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シナリオ詳細

もやそうハーモニアの竹林(超級)~繁栄種の落日~

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●これまでのあらすじ
 深緑の一角に生え始めた侵略的外来植物T.A.K.E.(マジカル竹)は、短期間で幻想種達を洗脳し「バンブーハーモニア」なる一大集団を築き上げた。
 事態の発覚に際し、流石に捨て置けぬとイレギュラーズは調査隊を派遣したがカタパルトでスッ飛んでくる重装兵と強力なパンダに乗って現れた部隊長・エイヘルを前に撤退を余儀なくされる。
 妖精郷のなんやかんやが落ち着いたので再度調査に赴くと、今度は「ポテサラハーモニア(ポテやん)」なる存在が通りすがりに竹ハーモニア領で大暴れ。
 混乱に乗じて威力偵察に向かった面々はなんとか戻ったが、アト・サイン(p3p001394)はその元凶――『繁栄種』と呼ばれる虹色に光る筍――を目撃してしまう!
 彼らの深緑での存在が広まると筍による独裁というクソトンチキが発生する! まあ深緑の大勢には絶対関係ないしなんなら放置して自滅を待ってもいいけど幻想種基準の『ちょっと待つ』は120年! 待てるわけがねえ!

●えっ今回小規模戦闘じゃないの?
「違います。今回は一大構成をかけて一気に『繁栄種』を根っこからよっこらせしてアク抜きします」
「いやちょっと説明の仕方がすごい野趣溢れてるんだけど『よっこい』じゃあないんだよ」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)のざっくりとしすぎる説明を受けてイレギュラーズは「全然わかんねえわ」って手を振った。経験者はなんとなく理解した。
「つまるところが、バンブーハーモニア領内の勢力図がある程度はっきりしたので早急に片付けておきたいというのが『ローレットの』意向です」
「深緑的には?」
「『120年で枯れるならほっとけば?』みたいな感じですが、今の侵食規模だとそのうちどうせ深緑の戦力が割かれそうですしいつ何時、主たる戦いが起きるかもわかりませんので今のうちに不安材料を潰しておかないと我々の深緑での信用がガタ落ちするんですよ」
 めっちゃ具体的で深刻な理由出てきた。
「というわけで、尊い犠牲を払って戦力分析はなんとか済んでいます。が、段階を踏んで奥へと進んでいかないと強力な手合いは出てこないようです。最終的に『繁栄種』にも何らかの強力な特性があるとみて間違いないでしょう。まずは雑兵をなんとかしましょう」
 でないと強力な敵に刃が届かないので。三弦のその言葉を聞いた一同は、「そもそもこの頭のおかしい話に理解が届いてないんだよなあ」と首をひねった。
「あと、過去に交戦記録のある強力な個体と同じくらいの実力を持ったのがあと4~5人はいると思うのでご注意ください」
 そこ、一番大事だったと思うんだよなあ。

GMコメント

 Q.通常依頼じゃないの?
 A.アフターアクション受け付ける間もなく「明日です」って言っちゃったしそらそうよ。

●最終達成条件
 『繁栄種』の撃破

●1章到達目標(2~3章完結予定です)
 一般兵士の8割の撃破および『騎兵隊長』ハット・バッタルの戦闘不能

●そもそもバンブーハーモニアis何
 拙作『もやそうハーモニアの竹林(初級・上級)』が参考になりますが、あらすじで理解してください。魂とかで。

●一般兵

○重装兵×最大20~30
 竹編みの盾、竹帷子に竹槍を装備したタンク・アタッカー型。
 防技とか結構高い。シールドバッシュ(物近単・痺れ)や至近戦での仕込み竹スタッキング(中威力・防無)などを使ってくる。
 前回同様の実力なので、つまるところ集まってこられると非常に厄介。常に2人以上で行動している。
 戦場のどこから攻め込んでも5ターン程度でバンブーカタパルト(超超射程・命中極低・高威力。重装兵6名増援)が発生する。
 にげてもむだだ。

○弓兵(並)×10
 緑の弓を持つ手練の弓兵。鏃も竹。先端には強烈なメントール成分を有し、【出血・致命・業炎】のうちランダムでBSを被る。
 命中精度高め。射程3。

○竹聖兵×複数(重装兵よりすくない)
 読みは「ちくしょうへい」。誰だこんな酷い読みにしたのは。
 マジカル竹製の両手剣を持ち、魔法とかも扱う。魔法はバフと回復系、両手剣は全力の打ち下ろし(物至単・流血)や突き(物至単・窒息)ほか多数の攻撃手段を持つ。
 ごく一部は「ブレイク」も伴う。

●『騎兵隊長』ハット・バッタルWithゴリパン
 「ゴリパン」=「ゴリラっぽいパンダ」。
 パンダとハットはそれぞれ別に攻撃行動を行う。移動はパンダ基準(機動5)。
 パンダは高反応高防御。攻撃力はそこそこだが、強化バフのウォークライ・Gを使用(自分から2レンジ)。
 ハットはミントの潰した汁を塗りたくった騎士槍(竹)を使用。すべての攻撃に【流血・混乱・呪い】をランダムで1~2つ付与してくる。
 精熊猫一体(物超単・万能・移・飛、痺れ)、ロデオニックチャージ(物中扇・邪道強・必殺)などを使用。
 パンダから降りても機動が少し落ちるだけでポテンシャルは変わらない。

●戦場
 バンブーハーモニア領入り口~中央府手前。
 罠が張り巡らされており竹による移動妨害が面倒くさく、最悪ハットや弓兵から竹藪で足を止めた向こうからチクチクされる可能性もあります。
 竹を切るなりして見通しを良くしたほうが安全かもしれません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • もやそうハーモニアの竹林(超級)~繁栄種の落日~完了
  • GM名ふみの
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月28日 18時28分
  • 章数3章
  • 総採用数33人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節


「なんだこの煙は……襲撃? まさか、ハットも竹聖兵も即応部隊がやられたというのか?」
 イレギュラーズが竹林を燃やしにかかり、混乱を助長させたことに遅まきながらセッツベルは焦りを覚えていた。パンダもか? あの精強な彼が?
『惨めなものだなセッツベル。貴様が時間をかけて私を背景に築き上げた手勢がこのザマか』
「いえ……いえ! 繁栄種様のお手を煩わせはしません! 未だエイヘルとコレド、タブロの3名と控えの兵がおりますれば! 決してここには!」
『ぬかるなよ。訪れるのがイレギュラーズであれば、私の力もどの程度及んだものかわからぬのでな』
 繁栄種はその身を明滅させながらぴしゃりと言い放つ。
 セッツベルの顔が恥辱に赤らむよりも早く、彼の口に上った3名の部隊長とその配下の兵士たちが矢も盾もたまらず飛び出していく。
 総力戦――と言うしかない戦いだ。

●2章達成目標
 部隊長3名の撃破、残存兵の全無力化

●一般兵(控え+1章残存)
 竹聖兵×20
 重装兵×20
 弓兵(上)×5(並よりは強い。射程3→4)
 性能は1章と同程度ですが、部隊長達が残っている限り強烈なバフがかかります。

●部隊長
○エイヘル・ヴァン・ブリューゲルWithパンダ
 パンダとエイヘルはそれぞれ別に攻撃行動を行う。移動はパンダ基準(機動5)。
 パンダは高反応高防御。攻撃力はそこそこだが、強化バフのウォークライを使用(自分から2レンジ)。
 エイヘルは黒い弓(基本レンジ4、高命中)を持ち、三連打ち(物超単・連・恍惚)や獣精一体射・改(神超ラ・威力高・精神系BSランダム付与)を使用してくる。
 エイヘルはEXA・回避が高め。

○コレド・リド
 部隊長だがパンダに乗らない超・重装兵。
 竹聖兵と似たような攻撃を使用するが物攻がバカみたいに高く、名乗り口上も使用する。また、切り払い(物近扇・スプラッシュ2・体勢不利・流血)も使用。
 回避は低いが防技・抵抗は変わりにかなり高い。

○タブロ・ロドWith知性パンダ
 まさかの術士枠。
 竹のステッキで虹色の光を降らせて周囲を混乱と魅了を振りまき、回復もこなす。神攻が高い。抵抗がバカ高い。
 知性パンダはタブロに「付与・物無」「瞬付・神無」などをかけてくる模様。
 実はこいつが一番謎が多いが、ステッキの先端に繁栄者を模した飾りをつけてるので狂気度はセッツベルに次いで高い。

●戦場
 中央府・繁栄者の樹上屋敷前。
 ある程度燃えたことで視界がひらけています。
 ここまで燃やせと誰が言った。


第2章 第2節

ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心


「心に侵食する闇を引き剥ぐ愛と正義の強光! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」
 ビッ、と『S.O.H.II H.T.』を突き上げた愛の背後で、ひときわ大きい炎が上がった。恐らく仲間の炎が竹の中の空気に触れて破裂したアレだろう。
 なお、彼女自身がポーズをとりながら魔砲ブッ放しているので近場の重装兵はたたらを踏んだ。
「T.A.K.E.と一緒に燃えてしまっただろう草花や虫達を思うと心苦しくなってしまいます……でも、彼らの犠牲の上に平和を勝ち取らねばならないと言うのであれば、その罪を喜んで被りましょう!」
 エルシアのギフトは罪の意識を彼女に植え付け、苦しみを与えてくる。それは認識することで更に強く大きくなるが、使命感が上回る限りは耐えられる。その目には狂気が覗いていた。
「次から次へと敵が着ますね。部隊長とやらが面倒そうですが、近づくにはまずあなた達を倒さないといけませんね……ヘイヘイ竹聖兵ビビってるぅー! ハットさんが俺みたいなのに倒されてどんな気持ちィ!?」
 ラクリマのいっそ清々しい挑発に、重装兵と竹聖兵は纏めてカチンときた。流石に全員とはいかないが、かなりの数を引き寄せた。
 万一ブレイクされたら瞬時に体力が蒸発するのだがそれはそれ。身を守る手段の薄い2人より前に立つことで彼らの猛攻を凌ぎ切るポテンシャルが彼にはある。
 強烈な冷気にさらされ、動きの鈍った者達へエルシアの祈りが響き渡る。T.A.K.E.に侵食された常識を上書きし救わんとする少女の誠意が、変転を求めない者達に厳しい罰として降り注ぐ。
「竹は燃やすもの、自然は守るものです! 今まで皆さんが蹂躙した自然の、罪の意識をお裾分けします!」
「その意気です! 正義の心は丁寧に伝えればきっと伝わるものなのですから! ……だからこっちをチクチク撃たないで下さいマジカルサイクロンッ!」
 弓兵達はエルシアと愛を狙いにかかる。いや、ラクリマかっっっったいからね。
 だが密集していると愛のマジカルサイクロンに巻き込まれるし、縦隊組むと車線上の兵士ごとエルシアが貫通させにくる。傷は愛のNEW魔砲が回復する。なんで?
「ここで斃れてしまえば皆さんそれまで! ですが幻想種としての誇りがあるなら死なずに正気に戻って下さるはずです!!」
「チッ、あの小娘共が邪魔だ! エイヘル!」
「分かっている、埒を開けろコレド!」
 この状況に痺れを切らした部隊長2人が、ラクリマを討つべく向かっていく。……だが、彼とてそれは承知のうえ。
「カモン増援! ヘルプ!」
 彼は手を挙げ、仲間達に助けを求める――弓兵半壊、重装兵4名、竹聖兵1名が戦闘不能!

成否

成功


第2章 第3節

アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
イルリカ・アルマ・ローゼニア(p3p008338)
ローゼニアの騎士
ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)
ワルツと共に


「やあ、君も弓が得意なのかい? 素敵だね、その矢で私の心も射止めてご覧よ」
 アントワーヌは兵隊達の包囲をすり抜け、エイヘルへと肉薄する。軽妙な動きで間合いに入ったそれをエイヘル自身は攻め立てる手段が無い。が、パンダは別だ。その前足で容赦なく切りつけてくる。
「いいだろう――踊れ小娘! 我らの連携の前にひれ伏」
「さあて、エイヘルとやらとパンダよ……過日のお返しをさせてもらおうかのう」
 エイヘルはここぞとばかりにパンダから飛び降り、距離をとってアントワーヌに矢を放つ。が、風に煽られ吹き込んだ煙によって彼女の姿はかき消え、狙いの正確性は一気に落ちる。
 気にせず矢を連射したエイヘルは、視界の端に見覚えのある幻想種を見咎めた。アカツキだ。彼女が周囲に火を放ち、自らに来ている『風』を感じ取った結果としてこの混乱がある。
「前に出るでないエイヘル、貴様は弓兵としての矜持が足らぬのではないか?」
「黙っていろ、コレド! そう思うなら我の壁となってみせよ! 鈍足めが!」
 距離をとったエイヘルと、交戦するパンダとアントワーヌの間に割って入ったコレドの嘲笑が響く。アカツキは混乱に乗じてエイヘルを狙おうとしたものの、コレドの眼光が鋭く彼女を射抜いた。
「炎にて森を焼くなど笑止千万! 同族に恥じぬ生き方が出来ぬのか!」
「おぬしらバンブーハーモニアがそれを言うのか!?」
 アカツキ、「お前が言うな」並の挑発にノせられコリドへと肉薄する。彼女自身に相応の頑強さはあれど、この男の攻撃を正面から受け止めれば負けこそすまいが苦戦はしよう。
 コレドの得物がアカツキをカウンター気味に打ち据える、まさにその瞬間。
「……すごい焼いてるねえ。あ、避けてね?」
 『ローゼニアの騎士』イルリカ・アルマ・ローゼニア(p3p008338)の放った災厄の炎がアカツキ、コレド両者へ向かって襲いかかる。アカツキはすんでで避けたが、コレドはそうもいかない。
「私じゃ倒しきれないから、倒せるまで弱らせるよ。……アカツキさんは大丈夫?」
「仕方ないのう、此奴を足止めして更に竹を燃やすぞ! 火計にて仕留める!」
 イルリカの問いかけにアカツキはどこかズレ気味の返答をした。まあ……燃やしたがりのアカツキが放火魔猫とトチ狂った儚い幻想種とその他大勢に遅れをとっちゃね。そうなるやな。

成否

成功


第2章 第4節

古木・文(p3p001262)
文具屋
フィナ=フォルトゥナ(p3p008257)
鉛筆転がしの


「ねえ、パンダが、パンダがこんなに手強いってどういう事かな!?」
「クハハハ、貴様等は異端だというに細かいことを気にするのだのう! 竹林に居るパンダが何を食うておる? 笹? 否、竹であろう、この神々しき竹であろう! 然るに此奴も私も、神秘をその身に手にしたのだ!」
 『想心インク』古木・文(p3p001262)は「竹? 色々使えるじゃん分けてもらお」みたいなノリで踏み込んだら辺り一面竹が燃えてるわイレギュラーズと竹ハーモニアの激戦が続くわパンダが賢いわ果てはゲーミングステッキを振るう狂人だのが闊歩する戦場だったのだ。実は中央府に攻め込んだイレギュラーズに混じって魔砲ブッ放していたなんて誰が気づくだろう。俺も気づかなかったよ。
「あ、タブロさんの持ってるそれ、噂のゲーミングステッキですね! こんな竹だらけの所で振り回すなんて、きっとずっと欲しかったものが手に入って今とってもハッピーなんですね!」
「……は?」
 フィナは今なんて?
「わたしに向けて撃つと魔力が削がれるかもしれませんよ? 混乱? 私の攻撃力なんて可愛いものですよ! 5割は確実に痛手を負いますが、5割は喰らいませんので生きているだけ儲けものです!」
「……えぇ……、ちょっと竹聖兵ー! この頭おかしい小娘を真っ先にトッ締めてー!」
 フィナは不幸を体現したかのような魔術をばら撒き、タブロとパンダの魔力を奪いにくる。流石にここまで頭のおかしいやつの相手はできない、とタブロは兵を動員し後退の構え。お前には部隊長の誇りはないのか。
「フィナさん、大丈夫?」
「大丈夫です、5割くらいは無事で通せるので!」
「それ絶対無事って言わないよね?!」
 文はティナの、こう、なんていうかアレな態度に混乱を禁じえない。
 兵隊達の物量の前で「5割」は厳しいにもほどがあるのだが、ティナはギリギリ持ちこたえたし文は仲間たちが弱らせた個体をぶち抜いたので数減らしには貢献した。
 重装兵は一気にゴリっといった。竹聖兵はまだ、比較的健在。

成否

成功


第2章 第5節

ナハトラーベ(p3p001615)
黒翼演舞
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女


「敵も味方も、派手にやったわね……。悪夢的な光景だけど、好機だわ!」
 アルメリアは敵勢力が一気に減ったのを好機とみて、敢えて前進を開始する。仲間たちがコレドとエイヘルを抑えているのなら、竹聖兵に的を絞れば――彼女の無双は確定する。
 一点に集中させた雷撃が竹聖兵の動きを潰し、相互の連携を崩していく。動きの乱れたその場に駆けてきたのは、まさかのラクリマ。妖歌や遠距離魔術に留まらず、格闘魔術で攻めようというのか。
「指揮官達が潰せないなら、強化術式を砕くまでです! ……ねえ、タブロさん?」
「貴様も我も魔術の盾に頼る弱卒なれば、我が知性パンダの協力を受けたこの身が優位であるのは確定的に明らか! いっときの守護術式の破壊で粋がるなど、まだまだ研鑽が――」
「いいんですよ、それで」
 タブロは知性パンダを突撃させ、魔術と爪撃の連携でラクリマを殺りにいく。狂人の脇を抜け、彼を狙いにいったのは実際間違った対応ではない。事実、ラクリマにとってそれは窮地であった。
「――――」
 そこに控えていたアレすぎる鬼札、『黒翼演舞』ナハトラーベ(p3p001615)さえカウントに入れなければ。
 唐揚げを咥えて降下する少々アレなスカイウェザーは、そのまま地面目掛け光を叩きつける。一瞬前のタブロならこともなし。ラクリマに魔術を砕かれた今はそうはいかない。
 杖を上天に突き上げ、最大射程の魔術を穿つもなお遅い。ともすれば数十メートルを飛ぶそれはいい的だろうが、突き抜けてしまっては只の有利だ。
「――――」
「……アレ、仲間よね?」
「ええまあ……少し行動が読みにくいだけで、立派なイレギュラーズですよ」
 竹聖兵をなぎ倒していくアルメリアは、おかしなものを見た顔で問いかける。ラクリマはナハトラーベの動きを織り込み済みだったので言うまでもなし。
 タブロはといえば、ラクリマの封印術式と強化解除、アルメリアの『緑雷』、そしてナハトラーベの気まぐれにすぎる奇襲でテンポを崩され、パンダ共々見る間に消耗していく。
「タブロ様をお守りしろ! 防御陣形!」
 僅かな重装兵と竹聖兵が頑張って守りに入れどもう遅い。弱りきった彼らは、2人の範囲術式で大いに痛めつけられるを待つしかなかったのだ。
 タブロ、そして雑兵の8割壊滅。このまま、後ひと押しあれば勝利へ近づく……まさにそんなタイミングだった。

 不意打ちでアルメリアを襲おうとした竹聖兵の生き残りが、上方向に吹っ飛ばされたのは。

「……仕方ねえゆ。あたちのダチ公が痛めつけられうのは我慢ならんゆ。そんなことするクソ野郎どもはハムにすゆ」
 ぶん、ぶんと得物を振るう姿に、2人の術士は見覚えがあった。つい先日、会ったばかりだ。
 『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ(p3n000172)が、あと一発かそこらで気絶する兵たちをしばき倒しに来たのである。
 残敵、部隊長2人――のみ!

※補足:増援が入りました。NPCのため戦力としては心許ないですが、瀕死からの起死回生の不意打ちなどを無力化します。止めを任せると殴り倒しにいきます。

成否

成功


第2章 第6節

矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
星影 向日葵(p3p008750)
遠い約束


「はぁ……なんか竹が虹色に光ったくらいでイキってるっぽいけどさぁ……バールの方が本質的に上なんだよねぇ……」
 『(((´・ω・`)))シ ミゞ』矢都花 リリー(p3p006541)はスケッチブックを取り出して解説する。
『 ノコギリ>竹 ……①
 バール>ノコギリ ……②
 ∴バール>竹  Q.E.D.』
「いやそれは理屈にならんが?」
「わかんない……? こんな簡単な式がわかんないとかギルティ……もう頭ぶん殴って頭で覚えるしかないよねぇ……」
 思わず素でツッコミを入れたエイヘルにも理解はできなかった。多分理解しているのは本人ばかりなりという感じである。
「なんで燃やすんだろう……何故、既に激しく燃えてるんだろう……? 一体、この人達と先輩方に一体何が……?」
「こんクソ共が深緑の植物の権利を侵害してるゆ。洗脳されたなら潰すしかないゆ」
「成程、燃やすの正解ですね!」
 『夜明け前』隠岐奈 朝顔(p3p008750)は黄泉津の不思議現象にいささか理解が追いつかなかったが、パパスの呆れたような声音で全てを理解した。理解してなくても殴り合ってもらう。
「それじゃあそこの弓手の方! 私がお相手しましょう!」
「何者だこの小娘――巨……っ」
 エイヘルの間合いに一気に踏み込んだ朝顔の巨躯とその声に、エイヘルは戦慄を覚えつつパンダに乗って距離を取り、弓を引く。真っ向から弓を受け止めた彼女はそのまま大上段から夜明刀・向日葵を振り下ろし、相手の守りごと打ち砕く。さしものマジカル竹の精鋭もその一撃を何度も受ければ堪ったものではなく。
「コレドっていうのがあなただねぇ、バールをブン投げるから受け止めてよぉ……」
「ふん、少々やるようだが――これしきッ!」
 壮絶な威力を秘めたリリーのバール投げは、コレドの頑健な守りを貫くことは敵わない。傷はあれど、本来の威力からすれば相当に殺がれた勢い。
 が、リリーにとってそれは問題ではない。二度目のバールは、コレドの守りを破って頭部を痛撃する。さすがにこれは堪えたとみえ、頭から血を流した彼は凄絶な笑みでリリーを仕留めるべく突進する。
 凄絶という他ない殴りあいの果て、イレギュラーズは遂に部隊長2人を下すことに成功する。次は――遂に。

成否

成功

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