたら。
 そこに錬が『式符・陽鏡』を発動、陽光の鏡を創鍛し、邪悪を照らす光線で一本だたらを射抜く。
 ただ、その一閃を跳ねて躱し、更にイレギュラーズ達へ接近。
 そして、間近でけたけたと高笑いする事で、イレギュラーズへ怒りを付与しようとする。
 ……だが、その怒りを付与されたとしても、すぐには動かない。
 又、別の一本だたらは高く飛び跳ね、脚蹴りの一蹴やら、飛びかかり噛みついてみたり。
 それらの攻撃、全てをゴリョウが前に立ち塞がり、捌いていく。
 そして、一本だたら10匹の攻撃をひとまずは捌いた所に続くは蛍。
「天目さん、珠緒さん、頑張りましょう!」
 とエールを送る。
 そのエールに強化される一方で、沙月は少し後方に位置した上で。
「厄介な敵は先に排除するのが定石と言いますからね」
 と、敵列に水月の一閃で、後方側にいる一本だたらを列に収めて攻撃。
 更に一歩前に居たネーゼスが、英雄作成の効果と共に、その手のタクト・オブ・グレイゴーストを振るい、命中、反応の効果を全体的に底上げしつつ、魔神黙示録も追加し、APの充填効果を追加付与する。
 それら強化を受けた錬が。
「皆、動き回る連中に翻弄されるな。一体ずつ確実に仕留めて数を減らすんだ!」
 と仲間達に呼びかけつつ、クェーサーアナライズを更に仲間達へ付与。
 続いて雪之丞は、敵の怒り効果に対し心を静め、己を落ち着かせる事で発動しない様にしつつ、敵陣に一歩踏み出し『戦鬼暴風陣』で、纏めての範囲攻撃を行い、更にはゴリョウが雪之丞の攻撃が決まった後に進み出て、雪之丞と一匹の敵を挟み込むようにして。
「ぶはははッ、その性格が仇になったなぁ? 一本足で立ち往生とかカカシかなぁ!?」
 と笑いながら、招惹誘導を更に連発し、更なる怒りを自分に引き寄せて行く。
 彼の攻撃の後、周りの鬼火たちがわさわさと動き初め、イレギュラーズに近づいていく。
 そんな鬼火達に対し、ユスラがアシカールパンツァーを使用し、派手な光と音を立てて鬼火達の注意を逸らしつつ、スナイパーアイで自己能力向上。
 眼を蛇の瞳孔に代え、神楽を舞い、神楽鈴を鳴らして。
「神鳴りよ……狂える神の下僕を討て」
 とチェインライトニングの一撃を放ち、半数以上の鬼火達を消滅させる。
 そして残る鬼火達は、イレギュラーズに飛びついていく。
 火炎のバッドステータスを受ける者も居るが、そこまで大きな被害にはならないと判断。
 そして珠緒が最後に神気閃光にて、仲間を識別で外しつつ敵集団に対し、神聖なる光で次々と撃ち抜いていく。
 どちらも一巡し、敵にはある程度ダメージが付与されている状態。
 次の刻、特に素早く動くのは珠緒。
 一本だたらを出来る限り多く狙える点を中心にして、更に神気閃光。
 仲間、ひいては倒れし門番達にもその効果が及ばぬように注意しながら、一本だたらにダメージを与えていく。
 続き一本だたららの攻撃。
 流石に鬼火の数が減ったので、4体の一本だたらは鬼火を追加召喚。
 残る一本だたらの2体が再び笑い、怒り効果を周囲に撒き散らし、残る4体が脚蹴りと噛みつき攻撃。
「……貴方達の挑発には決して乗りません」
 冷静な視線と、強い口調で言い放つ。
 とは言え怒り効果が出てしまう仲間も、どうしても生じる。
 そんな仲間には、即座にネーゼスが超分析を発動。
「敵の怒りに囚われ、陣形が乱れる事があれば聞きだからな……」
 と、仲間のバッドステータスを直ぐに回復し、陣形を維持する。
 そして一本だたらの行動一巡の後、蛍は反撃として、散花の桜吹雪を舞散らしつつ、副行動で常に敵の動きをマークし、後の門番には絶対に通さない様に立ち塞がる。
 そして沙月が後方から、仲間を含まない様に狙いを修正する様に移動し。
「ここに仕掛けます……!」
 と水月で攻撃し、列上の一本だたらに恍惚の効果を付与。
 ダメージ倍の効果を受けた一本だたらのところへ、雪之丞が移動。
「一体足とも、この場から逃しません。たかが魑魅魍魎が、都を跋扈するなど、実に癪に障ります」
 と吐き捨てつつ、柏手一つ鳴らし。
「妖怪、魑魅魍魎。たかが、ケガレに惹かれて生まれた程度の妖に、この身脅威を。敵は此処にいるぞ」
 と注目を集めたところで、戦鬼暴風陣で纏めて切り刻む。
 流石にその攻撃を受け、一本だたら2匹が撃沈。
 残るは8匹、しかし手を緩める事は無い。
 ゴリョウは変える事無く招惹誘導を連打し、決して他の仲間達に狙いを向かわせないように怒りを更に付与。
 決して他の者に怒りを付与させず、自分だけに集中させる。
 流石に敵の範囲攻撃は、周りの仲間にも及んでしまうが、噛みつきと脚蹴り攻撃だけは常に、常に自分へと集中させる事で、回復の手間を最小限に抑える。
 そして、イレギュラーズの最後に動くはユスラ。
 攻撃集中で、チェインライトニングを一本だたら及び周囲の鬼火に向けて放つ。
 先程召還された鬼火以外は、全て消失……そしてそれら鬼火はゴリョウに集中砲火。
 確実に敵にダメージを与えていき、一本だたらを軸にダメージを与えていくことで、数刻の後……残る一本だたらは、後二匹。
「不吉な月に誘われて出て来た所悪いが、この都にお前たちが壊していいモノなんてないんだ。日輪にその単眼を焼かれたくなければさっさと元居た場所に帰るんだな!」
 と錬が声高らかに宣言、そして雪之丞も。
「そうですね……彼等が何故ここに出て来たかなど、理解する必要はありません。分かる前に消しますから」
 と冷たく一蹴。
 勿論、そんなイレギュラーズ達の言葉に、言葉で反応を返す事は無い。
 いや、常に怒りが付与されているからこそ、そのような反応も出来ないのかもしれない。
 そして、一本だたらは残り二体となった故、鬼火を召還する事無く、ただただ攻撃だけに集中。
 ……その攻撃をすぐにネーゼスが回復し。
「さぁ……如何な物語も完結するものだ。そろそろ仕舞いとしようか!」
 とネーゼスの掛け声。
 それに頷いた珠緒が。
「珠緒の分にて、その足削り尽くしてくれましょう!」
 と、渾身のバーストストリーム。
 高攻撃力の一撃が真っ正面から決まり、足諸共吹っ飛ばし、その場で崩壊。
 そして、最後の一匹に対し雪之丞が。
「さあ……理解する必要はありません。分かる前に、消しますから」
 見据えながらの、呪刻奪命剣の一閃。
 その一閃が、一本だたらを真ん中から一刀両断に叩きつけられ……最後の妖も斬り伏せられ、全てがその場より消失していくのであった。

●命の灯火
 そして……。
「ふぅ……どうにかこの場は終わった様ね」
 息を吐き、一端武器を降ろすユスラ。
 周りのイレギュラーズ達も安堵と共に、戦いの構えを解く。
 ……そして、後ろに居た門番達が。
『……す、すげぇ……すげぇよ……』
 と、感動に言葉が震えている。
 ……そんな門番達に振り返り、彼等の所までやって来て
「……オメェさんらはオメェさんらなりに門を守るべく努力した。居なけりゃ侵入されて、もっと酷ぇことになってたはずだ。本当、大したもんだよ」
 生き残りの二人の肩をぽん、と叩いて、彼等を労う。
 その言葉に門番達は。
「でも……いや……神使の方々がそう言ってくれるなら……そうなんだよな……?」
 一瞬迷いの表情を浮かべるが、すぐに納得するよう頷く。
 そして、ゴリョウと沙月は。
「それじゃ、名誉ある戦死者はしっかりと弔ってやらねえとな」
「ええ……もう少し早く駆けつけられたらと……悔やんでしまいますね」
「ああ。だが、俺達も最善を尽くした。あとはこの二人が、確りとこの場を守ってくれる筈さ……な?」
『は……はい!!』
 力強く頷く門番二人。
 そして、倒れた門番達の遺体を門の近くに埋葬し、確りと弔いを捧げる。
 勿論、生存者の門番二人も、イレギュラーズ達に促されて、仲間の死の哀しみを胸に抱きつつ……心底からの祈りを捧げる。
 ……そして。
「さて……生き延びた二人よ。汝らに更なる指名を与えよう」
 再び尊大な口調でユスラは門番二人へ向く。
 真っ直ぐユスラに顔を向ける門番二人へ。
「汝らは、出来る限り防御を固め、此の場で耐えよ。この後、第二波、第三波がくるとも限らん……勿論、命の危機に瀕したときは、迷わず逃げよ」
『……分かりました!』
 その指示に従うべく、声を上げる門番二人。
 そして、ユスラは二人の肩に軽く手を当てて労い、そして……振り返り。
「さて……後は我等が神を鎮めるのみ……」
 と、自分へと言い聞かせるが如くに呟いた。

成否

成功

MVP

ユスラ(p3p008637)
呪に通ず

状態異常

なし

あとがき

<神逐>全体シナリオに参加頂きました皆様、ありがとうございました!
門番の二人にとっては辛い事態となってしまいましたが、皆様の声に励まされ、きっとこの先も、門番としての役目を確りと果たしてくれる事でしょう……彼等の生きる希望を生みだした事、本当にありがとうございます!

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