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シナリオ詳細

<FarbeReise>温冷交代浴を強制されたのでととのったまま戦いたいと思います。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●蒸気、熱気、冷気
 ガシュッ、と何かが作動する音が遺跡の中に響き渡る。
 目端の利く者であれば、それが遺跡の室内、その四方の壁に穴を生み出した動作音であることを理解するだろう。
 続いて、穴からは強烈な熱気を含んだ蒸気が流れ込んでくる。それは瞬く間に室内を満たし、僅かな所作でも多いに発汗を強制するかのような熱量を室内に提供する。タチが悪いのは、これらの熱気が渦をまき、室内全体をより高熱へと変えるべく循環する事である。
 室内を熱波が覆い、さらに数十秒。今度は熱波が吸い込まれ、入れ違いのように恐ろしいまでの冷気が渦を巻く。先ほどまでの熱を親の敵とでも思うかのように冷気は振り撒かれ、周囲を霜が残るほどの勢いで覆っていく。
 ……そして。冷気が僅かな間席巻した空間は、再び何事もなかったかのような気温へと急激に変化した。
 恐らくはまた熱波が来るのだろう。だが、そんななかでもガーゴイル達は小揺るぎもせずに稼働し続けている。
 遺跡の至宝が、探索者の前に現れぬ様に。

●で、なんて?
 イレギュラーズ達は、遺跡群『FarbeReise』から色宝(ファルグメント)を回収すべく集められた。そして、『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)から突飛な話を(凄くメタだがタイトルのようなことを)告げられ、理解の及ばぬ顔で首を傾げたのであった。
「あー……いえ、その。此方に渡った資料を読んでみたのですが、どうにも本当に『それを目的とした施設』としか思えない仕掛けになっていて、それが色宝を護るガーゴイルとセットになって機能している……ということで。遺跡の状態に左右されないガーゴイルを、仕掛けが施された中で撃破し、持久戦を制し、色宝を確保して欲しい……というのが今回の趣旨です」
 三弦はわずかに言いよどんでから、遺跡の概略について説明を始めた。
 つまるところ、熱波と寒波、その後にくる正常な温度のリズムによって侵入者は調子を崩され、それを縫ってガーゴイル達が襲撃してくるという。
 潜入後、一定時間無限湧きするガーゴイルを処理しつつ耐え凌ぐことで、色宝は探索者の前に姿を現すのだとか。
「熱波による暑さと呼吸困難な状況、冷気による行動阻害と痛覚、それが終わって通常温度に変わったことで襲いかかる恍惚感。皆さんはこれらに耐えつつ戦う必要があります。ガーゴイルは壊れても次が現れますが、一度に相手する数には制限がありますので立ち回り次第では余裕をもって戦うこともできるかと」
 余裕を持ってと言われても。聞かされた状況がそもそも余裕もヘッタクレも無いな、と思った一同であった。

GMコメント

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 いいですよねサウナ。一日が溶けます。

●達成条件
 サウナ遺跡(仮称)内で30ターン耐久し生還する

●ガーゴイル×8(常時8体固定。ターン開始時補充)
 石のようでどこか違う特殊金属で作られた番人。暑さ寒さの影響を受けません(遺跡の効果を無効化する)。
 常時低空飛行し、爪による至近距離からの攻撃、牙による噛みつき、ボディプレスによる強烈なダメージなど様々な攻撃を行います。
 すべて至近攻撃ですがそれぞれBSが付随します。個体能力は言うほど高くはないですがHPやや多めです。

●サウナ遺跡(戦場ルール)
 この遺跡は状況開始時を0ターン目とし、以下のように変遷します。下記記載のBSは「解除不可(恍惚はターン開始時再付与)・無効可・抵抗判定は【鬼道(中)】相当」です。
・熱室:サウナのように暑い状態。【火炎】【泥沼】【窒息】、持続3ターン
・冷凍室:-5度の凄く寒い状態。【乱れ】【氷結】【暗闇】、持続2ターン
・通常温度:なんてことはない普通の室温です。が、熱室・冷凍室を経て非常に自律神経やらが刺激されやすい状態です。【恍惚】【痺れ】【呪縛】、持続3ターン

  • <FarbeReise>温冷交代浴を強制されたのでととのったまま戦いたいと思います。完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月21日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ルウ・ジャガーノート(p3p000937)
暴風
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
観音打 至東(p3p008495)
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
チヨ・ケンコーランド(p3p009158)
元気なBBA

リプレイ

●誰がこんな遺跡を作ったんだ……
「温冷交代浴……暖める事による血管の膨張と冷却による収縮を繰り返す事で血行を促進し、老廃物の除去や疲労回復冷え性むくみの回復に始まり免疫促進、そして何より……お肌ツヤツヤ美容に素晴らしい効果……女の子の味方みたいな依頼なのだわ……!」
「通称サウナ遺跡……サウナはいいよね……シャキッとするから……」
「さうなじゃ! さうなと聞いたのじゃ! ええのう、さうな! 血行がよくなって美容にもええぞい! やるまえはちゃんと水分いっぱい取るんじゃぞ!」
 温冷交代浴のような遺跡と聞いて、『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)、 『恋の炎に身を焦がし』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)、『元気なBBA』チヨ・ケンコーランド(p3p009158)の3名は舞い上がっていた。前者2人はそれぞれ強火の想い人がいるので言うに及ばず、チヨはそもそも温泉やサウナをこよなく愛する人物であるため、依頼にこの上なくマッチしているといえた。
「過酷な環境を作って、それに左右されない石像を守護者とする。コンセプトは良いと思うんだが何で風呂屋っぽいんだか……」
 『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)は常識的な観点から、この遺跡のコンセプトに正しく理解を示していた。示していたが、なんでこういう構造になってしまったのかと頭を抱えずにはいられない。遺跡製作者はもうちょっとズレた考えを矯正できなかったのか。
「やれやれ、風呂場でやり合う事になるとはな!」
 『暴風』ルウ・ジャガーノート(p3p000937)はこころなしか嬉しそうだ。設備の稼働状況を見る限り万全に近く、それを保全しておける技術力に感動……しているというより「面白い戦場である」というシチュに喜んでいる模様。らしいっちゃらしいが。
「暑くなったり寒くなったりって大変だぜー、風邪ひかねーように気を付けて戦わなきゃだな!」
 『ガトリングだぜ!』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は至極常識的な海洋アザラシとしての危惧が先に出る。熱と冷気の往復ビンタなんて、どれだけ恐ろしいのだろう。一般的にはそう考える。
「いいえ……いいえワモンさん、ここはむしろ風邪を引かなくなる素晴らしい施設なのだわ! 体をいい感じに整えられるのだから!」
「銭湯で温冷交代浴の予習をした拙者にはわかるでござる。この遺跡……拙者と相性が凄く悪いと!」
 ワモンの懸念はしかし、華蓮の力説によって吹き飛ばされた。ついでに『破竜一番槍』観音打 至東(p3p008495)は予習はしてきたけど一周回って自分絶対この状況ミスマッチだな? みたいなことに気付いていた。
 …………彼女の問題点は根本的にそこじゃあねぇんだが、それは言わないお約束だ。
「懐かしいね……ボクがまだ美少年ではなく中年だった頃の話だ。あの頃は生活リズムがガッタガタで肌も髪も荒れ放題、食欲も集中力もなくってさ。それをどうにかするために温冷交代浴を試したけど……なかなか良かったと記憶しているよ」
「さうなはなんにでも効くんじゃ! 水分だけいっぱい摂っておけば大丈夫じゃ!」
 『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)のしみじみとした語りに一同少し「お、おう」みたいな空気が流れたが、チヨの言葉がいい感じに一同に活力を与えた、ような気がした。
「……で、がぁごいるとはなんですかいのう?」
 そこからだった。
「ワモンさん抱っこしてギフトを体感してみたいなあ……なんて」
「だっこされたらオイラも快適温度になるから、オイラが耐えられそうにない時とかは是非だっこを頼むんだぜ! そうじゃなくてもどうぞなんだぜ!」
「皆! 温冷交代浴で要注意なのはヒートショックと脱水症状なのだわ!」
「宝のためだ、体張ってふんばるぜ!」
「反応型は長期戦に弱いのよネ……まあ大丈夫でござろう!」
 フラーゴラとワモンがやいのやいの騒ぎ、華蓮が水を配り、ルウと至東がやってやるぞみたいな雰囲気を(戦闘じゃないあたりで)醸し出している。ようようと出現したガーゴイル達はしかし、そのなんていうか非常に和やかな雰囲気に怪訝な鳴き声を漏らした。
「最初の一手は私が前に出て受けるが、手はず通りなら後はセレマに任せる……それでいいな?」
「ああ、最初から倒れちゃ幸先悪いからね。ぜひとも頼むよ」
 ラダの問いかけに、セレマは肩を竦めて応じた。一定数現れ、倒されれば補充される。つまりは倒さず、しかし無力化すれば300秒耐えきることは容易なのである。
 ……そのためにセレマがいるのだ。
「セレマ坊ががんばてくれるならわしらはさうなでほっこりするのじゃ!」
 チヨの言葉に応じるように一同はめいめいに温冷交代浴に耐えるべく身構え……じゃなかったガーゴイルを迎撃すべく身構える。
 ガーゴイル達は取り敢えず準備と覚悟を決めた一同へ向け、一気に突っ込んでいく。
 開幕のゴングは、蒸気とともに――。

●流石にこの情報精度で必殺マスクはなくない?
「さてはこの遺跡、美少年が来ることを想定してないね? 不調も傷も関係なくて、常に本領のボクには、ただのサウナと変わらないじゃないか」
 セレマはガーゴイル達をひきつけつつ、ふふんと自慢げに鼻を鳴らしてみせた。すでに蒸気が引っ込み急激に冷え始めた室内で、彼は文字通り涼しい顔で襲いくるそれらを受け止める。
 ラダは最初こそパンドラに頼るか否かの窮地まで追い込まれたが、仲間たちの治療の甲斐あって危険域を回避。セレマが猛威を振るうさまを見ているしかできない。
 ……どうでもいいけどセレマほどのゲロヤバ案件を想定してる遺跡とかもうちょっと危険度上がると思う。
「な、なあセレマ。どれだけぶっ壊せるか試していいか?」
「いいけどひきつけてるのが止まってから、だから冷気が止む直前にね」
 ルウは寒さに身を震わせつつ、おずおずと手を上げて問いかける。確かにセレマの能力があれば余程足取りが乱れなければ危なげなく攻略もできよう。だが、戦闘に生きがいを見出すルウにはどうしてもそれだけでは我慢ならない。
「一発で倒せなかったり下手に動き回るようならオイラのガトリングで足止めするんだぜ!」
「ワタシは打ち漏らしが出たら容赦なくたたきにいくから」
 フラーゴラとワモンは仲良くくっついた状態でそんな提案をしてのけた。快適なのはわかるが2人ともちょっと和みすぎではないのか。
「拙者は……この際なので生かさず殺さず……ガーゴイルどもの骨を折りに行ってみせましょう……」
 至東、ここにきて動く。無力化できるならしておきたい。セレマにつきっきりな個体なら弱らせることも適うだろう、と考えたのだ。なるほど正しい。正しいのだが、彼女は大いなる勘違いをしていた。
「頑張っているところすまないが、至東。銅像に骨なんてあるのか?」
「えっ」
 バッキ、ドガッ。
 腕をとって折りに行った至東は、ラダの言葉がかかるより早くガーゴイルの腕に違和感を覚えた。ぐにゃりと関節を無視した動きから放たれた羽ばたきが彼女の目を打って怯ませ、連続した爪撃により血を吹き上げる。セレマへの怒りを失ったガーゴイルの何体かがそのまま呼応して至東にとりつき、滅多打ちのボッコボコである。
 なんでこんなことになったんだろうな。まあ、多くは語るまい。華蓮が優秀なヒーラーであったがゆえに苦しみは長く続いたんだがしゃーない。
「おりゃああああああ! ハハッ、脆いなこいつら! あとは任せたぜセレマ!」
「……そうだね」
 助け舟とばかりに飛び込んで半数ほどを一瞬のうちに蹴散らしたルウは、満足げにセレマにバトンタッチ。
 何事もなかったかのように湧いて出てくるガーゴイル達と戦闘不能になった仲間を見て、セレマは「この遺跡作ったヤツ絶対趣味と性格が悪くて美少年のボクとは話が合わないんだろうなあ」と思った。

●サービスシーンだぞ
「まったく……キミ達はワンパターンだね。製作者の考えの浅さが透けて見えるよ」
 振り下ろされた爪を受け流し、牙を腕で受け止め、続き襲いかかるガーゴイルの胸に前蹴りを当てて牽制する。
 セレマは絶え間なく襲いかかるそれらを、こともなげに――一瞬ごとに意識を失いつつ――凌いでいた。その身のさばきはこのような状況に慣れきっている者のそれで、翻ってどれだけ『このような相手』を苦しめてきたのかがよく分かる。

 んだけど、まあ問題はその裏で。

「くぅぅ……っ! 熱いのだわ、もう少し耐えれば冷気が来る……!」
 華蓮は艶めかしい声を発しつつ汗だくの身を拭い、一同の調子をみつつ回復を忘れない。母の如き包容力と周囲を気遣う献身の心はここでも健在だ。
「いい熱気じゃ! 若返るのを感じるぞい!」
 チヨはこの状況が本領といわんばかりに元気いっぱいだった。熱に強い超丈夫系練達ババアは『若返る』というのが何年前で外見がどうなのか……健康年齢の話かな?
「皆、体調はどうだ? 特にセレマは? 私自身もだが水分補給は早めにな」
 ラダは仲間達に声をこまめにかけ、リーダーシップをとっていた。華蓮もだが、彼女もまた配るために水分を用意した身だ。気遣いを忘れぬという意味では一日の長がある彼女はこういう場面で本当に強い。
「ひゃー! いざ我慢しようとするとこれはキツいぜ! フラーゴラ、抱えてほしいんだぜ!」
「ああ……気持ちいい……」
 ワモンはフラーゴラに抱きかかえられ、熱気を凌ぐべく立ち回っていた。フラーゴラは気持ちよさそうだしワモンも比較的大丈夫そうではあるのだが、かといって不調による心身へのフィードバックばかりは克服できない。それはしゃーない。
「ははっ、汗を流すにはちょうどいいぜ! もっと楽しまないとな!」
 そしてルウは楽しげにスクワットなんぞしていた。戦闘に満足いった彼女にとって、興味の中心はまさに今自らをさらなる高みへと押し上げることなのだ。……いやまあサウナにたまにいるよね。筋トレしてる人。
「あぁぁぁぁぁぁ……これ、これなのだわ! 5分はちょっと短いからいっそ20分くらい試したいのだわ!」
 華蓮ちょっとまって趣旨。趣旨を考えて。10分って600秒だよ。60ターンだよ。報告書2本書いてまだ余るよ。物凄いととのった顔してどうしたの。悩み溶けてない?
「一定以上倒さないと色宝出ないとかないよな? あるならオイラも加勢するぜー!」
「いや、それは急がなくてもいいんじゃない? どうせ5分はボクがもたせるから、出なかったらためそうよ」
 ワモンはひとしきり楽しんで元気を取り戻したのかやる気まんまんだが、セレマは無理に戦うことはない、と押し留めた。ひきつけ直すのもそれはそれで労力いるもんな。漏れた時の対処でまたひと悶着はちょっとな。
「皆へとへとだと思うけどがんばって……! あと少しだから……ってあれ、逆に調子がいい……?」
 フラーゴラはえもいえぬ浮遊感とともに、全身に力がみなぎる感覚を覚えていた。完全に『ととのった』状態のようだ。
「華蓮ちゃんはこのあと温泉に入るかのう? 遺跡を出たら沸かすでな!」
「チヨさん……!!」
 健康と美容に気を遣う華蓮にとって、チヨの言葉は渡りに船。恐らくチヨも、初依頼からベストマッチ甚だしいけど体力で心もとない場面を幾多も救ってくれた華蓮(と仲間)に思う所あるのだろう。
 え? ただの布教? そっかぁ……。
「ざ耐えるとなると5分は長い。だが合間の適温は心地よい……本当になんだろうなこの遺跡は? というか。誰かここで風呂屋やってもいいんじゃないか?」
 ラダは全身を軽くほぐしながら、なんとなくの提案をぶつけた。一同の視線が集まった箇所が一点であったがまあそれは脇においておく。
「色宝捕ったり……ぃぃ……」
 ぐったりした様子の至東が倒れた位置の眼前に現れたファルグメントを確保。直後、ガーゴイル達はすごすごとねぐらへ戻り、サウナは一時的に機能を停止する。再開まであと20分あるそうだ。
「ガーゴイルが止まったんだ、少し汗を流させて貰いたいところだぜ!」
「再開する前にお風呂いいかしら?」
 ルウと華蓮はすっかりなんていうかノリノリってーか。うん。
「それにしたってなんだったんだろう、このガーゴイルの場違いさ……まさか翼で仰いでロウリュするわけじゃないだろう。それだとホントにただのサウナだぞ」
 ……ガーゴイルのアウフグース、ありなのでは?

成否

成功

MVP

セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年

状態異常

観音打 至東(p3p008495)[重傷]

あとがき

 だいたい全部の仕込みが一人のせいでレジャーに変わったひっでえ瞬間を相談からみた。

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