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シナリオ詳細

黄昏に消えた子供たち

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●神隠しの森

 夕焼け 小焼けで 日が暮れて
 見かけて 仕掛けて いなくなり――
 そうっと耳をそばだてりゃ ひそひそ声が聞こえるよ

 あにさん あにさん どこ行くの?
 ちょいと冥府に詣でます

 血のような赤い夕日が沈もうとしている。
 だけど、子どもたちはまだ遊び足りない。

「もういいかい?」
「まあだだよ」

 ほんの小さな鎮守の森だが、隠れんぼをするのにちょうどよい。

 だが、しかし――。

 それは怪異が潜むのにも都合がよかった。

「もういいかーい?」
「もういいよー!」

 鬼になった子が、さっそく隠れた子たちを見つけようと森を駆け回る。
 だが、黄昏は逢魔ヶ時という。
 魔と出会う時だと言い伝えがある。そんな時間にかくれんぼなどしたら。

「見いつけた……!」

 それは一緒に遊んでいる子どもたちとは違う声。
 ひどく不気味で、ざわつく声。

「ケケケケケケケケケケケ――!!」

 突如、気味の悪い笑い声が響いた。
 いきなりのことに戸惑う鬼役の子供が、慌てて周囲を見回した。
 いる、間違いなく、いる――。
 姿は見ねねど、気配が迫っている。

「生かして帰さないよ?」

●消えた子供たちと隠れ鬼
「大変です! 大変なのです!」

 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が慌てふためいて翼をばたつかせ、ローレットの冒険者たちの前に駆け込んできた。
 どうやら、子供たちの神隠し事件が続いているという。

「これも、隠れ鬼の仕業なのです!」

 隠れ鬼とは――。
 かくれんぼと鬼ごっこを組み合わせた遊びをこう呼ぶことがあるが、遅い時間まで隠れんぼをしている子供たちを見つけると、そのまま連れ去ってしまうという恐ろしい妖怪のことである。
 そのまま子供が帰ってこなければ、神隠しとなってしまう。

「隠れ鬼は、姿を消せるようです。この隠れ鬼を捕まえて、連れ去られた子供たちを取り戻してほしいのです」

 どうやら、連れ去られた子供たちは神社の境内にある森の中でさらわれたらしく、全員あわせて5人だという。
 その親たちも、不安のさなかにいる。
 このまま帰って来なかったら、悲しみに暮れることになる。
 なんとしても、隠れ鬼から子供たちを取り返さねばならない。

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 今回のシナリオは、隠れ鬼という妖怪から、さらわれた子供たちを取り返すという依頼となります。
 帰りを待っている家族のためにも、隠れ鬼を懲らしめてやりましょう。

▼隠れ鬼
 シナリオでも描写したとおり、姿を消して隠れるステルス能力を持っています。
 直接の戦闘能力は高くありませんが、姿を消すなど隠密能力に長けています。
 子供たちをさらった現場は鎮守の森で、夕刻にかくれんぼをすると出現するのでおびき出せます。
 森には、10匹程度の隠れ鬼が潜んでいるものと思われます。

▼さらわれた子供たち
 森でさらわれたのは全部で5人、かくれんぼの最中に目をつけられ、さらわれたものと思われます。
 隠れ鬼を捕まえ、連れ去った場所を聞き出せば手がかりを得られるかも知れません。
 
 事前情報は以上となります。
 それでは、どしどし参加してくださいませ。

  • 黄昏に消えた子供たち完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年11月05日 22時01分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
白薊 小夜(p3p006668)
永夜
シガー・アッシュグレイ(p3p008560)
紫煙揺らし
晋 飛(p3p008588)
倫理コード違反
ラグラ=V=ブルーデン(p3p008604)
星飾り
希紗良(p3p008628)
鬼菱ノ姫
瑞鬼(p3p008720)
幽世歩き
幻夢桜・獅門(p3p009000)
竜驤劍鬼

リプレイ

●そして子供たちは黄昏に消えた
 子供たちは、鎮守の森で行方知れずとなった。
 神隠しという言葉がある。
 神域は、常世と幽世の協会とされており、この世ならざるものの通り道とされてきた。
 そのため、寺社の境内や禁足地に迷い込んでしまうと、ここではないどこかに入ってしまうと考えられた。
 また、夕刻にかくれんぼをしている子供たちを連れ去ってしまう妖怪の伝承が各地に残っている。これは、子供たちが遅くまで遊ぶのをいましめるとともに、実際に誘拐が発生するのを防ぐためとも、あるいは人買いに売られる、間引きと言った悲しい事情を誤魔化したためとも言われているという。こうした妖怪を、“隠し神”とも言う。
 今回の神隠しは、その一種である隠し鬼の仕業ではないかと思われる。

「遊んでいる子供を拐かすとは厄介な妖でござるな。さっさととっちめて子供たちを親の元へ帰してやろうぞ」

 『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)は忍びの娘(28歳)である。
 夕暮れ時ということもあり、日が暮れてからの対策のために暗視用の携帯品を持っていく。
 やってきた鎮守の森は深い森で、たしかに何かでそうでもあった。

「心配している親御さん方もそうだけれど、子供たちも怖がっているでしょうし、早く家に帰して安心させられるように頑張りましょう」
「遅くなる前に帰っていれば、こんな事にはならなかった……かな?」
「さて、まずは隠れ鬼をおびき出さねばならんわけか」

 『乱れ梅花』白薊 小夜(p3p006668)と『スモーキングエルフ』シガー・アッシュグレイ(p3p008560)、『幽世歩き』瑞鬼(p3p008720)が隠れ鬼を誘き出す用意に入る。

「咲耶ちゃん、瑞鬼ちゃんは久しぶり」

 アッシュは、依頼を受けた中に見知った顔があるので、まずは挨拶した。

「“黄昏時”は、“誰そ彼時”、とも言うでありますな。そして逢魔が時とも。鬼に攫われた子供たちはさぞかし心細い思いをしているでありましょう。早く助けねばであります」

 『鬼菱ノ姫』希紗良(p3p008628)が知るのは、昼と夜の境界となる刻限だ。相談して、隠れんぼをして隠れ鬼を誘き出す、そういう作戦が採用された。

「希紗良ちゃんと戦闘依頼に来たのは初めてになるかな?」

 見知った顔の希紗良に、アッシュグレイは挨拶する。
 今回は、連携も大切だ。コミュニケーションは重要だ。

「では、アッシュグレイ殿が鬼役でありますな」

 打ち合わせが済むと、さっそく隠れんぼを始める。

●囮の隠れんぼ
「もういいかーい!」
「まあーだだよー!」

 静まり返った境内で、隠れんぼの声が響き渡る。
 時刻は、黄昏時――。
 夕暮れの陽射しが、森の中を朱色に染め上げている。
 鬼は、シガー・アッシュグレイが務め、瑞鬼、希紗良が子役――隠れる役だ。
 しかし、隠れているのはそのふたりだけではない。
 『撃劍・素戔嗚』幻夢桜・獅門(p3p009000)も、巨躯を丸めるようにして息を殺して潜んでいる。

「……やれやれ、質の悪い妖に引っかかっちまったな」

 大抵の妖は、子供たちと一緒に遊ぶ程度であるが、中には今回の隠れ鬼のような危害を加える存在もいる。
 姿を見せないという特徴を持っているが、これも鍛錬の機会だと獅門は思っている。
 視覚に頼らずとも、それ以外の感覚でも敵を倒せねば一流とは言えない。
 達人ともなれば、それを当然のごとく行なえなくてはならぬのだ。

「子供助けるねー自業自得これが運命遅かれ早かれ人は死ぬと色々ありますがそれでお金貰えるならやりますよやればいいんでしょお!!」

 『星飾り』ラグラ=V=ブルーデン(p3p008604)は、どことなく投げやりな気配があった。
 しかし、彼女はスーパークール&キュート&プリチーグッドなのであった。

「あねーねー咲耶ちゃん待ち伏せで隠れるの良いんだけどどの辺がいいかな? シノビニンジャでしょ汚れないところがいいんですが」
「隠れ鬼に見つからぬよう、拙者がおるこの手頃な茂みに身を伏せるでござる」
「あーなるほどねー。そんなこんなで待ち伏せます。うおお」
「そう、その意気でござるよラグラ殿」

 少々うるさいところがあるが、気合が入っているは間違いない。
 汚れないところというオーダーには答えられなかったが、咲耶が用意した茂みはさすがニンジャだけあって身を隠すにはもってこいであった。

「それでは、ファミリアで索敵を」

 手のひらに乗った鼠たちに、子供たちを捜索するよう言い含め、鬼役のアッシュグレイに見つからぬよう姿を隠す希紗良であった。

(さて、うまく誘き出せるかしら……?)

 一方、木陰に身を隠しながら、小夜は周囲の気配をうかがっている。
 彼女には、研ぎ澄まされた感覚がある。
 姿が見えない隠れ鬼であるが、元より彼女の目は光を失っており、視ることはできない。携えている白杖は、そのことを示すものだ。
 だが、故にこそその不利を補って余るほどの他の感覚が研ぎ澄まされている。

「もういいーかーい」

 探索を開始してよいかを問う、アッシュグレイの声がふたたび響く。

「「「もういいーよー!」」」

 声が帰ってきて、一瞬の静寂が訪れる。
 すでに日は沈み始めており、朱色の光景は薄闇へと変わりつつある。
 黄昏と夜の境界――。妖どもが蠢きだす刻限がやってきた。

(どこから来るでござるか……? 先に子供たちの気配も見つけられれば)

 息を潜め、隠れ鬼が動き出すのを待つ。
 咲耶は気配を察知しようと感覚を研ぎ澄ました。

(これは……?)

 気づいたのは、小夜だった。

「来たな……」

 続いて、耳をそばだて、エネミーサーチで気配を探っていた獅門。
 その気配は、姿を見せず瑞鬼の背後に迫っていた。
 ざわりと、その背後の木々がかすかに揺らめく。

「お出ましね? 『一緒に遊ぶ子、この指止ーまれ』なんて、ふふ」

 音を立てず、小夜が隠れ鬼の背後に回る。
 と、それと同時であった――。
 土中から、何かが出現する。

「土の中からゾンビマン参上! ってか――?」

 声をとともに現われたのは、鉄の腕であった。
 AG(アームドギア)に搭乗した『朱の願い』晋飛(p3p008588)が、待ち伏せのために地中に埋まっていたのである。
 ある世界の戦場では、塹壕を掘って戦闘車両を地中に埋めて待機し、待ち伏せを行なうこともあるという。

「キッ? キキキッ!?」

 姿は見えぬが、突然のことに戸惑う鬼の声が上がった。
 パワードスーツ型のAGを、カモフラージュのために土に埋め、枯れ葉などで追おうという迷彩効果を得る発想は、召喚前に戦闘を経験してきた晋飛ならではと言えるだろう。
 鉄の棺に埋葬されたまま、気配を殺すために呼吸すら止めていた晋飛がゾンビマンを自称するのは言い得て妙というところだ。

「さあ、みいつけた、だ。鬼は全部で10匹、1匹も逃さず討伐するとしよう」

 エコーロケーションで他の鬼たちの気配を察したアッシュグレイが、皆に呼びかける。
 突然出現した晋飛の駆るAGに、隠れ鬼が浮足立っている今がチャンスである。
 囮役、待ち伏せ役ともに動き出した。もはや、隠れ鬼たちは身を隠している余裕はない。
 “みいつけた”の言葉が、姿を消すその呪法を破ったのだろう。
 隠れ鬼は、身の丈も子供ほどで小さい鬼のようであった。

「はやっ!」
「ギギャッ……!?」

 茂みに隠れ、隠れ鬼以上に完全に気配を消していた咲耶が、始末斬九郎『封』をかざして斬りつける。
 いや、斬られた隠れ鬼は血を噴くことなくそこに叩き伏せられた。峰打ちである。

「いえーい、ピース」

 ラグラは希紗良のファミリアにピースサインを送った。
 見つけたという合図である。

「そなたは何者でありますか? キサは今かくれんぼをー……」
「ミ、ミィツケタッ!!」

 隠れ鬼は、とぼける希紗良を連れ去ろうと飛びかかる。
 しかし、彼女には飛びかかる相手を組み伏せる不殺の技があった。
 そのまま手を取り返し、関節を極めながら投げ落とす。
「ぐえっ!?」と蛙のような声を上げて、その隠れ鬼は動けなくなる。

「皆さんくれぐれも全部は殺さないように。不殺は持ったか? ……持ってねえ」

 子供たちの居場所を聞き出すため、隠れ鬼を生け捕りするというのが今回の方針だが、ラグラは不殺のスキルは持っていなかった。
 しかし、2、3匹残っていれば用は足りる。
 心臓たる獅子を、現われた隠れ鬼に遠慮なく打ち込んだ。

「残念じゃったな。かくれんぼの鬼は貴様らだったかもしれんがこちとらそもそもが鬼ぞ。貴様らに勝てる道理はない」

 瑞鬼がにっと笑い、浄土落としの技によって隠れ鬼の一匹を呪縛する。
 しかし、その視界に数匹いた隠れ鬼の姿が、すうっと掻き消えた。

「む……? まだ隠れんぼを続けようというのかえ?」

 奇襲によって何匹かを不殺にて捕らえたが、隠れ鬼たちも本来の妖術を取り戻す。
 姿を消した隠れ鬼は、イレギュラーズの不意を突いてその爪によって引っ掻いていく。

「ええい、面倒なヤツらじゃ!」
「野郎、駆動系を狙ってきやがったか……!?」

 見えない爪は、まるで鎌鼬のようである。
 瑞鬼を傷つけ、晋飛が乗るAGの関節部を狙ってきた。

「――見えた。いや、この場合“みいつけた”か」

 感覚を研ぎ澄ませた獅門が大太刀を一閃した。
 斬り上げて、斬り下ろす。要は剣術とは、刀を振って相手めがけて斬りつけることがすべてだ。
 獅子歯噛、我流の件なれど剣術の真理の一端には触れていた。
 姿は見えなかったが、たしかに手応えはあった。
 切って捨てたわけではない、子供たちの居所を聞き出すためにも大太刀の平で打って気を失わせている。
 その間も、隠れ鬼たちは跳梁して反撃してくる。

「そこか」

 しかし、そのままやられる獅門ではない。
 気配を察した地点に、洋墨をぶちまける。

「キキッ!?」

 姿を消したはずの隠れ鬼に、色がつく。
 しかも、逃走を試みても洋墨が滴って後を追うことができる。

「鬼ごっこがしたいの? でも今はダメよ」

 一方、隠れても小夜の感知範囲から脱し得るものではない。
 隠れ鬼は、視界から姿を消す迷彩能力のみならず、潜もうと思えば鼓動や体臭など生体反応も最小限にできる能力も有している。
 その隠れ鬼に誘いを掛けながら、外三光を放つ。
 どさり、と隠れ鬼が倒れた音だけが聞こえてくる。
 晋飛もAGから飛び出し、勢いのままに拳を叩き込んだ。

「へっ、ひっさしぶりも生身の戦闘もいーモンだな! はっはぁ!」

 洋墨によって色がついているなら、殴るのに苦労はしない。

「隠れんぼはこっちも得意なんでね。そら、1匹みいつけた――」

 囮の隠れんぼで鬼役を引き受けたアッシュグレイも、今度は隠れ鬼を一刀両断で斬り伏せた。

●みいつけた
 こうして、隠れ鬼を数匹捕らえたイレギュラーズは、そいつらから子供たちの行方を聞き出す手番となる。

「悪いことはここまででありますよ。捕らえた子供たちの場所を教えてくれたら、痛いことはしないであります」
「もし子供たちの居場所を教えるなら、教えた者の命だけは見逃すが……如何でござるか?」
「これでも鬼なのでな。死なん程度に痛めつけるのは得意じゃぞ?:」

 縛り上げた隠れ鬼たちに、希紗良と咲耶が隠れ鬼たちに諭すように言い、瑞鬼は脅すように問い詰める。

「…………」

 隠れ鬼たちも、その身を守るためにどうするかを考えている。
 子供たちの居場所を教えてしまえば用済みだし、かと言って黙ったままなのも取引が通じないと殺されかねない。
 どちらがよいかを天秤にかけ、判断しているところである。
 それを無言で小夜が見守っている。

「よーし任せろ―。あなたはだんだんねむくなーるそしてガキの居所をしゃべりたくなーる」

 ラグラが魔眼によって隠れ鬼に暗示をかける。
 催眠状態に入ってしまえば、質問に抗う意志もなくなるはずだ。

「ソ、ソレハ……」
「ん、わかったでござる」
「…………ッ!?」

 咲耶は、まとった紅牙鬼櫻紋装束『六通』に付与された力で隠れ鬼たちが暗示によって思い浮かべた光景を読み取り、それを投影してみせた。

「なるほど、これが子供たちが隠されている場所の光景ってわけか」
「おし、とっとと見つけに言ってやろうぜ」

 映された光景を手がかりに、一同は捜索を開始する。

「お? みーつけた」

 森の奥でその気配を最初に察したのは、獅門であった。
 落ち葉をどかし、開いた穴を覗き込んでみると、怯えた子供が膝を抱えているではないか。
 子供たちは、5人。残るは4人である。

「こっちにもいたか。ほら、帰ろうぜ」
「隠れていても、みいつけたでござる」

 晋飛と咲耶もそれぞれ隠された子供たちを見つけた。
 残るふたりも、小夜がかすかな声を聞いて見つけ出す。
 
「迎えに来たわ。もう大丈夫、頑張ったわね」

 ひとりの手を引き、ひとりを背負って帰りの支度を整える。

「よく頑張ったでありますな。もう大丈夫。お家に帰るでありますよ」
「こ、怖かったよう……」

 怯える子供たちに優しく接しながら、家族が待つ家路へと子供たちとともに帰っていく。
 日が暮れたら、また明日。そういう日常が待っているのだ。

「長いかくれんぼになっちまったな。さあ、家に帰ろうぜ」
「行きはよいよい帰りは恐い、神社からの帰り道は特に気を付けねばならぬのだから」
「これからは親に心配かけないように……遅くならないうちに帰るように、な」

 子供たちの手を引いて、そんなことを言い合いながら、暗くなった境内を後にする。

(……家出した身で言うもんじゃあねぇな、これは)

 書き置きひとつ残して家を飛び出たアッシュグレイは、複雑な気持ちであった。
 子供たちを待つ親の境遇が、我がことの過去に重なるのである。

「アッシュ殿は帰ったりしないのでありますか?」
「うーん、近いうちに顔だしたほうがよいかねえ」

 希紗良に問われ、少し家族が恋しくなったアッシュである。

「おっと、忘れ物じゃな」

 ふと、瑞鬼が振り返り、その場に残る。
 生き残った隠れ鬼たちに、凄艶な笑みを向けた。

「貴様らを生かしておく理由なんぞ塵芥ほどもない。ではの――」
「ゲッ――!?」

 すっと隠れ鬼をひと撫ですると、苦しみうめいてのたうち回る。
 鬼の呪いが侵蝕し、その皮膚をどす黒く変色させていった。
 それだけ施すと、瑞鬼は何事もなく去っていく。
 子供たちに危害を加えるものは、許してはおかぬ。瑞鬼は、そういう鬼である。
 隠れ鬼よりもっと怖い鬼が出る……。
 やがて、この神社ではそう言い伝えられるようになったという――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

晋 飛(p3p008588)[重傷]
倫理コード違反
瑞鬼(p3p008720)[重傷]
幽世歩き

あとがき

みんな、みいつけた!
というわけで、シナリオは成功でございます。
隠れ鬼を見つけ出す緊張感やスキルの選択、連携について楽しんでいただけたらと思います。
子供たちも無事救出でき、隠れ鬼も退治されて大団円という感じです。
多少の怪談風、ホラー調も演出してみたりしましたがいかがだったでしょうか?
それでは、またの依頼でお会いしましょう。

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