PandoraPartyProject

シナリオ詳細

惨劇もたらす金色の蓮

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●イーカタの街、壊滅
 晴れた空を、巨大な金色の蓮が飛んでいる。
 金色の蓮は街の上に至ると、蜂の巣状になっている中心の花托から、ポポポポポポン、といくつもの種を飛ばしていく。発射された種は空中で弾け、無数の燃え盛る爆弾となって街へと降り注いだ。
「ひっ、に、逃げ――」
「ぎゃああああっ!」
「あ、熱い、よぉ……助け、てぇ……」
 街の住人達は種が弾けて燃え盛る爆弾が姿を現したところで、爆弾から逃れようとする。だが、その行動は既に遅かった。ある者は爆弾の直撃を受けて即死し、ある者は身体の一部を吹き飛ばされて悶え苦しむ。爆弾を運良く避けられた者も、炎の混じった爆風に次々と焼かれていった。
 炎と熱と悲鳴と死が、街中を覆い尽くしていく。外にいた者はもちろん、建物の中にいた者も生き延びることは出来なかった。建物は爆弾を受けて呆気なく破壊され、中にいた者は崩れた屋根に圧し潰されるか、外から入ってきた爆風に焼かれるかしたからだ。
 街が無数の焼死体の転がる廃墟となるまで、それほど時間は要しなかった。動く者が街にいなくなると、金色の蓮は満足したかのようにその場から動き出していった。

「あははははは! 素晴らしい、素晴らしいよ!
 我らが新しき神を信じぬ不心得者が、あっという間に地獄送りだ。
 さぁ、もっと天罰を下していこうか!」
 遠くから蓮による虐殺の様を眺め、楽しそうに笑う者がいる。白い騎士鎧を纏い、白い仮面を被った子供だ。その手には、光を放つ水晶が浮かんでいた。

●集めうる限りの、最高の戦力で
 その日、『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)に集められたイレギュラーズ達は、互いの顔を見合わせて怪訝な顔をした。この場にいるのがローレットの中でも最高級の実力を持つ者ばかりだからだ。
「皆さん、急な要請にもかかわらず、集まって頂きありがとうございます。
早速依頼についてですが、アドラステイアから放たれた『聖獣』が天義のスウィードの街に迫っています。
皆さんには、これを討って頂きたいのです」
 この場に駆け込んできた勘蔵は、息を整える時間も惜しいとばかりに、荒い息を交えながらまず礼を述べ、そして依頼の説明に入った。
 アドラステイアは独自の神『ファルマコン』を信仰する、天義から離反した独立都市だ。そして、アドラステイアからはしばしば『聖獣』と呼ばれる、実は魔種の眷属たるモンスターが周辺の天義領を攻撃すべく放たれている。
「今回の『聖獣』をゴールデンロータスと仮称しますが、このゴールデンロータスがスウィード領のイーカタという街を攻撃し、瞬く間に焼け野原へと変えました」
 そしてゴールデンロータスがスウィードの街に迫るに及び、スウィードの領主から救援の依頼がローレットに出された、と言うわけである。
「……しかし、こんなレベルばかりの面子で挑まなきゃならんほどなのか?」
 イレギュラーズの一人が、疑問を口にした。勘蔵は頷きながら、厳しい表情になって答える。
「イーカタの状況から、ゴールデンロータスはかなり危険な存在であると判断しました。
 また、討伐に万一失敗してゴールデンロータスがスウィードに到達した場合、イーカタよりもはるかに多くの人々が犠牲となります。そんな事態は、絶対に回避せねばなりません」
 故に、このレベルのメンバーを選んで声をかけたと勘蔵は言う。杞憂でしたらそれに越したことはありませんが、と添えながら。
 そして勘蔵は、ゴールデンロータスの能力についても説明を始めた。とは言え、わかっていることは常時飛行していることと、街一つをあっと言う間に壊滅させるだけの爆弾を放ってくることだけだが。
「ただ、イーカタ襲撃で確認されたのがそれだけであって、他に何らかの攻撃手段を持っている可能性はあります。
 何にせよ、スウィードにはゴールデンロータスに対抗出来る戦力はありません。繰り返しになりますが、皆さんが万一仕留め損ねた場合、イーカタよりもさらに多くの人が犠牲となります」
 空中から攻撃してくる敵に対抗出来る戦力など、スウィードに限らず一地方領主が持っているはずがない。そして、スウィードには元々のスウィードの住民に加え、イーカタ壊滅を受けて避難してきた難民も逃れてきている。
「……俺達の責任は重大、ってわけだな」
「ええ。厄介な敵ではありますが、多くの人々の命がかかっています。
 何としても、ゴールデンロータスを食い止めて下さい。どうか、よろしくお願いします」
 緊張からかゴクリと唾を飲み込んだイレギュラーズに、勘蔵は深く頷いてその言葉を肯定する。そして勘蔵は深々とイレギュラーズ達に頭を下げて、惨劇を阻止するよう懇願するのだった。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。今回は、スウィードに迫るゴールデンロータスの撃破をお願いします。
 対象レベルがかなり高い上に、死亡判定あり、しかも敵は空中と色々と厳しい状況ですので、十分にご注意の上シナリオへのご参加をお願い致します。

●成功条件
 ゴールデンロータスの撃破

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●注意!
 ジェットパックなどによる簡易飛行、あるいは媒体飛行は戦闘で用いることは出来ません。
 もしプレイングでこれらを使おうとした場合、GM判断で命中と回避に通常の飛行ペナルティーに加え重篤なペナルティーを課すか、簡易飛行あるいは媒体飛行の部分をスルーするかして戦闘に参加させます。
 くれぐれもご注意下さい。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
 天義、スウィード領。海沿いの街道。
 天候は晴れ、地形は平坦。環境による戦闘へのペナルティーはありません。

●独立都市アドラステイアとは
 天義頭部の海沿いに建設された、巨大な塀に囲まれた独立都市です。
 アストリア枢機卿時代による魔種支配から天義を拒絶し、独自の神ファルマコンを信仰する異端勢力となりました。
 しかし天義は冠位魔種ベアトリーチェとの戦いで疲弊した国力回復に力をさかれており、諸問題解決をローレット及び探偵サントノーレへと委託することとしました。
 アドラステイア内部では戦災孤児たちが国民として労働し、毎日のように魔女裁判を行っては互いを谷底へと蹴落とし続けています。
 特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/adrasteia


●ゴールデンロータス ✕1
アドラステイアから周辺の領主を攻撃するために放たれた聖獣です。
直径20メートル弱の金色の蓮の花の形をしており、地上20メートル以上を浮遊しています。
全体的にステータスは極めて高くなっており、唯一回避のみその巨体故に低くなっています。

・攻撃手段など
 種子爆弾 物/中~超/域 【変幻】【追撃】【災厄】【火炎】【業炎】【炎獄】
  OP前半で街に降り注いだ爆弾です。
 花弁乱舞 物/至~超/単~域 【多重影】【変幻】【必殺】【弱点】【出血】【流血(※)】【失血(※)】
  いくつもの花弁を射出して、敵を斬り裂きます。
威力、多重影の数値、変幻の数値は範囲が狭まるにつれて大きくなります。
また、失血は範囲単体のみ、流血は範囲域以外で適用されます。
 精神無効

・【怒り】を受けた際の挙動
 通常、【怒り】を受けた場合の挙動は「可能な限り怒りを与えた敵に接近し、近接攻撃を試みる」となっていますが、ゴールデンロータスが【怒り】を受けた場合、このような挙動はしません。
 なお、「怒りを与えた敵に攻撃する」ことだけは確かです。

●白い騎士鎧の子供
 遠方からゴールデンロータスを督戦している、アドラステイアの『聖銃士』です。
 このシナリオでは、如何なる接触も不可能であるとします。
 また、アフターアクションなどによって調査することも出来ません。

●スウィード
 スウィード領の領主が拠点としている、スウィード領の中では規模人口共に最大の都市です。
 さらにイーカタからスウィード間の街の住民が難民として逃れてきているため、スウィードにいる人の数は大きく膨れ上がっています。
 それだけにゴールデンロータスがスウィードに至った場合、イーカタの数倍以上のレベルで人々が犠牲となることでしょう。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • 惨劇もたらす金色の蓮Lv:30以上完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年11月13日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (10人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
竜の力を求めて
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
リインカーネーション
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
舞蝶刃
メルナ(p3p002292)
揺らぐ青の月
メルトリリス(p3p007295)
神殺しの聖女
楊枝 茄子子(p3p008356)
特異運命座標

リプレイ

●迫る金色の蓮
「……ん?」
 掌に浮かぶ水晶が突然輝き出したのを見た、白い仮面に白い騎士鎧の子供は、怪訝そうに水晶へと目をやった。輝く水晶の中には、海沿いの街道を歩く十人の姿がある。この子供ことアドラステイアの聖銃士が使役する聖獣、仮称ゴールデンロータス討伐の依頼を受けたイレギュラーズ達だ。
「へぇ、聖獣様を倒しにのこのこ出てきたってところかな。
 スウィードに着くまで暇だと思ってたから、ちょうどいいや。軽く、捻って来なよ」
 聖獣の勝利を疑っていない聖銃士は、聖獣に対して事も無げにイレギュラーズ達との交戦を指示した。

「奴がこちらを見つけたようだ。来るぞ」
 『竜の力を求めて』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)の常人離れした視力が、イレギュラーズ達に迫るゴールデンロータスの姿を捉える。
「……さて、大物取り。天より見下ろす蓮……ハ、天罰いうより仏罰か?
 どこぞの神の杖も天から振り下ろした記憶があるし、天義はその手の手段が好きらしいな」
 レイブンは表情をほぼ変えずに唇の端だけを吊り上げて笑うと、変化を解いてローブをまとった二足歩行の大烏の姿になり、バサッと翼をはばたかせて浮遊すると『命繋ぐ陽光』アラン・アークライト(p3p000365)の両腕を両脚で掴んだ。
「荒いフライトになるぞ」
「どうってこたぁねえよ」
 レイブンの警告を、アランは軽く笑い飛ばす。その返答を聞いたレイブンは無言で頷くと、さらに翼を大きく羽ばたかせ、高度を上げた。ゴールデンロータスと戦うにあたり、レイブンはアランを上空まで運ぶ役目を担っているのだ。
(ここで奴を通せばもっと大勢が死ぬ、か。
 いいねェ……まさしく、これこそが勇者(オレ)向きの依頼ってもんだ)
 みるみる遠くなる地面を見下ろしながら、アランは不敵に笑う。大勢の命を守るためのゴールデンロータス討伐は、勇者を自認するアランにとって相応しい依頼と言えた。それだけに、自ずと戦意も高揚する。
「しゃあ行くかァ! ここで潰すぞ!」
 気合十分といった様子で、アランは吼えた。

 やがて、ゴールデンロータスはレイブン以外のイレギュラーズ達にも見えるところまで接近してきた。その姿は、どんどん大きなものになっていく。
(あんなに大きな存在まで造れるのね……人の領域を超えてきているようだけど。
 アドラスティア……そろそろ本格的に内戦でも起こしそうで、悲しい。
 同じ天義国民であったはずなのに、こんな、ことになるなんて)
 『冠位強欲』によって引き起こされた『大いなる災い』による分断の大きさを、『神威之戦姫』メルトリリス(p3p007295)は改めて思い知らされた。
(サントノーレ……貴方にひとり、このアドラスティアのことを背負わせはしないわ。
 貴方がくれた名刺に誓って、私も協力するからね)
 草臥れた名刺を胸に抱き、メルトリリスは固く意を決した。
「アドラステイアもどんどん過激になっていくな……本気で天義を滅ぼすつもりなのか?」
「だとすると、あれはそのための兵器……か」
 呻くように漏らした『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)の独語に、『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)もゴールデンロータスを見上げながら応じる。もちろん、アークライト夫妻としてはそんなことをやらせるわけにはいかない。天義は二人の『帰るべき場所』であるし、そうでなくてもこれ以上犠牲者が出るなど許すべからざる事態であった。
「行こう、リゲル! 天義を守るためにもゴールデンロータスを止めるんだ!」
「ああ! アドラステイアの手駒を駆逐し、人々の安全へと繋げる! 子供達の未来の為にも!」
 ポテトとリゲルは互いに顔を見合わせあうと、共に深く頷きあった。
(……何を信仰しようと勝手ではあるけれど、無辜の民を虐殺して天罰はさすがにね)
 表情や態度には出さないものの、『舞蝶刃』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)はゴールデンロータスの所業に許しがたいものを覚えていた。かつて過度の『正義』によって家族を断罪されたアンナにとって、虐殺されたイーカタの住民は喪った家族と被るのだ。
(……つまるところ、神の名を利用して好き放題しているだけでしょう?)
 アンナにとっては、そのような行いをする天義の貴族も、アドラステイアも、同類である。そして、そのような輩共はアンナの最も嫌悪するところであった。アンナは『夢煌の水晶剣』の柄を固く握りしめながら、「好き放題」を必ず止めると心に誓った。
(信じるものの為に、或いは縋る何かの為に戦う……)
 そういう意味では、アドラステイアの子供達も、自分や仲間達も変わらないのだろうと『揺らぐ青の月』メルナ(p3p002292)は思う。
(……けどだからこそ、こんな虐殺を見過ごす訳にはいかない……お兄ちゃんが見過ごす筈がない。
 だから、私も……子供じゃなく聖獣相手なら尚更、躊躇する理由もない。全力で、行くよ……!)
 メルナの全ては、自分の身代わりとなった兄の代わりを務めることにあった。亡き兄ならば、ゴールデンロータスの暴虐を必ず止めてみせただろう。故に、メルナは兄の代わりにゴールデンロータスを止めねばならない。
「……それにしても。こんな大型の聖獣まで持ってるなんて……一体どれ程戦力を蓄えてるの?」
「すごいよね。情報を聞いてるだけでも厄介そうだったけど、こうして実際に目の当たりにすると本当に厄介そうな敵だよね……。
 しかも空から来るなんて聖獣ってなんでもありなんだね」
 一瞬、素の自分に戻ったメルナの不安そうなつぶやきに、『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が共感を交えながら続けた。
「でも……」
 と、スティアは後ろを振り返る。釣られて、メルナも振り返った。その先には、ゴールデンロータスの襲撃に怯えているであろうスウィードの街がある。
「そんな相手だったとしても、退くわけにいかない。絶対に此処で食い止める!」
「……うん、そうだね」
 スティアがはっきりと言い放てば、メルナも力強く頷いた。
「こんなにも、輝いて、綺麗ですのに……どうして、これほどまでに、おそろしいのでしょうか?」
「大丈夫だよ、ノリアくん。どんな敵が相手だって、いつもと同じ! 今回もみんな私が治すよ!」
 ゴールデンロータスは全体が金色であり、その輝きは美しい。しかし『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)はその輝きに得も言われぬ恐怖を覚えると、『パーフェクトクローザー』楊枝 茄子子(p3p008356)に寄り添った。不安げなノリアを安心させようと、茄子子は満面の笑みを浮かべる。
「頼りにしてますの。茄子子さんは、私がお守りしますから」
「ありがとう。任せておいて!」
 茄子子の笑みを受けて、安心した様子のノリアは長く透明な尾を茄子子に巻き付かせた。

●戦端、開かれる
 迫り来るゴールデンロータスを、イレギュラーズ達は迎え撃つ。最初に仕掛けたのは、リゲルだった。
「子供を守れぬどころか……非道の限りを尽くす教えなど、俺は認めない!
 ファルマコンは悪魔だ! この悪魔崇拝者の手先め! その不正義なる暴力ごと、斬り払う!」
 ゴールデンロータスへと駆け寄ると、手にしている双剣を輝かせつつ背中まで振り下ろし、立て続けに振り下ろす。二筋の剣閃は飛翔する刃と化して、ゴールデンロータスの下部に直撃して傷を刻む。リゲルの一撃は見た目からはわかりにくいが、ゴールデンロータスの敵意を煽ることには成功した。
「今は、この聖獣を止めないとね」
 リゲルから十メートル足らずの距離を開けてゴールデンロータスに接近したメルトリリスは、全身の力を魔力と換えて、掌の上に集約させる。そして、凝集した魔力を砲弾として撃ち出した。魔力の砲弾はリゲルが刻んだ傷に命中し、その巨体をわずかにではあるが揺らがせる。
 ゴールデンロータスは、金色の花弁を次々と射出した。花弁は一枚一枚が大きな金色の刃となって、リゲルに襲い掛かる。
「ぐっ!」
 いくらリゲルが歴戦の騎士であるとは言え、前後左右から縦横無尽に襲い来る攻撃の全てに対応するのは非常に困難であった。それでも双剣で受け止められるものは受け止めて可能な限り被害を抑え、白い鎧を紅に染めながらも倒れずに立っていられたのは、リゲルの技量の高さ故だ。常人であれば、今の攻撃で瞬く間に血の海に沈んでいたであろう。
「リゲル! 大丈夫か!?」
「リゲルくん! 死なせたりなんてしないよ!」
 一度の攻撃でリゲルが深く傷ついたことに驚愕と焦燥を感じつつも、ポテトと茄子子は調和の力を用いてリゲルを癒す。二人がかりの回復によって、リゲルの受けた傷は半ば以上が癒えた。
「メルトリリスがいてもリゲルだけを狙ってきたか……」
「もう一人か二人近づいていないと、集中攻撃されるみたいだね」
 イレギュラーズ達は今回、ゴールデンロータスに一人が集中攻撃されないよう敵意を引く役の近くに別の一人を位置させると言う戦術を採っていた。しかし、メルトリリスが近くにいてもリゲルが集中攻撃されたという事実は、その戦術の見直しをイレギュラーズ達に強いることになった。
「よぉ、花ごときが散々上から見下ろしてくれたなァ?
 今から、上から殴られる恐怖をたっぷりと味わせてやるよ!」
 ポテトと茄子子がリゲルを回復している間に、レイヴンによって空中へと運ばれていたアランがゴールデンロータスの上に降り立ち、仕掛けていた。大剣『Code:Demon』に紅い憎悪のオーラをまとわせ、勇者と言うよりも狂戦士と言った方が相応しい様相で、『Code:Demon』を何度も振り下ろしては花托に叩き付ける。種子を模した爆弾を放出する蜂の巣状の砲口は、ぐちゃぐちゃに叩き潰された。
「……少しは、考えているみたいね」
「でも、何としてもここで撃ち落とすんだ!」
 範囲攻撃できるのが二人だけなら、一人を集中攻撃した方が効率的と判断したのだろう。自分達の戦術に乗ってこなかったゴールデンロータスの行動に、アンナは静かにつぶやいた。一方、スティアは敵がどうであれ、この場でゴールデンロータスを倒すとさらに意気込む。
 アンナとスティアは、タイミングを合わせて膨大な熱量を伴った光線をゴールデンロータスに放つ。ゴールデンロータスは二条の光線を受けた部分をドロリと溶かされ、ガクガクとその身体を震わせた。
「行くよ……! はあああああっ!」
 それを好機と見たメルナは、仲間の攻撃に乗じて畳みかけるべく『霊樹の大剣』の先端をゴールデンロータスに向け、気を集中させる。メルナの気を纏った『霊樹の大剣』からは咆哮と共に光の柱が放たれ、ゴールデンロータスに叩き付けられた。光の柱が命中した部分は、内側に大きく凹んでいた。空中でふらふらと、ゴールデンロータスはよろめく。
「ハ……天罰を称する相手を見下ろすというのも、なかなか気分がいい」
 アランを運び終えたレイヴンは、ゴールデンロータスよりもさらに高く飛翔する。そして眼下にゴールデンロータスを見下ろすと、自身の過去である"無銘の執行者"を自身に重ねる形で召喚。武器に投影された大鎌を大きく振るうと、斬撃はゴールデンロータスへと飛び、既にさんざんに破壊され砲口としての機能を失っている花托に深く大きな傷跡を刻んだ。
「もう一人二人狙われる役が必要でしたら、私がやりますの……!」
 ポテトと茄子子の会話を聞いていたノリアは、茄子子から離れて前進した。狙いは、ゴールデンロータスに先ほどのような集中攻撃をさせないことだ。幸い、ゴールデンロータスの敵意はリゲルに向いているようで、茄子子が狙われる心配もない。
 そしてノリアは最近入手したばかりと言う『熱水噴出杖』の噴出孔をゴールデンロータスに向ける。噴出孔の蓋がひとりでに開くと、高温高圧の熱水流がアンナとスティアの光線を受けて溶けている場所を深く穿っていった。

●激戦と勝利
 ノリアが前進し、ゴールデンロータスの敵意を煽る役に接近したことで、ゴールデンロータスはイレギュラーズ達の狙い通りに花弁を広範囲に分散させた。これで、花弁への対応は幾分楽になった。だが、それでいてなおゴールデンロータスの攻撃は熾烈だった。茄子子の戦況判断をもとにリゲルが指示を下し、被害が可能な限り軽くなるようゴールデンロータスの攻撃を誘導していくが、それでもポテトと茄子子の回復がじわじわと追いつかなくなっていく。
 一方、イレギュラーズ達の攻撃も激しい。アランの猛攻をはじめ、スティアの魔力の羽根、アンナの不可視の刃、メルトリリスの魔力の砲弾、メルナの大剣から放たれる光の柱、ノリアの高温高圧の熱水流、レイヴンが自身に被せて召喚する"無銘の執行者"の大鎌の斬撃、リゲルの断罪の斬撃が、ゴールデンロータスの生命力を着実に削り取っていった。

「ええい、何をモタモタしているんだ! たった十人くらい、さっさと片付けてしまえよ!」
 遠くからゴールデンロータスの戦闘を眺めていた聖銃士は、苛立ちを交えながら叫んだ。だが、聖銃士は知らない。ゴールデンロータスと戦っている十人は、討伐依頼を受けた情報屋が集められた限りにおいて、ローレットの中でも最高峰レベルの実力者達であることを。
 故に、聖銃士は判断を誤った。本来ここで打つべき手は――イレギュラーズ達がそれを許すかは別として――逃げの一手だったのだ。
 結果としてゴールデンロータスはイレギュラーズ達にさらなる傷を負わせたのと引き換えに、見るも無残な姿となった。金色の輝きは薄汚れて既に喪われ、花弁も花托もひどくひしゃげて至る所に攻撃を受けた跡が残っていた。

 ゴールデンロータスが、最期の力を振り絞って攻勢に出る。ゴールデンロータスの敵意を煽り攻撃を引き付ける役は、既にリゲルからアンナに代わっていた。
「最後まで、耐えてみせるわ。それが私の仕事だから」
 せめて一人だけでもという執念か、今回ばかりはゴールデンロータスも他に目もくれずアンナだけに花弁を集中させる。だが、敵意を煽られている故に仕方ないのだが、誰かを倒すという意味で
は最悪の選択だった。攻撃を避けることにかけて、アンナの技量は群を抜いているのだ。
 それでも全ての花弁を回避することはできなかったが、アンナの傷は軽いと言える程度で留まった。
「そろそろ終わりね。あとどれだけもつかしら」
 ゴールデンロータスの攻撃を一通りしのいだアンナは、不可視の刃でゴールデンロータスを斬り刻む。既にボロボロのゴールデンロータスの花弁に、さらに新しい傷が刻まれていく。
「リゲル、あと少しだ。行けるか?」
「任せてくれ、ポテト。ここで、必ず仕留める!」
 ポテトは調和の力でリゲルを癒す。一度は深手まで追い込まれたリゲルだったが、攻撃を受ける役をアンナと変わってからはポテトの回復によって、傷は浅いと言えるところまで回復している。
 リゲルは白銀の剣を掲げて青白く輝く光を頭上に創り出す。そして剣の切っ先をゴールデンロータスに向けるように振った。彗星の如き光弾が、空を駆け上りゴールデンロータスの下部に激突する。
「もう潰れろ! 死ねェ!」
 あと少しでゴールデンロータスを倒せると見たアランは、花托の上から横へと移動して、紅の剣閃と蒼の剣閃で力の限り斬りつける。花托に刻まれた十字の斬撃は、ゴールデンロータスをさらに弱らせた。
(残りの力、全部この一撃に注ぎ込むわ!)
 メルトリリスは、残る気力を全て魔力に変換し、最後の魔力の砲弾を撃ち出した。その砲弾は、ゴールデンロータスの花托の奥深くまでを貫いた。高度を保つ余力が無くなったのか、ゴールデンロータスはガクリと高度を落とす。
「これで……貫き通す……!」
 メルトリリスがゴールデンロータスに穿った穴を狙い、メルナは『霊樹の大剣』から光の柱を放つ。光の柱は狙い通りに命中すると、ゴールデンロータスの花托を下から上まで貫き通した。ガクガクと震えながらも高度を取ろうとするゴールデンロータスだったが、もう虫の息であるのは誰の目にも明らかだ。
「ノリアくん。会長は大丈夫だから、もう倒しに行ってよ」
「そうですの……? それでは……」
 茄子子は、自身を庇いに戻っていたノリアに声をかけると、天使が奏でるような救済の歌を歌い、アンナとノリアの傷を癒していく。茄子子の言葉と癒しを受けたノリアは、メルナが穿った穴に『熱水噴出杖』の噴出孔を向け、高温高圧の熱水流を浴びせていく。それがよほど堪えたのか、ゴールデンロータスはふらふらとしながらさらに高度を落としていく。
「もう、終わらせるよ……!」
 本の形の魔導器『セラフィム』に魔力を収束したスティアは、『セラフィム』から発した幾多もの魔力の羽根をゴールデンロータスに向けて放つ。刃と化した魔力の羽根は、ゴールデンロータスの花弁を次々と切り落として花托を丸裸にした。
「これで、仕舞いだ! 起動せよ、起動せよ、八ツ頭の大蛇!」
 ゴールデンロータスに止めを刺すべくレイヴンが召喚したのは、八つの首を持つ大蛇『ハイドロイド』の首だ。『ハイドロイド』の八つの首は、丸裸になったゴールデンロータスの花托に向けて凝縮された魔力水の砲弾を放つ。八つの砲弾は同時に着弾すると大爆発を起こし、ゴールデンロータスに残された花托を跡形もなく消滅させた。

「こんなものかぁ……もう少し働いてくれると思ったんだけどな。まぁ、いいや。
 今度は、あいつらにも勝てる聖獣様をもらえるといいな」
 ゴールデンロータスが倒された様を見届けた聖銃士は、壊れた玩具に興味をなくした子供のようにあっさりとゴールデンロータスの事を頭から忘れ去ると、アドラステイアの方へと足を向けた。

●朗報に歓喜する人々
 イレギュラーズ達がゴールデンロータス退治の報を届けると、スウィードの街は歓喜に包まれ、人々はイレギュラーズ達を英雄と称えた。それだけ、ゴールデンロータスによるイーカタ壊滅の惨状は人々に恐怖を与えていたのだ。
 恐怖からの解放を喜ぶ人々の笑顔を見たイレギュラーズ達は、自分達が守り抜いたものを改めて強く実感し、達成感に包まれるのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 シナリオへのご参加、ありがとうございました。皆さんのおかげでゴールデンロータスは退治され、スウィードの街はそこにいる人々ともども守られました。お疲れ様でした。

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