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シナリオ詳細

貴女が金糸雀だったなら、私が〇〇〇であったなら

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 貴女が金糸雀だったなら
 危ないよと鳴いただろうか
 貴女が金糸雀だったなら
 近付くことはなかっただろうか
 貴女が金糸雀だったなら
 飛んで逃げられたのだろうか
 けれど貴女は金糸雀ではなかったし
 金糸雀にはなれなかった
 私が足枷になり
 翼を奪い
 草踏む足を動かなくしたのだから
 ――依頼金の入った封筒に血文字で書かれた文章


 青い空、青い海。白い雲は薄らとたなびき空に流れ、驚くべき速度で後ろへ消えていく。
 果たして流れる風が早いのか、乗っている船が速いのか。
「これがフェデリア海域クルーズの旅だったなら、もう少し気分は晴れたのだがな」
「仕方ありませんよ。私達にはのんびりしている余裕もありませんし」
 海を見つめて呟いたベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)の背を、アリシス・シーアルジア (p3p000397)がぽんと叩く。
 ここはフェデリア海域。嘗てイレギュラーズが一大決戦の末に海路を切り開いた場所であり――豊穣と海洋を繋ぐ要衝でもある。
「それにしても、ジョージさんからのお誘いとは。しかも、こんな『魅力的な』依頼を」
 新田 寛治 (p3p005073)はひらりと封筒を翻す。封蝋の滓と血文字の文面、『液体を浴びせたような』シワの浮き方は、それに込められた意味を雄弁に物語る。
「私の同胞の危機と聞きました。……この行為が決して人聞きの良いやり方じゃないことも、分かっています」
「幻想種のコを捕まえて……だなんて、あの事件を思い出すからボクはキライだよ」
 ドラマ・ゲツク (p3p000172)とソア (p3p007025)の2人が抱える義憤は並ならぬものがある。彼女らの言葉、その断片を拾えばその理由も容易に想像が付くし……何しろ胸くそが悪い。
「この海で、私達の目を盗んで愚かしい取引をする連中がいることが我慢ならない。完膚なきまでに叩き潰す。彼の為にもな」
 ジョージ・キングマン (p3p007332)は仲間の視線に獰猛な笑みで応じる。常の彼とくらべれば、ずっと獰猛な笑みだった。


 とある、2人の幻想種の話をしよう。
 妖精郷で混乱が起きていて、遠く離れた豊穣で何が起きているかなど知らぬ、全く知らぬ無垢な子らは、それでも他種族の青年と変わらぬ年月を深緑で過ごしていた。
 彼等は深緑の、森の優しさを当たり前と思っていたので、悪意ある部外者など理解できなかった。
 彼等にとっての『たかだか20数年の研鑽』が他種族にとって少なからず脅威であったとて、それを超える者が現れるなど考えたこともない。
 それに――『グリムルート』という鬼札は、その全てが効力を失って久しい。
 想像力の欠如は、並外れた悪意の前に容易く手折られるものなのだ。

 経緯は省こう。
 事実として、2人の幻想種は1人の幻想種の少年となり、彼も乾いた血と潰れた鼻梁、膨れ上がった顔を癒やす間も惜しんでローレットへと伝手を頼んだのだ。
 その治療の遅れで死ななかったのが奇跡で、鼻梁のゆがみは僅かに残るだろう、と治療した幻想種の青年は語っている。
 少年が依頼書と、一枚だけ後生大事に持っていた(血まみれの)金貨と共に持ち込んだ依頼は『商船の襲撃と掠奪』である。
 船を沈めよ。全てを奪え。そうして得た者は貴方達に与えよう。

 ただ1人の少女を救ってくれるのならば、何も望まない。

「たった一人の娘の為に、6人のローレット・イレギュラーズが悪のそしりを受けるんだ。後ろ指をさされるぞ。……最高の気分じゃ無いか?」
 ジョージの問いかけに、ベネディクトは「別に」と返し、金貨を取り出す。
「俺は命の価値が過当に高いとは思っていない。傭兵なのでな。だが、少女一人の笑顔が戻るなら」
 彼は金貨を弾き、中空で掴み取った。
「血と毒の混じった葡萄酒を呷るくらい、訳もないだろう」

GMコメント

 「つまりこれは『血』を文字通り『命』に、『毒』を『悪名』に、そして『葡萄酒』を『海洋』に置き換えた高等な」「やめて」

●達成条件
・幻想種の少女の救出
・(オプションA)商船の沈没
・(オプションB)その他の奴隷の救出

●失敗条件
 幻想種の少女の死亡ないし致命的な障害を及ぼすダメージの蓄積

●商船(偽)
 表向きは正式な海洋船籍を持つ商船。豊穣に向かっています。
 ……が、当然ながらそれは偽装で、ラサの悪意ある人身売買ブローカーが幻想種を始め、複数名の奴隷候補を運搬する奴隷船です。
 現在フェデリア海域を航行中。OP開始後少ししたら追いつきます。
 船長はかなり強力で、『神無』の自付スキルや指揮系統スキル、パッシブで自分の周囲の部下の強化などを行います。
 船員達も戦闘慣れしており合理的判断の下に高度な連携を行う可能性があります。あからさまな『役割』がある相手が特に狙われやすいでしょう。
 敵勢力総数は13~15程度。全員甲板にいるわけでもないので、脅しとか色々してきます。
 船の堅牢性は折り紙付きで、通常船舶でのラムアタックは返り討ちに遭います。

●幻想種の少女
 メインターゲットです。船のどこかに居るはずですが、初期状態では不明です。甲板にはおりません。
 発見前に下手に沈めようものなら失敗確率が跳ね上がります。
 相当に弱っており、放っておけば生存も危ういです。

●奴隷達(そこそこの数)
 少女と共に島流しに遭いかけた奴隷候補の一般人。
 かなり多種族で構成されている。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『海洋』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 貴女が金糸雀だったなら、私が〇〇〇であったなら完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年09月24日 22時30分
  • 参加人数6/6人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ


 水平線は遙か先。この先にあるという島国の姿は未だ見えず、その未知性が海の男達の好奇心を駆り立てる。
 ……彼等が普通の船乗りで、東の異国に乗り込むのがただの物見遊山や海洋との正規の交易だったのなら、まだそんな夢想も出来ただろう。
「旦那、見回り終わりましたぜ」
「ご苦労。船倉の様子はどうだった」
 船の操舵と周囲の確認で慌ただしく動く船員達をよそに、船縁にどっかりと背を落着けた大男に、ヒラの船員が駆け寄ってくる。横柄に応じたその男……船長に、見張りの男は「へえ」と応じた。
「今の所は静かなモンです。『上物』も、一度大人しくさせたもんで動く様子もねえ」
「上出来だ。こんなところで暴れりゃ揃ってお陀仏なのを分かってやがるんだろうさ。賢くて何よりだぜ」
 船長は豪快に笑うと、見張りと数名の船員に指示して船内の警備に向かわせた。……嗅ぎ回ってる奴が居る。
 当事者が仕掛けてくるのかは知らないが、警戒しておいて損は無い。
「……接近してくる船が一隻、海洋の高速艇のようですが符合する船舶が無ぇです」
「来るまでは放っとけ。今のうちに護りを固めとけ」
 見張りの緊張感ある声に、船長はぞんざいに応じた。こんな海のど真ん中で、か。わらわせるなとばかりに。

「態々深緑に踏み込んで幻想種を攫ったというのなら、ザントマン事件の残党と見るのが妥当でしょうか」
「それもかなり知恵の回る手合いですね。こちらが予め手を回していたことも読まれていると思うべき……でしょうか」
 『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)の推測に、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)は同意しつつ懸念を添える。調査に隙を見せる程、寛治が手ぬるい男ではないことはここにいる面々は理解している。それでも警戒されている可能性アリ、というのなら、相手の手際を賞賛すべきであって彼の不手際を探るべきでは無い。
「だが、俺達が『本物』として襲撃することまでは読めて居まい。どこまで徹底するか、もな」
「俺達のそれぞれの手札も決して万能ではない。要は使いどころの問題だ。相手に応じて出方を変えればいい、それだけだ」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)の様な、本業の海賊(マフィア)が出張ってくるとは相手とて終ぞ思う事は無かっただろう。
 『曇銀月を継ぐ者』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)のような生き死ににドライな傭兵畑の人間がいることも然り。イレギュラーズにはどちらかというとウェットな――繊細な死生観を持つ――人間が多いのだが、今回集まった面々はどちらかといえばドライ寄りだ。
「ボク達、海賊同然のことをしちゃうんだね。……それでもいいの。こんなの放っておけるわけがない。ボクは自分の心に恥ずかしくないことしてるつもり」
「同族を救うコトが出来るのなら、多少の汚名も被ると致しましょう。後悔はありません」
 『雷虎』ソア(p3p007025)と『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)の2人は、そういう意味ではウェットな価値観の持ち主かも知れない。だが、自らの意志を貫く為になら多少の悪名を背負う覚悟は当然、持ち合わせている。
 少しずつ近付く船を見て、一同は武器とそれぞれの外見とを確認する。海賊らしく手を加えた個々の外観を見て、善良な一般人とはとても思うまい。
「多少手は入っているでしょうが、大凡の構造から船倉の位置は推測されます。状況に合わせて自由に動いてください」
「了解した。あの様子ならすぐにでも船倉を探すべきだな──では、行くとしよう」
 寛治が見取り図に合わせて説明すると、ベネディクトと仲間達とは頷きあう。船同士の腹が擦れるように突っ込む揺れを利用し、一同は甲板へと上がる。
 既に臨戦態勢に入っていた船員達は、彼等に何故かも誰かも問わず、一糸乱れぬ動きから襲いかかる。
 ――彼我は6対8、否、4体8になる……か。ソアは甲板に視線を投げるが、甲板の一枚下までは構造を把握できても『それ以上』は適わない。だが、それでも『一層下が寛治の構造図通り』なことは明らかとなる。
 襲いかかる敵の猛攻を躱しつつ、彼女は脚部のバネを活かして手近な相手へと襲いかかった。


「俺はキングマン。ジョージ・キングマンだ。船乗りの端くれなら、海賊の名くらい知っているだろう?」
「フェデリアまで来れば安全だと思っていましたか? とんだ勘違いだったようですね」
 ジョージの名乗りに、船員達は思わぬ相手の登場に動揺しつつ包囲を敷く。寛治は彼の名乗りにあわせるように挑発を重ね、にじり寄る船員達に銃弾をバラ撒いていく。
「近海の海賊風情が態々出張ってきて何のつもりだ? うちの血気盛んな馬鹿共をあんまり弄ばないでくれねェか」
「それなら船にあるものを全て置いて降りますか? そうしてくれると私達はとても助かるのですが」
「冗談きついぜクソアマ」
 船長はすかさず船員達に檄を飛ばしつつ毒づくが、アリシスの言葉に苛立つ程度には「普通」の人間であるようだ。さりとて、怒りに任せて彼女を狙おうとしない程度には冷静であるらしいが。
「そこを駆け回る小娘を足止めしろ! 海賊風情、分断すりゃあどうにでも――」
 船長は大きく退き、船員達に包囲陣系での制圧を指示する。巧みに体勢を立て直そうとする彼等の足元から湧き上がったのは、ソアの放った雷撃だ。
「この雷は、ボクの思い通りに走るの」
「どいつもこいつも……!」
 ソアの雷撃に身悶えする船員達をよそに、船長は意にも介さず舌打ちをする。間合いを外したのか、或いは魔力による攻勢が通じなかったのか。
「自慢の船員達も大したことは無いらしい。使えない連中相手に苦労しているな?」
「ハッ、こいつらはしぶとさだけがウリなんだよ。息切れしないうちにここに頭擦りつけて逃げ帰れば考えてやるぜ」
「御免蒙る」
 ジョージは電撃から復帰し、近付いてくる船員達へと回し蹴りを放つ。直前までのやりとりで見せた弛緩した状態からの、急激な変化。到底避けられるものではなく、次々と吹き飛ばされ床に転がっていく。それでも立ち上がる気力があるのは、単純に『頑丈』なだけで説明しづらい。
(思ったより長期戦を強いられそうですね。少数精鋭で乗り込んだのが仇になったとは思いたくありませんが……あの2人がそう後れを取るとは思えませんし)
 寛治は油断なく仕込み傘を振るって銃弾をバラ撒きながら甲板上に視線を巡らせ、ベネディクトとドラマが姿を消して久しいことを再確認した。船倉に辿り着くまでに船員が分散している程度なら、そう問題はないだろう。
 最悪は――。
「そこの優男、随分と気忙しいじゃねぇか。『お仲間』が心配か?」
「……何のことやら。我々海賊に統率がとれない落伍者など居ませんし要らないのですよ」
 すかさず差し挟まれた船長の言葉に、寛治は我関せずといった風情で応じるが、続く言葉に眉根を寄せた。
「そうかいそうかい。俺達の『商品』にお手つきされても面倒だから丁重にお帰り願いたいねェ」
 彼等は大丈夫だ。大丈夫な筈だ――一瞬の動揺につけいるように振るわれた船長の一撃は寛治の顎からその脳を強く揺さぶる。甲板を叩き割らん勢いで踏み込んだ寛治の足は、そのまま攻勢への踏み込みに転じる。
 アリシスの治療を挟む以上重篤な状態にはならないが、それでも時間と意地の問題であることに代わりは無い。
 成否は、船内の2人に託される。


「どうした、甲板の船長がいなければお前達では戦えないか?」
「馬鹿言え、賊ごときに旦那の手が要るかよ!」
 その頃、船倉へと向かう通路内。前衛ベネディクト、後衛ドラマの構成で狭い中突き進み、彼等は船員の一人を何事もなかったかのように蹴散らした。それでも数十秒はロスした格好になり、船倉には更に数名の船員がいるのは確実だ。
「この騒ぎで混乱して彼女たちを……なんて、ないでしょうか」
「奴らにとってはどう転んでも貴重な資源だ。交渉するにも、無事着くにしてもな。死なない程度に痛め付けるだろうが、殺しはすまい」
 ドラマの懸念に、ベネディクトはさして気にした風も無く返す。裏を返せば、殺さぬ程度にはどうとでも扱うと言っているのだが、彼はその言葉の重みをそれほど認識していない様子。
「俺の感覚が狂っていなければこの先だが。ゲツク、君の能力でも感じ取れるか?」
「波の音と船の揺れで音が籠もりがちですが……間違いありません、この先です」
 ベネディクトとドラマは互いの知覚を照合し、船倉のある場所へと一直線に突き進む。最初を除いて不気味なほどに船員がいないのは、やはり待ち構えられていると見ていいだろう。
「ここか。悪いが蹴破らせて貰――」
 ベネディクトが船倉の扉に足をかけようとした刹那、内側から扉が破砕し船員の一人が突っ込んでくる。ドラマが彼と入れ替わる形で船員を受け止めると、奥では子供達へとナイフを突きつける船員が何名か。
「奴隷だけが貴様らの財産ではあるまい──出せる物は全て出せ、そうすれば助かるかも知れんぞ。命だけはな」
「上で船長が体張ってんのに俺達がはいそうですかとは行かねえよ。分かってんだろう、その程度?」
「そうか。なら奴隷を盾に腰の抜けた戦いぶりを見せるのだろう? 精々楽しく踊って見せてはくれないか」
 子供を盾にする卑劣な行いは、或いはドラマが先陣を切っていたら躊躇もあったろう。だがベネディクトは、幻想種さえ生きていれば問題ないとすら思っている。他が生きていればベストだが、という心構え。
「奴隷とはいえ人の子を、こんな……荷物のように……!」
 ドラマの感情に怒りが無かったといえば嘘になろう。感情のままに小蒼剣を振るう選択肢もあったはずだ。だが、彼女はベネディクトの挑発に乗った船員から奴隷を奪い返す形で割り込むと、そのまま幻想種の少女を巻き込む形で範囲治癒術式を起動する。
 彼女を仲間が送り出したのはその治癒能力と判断力、なにより同族であるが故の親和性だ。彼女は怒りと使命の狭間で、確かに間違いない選択をした。
「野郎……!」
「礼儀がなっていないな。ゲツクは女性だ」
 船員達を一手に引き受けたベネディクトは彼等を行かせまいと、槍を振るって牽制する。甲板の仲間達すら手間取らせるレベルの頑丈さを持つ船員は、当然彼にとっても面倒な相手。奴隷達を背に戦うなら尚更だ。
「お前達の船長なら、今頃俺の仲間の手で魚の餌にされているかもしれんが……それでも続けるか? 逃げるなら全員、生かしてやってもいいが」
「……、…………くそッ!」
 ベネディクトの強烈な一撃で弾かれた船員達は、最後通牒ともとれる彼の言葉に暫し喉を鳴らし、それから苛立たしげに船倉を後にする。あの調子なら、甲板にでた上で船長に(生きているなら)逃走を進言するだろう。
「……あなた達は?」
「あなたのお友達の頼みで来たんです。もう、大丈夫ですよ」
 呆然と問い掛けた少女に、ドラマはそう答えてその頭をかき抱いた。状況が分からずきょとんとする子供達には、ベネディクトが軽く説明をし……すこし置いて、子供達のうれし泣きが響き渡った。

「この船と積荷を明け渡して小舟なりで降りるなら、命だけは見逃してあげますよ」
「死にかねない程度には痛め付けましたが、殺してはいませんよ。……この辺にしておきませんか?」
 その頃、甲板では寛治とアリシスによる降伏勧告が行われていた。
 吸魂蝶が離れた瞬間に倒れ込んだ者、度重なるソアの雷撃で指一本動かせぬ者、ジョージの蹴りで脳をゆらされた者。多種多様なやられ方をしているが、一人として死を迎えていない……今のところは。
「旦那、すまねえ! ガキ共が――」
「冗談じゃねえぞクソが! 誰がそんな」
 パン、パン。
 船倉から出てきた船員は、船長が抗弁しようとしたのを見て寛治に立て続けに脳天を打ち抜かれた。
 力なく崩れ落ちる船員の姿に、船長は声もなく。
「……これが最終回答ですか?」
 寛治は再度、船長と船員達を見回して問い掛ける。
 船長には選択の余地は最早、無い。

「終わったら、何に乾杯しますか?」
「そうだな……海と砂漠と緑が、このままの姿であることに」

成否

成功

MVP

ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海

状態異常

新田 寛治(p3p005073)[重傷]
ファンドマネージャ

あとがき

 情報の使い方っていうのはこういうリスクもあるあ……ねーよ普通は!

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