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シナリオ詳細

<FarbeReise>日色ラントカルテ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ラサの砂漠地帯には様々な遺跡が眠っている。
 その歴史は人々の営みか、それとも――紐解く為、命捧げる学者達と共にパサジール・ルメスの商人レーヴェンは只の一つの場所に至った。

 ――FarbeReise(ファルベライズ)。

 それは、外郭と内郭の二層で成り立つその遺跡。特異運命座標へと遺跡の鍵を開く探索を願った地である。
 無事に内郭へ至った特異運命座標の目の前に存在したのは『遺跡』が隠して居た秘宝――『願いを叶える』ともされる色彩を力とする宝達。武具、宝石、はたまた何かの動物を象ったオブジェ、様々な形をなす其れ等を色宝(ファルグメント)と名付けた。
 願いを叶えるという評判が一人歩きし、悪用や転売など望ましくない扱いをされることを避けるためにラサの傭兵、商人の連合体は『ファルグメント』の保護を行うことと決定した。
 ローレットに来た依頼書を皆も見た事だろう。
『色宝をネフェルストへと届けた物には報奨金を渡す』と。それはローレットに限った話ではなく各地の傭兵や商人達も対象となるのだ。


 決して単調ではない。整頓されてはいない砂漠道の上をごろりごろりと車輪を転がす隊商たち。パカダクラが牽いた二大にはファルベライズより取得したばかりの色宝が積まれていた。
 遺跡内部での『争奪戦』は緩やかに開始されている。元より住まう精霊達による『悪戯』やダンジョン内部に存在するゴーレムによる手痛い歓迎等……イレギュラーズにとっては幾度目かのお馴染みのダンジョン探索にも『競争相手』が登場しつつあるのだ。
 それがラサによる依頼書を見た傭兵達や美味しいどころとり使用とする商人達だ。
 パサジール・ルメスの一人、リヴィエール・ルメスとその相棒のパカダクラ『クロエ』に色宝の輸送を依頼した学者は「君たちに任せた方が今後の色宝研究も安心して行えそうだ」という理由でローレットを依頼先へと選択したらしい。
「それもこれも、センパイ達の活躍のお陰っすかね」
 クロエにまたがりのんびりと進むリヴィエールは茶化したように笑ってから――クロエにストップを掛けた。

 やはり、である。
 わざわざダンジョンに挑まずとも『輸送路』を狙えば良いと考える者が居ること位分かっていた。
 もうすぐネフェルストが見えると言ったような位置だ。
『あちら側』も同じ考えの物が居ないようにギリギリの位置で横取りを狙ってきたか。
「色宝持ってるんだろう?」
 にたりと下品に笑った盗賊にリヴィエールは「何のことっすか」とそっぽを向いた。
「そもそも、お前はパサジール・ルメスだろ。
 知ってるぜ。あの遺跡を発見したのもパサジール・ルメスの商人の女だったか。
 名前は何だったか……確か――レーヴェンだ。市場で見かけたことがある。あれだけ『カラフル』な格好をしてるんだからよ」
 キャラバンとして生計を立てる者も居れば傭兵や商人を行う者も居る。前者より後者の方が人の覚えが良いのは確かだ――そして、此度の一件の『大元の発生源』である彼女がパサジール・ルメスであれば『同じ民族』であるリヴィエールも関わっているという認識なのだろう。
「パサジール・ルメスはどうしたことかあの遺跡が気になるというウワサも聞いたもんでねえ。
 お前ら『荷運び人』にとっちゃ、色宝の輸送を行うことくらい想像つくってもんだ。
 さ、悪いことはいわねえ。ここまで運んでくれた礼はちょびっと位やろう。その荷全て渡せ」
 手招く男にリヴィエールは首を振った。共に輸送部隊を護っていたイレギュラーズを振り返る。

「た」
 口がはくはくと動く。
「す」
 次の言葉はもう想像が付くだろう。
「け」
 成程。つまりは、目の前の不届き者を――こんな所で手柄を横取りしようとするのだ、決して良き物ではない!――やっつけろということだ。
「て」

GMコメント

 夏あかねです。荷物をゲットしたらソレを運ばねばなりませんね。
 パサジール・ルメスも目を付けられてしまう……。助けて、イレギュラーズ。

●成功条件
 色宝を守り切る。

●道
 ファルベライズから首都ネフェルスト(オアシス)に向かう道程。
 砂漠地帯、周囲に遮蔽物はありません。サボテンなどが立っている普通の砂漠。
 お日様がギラギラとしていた秋口の涼しさとはちょっぴり無縁な雰囲気です。

●『不届き者の部下』*9
 ネフェルストから出た依頼書を見て報奨金を得るためにキャラバン隊を襲っている不届き者達です。
 ソレが組織だっての行動か、はたまた、彼等だけの考えであるかは分かりませんが……。
『パサジール・ルメスが色宝に関わってる!』というウワサが立っているそうです。

 基本的には物理的なファイターですが、それなりに腕が立ちます。
 ブレイクや必殺の使用などはできるようですが回復手害ないのが彼等にとっての悩み。
 じり貧になる前にドツいて奪えが今のところの方針だそうです。
 種族は獣種。皆揃ってミーアキャットです。基本は獣形態。
 外見は何だか可愛くて小さくて……と喜んでしまうのでつい、ほだされてしまいそうになりますね。

●『不届き者のリーダー』
 不届き者のリーダーという不名誉な名前で呼ばれる対話役。
 ご本名は『赫双刃のベンハミン』さん。色宝を届ける一方、一部をちょろまかして『夢』を叶えたいそうです。
 彼自身は獣種。勿論でっかいミーアキャットです。
 夢が何かって? ばっか、言うわけないだろ! です。

●リヴィエール&クロエ
 色宝を護る為に後ろに待機します。基本的な護身術は心得ていますがあまり当てにしないで下さい。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 さあ、宝を護りましょう。純戦! 宜しくお願いします。

  • <FarbeReise>日色ラントカルテ完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年10月12日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

グレイシア=オルトバーン(p3p000111)
知識の蒐集者
奥州 一悟(p3p000194)
彷徨う駿馬
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
竜撃
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
曇銀月を継ぐ者
黎 冰星(p3p008546)
パンドラの色は虹色
パルル・ラ・スターリア(p3p008764)
小さな旅人

リプレイ


 キャラバンが往く。その積み荷は最近、ラサで賑わう傭兵依頼、その中心たるや『曰く付き』の色宝である。ファルベライズと呼ばれた遺跡群から発見された宝玉類は世にも奇天烈な効果があると伝えられる。
「願いを叶える宝物とは、また変わった物があるものだ。
 なんでも願いが叶う……というわけでは無いようだが、『数を集めれば叶うかもしれない』となると、それを楽して盗もうとする者が現れるのは当然の事とも言えるだろう」
 現在までに耳にした知識より、このキャラバンを護衛して欲しいとローレットに依頼が入ったのも頷けると『知識の蒐集者』グレイシア=オルトバーン(p3p000111)はそう言った。
 燦々と降り注ぐ太陽の下「あつーい!」と声を上げた『彷徨う駿馬』奥州 一悟(p3p000194)はリヴィエールとクロエを後方に「下がっていて」と小さく声を掛ける。キャラバン隊の前に無数存在したのは鼻をひくつかせ積み荷を狙う不届き者だ。
「オレたちはネフェルストに行きたいんだけど何か用か?」
 ひく、と不届き者らの鼻が鳴る。「その荷全て渡せ」と告げたがそれに答えるように「申し訳ありません。砂漠の風でお声が遠いようです」と『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は目を伏せて行った。
「キイッ! その荷を全て渡せ! 悪いことはいわねえ! 従ってた方が良いぜ!」
「いけませんねえ。商取引というものはフェアに、Win-Winを目指して行うものですよ」
 取引の作法がなってはいないと寛治は肩を竦めた。呆れ調子の寛治の傍らで初めてのお仕事に胸を高鳴らせるのは『小さな旅人』パルル・ラ・スターリア(p3p008764)。
「私、張り切っちゃいます!」
「そうですね。張り切って頑張りましょう! キャラバンが不届き者に襲われるなんて、見過ごせません!」
 うんうんと大きく頷いた『パウダー・アクアの拳』黎 冰星(p3p008546)。早いところとっちめて色宝を奪還しようと張り切るパルルと冰星の傍らで顔を見合わせているのは『鬨の声』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)と『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)であった。
「まあ、顔を見合わす意味は分かるよ」
『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は小さく笑った。分かっていないのは相手だけ、だろう。
「何だ何だ!」
 地団駄を踏む無数のミーアキャット。その中でも一際装飾豊かなのは不届き者のリーダーこと『赫双刃のベンハミン』である。
「何が言いたいんだ!」
「……いや? 揃いも揃って砂漠と同じぐらいお熱いことで。
 大なり小なり逸話のついた宝に人間が群がるのは習性かな?」
 生き物とは欲深い。大仰なる逸話がついて回ったその宝が欲しいと願う事の何が間違いなのだと拗ねるミーアキャットをまじまじと見た後にベネディクトは「ああ」と小さく呟いた。
「はい、そうですか…と言って要求された事を呑んでいては俺達も仕事にならんのでな。
 生憎と積み荷を渡してやる事は出来ん。奪いに来るというのならば、多少のお灸は据えさせて貰う」
「そんなこと言って! 俺達が怖いんだろう!」と不届き者達はイレギュラーズを煽るようにそう言った。ぴょこんぴょこんと跳ねる彼等は相当頭が『お花畑』なのかベネディクト含めるイレギュラーズ達を商人とその仲間くらいに考えているのだろう。
「よぉ、お前らアホなのか?」
「んなー!?」
「……色宝の輸送を行う事が想像つくのに、その輸送に護衛がつくとか考えなかったのかよ」
 ぴた、と。ミーアキャットは全てがその動きを止めた。頭がぐるりと奇妙に動く。
「……ええ……? で、でもー! 勝てる!」
「……考えた上で勝てると思ったんならそりゃあ気の毒だな。遊んでやるよ。クラブ・ガンビーノのルカ様がな」


 目と鼻の先に未発掘の遺跡が存在し、更に言えばファルベライズだってまだまだ掘り進めることが出来る。こうして『横取り』などする位なら自分自身で潜って色宝を探してくる方がよいと丁寧にプランを提示する寛治。それならば誰に憚ること無く自分のだと言えるはずだとリヴィエールとクロエへ向かうこ動きを防ぐべく冷ややかな視線を注ぎ、棒立ちに為ってみせる。
 その手には紳士用ステッキ傘が、そして、眼鏡をきらりと輝かせる交渉にぐ、と息を飲んだ不届き者は「遺跡なんかに行ったら死ぬだろう!」と寛治へ向かって飛び付き出す。
「いやー……こっちの方が死にそうだよなあ」
 肩を竦める一悟。トンファーを握りしめ、砂漠の妖精達へと声を掛ける。精霊達はふわりと風のように揺れ動き、一悟らの様子を眺めているようだ。
「ふむ。先程の話を聞いていれば『強い護衛』の存在は想定していなかった、と。
 ……色宝と同じ原理だ。数を集めればと言えば、護衛もまた然り。
 信頼できる者にしか護衛を頼めないとなると、なるほど、このように『この人数の護衛なら何とでもなる』と思われるわけか」
 色宝を誰に奪われるか分からないからこそ、内々で話を完結させ、そうすれば『弱い護衛』とこそこそと動くことになるだろうというのが彼等の想定なのだとすれば実に納得できるとグレイシアは頷いた。
「全く、運の悪い者達だ」
「何がだ、おっさん」
「……成程、威勢は良いのだな」
 彼の傍らに常に連れる幼子がいたならば「おっさんなんか言わないで」と盛大に頬を膨れさせたことだろう。方陣の描かれた円盤状魔法道具は模倣品と言えども使用感は悪くは無い。浮遊する魔法道具を見遣る賢者の目は鋭い色を宿す。
「リヴィエール、クロエ。後方でしっかり待機しておいてくれ」
「勿論っす!」
 応援してると笑みを浮かべるリヴィエールに頷いて、ルーキスは寛治のもとへと襲いかかっていく不届き者目がけて、黒銃を向けた。金鎖の文様が瞬き、血泪の如き赤き弾丸が飛び回る。
「さて開戦といこうか。この暑い砂漠で頑張るねぇ」
 照り付ける太陽は寒々しい鉄帝等と比べれば苦痛を感じさせる程である。不届き者らを悪夢に叩き落す魔弾は蝕む様にその小さな体の中を巡った。
「ぐえ」
「ぐ、ぐえって言ってます……! 可愛い可愛いネコちゃんのならず者の皆さん――……一人一人痛めつけて二度と表を歩けねえようにしてやるよ! ハハハハ!!
 ッシャオラァ! パルルちゃん様の可愛さから目を逸らしやがって! あ? ちょっとツラが愛くるしいからって調子に乗ってんじゃねえぞ! パルルちゃんこそが最高に可愛いアイドルなんだよ!」
 火炎瓶を投げる勢いで、奇襲攻撃を仕掛けるパルル。ステージ挨拶は今日は『なし』――寛治が『準備』してくれたステージでスーパーアイドルのパルルは『目を背けるファン』にお仕置きするだけだ。
「ベン……ヤミンさんでしたっけ?」
「ベンハミン!」
「私は人の事はとやかく言わない主義なのですが、これだけは言わせて頂きます。
 貴方は真っ当な職に就くべきでした。でなければ、私達に止められる事も無かったのですから!」
 びしりと指さす冰星の正論という攻撃がベンハミンを襲う。ぎい、と地団駄を踏むベンハミンの傍らから寛治に向け飛び込んで行く不届き者達へと冰星は極限まで高めた闘気の火炎を以て猛撃を重ねた。
「悪いが、此処は通す事は出来ん。どうしてもと言うなら、この俺を退けてからだ」
 集中攻撃を受けることとなる寛治の庇い手としてその身を投じ、槍で攻撃を受け流し続ける。
 即ち、受け止め流す事で威力を逃し自身の防御を固めるという方法だ。
「赫双刃のベンハミンさん、でしたっけ? あくせくと小銭稼ぎ、ご苦労さまです。
 野伏せりに身を落としてまで、叶えたい『夢』が何なのか、私、興味がありますね。もしかしたら、お手伝いできるかもしれませんよ?」
 眼鏡を煌めかせる寛治。ベンハミンは誰が言うかよとそっぽを向くがルカはは、と小さく笑った。
「お前の願いなんざ、どうせ強面になりてぇとかだろ」
 ――大げさな動揺を見せた。そして周囲の部下たちがくすくす笑う。
「……ばーか!」
 語彙が、少ないミーアキャットである。「顔ですか」と寛治は小さく呟いた。
「すみませんね。今日のSPは優秀で、オマケにイケメンなんです」
「キイー!」
 地団太踏むミーアキャット。顔がいいベネディクトを見てから小さく笑ったルーキスは「良いフィールドだね」と囁いた。
「こんな開けた場所になると狙うのは容易で助かるよ。さあ折角の砂漠だ、砂風呂にでも入るといい」
「死ぬ程痛いかもしれぬが、何、死ぬことは無いから安心すると良い」
 やだやだと叫ぶ不届き者達を見ながらグレイシアはそっと魔力を放った。ぎゃあぎゃあと、騒がしく叫ぶ声が聞こえるがそれに構っているの暇もない。激しく瞬く神聖なる光による痺れを感じてびくびくとその身揺れ動かすミーアキャットを見ながらグレイシアは僅かに良心が痛んだ。
(盗賊というにはファンシーすぎるな……)
 確かに可愛らしい存在なのだ。背後へは抜かさぬ様にと気を配ったグレイシアの傍らを走り抜ける一悟は昆虫型の自立自走式の爆弾を走らせる。
「ミーアキャットが好きそうな、っていうと失礼かな?」
「ふむ、確かに好みそうだ」
 走る昆虫を視線で見送る一悟とグレイシア――本当のミーアキャットではないが……確かに好みそうなのである。


「さて、ベネディクト卿」
「ああ……そろそろ俺も反撃に転じるとしよう。……ふんっ!」
 ぶん、と槍を振るったベネディクト。薙ぎ払われる部下たちがきゅう、と声を上げた。
「残念、対策を怠るわけがないでしょう。変に彼女達に近づく前に綺麗に丸こげになって貰わないとね?」
 穴掘りでもして何処かに逃げようとしたのならば、それさえも食い止める様にルーキスの雷が降り注ぐ。一悟の爆弾が目晦ましの様に破裂し、グレイシアの光が周囲へと広がっていく。
 見事にその身を地へと横たえる不届き者達の中で傷を負いながらも『炎上』するのはパルルであった。
「Perfect Pretty Paruruchan! 略してPPPだ!
 お前らはパルルちゃんの下で跪いてニャーニャー鳴くか死ぬかなんだよ!
 あぁフサフサしてそうな毛並みだねぇ、よく燃えそうだねぇ! なんだか無性に火炎瓶投げたくなってきたねぇ! アハハハハハ! 最高! 戦いの血と混ざって真っ赤に燃えてらぁ!」
 ――誰かこのアイドルを止めて欲しい。
「ああ、部下をボコボコにする皆さんの洗練された動き!
 一緒に戦って下さった他の皆様の鮮やかで素晴らしい腕前!
 ……引き付けて下さったり、火力で圧倒して下さったり、回復まで担ってくださったり……皆さんが居なかったらヒヨッコの私はどうなっていたことか!」
 うっとりとした冰星は感謝を述べるのはまだ早かったでしょうか、と一人残ったベンハミンへと視線を移す。ぴるぴると尻尾を揺らしたベンハミンは冰星をぎらりと睨め付けた(尚、背後からは苛立ったパルルが見つめている)。
 ルカ、ルーキス、グレイシアが淡々と部下を薙ぎ倒して捕縛する中で、冰星はゆっくりとベンハミンへと向き直る。
「さて、ベン――ええと、ベンジャミンさん」
「ベンハミン!」
「最後に遺す言葉は?」
「バーカ!」
 地団駄踏んでいるベンハミンを見てベネディクトは小さくため息を吐いた。莫迦はどちらだ、と言いたげなその涼し気な瞳を受け止めてルカはがしり、と頭を掴み上げる。
「おい、テメェら。色宝の噂はどこで聞いた?」
『パサジール・ルメス』が色宝と関わり深いという噂の根幹を調べるためにルカはベンハミンのつぶらな瞳を覗き込んだ。そうやって噂を流した人物を早々簡単には調べられないとは思いながらも念には念を入れる。
「しらねー! 知っててもお前らに言う訳ないだろー!」
「積み荷のこと誰に聞いたんだ?」
「それもしらねー! これも言う訳ないだろー! ばーか!」
 そっぽを向くベンハミンに一悟はむむ、と唇を尖らせた。誰が莫迦だと言わんばかりにルカの掌に力が籠められる。「いたーい! いたーい!」と騒ぐ声を聞きながら「ネコちゃん可哀想」とパルルが良い笑顔で此方を見ている。
「……『知ってても言う訳ない』とは、わざと情報を流している者いるという事だな」
 グレイシアはそもそもに置いて、本件は『待ち伏せ』されていた事を思い出した。
 ――色宝を積んだ小隊が通りかかっているという情報を得たか、それとも『パサジール・ルメス』だからか。今回のケースならば後者のように思える。ならば、ルカが注目するのはパサジール・ルメスこそが色宝を持っていると言う噂を流した存在だ。
「……そういう噂を流すって事はパサジール・ルメスに注目を集めたいってやつがいるって事だ。
 だが、パサジール・ルメスを潰したいって線は薄いだろうな。やり方がぬるすぎる。
 ってなると、雑魚にかまけて動きが鈍る事……あるいは陽動。それとも、その両方……か?」
 呟くルカにベンハミンは手足を揺らがせながら「知らねーのかよばーかばーか」と挑発する様に短い手をシュッシュと出して見せる。
「……何がだ」
「ファルベライズって遺跡にもともと住んでた民族だって噂だぞー。本当か知らないけどよ!
 だから、色宝の事ならあいつらが詳しいって噂に――って、言うんじゃなかった!」
 しゅ、しゅ、と何度もこぶしを突き立てるベンハミンの頭から手を離したルカが寛治とベネディクトを見遣る。
「情報ありがとうございました」と寛治はにこりと微笑んだ。
「依頼人。俺としては反省の色が見えるなら命までは奪わなくても良いと考えているんだが」
 背後に立っているリヴィエールは「皆さんにお任せで」と微笑んだ。
「そうですね、此方に任せていただけるならその様に。
 ……我々とて、無駄に殺しをしたいわけではありませんから」
 静かな声音で二人が告げる言葉にベンジャミンはそっぽを向いた。
「優しく融通の利く依頼人で良かったな。
 さて、武器を捨てろ、飽く迄も最後まで戦い抜くという気が無いのであれば。夢も、死ねばそれまでになってしまうぞ」
 うぐぐ、と小さく唸るベンハミン。莫迦にしたように笑った罪として、背後から火炎瓶がボロボロのパルルちゃんより投げ入れられ――見事に意識を失ったのである。
「早くくたばって、役目でしょ」

 んん、と咳ばらいを一つしてベネディクトはゆっくりと後方でキャラバンを守るように立っていたリヴィエールとクロエを振り返る。
「何やら、企みの動くがするが……一先ず、怪我は無いか? 二人とも」
「はい! 皆さんが守ってくださったので無傷っす!」「だかぁ」
 にんまりと微笑む一人と一匹に其れは良かったと大きく頷く。
「それで結局、こうまでして叶えたいキミ達の夢って一体何なんだい?
 変に絡めばイレギュラーズに当たる、まあ彼らにはいい教訓になったかな」
 捕縛して引っ繰り返ったベンハミンを見ながらルーキスはつんつんとその頬を突く。
「えーと、リーダーの夢を当てるゲームですか? 私は『暗黒街のボスになる』に一票ですね」
 リヴィエールを気遣う冰星の傍らで一悟は「瑞々しい果物が年中なって居る夢の木が欲しいとかかもしれない」と提案した。
「それにしても……その姿で、盗賊とはな」
 ちら、と視線を送ったグレイシア。一般的な盗賊よりも小さく愛らしい姿をしている。サーカスなどで見世物を行っている方が十分な報酬が得られそうなのに、と呟く彼は「言わねえ、とそっぽを向かれたこのような存在にまで『色宝の奪取』を勧めて居る者がいるという事か」と小さく唸った。
「何はともあれ……更生をお勧めするよ」
 溜息を混じらせたルーキスは捕縛され運ばれていくミーアキャットたちを見送った。色宝をネフェルストまで届けるまで――あと、少しだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした! 遺跡に纏わる謎もたくさん。
 これから、沢山、ファルベライズを探検していってくださいね!

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