PandoraPartyProject

シナリオ詳細

へっちな依頼を撲滅せよ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 触手とはへっちである。間違いない。
 もののついでに言うと姫騎士とかシスターとかいう属性もへっちである。心の中で賛同して頂けると思うが、それは世の真理でありへっちであるからだ。だが――おっと待て、読むのを止めるんじゃあない。ここからが本題だからお願いします。
 閑話休題。しかしなぜ触手はへっちなのだろうか。
 アレ自体はそもそも人ではないというのに人はアレに何かを感じる――それは連想だ。
 それ自体は『そう』でないというのに、昔から染みついた人の発想がアレをへっちだと。本能に感じさせる訳である。
 触手とはへっちである。間違いない。
 だって我々は遥か昔からそうであると知っているのだから――

「いやー違う違う違う!! 断固抗議しますよ私は!!」

 ある日。ギルド・ローレットの中――その受付カウンターに衝撃を叩き込む影が一つ。
 それは人ではない。見れば蠢いているその姿は、その、なんというか。
「わーわわわわー!! 落ち着いて!! 落ち着いてください!!
 誰か――!! 助けて、この触手モンスターにへっちな事をされる――!!」
「だーから私は『触手の旅人』であって、モンスターじゃないんですってば――!!」
 ――カウンターの下に隠れているリリファ・ローレンツの言う通り。
 詰め寄っているその影は正にまごう事なき『触手』型の人物……人、物? であった。彼―いや彼という性別の呼称は多分だが――とにかく彼は、自分の事をモンスターではないと言っている。
 旅人であればどのような姿の者がいても不思議ではないし、発している言葉の数々は明らかにコミュニケーションが取れる類のモノ。嘘ではなさそうだが……
「はぁ、はぁまただよ……くそ! どうしてこの世界の人間は私を見るとすぐに卑猥だとかなんだとか言うんだ! 勝手に襲うなんてそんなの普通に只の犯罪じゃないですか! 理性ある生物ならばそんな事しませんよ!!」
 だが――なんともシュールな光景であった。
 うねうねと蠢きながら彼……ああ何でも名前はジョージと言うらしいが。ジョージはつい最近この世界に召喚された旅人(ウォーカー)であるらしい。ジョージの居た世界は人間と触手型の、彼の様な生命体種族が仲良く共存しているんだとか。ホントかよ。
 ともあれそのような世界では彼の様な存在は普通であったから特になんとも言われなかったらしいが、この世界に来てからは一変。会う人会う人に悲鳴を挙げて逃げられてもう泣きそうなのだとか。
「うっ、うっ……ぐすっ。
 これもこの世界で私と同じような姿をした連中が悪事を重ねている所為だ……!!」
 故にジョージは決意した。この世で己を『へっち』足らしめている存在をこらしめると。
 怖がるリリファを追い詰め……もとい、ようやっと平和的に聞き出せた依頼情報によると、近くにある家主不在の幽霊屋敷の中で触手型のモンスターが発生しているらしい。何故かは不明だが、もし屋敷の外に出てくるような事があればどんな惨事が起こる事やら……あんな事やこんな事がもしかしたら……!
「そのような、また触手の地位を貶めるような事をする輩は許せません!!
 ……しかしこの世界に訪れたばかりの私ではあまりに非力!!
 ですので!! 偉大なる皆さんに是非ともご協力賜りたいと思いまして!!」
「わー! 分かりました分かりました! 人員を手配するからそんなに近寄らないでくださーい!!」
 半分涙目になっているリリファ。ともあれジョージの強い決意は分かってもらえただろうか。
 触手とはへっちである。間違いない。
 ――しかしそれに否を唱える触手もいるのだ!!
 さぁ往こう。明日の触手の(主に今年で15歳になるジョージ君の)未来の為に!

 へっちな依頼とへっちな要素を醸し出す種族は――撲滅するのである!!

GMコメント

 へっちじゃない触手だって世界には存在する!!
 そんなこんなで依頼です!

■依頼達成条件
 触手型モンスター『マックス』全ての撃破。

■フィールド
 王都メフ・メフィート郊外に位置するとある屋敷です。
 元々は資産家が住んでいたとの事ですが、なんらかの事情により手放した後、入る人がいなかったようでまるで幽霊屋敷であるかのように古ぼけた様子となっています。中はそこそこ広いです。

 時刻は昼。視界に問題はありません。
 いつのまにやらから生息し始めた触手達を撃破してやりましょう。

■敵戦力
・触手型モンスター『マックス』×6
 スライム+触手が融合した様な姿の魔物です。
 後述するジョージと姿が非常に似ていますが、一切の関係は在りません。この世界原産の、清く正しいへっちな触手です。いつの頃からか屋敷を根城にし始め、その数を段々と増やしています。屋敷のあちこちにバラけて存在しています。
 触手を伸ばして行動を束縛する様な能力を持っている様です。
 ただし戦闘能力が高い訳ではないので、複数人で行動していれば安全でしょう。絶対に一人になるんじゃないぞ。

■味方NPC
・触手の旅人『ジョージ』
 その姿はスライム+触手。見るからにへっちだが、へっちではない。異世界より訪れたばかりのウォーカーで、今年15歳になる青少年。何故か卑猥だのなんだの行動をする触手共に憤慨。怒りの蠢きと共に幽霊屋敷に住まうマックス達をぶちのめしに同行します。
 姿は何故か非常にマックスと似通っています。(でも全然関係はないです)
 間違えて攻撃しないようにだけ気を付けてください! 悪い触手はあっち! あっちですよ!

■Q:この依頼ってへっちなの?
 怒りのジョージ君がへっち展開を妨害してくるので基本へっちではないと思いますがプレイング次第では分からん!! そんな依頼です!!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • へっちな依頼を撲滅せよ完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年09月29日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
十六女 綾女(p3p003203)
毎夜の蝶
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
高槻 夕子(p3p007252)
クノイチジェイケイ
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
エル・エ・ルーエ(p3p008216)
小さな願い

リプレイ


「今日は宜しくお願いします皆さん! 鬼畜な触手共を駆逐してやりましょう!!」
「ジョージ! 気が合うねっ、アタシもローレットNo.1清楚として協力するから! よろしくね!」
 触手――多分腕――を天に掲げるジョージに言葉を紡いだのは『清楚(笑)』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)であった。その称号で清楚を掲げるのかミルヴィよ! おのれへっちの権化め!
「まぁでも……アタシがへっちとかいったらアンタも纏めてやっつけるからね」
「そ、そそそその様な事まさか! ミルヴィさんは清楚ですよ清楚!」
 にっこり微笑み視線を合わすミルヴィ。
 視線が合えば彼女の『力』が流れ込み――ほんのり彼女に魅了される。耳元(?)で囁かれる様な声も合わされば、視覚と聴覚の二方面から攻め立てられているに等しいが故に――いかん。ジョージ君に手を出している場合ではない!
 彼らが集うは件の幽霊屋敷。さぁ倒しに行くとしよう……!
「おっと、その前に……エルは思います。一方的に嫌われるのは悲しい事だと」
 だからと言うのは『ふゆのこころ』エル・エ・ルーエ(p3p008216)である。ジョージが怒る気持ちは分かる――まるで、エルの大好きな冬の様だ。
 冬は寒い。雪降るあの時期は凍てつく様だ。
 だから。
「ジョージさん、これ、付けてみてください」
「お、おや? これは!?」
「とっても冬らしくなって素敵だって、エルは思います。だから、どうぞ」
 だから。シャイネン・ナハト用のツリー飾りをジョージに身に着けてもらう。
 こんな事もあろうかとツリーのてっぺんでキラキラと光るあの金色のお星さま飾りも持ち込んでいたのだ! 上目遣いでお願いするエルの視線にジョージは弱く、強く拒否できないままにあれやあれと身に付けられていく。
 さればあっという間に完成する――触手ツリー。何か月か早くないだろうか……!
「しょ、しょーがないですねぇエルさんは! 今回だけですよ!」
 ともあれシャイネンナハト・ジョージであれば大分見分けも付くものだ――これはこれで良し!
「……ジョージ殿が迷惑を被っているのなら見過ごすわけにはいかないな。ああ、これは人助け兼、いつもの依頼に過ぎない。決してへっちな依頼に恨みがあるわけではないぞ」
 決してな……と。滅茶苦茶念を押す様に言いながら『ミス・トワイライト』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)は前へと進む。いや無いですよ。ホントですよ? へっちな依頼に因縁なんてまさかそんな……
「なに、まぁ今回の相手程度皆で戦えば問題あるまい。サクッと終わらせるとしよう。
 ははは。そう、サクッとな」
 ともあれ屋敷のどこに敵性触手の連中がいるのは分かってはいない。
 故に固まって行動を。全員で対処し、潰していくのだとゆっくり歩を進めて。
「しかし……人を苗床にして増える……様なタイプではないらしいが、だったら何故女に纏わりつこうとするんだ? 男女見境なく人間という枠組みで襲うならまだ分かるが、どうして限定する?」
 何か理由があるのだろうか――? 『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)は疑問をどうにも拭えない。混沌の生物と考えれば諦めも付くが、いややっぱりなんかせめて理由ぐらいはあるのでは……
「世の中には対忍々とかいう服を溶かすスライムもいるぐらいだからね……まぁとにかく人に迷惑をかけるスライムと言う点だけで十分さ。さっさと片づけて――ええっと、そうしたらジョージの潔白も一応証明、することになるのかな、これ」
 されば『キケンな性別不明』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)はそんな生物も時にはいるのだろうと思考し、周囲の『敵意』を探りながらゆっくりと進んでいく。
 想起するは服を溶かす意味の分からないスライム――ああ懐かしい。出来れば二度と会いたくない思い出である……ここはそこまで危険性が多くないのが幸いだが、しかし。なんともああいう姿の連中は視ただけで卑猥な感じを連想してしまう。
 ここに『良い触手』もいるのだと、この件で証明できるだろうか。
「――ジョージさんの言うとおり、触手だからへっちとは限らないとは思います。私も触手の生えた炬燵の旅人がお友達にいますし……そんな方達の為にも、悪意あるへっちな触手は撲滅しないといけませんね」
「風評被害ってやつよねぇ。この混沌には結構そういう生物が多かったりするから……まぁ、なんていうか……ご愁傷様」
 偏見は良くないと友人を思い浮かべれば『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は今回の依頼に対して、ある程度共感も得るものだ。『毎夜の蝶』十六女 綾女(p3p003203)にしても流石にジョージの境遇には同情する。
「まぁでもへっち自体は悪くない事よね。
 時と場合を弁えないから問題なだけであって、生物としては正しい在り方だもの」
 ただそれはそれとして『へっち』なのは生物にとって自然な事だ。
 へっちであるからこそ生物は子孫を残してきた。ジョージの怒りは分からないでもないが、そう考えれば触手達にしろ必ずしも悪とは言えない。その辺りを上手くフォロー出来ればいいが――

「――ストップ。なんだかちょっと空気が変わってきたよ」

 その時だ。皆を制したのは『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)である。
 『ジョージ君ならはたしてどこに隠れる?』と事前に聞いていたが、彼から帰って来た返答は『へっちに襲撃出来る所だと思います!』というちょっとよく分からないアドバイスだった。
 しかし恐らく影の多い所なのではないかと警戒していた所――気配を感じる。
 この先の部屋に何かいる。何かとなれば、敵以外に他は無く。
 だからこそ夕子は踏み込む。必勝の策をもって。


 敵性触手マックスは思考していた。へっちな出来事が無いかと。
 善も悪もない……ただマックス達は本能のままに行動しているのだ……そこへ。
「はぁ……もう疲れたね……どこか休憩できる場所があればいいんだけれど……」
「やだぁ……誰かいませんかぁ? 怖いよぉ……歩き疲れて、もうダメぇ……」
 涙を含んだ声と共に、ミルヴィと夕子が入ってきたのである。
 なぜか二人共汗だく。微かな光が反射する、肌を伝う水滴は首筋を垂れて胸元へと伝い。
 されば陰に潜んでいる触手は想う――やったぜ、と。或いはありがとうございます、と。
 なんとなしに『刺さる』言葉の渦が夕子より発せられ、ミルヴィからは溢れんばかりの異性を魅力する迸りが走っており。そのまま彼女達は古ぼけたベッドの方へと。
「モンスターはいない……わよね。ふぅ……」
 軋む音を立てて、座り込む。
 ――暑いのだろうか。上着のボタンを一つ解き、いや二つ解き。
 一枚脱いで吐息を一つ。
 小さな紡ぎはだからこそ『へっち』を感じさせる。そう『へっち』とは――空気である。もうだめです辛抱たまりません――とばかりに。ベッドにいるミルヴィと夕子へとマックスが一体、背後より襲来する――ッ!
 が。

「現れたなこの愚か者がッ――!! 死ッねぇぇぇぇぇぇい!!」

 直後。ブレンダの一撃がその横っ面に叩き込まれた。
 それは如何なるものも粉砕する破壊の一撃。全身全霊をもって叩き込む殴殺の権化――えっ? 何? 違う違う。触手に恨みがあるわけではないぞ? 断じてな。ほんとだからな??? ただちょっと見敵必殺・絶対に逃がさん状態なだけで……おらっ! 抵抗するな触手!
「殺す! 壊す! 必ず滅ぼすッ!!」
「は、はわわ。ブレンダさんの様子が……!」
「ジョージ! 離れるんじゃないぞ、スライムは恐らく狭い所や屋内を好む……まだどこに潜んでいるか分かったものじゃない!」
「そうよ。ジョージ! 周囲を警戒して! 触手達がどこに潜んでいるかをイメージしないと!」
 ブレンダの凄まじい形相にジョージがドン引くが、注意を散漫にしてはならぬとリウィルディアと綾女が言う。故に布陣は固定したままで攻撃だ――リウィルディアが放つ一閃。
 絡みつく二頭の悪性が触手へと放たれ、うわああどれが触手で攻撃の筋だろうか。ともあれ次いで邪悪を裁く光で吹っ飛ばしてやる。しかしスライムはどうして誰も彼もこういう屋内に好んで住むのだ……生態か?
「ジョージ、彼らは天上にも回ったりする事が出来ると思う?」
「……! 可能性としては十分にあり得るかと……!」
 されば綾女は味方の治癒を施しながら全周囲を警戒。
 へっち展開を慣れていない者に齎す訳にはいかない……自分は、まぁ触手経験は一度や二度はあるので良いのだが……いや良いのかこの経験は……?
「やーれやれ。ティンダロスも入れる大きさならなぁ……
 色々楽なんだが、ま、仕方ないか」
 ともあれマカライトもまたジョージの位置と女性陣の位置に注意を割きながら――マックスへと接近する。女性陣がマックスに近寄るのは危険だ。『万が一』の可能性を考えれば、自分が出るのが一番安全である、と。
「内部から内臓とか破壊するタイプじゃないんだろ? まぁ平気平気」
 そしてマックス達はガチのスライムではない。激痛で苦しませつつ脳の分泌物摂取する様なマジのガチのスライムで冗談が通じないタイプだとやばかったが、そうでないならやりようはある。
 とにかく潰す。前に出て剣撃一閃、叩きのめせばマックスはいきなり弱り始めて。
「……あ、っ! 後ろの方、から……!」
 しかし背後より襲来するマックス二号もいるのだ。
 騒ぎを聞きつけ触手を伸ばし。エルが気付いた時にはもうすぐ傍まで――
「そうはさせません……! これ以上へっちな被害に遭う人を出す訳にはいかないんです!」
 だがそれは背後を警戒していたリディアによって防がれる。こうもあろうかと最後尾に位置しマックスの姿を捜索していたのだ――背後から至ろうと上から左・右から至ろうと。触手を払いのけ、絶対にへっちな展開は阻止してみせるッ――!

 下から来た。

「あ、え、きゃ――!?」
 意表を突かれた! 古ぼけていた屋敷は床も古くなっており、突き破って出てきたのだ。
 腕に絡み付き、リディアの身体を即座に抑える様にすれば、同時。太ももを這う『何か』がある。冷たく蠢く感触は常なる日々において体感するようなソレではなく。
「ぁ、ぁ……! だめだめそこはだめ……!」
 暴れるリディア。いけない、スカートが捲り上げられたらまた子供っぽい白地に緑のドット柄の穿いてるってみんなにバレちゃう! お願い、耐えて私のスカート! ここを耐えれば、マックスに勝てるんだから――!
 しかし現実は非情かな。へっちな欲望に憑りつかれたマックスはリディアの肌を攻め、て。

「うぉぉぉ! この不埒な触手共め! リディアさんを離せ――ッ!!」

 だが間一髪。ジョージの突進がリディアの拘束を解いた。
 たった一瞬でも自由になったのであれば。
「も、もも、もうやめて――!!」
 半泣きのままに全力の衝撃波をマックスへと叩き付ける。
 あまりの攻撃。ミンチになるが如くのマックス――ええい全員逃がさんぞ!
「おりゃー! へっち撲滅! JKに触手とかマジ勘弁!
 この依頼は全年齢なんだよ!! はい、復唱――!!」
 やがて囮として引き寄せた夕子もまた戦列に加わりマックスを叩きのめしていく。
 今何体倒した? 残っているのは二か三か?
「ジョージ殿! へっちガードは頼んだ!! 私は引き続きあの畜生共を掃討してやる!! 一匹たりともこの屋敷から出さんぞ、害虫共め――!!」
「あの。ブレンダさんには何があったんですか?」
「だめよ、ジョージ。人には踏み込んではならない領域が時にあるの……!」
 壮絶な攻勢を見せるブレンダはまるで鬼神の如くである。マックス蹂躙。
 気になるジョージだがミルヴィが頭を振って踏み込むなと拒否を。
 ――瞬間。会話に意識を取られたミルヴィの足元からすり寄って来るは――マックスだ! またお前下からかよ!!
「え、あッ! ちょ、ちょっと――!? やだぁ、こんなヌルヌル、してぇ……!
 ……っ、ぁ。どこに潜り込んで、ぇ   ぁ!」
 えっちなうさぎさんは実は、屋敷に入る前にえっちなポーションを呑んでいたのです。
 先程の妙な汗もその一つ……! 身体が高揚し、頬に体温が。
 マックスが絡みつけばミルヴィの汗とスライムの粘液が混ざり合う。動悸は果たしてポーションが故か、それとも彼女の資質が故か。
「ミルヴィさ――ん! この、鬼畜野郎――!!」
「だめ、よ! ジョージは来ち、ゃッ、駄目! 貴方を守るのも、ぁッ、たしの役目なんだからッ!」
 再度なる突進を行おうとしたジョージを、ミルヴィは潤んだ視線で止める。
 この程度なんら危機ではない。ローレット1の清楚は伊達ではないのだ――
 瞬間。己が力を解放し殺人鬼の心得を身に纏い。
 調子に乗り過ぎだマックスとばかりに情熱の剣技が触手を斬り飛ばす……!
 ――殺しはしない。だってジョージと同じ姿だから。忍びないよネ。
「全く。明らかな危機的状況でもへっちな事を優先するのか……? 悪いが他を当たってくれ」
「警戒を縫う様に奴らは隙を見つけてくるわね……なんて生物なのかしら」
 直後。マカライトがマックスを侵入してきた床ごと吹き飛ばし、綾女の舞による一閃が、床が剥がれむき出しと成ったマックスの身を襲う――与えられたヒントは多々あったが、それにかかりきりになっては先程の様になってしまうから。
「いっその事魔砲で屋敷諸共吹き飛ばせれば楽なんだろうけどな。
 暴力は良いぞジョージィ……手を伸ばせよ……」
 どこぞの排水溝の下にいる魔物の様な事をマカライトは呟きながら、さてしかし。
「はぁ。これで大分減ったかしら? まだ残ってる――?」
「多分、あと一体? どこにいるのかしら」
 綾女は残数を数え、ミルヴィは周囲に視線を巡らせ。
 あとはどこだ? どこにいる? この屋敷は存外広い。
 資産家が手放したとは聞いているけれど……
「時間があれば探ってみたい所だね。書斎だとか私室だとか……
 奴らが住まう事になった理由が分かるかもしれない」
 手放した理由がこいつらかもしれないとリウィルディアは推測。しかしスライム達とは本当に面倒だ……攻撃したら飛び散るし、躱そうにも曲がってくる。
 いや前回の対忍々に比べれば大分マシな性能はしているから良いんだけれども……
「――ん、っ?」
 その時だ。エルがふと、壁を見つめた。
 それは『気配』がしたからだ。この壁の先に、何かがいるような――と。
 されば瞬時。壁が突き破られてエルの下に最後の触手が伸びてくる。いきなり顔に巻き付いたソレが口を塞ぎ、声を発生させる事を許さない。
「ンッ――!!」
 引きずり込まれそうになるエル。体中に巻き付いて、壁の中に引きずり込まんとして。
 嫌な感覚が体中を這っている。腕に巻き付き腋の方から体の中へ。
 思わず放った掌底一発。しかし、しかと固められた体制からは効果がなく。
「めっ、なのに……やーっ!」
 であればと、その時。
 エルが抱いた猛吹雪のイメージが――彼女の周囲に顕現する。
 それはギフト。彼女が好きな景色にして、ただそれだけの幻影。しかしそれはこの屋敷内ではありえない光景であり――だからこそ目立ちて。
「見つけたぞ――この世界の歪みよ。今こそ粛清してくれるッ!!」
「不埒なる触手よ! 今こそ朽ち果てるがいい!!」
 そこへ至るのが殺意全開のブレンダとジョージである。
 エルとの間に介入するの様に入り込んだブレンダが渾身の一撃をマックスへ。
 ジョージが触手を引きはがす様に突進し――勢い余ってそのまま直撃。
 マックスの断末魔が屋敷内に響き渡る。それは魔物の声で、翻訳するのならば――

『へっち万――歳ッ!!』

 やっぱりこいつは滅んだ方がいいね、うん!


 ――そして戦いは終結する――やがて皆が屋敷の外に出始めて。
「良かったわね、ジョージ君。汚名返上できそうで。
 ……いや、あまり根本的な問題解決にはなっていないんだけどさ」
「ははっ。なぁに、あんな触手共を根絶するまで、私は頑張りますよ……!」
 夕子が語り掛ける。ジョージの汚名は、まだ続くのでは、と。
 だからこそジョージは前を向くのだ。へっちな触手がいなくなるまで戦い続けるのだと……
「よし、これで触手共は掃討したな……まぁこれもあくまで氷山の一角に過ぎないのかもしれないが……あぁ。ジョージ殿はこれからもへっち依頼撲滅のために頑張ってくれ。私も微力ながら力を貸そう」
「ええ! またご縁がありましたら是非、お願いします!」
 一方でブレンダとジョージは硬い握手(?)を交わす。ブレンダの殲滅力とその意思には凄まじいモノがあり……どこが通じ合うものがあったのだろう。途中ジョージ君引いてたけど。
 ともあれスライムの液体があちこち飛び散っている。早く帰ってシャワーでも浴びたいものである……だが……
 これでへっちな依頼を一つ、殲滅できた。
 世界は平和に一歩近付いた訳である。千里の道も一歩から……

 へっちな触手を叩き潰す為、きっと明日もまたどこかで――戦いが繰り広げられるのだろう。

成否

成功

MVP

リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール

状態異常

なし

あとがき

 へっちは滅びない。何度でも蘇るさ。

 と言う訳でありがとうございました!!

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