シナリオ詳細
Sweet gloria!
オープニング
●お菓子の国の祭典
あるところにとっても甘くてフルーティな、お菓子の国があったとな。其処ではいつも美味しいお菓子が沢山! 市場にはクッキーにタルト、マカロンにマフィン、ケーキにシュークリーム……挙げだしたらキリがないお菓子が沢山! 嗚呼、おかし可笑し。だってほら、どの住人も、毎日飽きもせず笑顔で菓子にかぶりついて幸せそう。カロリー? そんなものこの国では気にしてはいけないの。だってほら、街ゆく人は皆笑顔に溢れてる。体系だって細い人も恰幅の良い人もいるけれど、そんなの誰も気にしない。
そんな甘くてとろけるような日々の中でも、最も盛り上がる一日がある。それは『甘味菓子王決定戦』……今年の菓子の長を決める、大切で愉快で待ち遠しい日!
でもそれは今までの話。近年、毎年同じ職人ばかりが優勝し、住民たちは少し飽き気味で。
「今年もまたレフィナド様の優勝でしょうね」
「去年はアイシングクロカンブッシュだったか。今年は一体何だろう!?」
いくら美味しいものでも、職人によって『個性』という味がある。その味が美味しくないことはないけれど、偶には違うものも食べてみたいな。なんて欲が出てくるのも仕方ない。
そこでお菓子の国の王様は、この世界のあらゆる国へと招待状を出した。『この世の最上の菓子を作れるものに、今年一年分の砂糖と蜂蜜、そして副賞の金貨とあらゆる菓子を食べる権利を献上する』それを聞いたお菓子の国の住民たちは大喜び。世界中から色んなお菓子が来るのなら、私達の知らないものも来るのではないかしら? と。
他国の職人たちもまた、お菓子の国での金貨の価値が如何ほどかは分からぬが、あらゆる菓子が食べられるという権利に心躍り、お菓子の国へと向かった。それは優勝して自分の腕を知らしめる為、或いはまだ見ぬお菓子を求めて国中を回り、或いは自らのお菓子を世界に広める為に――。
●いざゆけ菓子職人!(自称含む)
「みんな! 甘いものは好き?」
ポルックスはそう言うと、手にした一冊の本の一頁を開いた。其処には王宮に向かう菓子職人の行列が描かれている。洋菓子、和菓子、華菓子、あらゆる菓子分野の職人が、最強の甘味を目指して競い合うのだと彼女はウキウキと説明する。
「世界中ということは、どこの誰でも参加する資格があるということよ! 色んな国の人が集うから、あなた達も混ざってくると良いと思うわ! 是非その腕前を振るってちょうだい」
色鮮やかだったり、まろやかでコクがあったり、奇抜な材料を使ったり。アイデア次第で何でもできる。もちろん美味しいことが大前提だけど! 間違っても味見もしないで出場するのは禁止よ?
美味しいお菓子は人を幸せにさせる。今年は誰が優勝するのか、どんなお菓子が出場するのか、人々も期待している。だからこそ、お菓子の国には新しい風が必要なのだ。さぁ、いざ往けイレギュラーズ! この混沌世界の、そして自分の創作お菓子だって負けてないことを示す為に!
- Sweet gloria!完了
- NM名まなづる牡丹
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年10月07日 22時50分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●夢見るお菓子
多種多様な国籍の菓子職人達が、お菓子の国の大特設会場に集まった。イレギュラーズもその中にこっそりと、しかし堂々と紛れ、ひと区画を陣取る。これより始まるは世界中のお菓子との、美味しさを賭けた全面対決! いざ尋常に――勝負!
お菓子の国にお菓子たくさん! 『子供じゃないヨ!』シェプ(p3p008891)は、甘いものがだぁいすき! 故に、魅惑的な此の祭典をウキウキと心待ちにしていた。歴戦の職人たちに勝てるかどうかは分からないれど、美味しく作るのには自信がある! それに。
「ボク、みんなでお菓子作るって聞いてとっても楽しみにしてたノ。だからみんなで頑張ってくヨ!」
「いくら俺達四人で挑むとはいえ、中にはプロの職人もいる。そんな中で勝てるのか……? なんて、弱音を吐いていてもいても仕方ないな」
幸いなことに材料や道具に不足はねぇんダ。落ち着いて作っていこうゼ。と『遺言代行』赤羽・大地(p3p004151)はシェプと共に全員を鼓舞していく。来た以上目指すは優勝一点。各々の持ち味を活かしていこうと言う大地の言葉に、頷き応じる『咲々宮一刀流』咲々宮 幻介(p3p001387)。異界から来た幻介にとって、洋菓子はそこまで嗜んでいるものではない為自信はあまりないが……それでも手伝いくらいは出来るだろうと馳せ参じたというわけだ。この日の為に大地から料理書も借りてある。
「なぁに、拙者に任せておくで御座る!」
コラッ! フラグを立てるな!
四人は用意された区画に付属の調理場で、早速お菓子作りを開始する。料理全般に言える事だが、味はもとより見た目も大事であることを忘れてはいけない。今回、『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)たちが作るのは『お菓子の家』! ドールハウスのような唯のお菓子の家ではない。まるで部屋そのものが其処に再現されたかのような、大きな家だ。
「ふっふー、お菓子の家! 子供の頃に絵本で読んでから、ずっと夢だったのですわよねー! 設計図も作ってきましたわ! 嗚呼、夢がふーくーらーむー!」
バっと図面を広げたヴァレーリヤのそれによると、屋根はチョコ、基本の建材や柱はクッキーが基本。質素な家ではつまらないからと、壁には何か飾ったりするのも楽しそう。接着剤はアイシングで溶接。材料は全て揃っている、あとは各自の作業だ。
「絵本で読んだこともあるし、一度は憧れるよな。とはいえ、お菓子は作り慣れてないんだよな……」
やや自信なさ気な大地に対し、シェプは「大丈夫だヨ」と声を掛ける。「ボクたちだって、熱意は負けてないんだかラ!」と無邪気に元気づけられたなら、大地は持ち込んだレシピ本を読み返しながら、手順や分量を確認し、まずはクッキーを作る事にした。
バターに砂糖と卵を加えて混ぜまぜ。そこに薄力粉をふるいにかけて、ねっちりむっちり捏ねる。よぅく混ざったら丸めて冷蔵庫へシュート! その間に今度はチョコの成形だ。屋根に使うのなら、重みで崩れないよう薄くする必要があるだろう。
「お酒をちょっと入れてみるの良いかもですわねー!」
大人だけに許される香り豊かなウイスキーボンボン……と妄想をふくらませるヴァレーリヤ。幻介はその言葉を待っていたとばかりに、懐からブランデーのスキットルを取り出し「良ければお使い下され」なぁんて、笑顔で。
「少量だぞ」
大地の目測は英断だった。お菓子作りは分量を守ることが第一。余計なアレンジは危険だ。それでも折角用意してくれたのだからと、ブランデーを受け取り湯煎で蕩けたチョコに2~3滴垂らす。ふわりと香る酒は、甘味に芳醇さを追加してくれた。ステンレスの台座にチョコを一気に流し、薄く平らにのばしていけば、土台の冷気ですぐに固くなる。其処に熱した包丁を屋根の形に切り入れていく。
「飾りつけは……皆のセンスに任せる」
「そういう事は是非私が! 私、そういったものには自信がありますの!」
グっと親指を立て返答するヴァレーリヤのなんと心強い事。ならばと大地は再び冷蔵庫を開け、冷えて形成しやすくなったクッキー生地を柱や壁の形に整える。大きなオーブンに生地を突っ込んで、しばし焼き上がりを待つ。
一方のシェプはお菓子の家に住む羊を作ろうと、シュークリーム作りに勤しんでいた。クリームを入れるシューは綺麗に膨らますのが難しいのだが、そこは慣れたもの。鍋で温めたシュー生地に、卵を投入し幻介渾身の力で艶が出るまで混ぜ合わせる。これが結構な力作業で、シェプは混ぜられていく生地を楽しそうに眺めていた。
「幻介サン、力いっぱいだネ」
「そこまで力に自信は無いで御座るが、この程度ならばお任せあれで御座るよ。しかし、今回は菓子で良かったで御座るなぁ……料理だったら、シェプ殿が食材に――げふんげふん。なんでもないでござるよぉ?」
最後の方、明らかに棒読みだったケド……とぶるり、シェプは震えた。冗談……だよネ? その置かれた瓶一本の酒をぶち込もうとしていたのも、冗談だよネ!?
シュー生地もオーブンに入れて、焼き上がるまではふわふわなクリーム作り! 多めに作っておけば庭を花壇みたいにしたり、家の飾りにも使える。カスタードもホイップも、混ぜるのは幻介の仕事。気合を入れ混ぜたそれは確りとツノが立つ。
シューが焼き上れば その中にクリームを注入しちょこっとシェプの角に乗せ、シュー部分に白と黒のチョコをかけたら、もこもこの羊さんの完成! どちらも可愛く出来て大満足な二人。
「エヘヘ、ボクお菓子の家に住んでみたいと思ってたから、お菓子の羊サンをボクだと思ってつくってみたノ……」
ちょっと恥ずかしそうに語るシェプに、幻介は「美味しそうで御座るなぁ」と意味深な褒め方を返した。
つつ……とシェプはクッキーの焼き上がりを待つ大地の元へ近づき、内緒話をするようにこっそりと語り掛ける。
「赤羽サンのレシピ本、ボクも気になるナァ。お酒使ったお菓子、ボク、あんまり知らないけど、本に書いてたりすル? ならヴァレーリアサンとか幻介サンのために何か作ってあげたいナ。一緒に作ってくれル?」
「おう。酒を使ったお菓子なァ……どうせなラ、生チョコあたりにでも入れたらどうダ? 石畳の代わりにもなるしナ」
「やったー」
大地とシェプが食べる分は控えめに。ヴァレーリヤと幻介の分は、しっかりめに効かせてみようと、再びチョコと向き合う。
二人がそうしている間にクッキーは焼き上がり、ここからは組み立ての時間。自信があると公言したヴァレーリヤは流石、てきぱきと床と柱と壁をクッキーで埋め、屋根は下から板状のチョコを掲げて柱に乗せる。作業中に床や壁が若干欠けたりもしたけれど、色とりどりのアイシングで誤魔化せばむしろ綺麗な模様となった。
段々と出来上がっていくお菓子の家。しかし、軽く考えていたけれど、高所の装飾は意外と大変で、小柄なヴァレーリヤでは届かない箇所も出てくる。ぐぅっと背伸びをしてもダメなものはダメ。
「とーどーかーなーいー!! 誰か手伝っていただけませんこと? 肩車するので、あそこに飾りを取り付けたいのだけれど……」
「肩車で御座るか? 仕方無いで御座るなぁ」
抹茶ホイップで観葉植物を演出していた幻介が助っ人に入る。「よっこいせ」とヴァレーリヤの肩に乗り、腕を伸ばしたら。
「あわわっ」
肩車をしたままバランスを崩してヨロヨロとフラつくヴァレーリヤ。此処で倒れては家が崩れる! と、なんとか踏ん張る。――それにしても、幻介の太腿に感じるこの感覚……。
「……ヴァリューシャ殿、少し肉付きが良くなったで御座……い゛だだだ!?」
「どうやら、その頭は要らないみたいですわね?」
デリカシーの無い発言に幻介を右手でばしばしと叩く。「そんなに暴れたら落ちるで御座るよぉ!?」と泣き言を言いながらも、なんとかバランスを整え飾りつけに成功した。どちらも冷や汗が出たのは言うまでもない。
「やっぱ菓子の数が多いだけニ、組み立てるだけでも大仕事だナ。おーイ、大丈夫カ?今そっちに行くゾー?」
チョコの石畳を作り終え、大地とシェプも組み立て作業に加わる。お屋敷から見える部屋の景色の一角を切り取った形のような、大きなお菓子の家の完成! 庭には粉末抹茶の芝生、通路は生チョコの石畳、マドレーヌの庭樹が生え、箪笥や冷蔵庫柄に色付けたアイシングクッキー、壁にはマカロンとチョコの装飾に、マシュマロや飴玉のインテリア。そして家主の羊さん。なんて美味しそうで、素敵なお家なのでしょう!
カーン! と調理時間終了の合図が響く。審査員は毎日お菓子を食べ、舌の肥えたお菓子の国の国民達。最初は有名人のところに人は集まっていくが、四人が作った迫力のあるお菓子の家だって注目度なら負けてない。いざ試食となって、お菓子の家にかぶりついていく国民たちの幸せそうなこと!
「では本年度の優秀者を発表する!」
王様の声にしんと静まり返る会場。残念ながら優勝どころか優秀賞にすら四人の名前は上がらなかった。がっくりと肩を落とすイレギュラーズ。しかし。
「今回は国民からの熱い要望により、特別賞を授与する! 特別賞は……お菓子の家ッ!」
わっと喜んだのは、作者である四人より審査した国民たちだった。美味しい、可愛い、豪華! こんな大きなお菓子の家は、食べ応えも十分! おめでとう、ありがとう、また来てね! なんて嬉しい声がイレギュラーズに掛けられる。
「こりゃ祝杯をあげないとナ」
「まだブランデーも残ってるで御座るし……一杯やるで御座るか」
「私達の努力に敬意を! 美味しいお菓子に感謝を! えへへ、シェプも一緒に飲みましょう? これ飲む? チョコレートにとっても合いますのよ!」
「ヴァレーリアサン、ボクお菓子はティーが合うと思うんだケド……でも楽しそうだからいいヤ! かんぱーイ!」
幻介とヴァレーリヤは酒で、大地とシェプは紅茶で。特別賞に、乾杯!
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
初めまして、NMのまなづる牡丹と申します。処女作はお菓子の国で、皆様に腕を振るっていただきます。
和洋中、あるいはそれ以外のお国柄の様々な『甘いお菓子』が登場する中、皆さんの凝った、または創作お菓子でお菓子王を目指してください。オープニングにもある通り、あくまでも目指すのは甘いお菓子での優勝です。お料理下手な人は要練習です。
皆様の個性を活かすために、各々別のお菓子(参加者同士の被りなし)を用意した方が良いでしょう。もしくは協力して力作を作り上げても構いません。
料理の材料となるものは大体揃っていますが、あまりに奇抜なものは持ち込んで下さい。調理道具も現代日本にあるものは用意されています。
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