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シナリオ詳細

収穫祭~秋の味覚~

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 季節は秋、樹木が鮮やかな赤や黄色に染まり、それと対比するように蒼穹の空が天高く肥ゆる季節。
 そんな季節のどこかの国の田舎町の広場にて「おーらい、おーらい」と掛け声が上がる。
 広場のちょうど真ん中に石で出来たかまどが組まれ、その上に巨大な鍋がずしりと乗せられる。
「こんなもんかねぇ?」
「いいんじゃねぇか?」
 鍋を降ろした男たちは額に流れる汗を拭い、巨大な影を見上げた。


 収穫祭。
 農作物をつかさどる神に実りの感謝と来年の豊作を願う祭りだ。
 内容はいたってシンプルで各々持ち込んだ食材を巨大な鍋に放りこんでそれをスープにしてみんなでいただくというものだが、仮設のキッチンが会場にも準備されているためスープ以外にも調理を楽しむことができる。
 そして自然に恵まれたこの町は山の幸も海の幸も豊富に取れるのだ。

「さて、今年も精一杯楽しむとしますかね」
「おうよ、今日ばかりは無礼講! 酒もたっぷり準備せにゃあなぁ!」
「そういわれると思って、最高の出来の奴を持ってきたぜ!」
 この町唯一のワイナリーの主人が木箱に入ったワインを見せる。
 太陽光を反射しキラキラと輝くボトルに「おおっ!」と、歓声が上がった。

 一方、広場の片隅では主婦が井戸端会議をしていた。
「でも、大人数の食材を用意して調理するのは大変ねぇ」
「そうねぇ、男たちは警備や設営に忙しいし」

 料理をするのは嫌いじゃない、むしろ好きだ。
 だが、大がかりなこの祭りの準備となるとさすがに負担が大きいのだと奥様方は溜息をついた。
「あ~、誰か手伝ってくれないかしら」
  

「食欲の秋っていうよな」
 薄い旅行の手引書をぱらぱらと捲りながら、境界案内人である朧はあなた方に問いかけた。この図書館にはジャンルを問わず様々な本が置いてあるようだ。……それはさておき。
「お前さん達にはとある町の収穫祭に行ってきてもらいたいんだ」
 様々な食材を持ち寄ってみんなで楽しむのが目的らしく、息抜きにちょうどいいだろと朧は語る。
「まぁ、ようはいつも通り旅行がてら楽しんできてくれやって依頼さね。悪くないだろ」
 なるほど、秋の恵みに舌鼓を打つのも悪くはないなとあなた方は頷いた。

 

NMコメント

 初めましての方は初めまして。
 そうでない方は今回もよろしくお願いします、白です。
 秋いいですよね、美味しい物がたくさんあって大好きです。
 私は特にキノコ系が好きですが、栗も大好きですね。美味しいよね。
 というわけで、今回はとある町の収穫祭に参加していただきます。
 どなたでもお気軽にどうぞ!

 このラリーは三章構成を想定しております。二週間ほどで完結予定です。
 ご縁があればよろしくお願いいたします。

●全体目標
 収穫祭を楽しむ。

●章目標 
 食材を用意する。

●舞台
 異世界のヨーロッパと言われる国々の中の町です。
 いわゆる田舎町でのんびり過ごすことができます。
 毎年、年に一度収穫祭と言い秋の実りに感謝し、来年の豊作を願う祭りが行われています。お酒も出ますよ(未成年はジュース)
 
●章構成
・一章
 朝です。
 鍋に入れる食材を用意しましょう、釣りや狩り。果樹園の収穫なんかを手伝ってもいいかもですね。

●行ける場所
・海
 釣りや潮干狩り、素潜りなので海の幸を採ることができます。
 釣り竿は持ちこんでも、借りても大丈夫です。

・山
 茸を取ったり山菜を詰むことができます。
 罠や銃を駆使すれば狩りもできるかもしれませんね。

・泉
 新鮮な水を汲むことができます。香草も生えていて摘むことができますし、こちらでも魚釣りを楽しめます。
 
・果樹園
 葡萄やりんごがたくさん並んでいて収穫のお手伝いをすることができます。
 もちろんそれ以外にあってもいいかもですね。

●境界案内人
 朧
 ご指定がなければ登場しません。ご指名があればホイホイついていきます。
 なお彼は秋刀魚の塩焼きとか鮎の塩焼きが好きらしいですよ。

●プレイング例
 収穫祭かあ……すごく楽しみ。がんばる!
 海で釣りをしてみようかな……大きいの釣るぞ!

 こんな感じです
 貴方にとって良き旅路になります様に。それではいってらっしゃい!

  • 収穫祭~秋の味覚~完了
  • NM名
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年09月23日 16時57分
  • 章数3章
  • 総採用数24人
  • 参加費50RC

第3章

第3章 第1節

●全体目標
 収穫祭を楽しむ。

●章目標 
 できた料理を味わう。
 いっぱい食べて、いっぱい飲む。
●舞台
 異世界のヨーロッパと言われる国々の中の町です。
 いわゆる田舎町でのんびり過ごすことができます。
 毎年、年に一度収穫祭と言い秋の実りに感謝し、来年の豊作を願う祭りが行われています。お酒も出ますよ(未成年はジュース)
 
●章構成
・三章
 最終章です。
 できた料理をみんなで美味しく食べちゃいましょう!エールやワインなんかもありますし、主婦たちが作った絶品料理もたくさんあります。
 それだけ食べても飲んでもOKです。
(未成年の方はジュースを提供します。)


●行ける場所
・鍋
 広場の中央にある巨大な鍋(OPに描写があったもの)です。
 様々な具材が入って旨味がたっぷりと溶けだした絶品の鍋です。

・テント
 運動会とかでよく見るあれです。
 長机には絶品料理の数々。
 大皿料理をみんなで分け合っても一品物を味わってもいいですね。
 大きいパイやケーキなんかのスイーツもあります。
 ワイナリーが用意したワインや果実酒、生絞りジュースなんかもありますよ。

 その他思いついたこと、やりたいことがあればご自由に!

●境界案内人
 朧
 ご指定がなければ登場しません。ご指名があればホイホイついていきます。
 なお彼は秋刀魚の塩焼きとか鮎の塩焼きが好きらしいですよ。

●プレイング例
 ううん、悩むなぁ~! どれも美味しそう!
 でもやっぱり鍋がいいな!
 キノコや白菜を多めによそって……美味しい!
 あったまるなぁ。

 こんな感じです
 貴方にとって良き旅路になります様に。それではいってらっしゃい!


第3章 第2節

ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃
ユシウス(p3p009073)
雪国の狙撃手

「結構量があるな…ちゃんと食べないともったいねぇ」
「そうですね、色んな料理があって目移りしますが」
 長机に並べられた料理の数々に『特異運命座標』ユシウス(p3p009073)と『無銘の刀』ルーキス・ファウン(p3p008870)は驚きの声を上げ視線を巡らせていた。
 中でもルーキスが特に気なったのは、柔らかく煮こまれた肉にほくほくとした馬鈴薯。
 公孫樹切りの人参の赤と莢豌豆の緑で彩られた肉じゃがであった。

「この肉じゃが、とても美味しそうです」
「あ、それ、俺が作ったやつ。あとそのプリンも」
「え? ユシウスさんが作ったんですか? こっちのプリンも?」
 すごい、すごいです。と素直にユシウスを褒めるルーキスの言葉に頬を掻きながらユシウスは皿に肉じゃがと、別の小皿にカラメルソースを多めにかけたプリンを盛ってやった。
 ルーキスは目を輝かせ、さっそく馬鈴薯と肉を口の中に放り込む。
 ほくほくとした食感と出汁がよく染みていて、肉は噛めば噛むほど旨さが溢れ出してくる。
「うん、とてもおいひいでふ。ていうか取り分けの手際良いですね!?」
「慣れてっからな。にしてもすげぇ食うな、アンタ」
 次々に皿から消えていく肉じゃがとプリンに目を瞠りつつも、ルーキスの表情にひとまず自分の料理が失敗していなかったことにユシウスは胸を撫でおろした。

「第一印象ではクールな方かと思っていましたが、イメージが変わりました」
 料理の腕に面倒見の良さ……。
「これは噂に聞くママ適正、お母さんというやつなのでは?」

 ルーキスの何気ない『お母さん』という言葉にユシウスは眉を潜めた。
 母は元の世界で、ユシウスがまだ子供の頃に業火に焼かれ悶え苦しみ死んでいった。
 その時に掴まれた左手首の火傷の跡が、過去の記憶と共にじくじくと痛み出す。
 あの時の母親の顔は忘れようと思ってもきっと忘れることはできないだろう。
 もっともそれをルーキスに伝えることなど到底できやしないのだが。
 
 眉間に皺を寄せ黙ってしまったユシウスに、母親は失言だったかとルーキスは顎に手をやり考える。
「ふむ……お母さんは流石にアレですかね? ならお兄ちゃんで」
 兄弟はいないが家族での食事はこんな家事なのかと思ったと、飾らない言葉で伝えてきたルーキスにお兄ちゃんか、とユシウスは小さく呟いた。
 自分にも兄弟はいないが、誰かの為に作る食事というのは悪くない。
 それが自分を慕ってくれる家族ならば猶更良いだろう。
 だが、それを素直に伝えるにはユシウスは少し大人になり過ぎていていた。

「……好きに呼べば良い」
「ありがとうございます。ならば遠慮なく。お兄ちゃん」
 もっともそっぽをむいて隠したつもりの嬉しさと照れは、真っ赤に染まった耳が雄弁に語っていて。
 それを見たルーキスが面白いと、偶に不意打ちで『お兄ちゃん』と呼び揶揄い遊ぶようになったのはもう少し先の事である。

成否

成功


第3章 第3節

イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
ブラッド・バートレット(p3p008661)
0℃の博愛

 少しでも息抜きできる様に、気軽に旅行できる様にと場所を用意するのが朧の役目であった。
 広場の片隅で特異運命座標を見守る彼の元に弾んだ声が届く。

「朧さーん! 一緒にお酒飲みませんか!」
「職人さんとおひいさんか。俺でいいのかい?」
「もちろん! それでね、その……よければこれ、味見して貰えないかな? さっき作った炒め物、味見しすぎて、自分じゃよくわかんなくなっちゃって……」

 『おもちゃのお医者さん』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)は黒っぽい炒め物が乗った皿を差し出した。
『失敗作よね、コレ』
「えー! 失敗作は酷いよ、オフィーリア!」
 確かに調味料なんて初めて使ったし、加減もわからなかったけどとイーハトーヴは口を尖らせる。
「美味しい味になってるかもしれないじゃない? ね、朧さん?」
「そうさね、食ってみねぇとな」
 落ち着ける場所へ行こうと朧は彼と共に歩き出す。
 
「おや、君は……」
「ん?」
 自身を呼ぶ声に朧は歩みを止めた。
「こういった場では珍しいですね、朧」
「花嫁さん時の聖職者さんか」
 ええ、と短く返事をした『0℃の博愛』ブラッド・バートレット(p3p008661)の後ろに大量の空き瓶に嘆く男性の姿が見えた気がする。

「ところでそちらの方は」
「俺はイーハトーヴ。この子はオフィーリア」
「ブラッドと申します」
 こういった出会いがあるのも依頼の醍醐味である。


「えへへ、かんぱーい! ふふふ。この果実酒、美味しいねぇ」
『飲み過ぎよ』
 姉の小言に弟は頬を膨らませる。
「もー! 今日は頑張ったからいっぱい飲んでいい日なの! 俺、さっきのこと、まだちょっぴり怒ってるんだからね、オフィーリア!」
『事実じゃない』
 珍しく反抗しても斬り返すオフィーリアにイーハトーヴは頭を垂れる。
「うう……そうだ! ねえ朧さん、ちゃんと食べられる味になってた……かな……?」
 不安そうなイーハトーヴを見て、朧は皿の物を口に放り込んだ。
「確かに焦げてるがツマミには丁度いいな」
 嬉しそうに笑ったイーハトーヴに無邪気なお人だと朧は頭巾の下で笑みを作る。
 同様にツマミを口にし、ブラッドが朧に問いかけた。

「君はお酒の『程々』という量をご存知ですか?」
「酒は程々に、って使うアレかい」
「宗教で飲酒は禁止されていないのですが、過剰摂取は控えられています。酔いを感じる頃が『程々』と教わったのですが、酔った事が無い為気づけば空の酒瓶が多く転がる事もざらです」
 先ほどの男性は幻覚ではなかったらしく、ブラッドの顔色は全く変わっていなかった。

「ワインは『神の血』と呼ばれ儀式でも使用される事が多いです。だから慣れてしまっているのでしょうか」
「人それぞれだからな『前後不覚にならない程度』って思っとけばいいんじゃないかい」
「う〜ん……」
 真剣に悩みだすブラッドに、このお人ならそんなこと無いんだろうがと朧は緩やかに笑んでいた。



成否

成功


第3章 第4節

三國・誠司(p3p008563)
一般人
アイシャ(p3p008698)
スノウ・ホワイト

「朧、こっちこっち」
「朧さんの分もありますよ!一緒に食べませんか?」
 黒衣姿の境界案内人『朧』を呼び止めたのは『砲使い』三國・誠司(p3p008563)と『スノウ・ホワイト』アイシャ(p3p008698)であった。
 二人に手を振り返し、朧はそちらへと歩く。
「おう、お前さん達かい、俺がお呼ばれしちまってもいいのかい?」
「ええ! 誠司さん、朧さん、たくさん食べて下さいね!」

 誘われるがまま、朧はテントの下に潜り込み席に着く。
 秋刀魚の塩焼き、秋刀魚の塩焼き、汁物、秋刀魚と野菜の炒め物――。
 手慣れた様子で料理を配膳していくアイシャと目の前のご馳走に朧は目を瞠った。

「こいつぁ、ご馳走だなあ」
 嬉しそうにはにかむアイシャの前に誠司は自称『秋刀魚の竜田揚げっぽいの』を並べる。
 カラッと上がった衣と香ばしい匂いが空腹を煽った。
「朧さん、この秋刀魚の竜田揚げは誠司さんが作って下さったんですよ。とっても美味しそうですよね♪」
「ああ、美味そうだな。お前さん、料理なんてできたのかい」
「まぁね、慣れてるし」
 とはいえ、アイシャが作った豪勢な料理の数々に比べたら明らかに見劣っている。
 まるで高級ホテルの会食パーティで、他の人は全員タキシードなのに自分だけパーカーを着てきてしましまったような。そんな場違い感を誠司は内心感じ、次回までには絶対凝った料理を作れるようになろうと密かに決意した。

「さ、アイシャちゃんも良かったらどうぞ」
「わ、私もいいんですか……?」
 アイシャの自分を後回しにしてしまい、そもそも自分を数に入れていない癖はなかなか治らない。
 だから、誠司が促さなければ彼女は当たり前のように誠司と朧を当たり前のように見守って一口も食べなかったであろう。

「いただきます……」
 遠慮がちに箸で小さく切った竜田揚げを咀嚼する。
 家庭的な味というのだろうか。誠司の料理はいつだって暖かくて優しい味がした。
 そういえば流星祭りの時も自分の為だけにクレープを作ってくれたっけ――。

「誠司さんのお料理はやっぱり美味しいです……優しくて…本当に……美味しい……っ!」
 ぽろぽろと大粒の涙がアイシャののサファイアの瞳から零れていく。
「大丈夫、そんなたいしたもんじゃないから。また明日にでもつくったげるから」
 こんなズボラ飯だけれどという誠司の言葉にアイシャは頭を振って否定する。

「うっ、うう……美味しい、美味しいです」
「うん。たくさん食べてね。育ち盛りなんだから」
 そういえば最後に誰かと騒がしく食事をしたのはいつだっただろうか。
 やはり、一人より誰かと食べる食事のほうが何倍も美味しいものである。
 泣きじゃくりながら竜田揚げを食べるアイシャの頭を撫でると、惜しげもなく透明な雫がまた溢れ出した。
 ――お願い、これ以上甘やかさないで。あなたの優しさに蕩けてしまうのが怖いの。

 朧は唯静かに、二人の様子を見守っていた。
 



成否

成功


第3章 第5節

フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと

「朧さん久しぶり……えっと、久々にお話ししたいからよかったら一緒にどうかな……?」
 『恋の炎に身を焦がし』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)は朧を見上げた。
 召喚されたばかりで友達も少なく朧に一緒に来てと頼んだ日が懐かしい。
 
「久しぶり。勿論いいぜ」
「何を食べようか。さっきワタシが作ったドラゴン鍋もあるし……」
「ドラゴン鍋ってなんだい?」
「お魚が好きだったら秋刀魚でも……」
「ドラゴン鍋って何?」
 仲間と狩りをして、料理をしたというフラーゴラに朧は目元を緩める。
 あの時も思ったが自分に娘がいたらこんな感じなのだろう。

「じゃあソレを頂くか」
「(食べてる時って朧さんの顔、見えたりするのかな……?)」
「俺の顔に何か着いてるかい?」
「ううん、なんでもない……あのねあの後ローレットの依頼で色々なことしたんだ……」
 殺人事件の犯人を探したり、決戦で騎兵隊に参加したり。

「パンチラ……したこともあったな」
「ん? 悪い、聞こえなかった」
「……今のは忘れて」
 小声で呟いた言葉は幸い聞こえていなかったらしい。
「あれからたくさんお友達が出来たよ。師匠だって出来たし……」

 好きな人だって出来たんだよ。
 頬を染めた少女の顔は観覧車で見た時よりも大人びていて。

「……そいつぁ良かったな」
 一抹の寂しさを頭巾の下に隠して朧は微笑む。
 どうか彼女の未来が祝福されたものであります様に――。
 そう、黒衣は願った。

成否

成功

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