PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<幻想蜂起>鮮血の革命家

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●幻想蜂起
 ――シルク・ド・マントゥール。
 もはやその名は不吉の代名詞に過ぎない。
 
 しかし、頻発する惨劇と幻想楽団との因果関係については今だ断言はできない。
 されど、人々の心は荒み続ける。
 それは、変わりようのない事実。個々の憎しみは炎の様に燃え上がりやがて飛び火する。

 今の幻想は、麻でできた一枚の布のようなものだ。
 麻の布に飛び移った小さな火の粉は最初は小さな点だろう。
 だが、加速度的に被害は広がり、あっという間に点は面となり、気が付けば全てを埋め尽くしている。
 途中で気が付いても、手遅れだ。

 ――フィッツバルディ領の中規模の町で武装蜂起が確認された。
 これは、確定情報だ。

●号令
 フィッツバルディ領の町で起きた武装蜂起は現段階では小規模なものであった。
 首謀者一派の10人が都市の軍事施設を占拠し、公式な立場で演説を行った。
 彼らはこともあろうか、革命軍を自称した。

 自称、革命家達は饒舌に民衆の心を煽った。

 ――諸君らがカビの生えたパンで空腹を満たすとき、フィッツバルディは分厚いステーキを頬張るだろう。
 ――諸君らが歯を食いしばって働いているとき、フィッツバルディは美女を抱いているだろう。
 ――諸君らが統治に少しでも不満を抱いたならば、フィッツバルディは全員を斬首に処すだろう。
 
 民衆の不満を巧みに煽り立て、過激に表面化させる。
 ボヤで済んでいるところを、強風であおるようなものであった。
 
 結果、蜂起した民兵の数は500人を超えた。
 その『軍隊』は、近いうちにフィッツバルディ公に対して打って出るだろう。
 もはや武力紛争といっても過言ではない規模である。

 しかしながら、民兵ごときが、屈強なフィッツバルディ公の軍隊に勝てるはずがない。
 そんなことは、おむつが取れていない時分の子供にでもわかるはずだ。
 それでも、心の奥底を撫でられた民衆は武器を手に猛り狂う。

 先のことなんて、見えていない。
 もはや、未来なんてものは関係ないのだ。
 今を変える。それだけだ。

 こんな事態が幻想全土で起きていると思うと、戦慄を覚えることを禁じ得ない。
 
 迫りくる事態に、レイガルテ・フォン・フィッツバルディが下した号令は剛毅果断なものであった。
 武力制圧。その一言に尽きた。

 だが、それに『待った』をかけた男がいた。

 それどころか、交渉の主導権を勝ち取り、貴族の頭を抑えることに成功してしまった。
 どこぞの天才軍師みたいな交渉術を持つ男は誰だって?
 ――ローレットのレオンだよ。

●見敵必殺
「レオンおじさんが貴族たちを『握ってる』うちに、作戦を決行してほしいのです」
 状況は逼迫しており、作戦は可及的速やかに遂行する必要がある。
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、揺るがない眼差しでイレギュラーズを見据えた。
 フィッツバルディは当初は武力制圧を示唆する発言をしていた。
 だが、レオンの交渉により最終的には、首謀者一派の首を取り反乱を収束させれば、その都市の武装蜂起自体は不問にするという寛大な意向を示した。

 ――だからこそ、失敗は許されないのです。

 ユリーカの説明によると、首謀者たる中核メンバーは10人であることが確認できている。
 その10人は、軍事施設に閉じこもり、熱心に武装蜂起の計画を立てているそうだ。
 軍事施設は町の中心にある三階建てのあまり大きくない建物。
 つまり、狙うのはそこだ。

「首謀者10人を必ず殺してほしいのです」
 ユリーカの言葉に迷いはなかった。
 捕縛は不要。いや、不可能であった。
 首謀者を失った群れが、散開するにはある程度の時間を要する。
 万が一、首謀者を連行しているところを見つかった日には、イレギュラーズが無事では済まない。

「ことが済んだら何食わぬ顔で脱出して欲しいのです。失敗すれば、皆さんも怪我では済まないのです」
 ユリーカは最後に念を押した。
 
 彼女が不安を煽るようなことをいうのは珍しい。
 だが、彼女にそう言わせるほど、此度の作戦は危険ということだ。

GMコメント

日高ロマンと申します。宜しくお願い致します。

全体依頼、<幻想蜂起>です。
フィッツバルディ領のとある町で武装蜂起が発生しました。

●依頼成功条件
 1.首謀者(革命家)10名の殺害
 2.都市からの脱出
 ※民兵の死亡は成功条件に影響はありません
 ※1、2共に必須条件です

●情報確度
 A(オープニングと、この補足情報に記されていない事が発生する可能性はありません)

●ターゲット補足
 首謀者(革命家)…武器の扱いは一流です。神秘も使えます。装備は重装備です。
 民兵……装備は様々です。

●その他補足
 ・猶予期間は一日。襲撃のタイミングはイレギュラーズが決定してください。
 ・都市に到着したところからシナリオはスタートします。
 ・武装蜂起した民兵は興奮状態ですが刺激しなければ戦闘を避けることは容易です。
 ・軍事施設の二階と三階に会議室があります。
 ・軍事施設の位置は都市の入り口から確認できます。

  • <幻想蜂起>鮮血の革命家完了
  • GM名日高ロマン(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年05月09日 21時50分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ルーティエ・ルリム(p3p000467)
ブルーヘイズ
カイト・シャルラハ(p3p000684)
緋い彗星
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
深海の金魚
冬葵 D 悠凪(p3p000885)
氷晶の盾
クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)
受付嬢
アザリア・ブレイズメイド(p3p002048)
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
リジア(p3p002864)
破壊の護手
エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)
ShadowRecon
緋道 佐那(p3p005064)
緋道を歩む者

リプレイ

●緊迫の街
 その街の雰囲気は例えるならば革命前夜と言ったところである。
 イレギュラーズ一同は、フィッツバルディ公との盟約を果たすため、作戦を開始した。
 期限は一日。つまり本日中に『片付け』ないといけない。
 街の人通りは多いが、一般人が出歩いていないためかどこか違和感がある。
 目につくのは武装した兵士ばかり、恐らく民兵だろう。
 フルプレートを持ち出している者もいれば、練習用の皮鎧の者もいる。様々だ。
 殺気を孕んだ重たい空気が街全体を覆っている。

 そんな街の広場にて――。

「さてさて、皆さま!」
 弾むような掛け声に、殺気立った民兵たちも足を止める。
 例えるならば、揺蕩う天使のような舞を披露する少女は『ブルーヘイズ』ルーティエ・ルリム(p3p000467)だ。 
「おいおい、お嬢ちゃん。街の状況を分かってないのかよ」
 民兵達はそう言いつつも、ルーティエの舞に無意識に引き寄せられる。この広場だけは戦争前の殺気も忘れてしまったようだ。

 ――もう一回踊ってくれ!
 ――流れの芸人かい?
 ――良い舞だったぜ!

「皆さん妙に気が立っているというか、不穏な雰囲気ですが何かあったのでしょうか?」
 緊張がほぐれたところで、ルーティエは一人の民兵に問う。一番豪華な鎧を着ていた男だ。
「……ああ。これからフィッツバルディ公との戦争が始まる。悪いことは言わねぇ。この街には長くとどまらない方がいい」
「え、フィッツバルディ公ですか? この街の皆様と関係はよくなかったのでしょうか?」
 ルーティエは目を丸くして問う。勿論、演技だ。
「そうだ。奴の統治は終わる。これからは俺たちの時代だ。革命軍万歳!」
「そうですか。わかりました。ありがとうございます」
 ルーティエは頭を下げその場を後にした。
(こいつはだめだ。それとも、もはや街全体が革命家に味方しているのか?)
 ルーティエは更なる情報収集のため次の広場に向かった。

 街の中心にある軍事施設前。二人の屈強な警備兵が立つ。
 そこに赤い髪に金色の目をした一人の少年が嬉しそうに駆け寄った。
「夜もここは灯りついてるけど偉い人が毎晩頑張ってるってホント!?」
 少年は眉間に皺を寄せる警備兵に真っすぐな瞳で問うも、回答は邪険だ。
「子供はあっち行ってろ」
「まぁ、待てよ。子供は宝だ。将来の大事な戦力だからな」
 もう一人の警備兵の方が乗りがいいようだ。
「俺達のリーダーは寝る間も惜しんで毎晩会議してるぞ。負けられない戦いだからな。念入りだ」
「えーそうなんだ! おじさん達も警備がんばってるよね! いっつも見張ってる人いるけど大丈夫なの?」
 少年は目を輝かせて矢継ぎ早に質問を投げる。
「ありがとうよ。二交代で夜中もきっちり警備してるぜ」
「やっぱりここの警備って重要?」
 もう一人の警備が少年の問いに答えた。
「ここの警備はそんな重要じゃないだろ。子供には分からんか?」
「わかんないよ!」
「フィッツバルディ公の監視はちゃんとしてるのさ。出兵したらすぐに分かる。何せよこれは戦争だからな」
 警備の言葉に少年はうんうんと感心したが、口元に僅かに笑みが浮かんだ。
「後さ、おじさん達、訓練とかしてるんだろ! 俺もやってみたい!」
 少年は素早く、だが力を込めずに警備の男に拳を放つ。
「いてっ!」
「ブレストプレートを殴ったら痛いに決まっている。でも、相当素早い突きだ。武術でもやってたのか」
「何もやってないよ! ねぇ、おじさん達すごく強そうだけど、リーダーの人も強いの?」
 少年は拳をさすりながら次の問いに移る。
「そりゃあもう。辺境の街の自警団なんて片手でひねられるほどさ。なんだ志願したいのか? 坊主はいくつだ?」
「いやいや良いよ! 色々ありがとう! じゃあね!」
 少年は手を振り軍事施設を後にした。
 人気のない小道に入ると――、体は一回り以上も大きく変化し、背中には燃えるような赤い翼が現れる。
 彼の名は『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
「情報収集は概ね完了かな」
 カイトはニヤリと口角を上げた。

「此処がよいのではないか。調度、街の方角からは死角となるぞ」
 『千法万狩雪宗』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は、ふかふか馬車『オフトゥン号』を街の外にある大樹の陰に留めていた。馬車は一同の拠点であり、撤退時の重要な足でもある。
「適切な場所だな。後、ここまでの帰り道は重要だ。目的を果たしても、生きて帰れなければ徒労に終わることすらない」
 『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)も汰磨羈と共に退路の確保に余念がない。
「この手の暗殺は、準備段階でほぼ全てが決まる。気を引き締めないとな」
「そうですね。私も保険をかけておきました」
 『探求者』冬葵 D 悠凪(p3p000885)が拠点に戻り、汰磨羈の言葉に応えた。
 悠凪は街で馬車を一つ調達する約束を取り付けた。非常事態を考慮してのことだ。勿論、変装してイレギュラーズであることは悟られてはいない。
「ボクは撤収時の最短経路を確認してくるー。後、軍事施設の下見もー」
 『Esper Gift』クロジンデ・エーベルヴァイン(p3p001736)は悠凪と入れ替わりで拠点を後にする。
 彼女は驚異的な視力と記憶力を誇る。窓から見える情報だけでも軍事施設の間取り等もある程度は推測できる。
「斬首戦術とは穏やかじゃないけど。もうそれが一番マシな極まった状況なんだよねー」
「あたしも行くわ。探索は任せて」
 アザリア・ブレイズメイド(p3p002048)もクロジンデと共に逃走経路の探索に向かう。
 彼女はその最中に不意に零した。
 今回の件。仕事だからきっちりやるけど、やっぱり気は乗らないわね、と。
 彼女は本質は、質実剛健。義のためとはいえ暗殺任務は快く受けられるものではないのかもしれない。心情は彼女のみが知る。

 『生誕の刻天使』リジア(p3p002864)は街に侵入し、小路から軍事施設の様子をうかがっていた。
 ――誰だ。
 リジアは背後に気配を感じ振り返る。
「敵じゃない」
 リジアの背後の影にいつの間にか紛れていたのは『ShadowRecon』エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)だ。
「よくここが分かったな。私は気配を消すのは得意だが」
 リジアは影と一体化するエイヴを一瞥した。
「隠密行動は得意なんだ」
 影の中でエイヴの瞳が一瞬、青く輝いた気がした。
「なら好都合だ。施設の下見を済ませてしまおう」
 リジアとエイヴは辺りを警戒しつつ、更に軍事施設に接近する。

「さて」
 風に揺れる長い黒髪。瞳には朱色をたたえる。
 その女性の名は『緋道を歩む者』緋道 佐那(p3p005064)といった。
 彼女は軍事施設の周辺を調査しつつ、街の情勢に思いを馳せる。
「決起ですか。行動力はかいますが、不必要に命を散らすのを黙って見ている訳にも行きません」
 佐那は民兵の命を無駄に散らすつもりはない。だが――。
「強者との戦は楽しませてもらうけれどね?」
 彼女は鍔鳴りの響きを待ちわびて歩を早める。早く情報収集を終えて、腕自慢の革命家と闘いたい、と。

●日は落ちて
 一同は拠点で収穫の共有を始める。
「街全体が革命家に賛同してるみたいだ」
 ルーティエは腕を組み難しい表情だ。
「二交代で夜間も見張りはいるけど警備は厚くないみたいだ。後、警備兵自体は弱いな。革命家の強さは未知数だけど」
 偉丈夫のスカイウェザー・カイトは早く闘いたいと言わんばかりに右肩を大きく回した。
 早く闘いたいのは彼女も負けてはいない。佐那はカイトの話に耳を傾け僅かに笑みを浮かべている。
「二階、三階の間取りは概ね推測できたー」
 クロジンデは記憶した情報を一度紙に起こして共有した。
 彼女の瞬間記憶能力をもってすれば造作もない。
「ここから施設までの最短経路も問題ない」
 エイヴはそう言うとキャップを深く被りなおした。
 施設からの脱出方法も問題ない、とリジアが付け加える。
「それじゃあ――」
 悠凪とエイヴが先行する。彼女は気配を殺して移動する達人である。
 エイヴは一度闇に紛れると何人も彼を捉えることはできない。
 二人は水先案内人として適任であった。

●潜入
 エイヴは軍事施設の裏口からいとも簡単に侵入した。カイトの情報で警備の厚さは把握してある。
 更に侵入者除けのトラップは看破している。
「これで軍部の要とはな。罠か……或いは革命家が圧倒的な強さで、侵入者なんて気にしていないか、だ」
 悠凪はエイヴの合図を受けて音を立てずに施設に侵入する。そして周囲を確認し右手を挙げると――8人が一斉になだれ込む。ここからは一気呵成だ。
「隠密、というのは初の経験だな」
 エクスマリアはそう言うが、物怖じする様子は見受けられない。部隊の先頭を行き二階の会議室の扉をぶち破った。

 二階会議室では5人の男が大縮尺の地図を囲んでいた。地図には赤と青で進軍ルートのようなものが書かれている。
 その様子を見たカイトと汰磨羈は会議室を抜けて三階に駆け出した。
 イレギュラーズを見ると5人の男、恐らく彼らが革命家だろう。彼らは瞬時に獲物を抜き身構える。
 室内ではあるが、全ての敵がチェインメイルに身を包み、武器を携帯していた。あらゆる状況を想定しているということだ。
「刺客か。フィッツバルディの手の者ではあるまい?」
 革命家の一人が口を開いた。リーダーであろうか。髪は短く白髪混じりだ。
「なんでそう思うー?」
 クロジンデが答える。
「奴は権威を汚されたのだ。この都市全てを粛清の対象にするだろう」
「ところがそうじゃないんだな」
 何でかは教えてあげないけどな、とルーティエは不敵な笑みを浮かべた。
「この都市の運命ごと計画に巻き込むつもりだったって、聞こえるわね」
 アザリアは訝し気に革命家を見つめた。革命家は答えない。
「お喋りはもういい。お前達を始末する。それだけだ」
 リジアは会話を遮るように光の羽を展開し臨戦態勢を取る。しかし――
 ――大のために小を切り捨てる。合理的だ。理に適っている。だが……この胸に渦巻く違和感は、なんだ。分からない。
 リジアは『迷い』とも『変化』とも取れる感情を一旦胸の奥に仕舞い込み戦闘に集中する。
「それじゃあ、いくぞ。一番近い奴から」
 ルーティエが戦端を開いた。最も間合いが近い敵に肉薄し獲物を激しく打ち付ける。
 会議室は広いとはいえ屋内である。椅子や会議卓も邪魔をして開幕早々に乱戦の様相を呈する。
「手早く済ませます」
 悠凪は勇壮のマーチを奏でて仲間の士気を高める。
「さあ行くわよ。誰が相手でも、全力で両断して見せるわ!」
 更に、抜刀した佐那が攻勢をかける。
 ――次に鍔鳴りが聞こえる時は、あなた達を全員倒した後よ。彼女は昂ぶりを隠すことなく乱戦に身を投じる。
「数は向こうが上。我々は確実に集中攻撃を仕掛けるぞ。俺に合わせろ」
 革命軍のリーダーは、クロジンデに狙いを定めた。彼女の神秘の力は必殺の威力を誇る半面、防戦は得意ではない。
 リーダーによる斬撃の後に間髪置かずに後方から2発の魔弾が彼女に撃ち込まれた。
「まずは一人」
 リーダーが倒れたクロジンデの前から立ち去ろうとした時、背後から魔力弾が撃ち出され、革命軍の一人が絶命した。
「ボクはまだ終わってないよー」
 クロジンデはお返しとばかりに特大の魔力弾を放った。ルーティエ・佐那と火線を合わせることで効率よく敵を排除した。

「お前、先ほどヒールを使っていたな――」
 ――潰させてもらう。エクスマリアは右手から強大な魔力を放出した。
 ダークゴールデンロットの髪の毛先が、一瞬リズミカルに波打った様に見えた。
 彼女が放出した魔力に飲み込まれた男は、この世に生きた痕跡を何も残さずに消滅した。
「化け物め!」
「容赦はしない。呪うのも勝手だが、死んでからにしておいてくれ」
 エクスマリアは革命軍のリーダーに素っ気なく言い放った。

 一方、三階の会議付近では既に戦闘が開始されていた。
「まぁ、二階でドンパチやってたら、気づくよな!」
「うむ。今は耐えるしかないだろう」
 カイトと汰磨羈は会議室の入り口の狭い空間を利用して接敵数を減らして時間を稼ぐ。
 三階の会議室にいた革命軍は5名。これで標的は全て見つかった。後は――。
「おっと、お主等を部屋から出すつもりはない」
 三ッ首蛟――厄狩闘流『破禳』、水行討技が一つ。
 汰磨羈は強行突破を狙った革命軍の男に瞬く間に三連撃を打ち込み、部屋の中に押し返す。

「貴方に恨みはないんだけどね、逃がさないわ」
 リーダーは敗退を予見し窓側に駆け出したところをアザリアに封じられた。
「見逃せ! この後幻想で何が起きるか、教えてやろう!」
「無理な相談だ。お前達を取り逃がせば、フィッツバルディ公の手によって、この街は血の海に沈む」
 エイヴはライフルの照準をリーダーに合わせた。
「金も出す! だから助けてくれ!」
 なりふり構わず命乞いをする男の顔はしわくちゃだった。この短時間で生気の大半を抜かれてしまったらしい。
「交渉の余地はない。お前達を殲滅する以外の結果は存在しない」
 ――罅ノ光。リジアは背の羽根を振るわせると、淡い光が集り弾丸を形成する。
 リジアの光の弾丸と、エイヴのライフル弾がリーダーの胴を貫いた。
「……」
「まだ息があるのね。苦しいでしょう。楽にしてあげるわ」
 アザリアは静かに首謀者を介錯した。
 
 ――次だ。一同はカイトと汰磨羈の救援に向かう。

 一方、三階の会議室では双方頭数を減らすことなく戦況は膠着していた。

「待たせたな」
 ルーティエは三階の会議室に辿り着くと、颯爽と斬り込んでいく。
 続いて、佐那、エクスマリアとほかの面々も続いていく。
「待ちくたびれたぜ! さて反撃開始だ」
 カイトは鳥の意匠が拵えられたボウガンに矢を込める。
「貴様らがここにいるということは、我らがリーダーは破れたのか?」
「そういうことになる。大局を見て、計画を練っていたつもりか?」
 革命軍の男の問いに対して汰磨羈は逆に問い返す。
「足元を見ていなかった時点で、御主等の負けだよ」
 ――三ッ首蛟。汰磨羈が戦端を開いた。
 革命軍に対してイレギュラーズは倍の人数を誇る。もはや勝敗は揺るがない。
「ヒーラーから落とすぜ!」
 カイトは素早い身のこなしから敵に接近し、翼と獲物による連続攻撃を見舞う。
「おっと!」
 突出したカイトに攻撃が集中したが、風のような体さばきでかすりもしない。
 佐那は革命軍の中に刀を持つ者を見つけた。
「お相手、よろしいかしら?」
 佐那は口角を上げると素早く間合いを詰め、鋭い斬撃を見舞う。
 相手の剣も何度か受けて実力を測る。
「中々の腕ね! 直ぐに終わらせないといけないのが惜しいくらい!」
 佐那は次の瞬間、眼前の男を両断した。
「かわせるなんて思わない方がいい」
 エイヴが放った銃弾が敵の腹部を貫いた。そこへエクスマリアが間髪を置かずに追撃して絶命させた。 

「ここには長く居すぎたな」
 ルーティエは敵を打ち倒しつつ階下に思いを馳せる。
「心配はいらない。これで最後だ。早々に退路を確保しよう」
 リジアが倒した相手で最後だった。だが――、
「あぶない!」
 倒した男は僅かに息がある。ボウガンでリジアを狙ったが、悠凪が身を挺して庇った。
「貴様」
 リジアが確実にとどめを刺した。
「悠凪、すまない。深いか?」
「大丈夫、ブレストプレートのお陰で軽傷です」
 悠凪はすぐに立ち上がってこう言った。貴方が傷つくのは避けたいから。

●脱出
「よし、俺がここで敵を引き付けるから皆はロープで脱出しな」
「私も残ろう。B班のよしみだ」
 カイトと汰磨羈が三階に踏みとどまる。
「頼んだよー 絶対無事で合流してよー」
 クロジンデはロープで屋外に脱出する。他の面々も続くように脱出していく。

「待った……よし大丈夫だ。行こう」
 流石にあれだけ暴れれば街中も警備も厚くはなる。そこはエイヴが敵の気配を察知して適切なルートを選択することで事なきを得る。

 一同は拠点に戻り、後はカイトと汰磨羈の合流を待つだけだ。
「あの二人、無事でしょうか?」
 悠凪は警報が鳴り響く街を遠めに見て呟いた。
 オフトゥン号も主人がいないせいか、寂しげに見える。
「おい、お前ら何者だ?」
 民兵と思しき少年が不意に詰め寄ってきた。警戒は街の外にまで及んでいるようだ。
「お前ら――」
 佐那は何も言わず強烈な前蹴りで少年を失神させた。
「殺さなくて、いいよね……?」
 アザリアは少年に息があることを確認すると皆に問う。
「不要な殺生は不要だ」
 エクスマリアは髪を触腕の様に動かし、少年を抱え大樹のふもとに寝かせた。
 ――その時。
「待たせたな皆の衆」「お待たせ―」
 汰磨羈とカイトが合流する。
 あの後、三階の会議室に警護が雪崩れ込んできて、脱出は容易ではなかったようだ。
「さぁ、オフトゥン号に乗り込もうぞ」
 ――なんだったら、ローレットに到着するまでふかふか羽毛布団にくるまれていても良いのだぞ?
 汰磨羈は嬉しそうに馬車を走らせた。

 こうして武装蜂起は未然に防がれた。
 フィッツバルディ公による血の粛清も避けられるだろう。
 しかし、幻想蜂起の目的は未だ判明せず。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。成功となりました。

PAGETOPPAGEBOTTOM