シナリオ詳細
ケモノを洗うだけの機械かよ!!!
オープニング
●ゆけ、モフルンジャーX!!
「なんだ、あの機械」
「あぁ、新たに配備された清掃機械のテストだとか」
練達の研究所にて、妙に物々しいロボットが研究員から目撃された。
それは獣人要素を持つ旅人(ウォーカー)・純種を対象とした清掃機械という事らしい。精密機械を扱う研究所にとって、獣の抜け毛や鳥の羽は天敵だ。床に落ちているそれらをめざとく見つけて、吸い上げている。
「にしたって、あれくらい大きくする事はないだろう」と研究員の誰かが言った。そこに、研究勤めでお風呂にろくに入っていない獣人の旅人が通りかかった。
『キレイキレイしましょー』
その機械が獣人へ異常に機敏な動きで襲い掛かる。搭載していた洗剤を無造作に振りかけたり、乱暴にブラシでなで上げたり。まるで洗車の様相。当の獣人は圧迫感やくすぐったさに窒息寸前であった。
物々しい大きさである理由は納得がいった。まぁ、自分が洗われるのは御免こうむるが。
そんな感じで、死に体の獣人や清掃機械は研究員達からスルーされる。だから誰も気付かなかった。清掃機械『モフルンジャーX』は多くの清掃対象を感知しているようだと。
『キレイキレイしまショショショ……ガガガピピピ……高圧洗浄モード起動シマス』
●いつものとんでも開発者
「そうして、モフルンジャーXは研究所のウォーカー、ブルーブラッド、スカイウェザーなどケモノ要素を持つ全員を汚れているかどうかに関わらず、ブラッシングで窒息にせしめた後、更に外界の者達を追う為に研究所から脱走した。……フッ……自分の才能が恐ろしい……」
『ロボット技術者』ハスラー(p3n000163)がなんか言ってた。開発経緯とか自慢話とか長々語られたが、特に有用な事は言っていなかったので聞き流しておこう。
「……ともかく、練達の国というのは獣人――ケモノ要素を持つウォーカーも多い。ブルーブラッド、スカイウェザー、それら純種も住んでいる。彼らが被害に遭う前に、早急に止めていただきたい」
「破壊しても構わないんだな?」
『狗刃』エディ・ワイルダー(p3n000008)が額を抑えながら言った。ハスラーは数十秒悩んだ挙げ句、歯軋りをしながら頷く。
「ロボットの様子から俺達みたいな獣人はとかく狙われる可能性がある。変化していても耳や尻尾が残ってれば洗浄対象だ。大怪我をするハメにはならんだろうが……くすぐられて窒息で死ぬ程苦しむくらいは覚悟しておくように」
なんか自分が呼ばれた時点でオチが見えている気がする。エディはそんな風に死んだ目をしていた。
- ケモノを洗うだけの機械かよ!!!完了
- GM名稗田 ケロ子
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年10月29日 22時26分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費200RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
白昼、練達のビル街に甲高い悲鳴が響いた。小型車両ほどはあろうかという体躯のロボットが、自分達めがけてアクセルを全開に走ってくるのだ。
「研究所からロボットが脱走したぞ!!」
ビルの上から全容を見ていた一般人が大声で叫んだ。その一言で地上にいる住民達は、木々を挽き潰す運搬ロボットや銃火器を持った警備ロボットがやってきたのだとパニック状態になりかけた。
「ビギギー、ターゲット。視認。高価値モクヒョー……」
走ってきたロボットはギャリギャリと音を立ててタイヤの向きを変えながら、とある一団に狙いを絞る。ブルーブラッド、スカイウェザーの少年少女達だ。
時間帯からして下校中であったのだろう。彼らは事態が分かっていないのか、目の前に現れたロボットをポカンとした顔で見つめている。
獣洗われるべし。慈悲は無い。ロボットはそう叫ばんばかりに雄叫びをあげ、荒々しく少年少女に機械腕を伸ばす。
瞬間、その腕を弾き飛ばすように何かが割って入った。……スカイウェザー。否、『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)だ。
「さすが、早いな」
続けて到着したエディが、ジョージの健脚を称えた。彼の反応速度や機動力は、単体相手において優位な武器である。彼はモフルンジャーに立ち塞がるようにして威圧した。
「……子供には酷だ。彼らに手を出す前に、この絶海武闘を洗い流してからにしてもらおうか」
~十数秒後~
「グォォォォォ! 羽の、羽の付け根はダメだァァァァ!!!」
「ええええェェ……」
ジョージは攻撃を見事に防ぎきったはずなのに、怪力によってゴリ押しで洗い始めるモフルンジャー。低い声で呻き声をあげているジョージと、唖然とするエディ。目の前の惨状にわけもわからず逃げ出す少年少女や一般市民達。
「……うん、こういうゲテモノは大体何処で起きるか相場が決まっている。だからもう驚かない……驚かないんだが。あえて言っておいていうべきか。ま、た、練、達、か」
「ケモノを、特に猫を無理矢理に洗浄するなど、言語道断! 待っていろ、今すぐに破壊してやる!」
仲間のご無体な様子に憤りを感じる『ねむりの憧れ』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)と『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)である。つーか、あの洗い方はあまりにも乱暴すぎやしないか。
「モフモフ洗浄と言いながら、実際は相当にワシャグシャされているように見えるのは気のせいか……?」
攻撃の様子を窺うイレギュラーズ。ジョージはフリッパーを畳み、全身を泳ぐ時のように縮めながら装甲の隙間へ攻撃と脱出を繰り返し、モフルンジャー側も部品が軋み上げようが力任せに洗浄している。いや、まぁ、かといって圧殺するでもなく丹念にふわふわなブラシでジョージの体をなで回しているのだが。なんだろう。音響にさえ耳を塞げば、ペンギンの洗浄場面のようで微笑ましい。
「ぐああああああ!! ヤメロォオオオ!! ヤメテクレェェェ……!!!」
受け流し続けるジョージは洗濯機に突っ込まれる形で、モフルンジャーの体内に取り込まれていた。なんか、体力には自信があるはずのジョージが30秒くらいでわりと、いや、かなり疲弊している。その最中にもジョージは抵抗してモフルンジャー側にかなりのダメージを加えている絵面が尚更シュールだ。
「カノエもジョージ様のように変化は、出来ますとも。ご覧くださいまし!」
とりあえず、『宙狐』庚(p3p007370)は囮を代わろうと二足歩行の狐姿と巨大狐姿への変身を繰り返す。ちょうど、ジョージの洗浄度合いもとい威圧によるヘイトコントロールが切れたのか、モフルンジャーの狙いは他のイレギュラーズに移った。狙いは獣人もといケモ要素のあるイレギュラーズだ。
「……普通こう言うのってケモ要素ない人間とかも襲うよな? え? 娯楽の見過ぎ? …いやいやまさか」
自分達が標的になったとみて、頭を抱えるアレンツァー。モフルンジャーがケモ要素を持たない一般市民や研究者に全く危害を加えていない事を思い返した。
「……ええ、カノエに人姿はございません。けれども、言わせてくださいね。我らがモフモフなのではなく、人間種のような姿の皆様がぷにぷになのだと。特にハスラー様みたいのは」
我々は皆、千差万別。しょうがないですものね。恨むような細い目つきを浮かべながら覚悟を決めるカノエやアレンツァー。
「もう覚悟は決まったさ。我々の尻尾や耳を存分に洗うがいい!」
この場に集まったケモ要素を持つ他のイレギュラーズは、一様に顔を見合わせる。
「よし……私は人間種! いいね?」
一人のイレギュラーズに対して、皆の視線が注がれた。『策士』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は変化の技能によって他の者より極力、獣の要素を持つ身体部位を減らしていたのだ。
「まさか『ビルドのお荷物』とかあまりよろしくない事を数年間言われ続けた変化君がこんなところで役に立つなんて……私は嬉しい……」
「キサマァァッッッ!!」
エディ含めた何人かの者達がその行いを批難するように叫んだ。実際、今回に限っては戦術的に正しいのかリアナルは洗われる対象になっていなかった。
「私は他人……ですらなく機械に洗われるのなんてごめんだ。変化を上手く使って私へのヘイトはゼロ! 攻撃はこない! 第三部完!!」
「獣種としての誇りはないのか卑怯ものめがッ!!!」
汰磨羈はギリギリとモフルンジャーの腕を取り押さえながら、リアナルを一喝する。しかし彼女はそれを「はんっ」と鼻で笑って返した。
「卑怯とはいうまいな旅人!! いや言われてたわ!!!! 種族特徴は全力で生かさねば可哀そうだろ!!! 変化が!!!」
「その話は俺達自身の肩身が狭くなるからやめろ!」
「そうです! その肩幅を大きくする為にもエディ様が力を貸してくださり、容赦なく壁、身代わり、囮として戦力に数えさせていただくきますね!」
ぎゃあぎゃあと仲間同士で罵倒しながら、接近戦組が凶悪な攻撃に巻き込まれていく。リアナルやカノエの笑い声を背に、戦いは妙な形でヒートアップしていった……。
●
「はっはっは! 練達の技術者達は本当に変態ばかりだなぁ」
前衛組が防衛線を築いてくれたのを目の前に、陣形を組み始める『識りたがり』チェルカ・トーレ(p3p008654)。戦況を分析して息も絶え絶えのジョージを救い出したり、他の後衛組に指示を出したりしていた。
「お、恩に着る……」
しわしわと顰めた表情をしながら、よろめきながら立ち上がるペンギン。
「仲間として当然の事をしたまでさ。それにしても、随分と大暴れしているようだね。討伐対象は……」
回復魔法を施している合間、後衛組はちらりとモフルンジャーを相手にしている前衛組を見やった。
「あひゃひゃっ、く、くすぐった、んふふふっ、ひゃぁっ!?」
「いっそ、いっそ殺せ……!」
大の大人達が足裏やら腹やらをくすぐられて大笑いしていたり、喘いでたりする。同年代女性や三十歳男性のあられのない姿を目の前に、戦々恐々とする『救世の炎』焔宮 鳴(p3p000246)と『優しい夢』メーコ・メープル(p3p008206)。
「め、メーコのようなケモノの要素がある人は大変なことになるみたいですめぇ……!」
「鳴はお風呂とか好きだけど無理やり洗われるのはっ……その……!」
実際、獣というのは結構敏感な部位がある。親兄弟にさえグルーミングを許さなかったりする、いわゆる『パーソナルスペース』だ。それらがことごとく急所だったり、万が一欠損したら再生しなかったりするから――まぁ人間種でも同じようなものだが――信頼の置ける飼い主や恋人に見せびらかして、服従の証や甘える仕草であるという事はあるにはあるが。
「おい、そこを洗うのはっ……ひぁっ!?あっ、やめろぉ……♪ くそぉ……ころせぇ……ころしてくれぇ……」
アレンツァーは衣服がボロ雑巾のように破けてる。物の見事にブラジャーとパンツのみに成り果てた。エディの方はピクピクと虫の息になっている。
「呪いのアイテムでも身につけているのか彼女らは?」
「性別不明とはいえカノエの柔肌……柔毛? を守るために身を呈してくださるなんて! 罪なこゃんです。申し訳ありません、その気持ちにはお応え出来ぬのです……」
男性陣とカナエはそれとなく目を逸らす。いや、しかし、ふざけてばかりもいられない。歴戦錬磨のイレギュラーズが赤子のように弄ばれているのだ。前衛組がメーコや鳴を頼って入れ替わり入れ替わりどうにかその場にモフルンジャーを引き付けているが、それもいつまで続くか。全員、息切れが激しく攻撃の手を緩めざるを得ない。つーか、前衛として頼ってくれと豪語していたエディがちゃっかりクリティカル喰らって逝った。
「何で緊急停止装置とか付いてないんだろうか。後ほど色々語ってみたいところではあるんだが……」
「ハァ、ハァ……いや、なんだかんだで機械。電気が無ければ動かなくなる筈だ」
開発者の性格からしてなんか自爆ボタンとかつけてるだろう。 汰磨羈は接近しながら刋楼剣連打を繰り出し、再度モフルンジャーの様子を窺う。操作パネルらしき部分を見つけ、咄嗟に刺突を放った。
「…………ん? 尻尾ふわっふわモード?」
するとどうか、比較的尻尾の短いジョージやエディには目もくれず、汰磨羈やアレンツァーに対して優先的に対象としているではないか。
まずい。二人は獣の部分が本能的に察知し、アレンツァーの方に視線を向ける。確か、彼女も回復スキルを使えるはずだ。いつの間にか三階建てビルの屋上からファントムレイザーを延々撃ち放っているが、HP回復に割いてもらえばなんとか耐えきれるはず。
その視線を受けたリアナルは、腕を組んで大声で言い放った。
「私はHP回復できるとは一言も言ってねェェェェェ!!!!」
「キサマァアアアアアアッッ!!!!」
前衛組から非難囂々の嵐。作戦会議の時点で各自なんとなく察していた部分はあるが、彼女は“お約束”を裏切らなかったらしい。
ともあれ、またお互いを罵倒している内にガシリガシリと機械腕に掴まれるウォーカー女性陣二人。
「……諦めて腹を括ろうな汰磨羈。依頼が終わったら、一緒に温泉にでも行こうか」
「そうだな、こういうのは、暴れると却って被害が増すと相場が決まっ」
服従のポーズを取る彼女達に対して、モフルンジャーはここぞとばかりに今まで使ってなかった洗剤を取り出した。
洗剤から香る花の匂いがキツいだとか、妙にぬめぬめ泡立ってるだとか、そんな事は些細な事だ。更に取り出したるブラシの形状や材質を見て、さしものイレギュラーズ二人も青ざめた。
「いやまてなんだそれはちょっと待っっ」
――ふにゃぁあああああんっ!?!?
練達のビル街に甲高い赤ん坊のような、猫が喧嘩するような声が鳴り響いた。
●
ところ変わってギルドでイレギュラーズの帰りを待っているハスラー。
「……暴徒鎮圧用ロボットを討伐する依頼とは違い、今回は清掃ロボットの破壊任務……イレギュラーズにとって赤子の手をひねるようなものだったかな……」
研究データが手に入るからそれはそれでヨシ! 思い込もうとしている。名前も知らぬギルド員が扉を蹴破ってきたから、イレギュラーズの凱旋かと顔を上げた。
「救護室まで運べー! エディがやられたぞー!」
「は?」
……視点をイレギュラーズに戻そう。
半人半獣の姿をとっていたチェルカやカノエは、アレンツァーや汰磨羈達うら若き乙女の――その、なんだ、パンドラが削られかねないのを見てさすがに割って入った。
「やれやれ、こういった役割は私向きではないのだけれど……!」
「残念でしたねえ、カノエは覇道の精神を兼ね備えた麗しの黒狐ですから」
シリアスな雰囲気を醸し出すチェルカとカノエ。実際、本人達は大真面目だ。下着に向かれた女性二人を庇うとあっては。
とはいえ、そうやって大真面目に庇ってしまったのが災いしてか先の匂いのクソキツイを顔面に喰らってしまい「ぐわああああああ!!」とその場を転げ回った。目鼻の良い獣にとってこれは素でキツい。
「ちぇ、ちぇるかさぁぁああん!!」
鳴が涙ぐんだ声で叫ぶ。涙ぐみながらも、カノエのシャロウグレイヴと息を合わせて、しっかり大技である奏剣『焔火舞』をモフルンジャーに叩き込んで着実にダメージを与えている。
「うう、カノエは綺麗にされてしまいました……」
「くっ、よくも仲間を……皆の敵は儂がとってやる!!」
そう叫びながらビルの上から盛大にレーザーを撃ち続けているリアナル。移動も要らず。詠唱に十全で集中出来て、攻撃に全力を注げる状態はありがたかった。仲間の攻撃と併せて、破壊寸前まで追い込んでいた。
「リアナル……御主だけは、御主だけは……」
戦闘不能寸前者から何やら物騒な小声が聞こえるが、聞こえないフリ。
「めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! どうすればいいんですめぇぇぇぇ!!」
混乱状態に陥りかけるメーコ。討伐対象の破壊が目前まで見えているから、攻撃の手が欲しかった。しかし、戦闘不能寸前の者を矢盾に立てるならば相応の覚悟せねばならぬだろう。そういった事の『調整役』を担っていたチェルカ、カノエ、メーコにとってこれは塩梅がよろしくなかった。
リアナルはむしろあのまま攻撃役を担ってもらった方がよいだろう。後でじっくりOHANASIするとして。
「……メー、コ。少し耳を貸してくれ」
「めぇ?!」
満身創痍ながら、メーコに話を向けるジョージ。その相談内容から露骨にイヤそうな表情を取るも、すぐに覚悟を決めた顔をするメーコ。
「鳴さん! あ、ありったけの回復を私に寄越して下さいめぇぇ!!」
「ふぇっ!? わ、分かったわ!!」
カランカランとけたたましく鐘を鳴らしながら突撃するメーコ。それ自体は何の攻撃も伴わず、目の前に躍り出てきたメーコをモフルンジャーは文字通りその巨体でモフろうとのしかかりを仕掛けてきた。
――ジョージが使う近接術において、『剣山』という格闘技はインファイター達の上級者が使える技で、格闘の熟達を要する。
いや、しかし、自衛手段としてヒーラーやビショップといった後衛を担う者にもその格闘技を使いこなせる者がたまにいる。ラドバウの下級闘士に「たかだか後衛の格闘技」と侮る者も少なくない。モフルンジャーも、もしかしたらそう計算したのかもしれぬ。
だが後ろで回復役が控えていたり、当人が熟達したヒーラーならどうなる?
「……メーコへの攻撃は、たっぷり反撃で返してあげますめぇ……!!!」
有り余る体力を糧に、メーコはモフルンジャーのコア目掛けて思いっきり頭突きを喰らわした。くるりとした硬い角がヒビ割れかけていたコアに強く突き刺さり、ゴリゴリと軋みを立てて内に入り込んでいく。
『ビギギー、ターゲット……モフる。ブルーブラッド……獣人……清掃……排、除……』
コアが割れていくと同時に、そのように音声を響かせてモフルンジャーは倒れ伏していった。
「めぇえええええええええええええ!!」
洗剤をメーコの頭部にブチまけてそのまま押し倒しながら。
●
「お風呂は好きですけど……業務的なのは勘弁して欲しいですめぇ……」
メーコ。よしよしと、鳴は彼女を拭いてねぎらってやった。彼女自身も巻き添えで洗剤まみれだ。
「自慢の尻尾も濡れれば萎んじゃうのっ……さっぱりしたいの……!」
唯一、完全無欠、何ら被害を受けていない者がいた。リアナルだ。
悠々とビルの屋上から降りてきて、仲間達にエールを向ける。
「いやぁ。君達、なら出来ると信じていたよ。きっとめいびー」
皆の獣じみた眼がぎらりとリアナルを見やった。
「……ところでもしかしてこの期に及んで日和見を決め込んでいる人なんて居ないよね?」
「え、機械なんぞに洗われto night。完膚なきまで破壊しただろう?」
「なんだって!!!」
キンキンとした女性の声が響いた。ハスラーだ。話を聞きつけて様子を見に来たらしい。
嫌な予感がして咄嗟に取り繕うリアナル。
「依頼通り、破壊完了だ。何も文句は無いよな? 依頼主さん!」
「う? う、うむ。そうだな。も、もふちゃん……作り直してテストしなきゃ……」
ぶつくさ言い合っている彼女らに対して、仲間達は柔らかい微笑みを浮かべながら話を差し込んだ。
「彼女が貴殿のロボットの実験に付き合いたいそうだ」
「なに、それは本当か!!!」
「え」
真顔になるリアナル。逃げだそうとするが、イレギュラーズ達に四方八方からブロック戦術を活用されて逃げるに逃げられない。
「……リアナル、許゛さ゛ん゛ッ!!」
「君も綺麗になるんだよ、一蓮托生と言う奴だよ。諦めて洗われると良い」
「私は人間種! いいね?!!!」
必死に拒絶の意を示すリアナル。しかし、ハスラーはキラキラとした満面の笑みで彼女の肩をがっしりと掴んだ。
「大丈夫だ! 毛があるのは何も獣種や飛行種だけではないからな!」
「え、ちょっと…………ギゃぁぁぁー!!!!」
その後、無理矢理連れて行かれた彼女が一体どういう目にあったのか定かではないが、イレギュラーズ達は皆一仕事を終えて満面の笑みだったという……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
人間状態であろうがイレギュラーズの意思によって洗われたりするんだ。パンドラの可能性って怖いんだ。
GMコメント
稗田ケロ子です。コメディバトル、IN、モフルンジャーX!!
●環境情報
ケモノ要素を持つ近隣住民がモフモフ洗浄されている最中に突っ込むのだ!
イレギュラーズが気を引いてくれれば住民はさっさと逃げてくれるから巻き込む心配性は気にしなくていいと思うぞ!
ビルが立ち並んでる地帯だから、どうしても洗われたくない理由があるなら高所から遠距離以上の攻撃に徹すれば優先順位かなり下がるぞ!
●エネミー情報
『モフルンジャーX』
説明しよう! モフルンジャーXとは――(機体の開発経緯について1000文字)――洗浄液や吸引などの手段を攻撃として使いこなす可能性あり! 大きめの機械だから耐久性はピカイチだぞ!
何処かしらにケモノ要素を持つイレギュラーズはとかく狙われるぞ!!! 下手すれば付け尻尾でも狙われるぞ!!!
特にケモノ要素を持つ者は以下に注意しておくといいぞ!
『キレイキレイシマショー』:至近・とんでも高威力・【窒息】【不殺】付き ケモノ要素持つ相手のみ
死んだり大怪我をする可能性はないがくすぐったさに大きな笑い声や変な喘ぎ声あげたりする覚悟はしておくといいぞ!!
(やられた時どんな反応するかプレイングに記載しておくといいかも)
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