PandoraPartyProject

シナリオ詳細

『M』からの招待

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――冷たいコンクリートの感触を頬に感じた。
 気が付けば闇の中に『貴方』はいた。周囲は暗く、光の類を一切感じない。
 どこかの部屋の中だろうか――? そう思考して周囲に目を凝らしていれば。
「うぅ。こ、此処は一体……?」
 近くからなにやら声が聞こえてきた……どうやら此処にいるのは己だけではないらしい。
 いや、よくよく周囲に感覚を研ぎ澄ませば気配は複数だ。二、三、四……いや十数人はいるであろうざわめきが聞こえ始めてきた。それなりの人数が集められているようだが――しかし誰も事態を把握できていないらしい。
 耳に入って来る声は全て戸惑いの色ばかり。此処はどこだ、一体どうしてと。
 ――やがてその空間に光が宿る。それは壁際に設定されていた、モニターの電源が入ったから。
 淡い光がその場に居る者達を照らして――

『ようこそ皆さん。早速ですが、皆さんにはゲームをしてもらいます』

 同時。何者かが画面越しにいる。姿はよく見えない。紅い色をした、何者かとしか……
 ちらつく画面。発せられる声はノイズが入っていて不気味さが演出されている――ゲームだと――?
『生き残った方だけが、此処から出る事が出来るのです』
 一気にどよめきが広がる。『生き残った』者だけ?
 その時気付いた。自らの首に、機械仕掛けの首輪が取りつけられている。
 ――外せない。首に完全に張り付いているそれは、鍵穴も無しに固定されていた。もしかすれば全力で引き千切ろうとすれば何とかなるかもしれないが……
『やめておいた方がいいですよ。あまりの衝撃が掛かると、爆発します』
 モニターからの言葉に一気に血の気が引く者もいた。
 段々と理解し始める者も出始める。これは『デスゲーム』だ。
 密室空間に幽閉され、その中でルールに沿ってゲームに参加させられる死の遊戯……金持ちの道楽か? 或いはなんらかの組織的陰謀か? 分からないが――ともかく己らはソレに強制的に参加させられてしまったようだ。

『さて――理解が及んだようですので、ルールの説明をするとしましょうか。
 皆さん頑張ってくださいね。あんまり早く死んでしまうと、こちらもつまらないので』

 無機質な声。奴の名は――主催者『M』
 このデスゲームを企画した者である――


「というテレビ企画があるんですよ! VR空間で行うんですけどね!」
 時は巻き戻って先日。
 イレギュラーズ達は練達から依頼を受けて書類に目を通していた――テレビ企画?
「密室空間での駆け引き、裏切り、或いは協力して脱出を目指す……そんなデスゲームものを題材にした番組が企画進行中で。しかしどうにも華が無いなと――そこで是非とも高名たるイレギュラーズの皆さんにも参加して頂きたくて」
「ははぁ成程。主催者『M』の言葉に従ってゲームが進行と……」
「ええ。爆発する首輪――って言ってもVR空間での出来事なので当然痛みはないんですが。その首輪で脅されてゲームに強制的に参加させられる感じですね。参加者にはいくつかの役割が割り振られます」
 まずこの企画は5時間の制限時間がある。
 この制限時間を迎える前に参加者は各々に割り振られた『成功条件』を満たさなければならない――満たせなければ首輪が爆発する。
 役目は四つに分かれていて、とにかく生き残るのが条件だったり、もしくは他参加者を『脱落』させなければいけなかったりと差異があるらしい。成程これでデスゲームとして争わせるというのか……
「あとは少数ですが『運営』側の人間が混じっていますね。
 つまりゲームを加速させたり停滞させないようにかき回す役目なんですが」
「ふむふむ。で、我々はどの役目につけば?」
「ああそれはもうどれでもいいですよ! 参加者のいずれかに扮して頂いたり、なんなら運営側の人間としてトリックスター的に動いて頂いても。面白くなればなんでもOKです!」
 舞台は密室の建物の中らしい。五回建ての建物で、各地に武器もあるのだとか。そして時間と共に一階から段々と進入禁止として『留まっていると首輪が爆発』する地域が増えていき――最終的には五階でまだ首輪が外れていない者が集う、と。
 なるほどルールは大方理解出来たが……しかし……
「あの。この主催者『M』って一体?」
「ああそれは進行役をされている方でして。まぁ気にしなくて大丈夫ですよ。
 進行役はゲーム中には関わってこないので!」
「はぁ」
 主催者『M』……一体何者なんだ……
 まぁなんでもいいか。依頼として、或いは純粋に参加者として。
 このゲームの舞台に――乗っかってみるとしよう!

GMコメント

 主催者『M』……一体何者なんだ……( ・◡・*)

■依頼達成条件
 ゲームに参加して楽しみましょう!

■フィールド
 VR、いわゆる電子空間です。
 舞台は少し特殊なビルの内部です。五階建てで、窓の類は一切ありません。エレベーターが一つだけ存在します。
 内部はそれなりの広さを持ちます。幾つか個室もありますが、基本的に道だらけで移動や迂回がしやすいように作られています。幾つかの個室には時折武器があります。上に行くほど強力な武器になる傾向があるようです。

■ルール
 このゲームは5時間続きます。最初の5分は攻撃禁止で、移動が自在に可能です。
 ゲーム開始から1時間ごとに1階→2階……と進入禁止になります。進入禁止エリアに留まっていると首輪が爆発します。ただし首輪が爆発するという意味で進入禁止なだけなので、首輪が取れている人物が下の階に留まっていても問題ありません。

 皆さんにはそれぞれいずれかの『役目』が付与されています。
 皆さんのポケットに一枚のカードが入っており、それが貴方の『役目』です。
 役目のアルファベットと、その内容に関してカードに全て記されています。

 プレイング一行目にどれでゲームに参加するかお選びください。

【A】:Aの貴方は5時間後まで生き残ってください。自動的に首輪が外れます。
【B】:Bの貴方は3人脱落させてください。ただしDの人物を2人脱落させるとその時点で爆発します。脱落方法は何でも構いませんが、貴方が関わってください。条件を満たすと首輪が外れます。
【C】:Cの貴方は3時間、自分を含めて【どのアルファベットでもいいので3名】と常に行動を共にしてください。3人以下の時間が発生すると、時間はリセットされます。条件を満たすと首輪が外れます。
【D】:Dの貴方は5時間以内にDを含め自分以外を全員脱落させてください。条件を満たすと首輪が外れます。
【運営】:運営の貴方は特に制限はありません。首輪は付けられているだけで禁止地域に入っても爆発しません。が、このゲームが上手く回る様に場をかき乱してください……!

■参加者×12名
 この場には皆さん以外に12名の一般参加者がいます。
 つまり全部で20名です。
 彼らもそれぞれの役目によってクリアを目指します。

■主催者『M』
 デスゲームの進行役。特にゲーム中に関与することはないです。
 しかし一体何者なんだ……M……MOMI……

■備考
 非戦スキルの類は自由に使って頂いて構いません。
 ゲーム開始時点は皆素手です。でも探せば皆さんの武器がどこかにあったりするかも? 5階には重火器も存在しています。
 首輪が外れた人物も含め、生存人数は定期的にアナウンスされます。

  • 『M』からの招待完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年10月31日 22時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

フニクリ=フニクラ(p3p000270)
歪んだ杓子定規
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
咲々宮 幻介(p3p001387)
刀身不屈
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
花咲 野子(p3p007773)
恋を求めて
相模 レツ(p3p008409)
咲野 蓮華(p3p009144)

リプレイ


「『M』……我々を集めた主催者……一体何者で御座るか?」
 既にノイズが走るだけになった画面を見つめるは『咲々宮一刀流』咲々宮 幻介(p3p001387)だ……ともあれ己が『指令』が書かれた紙へと視線を移す。
 紙に描かれしは『A』の一文字。つまり五時間後まで生き残れという指令だった。

「やめろー! 今すぐ俺達を解放しやがれ――!
 俺を誰だと思ってやがるんだ『M』――!」

 その時。ゲーム序盤が始まろうとしていたのに騒ぎ始めたのは『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)だ。まるでこのゲームそのものを批判するかのように……ああ駄目! 駄目だぞカイト! そんな事を言ってたら!
「この変態、悪逆、悪辣、愉悦の頭ミカン(M)野郎ーッ! ……え、何? ほんとはMOM」
 同時――カイトの首輪が点滅したかと思えば、突如として炸裂した。
 激しい閃光と爆発はもはや首だけの範囲に留まらず巨大な爆風をも伴って――事態が落ち着いた時には、カイトであったと思わしき黒き死体がそこに在るのみ――
「ヒッ! こ、これが世に言うデスゲーム……!! 主催者の『M』の事に言及したら消されちゃうなんて……一体何じさんの仕業なの……?!」
「まさかこんな事になるなんて――急いで動かないとまずい事になりそうだね」
 カイトの惨状に怯えた様子を見せるは『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)で、同時。相模 レツ(p3p008409)は攻撃禁止のこの五分の内に成さねばならないことをするべきと駆けだした。
 『B』の役目を担うレツは誰かを脱落させねばならない。
 しかしこのBのルール『抜け道』――と言うよりも『効率的』な方法がある。
 その為には仲間が必要だ、と。
「おお~私の役目Aアルか~さぁさぁ五時間がんばって逃げ切るアルよ――!」
 一方で既に最初の部屋から抜け出した者もいる――それが咲野 蓮華(p3p009144)だ。
 皆に紙が配られているが故にソレを見せ合う事で役割の確認は可能だ――が、その場合自らも役目も晒す必要がある。そうするといざと言う時に『偽る』事が出来ないのがネックだ。
 ――Bの連中のルールである。奴らはDを多く脱落させる訳にはいかない。
 逆に言えばDの様に見せかければBの牽制にはなるのである。しかしこれは『己の役目』を他に悟られていないことが絶対条件……!
 故に彼女はまず駆ける。三十分ほどは曲がり角や物陰で様子を見て他の参加者の役目を『推察』するのだ。あれ? なんかこの依頼、頭使う依頼な錯覚がしてきたぞ?

「うっへっへっへっへー! いやっほー! たーのしー!」

 同時。軽快な様子で『JK』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)が場を謳歌している――
 あぁあぁ良い。良い空気だ! 最高だ! とばかりに走る彼女の役目は『B』である。
 開始前はまるで別の役の様に思わせていたが、へへへ。
「たたかいはずっと前から始まっていたんだ!」
 引っ掻き回すだけ引っ掻き回そう。自分では手を下さずに他者を嵌めよう!
 その為にまず必要な物は武器であると――目を輝かせて探索タイムだ!
「はぁ~……一番の外れなのです。どうしてBなのか……」
 と、その時。大きな大きなため息を吐いたのは『恋を求めて』花咲 野子(p3p007773)だ。『元の世界』で実際のデスゲームを経験した事のある野子はこういう状況に最も慣れていた。しかも彼女は周回経験者という危険人物でもある――
 そんな彼女にとってコレは一番げんなりするモノであった。
 一拍、二拍。項垂れる様にしていれ……ば。
「ま、やりようはあるよね♪ さてさてどこから行こうかな!」
 口調はまるで――何処にでもいる『普通の女の子』であるかのように。
 表情は明るく、先程までとはまるで別人だ。
 その内に秘めしモノは演技の仮面の奥底に仕舞って。

 やがて他の参加者も順次に動き出す。焦る者、考える者、走り出す者――様々だ、が。

「上に行く人達……ああ、あれは放っておこう。最初に上を目指せば取り合った武器で派手にかち合う可能性があるだけだしね」
 エレベーター近くで『そして聖騎士に捕まった』フニクリ=フニクラ(p3p000270)は参加者の動きを冷静に観察していた――
 彼女の役目は『運営』
 首輪があるようで無い特権保持者。他者と違う領域に座し者。
「やっぱこういうのは特権握って好きにするのが楽しいわけよ。げはは」
 わざとらしい笑みを見せながらさて、と思考する。
 一切の制限がない訳であるがどのように行動したものか――明確に己が動くべきは制限地域が出た辺りからだ。Bは上手くすれば早々に条件をクリア出来、此処に逃げ込める者もいる、が。それは画面的に面白くない。
 地味なのは――運営的じゃないよねぇ? げはははは。


「な、なぁアンタ。どのアルファベットなんだ? 協力しないか?」
 イレギュラーズではない、通常参加者の一人が幻介へと言葉を一つ。
 このゲームD以外は協力する事が出来るのだ。
 いや最終的に争う前提でよければDも協力できない事は無いが……

 しかし幻介は不敵な笑みを浮かべて。

「……拙者の指令が何か? ははは――言う訳ないで御座ろう?」
「な、なに!?」
「そも、此処で馬鹿正直に言う内容が真実とは限らぬ……かと言って、指令のカードを見せた者は……本当に味方で御座るか?」
 詰まる所彼はこう言っているのだ。『お前が持っているカードは脱落者から奪ったものではないか』と。
 そう。指令のカードは紙である。であれば奪う事も十二分に可能だ……
 虚偽の為に別人のカードを持っているという可能性もある訳であり。
「であれば隣にいる誰もが敵の可能性があるという事に御座るな。
 今、お主達の隣にいる其奴等は……果たして本当に信用に足る者であると?」
 ――疑心暗鬼。本当に信頼できる者は、隣にいるのか?
 細目を歪めながら笑う彼の顔――なぜそんな表情をする――!?
 お、お前のカードは一体どれなんだ! AかBか! C、それともDか!?
「ははは――しからば拙者はこれにて。
 さっさと逃げさせてもらうで御座るよ、はっはっは!」
 瞬間急速に走り出した彼に、声を掛けた者達は置いて行かれて……
 あ、あの野郎煽るだけ煽って逃げた!! 待て――!
「いいかい。Bの条件には明らかに緩い所がある。そう……Bはね、共同正犯が可能なんだ」
 一方でレツは幻介とは逆に仲間を組んで行動していた――
 なぜならば今言った通りBは比較的条件が緩いのだ。Bは『脱落に関わって』さえいれば首輪解除の条件が発生する――複数人で行った場合、全員条件を同時に条件クリアとなる。
 戦は数だ。一対多で襲い掛かれば相手が強くても勝ちの目はある。
 そう、例えある程度武装していようが同じ事だ。
「ついでにCの人達も穏健な人であれば引き込めるかもしれないね。うん――さぁ生き残っていこうか」
 一気に希望の光が間近に迫る――が。実の所レツはこれが『絶対』である保証は無かった。
 そもそも『脱落に関わる』という曖昧さ……これは恐らくシステムではなく人的判定だ。
 判定が成り立たず、首輪が外れない参加者同士で仲間割れが起きるかもしれない。
(――まぁでもその場合でも尻馬に乗っただけの参加者だけならともかく)
 率先して扇動し、功を成したという判定で――レツの首輪は解除される可能性が高かった。
 全て計算づくの行動である。さぁ『生き残って』いくとしようか……

「や、やめて! なにをするの! やめて――! きゃああ――!!」

 直後。どこか近くから聞こえてきたのはアリアの声だ――
 参加者が様子を慎重に伺ってみればそこにはアリアと、彼女と相打ちになったであろう人物が倒れていた。アリアの先にいる人物は銃で撃たれている様で……二人共一切の動きがない。
「ひ、ひぃ! 脱落者が出たぞ、出たぞ――!!」
 狂乱状態の者が発生する始末だ――脱落者を間近に見れば混乱も生じるか。
 駆け抜ける一人の通常参加者。いやだ、脱落したくないと思いを込めながら、しかし。
「ざっくー♪」
「えっ――」
 角を曲がった瞬間。待ち伏せていた野子の凶刃が胸元に滑り込んだ。
 彼女は優れた五感を持つ。さすれば周囲に人の気配があるかなど探るのは容易で……いやこの人物に関しては焦り走っていたからそんなの関係なかったが、ともかく。
「ふふーん♪ これでよし、だね! そうそうCのカード、これが欲しかったんですよ」
 脱落者からカードを奪う。
 くしくも――と言うべきか、幻介の言った言葉が現実となったのだ。

 ――カードの保持者が嘘をついている可能性もある、と。

 野子はこれにてCの振りをしながら他者に接触できる。
 まるで無害な女の子の演技をして。誰でもない振りをしながら獲物を目指す。
「うーむー? そろそろ結構時間が経った気がするでアル。上に移動すべきでアル?」
 同時。こっそりと動き回っているのは蓮華であった。
 只管生き残るために接触を断つ。厳密には参加者の動きを見ているのだ。
 特にDは分かりやすい。全員脱落させないといけない彼らは血眼になっている傾向があるからだ。後は団体行動しているCも分かりやすいか――まぁAとBも団体行動している可能性はある、が。

『――あと十五分で進入禁止が発生します。移動してください』

 その時流れた合図。一階が使えなくなり始めるか――!
 止む無しと蓮華はエレベーターに乗って上階へ移動を開始。
 扉が開いた瞬間攻撃されないように警戒していれ、ば。
「ふんふふーん♪ この辺りにマシンガンでも落としておくか。面白い事になるぞぉ♪」
 どこからか聞こえてきた声――この声はたしか――
「おっと……視ちゃいけないモノを見た奴がいるみたいだな?」
 それは――爆殺された筈のカイトであった。
 しかしそれは偽造。運営特権で非常に目立つ大爆殺の偽造をした彼は物質透過で隣室に避難。その後上層まで一気に駆け巡り――上層の武器を下層に落とす混乱を計画したのである。
 上にはマシンガンや手榴弾まであった。
 強力な武器を下層で手にした人間はどうなるか……実に興味がある、が。
「悪いんだが俺は引っ掻き回す『鳥』ックスターなんでな! 秘密を知った奴には消えてもらうぜ!」
「ひえー! やばいやばいアル逃げるアル――!!」
 激しい銃撃。上層で手にいれた武器で蓮華を追うカイト。
 今まで下に居た故もあるが、火力が違い過ぎる。今は逃げに徹する他ない――と思っていれば。
「ひゃっはー! 運営の犬だ――! いや鳥だ――! やっちゃえ――!!」
 眼前から秋奈が現れた。ただし共に行動していた仲間を扇動し、前に出してだが。
 デスゲームを盛り上げる為に彼女は手に入れた武器を他の子に渡したりなどして信頼を築いていた。仲間を統率しグループを作る事によって長寿を目指したのである!
「デスゲーム盛り上げて行ってるー? いやいや流石にデスゲームなんだからウェーイは無いか。もっとこー……くっころ? 辺りかな! あっはっは――!!」
「やべーぞ秋奈リアルに狂ってやがる! くそ、Mに侵食されたか! 俺が介錯してやるよ!」
 カイトと秋奈組の銃撃戦勃発。出ろよ犠牲者出ろデロデロ。
 後で二人行動とかに成ったら秋奈は仲間を後ろからパーンするつもりである。
 デスゲームで一番面白い所? 同士討ちが発生する所ですよぐっふっふー!
「わー凄い事に成って来たね。まさかこのタイミングでフルバーストとかさー」
 二階に登っていたフニクリ。両者の銃撃線に巻き込まれて共に行動していた者が犠牲になってしまった――まぁ別に私は運営の立場だから別にそれ自体は良いんですけどねー
「なんとか人の心に付け込……信頼という心の素晴らしさを説いて潜り込んだのに」
 はぁ。と吐息一つ。やっぱり脱落者を出して偽のカードを取っておくべきだったろうかと思考しながら――まぁいいや。運営の立場で一番重要なのは『ゲームを盛り上げる』事である。
 銃撃が始まりカオスカオス。
 放っておいても誰かが派手にやり合うと思っていたが、さてこの銃撃で『あぶれる』者がまた出る事だろう。
「そっちに接触して……ふふふ後はどのタイミングで後ろから刺すか、だよね」
 この混乱であれば紙は無くしたと言い張れる。
 さぁさ時間はもう少しあるのだからと――思考しながら。

 時間は過ぎる――各所で悲鳴の声が挙がり、しかしそれでも0にはまだ遠い。

「はぁ、はぁ……やった! やったぞ! 俺はクリアしたんだ!!」
 その最中。ついにクリアした者が現れる。
 首輪が外れたのだ――BかCか。いずれせよ恐怖から解放された彼は一階へ急ぐ。
 あそこは安全地帯だ。首輪が外れた者にとっての理想郷――
「はい。お疲れさま」
 だが。
 エレベーターが開いたと同時――撃ち込まれた二発の弾丸が彼を仕留める。
 それはアリアだ。最後に見えた光景は、首輪が付いているのに作動してない彼女の姿。
「油断はダメだよ? 首輪が外れる=生き残り確定、じゃないからね?
 残念だったね――油断しなければこういう事があるかもって想定できたのに」
 脱落者の身体をどけてアリアは上層へと。
 まだだ。この程度で引っ掻き回すとは程遠い。故に――幻影を用いるのだ。
「ふふ。ふふふ……死人が動いてたら、皆はどんな状況に陥るのかなぁ……?」
 ドリームシアター。動く幻影を出現させる術。
 察しの良い者は気付くかもしれないが狂乱に陥る者が一人でもでれば――えへへ♪
「さぁ! 人数も少なくなってきたのならここからが本番だよ――
 『M』からのオーダーはしっかりと果たさないとね!」
 銃の弾数を確認しながらアリアは昇る。
 会場を混乱に貶め、デスゲームを――加速させる為に!!


 アリアが昇った後――そこへ真っ先に攻撃を仕掛けていたのは幻介だった。
「おっとぉ! 危ない危ない、狙ってたなんてね!」
「まーったくお主で三人目のつもりで御座ったのに、躱さないで欲しいで御座るよ」
 まぁ拙者Aなんで御座るがと頭の中で思考。
 しかしそんなもの関係ない。全員殺せば自動的に自分の生き残りも確定するのだ!
「やれやれ――皆殺害思考に染まって、困ったものだねぇ」
 そこへ至るのはレツ。手に入れていた武器を用いて介入する――
 優れた聴覚を持つ彼はある程度周囲の状況を把握できていた。他者と連携し、脱落数をカウントする流れは変わらない。しかしなんとも生存人数が減って来た……幻介の様に不要であるのに脱落させる人物がいたり、運営側がかき乱したりしてるからだ。
「あ~は~! Cは抹殺アル! 五時間逃げ切るでアルが、それはそれこれはこれであるー!」
 次いで蓮華も行動も中々凄いものである。Bから攻撃を受けないように人の目がある時はDとして振舞いつつ、複数人行動の中に紛れ込めたら――Cはぶちのめす!
 何が何でも必ず五時間生き残る。必ずだ!

 ――とその時。エレベーターの中に何者かによって手榴弾が投じられて――

 直後、大爆発。
 それは野子の仕業だ。此処を壊せば、下で条件を満たせなくなった者は死ぬしかないと。
「あはは! あはははは――ふぅ。この口調は疲れるのです」
 どこか遠くで爆発音も生じている。誰かがダイナマイトでも投げたか。或いは己が落ちている武器に設置したブービートラップが作動でもしたか――
 実は彼女の首輪はもう外れている。
 偽のカードで信頼を得て、しかし絶好の機会の時に後ろから脱落させてやったからだ。
 だがそれでも足りない。足りない。足りないのだ!
 まだまだ愉しく――遊ぼ/殺そう!!
「はっは――! そうさこれはゲーム。なら楽しむのが筋ってもんだよな――!!」
「ぐっふっふー! いい度胸なのだー! それでも最後に笑うのは私なのだーッ!」
 更なる強化武器をカイトは用意して……おい、それはRPGじゃないか! ジャンルの話じゃないぞ、携帯対戦車擲弾発射器(RPG)の事だ! 秋奈もテンション上がってないでその手に持ってるモノを下げて! それはロケットランチャーだ!
 火力が高次元に到達する――こんなものを室内で使ったら全滅するんじゃ――
「あ。いやいや私が下で狩りまくってるので。いやーホント本来は入れない地帯で運営無双するのって楽しくして仕方ないわよねー」
 だがフニクリがカメラ目線でこちらを視ながら捕まえた生存者に向けてリボルバーの引き金を二回引いた。さ、さっきまで一緒に行動していた人なのにひどい!
 だがこれでフニクリは最低でも生き残るので、例えばRPGの乱射があっても生存者はいる、か。
「あははは、まぁここまで盛り上がればお仕事はもう十二分でしょ?」
 そしてアリアが何かを悟ったように笑みを見せれば。
 直後に五階で爆破炸裂。

『――おめでとうございます。五時間が経過しました、生き残りの数は――』

 入るアナウンス。ついに終了時間を迎え、ゲーム終了。
 VR空間が解除される――ああ、なんというか。
「使い手側は新鮮で楽しいけど、ちょっとくたびれたな」
 レツが吐息一つ。
 デスゲーム企画……確かに新鮮ではあったが、色々と凄かった。
 しかし企画者のM……とは一体。

 それだけはどれだけ考えても――結論は出なかったとか。

 ( ・◡・*)

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ありがとうございました!!

 ( ・◡・*)

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