PandoraPartyProject

シナリオ詳細

クピディタース

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●憧れ
 ねえ、剣の振り方ってこんな感じでいいの?
 そんなことより盾の使い方を覚えないと。
 あの方みたいな騎士になれると思う?
 頑張ったらできるかな?
 
 ぴっかぴかの剣と盾を持った貴族の少年少女が危なっかしい手付きで振り回す。
 天儀内自警団の本日の仕事はVIPの接待である。
 もちろん怪我をさせてはいけない、しかし彼らの機嫌を害してはいけないというなんとも面倒な仕事だ。
「随分と今日は騒がしいんだね」
 そんな切実な状況を打開する声が入り口のドアから聞こえた。
「アークライト卿!!!!」
 まるで白馬の王子が現れたかのような喜びを見せる自警団団員にリゲル=アークライト(p3p000442)は一瞬たじろぐ。
「リゲル様?」
「本物?!」
「すごい!! 本当に白銀の鎧なんだ!」
 耳ざとくその名を聞いた少年少女たちもまた、大喜びでリゲルの周りに集まってくる。
「どうした? リゲル?」
「騒がしいですけど、なにかありましたか?」
 リゲルのうしろからポテト=アークライト(p3p000294)とノースポール(p3p004381)がぴょこんぴょこんと顔を出す。
「わ! ポテトさんだ! ノースポールさんもいる!
 ねえねえ、どっちがリゲル様のお嫁さんなの?」
「リゲル様なんだぞ! どっちもお嫁さんに決まってる!」
 ふたりの登場で余計に状況は騒然としてしまう。
「あ~くらいときょう~~~助けてください~」
「ひゃっ! いま誰かにおしりさわられちゃいました」
「こら、まて! まずは落ち着くんだ!」
「ちょっと! みんな! 状況を説明してくれ!!!」

 閑話休題。
 この後も多少のすったもんだがあったが、リゲルたちに触りたおした少年少女たちは満足したらしくおとなしくなったところで自警団員が彼らに状況を説明する。
 どうやら、この少年少女は天儀の貴族の子どもたちで、社会勉強にと冒険に出たいということで、その相談をうけたのがこの自警団だったというわけである。
 自警団の彼らとしては貴族のご子息に怪我をさせるわけにはいかない。冒険につれていけといわれてもどうしたものかと迷っていたところに、リゲルたちが視察にきた。
 これ幸いとそのエスコートを押し付け、もといお願いしたいと頼まれた。
 もとよりご子息様たちはリゲルのファンだという。ご子息様たちにおかれてもリゲルが引率という話になれば二つ返事どころか即決である。

 というわけで、彼らは少年少女たちの見本となるべく冒険に旅立つことになったのだ。
 なったといったらなったのだ。

GMコメント

 鉄瓶なめなめです。
 お久しぶりです。EXリクエストから選んでいただいてありがとうございます。

 皆様におかれましては貴族のご子息たちの遠足の引率にむかってもらいます。
 近所に3mの大きな熊の魔物がいるそうです。
 さくっとやっつけてあげてください。
 ぶっちゃけリゲルさんたちがワンパンすれば追い払える程度の魔物ですが、ちびっこたちにとっては驚異です。
 ご子息様たちはできれば怪我はさせてほしくないと言うのが自警団の皆さんのお願いですが、ちゃんと戦闘は怖いということを教えるために怪我をさせてもそれは大丈夫です。
 さすがに死んじゃうまでいっちゃうとまずいのでしっかりと守ってあげてください。
 皆様はご子息様たちに戦い方を教えてあげてください!
 どのように教えるかはおまかせします。
 基本的に彼らはリゲルさんのファンですが、イレギュラーズの皆様の強さは知っていますので、イレギュラーズの方のいうことはしっかりと聞き届けます。

 ■きょうのおともだち■

 ピエトロ君。10さい。
 騎士になりたい男の子です。アリサちゃんに格好をつけたい年頃です。
 ご子息様の中ではリーダー格で目指す騎士はリゲルさんです。

 アリサちゃん。10さい
 リゲルさんに憧れる恋に恋する乙女です。ポテトさんが奥さんなのでちょっと嫉妬の気持ちもあります。魔法使い系です。

 クロエ君。 11さい
 ちょっとえっちな、年頃のおとこのこ。おしり派です。
 タンカー系にあこがれています。おしりがすきです。
 お姉さんの言うことは聞き届けやすいです。おしりがすきです。

 ミルフェちゃん 9さい
 おとなしい女の子です。ヒーラー系になることにあこがれています。
 一生懸命がんばります。

 ■きょうのえねみー■
 くまさんの魔物。
 3mくらいのおおきなくまさんです。
 がおーっていいます。つめはするどいです。
 みなさんがワンパンなぐったらにげていきます。
 撃退したらOKです。はちみつがだいすきです。
 とくに人を食べるとかはないのですがわりと山の裾野まで降りてくるのでもしものことを考えて、撃退する必要があります。生死は問いません。

 ■きょうのろけーしょん■
 山の中ですが、明かりなどはひつようありません。
 木々が多いところだと戦いにくいですが、とある工夫で広い戦い安い場所におびき寄せることは可能です。
 
 戦闘よりは心情もりもりでOKです。
 誰かがひとりワンパンかます。ってかいてあれば戦闘は大丈夫です。

それではよろしくおねがいします!

  • クピディタース完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年10月06日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
※参加確定済み※
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
※参加確定済み※
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
想星紡ぎ
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
※参加確定済み※
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
ハンス・キングスレー(p3p008418)
運命射手
アンジェリカ(p3p009116)
緋い月の

リプレイ


 羨望の眼差しというものは面映い。
 しかしその憧れが未来の勇者を生むことを白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は知っている。
「よろしくおねがいします!」
 そう言って慣れない子供用の鎧に身を包んだピエトロが勢いよくお辞儀する。それはまるで白獅子に対するかつての自分のようで恥ずかしいような微笑ましいきもちになる。
「いたっ!」
 そんなリゲルの隣にいた『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)が悲鳴をあげる。
「あら、ごめんあそばせ! ポテトさん」
 アリサがリゲルとポテトの間に割り込むように入ってきてポテトの足を思いっきり踏んだのだ。
「おい、アリサ失礼だろ!」
 そういうピエトロにアリサはぷいとそっぽを向いた。
(うふふ。甘酸っぱい! 甘酸っぱいわ!)
 やけにぱんつすたいるの腰元に感じる視線は気になるけれど、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は子どもたちの甘酸っぱい恋愛模様にほくそ笑んだ。
(こんなに微笑ましい依頼は初めてかも)
 同じく笑みをうかべるのは『虚刃流直弟』ハンス・キングスレー(p3p008418)だ。
 だからこそずっと思い出に残るような日にしたいとおもう。そう、彼らにとっても自分たちにとってもだ。
「ふふ、リゲルさんはやっぱり子どもたちにとって本当のヒーローなんですね」
 からかうように『緋い月の』アンジェリカ(p3p009116)がクスクスと笑う。
「はい! そのとおりです!」
 とピエトロが手を上げ、他の子どもたちもそれに同意する。
 アンジェリカは自分もまた未熟であると自覚はしている。それでも彼らよりは大人だ。彼らに素敵な経験を。願わくば自分にもまた素敵な経験を。
「クロエ君はみんなを守りたいの? 私と一緒だね」
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)はクロエと目線をあわせて微笑む。
 何故か少しがっかりしてノースポールの後ろを見ようとしてるのまあ気の所為だろう。
「うん、ピエトロとアリサのお尻とミルフェのお尻を守るんだ」
「んん???」
「あいて」
 そんなクロエを『鋼鉄冥土』アルム・シュタール(p3p004375)が軽く小突く。
「タンカーたるもノ、お尻の後ろにいてはダメですヨ? それに魅力的だからといって異性をあまりジロジロと見つめるのは紳士としても騎士としてもメッですヨ?」
「てへへ」
「子どもたちは元気いっぱいで良いねえ。
 さ、出かけようか?」
 『神威の星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)の号令に子どもたちもリゲルたちもおー! と片手を上げる。
 さあ、思い出に残る冒険の始まりだ!


 道中で、クロエが女性陣全員のお尻を触ってまた、アルムにめっ! されて男性陣みなが苦笑するなんていうトラブルはあったものの、一行は無事に森の入り口にたどりつく。
「みんな、私を助けてください」
 小鳥たちを呼び寄せたアンジェリカはウィッチクラフトで小鳥たちを使い魔にすると、手にした杖に座ってふわりと浮かび上がると空に舞い上がる。
 アリサがわぁと目を輝かせてその姿を見ることにアンジェリカはこそばゆくも、アバターのとしてのこの姿を誇らしく思う。
「では私は上空から戦いやすそうな場所を探してきます」
「ああ、頼んだよ。アンジェリカさん」
 アンジェリカの提案にリゲルは手を振って答えた。

「なるほどな、みんなを守りたくてヒーラーをめざすのか」
 内気で言葉少ないミルフェがポテトの「なぜヒーラーの道をめざしたのか」という問いに一生懸命言葉を紡いだ答えにポテトは嬉しそうに頷く。この子達はお互いがお互いを守りたくて、目指す道がある。
 それが微笑ましくてうれしかった。 
 じゃあ、とポテトはミルフェに丁寧に教導をはじめる。
 敵が現れたらまずは全体を俯瞰すること、皆を戦いやすくするための軸になるべきことを説明する。
 そのたびにミルフェは真剣な表情でなんども頷く。メモに書き写す拙い文字がなんとも可愛らしい。
 最後尾ではウィリアムとアーリアがアリサに魔術師としてすべきことを教えていた。
「前に出て戦う魔法使いもいるけど、基本私達はこうやって一番後ろが定位置ね」
「後方にいるのはヒーラーと同じだが、ヒーラーとは違う目線で戦場を、戦況を見極める事が大切だ。
 神秘は多様な力を齎せる。だからこそ手札をたくさん用意しておく。
 その中でどれが一番有効かを見極める」
「難しそうね」
「ああ、そのとおりだ。だがその冷静で的確な魔法を選ぶことで戦局を左右できるのが魔法使いだ」
「私……一人でそんなことできるかしら……」
 不安そうなアリサ。
 アーリアはアリサの前にしゃがんで一つ指をたてて大丈夫、と微笑む。
「アリサちゃんは一人じゃないわ。
 自分の得意なことは活かし、苦手なことは周りにお願いして、凸凹なみんなで助け合うの。
 例えば守りはクロエ君が得意なんだから、頼っちゃっていいのよ。
 ね、クロエ君、私達をまもってくれるわよね?」
 せくしーなおしり、もといアーリアに水を向けられたクロエはもちろん!! とガッツポーズをする。
「ね?」
「うんっ……!」

 数分後アンジェリカが偵察から帰ってくる。
 丁度いい地形をみつけたとの報に彼らは移動を始める。
 森の中のちょっとした広場。リゲルは持参した蜂蜜の瓶を開け、その場に垂らす。
 華やかな甘い花と蜜の香りが広がっていく。
 ちょっともったいないねとミルフェが呟き、ポテトがそうだなというがごとくに頭をなでた。
 
 ふうわりと風に獣の匂いが混ざる。
 一同に緊張の色が走る。子どもたちはビクリと体をすくませるが英雄たちと女の子たちの手前、ピエトロとクロエは虚勢をはる。
 そんな姿が男の子らしいなと、ハンスが心の中で笑った。
「じゃあ、準備はいいかい?」
 ハンスがピエトロとリゲルに合図する。
「ワタクシたちの出番ですネ!」
「ええ!」
 タンカーであるアルムとノースポール、そしてクロエが誰よりも前にでる。
 がさりと木々をかきわけ臨戦態勢のくまが姿を表した。
 アーリアが動物疎通で話しかけるも、冬眠前の餌あさりの前にはくまもまた退くつもりはなさそうだ。
 アンジェリカの判断も同様。ならばまずやっつけていうことをきかせるしかない。
 再前衛のノースポールにくまが大きな手を振り下ろすが、ノースポールはふわりと白雪の翼をはためかせ、回避する。
「くまさんこちラ、手の鳴るほうヘ! ワタクシが此処に立つからには彼等には指一本触れさせませン」
 ノースポールが回避盾であるなら、アルムは遍く攻撃を受け止める大盾。
 がきん、と護盾アルジャンが軋む音をたてるがダメージは受け止められる。
「おおー!」
 クロエが思わず感嘆の声をあげる。
「ねえ、誰かを守るのに一番大切なことはね。私は、ハートだと思う」
 たとえどれだけ痛くても、辛くても。
 ノースポールはタンカーとしての矜持を少年に伝える。
「体を鍛えるのも、もちろん大事! でも、絶対に守る! って諦めない気持ちも大切だよ」
 心が折れなければいつまでも立ち続けることができる。
 その心が、今ノースポールがここに立っている証。
「僕にもできる? キュートなおしりのおねえちゃん」
「んん? できるよっ!」
「クロエ様。見ていらっしゃいますか? ひとえにタンカーといっても、
 前に立ち味方を護り、鼓舞し全てを受け切るもの
 もしくは避け切り一瞬の隙を逃さず反撃を叩き込む。
 様々な形があるのでス」
 アルムが熊に密着するように踏み込んで、貴方はどんなタンカーになるのでしょうネと続けた。
「どっちもかっこいいよ! ぼりゅーみーなおしりのお姉ちゃん」
「こっちも負けていられないね、ハンス。ピエトロ君、俺たちもいこう」
 リゲルはピエトロを鼓舞し踏み込む。
 ピエトロはリーダーとして誰よりも前に踏み込もうとする。
 自分にだってこんなときはあったとリゲルは微笑ましく思う。
「立派なリーダーだ。わからないことはなんでも教えるからね」
「ピエトロ君には憧れの人がいるんだね」
 勇ましい彼にハンスがすぐとなりでフォローできるように備える。
「うん、リゲル様! ハンスお兄ちゃんもすごいっておもうよ」
 熊に剣をふりながらピエトロが答える。
「いや、そういう意味じゃなくて目標というか守りたい相手って意味で」
 ピエトロは一瞬一番うしろにいるアリサに目をやってから真っ赤になって違うし! と答えた。
 そんないじらしいピエトロにハンスは思わずにやけてしまいそうになるのを抑える。
 がおおお!
 ピエトロの剣がチクチクと痒かったのかくまが一層大きな声で鳴き声をあげるとピエトロがビクリと体を竦ませ、一歩後ろに下がった。
「敵対する相手を恐れる事は正しいことだ。だが委縮してはいけないよ」
 それに気づいたリゲルがすかさず否定はぜずに嗜める。
「誰かを守る為には、力が必要。そして何より、勇気が必要なんだ。
 人々の剣となり盾となれ。それが騎士の在り方だ!」
 ピエトロははっとなって自らの英雄を見上げる。
 その僅かな少年の隙に熊は腕を振り上げた。
「おっと!」
 もしもに供えていたハンスは、空を踏み、見事な蹴撃をくまに浴びせた。
「おお~~」
 リゲルの正統な剣士とは趣を異にする速さを軸にしたその蹴撃もまた前衛職としての手段。
 自分のことながら危なっかしいとは思う。真似すべきでもないとは思うが。
「……本当になりふり構わず誰かを守りたい時は、僕のやり方もそう悪くは無いと思うからさ」
 ピエトロの足癖が悪くなりませんようにとハンスは心の中でつぶやいた。
「ほら、アリサちゃんいまよ」
「どれを使うかわかるよな?」
「もちろんよ!」
 言ってアリサは炎の魔法をくまにぶつける。弱々しくてもそれはアリサの精一杯。
「大正解だ」
 だからこそウィリアムは褒めてやる。ぜいはあと息を荒げるアリサにウイリアムはクェーサーアナライズでフォローする。
「タンカーの人に、回復、ですか?」
 おずおずと尋ねるミルフェにポテトは満面の笑みで頷く。
「そうだ。今ミルフェが必要だと思ったので正解だ。ちゃんと全体を見てるじゃないか」
 褒められてミルフェはふわりと微笑む。
「ねえ、くまさん、これ以上怪我をするのはつらいでしょう?」
 アンジェリカが疎通でくまに告げれば、くまもおとなしくなる。
 ならばここまでだとアーリアがくまに非礼を侘び、ノースポールが蜂蜜をひとびんくまにあげるとくまはぺこりとお辞儀した。
 ミルフェはポテトの指示でけが人を回復していく。その姿をみてアリサが心配そうにしているのを見て、ウィリアムがアリサの肩を叩く。
「復もまた神秘の得意分野だ。本職程でなくても、回復の術を覚えとくと役立つかもな?」
ウィリアムを見上げたアリサは何度も頷いて、ウィリアムさんは何でも知っているのねと呟く。
「あっちのおねーさんのほうが俺以上の使い手だし、女性としての手練手管を教えてもらえばいいだろう」
 なんて余計なことをいうウィリアムにアリサは少しだけ恨めしそうな目でみるのだった。
 やがてくまは森に帰る。
「お互い殺し合うのは避けたいので裾のまで狩りをしにくるのはやめてくださいね。
 こちらも森の奥には足をふみいれませんから」
 去りゆくくまのせなかにアンジェリカが回復を施しながら告げればくまはうなずいたようにみえた。


「それじゃあ、ピクニックでもしようか!」
 ポテトとリゲルお手製の卵焼きや唐揚げ、アルムの三色サンドイッチ、ノースポールのスイートポテト、がシートに広げられる。
 リゲルとポテトが座る真ん中にアリサがまた割り込んでくる。
 リゲルとしては好いてくれるのは嬉しいがこれは家でポテトがほっぺをふくらませるとおもうとちょっと困る。ほっぺが膨らんがポテトもかわいいのはかわいいのだが。
「アリサ」
 ポテトが静かにアリサの名を呼べば視線だけは向けてくる。
「アリサがリゲルに憧れてくれるのは嬉しい。でも私もリゲルがだいすきなんだ」
 アリサは答えない。
「リゲルのことは譲れないけど、きっとアリサのことが大好きなひとが近くにいるとおもうから、その人のことも見てくれたらいいなと思う」
 ポテトがピエトロを見やれば彼は真っ赤な顔でそっぽを向いた。それが可愛らしくてポテトは微笑む。
「負けないもん!」
 言ってアリサはスイート「ポテト」を掴むとむしゃむしゃと食べる。彼女なりのポテトへの戦線布告なのだろう。でもアリサの耳が少しだけ赤くなったのをポテトは見逃さない。この小さな恋が早く芽吹くといいなと思う。
「前途多難だわぁ~~~」
 こんなときこそお酒があれば! こんなにいい肴があるのに! とアーリアが身悶える。
 まったく若いものの恋模様というものは美味しくてしかたない。
「お酒はありませんガ、美味しい紅茶なラ」
 アルムがどこからか紅茶セットをだし淹れたてのお茶を振る舞う。
「ねえねえ、リゲル様。あのくま逃してよかったんですか?」
 ピエトロがリゲルに疑問をなげかけた。
「無益な殺生は良くないからね」 
 だけど、野生動物は、常に生きることに必死だと続けリゲルは命の大切さと野生動物の恐ろしさを子どもたちに教える。
 ノースポールは手の進まないミルフェに
「ふふ、好き嫌いしてたら強くなれませんよ?」
 と促す。ミルフェはスイートポテトを口に運ぶと満面の笑顔になる。
 美味しいでしょう? と尋ねれば何度も頭を縦に振った。
 クロエは紅茶を淹れているアルムのお尻に触れ、またぽこんと叩かれる。
 どうにもクロエはアルムのボリュームのあるお尻に惚れたらしく、プロポーズまで披露して振られた。
 こんどはアーリアにせくしーおしりの持ち主ということで、再度プロポーズを敢行し、こんどはアルムとアーリアのふたりにぽかりと小突かれた。
「折れない心が大事ってノースポールさんがいってたもん!!」
 なんて言い訳にはノースポールがそれは違う~! と否定した。
 ご飯を食べ終えたアリサはアンジェリカにウィッチクラフトの教導を求める、同時にウィリアムにも進められたヒールの教導もお願いする。
 アンジェリカは頷き基本から丁寧に指導した。
 ピエトロはリゲルの手合わせの申し出に一つ返事で答えて剣の打ち合いをしている。ウィリアムもその手合わせにアドバイザーとして参戦する。
 リゲルもウィリアムも未来の英雄の成長が楽しみで仕方がないのだ。だからウィリアムはちょっとだけ余計に戦い方の指導をしてしまったのも仕方ないこと。
 ノースポールと同じく、ミルフェを空中散歩にさそいだしたハンスは、細心の注意でミルフェを大きな木の上につれていく。
 その光景と共に語られた冒険譚にミルフェは目を輝かせて、うっとりとしていた。
 のちほど、ハンスはミルフェに告白されてわたわたすることになるのは別のお話。
 
 きっと今日の慌ただしい一日は誰しもにとって忘れられない一日になっただろう。
 
 ポテトは思う。
 みんなみんな有望だ。アリサなんて大人にも臆さず突っかかってくるのはむしろ頼もしいとも思う。
 彼らの未来が素敵なものになりますようにと祈る。
 ねがわくば。
 ピエトロの思いもアリサに伝わりますように。 
 

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

子どもたちにたくさんのことを教えてくれてありがとうございます。
くまさん殺されると思ったら丁重に返してもらいました。びっくり。
みなさんにとっていい思い出でありますように。
みなさん甲乙つけがたい素敵なプレイングでしたので大成功の判定にいたします。
ご参加ありがとうございました。

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