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シナリオ詳細

<FarbeReise>ダンジョンにスマホを落としただけなのに

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●スマホ勇者、スマホを落とす
 ダンジョン探索は、ファンタジーの基本である――!!
 『スマホ勇者』ホタローは、スマホがあればなんでもできた。

「ダンジョン攻略も、スマホがあれば超余裕だな!」

 ホタローは呟きながら、マッピングの記録をスマホに保存している。

 スマホがあれば、この混沌世界でも生きていける。
 スマホがあれば、勇者として活躍できる。
 スマホがあれば、人生楽勝――。
 
 彼は、そんなふうに思って今日もダンジョン攻略に勤しんでいた。

「やっぱ、危なくなったら右手法で帰れるよな」

 これも、スマホで検索して得た知識である。
 冒険だけではなく、戦術や内政もこのスマホにかかればあっという間に歴史上の英雄になれる、とホタローは信じ切っている。
 いつか勇者として功績を上げ、一国の内政を任されたなら、電書でダウンロードしてある『君主論』とか『毛沢東語録』とかの異世界知識を利用して政治を行なう準備をしている。
 そうすれば、王族として好き放題でき、ハーレムも夢ではない……そんな妄想と野望を抱いている。
 そして妄想も、実現すべくフリック入力でブロクに壮大な計画として記述し、自伝として発表すべく小説投稿サイトに投稿する用意もしている。

「よーし、お宝見つけて野望の階段を登るぜ―!」

 そんなホタローは、現在ラサのファルベライズ遺跡群の探索を行なっている。
 ダンジョンで一攫千金――。
 遺跡に眠っている財宝をゲットできれば、夢が叶うほどの富が得られる。
 安直だが、彼なりにその第一歩を踏み出しているのだ。
 そんなホタローが階層を進むと、やはり遺跡に潜んでいる魔物と出くわしてしまう。

「うおっ!? 魔物じゃねえか……! しかも、アンデッドかよ」

 出くわしたのは、スケルトンやらゾンビ、マミーの群れだ。
 どうやら、古代の墳墓だったらしい。

「げっ……!? 数多いじゃん! ささっと退散しよ」

 勇者ホタローは、敵の数の多さからとっとと逃げ出した。
 これに気づいたアンデッドたちも追っかけてくる。
 逃げ足の早いホタローは、のろまなアンデッドを振り切っていく。
 しかし、ホタローは気づかなかった。
 彼を勇者にしてくれ、野望を成就させてくれるスマホを落としてしまったことに。

●落としたスマホを捜してください
「なんとかしてくれよぉー!! 落としちまったんだよー」

 ホタローは、泣きじゃくっていた。
 彼を勇者にしてくれた万能アイテムを、ダンジョンに落としてしまったのだという。

「頼むよぉ~! 俺のスマホを拾ってくてくれよぉ~!」

 ホタローは、スマホのおかけでかろうじて勇者として活動できるのであり、スマホを無くしてしまうと勇者でもなくなり、ただの一般人になってしまう。
 ダンジョン探索など、できようはずもない。

「そんなわけで、皆さんにはホタローさんのスマホをダンジョンに潜って回収してきてほしいのです」

 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)も、呆れ顔であった。

「現在、ホタローさんの個人情報が漏れに漏れまくっているらしいのです。人にお見せできないような内容や書き込みとか、個人認証とかそんなものです」

 いわゆるインターネットに当たるものがはないが、スマホを媒介にしてさまざまな情報が第三者に取得されているらしい。
 生体認証がついておらず、パスワードが生年月日だったらしくあっという間に破られたようだ。
 現在、その位置情報は電源が落ちているせいかネットから遮断された階層まで潜ったのか判明していない。
 ともかく、アンデッドの巣窟だったにもかかわらず、スマホを操作できる何者かホタローのスマホを拾ったようだ。

「お願いだ! 俺のスマホを取り戻してくれよぉ……」

 こうしている間にも、ホタローの個人情報は流出し、さまざまな黒歴史が世に公表されようとしている。

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 この依頼は、ラサのファルベライズ遺跡群探索中にホタローがうっかり落としてしまったスマホを回収するというものとなっています。

▼落としたスマホについて
 ホタローのギフトの一部です。ホタローはスマホだと言い張っていますが、電波が通じていないところでも何故かネット(?)に接続されていたり、電源が切れなかったりと、もしかしたらスマホっぽい何かかもしれません。
 少し前まで位置情報を発信していたようですが、現在は途切れています。ダンジョンの地下階層に持ち去られているものと思われます。
 顔認証、指紋認証には非対応のようです。

▼スマホを落としたと思われる場所
 アンデッドがたくさんいる遺跡で、ダンジョンとなっています。
 スケルトン、ゾンビなどの低級なアンデッドが多数いるようですが、それらにスマホをいじれるような知性があるとは思えないので、別の魔物が潜んでいる可能性が高いです。

▼『スマホ勇者』ホタロー
 現在、スマホを落としてしまったので、勇者でもなんでもありません。連れて行っても待たせていてもいいですが、1レベルで役には絶たないようです。
 調子乗りで勇者の自覚もなく、正確は軽薄で責任感も皆無です
 しかし、スマホを返す時なら、説教もおとなしく聞くでしょう。

 事前情報は以上となります。
 ダンジョンを探索してスマホを探してあげてください。
 落し物を探すスキルやギフトがあれば、活躍するのではないでしょうか?
 それでは、どしどしおいでくださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <FarbeReise>ダンジョンにスマホを落としただけなのに完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年11月10日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ラダ・ジグリ(p3p000271)
剣砕きの
雨宮 利香(p3p001254)
雨宿りの
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
エルス・ティーネ(p3p007325)
竜首狩り
カイロ・コールド(p3p008306)
闇と土蛇
黎 冰星(p3p008546)
パンドラの色は虹色
飛燕(p3p009098)

リプレイ

●スマホを落とした勇者
「スマホを落としちゃったんですよ! どうすりゃいいんですか? このままじゃあ、俺なんにもできないっすよっ!」
「すまほ……。まさかラサにもあるなんて……と思ったらギフトなのね?」
「そう、俺の生命線なんだよー」

 ホタローは『砂食む想い』エルス・ティーネ(p3p007325)に泣きつくように言った。
 練達の再現性東京で限定的に使える者があるらしいが、ホタローのスマホは彼のギフトに関わっているらしい。

「ま、まぁ…仕方ないわ、受けた仕事はきっちりしましょ!」
「お願いします、お願いします! あれがないと、異世界楽々生活が夢と消えちまうんですよ!」
「……喚くな。黙っていろ。貴様がそうしたところで状況は変わらん」
「ひゃ、ひゃい……」

 スマホ勇者の根源であるスマホを落としてぎゃあぎゃあわめきっぱなしのホタローに、飛燕(p3p009098)はピシャッと言った。
 一応、おとなしくなったのでそのあらましを振り返ろう。
 ファルベライズ遺跡群で、色宝を始めとするお宝をゲットしてウッハウハになろうと目論んだ『スマホ勇者』ホタローであったが、肝心のスマホをダンジョン内に落としたらしく、ローレットの冒険者たちを頼ってきたのである。

「へっぽこ勇者らしく秘宝を集めたことは評価してあげましょう。ですがなんですかその顔、おまけに暗号が生年月日??」
「えっ、だって覚えやすいし。パスワード忘れちゃったら不便じゃないっすか……」

 ホタローの安易な答えに、ビキビキっとなってしまう『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)である。

「……依頼人じゃなかったら蹴っ飛ばしてますよ?」

 その危機意識のなさとセキュリティの甘さに呆れ返るのを通り越して怒りも湧いてくる。
 自身の安全もそうだが、そういう気の緩みには仲間にも悪影響があるのだ。

「練達以外でも携帯端末が使えるのはすごく便利だろうけど。それに頼ってばかりじゃダメだと思うよ。ましてや落っことしたりなんかしちゃったら……」

 『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)も、勇者と名乗っているのにその迂闊さはちょっとどうかと思うところだ。

「一個しか頼るものが無いと、それが潰された時に大変! という教訓を得られたなホタロー殿は」
「ええ、まあ……」
「……得られたのか? ううむ、わからぬが、諭す系は吾は苦手故皆に任せよう」

 ホタローの答えは非常に曖昧な返しであったが、『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は、そういうことにした。素直である。

「あのう、探してもらえますよね?」
「世の中はお金がすべて。故に、報酬さえ支払えるならば文句はございません」
「あっ、もちろん出します!」
「なら、いいんです」

 報酬さえ出るなら、『果てのなき欲望』カイロ・コールド(p3p008306)は依頼人がどれだけへっぽこでも問題はなかった。ただ、それには条件がある――。

「ただ、邪魔だけはしないでくださいね?」
「というと?」
「具体的に言うと、『命令するな』『勝手に行動するな』『喚き立てるな』です。これを守ってくれないと……私は悲しいですねぇ」
「あ、守ります守ります」

 ホタローの様子を見るに、何も考えずに頷いているのは間違いない。しかし、同意したことは確認したカイロであった。

「すまほ? ……ああ、あのaPhoneみたいなやつ。わ分かった、一緒に探してやるから後で使い方教えてくれよ? 私、aPhoneまだうまく扱えないんだ」
「あ、おねーさんスマホ使い方わからないタイプ? もちろん、ばっちりレクチャーするよ! おすすめアプリとかも教えるからさ」

 ダンジョンを進みながら、ホタローは『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)に対していい気になった。
 スマホの使い方がわからない相手とか、ホタローにとって絶好のマウント対象である。

「私たちにお任せ下さい! それではホタローさん、どうぞ宜しくお願いします!」
「やっ、もうお願いするっす! 頼みまくるっす!」

 『パウダー・アクアの拳』黎 冰星(p3p008546)にホタローはへこへこ頭を下げて頼み込んだ。
 冰星の懐から一匹のリスが飛び出し、落としたスマホの捜索を始める。

「あのう、そのリスは?」
「フォアグラっていうんです。賢いんですよ」
「はあ、そのリスが」
「そのスマホって端末がどんな感じのものなのか教えてもらえれば、手がかりにできるんですが」
「このくらいの板みたいなもんなんすよ」
「ふうん……」

 冰星も、ちょっと掴みあぐねている。
 ホタローも、スマホはスマホだろ程度の説明しかできない。
 生まれてからずっと当たり前にある慣れたものを、まったく知らない人間に伝えるのは意外に難しい。

「そういえばどんな形なのかしら? 色とか」

 ここでエルスがスマホの形状を細かく聞き始める。
 全員で落としたスマホがどんなものだったのかを共有しておくことも大切である。

「色はプレミアムスカイブルー。限定色なんだぜ」
「電子音とか聞こえればいいんだけれど……遺跡では違和感のある音とか」
「んー、マナーモードで落としたから鳴らないかも」
「そう……。この遺跡、アンデッドが割といるわね……。他の敵もいないか注意しておかないと」
「スマホがあれば、一発で倒し方を検索できるんだけど……」

 やはり、スマホに頼りきりであったのがよくわかる。

「まあ、スマホっていうのはこんな感じのやつ」

 チャロロは緑のケースに入ったaPhoneを皆に見せる。

「そう、それ! そんな感じ」
「わかりました! フォアグラ、見つけられる? よし!今回も頑張ろうね!」
「チチッ!」

 冰星は、フォアグラの小さな前足とハイタッチする。
 さっきのやり取りで、フォアグラも形状を覚えたようである。

「でも、やっぱりaPhoneは制約多くて囲われてるって感じ。希望ヶ浜でしか使えないって言うし。aPhoneユーザーって、ちょっと信者っぽくて高すぎて引くよね」
「……今、aPhoneユーザーをみんな敵に回したよ?」
「えー、素直に感想言っただけじゃん」

 などと余計なことを言う。
 こんなホタローでも、一同は同行させることにしたのだ。


●スマホ探索、アンデッドバトル!!
 ダンジョン内は、カイロが自身に治癒光(試)を付与したことによって灯りを確保している。

「じゃあ、はぐれないでついてきてね」
「もちろん!」

 ホタローは、チャロロの後をついて離れない。
 飛燕の側は、圧が強いのでなるべく避けているようだ。

「…………」
「うす」

 目があったら、怯えながら会釈をする程度である。

「前へ出るな、そして遅れるな、中心に居ろ」
「わ、わかりました!」
「弁えない者を庇いたててやるほど、俺は他のイレギュラーズよりも甘くはない」
「うっす、心得ておきます」

 あからさまに不満げな顔で、おざなりに答えるホタローである。
 見かねたエルスがちょっと注意する。

「ちゃんと言うこと聞かないと、怒られるよ?」
「……俺、ああいう人苦手なもんで」
「あなたは少しは怒られたほうがいいかもね」

 思わず横目でなんだこいつと利香であった。

「せっかくの機会だ。君もスマホがない時の立ち回りも一応覚えておくべきだろう」
「はぁい」

 ラダの言うことはもっともだが、やはり気のない返事である。
 そういう態度を背で聞きながら、飛燕はパーティよりも数メートルほど先行する形で探索を行なう。ホタローが単独で歩けるようなダンジョンなら、大した罠はないだろう。
 しかし、念には念をという言葉もある。
 それに、相手はスマホを使えるくらいの知性を有する可能性があり、油断はできない。

(懸念事項は未確認の敵だが……生物か死者か、それとも機械か。いずれにせよ、殺すだけだ)

 慎重に気配を探っていく飛燕であった。
 その脇を、冰星のファミリア、リスのフォアグラがチョロチョロっと駆けていく。

「この先、アンデッドがいっぱい溜まっているみたいですね」

 フォアグラが得た情報は、パーティでも共有される。

「いくか、先手をかける」
「うむ!」

 アンデッドがいるというその先に、飛燕と百合子が先行した。
 果たして、部屋にはいくつもの骨が転がっていた。
 それがカタカタと組み上がっていく。スケルトンの群れだ――。

「出たな!」

 すぐさま飛燕が動いた。
 スケルトンたちが動く前に奇襲し、骨を砕いていく。

「アンデッドの弱点は―! 殴れば死ぬこと!」

 叫ぶや否や、百合子は拳を構えてスケルトンの群れに切り込み、殴りまくる。
 死にぞこないなら、物理で叩いて砕くまでだ。
 頭蓋骨が、叩きつけた茶碗のように割れていく。

「――ほっ!」

 そしてチャロロもしならせた拳をバックハンドブローで叩きつける。こちらも、ガラスのコップのように頭蓋骨を砕いた

「おおー、すげー!」

 スマホで動画として記録したいところだが、ホタローの手には現在スマホがない。

「薙ぎ払うぞ!」

 後方から、ラダ・ジグリのプラチナムインベルダが降り注ぐ。
 スケルトンたちの群れに、驟雨が無数の穴を穿っていった。
 あれだけひしめいていたスケルトンどもも、ものの数秒足らずで片づけられ、周囲に人骨が散乱するだけとなった。

「……スマホ、ありませんね」

 ホタローが骨の中を探っても、スマホらしきものは見つからない。

「他の部屋で落としたんじゃないの?」
「そうかもしれないっす……」

 利香に言われ、ホタローもその可能性に思い当たる。

「スマホをいじるくらいの知能がある相手ですし、かなりの実力者である事は間違いないでしょう。そういう場合、もっと奥や下層階にいるものよ」
「な、なるほど。勉強になるっす」

 ホタローは、いちいち利香の言うことに頷いた。
 スマホからではない、生の実地は彼にとってもいい勉強の機会となっているようだ。

「しかし、スマホを操る様な知能のある敵がこんなところにいるものであろうか? わからぬなぁ、でも多分グーで殴れば死ぬであろ」
「そんなもんですかね……」

 打ち砕かれたスケルトンの残骸を見ると、百合子の言葉も的を射ているのかもしれない。
 どれだけこの世に未練があろうが肉体という器がなければ物理的に干渉できないし、その器を手にしているなら壊せはいいのである。
 ともかく一行は先を進んだ。

●着信アリ?
「あっ、この音……!」
「スマホの着信音か」
「ああ、aPhoneのと似ている」

 探索を進めるエルス、飛燕、ラダが、遠くから鳴っている電子音に気づいた。
 その音源を辿って、向かっていく。

「俺のスマホっす……!」

 ホタローも覚えのある着信音だ。
 他のイレギュラーズが警戒する中、ホタローはスマホを拾おうとする。

「こんな番号、覚えないんですけど?」

 表示される番号に覚えはなく、非通知である。
 ホタロー、何気なくその呼出に出る。

『来テクレタ……』
「ひぃっ!?」

 不気味な、正規の宿っていない声。
 恐怖に引きつった表情で、ホタローはスマホを投げ出した。
 同時に、スマホから白く透き通った幽霊の手が伸びてくる。
 どうやら、遺跡のゴーストがスマホに取り憑いたらしい。

「もう、警戒しないで近づくからでしょ!」

 呆れる利香であったが、事態はそれだけではすまないようだ。

「いやな臭いがしてきましたよ。ゾンビは臭いがひどいので好きではありませんねぇ……動きが鈍いところは好きですが」

 今度は、腐ちかけた肉体を持つ死者の群れ――ゾンビである。

「おい、そこのカス。その携帯端末を返せ! でないと、我々がお前の身体を燃やした上でズタズタにする。こんなもんパクるんじゃなかったと後悔しながらオネンネする事になるぞ」

 普段は物腰ていねいな冰星が、スマホに取り憑いたゴーストに向かって言い放った。
 返答はない、つまりは戦闘で解決していいということである。

「なかなかハードな数ね………腕がなるじゃない!」
「しかとその目に焼き付けてくださいね、これが勇者を名乗るための最低条件ですよ!」

 魔術と格闘を織り交ぜたエリスがゾンビを打ち倒し、利香がチャームによって惹きつける。

「ホタローさん、後方に下がっていてください」
「も、もちろんっす!」

 ホタローがスマホを放り出して下がったのを確認すると、冰星は柔らかい肉球で思い切りゾンビをビンタした。
 さらには、飛燕がゾンビどもの手足を折り、潰して最小限の攻撃で活動不能にしている。
 首から上がちぎれ飛び、あらぬ方向に折れ曲がる死体がうごめく光景に、ホタローの表情もひきつっている。
 その間にも、百合子が清楚な美少女らしくウインクし、顔面を拳によって陥没させていた。

「虚勢でもシャキッとしとけよ。腰が引けてると敵は狙ってくるぞ」
「は、はいぃぃ!」

 怯えるホタローに、ラダが活を入れる。

「スマホに取り憑くゴースト……生者の情報が欲しかったとこでしょう。でも、一緒に遊んでもらいましょうか、いひひ!」

 利香は夢魔の本性を見せて、妖しく笑った。
 その微笑みとともに、瘴気と魅了の魔眼が開く。

『オ、オオオオオオオオオ……』

 生への未練に誘惑をかけられたことによって、スマホからゴーストが這い出ようとしている。
 そこに、ラダのテンペストとチャロロのレジストクラッシュが入った。

「ああああっ、精密機械の俺のスマホがあああああっ!?」
「マホってどのくらい丈夫なんだ? 2~3回叩かれても平気だろう? ……え、駄目?」
「駄目っすよ! 駄目に決まってるっすよぉ」

 よくわかっていないラダとチャロロの攻撃に、涙目のホタローであった。

「ガタガタ言ってないでその玩具を拾え。目的は果たした、脱出するぞ」
「は、はいっ!」

 そんなホタローも、飛燕が凄めば言うことを聞かざるを得ない。
 急いでスマホを回収し、アンデッドがうごめく遺跡を脱出するのであった。


             *             *             *

「スマホは、なんとか無事です……」

 遺跡から脱出し、ホタローはスマホの挙動を確認する。
 ホッとしたのも束の間、ここからは説教タイムである。

「ホタローさんも、まずは自分で身を守れるくらいには鍛えることからはじめたらいいと思うな」
「はい、プロテインとか飲むところから始めます。筋トレ動画もあるし」

 チャロロに進められて、筋トレ動画の検索を始める。
 なんとか作動することが確認された。

「さて、道中私は何回敵を引き付けたでしょーか♪」
「えっと、俺は5回くらい利香さんチラ見してたけど、それくらい?」
「ばちーん!」
「いってー」

 額に、利香による渾身のデコピンが決まる。
 きっと反省することであろう。
 
「スマホがなくては戦えないなど、言語道断。美少女であれば切腹を求められるレベルの内容である」
「マジっすか? そんなの検索してもでないんですが?」
「まぁ、ホタロ―殿は美少女ではない故、吾も切腹を求めたりはせぬが! ……しかし、何かがないから戦えないなどという贅沢は戦場では通用せぬ。勇ある者なれば精進されよ」
「えぇぇー……?」

 どうもよくわからない百合子の理論に対し、ホタローはぐっと反論を飲み込んだ。
 ただ、バ美肉するのは控えるつもりである。

「玩具ひとつ失くした程度で失う力など、無いものと変わらない。己の身にならぬのであれば、過ぎた玩具に頼り切るのは悪手としかならん」
「……わかったす、心に留めていきます」

 飛燕からの言葉を受ける番となると、ホタローは自発的に正座している。
 説教タイムが終わると、ホタローは立ち上がって深々と礼をした。

「ほんと、すんませんでした! おかげで助かったっす」

 心からの反省かどうかは、彼の今後にかかるであろう。

「それにしても……あなたのギフトって面白いのね? まぁスマホは練達で見たっきりだけれど」
「いやあ、便利なんですよ。活用して勇者になったもんで」
「また依頼があれば御贔屓に。金額次第で何でも請け負いますよ~」
「いかがでしたか? 報酬分は働けたでしょうか? フロントデスクでアンケートをご記入ください! なんてね!」
「はい、よろしくです。これ、ウェブで回答しておきますね」

 次の依頼やらアンケートに答えるホタローに別れ、イレギュラーズは去っていく。
 そんなホタローのスマホに「来テクレタ……」というメッセージが入ったのは後のことである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした、無事ダンジョンでスマホを発見できました。
みなさんの説教によってホタローも心を入れ替え、スマホ依存も治るでしょう、そのうち。
なお、彼の携帯にはしばらく何か憑いていますが、大きな影響はありません。
それでは、またの機会におお会いしましょう。

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