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シナリオ詳細

<FarbeReise>迷宮の途

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ゴツゴツした岩肌が天井まで伸びて、澱んだ空気が漂うダンジョン。
 所々に生えたヒカリゴケが仄かに足下を照らしている。
 たまに見えるふしぎな模様の入った四角い石は古代遺跡のようでワクワクした。

 ひとりのゴーレムがゆっくりとダンジョンの中を徘徊する。
 罠が機能しているか、侵入者は居ないか。
 ずっと長い間そうして過ごしてきた。
 苔が身体に生え、少し動かなくなってきた身体は長い時間が過ぎている証拠。

「この罠が起動したらどうなると思う?」
 一つ目デビルがもう片方の一つ目デビルに振り向いた。
「そりゃお前さん、俺達一つ目デビルが掛かりゃ一発でイチコロさ! おじゃんだ!」
 他の一つ目デビルたちががくるくると周りながら答えた。
 何匹も同じ顔がワラワラと並んでいる。
 彼等はゴーレムと共存する小さな邪妖精だった。
 悪戯好きで、愉快ななかまたち。
 この前なんかゴロゴロ転がる岩の下敷きになっているのをゴーレムに助けてもらっていた。

「ああ、でも誰かが掛かる所を見てみたいなぁ!」
「そうだ。そうだ! 後で直せばゴーレムにもバレないだろ!」
 ウシッシウシシと一つ目デビルたちは入り口の扉を開いた。
 前人未踏のダンジョンが内側から開かれたのだ――


 砂漠地帯であるラサには様々な遺跡が眠っている。
 例えば、カノン・フル・フォーレや『楽園の東側』が聖地とした遺跡。
 例えば、錬金術の研究が行われたアカデミア。
 そうした遺跡群の一つにFarbeReise(ファルベライズ)と呼ばれる区域が存在していた。
『願いを叶える宝』が眠っているその遺跡群では、最近になって『鍵』があることが判明したのだ。
 その頼り届けたのはパサジール・ルメスの民であるレーヴェン・ルメス。
 ローレットとして活動するリヴィエール・ルメスを頼りイレギュラーズへと依頼を持ち込んだのが事の始まりであった。

 開かれた遺跡の中にあるとされる『秘宝』を悪用する輩が現れる事を想定したラサ傭兵商会連合では、ネフェルストで管理することを決めたらしい。互いに互いを見張り合い、また秘宝を届けたものに報償を出す事で持ち逃げを防いだのだ。
 ラサ傭兵商会連合も一枚岩ではない。ディルクの言うことを聞かない者もいるだろう。
 だから『赤犬』ディルク曰く『ローレットが確保してくれることが一番問題が起りにくい』とのことでローレットに依頼が舞い込んだ形だった。
 ザントマンの一件や砂蠍残党討伐でも目覚ましい成果を上げたローレットに傭兵商会連合の幹部一同期待しているということらしい。

「と、言うわけで皆さんにはダンジョンに入ってお宝を確保してもらいたいっす!」
 ぴしっと手に持った飴を振ったリヴィエール・ルメス(p3n000038)はまんまるの目をぱちくりとさせた。
 お宝という言葉にイレギュラーズも沸き立つ。
「どういう訳か、今回の遺跡は内側から入り口の鍵が開かれたっす! でも、油断しないでください。きっと沢山の罠が張り巡らされているっす!」
 リヴィエールはぷるぷると身体を震わせた。

「どうやら、ここに集まってくれた人達と同じだけのドアがあるみたいっす!」

 前人未踏のダンジョンには何が仕掛けられているか分からない。
 それを頭脳や知恵で突破し、ダンジョンの何処かにあるお宝を奪取するのが今回の目的だ。
「あと、何だか一つ目の邪妖精がついてくるみたいっす! 話し相手ぐらいにはなると思うっす!」
 悪戯好きでよく笑う一つ目の邪妖精はお宝の在処を知っているかもしれない。
「お宝……色宝(しゅほう)とかフラグメントって呼ばれるものですが、これがすごく綺麗らしいっす! もし可能ならどんな色だったかあたしに教えてほしいっす!」
 願いを叶えると言われる色宝だが、個々が持つ力は微々たるものらしい。
 噂ではかすり傷が治る程度ということだった。
「多く集めればそれだけの願いが叶うと言われてますが、詳細はわかってないっす!」
 見つけられた色宝は報酬と引き換えに首都ネフェルストで管理される。
「とにかく、百聞は一見にしかずっす! 楽しんで行きましょう!」
 ぐるぐるの飴を振ったリヴィエールはビシッと腰に手を当ててイレギュラーズに笑顔を見せた。

GMコメント

 桜田ポーチュラカです。よろしくお願いします。
 ここに集まった人達の数だけドアがあり、『一人一つ』のダンジョンを突破していきます。
 もしかしたら、相談することが無いかもしれませんので、好きな食べ物について語ってください。

■依頼達成条件
・タンジョンをクリアして色宝を手に入れる

■フィールド
 FarbeReise(ファルベライズ)と呼ばれる遺跡群の一つです。
 ダンジョンの中は複雑怪奇で、様々な構造をしていると考えられます。
 『一人一つずつ』のドアをくぐって、ダンジョンに入ります。
 皆さんは良い感じの罠を考えて、それを良い感じにクリアします。
 最奥にあるゴールまでたどり着いたら『宝』が手に入るでしょう。

■アドリブ・アドベンチャー・システム!
 このシナリオでは、ダンジョンとトラップが、なんと自動的にクリアされます。
 ここでは大岩が転がってきたり、水や砂がなだれてきたり、天井が落ちてきたり、なんやかんやします。
 プレイングには、その時の反応やセリフなんかを書いてみましょう。
 皆さんのプレイングとGMのアドリブで、トラップを命からがら突破することになります。
 もしも何も書かなかったら……想像もしたくもありませんね!

 とはいえゲームなので、そうしてトラップをやり過ごしても、一定のダメージ等は負います。
 しかし、もしも『トラップをバッチリ予想』して『対策をがっつり書いてみる』と、どうでしょう?
 なんとあなたは、そのトラップを華麗に回避して有利に進むことが出来るのです。
 予想……つまりあなたは恐ろしいトラップをでっち上げ、それを回避するのだ!
 これは想像力の勝負なのである!
 さて。あなたは、どんなトラップにひっかかり、どうやって突破したのでしょうか!?

■『ストーン・ポポロ』
 この遺跡を守るゴーレムです。たまに遭遇します。
 見つかるとびっくりして様子を伺ってきます。
 罠に掛かっていたら助けてくれるかもしれません。

■『アイライズ』複数体
 一つ目デビル型の邪妖精です。
 皆さんのダンジョンのお供です。喋ったり悪戯したりします。
 楽しい事が大好きなので、イレギュラーズに絡んできます。

■色宝
 小さな願いが叶うお宝。といってもちょっとした傷を治したり悪い夢を見なくなったりと些細な力しかない。
 今回はこれらのうちひとつを確保するのが役目。

■FarbeReise
 ラサに存在する遺跡群とその土地。仲間達の探索によって攻略が可能となった。それぞれの遺跡に色宝が収められているという。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
 でも、ダンジョンは良い感じにクリアできます。ご安心!

  • <FarbeReise>迷宮の途完了
  • GM名桜田ポーチュラカ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
イスナーン(p3p008498)
不可視の
アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト
アンジェリカ(p3p009116)
緋い月の
咲野 蓮華(p3p009144)

リプレイ


 カラカラに渇いた砂が遺跡の入り口に吹き込んでいた。
 半分ほど埋もれた入り口が少しだけ開いている。

「いくつかダンジョンクリアしてきたけど、こりゃひときわ変わったところだな」
 頭のフードを取って『鬨の声』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)が辺りを見回す。
「一人一つのドア……ね」
『砂食む想い』エルス・ティーネ(p3p007325)は不思議そうに目を瞬かせた。
 この場所に集まったイレギュラーズの分だけドアがある。
「この先は何があるかわからないわ……皆さん、ご無事でね!」
「んじゃ、またあとでな」

 扉が開かれる――

 エルスは独りダンジョンを周囲を警戒しながら進んでいた。
 前人未踏のダンジョンなのだ注意深く進んでいくのに越したことは無い。
 その背に忍び寄る一つ目デビルのアイライズの姿がある。
 何かの気配を感じて振り返るエルス。
「あれ……誰も居ない」
 羽ばたきの音に前を向くと、大きな一つ目が目の前に現れた。

「きゃぁああ!?」

 驚きのあまり叫び声を上げてしまった自分の口を覆い隠し、エルスは後ずさった。
 大鎌を構えアイライズに向き合う。
「うわあ!? やめてぇ! 殺さないで! おれは敵じゃないよ!」
 ぶんぶんと手を振ってエルスの誤解を解こうとするアイライズ。
 その言葉が嘘ではなさそうなので、エルスは大鎌を解いた。
「こんな所で何をしているの?」
 警戒は解かずアイライズに問いかけるエルス。
「おれはこのダンジョンに住んでるんだ! お前は遊びにきたのか? 一緒についていっていい?」
「え……?」
「ねえ。お願いだよ! 誰かが来るのは初めてなんだ。だから、罠に掛かってる所を見て……おっと」
 失言したと口を塞ぐアイライズ。やはり、魔物の類いかと大鎌を構え直すエルス。
「ほ、ほら先に進まないといけないんだろ? 俺も一緒に行くからさ!」
 ウィンクをばちこんされて、エルスは渋々アイライズを共に連れて行く。

「ラサで名声を高める私は色々見てきた。メイドアイドルをされた事も、謎解きも、様々な仕掛けを!
 だからどんな仕掛けだって……私はラサの為ならなんだって乗り越えてみせる!」
「いよ! アイドル! 素晴らしい! じゃあ、ここで一曲お願いします!」
 エルスの意気込みにアイライズが歌をねだる。
「う、歌? ……それぐらいなら……え、ステージ? 嘘でしょ?!」
 何故か煌めくスポットライトのステージが出現する。
 アイライズの拍手と共に、歌い出したエルスは頬を赤らめ。それでも一生懸命歌った。
「ラサライブは終わったの! 終わったのよ! だからこの話はこれで終わりなの、ねぇ!」


「ダンジョンを、ひとりで進むのは、心細いですから……アイライズさんが、ついてらっしゃるのは、ありがたいですの」
 愛らしい声で『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が微笑む。
 ノリアの背に乗ってアイライズはご機嫌だ。
 まっくら道を照らすランタンで壁のスリットや床の穴を照らし危険を回避していく。
 解除する術を持たないノリアは所々で壁の中を探ってみた。
「こうして見つけられればよいのですけど」
「何かよくわかんねぇけど、やるなぁ!」
「ただし、遺跡の壁と、いうものは、壊して進もうとする、不届き者対策に、毒が、仕込まれているとも、聞きますの」
 胸元にひかる大粒のエメラルドからは魔法の力を感じる。
「ちゃんと、お守りを、もってきましたの……安心して、仕掛けを、調べられますの!」
「へえ! すげえな!」
 頭がいいとアイライズはノリアを褒めた。
「さあ、アイライズさん……ゴーですの!」
「えっ!」
 この先にある仕掛けをその身を挺して解除してこいとノリアは微笑む。
「仕組みは、わかってしまったのですから、べつに、避けてしまっても、かまわないのですけれど……このほうが、力を、あわせた感じになって、楽しいですから」
 しぶしぶアイライズは仕掛けを解除していく。
 ポチリと押したボタンに変な音が聞こえてきた。
「あっ!」
「ぎゃぁあ!?」
 左右に振れる巨大な斧がアイライズとノリアを襲う。
「アイライズさん……わざと、手を抜きましたの……!?」
「違う! こいつ壊れてて! びっくりする所を見たかったのは本当だけど!」
 あわや真っ二つになる所だったノリアとアイライズ。
「もう!」
 大事には至らなかったが心細さは忍び寄る。
「……でも、絶対に、恋人の、ゴリョウさんのもとへ、戻ってみせますの」
 胸に大切な人のことを思えば怖くなんてないのだ。


「ほほーう、一人で一つのダンジョンを攻略していくとは……おもしろいじゃあねえの。
 しかとエスコートの妖精さん付きとはなかなか気が利いてるな。
 ……こいつ、罠に誘導したり迷わせたりしねえだろうな。首輪でもつけておくか……?」
 じろりと睨んだ『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)の視線にぷるぷると震え上がる邪妖精。
 見たところ悪意も無さそうだし大丈夫かとそのまま歩いて行く。
 そのうしろをアイライズは追いかけた。
「ちょっとした悪戯妖精ってトコロかな。親近感を感じなくもねえな……そういえばお前、名前は?」
「アイライズだ! 皆アイライズ!」
「へえ、そうかい」
 他にもこんなのが居るのかとキドーは思う。

 罠対処で位置はおおよそ感知できるし、準備は抜かりないとキドーはひょいひょい進んだ。
「お前やるなぁ!」
「俺はデキる盗賊だからなあ!」
 ワイヤートラップ。罠と言えばこれ。
「基本中の基本だな。巧妙に隠されたワイヤーにひっかかったり切ったりすると仕掛けが作動する」
 或いは、ワイヤーは気を引くための囮で近くに本命の罠があったりするものだとキドーは振り返る。
 そこには見事に引っかかったアイライズがワイヤーに雁字搦めになっていた。
「これ、足手まといのヤツじゃねーかっ!」
 ワイヤーを切って助けてやると、得意げにドヤ顔をしてみせる。
「今のは、やばいのに引っかかったぜ! この後ごろごろする!」
「そうそうそう、こうやって坂道になった一本道の通路は注意しないとな」
 地響きと共に巨大な岩が転がってきた。
「うおお!!!」

 巨大な岩から逃げ切り息を整える。
 休憩も大切だと幻想風・三色丼をあけたキドー。
「お前も食べるかい?」
「やったー!」
 喜びの声がダンジョンに響いた。


「これがダンジョンの入口アルか~。
 誰も入ったことのないダンジョンっていうだけでワクワクするアルなぁ!」
 トラップに注意しながら進んでいく咲野 蓮華(p3p009144)。
「ダンジョンのトラップの定番といえば『大岩』、『落とし穴』、『壁から槍』、『迫り来る壁、天井』くらいアルか?」
 大体このタイプのトラップには壁や床に起動スイッチがあるのだと目を凝らす蓮華。
 その視界を塞ぐようにアイライズが落ちてくる。
「このデビルはなんアルか……無害だったらいいんアルけど」
 そんな事を呟いた蓮華の背後から大岩が転がってくる。
「お約束アル~!」
 ひたすら走って逃げる蓮華は行き止まりに差し掛かった所で覚悟を決めて前を向いた。
「逃げられないなら破戒するのみアル!」
 ガラガラと崩れ落ちる大岩にアイライズは拍手を送る。

 落とし穴と壁から槍の同時攻撃に蓮華はその罠を破戒しながら進んだ。
「えー、何で? 引っかかってよー!」
「何か言ったアルか?」
「いや~何でもありませ~ん!」
 その時、ズシンと歩いてくるストーン・ポポロが見える。
 此方に気付き、驚いて警戒をしているようだ。刺激しないように蓮華はその場を離れる。

 そこからもなんやかんやあって無事にゴールまでたどり着いた蓮華は一呼吸おいた。
「ふぅ……これでトラップは全部アルか……?」
 最後の扉に手を掛けた蓮華は勢い良くドアをあけた。


 専門は戦いだからこういった迷宮探索は苦手だとルカは思う。
 しかし、突破しなければならない。
「まー、ようするに力で粉砕していくってこった!」
 とても脳筋である。

 転がってきた大岩を余裕の表情でぶち砕いた。
「避けたりしねえ分、やりやすいぜ!」
「何で!? 壊せるの!?」
「気合いだ気合い!」
 それからというもの水や砂を吹き飛ばすし、天井が落ちてきても受け止めてみせるルカにアイライズは唖然とする。後ろを振り返れば見るも無惨な遺跡のあと。

「お前も食うか?」
 頭の上にアイライズをのせたルカは自分の食べている干し肉を少しわけてやる。
「何だこれ、めちゃうむい、うむい、かー! たまんねぇ!」
「……頭の上にボロボロこぼすのは勘弁してくれよ」

 魔法系の罠はルカにとって鬼門だ。アイライズのいたずらで蜘蛛の糸のような魔法にひっかかったルカは丁度とおりかかったストーン・ポポロに助けを求めた。
「おい、そこのチビ助。この地面の魔方陣、何とか一部だけでも削ってくれねえか?ちっとでも動けば何とかするからよ」
 言われたとおりに魔法陣を削るポポロ。自由になった右脚で思いっきり床を踏みしめてルカは魔法陣をたたき割った。
 お礼にストーン・ポポロを肩にかついでダンジョンを進むルカ。
 少し重いがルカの力であれば問題無いだろう。


「トレジャーハントは得意分野という訳ではありませんが頑張らせて頂きます!」
 元気よくイスナーン(p3p008498)は拳を上げる。
 イスナーンの肩にはアイライズがちゃっかり座っていた。
「妖精さんここにはどんなトラップがあるんですか?」
「そりゃあ、色々なのがあるさ。大岩だろ。矢が飛んでくるやつだろ。落とし穴だろ。水が出てくるなんてのもあるぜ……あっ! お前、おれの口からトラップの情報を聞き出そうとしたな!」
「ふふ、私たちが引っかかると面白いトラップとかがあれば、見てみたいなー!」
 そんなやりとりをワイワイとしながらダンジョンを進んでいく。

 通路にあるスイッチを踏むと発動するトラップは踏んだ本人に向かって飛んでくるものだ。
 イスナーンはその矢を掴んで回避した。アイライズは頭にささった矢を抜く。
「これは重量を感知して作動する落とし穴。かなり深い」
 良い感じにアクロバットな動きで飛び越えるイスナーンにアイライズは拍手を送った。

「次は水……」
 大量に流れてくる水には。機動力を生かした走りで駆け抜ける。
「すげえ、爆速! やるなあ!」
 イスナーンの速さに声を上げて喜ぶアイライズ。


「大丈夫……」
 小さく呟いた『緋い月の』アンジェリカ(p3p009116)にアイライズが肩を叩いた。
「独りじゃねーぜ! おれが居る!」
「え。貴方も一緒に来てくれるのですか? 一つ目の、ヒトツメさん、よろしくお願いしますね」
 微笑んだアンジェリカは入り口で別れた仲間達の無事を祈る。
 アイライズにファミリアーの小鳥を連れて恐る恐る進んでいくアンジェリカ。
「以前別のダンジョンに入ったらいきなり大岩が転がってきましたが、流石に今回は転がってきたりは……
 って、え? この音……ひ、ヒトツメさん逃げますよっ!」
「お前、そりゃフラグってやつだー! にげろお!」
 ゴロゴロ転がってくる大岩をなんとかやり過ごしてアンジェリカは振り返った。
「はぁ、はぁ……ふぅ。び、吃驚しましたね。大丈夫ですか、ヒトツメさん?」
 ぺしゃんこになったアイライズを引っ張って叩いて元の形に整える。
「ああ、ありがとよ」
 息を整えたら罠に掛からないように慎重に進んでいく。
 小鳥と視覚を共有すれば先の罠も見通しがきくというわけだ。

「はぁ……疲れましたね。休憩しましょうか」
 安全な場所を確保してアンジェリカは石の上に腰掛けた。
「ヒトツメさんもちょっと食べますか?」
 アンジェリカはアイライズにクッキーを出し出す。
「おおお! なんだこれ!」
「クッキーですよ。甘くて美味しいんです」
 お宝を手にした時のように目を輝かせる姿にアンジェリカはにっこりと笑った。


 ランタンを手に慎重に進んでいく『スノウ・ホワイト』アイシャ(p3p008698)は罠のボタンに気を取られて頭を強打する。
「くすくす」
「あなたはここに住む邪妖精さんですか? わぁ……大きなおめめが可愛いですね!
 よろしかったら一緒に色宝を探しに行きませんか?」
「ああ、いいぜ! あんた面白そうだな!」
 アイライズをアイちゃんと呼ぶアイシャは嬉しそうに笑った。

 悪戯をしようとアイライズがボタンを押す。
 しかし、タイミング良くアイシャのサンダルの紐が解けてしゃがんだ。
 アイシャを捉えるはずの罠はアイライズを捕まえる。其れを何度か繰り返し。
「アイちゃん、何か聞こえてきませんか? 大きな岩が転がってくるような……嘘っ!?」
 迫り来る大岩。もう逃げても間に合わないだろう。
 その時壁にボタンを見つけ一か八か押してみるアイシャ。
 大岩が開いた落とし穴にスポーンと置いて行く。
「よかった……」
 安心して尻餅をついた先にまたもやボタンがあった。
「きゃ! アイちゃん!」
「ぎょえええ!」
 アイライズを抱きしめたままアイシャは新しく開いた落とし穴に落ちていく。

 ――――
 ――

 アイシャが落ちた先にはルカの肩に乗るストーン・ポポロの姿があった。
「ルカさん! あ、皆さんも!」
「よう!」
 最後の一人だったアイシャを待って最後の扉が開かれる。
 そこには台座にのったエメラルドの色宝があった。

「そちらの色宝を探しに来ました。こちらのミサンガと交換して頂けませんか……?」
 アイシャは七色の紐で編んだミサンガをポポロの手に結ぶ。
 代わりにストーン・ポポロはアイシャに色宝を渡した。

「……そういえば、遺跡が踏破されたら妖精どもはどうなるんだ?」
 キドーは首を傾げアイライズに問いかけた。
「えっと……。どうなるんだ? おれたち」
「寂しいな!」
「もうここに来るやつも少ないと思うしよ。よかったらうち来るか?」
 ルカの提案に目を輝かせるアイライズたち。

 色宝とにぎやかな仲間を引き連れてイレギュラーズは遺跡をあとにした。

成否

成功

MVP

アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト

状態異常

なし

あとがき

 イレギュラーズの皆さん、お疲れ様でした。
 楽しんで頂けたら幸いです。
 MVPは遺跡の守護者に贈り物をした方にお送りします。
 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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